安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>95号


-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/
--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
--------------------------------------95号--2001.09.02------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「界面活性剤(Q&A)」「サンマ」「そば」

------------------------------------------------------------
-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/
--〔話題〕--------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」の昆布のページに関して、本物の昆布屋さ
んからのコメントをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

>最低でも1年、さらに乾燥され、選別・整形なども、問屋で行わ
れます。

 選別、整形などは基本的に漁師さんが全てやります。それを袋詰
めにしたりするのはもちろん、問屋、小売屋です。

 選別、整形も問屋さんでやると言えばやりますが、問屋さんとい
うよりも私共のような小売屋で行います。

 また、最低でも1年さらに乾燥させるのはもちろん問屋さんです
が、すぐに売ってしまう昆布ももちろんあります。

 羅臼、真昆布などは温度、湿度など管理された場所で4年位寝か
したものが最高です。

>「日高昆布」は「早煮昆布」として、昆布巻や 煮物に用いられる、

 「早煮昆布」は日高昆布などを一回ボイルして乾燥させたものの
昆布の総称を言います。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 その昆布屋さんのサイト
http://www.jirochoya.com/

を見せてもらったら、北海道へ昆布漁に行ってきた、ということが
書いてあったので、質問をしてみました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 ところで、昆布漁に行って来られたとか。どんなものでしたか?

 私の若い頃、北海道の昆布漁のアルバイトに行った、という人の
ウワサを聞いたことがあります。

 大変な重労働だというウワサだったのですが、今でもそうなので
しょうか?

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 それに対しての返信です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 はい、今と昔と昆布漁の方法は全く変わっていません。ものすご
い重労働です。よく農業、漁業などの第一次産業の高齢化が言われ
ていますが、はっきり言いまして、ものすごい高齢化が進んでいま
す。

 そして、何が困るかと言えば、ズバリ「体力勝負」の世界では体
力が無ければ良い昆布が全く採れないという事です。今回私が乗っ
た船は40代後半の漁師さんですが、(これでも相当若いです)隣の
60代の船とでは昆布の量、質ともに歴然と差があります。

 さて、昆布漁は今が最盛期ですが、文字通り家族総出で朝5時か
らそれこそ寝るまで昆布とかかりきりです。

 昆布を採る→干場まで運搬→干す→しまう→干す→整形する→、
、、、。

 これが、毎日続きます。少しでも天気が悪くて乾燥が悪いとどん
どん仕事がたまっていきますので、漁がないからと言って仕事が無
いわけではなく、毎日はすさまじい状態です。

 漠然とした言い方ですが、とにかく重労働でしたよ!まあ、昆布
を売る者としては来年も再来年もまた行きますが何でもそうですが
「現場」というものはすごいですね!

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 昆布というのは海藻界のジャイアントなので、採取だけでも大変
なんでしょうね。その上、すぐに干してしまわないといけないので、
天候にも左右されるということです。

 以前、東北・北海道で冷害がおこった年、天候のせいで昆布が不
作だった、ということもありました。

 昆布を扱う商売だからといって、別に昆布漁に出掛ける必要はな
い、とは思いますが、こういうのって、私は好きですね。口ばっか
りどころか、自分の扱っている商品についての勉強もしない商売人
はぜひ見習って欲しいと思います。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

------------------------------------------------------------

Q.界面活性剤とはなんですか?台所用洗剤なんかも界面活性剤と
いうのではないんですか?

------------------------------------------------------------

A.そちらの方には深入りしたくなかったのですが・・(^_^X)

 水と油とは、性質が違うため、一緒に容器に入れても、混じりま
せん。振ってやっても、すぐに分離してしまいます。このとき、両
者の間にできる面が「界面」です。

 この界面に作用して、混ざってしまうようにするものが、「界面
活性剤」です。水と油に作用する界面活性剤の場合、一つの分子の
中に、水とくっつきやすい部分、油にくっつきやすい部分の両方が
あります。

 たとえば、代表的な界面活性剤である石けん(脂肪酸ナトリウム)
の場合、脂肪酸の骨格をつくる、炭素の鎖の部分は、油脂とほぼ同
じ性格をもち、ナトリウムと化合している部分は水と親和性があり
ます。

 こうした界面活性剤を入れて、混ぜてやると、水と油が混ざって
しまうのです。

 洗濯や食器洗いの場合、水溶性の汚れだけでしたら、水で洗えば
落ちるのですが、油性の汚れは水に溶けないので、なかなか落ちま
せん。

 そこで、界面活性剤を使って、油汚れを水に溶けるようにするの
です。これが洗剤の働きです。

 したがって、台所洗剤の主成分も、界面活性剤です。

 その他、工業の工程でも、食品の製造でも、あらゆる場面にこの
界面活性剤は使用されています。界面活性自体は毒性というわけで
はありませんが、あまり強い界面活性力は、生物にはよくありませ
ん。

 石けんの毒性というのは、ほとんどないのですが、濃い石けん水
中では、魚は生きていけません。

 これは界面活性の力が強すぎると、呼吸が困難になる、というこ
とが原因のようです。

 界面活性剤の種類は様々で、中には食品添加物として許可されて
いるものもあります。

 その辺の話はまた別の機会にさせていただきます。

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「サンマ」
------------------------------------------------------------

 サンマといえば秋の風物詩です。サンマは夏の北海道に始まって、
群の南下とともに産地が南に下ってきます。

 紀州和歌山はその最終の漁獲地で、新宮市には新宮出身の詩人、
佐藤春夫の有名な「秋刀魚の歌」の詩碑があります。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

     『秋刀魚の歌』

あはれ
秋風よ
情〔こころ〕あらば
伝へてよ 
――男ありて
今日の夕げに 
ひとりさんまを食ひて
思ひにふける と。

さんま、さんま、
そが上に青き蜜柑の酸〔す〕を
したたらせて
さんまを食ふはその男がふる里の
ならひなり。
そのならひを
あやしみ
なつかしみて女は
いくたびか青き蜜柑をもぎ来て
夕げにむかひけむ。
あはれ、人に捨てられんとする
人妻と
妻にそむかれたる男と食卓に
むかへば、
愛うすき父を持ちし女の児は
小さき箸をあやつりなやみつつ 
父ならぬ男に
さんまの
腸〔はら〕をくれむと
言ふにあらずや。

あはれ
秋風よ
汝こそは 見つらめ 
世のつねならぬ団欒〔まどい〕を。
いかに
秋風よ
いとせめて
証〔あかし〕せよ 
かの一ときの団欒〔まどい〕
ゆめに非ずと。

あはれ
秋風よ
情〔こころ〕あらば
伝へてよ、
夫を失はざりし妻と
父を失はざりし幼児〔おさなご〕
とに伝へてよ
―男ありて
今日の夕げに 
ひとりさんまを 
食ひて 涙を
ながす と。

さんま、さんま、
さんま苦いか
塩つぱいか。
そが上に熱き涙をしたたらせて
さんまを食ふは
いづこの里の
ならひぞや。
あはれ
げにそは
問はまほしくをかし。

http://village.infoweb.ne.jp/~fwif4861/haruo.htm より
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 さんま苦いかしょっぱいか……。サンマは夏の間、北の海でまる
まると肥り、秋になると産卵のために南下を始めます。

 8月に北海道で始まるサンマ漁でとれたサンマがそろそろ店に並
ぶころです。

 新サンマは脂がのって美味しいですが、だんだんと脂が抜けてき
ます。和歌山まで来ると、もう大分脂が抜けていて、南紀地方では
「サンマ寿司」というのが名物になっています。

 さんま寿司というのは押し寿司なので、脂がのっていないものの
方が美味しいそうです。サバでも、焼いて美味しいのは脂ののった
ノルウェー産のサバですが、キズシや押し鮨にするのは脂の少ない
国産のサバが良い、というのと同じですね。

 秋になるとサンマ、ということでつい買ってしまうのですが、ま
だ早いうちは昨年の冷凍ものが多いのです。少し小ぶりで、値段の
やすいサンマは、ほぼ冷凍ものと考えてよいと思います。

 ところが、新物のサンマでも、実は産地から消費地までの輸送は
冷凍で送られています。輸送時は冷凍トラックで運ぶのですが、市
場では普通の鮮魚と同じ扱いになり、店に並ぶころには鮮魚でとお
る訳です。

 冷凍のまま一年過ごしたものと違い、この程度の冷凍ですと、食
べてもまずわかりませんので、ほとんどのサンマが冷凍輸送された
ものといわれています。

 冷凍せずに輸送した、本当の生サンマを扱う、という話もあった
のですが、気持ちの点ではともかく、品質の面からは無理して冷蔵
のまま運んでも、別にメリットはないようでした。

 保管技術の進歩で、「鮮魚」といっても、このようなことが多く
なってきているようです。

 いずれにせよ、今年は美味しいサンマが安く食べられるようです。
私たちはうれしいのですが、漁業に従事している人にとっては、豊
漁が収入増加を意味しない、というのは非常に残念なことだと思い
ます。

 冷凍技術の進歩は、そういう意味では少しはこの価格変動の助け
になっているのでしょうが、冷凍保管のコストが大丈夫なのか、と
思うほど、冷凍サンマは安く売られているのも事実です。

 イワシ・サバ・サンマはいずれも代表的な大衆魚です。実はこれ
らの魚種は競合関係にあって、いずれかの魚種が増えている時は、
他が減っている、という話です。

 10年ほど前はイワシが大発生していて、大阪湾でもイワシがう
なるほどいたのですが、最近はさっぱり見なくなっています。

 イワシにかわって勢力を伸ばしているのがサンマです。その次が
サバの時代になり、あと2〜30年ほどするとまたイワシの時代が
来る、ということですが、私はどうも次のイワシの時代は見られな
いかもしれません。

 海の資源については、このようにまだまだよく分かっていないこ
とが多いのですね。

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「そば」
------------------------------------------------------------

 長野は行ったとき、戸隠高原では蕎麦の花が満開でした。写真を
とってきたので、以下のところにアップしておきます。

http://www.kenji.ne.jp/food/soba.html

 戸隠神社は山麓から山頂まで、いくつもあるのですが、そのうち
の「中社」の宿坊に泊まりました。神社のすぐ脇にあり、朝は6時
半から、神楽を見せてもらいました。

 周囲には何軒もそば屋さんがあり、そんな時間から手打ち蕎麦を
作っていました。

 戸隠高原では、食べるものは蕎麦、と決まっているようです。夏
休み最後の週末ということで、観光客も多く、昼には蕎麦屋さんの
前には行列ができていました。

 この行列というのを見ると、東京の文化圏なんだな、などと私は
思います。東京の人は行列することに慣れているというか、文句を
言わないというか……。

 現地でとれる蕎麦の量は大したものではないので、全部の蕎麦が
戸隠産の蕎麦というわけではないのでしょうが、蕎麦屋の裏に畑が
あって、「そば畑 花が咲きました」という看板が通りで出ていま
した。

 本当かな、と思って裏へ廻ると、結構広い蕎麦畑があり、満開の
花をつけていました。

 そばの花は1日しか開いていないそうですが、次々に咲くのでし
ょうね。

 信州大学農学部の「蕎麦」についてのサイトを紹介しておきます。
手打ちそばの作り方なんかを掲載しているところにも、ここから行
けますので、研究してみてください。
http://soba.shinshu-u.ac.jp/NewHomePage/default.html

--〔後記〕--------------------------------------------------

 「界面活性剤」について、というお便りをいただいてしまいまし
た。このメールマガジンは「食べ物情報」ですので、関係ないとい
えばないのですが、こうした話は出るだろうな、とは思っていまし
た。

 私も「石けん運動」というのには関わっていたことがあるので、
ちょっとひっかかりはあるのですが、自分の意見としてはちょっと
言いにくいところがあります。

 どうして言いにくいか、とかいう話も、いずれはしなければいけ
ないとは思っているのですが・・。

 こういう話に詳しい人の助け船を求めます。よろしくお願いしま
す。

------------------------------------------------------------
-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/
--95号--------------- e-mail why@kenji.ne.jp -------------
--発行--渡辺--宏------- URL http://www.kenji.ne.jp/food/
------------------------------------------------------------
------------------------------------------------------------
 購読者数1284名です。ご購読ありがとうございます。
------------------------------------------------------------
私あてのメールのあて先は、
why@kenji.ne.jp
私のホームページ(「安心!?食べ物情報」)は
http://www.kenji.ne.jp/food/ です。
バックナンバーもすべて、このページで読めます。
【まぐまぐ】
このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を
利用して発行しています。( http://www.mag2.com/ )
マガジンIDは21668です。
このメールマガジンの登録や解除は
http://www.kenji.ne.jp/food/food2.html へ。
-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/