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--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
--------------------------------------93号--2001.08.19------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」
「胃酸・化学調味料(Q&A)」「『有機農業』はインチキか?」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 前回の記事に関して、お便りをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 天然酵母でパンを焼いていた経験がある者より。
 
 酵母それ自体というよりはなく、天然かどうかは酵母を活性化す
るために与えているもの(えさ?)か、または酵母をすまわせてい
る場所(寝床?)が天然のものであると言う意味だと思っていまし
た。

 よくわからずに使っていたなんてのんきだったとは思いますが。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 以下は私の返信です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 そうですね。「天然酵母」を奨めている人の意見では、既存の生
イーストなどに対して、2つの面から批判しているようです。

 まず、酵母そのものについて、「天然」と「人工」とを分けてい
る人がいますが、これは全くの無知か詐欺かのどちらかです。

 「人工酵母」などというものが本当に作れたら、これはノーベル
賞級どころではない、世紀の大発明です。

 遺伝子がどうの、ゲノムだのクローンだのと偉そうに言っても、
生命の神秘はまだまだ人間の知識の及ぶところではありません。

 たとえ細菌一つでも、人間の力では生命を合成することは不可能
なことだからです。

 あとは培地の問題で、市販の生イーストなどに、添加物が使われ
ている、というニュアンスの批判があります。

 私は市販のイーストに使われている添加物については、よくわか
らないのですが、「天然酵母」にはどういうものが使われているの
か、または使われていないのか、ということもわかりません。

 その辺で、納得できるような説明があれば良いのですが、私は聞
いたことがないです。(少なくとも、普通の生イーストに、有害な
添加物が使われているということはないと思います。)

 一番有名な「ホシノ天然酵母」は要するにドライイーストのよう
です。粗悪なドライイーストといったところでしょうか。

 それなりの個性はあるのでしょうが、普通の生イーストの方が安
全性は高いと思います。

 自分でパン種を保存しておいて使用するのは、「天然酵母」とい
う名に関してはふさわしいものと思います。

 ただ、この過程での微生物の管理は、素人の手に負えるものでは
ないと思いますので、安全性ということを考えるなら、お勧めでき
ません。

 微生物を培養して、望むものだけが繁殖し、有害な微生物が繁殖
しないように管理する、というのは、極めて困難です。危険な微生
物が発生する場合がありますので、やめた方が良いと思います。

 というところが私のいつも言っている批判点です。添加物の問題
などで、情報がありましたら、教えてください。それでは。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 それから、ちょっと旧聞に属するんですが、次のような記事があ
りました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 欧州連合(EU)の執行機関・欧州委員会(本部・ブリュッセル)
が日本での狂牛病の発生危険性について報告書をまとめようとした
ところ、日本政府の抗議を受け作成を断念していたことが分かった。
農水省が「必要以上に危険性が強調される」と警戒したためだが、
欧州委は48カ国について既に同様の報告を作っている。駐日欧州
委代表部のロイター公使参事官は「私の知る限り、政府の要請で作
成を中止したのは日本だけ」と述べた。

 欧州委が「日本でも狂牛病が発症する客観的可能性がある」との
非公式見解をまとめていたことはこれまでも分かっていたが、報告
書の断念が判明したのは初めて。

 日本では発生していないものの、96年まで英国から牛と羊の肉
骨粉などを輸入。輸入量は88年349トン、89年350トン、
90年262トンにのぼる。

 欧州委は発生危険性を4ランクに分けて評価しており、日本は危
険性が2番目に高い「3」だったという情報もある。

[毎日新聞7月1日] ( 2001-07-01-03:01 )
http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/831744/8bb68b8d95a-0-1.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 要するに、日本でも狂牛病の発生の可能性がある、というEUの
報告書の公表を日本政府が拒否した、ということのようでけす。

 相変わらずの役人の保身、ですね。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.胃酸がですぎて胃を痛める、ということがありますが。お酢な
どの酸性の強い食品も胃に悪いのでしょうか?

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A.胃酸というのは、主成分が塩酸でして、かなり強力な酸です。
「過食症」なんかで、食べたものを吐き続けたりすると、胃酸のた
めに歯が溶けてしまうほどです。

 胃の壁を作っている細胞は、この胃酸のために常に剥がれ落ちて
いるそうです。放射線を浴びてしまったとき、この胃壁の再生がで
きなくなるので、消化器系からやられていく、という話でした。

 胃酸と同じくらいの酸性の食品を食べるというのは、たぶん不可
能と思います。(口や食道の粘膜が持たないです。)

 で、美味しく食べられる範囲ならば、まず大丈夫かと思います。

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Q.化学調味料ってそもそもどうゆうものなのですか?

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A.平たく言うと「味の素」のことなんですが、正確に言おうとす
ると結構むずかしそうです。

 調味料には、砂糖・塩・醤油・みりん・・といろいろありますよ
ね。また、出汁をとる材料としての、鰹節、こんぶ・・などは、風
味調味料などと言ったりします。

 食品添加物としての「調味料」というときは、これらの材料を適
宜ブレンドして、食べ物の味を作るために使用しているものです。

 このとき、個別の化学物質名で表現できるほど、精製されたもの
を「化学調味料」というのが一番正確ではないかと思います。

 昆布からとった出汁を粉末にしただけなら、「昆布抽出物」です
が、その中のグルタミン酸ソーダだけを精製してあったら、「グル
タミン酸ソーダ」という化学調味料ということになります。

 実際に売られている「味の素」は、グルタミン酸生成菌が作った
グルタミン酸を精製したものです。結晶している純度の高いもので
すので、「化学」という名がぴったりですね。

 合成も可能なのですが、コストの点で細菌が作るものにかなわな
いようです。

 グルタミン酸ソーダ以外にも、「化学調味料」と呼べるものはあ
ります。ただ、どこから「化学調味料」と呼ぶかは微妙な問題です
ので、最近では「調味料(アミノ酸)」というような書き方をしま
す。

 グルタミン酸はアミノ酸の一種ですので、「調味料(アミノ酸)」
と書きますが、イノシン酸はアミノ酸ではありませんので、これを
使った場合は「調味料(アミノ酸等)」というように書きます。

 各種のエキス類やたんぱく加水分解物を使用した場合も、主成分
はアミノ酸なので、同じような書き方をします。この場合、ほとん
ど「調味料(アミノ酸等)」と表示されますので、「調味料(アミ
ノ酸)」という表示のときは、グルタミン酸ソーダだけのことが多
いようです。

 何しろ、グルタミン酸ソーダは最強の調味料ですので、非常にた
くさん使用されています。別に害というのはないのですが、安易な
使用による弊害はやっぱりあると思っています。

 したがって、「化学調味料に頼らずに作りました」というのは、
立派なセールスポイントになると思います。

 でも、「化学調味料は毒だ」というように言っていたら、あまり
信用しない方がよいでしょうね。問題が多いのは確かですが、決し
て毒ではありません。

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「有機農業」はインチキか?
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 前回紹介したお便りの以下の部分

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

インチキ健康食品(個人的には有機無農薬なんかもこれに入るかと)

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 に対して、反論などがあるかな、と思っていたのですが、ありま
せんでしたので、私からコメントを書きます。

 「有機無農薬」という言葉自体に少し混乱があります。

 20年ほど前に、私たちが「産直野菜」で「有機農業」と言った
とき、この「有機」の概念は今とはずいぶん違っていました。

 「土つくりを基礎にした農業によって、完全無農薬をめざす」と
いった感じで考えられていたように思います。その意味で、この時
点では、「有機無農薬野菜」という言葉に違和感はありませんでし
た。

 ところが、実際には完全無農薬というのは難しく、実際は「無農
薬を目指しているが、まだ無農薬ではない」という状態だったと思
います。(もちろん例外はあります。)

 この「完全」という考え方に問題があったように思います。同じ
時期、ヨーロッパでは有機農業に関して、「完全」よりも「基準と
認証」という考え方がとられ、基準づくりがすすめられてきました。

 まず、「有機農業」とはどういうものかという基準を決め、その
基準にあっているかどうかを、第三者によって証明してもらう、と
いうやり方です。

 この基準はその後国際的に整備され、コーデックス委員会によっ
て、国際規格として定められています。

 日本でも、今年から、「有機農産物」に関して、JASの規格が
適用されるようになり、今までのように勝手に「有機」を名乗るこ
とはできなくなりました。

 これは国際的な有機農産物の規格に合わせる、という方向で決定
されたことです。

 よく誤解されているのですが、この「有機」認証農産物は、決し
て「無農薬」ということではありません。

 「有機」規格では、使用してもよい農薬が定められていて、この
リストの中のものなら、使用してもかまわないのです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

農薬基準

除虫菊乳剤(除虫菊から抽出したものであること。)
デリス乳剤
デリス粉
デリス粉剤
なたね油乳剤
マシン油エアゾル
マシン油乳剤
硫黄くん煙剤
硫黄粉剤
硫黄・銅水和剤
水和硫黄剤
シイタケ菌糸体抽出物液剤
炭酸水素ナトリウム水溶剤
炭酸水素ナトリウム・銅水和剤
銅水和剤
銅粉剤
硫酸銅ボルドー剤(調製用に使用する場合に限ること。)
生石灰ボルドー剤(調製用に使用する場合に限ること。)
液化窒素剤
天敵等生物農薬及び生物農薬製
剤性フェロモン剤
誘引剤
忌避剤
クロレラ抽出物液剤
混合生薬抽出物液剤
カゼイン石灰(展着剤として使用する場合に限ること。)
パラフィン(展着剤として使用する場合に限ること。)

(有機JAS・別表2より)
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 このリストにはいろいろと批判もあるようですが、ここにある農
薬を使ってもOKです。使ったことは記録しなくてはいけないので
しょうが。

 それに対して、「無農薬」を称しているものは、先程の「完全無
農薬」を目指しているもの、という意味なのでしょうが、事実とし
てはそれを証明する手段を持っていません。

 勝手に「無農薬」を称しても、まずバレる心配はありませんので、
「無農薬」という表示は額面通り信用できないと思います。

 この辺、日本風と欧米風の考え方の差、というように私は考えて
います。

 日本風の考えでは、まずタテマエとしての「無農薬」があり、実
際の現場で、無農薬では生産できないときは、実は現場の裁量にま
かせる、という方に流れていきます。

 その場合でも、報告や認証の作業は誰もしませんので、知ってい
るのは現場の人間だけ、ということにてります。

 欧米風の考え方では、農薬を使ったかどうかよりも、何を使った
か(また使わなかったか)を証明していくことが大切だと考えます。

 従って、使わざるを得ない農薬については、あらかじめ使って良
い、と決めておくのです。(フランスでは、ブドウだけに使える農
薬があったりします。)

 現在、使って良いとされている農薬の選定の基準には、いろいろ
とおかしいところがあり、まだまだ改善すべきだとは思いますが、
基本的な考え方は上記のとおりだと思います。

 私はもちろん、後者の考え方を正しいと思っていますので、「無
農薬」表示のものは信用できない、という点で、「インチキ健康食
品(個人的には有機無農薬なんかもこれに入るかと)」ということに
は一部同感です。

 昔話ですが、私が産直で出入りしていた農家の近所には、さる大
生協に出荷している、共同出荷組織がありました。

 ここは「無農薬」と言っているわけではないのですが、「農薬を
あまり使わない、安全な産直野菜」などとは言っていました。

 ところがこれが真っ赤な嘘で、そういう宣伝を真に受けて、農薬
を使用しないで、見てくれの悪くなったみかんを出荷すると、怒ら
れてしまうのです。「ちゃんと農薬を使え」というわけです。(も
ちろん、消費者には内緒です。)

 注文量に出荷量が足りないと、一般市場向けの野菜を買いつけた
り、ということも平気でしていました。

 だまされていた消費者にはお気の毒ですが、こういうこともやは
り自己責任ということになりますので、自分の眼で確かめてみるこ
とをお勧めします。

 「有機」認証をうたっている農作物であれば、請求すれば認証の
根拠となっている書類をみせてもらうことができると思います。こ
のために膨大な書類をこしらえているのですから、ここで情報を公
開できないところがあれば、やはりインチキと考えた方が良いと思
います。

 ただし、コピー代などの費用を請求されたときは、たとえ高額で
あっても支払うべきなのは、言うまでもありません。そういう負担
をする気がない人は、だまされていた方が幸せというものです。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 「狂牛病」でインターネット検索していたら、スイス政府がこう
いうことを言っていました。

 「スイスが北朝鮮に供与している牛肉は、狂牛病とは関係のない
市販できる肉である。」というのです。

 これはもちろん、ドイツが狂牛病の疑いがあって市販できない牛
肉を北朝鮮に無償援助物資として送ったことに関連しています。

 以前からスイス政府が北朝鮮に送っていた牛肉も、ドイツと同じ
ようなものではないか、と疑われたことに怒っているのです。

 とか言っているうちに、日本でも狂牛病の原因となる可能性があ
る牛や羊の肉骨粉が入ってきていた、というのには驚きました。

 また、牛丼の安売りが話題になっていますが、そのためにアメリ
カ産冷凍牛肉がキロあたり300円から、400円くらいに値上が
りしたという話もありました。鶏肉よりも安い・・。

 世界は狭くなったものですが、なんだかやばそうな話がいっぱい
ですね。

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--発行--渡辺--宏------- URL http://www.kenji.ne.jp/food/
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