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--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
--------------------------------------90号--2001.07.29------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「賞味期限・多糖類・ウェットティッシュ」
「ビブリオ・バルニフィカス」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 前回の内容について、お便りをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 卵のサルモネラの件で少し情報をお知らせします。

 アメリカでは卵に「十分加熱して食べるよう」警告表示をしてい
る(最近するようになった)と聞きました。でも、アメリカ在住の
方から質問が出されると言うことは、警告表示はしていないのかも
知れません。卵に万一サルモネラがいたとしても、数個レベルです
ので健康な人であればまずは大丈夫です。しかし、卵のサルモネラ
でサルモネラSE菌という種類はO157並みの少量で食中毒を起こ
します。厚生省(旧)は、幼児、高齢者、妊婦など免疫力の低い人
は「卵(うずら卵を含む)は十分加熱して食べる」ことを推奨して
います。

 ですので、アメリカはもちろん日本でも信頼できる管理をしてい
る卵以外は加熱して食べられた方が無難だと思います。健康な大人
ならめったなことはないと思いますが、小さい子供さんやご高齢の
方は生食は避けられたほうが良いと思います。

 それと、遺伝子組換え食品の件ですが

 まじめな研究者の方々が一部の感情的な反対運動によって迷惑し
ているのは理解できるのですが、今出回っている遺伝子組換え食品
はどうしても独占企業の利益だけのために開発されたとしか思えま
せん。

 消費者にとってメリットのないものです。(もしくは、メリット
が感じられない)生産者のとってはこんなメリットがある。消費者
にとってもこういうメリットがある。リスクはこの程度である。と
いう情報公開、もしくは広報が少なすぎて消費者は判断しようがな
いです。マスコミも正確な情報を発信できていないですし。

 遺伝子組換えは今後の食糧危機を救うひとつの手段かもしれませ
んが、それを言うなら一企業じゃなく国や世界レベルで共同研究し
ていくのが筋なのではと思います。今は、アメリカ、カナダなどの
遺伝子組換え研究先進国が「安全」と言い切り、その他の国が「ち
ょっと待った」と言っているような状況です。

 話がまとまりませんが、現状では消費者は別に遺伝子組換え食品
を食べたくて食べているわけではないのです。生産者だけの都合と
いうのは納得できません。

 オレイン酸が多い遺伝子組換え大豆が開発されていますが、これ
などは消費者の健康志向にのって「健康に良い遺伝子組換え大豆で
す。」と堂々と宣伝していくとかすれば、誤解も少しずつ解けてい
くのではないでしょうか。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 私としても、この辺のうさん臭さというか、一部の企業のしたい
放題というのはどうかな、という思いはあります。ただ、批判勢力
がヨーロッパの、明らかにアメリカと利害が対立している勢力なの
で、あまり一方に肩入れしても仕方ないような気もします。

 「健康志向」ということで、メーカーも消費者の嗜好を考慮せざ
るを得ない状況があります。ただ、私としては、それでいいのか、
と思いますね。

 消費者は神様なんでしょうが、随分と間違いの多い神様ですので、
その間違いを指摘する勇気を、メーカーには持ってほしいと思いま
す。インチキ健康食品がのさばっているのは、そういう意味でメー
カーにも責任がある、という意見です。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.普段,違和感を感じている賞味期限について質問します。

 ある加工食品の賞味期限が1年だったとします。これを製造する
のに使う原料が賞味期限の切れる1日前だったとします。これを使
って作った食品の賞味期限を1年とすることに問題はないのでしょ
うか?
 
 たとえば、加熱するような工程も入らず上にのせてあるだけのも
のなら,もともとの賞味期限は軽く越えてしまいますよね。加工度
の高い食品なら,原料の生産された時は十数年前だったりして。

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A.加工食品の原料は、加工品である場合と、生鮮品である場合が
あります。実はどちらも、いわゆる「賞味期限」はないと思います。

 これは、「賞味期限」というのは、消費者向けの情報であるから
です。

 生鮮品の場合は、全く賞味期限という概念はありません。

 加工品の場合は、業務用のものでも、「賞味期限」がついていま
すが、別にこの期限がきたら使えない、というわけではなく、あく
まで製造者の判断になります。

 賞味期限が残り少ないものであっても、(あるいは切れていても)
できた製品に問題がなければ、別に問題はありません。

 問題がないかどうか、まず判断するのは、製造者ですが、最終的
には、その商品の品質ということで、消費者が支持するかどうかで
決まります。

 いい加減な態度で、粗悪な原料を使ったものであれば、いくら安
く売っても支持されない、という現実があります。

 逆に、そのような原料であっても、製造技術でカバーして、評価
を得ることも可能です。

 一般に、まともなメーカーがまじめに作る、というのは、かなり
シビアに原料を吟味し、管理も徹底して行います。

 そのようなメーカーでは、逆に賞味期限などというものより、も
っと厳しい基準で原料を管理していると思います。

 もちろん、いい加減なメーカーもたくさんあります。その辺の見
極めは実は難しいですね。

 そういうところに限って、宣伝だけは上手だったりして・・。

 ということで、賞味期限というのはあくまで消費者向けの最終製
品になってからのことだということで理解しておいてよいと思いま
す。

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Q.多糖類の特色いわゆる健康にどのように役立つかその特色と種
類をより詳細に知りたいのですが。

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A.単糖類・・ブドウ糖、果糖、ガラクトース
二糖類・・麦芽糖、蔗糖、乳糖
オリゴ糖・・いろいろあるが天然物としてはほとんど存在しない
多糖類・・でんぷん、グリコーゲン、セルロース

 というのが一般の分類ですが、ご質問の多糖類というのは、「増
粘多糖類」というものだと思います。

 これは海藻などの植物から抽出したもので、上記の純粋に糖がた
くさんあつまったものとはちょっと違うものだと理解しています。

 これらはいろんな種類がありますが、だいたい消化吸収されない
ものです。したがって、生理活性もほとんどないと思います。

 いわゆる「食物繊維」といえますので、消化吸収されない分、役
に立っているとも言えます。俗にお腹がきれいになる、というやつ
ですね。

 全体に、たくさん食べると下痢をします。これはあたりまえです
か。

 食物繊維は大腸ガンを防ぐ、とよくいわれていましたが、最近、
大規模な実験をおこなった結果、有効だという結果は出なかった、
ということです。

 これは近年、消化吸収の良い食べ物が増えた結果、便の量が少な
くなり、その結果、大腸ガンが増えた、という話だったのです。

 ガンというのも、なかなか奥が深いですね。

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Q.ミューズなどの、除菌ができるウェットティッシュですが、効
果は、本当にあるのでしょうか?拭き取るだけで、汚れが落ちるの
か、疑問です。

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A.ウェットティッシュというのは、ティッシュに液体を染み込ま
せているものです。水だけだとべたべたするので、アルコールが入
っているのが普通だと思います。

 その他、殺菌剤が含まれているものが多くなってきているようで
す。殺菌剤としては、いわゆる逆性石けんである、塩化ベンザルコ
ニウムなどがあります。

 アルコールにも殺菌力がありますので、こうしたものを使ってい
るウェットティッシュで除菌ができる、という宣伝は別に嘘ではな
いでしょう。

 食中毒を防ぐためには、アルコールや殺菌剤による手洗いが有効
だ、ということは知られています。

 ただ、効果は限定的と思いますので、これさえ使えば安心、とい
うわけではありません。そういう意味では、おっしゃるとおりだと
思います。

 使用方法からして、ちょっと手を拭くときとか、汚れをみつけて
サッと拭く、とかいうことですので、殺菌力があるということには
違いありませんが、そんなもので完全に殺菌できるほど、甘くはな
いです。

 食品メーカーなんかがどんなに苦労しているかを考えると、拭く
だけで殺菌できる、などということを期待してはいけません。

 便利に使えて、殺菌力も少しはあるらしい・・。というところで
充分だと、私は思います。

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「食中毒」(追加)
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 最近、ビブリオ・バルニフィカスという最近による食中毒が問題
になっています。名前のとおり、腸炎ビブリオと同族なんですが、
非常に劇症の症状をおこし、致死率も高いので、俗名「人食い細菌」
などといわれています。

 どういう菌かというと・・。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 腸炎ビブリオやコレラ菌などと同じビブリオ科に属し、腸炎ビブ
リオ(Vibrio parahaemolyticus )と性状などで共通点も多いグラム
陰性桿菌です。ビブリオ・バルニフィカス(V. vulnificus )の名前
はこの菌が創傷(wound=vulnus)を起こすことに由来しています。主
に暖かい海水中の甲殻類や魚介類の表面や動物性プランクトンなど
に付着しつつ増殖し、周囲の海水中にも遊出します。2〜3%の塩
分濃度で良く増殖し、汚染された魚介類の摂取や皮膚の創傷などか
ら人に感染します。

 健常者では下痢や腹痛を起こすこともありますが、重症になるこ
とはほとんどありません。しかし、免疫力の低下している人や特に
肝硬変などの重大な肝臓疾患のある人なとでは注意が必要となりま
す。また、治療のために鉄剤の投与を受けている貧血患者も注意が
必要という指摘もあります。肝臓でのクリアランスの低下や、血清
鉄が細菌の病原性や増殖性を増すことなどから、細菌が血液中に侵
入し、数時間から1日の潜伏期の後、峰巣炎等の皮膚病変の拡大や、
発熱、悪寒、血圧の低下などの敗血症様症状を起こし、生命を脅か
すことがあります。この細菌が血行性に全身性感染をおこした場合、
致死率は50〜70%と非常に高くなります。

 我が国では刺身や寿司等の材料となる多くの魚介類の摂取が原因
となっていますので、肝臓障害をもつ当疾患に対するリスクの高い
人は、生の魚介類を控えた方が良いでしょう。一方、欧米での原因
の多くは、生牡蠣の摂取です。

 予防方法としては、肝臓障害をもつ当疾患に対するリスクの高い
人は、夏季に生牡蠣や十分調理されていない魚および貝類を食べな
いようにする。貝を煮るときには貝が開いてからも5分間、蒸す場
合には9分間以上の調理を行う。開かない貝は食べないようにする。
むき身の牡蠣は3分間以上ゆでるか、191℃で10分間以上油で
焼く。調理済みの食品が他の生の魚介類からの汚染を防ぐ(まな板
など)ようにする。調理したらすぐに食べるなどの点に注意が必要
です。

 創傷があるときは暖かい海水や汚れた水が、傷に付着するのを防
ぐなどの防御法をとることが必要となります。海岸や岩場で裸足で
歩いて貝の殻などで怪我をし感染したと思われる事例も過去にあり
ますので、ハイリスクの人は海岸での素足歩きは禁物です。

http://idsc.nih.go.jp/others/vvulni.html より
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 普通の人には別に何でもないんですが、肝臓などに問題がある場
合、致命的な症状を起こすようです。今年は早々と被害が出ていま
す。

 ビブリオ属の細菌は海水でも繁殖する好塩菌というタイプで、高
温も好むので、夏の海水中で活発に繁殖します。これからしばらく
は要注意、ということです。

 腸炎ビブリオは最もポピュラーな食中毒菌です。刺身を食べると
いうのは、このリスクがつきまとってくるのですが、幸いにして、
それほど重大な症状にはならないのが普通です。

 ビブリオ・バルニフィカスはこれとは違って、一旦発症すれば、
致命的なものです。特に皮膚に壊死が起こったりして、たいへんむ
ごい死にかたをします。(上記のサイトに写真があります。)

 別のサイトでは、「菌は増殖の過程で鉄分を必要とするため、鉄
分が菌にとられやすい肝硬変などの慢性的な肝疾患などの患者が感
染しやすいことが分かっている。」ということです。

 また、「酒飲み中年よ!気をつけよう!!このバクテリアは海水
の温度があがる夏季、ナマの魚介類から感染し、酒の飲み過ぎなど
で肝臓障害のある中年男性が感染しやすいということです。」とい
うことも書いてありました。

 う〜ん・・。「酒飲み中年」なんて、何だか人ごととはおもえま
せんね。お互い、ご用心、ご用心・・。

 やっぱり、食の安全ということからいうと、刺身はやめた方が良
い、ということなのでしょうね。

 日本人が魚をたくさん食べることは有名ですが、実はあれは近年
の傾向で、昔はそれほどでもなかったんだそうです。漁村などは例
外として、普通の農村に住んでいる人は昔は刺身なんか食べなかっ
たんだ、と言われると、そうだろうな、と思います。

 日本が豊かになって、コールドチェーンなどという流通システム
が完備した結果、どこでも、刺身で食べられる魚介類が手に入るよ
うになった、というのが真相のようです。

 そういえば昔は干物なんかが主だったんですよね。刺身は確かに
美味しいですが、たいへんリスクの高い食べ物です。これからしば
らく、こうした状況は続きますので、肝臓に心配のある人は特にご
用心ください。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 実は旅行に出ていまして、今、道後温泉からアクセスしています。

 昨日は山陽道から「しまなみ海道」を渡って四国に入りました。
瀬戸大橋や明石海峡大橋に比べて、小さい橋と思っていましたが、
実際に見てみると、やっぱり大きいです。特に世界最大の斜張橋で
ある多々羅大橋とタワーの林立する3連吊り橋の来島海峡大橋はな
かなかの見物でした。

 旅館の料理は魚ばかり、やっぱり刺身は美味しいですね。でも、
あのビブリオ・バルニフィカスの症状の写真はちょっとビビリまし
た。お酒は控えめに!

 今回もメールでご意見をいただきました。どうもありがとうござ
います。他の方のご意見もお待ちしています。

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