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--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
--------------------------------------92号--2001.08.12------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「青刈り」「いただいたメール」
「納豆・冷凍食品・生しいたけ・ベビーフード(Q&A)」「酵母」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 毎日暑い日が続いています。水不足などといっていますが、米は
今年も豊作の見通しのようです。

 昨年、減反しきれない文を「需給調整水田」として指定し、豊作
の場合はその水田の米は出荷しない(不作のときだけ出荷できる)
という制度ができましたが、最初から出荷できそうもないようです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

◆青刈り対象3万1千ha

 8月6日、米情報委員会の作柄部会が開催され、需給調整水田が
発動された。

 作況103の豊作に対応出きるよう12年産作付面積の一律3%
をめどに各県配分されていたもので、配置した5万haのうち、す
でに転作として取り組まれている特別調整水田1万9千haを除く
3万1千haが青刈り対象。

 各県はそれぞれの判断で8日から31日までに主体的に取り組む
が、青刈りの適期は出穂後1〜2週間で、適期を経過した場合はエ
サ米処理などの対応となる。

 また、秋田のように事前に青刈りを行わず、エサ米処理方針を決
めているところもある。青刈りは、10a当たり最高8万3千円が
助成される。

http://www.japan-rice.com/news.htm より
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 10aというのは約1反ですから、1俵1万円ちょっとにしかな
らないこのごろの米価からすると、まずまずの保証なんでしょうか。

 初めから、米なんか作らずに他のものにすれば良いのに、もった
いない話だと、私は思います。

 さて、遺伝子組換え作物について、ご意見をメールでいただきま
した。この方は89号でも紹介した,大学院生の方です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

>消費者にとってメリットが無い(見えにくい)点について

 確かに現状では遺伝子組み換えを採用しても消費者にとって特に
メリットがないように見えます。ただ、例え消費者にメリットが無
いとしても、生産者にはメリットがあるという点を軽視すべきでは
ないと思うのです。

 また、農家は私たちにとっては生産者である一方で種苗会社にと
っては消費者であるという面があります。品質(味、収量、安全性)
には変わりなく、病気や除草剤に強い作物があれば農家としてはそ
ちらを選ぶのが当然です。

 そもそも品種改良によって病害虫に強い作物を作る試みは昔から
行われてきていますが、これだって消費者にとってメリットはなか
ったわけですから、遺伝子組み換えに限ってこの点を批判するのは
おかしいと思います。

 消費者にとってわかりやすいメリットがあるものとして私が真っ
先に思いつくものは味をよくした作物ですが、残念ながら実用化に
足るものはまだ出来ていません。今後に期待ですね。

 栄養価を高めた遺伝子組み換えについては、飢餓に悩む地域でビ
タミンを増加したイネ「ゴールデンライス」の導入が試みられてい
ます。成功すると失明する子供の数を減らせるということで、これ
には少し期待しています。

 ただ、この日本で「低アレルゲン」「免疫力増進」等の遺伝子組
み換えを開発しても、渡辺さんがおっしゃるような一部の健康志向
者に媚びたインチキ健康食品(個人的には有機無農薬なんかもこれ
に入るかと)と大差ないものになってしまう可能性もあります。

 遺伝子組み換えを消費者に認めてもらうことには貢献できるかも
しれませんが、遺伝子組み換えの本当のよさを伝えることになるの
かというと疑問があります。

>研究者の声が消費者に届くように…

 これは耳が痛いところです。日本には遺伝子組み換え作物の「生
産者」は基本的には存在せず外国から望まずして入ってくるのが現
状なため、遺伝子組み換えを推進して直接的にメリットのある人は
いないのです(反遺伝子組み換えの風潮によって損害を受ける人/
団体はいますが)。

 ですから反対派の活動には組織的なものが多いですが、賛成派は
個人的に発言している研究者等がほとんどで、数も少数です。現状
を憂慮する研究者、食品関連の従事者は大勢いるのですが、前面に
立って賛成を唱えても熱狂的な反対派とのいざこざで貴重な研究時
間を割かれでもしたらかなわないということで、どうしても消極的
になってしまうようです(かくいう私も掲示板やこのような場で匿
名発言する以上のことはなかなかできないです)。

 でも最近は積極的に消費者に正しい情報を伝えようとがんばって
おられる研究者もいて、勇気付けられています。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 この他にも、ご意見をお待ちしています。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.納豆が体に良いと知りましたが、関西人の私としては、どうし
ても食べれません。ニオイが・・・。

納豆の粉末という、商品があるのですが、栄養は、変わらないので
しょうか?あのネバネバが体に良さそうなので。

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A.納豆を乾燥したものなのでしょうね。栄養素としてはあまり変
わらないような気がします。

 世界の各国には、それぞれいろんな伝統料理があります。それら
の中には、「身体に良い」と言われるものも、たくさんあります。

 その国の人はそれを自慢して、他の人にも奨めるのですが、違う
文化で育った人には、なかなか受け入れられにくい処があります。
試してみて気に入ればよし、気に入らないなら無視するでしょうね。

 納豆もそれと同じです。納豆が栄養的に優れた食べ物である、と
いうのは本当だと思いますが、別に薬のように効果がある、という
ものではありません。

 食わず嫌いであれば、一度挑戦してみるのが良いと思います。そ
れで気に入らない場合は無理して食べる必要はないのでは・・。

 私も子供の頃には納豆なんか見たこともなくて、貸本屋のマンガ
に出てくる納豆を、「甘納豆」のことと思っていました。

 大人になって、本当の納豆を初めて見たときは、ちょっとショッ
クを受けました。

 当然、今まで食べられなかったのですが、最近、カップ入りの安
直なやつで、あまり臭いのしないのが売られていて、あれなら食べ
られないことはないようです。

 ということで、私としては無理して食べるほどのものではない、
という意見なのですが、いかがでしょうか。

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Q.輸入されている、生シイタケには、保存をよくするために防腐
剤を使っているという話を聞きました。本当でしょうか?

 これは、輸送方法が、船便で1週間以上かかるので、防腐剤を使
っているということなんですが・・・、。

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A.輸入食品監視業務ホームページ
http://www.mhlw.go.jp/topics/yunyu/tp0130-1.html
というところがあるのですが、ここでは輸入食品の検査報告をして
います。違反例を具体的にあげているのですが、「生しいたけ」は
見当たりませんでした。

 しいたけはほとんど中国から輸入されています。空輸されるもの
ばかりと思っていましたが、秋田港にも入荷はあるということなの
で、船便もあるようですね。中国から日本までは1週間もかかりま
せんが、通関などの手続きも含めると、それくらいかかることもあ
るかも知れません。

 全体としては、ほとんどが空輸されていますし、検査に引っかか
っていないようですので、ご質問の薬剤などの使用については、あ
ったとしても一部のことだと思います。

 また、生しいたけはセーフガード発動などという、政治問題にな
っています。

 もし、ご質問の件が事実でしたら、それを理由に輸入禁止すれば
良いだけの話ですから、たぶんそういうことはないでしょう。

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Q.テレビでチラッと聞いたのですが、冷凍食品には食品添加物が
含まれていないとのことでした。本当なのでしょうか?

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A.冷凍食品であっても、食品添加物の使用というのは、普通の食
品とは変わらないと思います。

 おっしゃっているのは、「防腐剤」のことではないでしょうか。
冷凍食品は製造後から食べる直前まで、冷凍されているのが前提で
す。

 防腐剤は無意味ですので、使っているものはないと思います。

 パッケージに「防腐剤無添加」と書いてあるものを見たことがあ
りますが、これはちょっと(笑)でした。

 素材でも、冷凍されていれば防腐剤は必要ありません。冷凍すり
身(かまぼこの原料)に防腐剤が使われている、と騒いでいた人が
ありましたが、それはソルビン酸(防腐剤)とソルビトール(糖ア
ルコール)とが区別できなかったんですね。

 ということで、「冷凍食品には防腐剤は使われていない」という
ことだと思います。

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Q.はじめまして。1歳4ヶ月の娘を持つワーキングマザーです。
平日は時間に追われ、子供のおかずもほとんどベビーフードに頼っ
ています。M社やQ社のレトルトパウチのベビーフードをいつも利
用しているのですが、ふと、こんなに毎日このようなものを食べさ
せていて大丈夫なのかな?と不安に思ってしまいました。ベビーフ
ードの安全性ってどうなのでしょうか?

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A.栄養的には問題ないと思いますよ。安全性の方も、昔ベビーフ
ードの原料を放射線殺菌していた、という事件がありましたが、こ
れは要求される安全レベルが高いため、という面があります。

 いろんな面から見て、手作りのものより安心でしょう。

 それでは手作りはダメかというと、決してそんなことはありませ
ん。これからだんだんと普通の食事に変っていくのに、手作りの食
事を与えていると、非常にスムースにいくと思います。

 私のところでは、まだベビーフードなどが普及する前でしたが、
上の子のときは凝った離乳食を作っていました。(育児休暇をとっ
たもので・・。)

 下の子のときは面倒なので、普通の食事を柔らかくしたりして、
与えていましたが、この方が結局良かったように思います。

 初めての子の時ははどうしてもいろいろと考えてしまいますが、
1歳過ぎればたいていのことは大丈夫だと思って、余裕をもって
子育てを楽しみたいものです。

 いろいろとたいへんでしょうが、頑張りすぎないようにしてく
ださいね。

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「酵母」
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 酵母という言葉は食べ物関係でよく聞きます。酵母とはどういう
ものか?という話です。

 パン酵母、ビール酵母、酵母エキス、などと、「酵母」がついた
言葉がありますが、「酵母(英語ではイースト)」というのは、細
菌よりもかなり大きな微生物です。

 生物の分類では、「真核生物」と「原核生物」との二つに大きく
別れます。「真核生物」が動物・植物を含む一般の生物で、細胞内
に「核」というところがあって、そこに遺伝子が含まれるので、こ
う言います。(核外遺伝子などというものもありますが。)

 「原核生物」というのは、要するに細菌類で、細菌の遺伝子は細
胞内のあちこちにある、という状態のようです。

 「真核生物」は動物と植物にわかれますが、最近はカビ・キノコ・
酵母などの「真菌類」は別に独立して分類するとのこと。

 ということで、酵母は細菌とは違います。学校では「単細胞生活
をするカビ」というように習った記憶があります。これはカビとは
近縁だけれども、多細胞生物であるカビとは違い、単細胞生物であ
る、と思っていました。

 でも、同じ種類でありながら、カビになったり、酵母になったり
するやつがいる、という話を聞いてびっくりしました。ほとんどの
酵母に、同じ遺伝子をもったカビが存在している、というのです。

 酵母は発芽といって、自分の身体の一部を切り離して増殖します。
したがって、無性生殖なんですが、カビやきのこは同じ真菌類でも、
普通は有性生殖をします。「カビの無性生殖世代」ということで良
いのでしょうか?

 さて、酵母の働きとしては、何といってもアルコール発酵があり
ます。これは酵母が糖を二酸化炭素とアルコールに分解する、とい
うことでエネルギーを取り出す、ということをするからです。

 できたアルコールは、私たちが酒としていただいています。パン
酵母の場合は、できた二酸化炭素のガスによって、パン生地が膨ら
む、というわけです。アルコールはもったいないですが、焼くとき
に蒸発してしまいます。

 日本酒の仕込みを見せてもらうと、酒母がブツブツと泡立って、
「湧いて」いるところを見せてもらえます。これは酵母が盛んに繁
殖して、炭酸ガスを出しているのですね。

 発酵の元になるから、「酵母」というのは、非常にわかりやすい
命名です。いかに酵母が人間の暮らしと密接に関係してきたか、と
いうことだと思います。酒好きの人は酵母に感謝しなければいけま
せん。

 「酒母」というのは、文字通り酒の元です。ワインやビールと違
って、日本酒では全部を一度に発酵させるわけではありません。ま
ず、少しだけ「酒母」をを作り、その後、何回かに分けて米を蒸し
たものと水を入れていきます。

 酒母の段階で味はほぼ決まってしまうものだそうです。こういう
凝った作り方をするのが日本酒の特徴なのですが、「三倍醸造」な
どという水増しが簡単にできてしまうという欠点もあります。

 これだけ米が余って困っているのに、「日本酒純粋法」が出て来
ないのは実に不思議です。酒造業界の圧力か?などと勘繰ってしま
います。(「日本酒純粋法」=米100%の所謂純米酒以外は日本
酒として認めないという法律。ドイツのビールやフランスのワイン
は同様の法律で厳しく規制されています。民族文化の誇り、という
やつですね。)

 用途によって、さまざまな酵母がありますが、アルコール発酵を
利用する酵母は、みんな「サッカロミセス・セレビジエ」という種
です。その中でいろんな品種があるわけです。

 ワインなどは昔はブドウの果皮に自然についている酵母で発酵さ
せていたようですが、今では純粋培養された、能力の高い酵母を使
います。

 日本酒などでは、酵母を変えると味も変わるそうで、米と水と酵
母の組合せでいろんな日本酒を作ることができます。

 酒の中には、当然、生きた酵母がたくさん含まれています。絞り
たてを飲むときは、酵母も一緒に飲んでしまいますが、貯蔵中に繁
殖されても困りますので、「火入れ」して酵母を殺してしまいます。

 この火入れをしないのが「生酒」で、貯蔵前には火入れをせずに
低温で貯蔵し、出荷時に火入れするのが「生貯蔵酒」です。

 生ビールは加熱のかわりに、フィルターで微生物を取り除く、と
いうことで生なのに保存性があります。昔の生ビールは本当に生で
したので、数日しかもたなかったのです。(私は休日前の売れ残り
生ビールをよくいただきました。)

 酵母はかなり大きいので、割と簡単に取り除けるようです。保存
性をよくするためには細菌まで取り除く必要があります。家庭用の
浄水器でも、能力の高いものは細菌も濾過できるので、浄水器の巨
大なものを想像しているのですが、私は見たことはありません。

 酵母エキスというと、薬なんかにもありますが、要するにこの濾
過した酵母のことなんでしょうね。(間違っていたらごめん)

 酵母は市販されています。家庭でパン用に使えるようにした酵母
には、「生イースト」と「ドライイースト」があります。

 生イーストはバターのような塊で売っています。あれは糖蜜(サ
トウキビの汁から砂糖を採った残り)の中に酵母を閉じ込めてある
んだそうです。

 ドライイーストは文字通り酵母を乾燥させたもの。酵母は死んだ
ふりをしているんでしょうね。

 どちらかというと、生イーストの方が使いやすい、ということで
すが、私にはよくわかりません。

 「天然酵母」というものも売られています。前にも書きましたが、
これはちょっとインチキくさい。その理由は、

(1)「人工酵母」などというものはありません。(酵母とイース
ト菌が違うものだと思っている人は、だまされています。)

(2)人が培養した酵母を売っているわけですから、「天然」とい
うのはおかしい。

(3)概して普通の市販酵母より能力が劣ることを、「天然だから」
といいくるめる。

 などというところです。私は「自然食品」嗜好は別に間違ってい
るとは思いませんし、それに近い商品を扱っていた経験もあります。
でも、「天然酵母」などということをいう人たちとはつきあいたく
なかったですね。(一事が万事、ということで、こういう人に限っ
て、同様の詐欺に手も無く引っかかるのです。)

--〔後記〕--------------------------------------------------

 今回の「酵母」のネタ本は、以下のものです。

--〔読書日記〕----------------------------------------------

「カビ博士奮闘記」宮治 誠  講談社

 千葉大学真菌医学研究センターの前所長である著者=カビ博士が
カビについてのウンチクを傾けます。ここでいう「カビ」には、普
通のカビ(糸状菌)の他、キノコや酵母も含んだ真菌類全体をさし
ています。

 「カビによる病気」「危険なカビ」「有用なカビ」など、カビに
関する雑学がいっぱい。

お勧め度☆☆☆☆
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 私のもう一つのメールマガジン「宮沢賢治 Kenji Review」では、
毎回、読んだ本を簡単に紹介していますが、これは次週の分です。
http://why.kenji.ne.jp/

 で、酵母の話は最後は例によって「天然酵母」の話になってしま
いました。どうも私はよっぽど「天然酵母」が嫌いなんですね。

 反論などもお待ちしていますので、よろしくお願いします。

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--92号--------------- e-mail why@kenji.ne.jp -------------
--発行--渡辺--宏------- URL http://www.kenji.ne.jp/food/
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