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--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
--------------------------------------97号--2001.09.16------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「糖類・ペットボトル(Q&A)」「狂牛病」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 日本でも狂牛病発生、というニュースに関して、メールをいただ
きました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 とうとう日本でも狂牛病がでましたが、乳製品は大丈夫みたい
で、ホットしています。ゼラチンはどうでしょうか?ヨーグルトな
どに入っています。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 以下は私の返信。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 ゼラチンは動物の骨や皮から採ります。コラーゲンといって、化
粧品などでもおなじみですが、実は元は同じ蛋白質です。

 骨から取ったのでは、ちょっとやばいかなあ、と思っていたので
すが、WHOでは、安全だとされているようですね。
http://www.anex.med.tokushima-u.ac.jp/topics/zoonoses/zoonoses97-49.html

 これはゼラチンの加工工程が、狂牛病の病原体であるプリオンと
いう蛋白質にとっても、過酷なもので、感染性が失われるから、と
いうことのようです。

 また、ゼラチンでも、豚から取ったものや、牛の皮からとったも
のは、当初から病原体は含まれていない、ということです。

 それから、ゼラチンはたぶんほとんどが輸入品ですので、日本の
牛とはあまり関係ない、と思います。

 ということで、何となく気持ち悪いですが、心配するほどではな
いでしょうね。

 狂牛病については、またメールマガジンで書きます。アメリカの
事件で騒ぎがぶっ飛んでしまいましたが、吉と出るか、凶と出るか…。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 で、もう一つ、ラーメンについて。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 狂牛病が話題になっていますが、牛骨でだしを取っているスープ
使用のラーメンは大丈夫なのでしょうか?

 ラーメン屋に行くのも心配です。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 私の返信です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 牛骨を使っていて、もしその牛が狂牛病にかかっていたとしたら、
全然大丈夫ではありません。

 いわゆるとんこつラーメンでは、豚の骨を骨髄が溶けてくるまで
煮込んでいます。同じ豚骨を使っていても、白く濁ったのと、そう
でないのがあるのは、この煮込み方が違うせいです。

 骨の硬い部分ではなく、神経が通っている骨髄が感染の原因にな
りますので、牛の骨でこのようなことをしていたら、最悪ですね。

 狂牛病の原因であるプリオンという蛋白質は、普通に煮込んだく
らいの条件では、まったく平気だそうです。

 ただ、ラーメンのスープには豚骨が普通で、鶏もよく使いますが、
牛というのは少ないのではないでしょうか。

 牛の骨は大きくて使いにくいのと、味が中華風にはならないので、
あまり使っていないと思います。

 「牛骨ラーメン」とわざわざ言っているものは別ですが、普通の
ラーメンではまず大丈夫かと思います。

 牛の骨からとったスープはいろんな食品の原料として、広く使わ
れています。

 現在のところ、日本で出回っている牛骨が危険である、という証
拠はありません。ただ、もし汚染が広がった場合、消費者の側にと
れる対策がほとんどない、ということはいえると思います。

 狂牛病にづいては、メールマガジンに書きますので、よろしくお
願いします。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ということで、今回の「食べ物情報」は狂牛病についてとりあげ
ます。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.初めまして!僕は陸上競技をしている高校生です。

 さっそく質問なんですが食品の原材料の中によく書いてある砂糖、
ブドウ糖、果糖とかは学校の授業でだいたい習ったので分かります
が、

 果糖ブドウ糖液糖、増粘多糖類、麦芽糖、異性化液糖、ブドウ糖
果糖液糖はどんな糖なんですか?

あとステビアとかスクラロースとかの甘味料はカラダに悪いんでし
ょうか?

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A.糖類の分類について、

単糖類
  ブドウ糖、果糖、ガラクトース・・
二糖類
  麦芽糖(ブドウ糖+ブドウ糖)
  蔗糖(ブドウ糖+果糖)〔=砂糖〕
  乳糖(ブドウ糖+ガラクトース)
多糖類
  デンプン、グリコーゲン、セルロース
 (いずれもブドウ糖がたくさんつながったもの)

ということはわかりますよね。
「異性化糖」というのは、デンプンを分解して得られたブドウ糖の
溶液に異性化酵素を働かせたものです。この酵素はブドウ糖を果糖
に、果糖をブドウ糖に変化させます。

 この結果、ブドウ糖の溶液がブドウ糖と果糖の混合物の溶液に変
ります。

 ブドウ糖の方が多いと「ブドウ糖果糖液糖」、果糖の方が多いと
「果糖ブドウ糖液糖」というようですね。

 ブドウ糖は砂糖より甘味は弱いのですが、果糖は砂糖以上の甘味
をもっています。したがって、混合物は砂糖とあまり変わらない甘
さで、扱いやすく、安価なため、よく利用されています。

(この結果、砂糖の国際価格が暴落して、サトウキビの生産国は大
打撃をうけました。)

 スクラロースは新登場の甘味料ですね。砂糖を化学的に変化させ
て作るのだそうで、甘味は強く、カロリーがない、ということです。

 ステビアは以前から使われていました。ステビアという植物の抽
出だったと思います。

 いずれも、食品添加物として認可されている以上、すぐに健康に
害がある、ということはないでしょう。

 でも、甘くてカロリーの少ない飲み物、というのを好んで飲むこ
ともないと思います。

 甘い飲料は飲みすぎないように注意してください。

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Q.ペットボトルについて調べています。ペットボトル商品はどう
して、日持ちがいいのでしょうか。フタを開けるまで期間が長いの
は高温処理しているからだと思っています。ところが、一度フタを
開けても、2−3日は持ちます。殺菌剤や消毒が添加されているの
ではないか、と考えているのですが・・・。

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A.ペットボトルの飲料は70℃以上で充填されています。したが
って、ほぼ無菌状態にできるので、フタを開けるまではそんなに悪
くなりません。

 ただ、ペットボトルは空気をある程度通すので、缶詰のように長
期間というわけにはいかないようです。

 そのため、酸化を防ぐためビタミンCを添加しているものが多い
と思います。

 フタを開けてからは普通の飲み物と変りません。ということは、
家で作ったお茶でも、ボトルにつめて冷蔵庫に入れておけば、2〜
3日は飲める、というわけです。

 もちろん、だんだんと悪くなっていきますので、これはほめられ
たことではありません。

 できるだけ早く飲むようにしましょう。

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「狂牛病」
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 9月10日、日本でも、狂牛病らしい牛が発見されたようです。千
葉県でのことで、乳牛として飼われていた5才の牛だそうです。
http://www.mainichi.co.jp/eye/feature/disease/2001-3/0911-1.html

 まだ確定というわけではないのでしょうが、この牛の生産者まで
わかっていますので、現在調査中ということです。

 この牛は北海道で生産されたもので、その生産農家を調べたとこ
ろ、狂牛病の原因となる、「肉骨粉」は使用していない、というこ
とです。
http://www.mainichi.co.jp/eye/feature/disease/2001-3/0913-1.html

 原因は不明だな、と思っていたら、14日なって、こんな記事があ
りました。

http://www.mainichi.co.jp/news/selection/20010915k0000m040158000c.html

 何と問題の牛を「廃棄」したと言っていたのに、その牛は処理業
者に売られて、肉骨粉になっていた、というのです。
 
 「農水省は10日の発表では「牛は処理場で処分され、すべて廃
棄された」としていた」ということですが、これが真っ赤な嘘だっ
たわけです。

 乳牛の場合、2〜3産で供用を中止して、肉牛として飼育しなお
す、という方法があります。これくらいだとまだ若く、雌牛なので
結構まともな価格で売れるということです。

 もう少し長期に乳牛として供用された場合、通常の牛肉として売
るのは無理なのですが、最後はやっぱりと畜場で処分され、加工用
肉などに使われます。枝肉になった状態で、そのようなものを見せ
てもらいましたが、肥り方が違うので、すぐに見分けがつきます。

 たまに雄牛も処理場にあったりしますが、これはとても大きいの
で、やはりすぐにわかります。雄牛もまず普通の食用にはならない
そうです。

 で、以上は健康な牛の場合で、病気が出たり、死んでしまったり
して、広い意味での食用も無理な場合、処理業者がひきとって、肉
骨粉に加工する、ということをします。普通の病原体なら、この処
理での加熱等でまず無害化するのですが、狂牛病の場合は、例外な
のです。

 以前に取り上げましたが、日本でも狂牛病が発生する可能性があ
る、という根拠は、イギリス産のこうした肉骨粉が日本に輸入され
ていた、という事実に基づいています。

 要するに、肉骨粉にする加工では、狂牛病の感染性はなくならな
いのです。

 それを日本でまたやっちゃった、というのは最悪ですね。

 件の酪農家にとっては、自分の買っていた牛が死んだので、いつ
もの処理をしただけなのでしょうが、少なくとも狂牛病の可能性が
あるということが判った時点で、いつもの処理をしてはいけないの
は当然のことです。

 農水省は業者からの報告で事態が判明してからも、まだ言い訳を
しているようですが、とんでもないことです。行政だけを責めるの
は私は感心しない、といつも言っていますが、今回の事件に関して
は、行政の責任重大で、ほとんど犯罪に等しい怠慢だと思います。

 この件で質問をいただきまして、ちょっと調べていたら、このサ
イトを見つけました。まさに情報満載、という感じです。

http://www.anex.med.tokushima-u.ac.jp/topics/index.html

 さて、日本での事態の解明はまだ時間がかかりそうです。行政や
業界でも、真面目に解明に取り組んでいる人もいれば、何とかごま
かしたいだけの人もいる、ということで、どういうふうに展開して
いくか、まだ判らない部分があります。

 完全にクロ、ではない時点で、公表したということは、とても良
かったと思い、日本の農政もまともになってきたな、と思っていた
矢先に、やっぱり旧来の「臭いものにフタ」、というか、「備えな
ければ憂いなし」というか、といった対応を見せつけられると、本
当に困惑します。

 現場の研究者は情けない思いをしているでしょうね。

 ただ、少なくとも今はまだ、日本の牛肉が危険だ、というような
理解をする段階ではないと思います。私たちがとれる対策は別に何
もないです。(肉食をやめる、とかいう判断はあるかも知れません
が。)

 そこで、以下は狂牛病についての復習です。

(1)狂牛病は1980年代末からイギリスで発生した、牛の感染性の
病気です。

(2)病原体は細菌やウィルスではなく、プリオンという蛋白質の
異常なものです。プリオンは動物の神経組織に普通にある蛋白質で
すが、この異常プリオンが体内に入ると、正常なプリオンがどんど
ん異常になってしまう、のが感染のスタイルです。

(3)蛋白質は加熱によって変性しますが、異常プリオンはいわば
すでに変性した蛋白質ですので、通常の加熱などでは感染力を失い
ません。イギリスで狂牛病が発生した原因は、同様の羊の病気であ
る「スクレイビー」にかかった羊の遺体を使った肉骨粉を、牛のエ
サにしたことである、と考えられています。(これについては異論
もあるようです。)

(4)この病気は人にも移ります。狂牛病に由来する、と見られる
病気で、イギリスではすでに死亡者がでています。この病気は新種
のクロイツェル・ヤコブ病といわれ、発症すると脳細胞が破壊され、
意識はあるものの、思考力が失われ、身体の制御もきかなくなって、
速やかに死に至る、大変恐ろしい病気です。治療方法などはありま
せん。

(5)イギリス以外のヨーロッパ諸国にも飛び火して、昨年は大騒
ぎになりました。これは主にイギリスから、狂牛病に感染した牛の
遺体を使った肉骨粉を輸入したためと考えられています。

(6)牛にこのようなエサを与えることを禁止して、ようやく鎮静
化の方向へ向かっているようです。国際的にこの肉骨粉の動きを調
査して、日本でも狂牛病発生の恐れがある、ということはわかって
いたのですが、日本政府からの要請で、報告書が作成されなかった、
という事件が報道されていました。

(7)日本では、牛に肉骨粉を与えることは、行政指導としては禁
止されていましたが、実効的な法律を伴っていないため、事実上は
野放しだったようです。狂牛病の発生の有無についても、調査して
いなかったから、なかったことになっていた、ということが言える
と思います。

(8)外国で発生→日本は大丈夫と言い続ける→しかし本当のとこ
ろは調査もしていない。(この辺、エイズと同じですね。)

--〔後記〕--------------------------------------------------

 アメリカで大事件発生で、狂牛病はかすんでしまいました。変な
パニックも困りものですので、案外良かったかもしれません。

 でも、どうも農水省の対応は最悪のようです。

 アメリカの事件はこのメールマガジンでは話題にしませんが、あ
の激突シーンの映像は何度見せられても衝撃的ですね。ハリウッド
映画もこれから困ることになりそうです。

 でもあの飛行機に、大勢の乗客が乗っていた、ということは本当
に想像し難いことです。衝突されたビルも、作り物ではなく、中で
人が働いていた・・。犠牲者の皆さんのご冥福を心からお祈りしま
す。
 
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--発行--渡辺--宏------- URL http://www.kenji.ne.jp/food/
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