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--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
--------------------------------------96号--2001.09.09------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「あじの開き・着色料(Q&A)」
「酸とアルカリ」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 以前、酸性の食べ物、についてメールをいただいた方から、追加
のメールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 なるほど、胃酸ほど、酸性が強いものはないのですね。

 では、胃酸を中和するほどのアルカリ性食品もないでしょうか?

 つい最近、市販で売っているアルカリイオン水をかってきて飲ん
でいるんですがそれを、お医者さんに話したら「気休めにしかなら
ないね、それでは追いつかない。」と言われてしまいました。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 それに対する私の返信です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 ラーメンに使われている「かんすい」というのはかなり強力で、
お酒を飲んだあと、ラーメンをよく食べたくなるのですが、胃酸を
中和してしまって、非常に長時間、ラーメンは胃の中にたまってい
るようです。(きたない話ですが、吐いたりしたときによくわかり
ます。)

 こういうアルカリの強いものは、子供にはよくないと思います。

 一般に、食べ物はほとんど酸性を示します。アルカリ性のものは、
「えぐみ」があって、あまり美味しくないのです。これはアルカリ
性の食べ物が一般に要注意であるから、味覚としては否定的な感覚
を持つようになった、といえるかも知れません。

 ということで、アルカリ性の強いものを食べすぎると、胃酸を中
和して、却って気持ち悪くなると思います。

 胃酸は細菌などの侵入には、非常に効果的なバリアーになってい
ます。胃酸が中和された状態はそういう意味では危険でしょうね。
(強力な制酸剤なども、用法を誤ると同じように危険と思います。)

 アルカリイオン水については、お医者さんのいうとおり、気休め
以上のものではないと思います。

 本当にアルカリが強かったら、飲めたものではありませんし、飲
める程度であれば、特段の効果はないでしょう。

 ミネラル分(カルシウム・・)は水中では陽イオンになっていて、
アルカリ性を示すのですが、アルカリイオン水でこれらのミネラル
を補給する、などということは、無意味だと思います。

 まあ、美味しく飲めるのなら、水分の補給という効果はあるでし
ょうね。年齢がいってくると、水分の補給というのは、大事ですの
で、水は飲めるだけ飲むようにしたほうが良いです。

 私もそうしているのですが、なかなか追いつきません。若い頃の
ように、喉がかわかなくなっているようです。仕事中はなるべくお
茶を飲むようにしているのですが・・。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ということで、今回の「食べ物情報」では、「酸とアルカリ」に
ついて取り上げます。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.あじの干物の賞味期限はどのくらいでしょうか?5日間ほど冷
蔵庫のチルドルームに入れっぱなしで慌てて冷凍しました。食べれ
るのでしょうか?ちなみに賞味期限は書いてませんでした。

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A.魚の干物は普通、流通時には冷凍されています。自然解凍して、
冷蔵して売られていますが、冷凍してあったものでも、品質はさほ
ど変わらないようです。

 賞味期限が書いてあるものでも、箱入りの状態から、小売り用に
小分けされた時を基準にして、期限をきっていますので、製造時か
ら経過した日数などは不明のことが多いのです。

 干物はもともと保存食ですので、わりと長期間、保存できます。
何かの事情で濡らしたりしたら、急激に腐敗が進みますが、乾燥さ
せて冷蔵庫に入れておけば、そんなに急に悪くならないと思います。

 カビや細菌の繁殖があれば、眼で見てわかる変化があります。そ
れ以外の変化では、脂肪分が酸化してきて、全体に黄色っぽくなっ
てくることがあります。こうなれば、もうあきらめた方が良いでし
ょうね。

 以上のような外観の変化がなければ、食べても大丈夫と思います。

 もう一度冷凍されたようですが、自然解凍してみて、様子を見ら
れたらいかがでしょうか。

 冷凍時に、包装が充分でないと、一部硬くなっているところがあ
るかも知れません。また、上記のような色などの変化がないかどう
かも見てください。

 変化がなければ、よく火を通して、充分食べられると思います。

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Q.合成着色料と天然着色料の共通点と違いは何ですか?また、着
色料の実験をすると、緑茶の茶色い色が毛糸に残ってしまいました。
それは、なぜですか?

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A.着色料いうのは、基本的には「色素」です。

 こういう物質は、分子の構造自体が、「色」を持っています。色
がある、というのは、太陽の光の中の、特定の波長の光を反射する、
ということです。私たちはその特定の波長の光を「色」と認識しま
す。(余談ですが、他の動物では同じ物質でも、違った色に見える
ことが多いそうです。また、人間によっても、違うこともあります。)

 食べ物の中に、この着色料を入れると、食べ物全体が色がついて
見えます。目的としては、

(1)色がついていることに意味がある。
  (氷イチゴの赤色とか・・)

(2)本物の食べ物の色を再現する。
  (わさび大根で作った練わさびを緑色に着色するとか・・)

(3)美味しそうにみせたりして、売れるように考えた。
  (お菓子に色がついているのはそうなんでしょうね。)

などが考えられます。

 合成と天然の違いは、単に作り方の問題です。自然のものにも、
色々と色がついていますが、その色素を抽出したものが天然色素、
人工的に合成した色素が合成色素です。

 天然色素には分子構造まで分かっているものもありますし、もう
一つ定かではないものもあるようです。

 毒性については、やはり合成色素が不安がられますが、添加物と
して許可されているものはそんなに心配しなくても大丈夫でしょう。
天然色素は添加物として許可されていても、安全性のテストが充分
でないことが多いので、必ずしも安心、というわけではありません。

 全体的に見て、どちらもできれば避けた方が良いが、少しくらい
食べたからといって、健康に害があるというわけではない、といっ
た評価だと思います。

 色のついた物質のなかに毛糸を入れると、その色がつくのは当た
り前のことです。よく飲料(ファンタなんか)に毛糸を入れて、こ
んなに色がつきました、とやって見せるのですが、実は天然のジュ
ースでも色がつきます。

 着色料を使っていなくても、食べ物はみんな色がついています。
白いものはご飯、塩、砂糖、小麦粉、といったところですか。色の
ついた食べ物は必ず色素を含んでいます。

 毛糸のような物質はくっつくところが多いので、この色素が簡単
にくっつくんだと思います。これは着色料の使用とは無関係に、そ
の食べ物が色素を含んでいるかどうか、ということです。

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「酸とアルカリ」
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 小学校時代からおなじみの「酸とアルカリ」ですが、これがわか
ったようでわからない言葉ですね。

 「塩酸」「硫酸」「硝酸」などのように「酸」がつくものは酸性
だとわかりやすいのですが、名前をきいてもわからないものも多い
ですし・・。

 酸やアルカリが問題になるのは、普通、水溶液についてです。水
にとけないものも酸性だったりアルカリ性だったりするといいます
し、アルコールはそれ自体で酸である、などというわけのわからな
い話もありますが、その辺の難しいことは今回は取り上げません。

 PH(ペーハー)という言葉があります。これは酸・アルカリの
程度を示す指標で、0から14までの値をとります。ということは
7が中性ですね。

 7より数字が小さいと酸性、大きいとアルカリ性です。これは指
数をとったものですので、数字が一つ違えば、酸・アルカリの度合
いは一桁違ってきます。PH6と5はたいして違いませんが、3と
2では大違いです。

 水中の水素イオン濃度を指数で表現したものなのだそうですが、
この辺も省略・・。

 よく「酸性雨」と言いますが、雨の水は実はいつでも酸性です。
これは主に空気中の炭酸ガスが溶けているためです。「炭酸ガス」
の名のとおり、二酸化炭素は水に溶けると炭酸になるのです。

 しかし炭酸は弱い酸ですので、それほど酸性にはなりません。
空気中に窒素酸化物や硫黄酸化物が増えてくると、硝酸や硫酸のよ
うな強い酸ができてきます。これでPH5くらいより下の酸性の強
い雨を特に「酸性雨」というのです。

 これはもちろん、工場や発電所や自動車から排出された排気ガス
が原因です。

 ただ、これらの物質は地球内部からも火山活動などで出てきてい
ます。地球もだんだんと老化が進んでくると、海が硫酸や硝酸で酸
性になるときが来るんだそうです。

 「宇宙戦艦ヤマト」のガミラス星にあった硫酸の海というのは、
こうしてできたもので、ガミラス星は惑星の最も老化した姿だった
・・などという話もあります。

 食べ物でも、「酸性食品」とか「アルカリ性食品」とか、今でも
よく言われています。あれはこのPHの話とはちょっと違うようで
す。

 一部の例外を除いて、私たちが食べているものは、ほとんどが酸
性を示します。肉も魚も野菜も果物も、そのままではみんな酸性の
物質だと思って間違いありません。

 私たちの味覚は、アルカリ性のものは美味しく感じないらしい、
という話は上に書きました。

 それでは、「アルカリ性食品」というのは、何を云っているか、
というと、食品の分類の一つで、含まれているミネラルについて、
云っているのです。

 食品の栄養の大部分は、燃えて(酸化して)エネルギーになるも
のです。食品を実際に燃やして、あとに残る部分は栄養分析表では、
「灰分」などとなっています。この灰を水に溶かしたとき、酸性に
なるか、アルカリ性になるか、ということなのです。

 陽イオンになるミネラル(カルシウムやカリウム、ナトリウム)
を多く含んでいると溶液はアルカリ性になります。陰イオンになる
ミネラル(多くはリン)が多いと、酸性になるというわけです。

 実際はもっと簡略に、食品中のリンとカルシウムの比率だけで、
酸性食品、アルカリ性食品、と決めているようです。

 これは栄養学上、ミネラルバランスをとるために考えられたこと
のようで、どちらかに偏るとあまり良い食生活とは言えない、とい
うことです。

 さて、ここから、いろんな誤解やデマが生まれてきます。いろい
ろあるのですが、代表的には・・

(1)酸性食品を食べすぎると身体が酸性になって、健康を害する。
(2)血液が酸性になると、血の流れが悪くなって、健康を害する。
(3)砂糖は酸性食品である。
(4)アルカリイオン水は血液をアルカリ性に戻す効果がある。

 他にもいろいろあるでしょうが、まあ似たようなものです。いち
いち言うのも何ですが、これらは全部、事実ではありません。

 人間の身体は、部分的にはいろんなPHをとっています。「肌は
弱酸性」などというCMもありますね。

 一番肝心の血液のPHは厳密に決まっています。だいたい7.4
前後の、ごく僅かのアルカリ性になっているということです。

 糖尿病がひどくなると、実際に血液のPHが動くそうです。とこ
ろが実際には、血液が酸性になることはなくて、PH7.2を切っ
たあたりで昏睡状態になり、死んでしまうというから恐ろしい話で
す。

 「過呼吸症」というのがあって、ストレスなどで呼吸が過剰にな
ると、倒れてしまうのですが、あれは呼吸のしすぎで血液中の炭酸
ガスがなくなってしまい、PHがアルカリ側にずれることが原因な
んだそうです。対応としては、ビニール袋を口にあて、自分の吐い
た息をまた吸い込ませる・・というのはテレビでよくやっています。

 ということで、血液のPHは非常に厳密に守られていて、この異
常は生命の危機に直結しています。食べ物程度で血液が酸性になっ
ていたら、そこらじゅうが死体だらけということになります。

 だから、「血液が酸性になる」と言っただけで、もうこの話は眉
唾ものだと思った方が良いです。たとえテレビ番組で、偉そうな先
生が言っていても、です。(医者にも非常識な人はいますし、大学
教授といっても、学部が違えば素人以下だったりします。)

 ついでですが、砂糖が酸性食品だというのも、どうしてそんな話
が出てくるのか、理解に苦しみます。砂糖にはリンなんかは基本的
に含まれていないのは、分析表を見ればすぐにわかるはずなんです
が、イメージで決めているのでしょうね。

 もっとついでですが、食物の陰陽の区分などという話もあります。
○○は身体を冷やす・・などというのは、昔、そんなことを言った
人(陰陽道なんでしょうかね)があったらしいのです。

 ここから先は信仰の世界なので、あまり口をはさむのは失礼だと
思いますので、遠慮しておきます。

 水を電気分解して、酸性水とアルカリ性水に分ける、というのも
あります。

 水を電気分解したら酸素と水素になるのではないか、と思った人
はえらい。これが正解なのですが、この場合は水に塩分を加えて、
電圧をかけることで、塩分の電離した陽イオンと陰イオンとを分け
る、ということをしているらしいです。

 陽極の方には陰イオン(塩素イオンとか)が集まり、酸性水に、
陰極の方には陽イオン(カルシウムイオンとか)が集まり、アルカ
リ性水に、というわけです。

 アルカリ性水を美味しい、というのも理解しがたい味覚ですが、
(普通は美味しい水は少し酸性です。)まあ味覚の問題ですので、
文句を言うこともありません。

 酸性水はかなり強力な殺菌力があるので、食品加工方面で利用で
きるのではないか、という話もありました。最近、知ったことです
が、あの殺菌力は実は次亜塩素酸ソーダと同じものだ、ということ
で、なあんだ、と思ったところです。

 もやしの漂白に、次亜塩素酸ソーダを使います。タンクに溶液を
作って、そこにもやしを入れるのですが、そのもやし屋さんの手が
少し傷んでいるのを見せてもらったことがあります。あれ以来、次
亜塩素酸というのはぞっとしないですね。

 件の話では、卵の殻を酸性水で洗う、ということもあったのです
が、結局、次亜塩素酸ソーダ水で洗うのと同じだという訳です。

 実は、市販の卵で、次亜塩素酸ソーダで洗っているものもたくさ
んあります。食中毒を起こすよりは良いのでしょうが、もう少し違
う方法があれば、と思います。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 今年の夏は、ずいぶん暑かったように思います。(私は関西なの
で)東日本では、8月になると気温が低かったようですね。

 今年初めて、子供が遠方で暮らしたのですが、盛岡はずいぶん涼
しかったとのこと。夏になるとクーラーがどうとか言い出すかと思
っていたのですが、さすがに要らない、と言っていました。

 今年は久々に大腸菌O−157の食中毒事件があちこちで発生し
ました。埼玉でおこった最新の事件では、「和風キムチ」が原因だ
と報道されています。その前は「牛肉タタキ」というのもありまし
た。

 実に多種多様な加工食品が販売されているものだと、改めて実感
します。買ってきてから加熱せずに食べるものはやっぱり危険が伴
いますね。

 9月というのは実は食中毒の多い月です。何となく気温が下がっ
たから安心、と思わせておいて、じつはまだ細菌の繁殖には充分な
気温なんです。ご注意ください。
 
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--発行--渡辺--宏------- URL http://www.kenji.ne.jp/food/
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