安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>969号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------969号--2018.06.17------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「ニュースから」「ジビエと寄生虫」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 しばらく前から話題にしていた、鹿児島県の「生食用鶏肉」のこ
とですが、こんなニュースがありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■鹿児島県 鶏生食基準を18年ぶり改正 内臓、食中毒懸念し対象


 県の「生食用食鶏肉の衛生基準」の改正などを説明する鶏の生食
加工業者協議会のセミナー=鹿児島市の県産業会館

 鹿児島県は、鶏を生で安全に食べるための処理加工などをまとめ
た「生食用食鳥肉の衛生基準」を18年ぶりに改正し、食中毒の危
険性が高いレバーなどの内臓を基準対象から外した。加工業者や飲
食店に生食への注意を促す目的で、法的拘束力や罰則はない。

 鶏の生食に関する法律や条例はなく、県が2000年に全国で初
めて基準を作成。食鳥処理場での加工、飲食店での調理、生食用の
保存、運搬、表示といったガイドラインをまとめた。

 県は、国の事業で16、17年度に鶏のレバーに含まれる細菌を
調べた。下痢や腹痛を引き起こすカンピロバクターの検出率が高く、
肝臓の生食は安全性を確保できないと判断し、生食用食鳥肉の基準
対象から内臓を外した。

 改正は5月30日付。「子ども、高齢者、食中毒に対する抵抗力
の弱い人は食肉の生食を控えること」とするリスク表示も追加した。

https://373news.com/_news/?storyid=93209
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 国の指針に反して、どうしてこんな「基準」を設けたのか意味が
わかりませんが、とにかく当事者間ではこんな基準が意味を持って
いたのでしょう。

 とはいえ、私の認識不足でもありました。失礼しました。

 これも「関連」ニュースです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■宮崎市の居酒屋で24人が食中毒

 宮崎市の繁華街ニシタチの居酒屋で食事をした24人が、下痢な
どの症状を訴え、複数の患者から細菌のカンピロバクターが検出さ
れたことから、保健所は、店の食事が原因の食中毒と断定し、8日
から3日間この店を営業停止の処分としました。

 営業停止の処分を受けたのは、宮崎市中央通の居酒屋「串焼きし
ょうご屋」です。

 宮崎市保健所によりますと、今月1日男性客30人がこの店で鶏
肉の刺身などの食事をしたあと、このうちの24人が下痢や発熱を
訴えました。

 全員症状は軽く、快方に向かっているということです。

 保健所が検査をしたところ、複数の患者から食中毒を引き起こす
細菌のカンピロバクターが検出され、保健所はこの店の食事が原因
の食中毒と断定し、店を8日から3日間営業停止の処分としました。

https://www3.nhk.or.jp/lnews/miyazaki/20180608/5060000847.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 鹿児島県ではなくて宮崎県でこの手の事故が多いような気がしま
す。食文化の違いなのでしょうかね。とにかく「鶏の刺身」なんか
を絶対に食べてはいけません。現地に行って勧められてもきっぱり
断るようにしましょう。

 次は「ヒスタミン」の話です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■サンマ干物で食中毒 札幌・コープ ヒスタミン検出

 札幌市保健所は12日、札幌市東区北21東16のスーパー「コ
ープさっぽろ元町店」が販売したサンマの干物を食べた4人が、口
のかゆみや喉の腫れなどの症状を訴え、干物から食中毒を引き起こ
す物質ヒスタミンを検出したと発表した。保健所は食中毒と断定し、
同店の魚介類販売部門を12日から3日間の営業停止処分にした。

 同店を運営する生活協同組合コープさっぽろ(札幌)は道内全1
08店で、店内での干物加工とその販売を12日から14日まで自
粛することを決めた。コープさっぽろ広報採用部は「衛生教育を実
施するなど、再発防止に努めたい」としている。

 保健所によると、干物は6日に元町店で加工、販売され、7日に
食べた1世帯4人(幼児1人、児童2人、30代女性1人)が発症。
医療機関は受診せず、既に全員が回復している。

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/198836
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 たくさん店がある中で、一つの店だけで中毒が出たということは、
元の商品そのものではなく、店での管理の失敗だと思います。

 干物は冷蔵しなくてもよいと思っていた…。こんなところでしょ
うか。

 次は東北でも貝毒が出ているという話題です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■ホタテ貝毒、出荷規制続く 岩手、宮城沖120キロで

 東日本大震災で大きな被害が出た岩手、宮城両県で、まひ性貝毒
による養殖ホタテの出荷規制が長期化している。全国的に貝毒の発
生件数が増加する中、ホタテ生産の盛んな岩手県釜石市から宮城県
石巻市の沿岸約120キロの範囲で出荷を停止。専門家は津波の影響
を指摘するが、抜本的な解決策はない。

 岩手県では3月6日、釜石市の釜石湾で規制が始まり、6月13日
現在、12海域のうち6海域で出荷を規制。県漁連によると、2017年
4〜5月の出荷量は県全域で約375トンだが、今年の同期間は約86
トンに落ち込んだ。

 宮城県でも3月20日から一部海域で規制が始まり、ホタテを生産
する全7海域全てで出荷ができない状況だ。県は漁業者に融資制度
を紹介する相談窓口を設置した。

 貝毒は、貝が毒を持ったプランクトンを食べて蓄積することで発
生。人が食べると中毒を起こす。両県では春〜夏は週1回、貝の毒
量を調査し国の基準値を超えた場合に出荷を止める。

 3週連続で規制値を下回ると出荷を再開できるが、ホタテは他の
貝と比べ毒が抜けるのに時間がかかる。「これだけ広範囲で長期化
したことはない」と両県の担当者。他の貝への影響を懸念する。

 農林水産省によると、まひ性貝毒によるホタテやカキなど貝類の
出荷規制は、昨年は延べ35件だったが、今年は東北太平洋側、瀬戸
内海東側で特に多く、5月末時点で同65件と急増した。2道県で養
殖ホタテの出荷量の9割を占める青森県と北海道では、まひ性貝毒
は出ていない。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31743270U8A610C1CR0000/
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 今まで貝毒は主に大阪湾あたりの問題と思っていましたが、今後
その他の地域に広がっていくのか、心配ですね。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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今週は休みます。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「ジビエと寄生虫」
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 これも食中毒のニュースです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■寄生虫が原因か シカ刺しで食中毒

 和歌山県は13日、田辺保健所管内で今月上旬、野生のシカを解
体して刺し身で食べた男性3人(60代2人と70代1人)が下痢
や嘔吐を発症する食中毒があったと発表した。1人が入院したが、
全員回復した。寄生虫が原因とみている。

 県によると、男性らは2日、猟師から捕獲したシカを譲り受けて
解体。その日に自宅で背身や肝臓を刺し身にして3人で食べたとこ
ろ、3人とも下痢や嘔吐を発症。このうち60代男性は一時入院し
た。

 田辺保健所は3人の共通の食事や医師の診断から、シカを生食し
たことによる食中毒と断定した。

 県によると、原因物質はサルコシスティス属寄生虫と推定される。
この寄生虫の食中毒は、馬肉ではよくみられるが、鹿肉での有症事
例は少ないという。

http://www.agara.co.jp/news/daily/?i=353496
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 自分でさばいて生で食べるというのはまさに馬鹿の極みです。既
にE型肝炎にも感染しているのではないでしょうか。

 以下は「サルコシスティス属寄生虫」の説明です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■サルコシスティス・フェアリー(Sarcocystis fayeri) 原虫類
(胞子虫類)

 ここ数年間、全国的に、食後数時間で一過性のおう吐や下痢を発
症し、軽症で終わる原因不明の食中毒が発生していました。こうし
た事例において、馬肉の刺身を食べていた例が多くみられたことか
ら、厚生労働省などが調査をしたところ、ウマに寄生したサルコシ
スティス・フェアリー(Sarcocystis fayeri)がヒトに下痢症状等
を引き起こすことがわかりました。

 サルコシスティス・フェアリーによる食中毒は、馬肉を冷凍処理
すると防ぐことができます。国内で流通する多くの生食用馬肉は、
生産地で冷凍してから出荷するなどの対策がとられています。

□予防方法

 馬肉をマイナス20℃(中心温度)で48時間以上冷凍処理すると、
食中毒を防ぐことができます。

http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/musi/30.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 予防法として「冷凍」が書かれていますが、「加熱」の方がもっ
と確実なはずです。「馬刺し」のことを考えてこうしているのでし
ょうし、実際に馬刺し用として売られている馬肉は冷凍品なので、
ここはクリアしているわけです。

 次は「ジビエと寄生虫」の解説です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■ジビエと寄生虫

 最近、こんなニュースがありました。

 『シカ・イノシシのジビエ料理、寄生虫ご用心』
 https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20150406-OYTEW50159/

 これは、野生のシカとイノシシを捕獲して、その食用部位の背ロ
ースとモモの肉を調べたところ、その多くに住肉胞子虫という寄生
虫がみられたという情報です(シカ肉の保有率は、なんと90%近
く!)。また、シカの肝臓には、 槍やり 形吸虫という寄生虫がい
たそうです。

 「野生の動物の肉には、寄生虫がいることがある」…このことを
知っていることが大切です。

■ジビエとE型肝炎ウイルス

 ジビエは、寄生虫だけでなく、ウイルスによる感染症を起こすこ
とがあります。シカやイノシシの肉には、E型肝炎の原因となるウ
イルスが存在していることがあり、これによって急性の肝炎を発症
する可能性があるのです。

 ウイルスによって起こる主な肝炎としては、B型肝炎とC型肝炎
が有名です。これらは、血液や性行為によって感染するウイルスで
す。一方、主に食事などを介して感染することが多いウイルス性肝
炎として、A型肝炎とE型肝炎があります。A型肝炎は、生ガキな
どの貝や、ウイルスに汚染された食材や水などを介して感染します。
そして、E型肝炎の原因として注目されているのが、今は禁止とな
った豚のレバーや、この「ジビエ」だったのです。

■妊婦とトキソプラズマ

 妊娠している女性では、生肉や加熱不良の肉を介して感染するト
キソプラズマという病原体にも注意が必要です。トキソプラズマ感
染は、生まれてくる赤ちゃんに影響を与える可能性があるからです。

■「新鮮=安全」とは限りません

 美食ブームの中で、近年は首都圏でもE型肝炎の報告が増えてい
るということを知っておきましょう。「捕ったばかりで新鮮だから、
生でも大丈夫です」。・・・こんな言葉には注意してください。寄
生虫も、E型肝炎ウイルスも、そしてトキソプラズマも、十分に加
熱すれば死滅してしまいます。生レバーは完全にアウトです。不十
分な加熱の内臓も要注意。通常の肉でも、表面だけの加熱ではリス
クが残るということも承知しておく必要があります。

 食ブームを楽しむことは良いことです。

 しかし、「新鮮=安全」とは限りません。

 ジビエ料理も、ぜひ「火を通して」楽しんでください。

https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20160630-OYTET50037/2/
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 次は野生動物の視点から、生息数の話です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■ニホンジカ、四半世紀で生息数10倍 本州以南で推定305万頭
2016/3/14

 環境省は14日までに、農作物に深刻な被害を及ぼしているニホン
ジカの2013年度末の生息数は、北海道を除く本州以南で推定305万
頭とする調査結果をまとめた。1989年の調査開始以降、増加が続い
ており、89年の約30万頭からほぼ四半世紀で10倍になった計算にな
る。

 捕獲率が現状と変わらなければ、2023年度には453万頭に増える
と見込まれる。同省は23年度までに11年度比で半減にすることを目
指しているが、目標達成には2倍超のペースで捕獲し続ける必要が
ある。

 生息数は都府県の捕獲数や狩猟者登録数を基に推計。北海道は独
自に計算するため除外した。

 一方、13年度末時点のイノシシの推定生息数は約98万頭で、12年
度比でほぼ横ばいだった。

 農林水産省によると、全国のシカによる12年度の農作物被害は約
82億円だった。

https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG11H8O_U6A310C1000000/
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 野生動物がどんどん増えているのは事実なんですが、今でも「野
生動物の被害があったり、よく人里で見かけるようになったのは、
山にエサがなくなったからだ!」という人はいます。

 以下はそのあたりの説明です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■シカ、イノシシ、そしてクマ! いまや日本は野生動物の楽園?

 先日、宮崎の山の中でイノシシに遭遇した。林道のど真ん中を巨
体がのんびり歩いていたのだ。こちらは車だから焦らずにすんだが、
もし徒歩で無防備な姿だったら、ちょっと怖かっただろう。

 日を空けず岐阜県郡上市に行くと、夜になると人家の目と鼻の先
にシカが群をなして出没していた。あまりに数が多いので、こちら
が目撃したのではなくシカに見られている気持ちになったほどだ。

 ニホンザルも各地の山でよく見かける。カモシカは、もはや珍し
くなくなった。我が家の裏山も、イノシシが結構いる。住宅街から
ほんの少し山に入ると、足跡だらけだ。タヌキやイタチは庭先まで
出てくる。

 どうやら日本の山は、野生動物の楽園になってしまったらしい。

 そこで問題となるのがクマである。さすがにクマは増えていない、
いや減っているだろうと思う人は多い。しかし21世紀を迎えたころ
から、人里にツキノワグマが出没するケースが増えている。姿を見
せるだけでなく、農作物を荒らしたり、たまたま出くわした人間に
も危害を加えるようになってきた。実は私も、クマを目撃したこと
もある。小さな幼獣だったが、たいして深くない人里から近い山だ
った。また北海道では、ヒグマが札幌市街まで出没したことで騒動
になった。

 ところでツキノワグマは、毎年1000頭以上、多い年では5000頭以
上も捕獲され、その大半が駆除されている。以前ツキノワグマの生
息数は、全国で約1万〜1万5000頭とされていたから、もし毎年そ
んなに駆除していたら絶滅してしまうはずだ。しかし、大量に捕獲
・駆除した翌年もまた多くのクマが姿を現すのである。

 一部の人は、天然林が伐採されて餌となる植物、なかでもドング
リのなる木が減ったことで、飢えてクマは人里に出るのだと主張す
る。針葉樹の人工林を増やしたことが悪いのであって、このままだ
とツキノワグマもヒグマも絶滅してしまうと駆除に反対している。
なかには餌不足を解消するという名目で、山に各地で集めたドング
リを大量にまくという、オバカな行動を取る団体まで現れてしまっ
た。

 ところが、実際にクマを追いかけている研究者や写真家によると、
クマは増えているというのだ。野生動物の通り道に仕掛けられた無
人カメラなどには大量のクマが写るうえ、足跡や糞、クマ棚と呼ば
れる寝床跡などがたくさん発見されており、想像以上の数のクマが
生息している証拠が見つかっている。

 本当のところ、クマは減っているのか、それとも増えているのか。

 この論争を聞いていると、私は約30年前を思い出す。

 私が学生の頃、林業界で問題になっていたのが、ニホンカモシカ
の食害である。各地の山で植えたばかりのヒノキの苗が食い荒らさ
れて、丸裸になっていた。莫大な金と労力をかけて、将来の森を作
ろうとしているのに、無にされてしまうのである。苗の頭頂部が食
べられると、枯れずに済んでも曲がって育つから木材としての価値
はなくなる。だから林業家にとっては大損失だ。

 ニホンカモシカは、ウシ科の日本固有種である。明治以降、毛皮
や角が商品化されたことや、優秀な銃が導入されたことなどからカ
モシカへの狩猟圧は増した。そのため生息数は激減し、1934年に天
然記念物、55年に特別天然記念物に指定される。よほどの奥山にし
か生息せず、個体数も全国で数千頭しかいないとされた。とくに中
国山地からは姿を消し、九州、四国でも絶滅寸前といわれた。「幻
の動物」扱いされたのだ。

 しかし、1970年代に入ると、カモシカの食害が発生し始める。そ
こで論争が起きた。林業家は、カモシカは数が増えた、と訴えた。
保護派は、天然林が減って食べられる草がなくなり、追い詰められ
て人工林に出てきた、という説を唱えた。苗を食べるのも、ほかに
餌ががないからだという。同じ食害を、まったく反対の原因に求め
たわけだ。

 林業家vs自然保護運動家プラス文化庁の争いである。文化庁は、
カモシカを特別天然記念物に指定した当事者だから増えたと認めな
いのである。林野庁はどっちつかずだったと記憶する。

 あの論争はどんな結末を見たのか。

 現在、登山をする人なら、ニホンカモシカを見たことがある人は
結構多いのではないか。いや、地域によっては車で林道を走るだけ
で目撃できる。あきらかにカモシカは増えていると実感する。また
ニホンジカやエゾジカの増加も目立つ。シカは、人工林の苗だけで
なく天然林でも下草を食べ尽くし、樹肌を剥いで食べる。そのため
枯れてしまう木も多く、カモシカ以上の食害を出している。

 今では、カモシカもシカも増えたと認められている。30年前の論
争の決着したようだ。

 なぜ、誤解が起きたのか。野生動物を殺したくないという感情的
な思いが背景にあるにしても、生息数の推定に問題があることも一
因だろう。

 最近は餌を仕掛けて近寄ったクマの毛を有刺鉄線で採取して、D
NA鑑定する手法が持ち込まれた。これは個体識別が確実だ。これ
を行った岩手県では、それまでの推定数の2倍以上が確認された。
罠にに近づかない個体も相当数いるはずだから、本来の生息数は少
なくても4倍に達するのではないかと言われている。

 また山に餌が少ないという説も否定的だ。コナラやクリなど実の
なる樹木は里山に十分にあるし、人工林も放棄が進んで広葉樹が増
えているのだ。ドングリは落葉広葉樹だけでなく照葉樹も実らせる。
また草の実も多い。そもそもクマは雑食性だから、木の実のほか山
菜やタケノコ、野イチゴなどを喜んで食べる。さらにアリなどの昆
虫や魚も好物だ。忘れがちだが、山にシカやカモシカその他の獣が
増えているなら、当然餌の対象にしているだろう。弱い個体を襲う
例は各地で報告されている。また死骸をあさる可能性も指摘される。

 では、なぜ人里に出てくるのか。おそらく人里に美味しい餌があ
ることを覚えたからだろう。人間がつくった野菜や果樹は美味しい。
養魚池の魚、養鶏場のニワトリもご馳走だ。味は、おそらくゴミを
漁ることで覚えたのだろう。餌が十分にあれば、数は増える。

https://news.yahoo.co.jp/byline/tanakaatsuo/20130820-00027379/
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 最後はその「生息数の確認」での苦労話です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■ニホンジカの生息数推定で大失敗(>_<)

 前回も書きましたが、ニホンジカの特徴は、山奥にいても問題が
あるという点。

 木の皮を食べられると材木として使えなくなりますし、下草を食
い尽くして山が丸裸になり、土砂崩れの原因となります。

 なので、特定の群れを狙い撃てばいいニホンザルと違って、全体
の頭数を減少させる必要があります。

 ニホンジカは、捕獲しなければ年28%増加します。ある年の生息、
数がα頭、その年の捕獲数がβ頭とすると、翌年の生息数γ頭は、
次の計算式で推計できます。

 γ=(α−β)×1.28

 生息頭数を減少させるというのは、α>γ ということですから、

 α>(α−β)×1.28

 変形して、β>0.22α。つまり、生息頭数αの22%以上を捕獲す
れば、生息数は減少に向かうことになります。

 実際はこんな単純ではなく、捕獲するのがオスかメスか、繁殖期
前か後かで違いますし、気候による自然変動もありますが、ざっく
りした理解としてはこんなもん。

 22%が増加と減少の分水嶺なら、余裕を見て30%が目標! 簡単
ですね。

 しかし、ここで1つの問題が。捕獲目標は生息頭数αの30%とし
て、じゃあαの正確な数字はいくつなの?という点。

 今回は、このシカの生息頭数αの推計で大失敗をやらかした、と
いうお話。

 動物の生息数の推計方法は、動物の種類ごとに違います。

 例えば、大きなねぐらにかたまって住む鳥は、一斉に飛ぶ瞬間
(朝or夕方)に、昔の紅白歌合戦での野鳥の会のように1羽1羽カ
ウンターで数えます。

 群れで暮らすニホンザルは、群れの移動範囲を特定し、これも個
々の群れの1頭1頭をカウントします。

 しかし、群れを形成せず、山の中で散らばって暮らすニホンジカ
の場合、全数を1頭1頭数えるわけにはいきません。

 私は県庁に赴任した直後、担当者にニホンジカ生息数の推計方法
を聞きました。

 担当者の答は、「糞塊密度の調査結果をもとに推計しています」。

 次に、「糞塊密度の調査」とはどうやっているかを聞きました。

 県内を5キロ四方の101区画に区切り、そのうち39区画の山の稜
線を数キロメートルずつ歩き、中心線から両幅1m以内のニホンジ
カの糞を数えるという調査で、同じ地点で毎年行っているとのこと。
調査するのは県職員ではなく専門のコンサル。

 ここまで聞いての印象は、かなり信頼できそうというもの。

 糞の数という客観性の高いデータを使っているし、調査地点も十
分多いし、調査員は専門家で信頼性が高いし、毎年やっていて年ご
とのゆらぎも補正できているし。

 糞の数を生息密度に換算する係数を掛けているのだろうから、そ
の係数に若干のずれはあるとしても2〜3割、大きく見積もっても
5割では収まるだろう。

 この方法で推計した平成22年度の生息数は26,000頭。捕獲数は9,
600頭。

 生息数の22%、26,000×0.22=5,700頭の捕獲で生息数は変化し
ない。

 9,600÷5,700=1.68 なので、生息数の推定が7割ずれてなけれ
ば大丈夫。

 さらに、捕獲9,600頭に占めるメスの割合が6割であることを加
味すると、9,600×0.6÷5,700×2=2.02 で、2倍まで大丈夫。

 2倍まで大丈夫なら、まあ盤石だろう。そう考えました。しかし
それが甘かった。

 赴任から1年半が経って、生息数の推定を見直す時期がやってき
ました。見直しは3年に1回やっています。

 見直した数字はあちこちに説明しないといけないので、推計方法
を計算式の細部まで勉強しとかないとと思い、改めて担当者に質問。

 しかし、担当者は異動で代わってしまい、新担当者は要領を得な
い。「糞塊密度の調査結果をもとに」「糞塊密度の調査はこういう
方法で」。

 いや、それは知ってるから、39か所の調査結果をどうやって数値
化し、それにどういう係数を掛けてるかが知りたいんだけど。

 コンサルに電話で聞いてもらうものの、「調査結果の経年変化を
グラフに落として比較……」「妊娠率、死亡率、オスメス比のパラ
メータを加味して……」。

 わからん。もうコンサルの人に来てもらって、直接説明してもら
おうよ。

 コンサルの人に来てもらって、推計の手順を長々と説明してもら
うものの、まだよく分からない。

 これは自分の頭が悪いせい。

 こういうとき、研究者に「要するにどういうことですか」と聞い
ても、求める答は得られません。全部の説明を聞いて、自分なりに
咀嚼して要約するしかありません。

 頭のいい研究者は、私のような頭の悪い人間が何がわからないの
かがわからないのです。

 自分なりに要約するうちに、恐ろしいことに気づく。要するにこ
ういうこと?

・糞塊密度の数字と生息「数」に直接の関係はなく、糞塊調査では
年ごとの増加「率」がわかるだけ

・その増加率と自然増加率28%の差分が捕獲数によるものと仮定し
て、捕獲数を増加率の差で割って生息数を逆算する

 イメージで言うと、年間捕獲数が5,000頭である中で、糞塊密度
が年10%の割合で増加していれば、自然増加率28%と10%との差18
%が捕獲数に相当するのだから、5,000÷(0.28−0.1)=28,000頭
が推定生息数。

 えええええぇ? そういうことなのっっっっっ?

 そんな仮定を置いての割り算が入るプロセスなら簡単に数字がず
れちゃうし、糞塊の数と生息数に直接の関係がないんだから、デー
タが毎年蓄積しても間違いに気づきようがないってことじゃん。

 これだと、直感的には推定生息数が2倍以上ずれてもおかしくな
い。

 お願いだから、そんなことになりませんように………。

 そして数か月後に出た運命の推定結果は、47,000〜67,000頭。

 もとの推定、26,000頭に比べて、1.81〜2.58倍。

 おおおおおぉ、やられたあああああぁ。

https://ameblo.jp/georgemallory/entry-11159470850.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 この著者は現在は霞が関にいる官僚だそうですが、県庁出向時の
失敗談です。

 でも、本当の生息数はもっと多いのだと思います。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 このところ体調がますます悪くて、まだ残された時間は十分ある
と思っていたのも考えなおさないといけないようです。

 私は自分のドメインを保持していて、レンタルサーバー上にサイ
トを作っています。引続き利用するなら、年に一度お金を支払うだ
けなのですが、幕引きとなると面倒そうです。

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