安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>876号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------876号--2016.08.21------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「ニュースから」「フードバンク」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 お盆休みとオリンピックで、ニュースも不作状態です。

 まずは水道水について、こんな事件がありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■農業用水が上水道に2カ月混入 愛知県、違法に配管接続

 愛知県は18日、同県豊橋市で、浄水処理されていない農業用水
が6月から2カ月間、上水道に混入していたと発表した。市内13
3戸に配水された恐れがあるが健康被害の報告はないという。県が
水道法に違反して農業用水の配管に水道管を接続していたのが原因。

 県と豊橋市によると、県農業総合試験場東三河農業研究所(同市)
が2004年、渇水対策として豊川から引いた農業用水の配管に水
道管を接続。今年6月10日、職員がバルブを閉め忘れ、農業用水
が水道に流れ込んだ。検針で異常が発覚する今月10日まで続いた。

 市によると、133戸への給水量の約4分の1が農業用水になっ
たとみられる。ただ、混入時も、塩素や濁りなど、国の水質基準は
満たしていたという。

http://www.asahi.com/articles/ASJ8L5476J8LOIPE00Y.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 何だか信じられないことが起こるものですね。こういうとんでも
ないことも起こり得る、ということを前提として、安全対策が必要
だということでしょう。

 次は何度か取り上げた「水素水」についての一句。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■水素水がワゴンセール行きになっているのを見て一句。

水素水 今や値段は 真水以下

 ほんの数か月前まで全米が感動するほどの熱狂ぶりとなり、信頼
がおけるようなスーパーやドラッグストア、生協にまで専用コーナ
ーが出来、科学的論拠は何もないにも関わらず大手企業も手を出し、
「効用があるって書いてないから別にいいじゃん」「お客が求めて
るから問題ない」として開き直ったり、化学的に問題があるような
化学式をパッケージに貼りつけて大いに笑いを誘った、噂の水素水。
実質的に真水なんだから、水分を補給できるとの観点では、絶対悪
の類ではなく、例えばEM菌を飲み干す云々と比べればマシという感
じではあったのだけど......。

 まぁ、いかにも効用があるような形で売りに出すのは、やはり問
題があるようで。消費者庁が本格的に動き出すのはいつになるのか
なと思っていたら、その前にブームが去った感はある。

 さすがにその場所の写真を撮るのははばかられたけど(店外展示
などで機会を得られれば撮るかもね)、かつて専用コーナーが創ら
れ、複数種類が置かれていた水素水が、いつのまにかワゴンセール
行きとなり、割引のシールが何重にも貼られている様相を見て、盛
者必衰というか定め的なものを覚えた次第。

 価格をよく見ると、いわゆるミネラルウォーターやお酒用の炭酸
水よりもはるかに安い。ほとんど容器代ぐらいじゃないかという感
じ。そこで上の句になった次第。

 まぁ、さらに値が下がるようなら、イメージカット用として数本
買って、写真を撮っておくのもありかもしれない。それ系の悪徳商
法の写真が必要な時には使えそうだ。

http://www.jgnn.net/ls/2016/08/post-13742.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 早くも人気低下、というより、たぶん作り過ぎです。健康食品を
売るにもそれなりのノウハウがあるのに、簡単に作れるものだから
新規参入が多すぎたということではないでしょうか。

 もちろん、簡単に作って売っているのはほぼインチキ商品ですか
ら、普通の水以下の値段になっても損はしていなかったりして。

 最後は外国の面白い?話題2件です。まずイタリアから。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■完全菜食主義を子どもに強要する親に禁錮刑を、イタリアで法案
提出

 イタリアの中道右派政党の国会議員が、子どもに「健全でバラン
スのとれた成長に欠かせない栄養素を含まない食事」を与えた親に
法的な責任を問うことができる新たな法案を下院に提出した。

 まず議会の委員会が議論し、その後下院で審議される予定。

 7歳の息子を持つエルビーラ・サビーノ議員(39)は10日、
ロイターとの電話インタビューで「大人が自由に選択している限り、
完全菜食主義には反対しない。ただ、一部の親がほとんど狂信的に、
正しい科学的知識や医師への相談もなく、自らの意思を子どもに押
し付けることができるのはばかげていると思う」と語った。

 ベジタリアンは肉や魚、家禽類を避けるが、完全菜食主義者はさ
らに動物由来の卵や乳製品なども口にしない。

 提出された法案では、完全菜食主義で子どもを育てると禁錮1年、
慢性的な健康被害が生じた場合は最大で禁錮4年、死に至った場合
は最大で禁錮7年を科すとしている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160812-00000046-reut-eurp
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 気持ちはわかりますが、法律としては成立しないと予想しておき
ます。

 次はイギリスから、成立しそうな法案です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■英国、子どもの肥満対策で清涼飲料に「砂糖税」導入へ

 英国は18日、子どもの肥満防止のため、糖分の多い清涼飲料へ
の課税を導入し、児童の身体運動やバランスの良い食事を広める活
動の財源にする計画を発表した。

 食品・飲料メーカーに自社製品の糖分を減らすよう促すのが狙い。
政府によると、英国の2─15歳の子どものうち、約3分の1が過
体重または肥満になっており、糖分の摂取源としては清涼飲料が断
トツに多いという。

 対象となるのは100ミリリットルあたりの砂糖含有量が5グラ
ムを超える飲料。より高糖分の飲料には高い税率を適用する。同様
の「砂糖税」は、ベルギーやフランス、ハンガリー、メキシコ、北
欧諸国などでも導入されている。

 エリソン財務担当相は「肥満は子どもの健康だけでなく、英経済
にとっても脅威だ。国民医療サービス(NHS)は毎年多額の支出
を行っている」と指摘。「わが国の未来のために重要なステップだ」
と説明した。

http://jp.reuters.com/article/sugarlevy-idJPKCN10T0EN
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 こちらも馬鹿げた発想と思いますが、結構本気のようですから、
成立するのではないかという予想です。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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今回は休みます。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「フードバンク」
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 こんなメールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 8月18日付け朝日朝刊の記事に目が留まりました。

■「広がるフードバンク自治体との連携すすむ」
http://www.asahi.com/articles/ASJ8L2Q5RJ8LUBQU00C.html

 行政の窓口に困窮を訴えに来たひとに、現物給付するというのも、
素直に聞けないなと感じました。NPOは行政の入っていけない場
所でフレキシブルな活動をするところと思っていたので、どっちが
どっちに追いついたのかと首をかしげてしまいました。

 余るほどたくさん生産して、売れないから廃棄するのは、確かに
もったいないので、生活に困っている人に差し上げるのは「いいこ
とをしている」ような気持にもなります。

 また、理屈ではなく、きょう、いま、目の前で困っている人がい
るなら、助けたいのも人情です。

 願わくば、緊急的な行動であり、全体を見れば、フードバンク的
な発想や行動はやはりおかしいことだと社会に訴えかける、という
のが着地点であってほしいと思います。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 せっかくお題をいただいたので、今回は「フードバンク」につい
て書いてみます。

 まずはメールで紹介していただいた記事です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■広がるフードバンク 自治体との連携進む

 暮らしに困っている人たちへ食料支援をするフードバンクの活動
が広がっている。昨年4月に生活困窮者自立支援制度が始まり、自
治体が支援窓口を設けたことが背景にある。もとは草の根の活動だ
ったが、自治体などと連携することで需要が高まってきた。

 農林水産省による2014年2月時点の調査では、全国で39団
体がフードバンクの活動を実施。その後、秋田県や長野県、岡山県
などで相次いで新設された。

 従来のフードバンクは独自に食料を福祉施設などに届ける活動が
中心だったが、新設団体の大半は自治体などと連携する。生活困窮
者自立支援制度で設置が義務づけられた自治体の支援窓口に、生活
に困った人が相談に訪れるためだ。

 14年5月に発足した静岡市の「フードバンクふじのくに」は、
15年度中に前年度の倍以上となる約42トンの食料を支援した。
静岡県内35市町のうち、今では社会福祉協議会も含めて34市町
で連携。支援依頼に応じることで、取扱量が増えた。

 自治体側のメリットも大きい。静岡県藤枝市の担当者は「相談に
足を運んでも行政は何もしてくれない、という印象を持たれがちだ。
まず食料を渡して相談を続ければ、スムーズに支援できる」と強調
する。

 既存の団体も活動を広げている。セカンドハーベスト・ジャパン
(東京都台東区)は、東京、神奈川、埼玉の3都県の80自治体・
社協と連携。生活困窮者自立支援制度が始まる前の五つから、一気
に増えた。昨年から連携を始めたセカンドハーベスト名古屋(名古
屋市)の連携先は、愛知、三重、岐阜3県で90を超えた。

 昨年11月には11団体によって全国フードバンク推進協議会が
発足。現在は17団体が参加している。今年4月に起きた熊本地震
では、地元のフードバンクとともに支援を展開した。

http://www.asahi.com/articles/ASJ8L2Q5RJ8LUBQU00C.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「自治体と連携」というと聞こえはよいですが、実態は窓口での
紹介程度のことだと思います。

 記事に書くほどのこととは思えませんし、素直に読めばメールの
方のような心配が出てくるのは当然です。

 実は昨年のことですが、関西のとあるフードバンクを訪問して、
話を聞いてきましたので、少し実態を報告しておきます。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■認定NPO法人 フードバンク関西

 まだ美味しく食べられるのに、外箱が壊れた、ラベル印字ミス、
売れ残った、形が悪い、食べきれない等の理由で、廃棄されている
食べ物がたくさんあります。

 その一方で、失業や病気、いろいろな理由で、その日の食べ物に
も困っている人達が、たくさんいます。

 フードバンクは、その両方を繋ぎ、企業や個人の方から、まだ食
べられるのに不要になった食品を無償で受け取り、それらを必要と
する人達のもとへ無償でお届けします。

 こうして、食べ物は廃棄される事なく美味しく活用され、命をつ
なぐ糧として本来の価値を全うできます。

 私達は、「食べ物は命の糧、大切にしたい」と考えています。

http://foodbankkansai.org/
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 以上は「理念」の話で、これだけでは具体的に、どう運営してい
るのかがわかりません。

 フードバンクそのものは仲介と物流を担っているわけで、そこに
食品を提供する側(以下「拠出者」)と、そこから商品を受けとる
側(以下「受益者」)があります。

 まず受益者について。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■食品の受け取り団体

 フードバンク関西から食品を受け取り、活用しているのは、支援
を必要とする人達を支える団体や施設です。

 通常、各施設はパン、野菜、果物等を隔週1回、米、調味料、加
工食品等を月1回の頻度でフードバンク関西から受け取り、施設内
で給食などの食材として活用しています。

 フードバンク関西では、平成25年度(平成25年9月〜平成2
6年8月)に要支援者を支える102団体に食糧を無償で分配しま
した。1カ月当たりの受益者延べ人数は6千人を超えています。

 受取団体に対して食糧の分配を開始する前には、フードバンク関
西の活動への理解を求め、「食糧等の受け渡しについての確認書」を
交わし、食品の安全な取扱に関する約束事項、食品活用の目的の確
認、施設の見学を行っています。

http://foodbankkansai.org/activity/
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 はっきりと「団体や施設」となっていて、一般に想像されるよう
な「貧困で食べ物に困っている人」は対象とはなっていません。

 ここは重要なポイントです。個人に直接食品を渡すと、次のよう
な問題点があります。

(1)個人の必要度や生活の実態を把握できない。

(2)個人宅への物流はコストがかかり過ぎる。

(3)食べ終わるまでの管理責任が果たせない。

(4)事故がおこったときに対処できない。

(5)転売などの不正にも対処できない。

 要するに、施設などで無償で食べてもらう分にはいいですが、直
接個人に食品を受け渡すのは、管理上無理があるのです。

 このあたりについては、個人にも支給すべきという意見ももちろ
んあります。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

演題 「もったいないのさきに」

■問題点

 しかし、現状の制度では、フードセキュリティが欠けている人を、
救うには、限界があります。なぜなら、3つの要素が、適切につな
がっていない、からです。3つの要素とは、

1つ、食品を提供する「企業」、

2つ、提供された食品を適切に分配する「フードバンク」、

3つ、食糧を受け取る「人」、

 以上の3点です。しかし、現状では、この3つの要素が、適切に、
つながっていません。なぜなら以下の、2点の問題を、抱えている
からです。

1. 地域間での「寄付の格差がある」ということ

2. 個人への支給は「ほとんど行われていない」ということ

以上の2点です。

 まず1点目の「地域間での寄付の格差がある」、ということから
説明します。都心にあるフードバンクだと、さまざまな企業から金
銭的、物品的寄付を、受けています。しかしその一方で、地方のフ
ードバンクでは、必要な寄付が集まらないという、地域間で、企業
からの寄付の格差、が発生しているのです。実際、東京で活動して
いるフードバンクの、企業からの寄付量が、850トン、であるの
に対して、九州に、1か所しかない、大分のフードバンクは、1ト
ン程度と、かなりの差がある、ことが分かります。

 2点目の個人への支給はほとんど行われていない理由は本当に必
要としているかが分からない、ためです。食糧を送ってほしいと個
人から頼まれたとしても直接会って確かめることもできず、地方に
住んでいる人が、本当に必要としているかの、見極め、が難しいの
です。そのため支給は、ほとんど行われていないのです。

 以上の問題点のために、多くのフードバンクが、個人に支援する
ことに消極的です。しかし、この問題を解決しないことには、フー
ドセキュリティに欠けている人を、救うことは、出来ません。

http://www.meiji-yuben.net/rec/2010/2010111402.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 私はこのようにフードバンクの目的を「人を救う」とか言ってし
まうのが間違いだと考えています。(この話は最後に書きます。)

 次に拠出者ですが、なぜフードバンクに拠出するような、余剰食
品ができてしまうのかという説明は以下のとおりです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■フードチェーン各段階における食品廃棄物等の発生要因

 フードチェーン各段階における食品廃棄物等の発生要因を整理す
ると次のようになる。

 製造段階では、次のように8種類のロスが生じる。まず原材料管
理段階で何らかの理由で廃棄せざるを得ない原材料が生じることが
ある(ロス1:原材料ロス)。

 次いで、原材料から除去された不可食部分や副産物が発生する
(ロス2:製造残渣)し、可食部分の中にも、製造機械試運転の際
に生じる試作品や成型時の端材、製造機械のトラブルで製品ならな
かった原料などが発生する(ロス3:製造工程におけるロス)。

 そして、製造工程終了後から出荷までの過程において、規格外品
としてのロスが発生する(ロス4:規格外品)。

 さらに、製品となった後の段階では、一定期間保管後廃棄する検
食(ロス5:保存用サンプル)や欠品対策のための余剰生産分(ロ
ス6:欠品対策用ロス)が生じる。

 また生産計画量を下回る段階で製造が中止される場合にもロス
(ロス7:生産中止に伴うロス)が発生し、後述するが返品処理に
伴うロス(ロス8:返品に係わるロス)も生じる。

 精緻な需要予測や受発注システムの構築などによって、ロスの削
減に努めるものの、少なくとも販売予定量以上の製品を生産する必
要がある。

 また、欠品や品切れは販売機会ロスになるだけでなく、顧客(小
売店、消費者)離れの原因になったり、欠品ペナルティ(売価保証
を求められるケースも見られる)を課されたりする原因となる。そ
のためある一定のロスは欠くことができない。

 他方で、新製品は需要予測が難しく、短期間で製品廃棄に至るこ
とも少なくない。とりわけPOSシステムや顧客の購買に関するビッ
グデータが活用される食品分野は短命な製品が多い 。

 この短期間における製品廃棄も大きなロスの要因となる。

 卸売段階は製造業者と小売業者を結ぶ位置になるため、ロスが発
生しづらい構造となっているが、検品不合格品や輸送途中での破損
品がロスとなる。

 また、大ロットで購入した製品を、小売店からの注文に応じて小
分けして納品するため、端数が卸売の在庫として残り、ロスにつな
がることもある。加えて、発注から納品までのリードタイム短縮の
ためにある程度の在庫を保有することも必要であり、これもロス発
生の要因となりうる。

 卸売段階のロス要因としては、返品問題も存在する。一度小売業
者が買い取った製品は、販売期限内に販売できなかった場合であっ
ても本来は返品されることはないはずである。

 しかしながら、小売業界の悪しき風習として、契約に反して返品
されたり、次回の納品時に返品分を差し引いた金額しか支払われな
かったりするといった事例が少なくない。もっとも卸売業者から製
造業者へも同様なことが行なわれている。

 本来、このような理由による返品は、下請取引における取引の公
正化と流通取引における優越的地位の濫用防止から成立した独占禁
止法の「優越的地位の濫用行為の禁止規定」に抵触する。

 小売段階では、生鮮食料品や総菜では売れ残りがロスとなる。店
内で調理加工販売する場合には、加工工程で発生する調理残渣も発
生する。

 加工食品では、販売期限が切れた売れ残り製品やフェイス替え
(製品の入れ替え)の際に店頭から引き揚げる製品などがロスにつ
ながる。

 小売業では、販売機会損失を避けるために売り上げ目標よりも多
く製品を仕入れ、陳列している。また、品揃えの豊富さが顧客の買
い物の楽しみや喜びを生むという考えも支配的である。

 実際、筆者が1990年代に勤務していた食品スーパーでは、営業中
いつお客様が来店されたとしても欠かしてはいけないアイテムが定
められていた。これらアイテムについては、販売機会損失は絶対に
してはならないことが徹底されており、結果としての廃棄損失は許
容されていた。

 つまり、販売機会損失の回避は絶対であった。そしてこのことが
ロスの削減の足かせになっているし、返品の原因にもなっている。

http://www.senshu-u.ac.jp/~off1009/PDF/nenpo48-4.pdf
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 余剰食品が出ないようにすることが最善だと考える人も多いでし
ょうが、「善なる」社会は豊さを決定的に欠いてしまいます。

 豊かな社会を支えるためには、必然的に出てくる余剰食品を適切
に処理していくシステムが必要だという点で、フードバンクの目的
は資源回収業などと同様の、経済上の静脈システムだと考えるとよ
いのではないでしょうか。

 さて、メーカー、物流業者、小売店などから拠出される食品には、
次のような規程があるそうです。

(1)賞味期限内の正規商品に限る。(多少の汚れや凹みなどは許
容する。)

(2)安全性については、市販商品と同等の安全性を保証する。

(3)商品を拠出する理由はフードバンク側に提示する。

(4)フードバンクの倉庫に無償で届ける。(それ以降の管理につ
いては免責)

 こうして受けとった商品を、フードバンクが次のような規程で
「団体や施設」に届けます。

(1)届ける商品の賞味期限や安全性はフードバンクが保証する。

(2)施設などの所定の場所にフードバンクが無償で届ける。(そ
れ以降の管理については免責)

 フードバンクを中心にして、「無償」−「無償」の取引になりま
す。

 拠出者は商品代金そのものと、(フードバンクまでの)配送費用
を負担します。この負担は産業廃棄物として処理する費用と比べて、
それほど大きいものではありませんので、もっと利用が進んでほし
いものです。

 受けとった商品の管理と配送は一般にはNPO法人であるフード
バンク引き受けます。ここでも当然費用が発生するので、その費用
負担が問題になります。

 一般的には拠出者が商品を無償で渡すだけでなく、何がしかの寄
付をすることが多いようです。もちろん個人からの寄付も受け付け
ていますが、金額的には少ないと思います。

 そして労働力についてはボランティアでまかなっているという話
ですが、ここで無償労働を要求するようなブラックな団体だったら、
長続きはしないでしょう。

 つまり、働き手にもちゃんとした賃金を支給できるだけの財政的
な裏付けが必要だということです。

 「人を救う」などと考えてボランティアにブラックな労働を要求
するなどということがよいはずはありません。経済システムなのだ
から、各方面の協力を得て、しっかり儲けるべきだ、というのが私
の意見です。

 以上が私が「フードバンク」というシステムに対して考えている
ことで、何とか大きく育ってほしいという期待は持っています。

 その意味では、以下のような行為はやめた方がよいです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■家庭で眠っている食品を集めて生活困窮者を支援!「第1回全国
フードドライブキャンペーン」実施結果のご報告

 全国フードバンク推進協議会(所在地:山梨県南アルプス市、代
表:米山けい子)の呼びかけにより、2015年12月から2016年1月の
間で全国のフードバンク9団体がフードドライブを実施した結果、
合計11トン473キログラムの食品が寄付されました。なお、寄
付された食品は各地のフードバンク団体から福祉施設や母子家庭等
の生活に困窮する世帯への食料支援に活用されます。

 フードバンクは、子供の貧困対策の一環として現在注目を集めて
おり、近年全国各地に新たなフードバンク団体が次々と設立されて
います。

 ただ、活動に対する認知度や食品ロス、貧困問題に対する課題意
識は未だに低く、貧困家庭への支援用食品が不足しています。その
ため、食品の確保、フードバンク活動の認知度向上を目的として全
国各地でフードドライブを実施いたしました。

 今後も毎年定期的に全国的なフードドライブを実施することによ
り、活動の輪を広げていきたいと考えております。

【フードドライブとは】

 フードドライブとは英語で food(たべもの)、drive(運動)で、
「食べ物を集める運動」という意味です。一般家庭にある食品を学
校や職場、グループ等、様々な機関・団体が拠点となり食品を集め、
集まった食品をフードバンク団体や福祉施設等に寄付する運動を指
します。フードバンク先進国の欧米においても、様々な場面で日常
的に行われている他、全国的なフードドライブキャンペーンが国民
運動的に行われています。フードドライブは地域の中で集まった善
意の食品を地域福祉に活かす取り組みです。

http://www.asahi.com/and_M/information/pressrelease/CPRT20168479.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「善意」が強すぎて、社会システム構築という建設的な話になら
ず、安全面、資金面のリスクを無視した、自己満足行為になってい
ると思います。

 最後に、フードバンク関西の話では、最も拠出が多いのは「コス
トコ」なんだそうです。

 コストコは在庫食品の「廃棄」を禁止していて、「売れ残り」は
すべてフードバンクに拠出することになっているそうです。

 もちろん、拠出先はフードバンク法人なんですが、出店前に拠出
先を調べて交渉しておくそうです。もし適当な拠出先が見つからな
いときは、コストコが支援して組織を作ってもらうのだとか。

 たとえば売れ残ったパンは毎日フードバンクの倉庫に届き、即日
(賞味期限内で)施設に配達して食べてもらうそうです。

 先日の最低賃金のときも話題になりましたが、徹底的にアメリカ
のやり方を持ち込んでいるのは、実に大したものだと感心しました。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 我が家では食後の食器洗いは私の担当ということになっているの
ですが、十数年前に新しい家に引っ越してからは自動食洗器に並べ
るだけというラクなことをしていました。

 ところがその食洗器が故障してしまい、やむなくこのところ手で
洗っています。そして驚いたのが最近の食器用洗剤の性能のよいこ
と。ほんの数滴で洗えてしまいますし、汚れ落ち、アワ切れ、手荒
れしないなど、ほぼ理想的な性能です。

 たった十数年のうちに、ここまで進化したのか!と感心しました。
結構長い間、「台所用石けん」を使ったりしていたのですが、「合
成洗剤−石けん」論争も完全に過去のものとなってしまったようで
す。

 機会があれば洗剤の話も取り上げたいので、情報があれば教えて
ください。

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