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--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
--------------------------------------87号--2001.07.08------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「放射線照射」「Q&A(凝固剤、塩素、ふすま)」「トレイ」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 最近の話題ですが、放射線照射のサケの話が新聞に載っていまし
た。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 殺菌のために放射線を照射されたカナダ産のサケが96年夏、税関
をすり抜けて日本に輸入されていたことが23日、分かった。食品衛
生法は放射線照射された食品の輸入、販売を禁じている。このサケ
は変色などのため返品されて市場には出回らなかったが、業者が厚
生労働省に出す輸入届に記載がなく、見抜けなかった。照射食品の
検知法に決め手はなく、「他にも市場に流入したケースがあるので
はないか」と指摘する関係者もいる。同省は「このようなサケが輸
入されたという事実は確認されていないが、場合によっては調査す
ると話している。(毎日新聞6月24日)

http://www.e-hiroba.com/ より
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 日本では、北海道士幌町にある、ジャガイモの照射施設だけが許
可されていて、それ以外の放射線照射は違法ということになります。

 もうずいぶん以前でしたが、離乳食のメーカーがこの放射線殺菌
をしていて、問題になったことがありました。この場合は殺菌なの
ですが、ジャガイモの照射は発芽をとめる、という点に目的があり
ます。

 士幌町にあるのは、コバルト60という放射性同位元素の放射線
を照射する施設だったと思います。ちょっと言葉が難しいので、整
理してみます。

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【放射能】放射線を出す能力のある物質、またはその能力。

【放射線】α線、β線、γ線、中性子線などの総称。

【α線】陽子2個と中性子2個がくっついたもの(ヘリウムの原子
核に相当)が出てきます。最も大型の粒子のため、莫大なエネルギ
ーを持ちますが、透過力は弱く、遮蔽物があったり、すこし離れて
いたりすれば、影響はありません。α線を出す物質(プルトニウム
など)を体内に取り込んでしまうと、致命傷になります。

【β線】高エネルギーの電子のビームです。エネルギー、透過力と
もに、α線とγ線の中間、というところでしょうか。(あまりよく
知らない)

【γ線】非常に波長の短い電磁波です。電磁波は波長の長いものか
ら、いわゆる電波、マイクロ波、赤外線、可視光線、紫外線、X線、
γ線という順になります。γ線はほとんどすべての物質を透過し、
分子レベルで生物に損傷を与えます。

【放射性同位元素】原子は原子核と電子からできています。原子核
は陽子と中性子からできています。原子の性質は陽子数=電子数に
よって決まります。陽子の数が同じで、中性子の数が違うものは、
化学的には同じ働きをしますが、重さなどが異なるため、物理的に
は区別され、「同位元素」と呼ばれます。

 同位元素のうち、一部は原子核が不安定で、徐々に崩壊していき
ます。このとき、放射線を出すので、「放射性同位元素」と呼ばれ
ます。自然界ではカリウムがかなりの量の放射性同位元素をもって
いますし、炭素の放射性同位元素は考古学の年代測定に使われたり
することで知られています。

【自然放射能】上記の放射性同位元素は、自然界に普通に存在しま
すので、私たちの環境では、自然に放射能を浴びています。また、
宇宙線といって、地球外からやってくる放射線もあります。高空を
とぶ遠距離のジェット機に、あまり頻繁に乗るのは、リスクが大き
いといいます。この宇宙線を浴びるからです。人工衛星なんかはも
っと危険なんでしょうね。

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 「放射能が洩れる」と「放射線が洩れる」とでは意味がずいぶん
違います。例えば、先日の東海村の臨界事故では、「放射線」が出
たので、「放射能」が出たわけではありません。(放出された中性
子を原子核に取り込んで、「放射能」をもってしまった物質はあっ
たかも知れません。)

 で、放射線を浴びると、人間の細胞内の遺伝子レベルで損傷を受
けてしまいます。そのため、細胞分裂に支障をきたすことになりま
す。

 一定レベル以上の放射線を浴びると、その損傷が重大な結果をも
たらすことは、先の東海村の事故でよくわかりました。

 ただ、放射線によって損傷をうけた遺伝子は、その能力をなくす
のが普通で、突然変異によって、異なる能力をもつようになること
は、ほとんど起こりません。放射線照射によって、発芽能力をなく
したジャガイモが、健康被害の原因となるような物質を作っている
可能性は限りなく低い、と私は思います。

 放射線照射は、このように、衛生管理のためには、有効な方法な
のですが、このような方法をとる、必然性ということからすると、
大いに疑問があります。

 まず、放射線照射そのものの危険性(放射性同位元素の扱いなど)
を越えるメリットがあるかどうか疑問だと思います。また、他に代
替手段があるとき、放射線照射を選ぶ積極的な理由があるのかどう
かも疑問です。

 世界的な食料危機の時代がやってきたら、このような手を使うこ
とも良いのかも知れませんが、期待に反して?まず当分はそのよう
な事態にはならないと思います。

 ということで、私は放射線照射については、反対の立場なのです
が、照射されたかどうか、見分けることは不可能です。

 今回の事件は、どうも放射線照射を過信して、衛生管理が悪かっ
たものが変色などして、問題になったようです。変色が放射線照射
のためであるかのように受け取られた人もいると思いますが、きち
んと照射されたものが、その後の衛生管理もよければ、これはちょ
っとわからないでしょうね。

 わからない、ということは、食べても別に害はない、ということ
でもあります。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.豆腐の凝固剤による凝固メカニズムをおしえてください。

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A.豆乳中のたんぱく質を凝固させるのは、金属イオンの働きだと
いうことです。2価の金属イオン(カルシウム・マグネシウムなど)
にその働きがあります。

 カルシウムの方が働きが安定していて、凝固させやすく、そうい
う意味でも、硫酸カルシウムの使用が主流になっているようです。

 マグネシウムも、ちょっと難しいところはあるようですが、凝固
力は変わりない、といいます。

 全体に、カルシウム使用のものの方が、豆乳の濃度も低く、味わ
いが足りない、という傾向はあると思います。ただ、京都の老舗で
は、淡白な味を強調するため、あえてカルシウムにこだわっている、
という話もありますので、一概には言えないようです。

 グルコノデルタラクトンはちょっと作用のメカニズムが違い、酸
による凝固です。これはグルコノデルタラクトンが加熱するとグル
コン酸にかわり、酸性になる、ということを利用しています。

 酸凝固の特徴は、非常になめらかな凝固状態になる、ということ
です。もちろん、酸ですので、容器から出して直接口に入れると、
酸っぱいです。水で洗い流せば問題はありませんが。

 生物の組織から、カルシウムイオンを完全に取り除くと、細胞が
バラバラになる、という話を聞いたことがあります。筋肉の収縮に
も、カルシウムイオンの存在は不可欠だそうです。たんぱく質の凝
固と、こういうことには共通点があるのでしょうが、その辺の詳し
いメカニズムについては、よくわかりません。

 化学・生物学関係のサイトで調べてみてください。

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Q.水道水に塩素0.1ミリグラム以上となったのはいつ頃でしょ
うか?昔は「鉄管ビール」などと称し冬などその侭飲んでおいしか
ったと思いますが多分経済成長期期に入ってからではないでしょう
か?家庭、工場などから汚れた排水を流したからではないかと思う
のですが。

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A.水道法ができたのは昭和32年ということですから、1957年で
すか。ただ、それ以前にも、都市には水道があり、塩素消毒はされ
ていた、と思います。

 世界の都市で、水道水がそのまま飲めるかどうか確かめるため、
残留塩素を調べるとよい、という話ですので、おそらくこれは世界
中で共通のことなのでしょう。

 残留塩素はあくまで微生物による汚染を防ぐためのものですので、
原水がどんなにきれいでも必要です。したがって、川の汚れとは直
接関係はないと思います。

 ただ、水道法以前の時代は、都市部でも、井戸水を使用していた
りするのがよくあることでした。今の衛生レベルから考えると、ち
ょっとこわいものがありますが、当時はみんな平気だったと思いま
す。

 井戸水がだんだんと使用されなくなり、水道に比重が移って行っ
た背景には、ご指摘の水の汚染、という問題は確かにあったと思い
ます。

 井戸水、氷冷蔵庫、七輪、などというものをかろうじて覚えてい
ます。当時、夏になると、大量の蛍が舞っていました。よくタオル
やうちわで取りにいったものですが、あれも当時の水質汚染による、
異常発生だった、ということです。水がきれいな時代には少なく、
汚くなりすぎてやっぱり少なくなった、ということですから、ちょ
うど良い時代に行き合わせたわけです。

 現在は最悪の時代からはやや持ち直しているのな、と思っていま
す。先日、久し振りに蛍の大群を見たせいでしょうか。
(これは人間が放流しているものもあります。)

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Q.小麦粉にする過程でふすまが出ますが、そのふすまだけを、購
入したいのですが、(便秘に良いとのこと)宜しくお願いします。

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A.ふすまというのは、米のぬかのようなものです。米と違い、小
麦はかなり大規模な工場で製粉されますので、ふすまを販売できる
のも、そういう工場だけ、ということになります。

 飼料用などで販売されているようですが、消費者向けの小売り、
というのは聞いたことがないです。

 小麦粉でも、1キログラム100円あまりのものですから、ふす
まだとたぶん10円もしないのでしょうが、包装や流通経費は小麦
粉と同じだけかりますから、まず採算はとれません。

 それから、市販のルートにのせるだけの需要もないと思います。

 ということで、工場から直接買いつけるか、飼料用のルートを見
つけるか、ですが、どちらも見込みはほとんどない、と思います。

 また、ぬかと同じく、変質しやすいでしょうから、はっきり言っ
て、食用にはむかないと思います。(競馬の馬なんかはよく食べて
いますが・・)

ご期待に添えなくて申し訳ありませんが、この程度しかわかりませ
ん。
(メールアドレスが間違っていて、メールでお答えできませんでし
たので、ここに掲載しています。)

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「トレイ」
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 ラップとの名コンビが「トレイ」です。最もポピュラーなのは、
「発泡スチロール」です。これはポリスチレンという樹脂を発泡さ
せたもので、とにかく軽くて丈夫なことが優れています。

 また、断熱力も相当ありますので、鮮魚などの箱にも、広く使わ
れているのはご存じのとおりです。

 ポリスチレンそのもののトレイもあります。ボリスチレンはわり
と硬質で、その割りには安っぽい感じの樹脂で、ペラペラした感じ
ですが、透明感のある樹脂です。

 スチレンの単体は、エチレンにベンゼン基がついていて、炭素の
割合が多いことが特徴です。発泡スチロールを燃やすと、黒い煙が
出るのは、炭素が多すぎて、不完全燃焼した結果、煤が出ている、
ということです。

 焼却場などで酸素を充分供給すると、完全に燃焼しますが、その
分高エネルギーですので、古い焼却炉では、炉を痛める、というこ
とが言われています。

 特に東京では、老朽化した焼却施設が多く、プラスチック製品は
「不燃物」になっているそうですが、これは東京だけの特殊事情で
す。東京以外のところでは、プラスチック類は可燃物として焼却し
ているのですが、何しろマスコミが東京一極集中のため、事実とは
違う情報があふれているのが実情です。

 どちらかというと、生ゴミが多くて、ゴミの熱量不足に苦しんで
いる焼却場の方が多いのです。こういうところでは、「プラスチッ
クゴミ歓迎」です。焼却時に投入する石油の量が減らせるからです。

 リサイクル面でも、スチロール樹脂はリサイクルしやすいプラス
チックです。

 発泡スチロールのリサイクルといえば、まずかさばるのを何とか
しなければなりませんが、そこで「リモネン」というものを使用し
ています。これはみかんの皮からとれるもので、リモネンの溶液に
発泡スチロールを入れると、たちまち溶けてしまいます。これは見
ていてすごいな、と思いました。

 発泡スチロールは、軽量で強度もあり、断熱力も高くて、なかな
か良い材料なのですが、どうしても安物感があります。
 業界では、発泡スチロールの製造にフロンガスを使用していない、
とか、燃やしてもダイオキシンを発生させない、とか、リサイクル
の優等生である、とか、いろいろとキャンペーンを行っていますが、
もう一つ人気が出ないのも、やっぱり見た目の問題かな、と思いま
す。

 見た目では、ポリプロピレンのトレーが感じが良いです。これは
透明であたたかみのある硬さのプラスチックです。加工食品(ギヨ
ウザなど)によく使われるのは、清潔感があるのと、温度の変化に
強い、ということがあると思います。

 ポリプロピレンにタルクを混ぜたタイプのものは、非常に高級感
のある、ちょっと陶器のような質感です。これは無機物を含みます
ので、重量あたりの発生熱量が少なく、紙のように炎をあげて燃え
ます。(全体の発生熱量が少ないわけではありません。)

 以上の2種が代表的なトレーですが、最近はいろんな種類のもの
ができているようです。

 また、肉や魚などのトレーには、商品の下にシートを敷いてある
ことが多いのはご存じのとおりです。「ドラキュラ」などという呼
び方には笑ってしまいましたが、血を吸うからドラキュラなんだそ
うです。

 いわゆるドリップをこのシートに吸着させるわけです。水分は肉
などの変色の原因になりますので、これはなかなか有効なものです。

 ラップの方は量的にはたいしたことはないので、ゴミにしても腹
はたちませんが、トレーはかさばりますので、たまってくるといや
になってきます。生協にいたときも、いつもあのトレーは何とかな
らないのか、とお叱りを受けていました。

 全く、自分で使っていても、やっぱりそう思います。

 昔のように、毎日、買い物かごを持って、その日の食材を、商店
に買いに行く、という生活でしたら、トレー包装なんかはいりませ
ん。しかし、昔の商店のように対面販売ではない、今のスーパー形
式の店では、なかなかトレー包装と縁が切れません。まして共同購
入で配達している生協にとっては、絶対にこのような包装は必要で
すので、頭の痛い問題でした。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 先日、「禁煙デー」の会議で、日本たばこ産業の人が、行政によ
る禁煙政策はファシズムである、と言ったそうです。

 正論なので、思わず笑ってしまいました。確かに、個人の趣味や
嗜好にまで干渉するのは、権力にとっては、あまり良い趣味とはい
えません。

 私は行政がするべきなのは、たばこを吸う人の権利を制限するこ
とではなく、たばこを吸わない人の権利を守ることだと思います。

 道路・公共スペースでの禁煙をすすめてほしいものです。学校が
禁煙でないのは最低ですが、駅の禁煙なんかもさっぱり守られてい
ません。こんなところからやってみてはどうかと思います。

 でも、たばこ業界も、そんなことを言っていると、アメリカのよ
うに訴訟を起こされてしまうと思うのですが・・。

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--発行--渡辺--宏------- URL http://www.kenji.ne.jp/food/
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