安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>868号


-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/
--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------868号--2016.06.26------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「ニュースから」「水素水ふたたび」

-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/
--〔話題〕--------------------------------------------------

 農薬に関して、ちょっと驚きのニュースがありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■キュウリから基準値超の農薬 所沢の直売所で販売、健康に影響
なし

 いるま野農業協同組合(埼玉県川越市)は21日、所沢市上安松の
JAいるま野松井農産物直売所で販売したキュウリから、食品衛生法
の基準値(0・02ppm)を超える0・10ppmの害虫駆除剤「アルドリン
およびディルドリン」を検出したと発表した。

 体重60キロの人が検出量のキュウリを毎日約60キロ分摂取しても
健康に影響はないとしている。残留農薬の自主検査で判明した。

 対象のキュウリは所沢市内の生産者が納品し、5月23日から6月17
日まで販売。アルドリンおよびディルドリンは1975年に農薬登録が
失効し、生産者は使用していなかった。薬品の土壌中での残留性が
高いという。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160621-00010008-saitama-l11
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 よくある使用ミスかと思ったら、40年も前に失効した農薬が検
出されたというのです。残留性が特に高いこと、キュウリが吸収し
やすいことは知られていますが、今更ゲィルドリン検出のニュース
を聞くなんて、驚きです。

 次は例の悪質なやつです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■フグ肝出荷で卸売幹部逮捕、大阪 食品衛生法違反ほう助疑い

 有毒とされるフグの肝を料理店に出荷したとして、大阪府警生活
環境課は21日、食品衛生法違反ほう助の疑いで、水産物卸売業
「大昌総業」(大阪市生野区)の統括部長中川知則容疑者(38)
=兵庫県伊丹市=を逮捕した。

 生活環境課によると、「店で肝が出されていた認識はある」と容
疑を認めている。中川容疑者の指示を受けたとされる他の社員2人
は、任意の事情聴取に「最初は『正気か』と思ったが、得意先でも
あり肝の処理の手間が省けるのでやった。肝はケースに隠して配達
した」などと話している。

http://www.chunichi.co.jp/s/article/2016062101001835.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 これはあきらかな違反事例なんですが、「フグ肝」に関してはこ
んなニュースもあって、ややこしくなっています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■フグ肝、食べられる?解禁論争 過去10年で10人死亡
2016年5月25日

 トラフグの肝臓は食べられる? 食べられない? 美味とされな
がら、猛毒の恐れがあるため食用が禁じられている「フグ肝」を巡
り、佐賀県と業界団体の主張が真っ向から対立している。禁断の味
の行方は?

 「毒の検査法は信頼できるのか」

 「検査で有毒となればどうするのか」

 20日、東京・赤坂であった食品安全委員会の「かび毒・自然毒
等専門調査会」。佐賀県が厚生労働省に求めた「フグ肝食解禁」に
ついて、食品や生物の専門家十数人から質問が相次いだ。

 ことの発端は2月。佐賀県の山口祥義知事が、「毒のないトラフ
グの肝臓を提供できる」とする水産業者「萬坊(まんぼう)」(同
県唐津市)の依頼を受け、養殖トラフグの肝の食用を限定的に認め
るよう厚労省に申請した。全国初の観光資源にもなりうる食用フグ
肝。山口知事は「(県の)第三者委員会でしっかり議論して頂いた」
と、解禁に自信を見せる。

 本当に食べても大丈夫なのか。

 フグ毒は青酸カリの1千倍の毒性を持つテトロドトキシン。肝や
卵巣など内臓のほか、一部は皮や筋肉にも含まれる。2006〜1
5年に356人が食中毒になり、10人が死亡。24日には養殖ト
ラフグの肝臓を店で出したとして、大阪府警が会員制料理店の経営
者ら8人を食品衛生法違反の疑いで逮捕した。客に出す店は絶えな
い。

 フグ毒に詳しい長崎大の荒川修教授(水産食品衛生学)によると、
毒は海中の細菌から生まれ、ヒトデや巻き貝を食べるフグに食物連
鎖で蓄積する。他にも毒の経路があるのではとの指摘もあるが、長
崎大がこれまで調べた無毒のエサで育った1万匹は毒なしだったと
いう。無毒を確認した上で肝を食べたという荒川教授は「カワハギ
の肝に似ている。少し脂っこいが濃厚でとても美味」と話す。養殖
環境にもよるため、養殖フグなら無毒とは言い切れないという。

 県などによると、萬坊は「万が一」をなくすことを目指す。殺菌
した海水を使った陸上の施設で養殖し、一匹ごとに飼育歴を把握。
すべてのトラフグについて肝の毒性が最も高いとされる部位を検査
し、毒が検出されなかったもののみ同社のレストランで出す。県の
第三者委は1月、「検査方法は妥当」として、お墨付きを与えた。

 国は、どう判断するのか。

 実は県や萬坊は04年から2度、フグ肝の食用を認める「特区」
を国に申請したことがある。今回の提案と同じ方法で萬坊が養殖し
た計5千匹が無毒だったことが根拠だが、「細菌からフグに毒が移
る仕組みは不明な点が多い」と却下された。食品衛生法では、有毒
の疑いがある食べ物でも、国の審査をへて「人の健康を損なうおそ
れがない」と厚労相が認めたら販売できる。この規定をクリアする
ため、今回は、肝を一つずつ検査する仕組みを導入した。

 食品安全委は1年以内にも、佐賀県の提案について判断を下す方
針だ。萬坊は結論が出るまで取材を拒否しているが、県の担当者は
「業者が考え抜いた仕組み。門前払いはないのでは」と解禁に期待
する。

 おさまらないのが、フグ料理店主ら約1800人でつくる「全国
ふぐ連盟」だ。真貴田雄一副会長(63)は「県の提案を認めると
『肝は安全』と誤解が広まって被害が増える。積み上げてきた消費
者のフグへの信頼感が落ちてしまう。絶対の安全はない」と語気を
強める。今月上旬には厚労省を訪ね、認可しないよう求めた。

 真貴田さんの店でも肝を注文する客は時々いる。「命に関わるこ
と。『たぶん大丈夫』では出せない。アンコウの肝などおいしいも
のは他にもあり、急いで認める必要は全くない」という。

http://www.asahi.com/articles/ASJ5S76W3J5SUTIL059.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 養殖ものなら無毒だ、というのが認められるかどうかなのですが、
わざわざ危ないものに手を出す必要があるのか?というのが根本的
な疑問です。

 養殖ものと思って食べたら、実は天然ものだった…などというこ
とも起こりそうですから、慎重にしていただきたいと思います。

 最後は「食品安全情報blog」から、WHOの発表です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■ラドンと健康

・ラドンは天然の放射性ガスで家や学校や職場などの屋内にもある

・ラドンは喫煙に次ぐ肺がんの重要な原因である

・ラドンは全ての肺がんの3-14%の原因であると推定されている

■減塩

・1日5g以上の市の摂取と3.5g以下の不十分なカリウム摂取は高血
圧に寄与し心疾患と脳卒中のリスクを上げる

・食事からのナトリウムの主な摂取源は塩であるがグルタミン酸ナ
トリウムにも由来する。

・ほとんどの人は塩の摂りすぎで、平均1日9-12g、推奨される量の
約2倍摂取している

・成人の塩の摂取量を1日5g以下にすると血圧と心血管系疾患、脳
卒中、冠動脈発作のリスクを下げるのに役立つ。

・WHO加盟国は世界の人々の塩の摂取量を2025年までに30%減らすこ
とに合意している。

・減塩は最も費用対効果の高い健康対策である。

・推奨レベルまで減塩すると毎年250万人の死亡が予防できる。

http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20160623#p9
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 日本は比較的ラドンは少ないはずですが、「日本食」につきもの
の塩分は大問題です。

 別に具体的な対策工事が必要なわけではないので、「費用対効果
の高い健康対策」ではあるのですが、実際に減らすのは難しいので
す。

 土曜日に近所のガストで中国語を勉強するのですが、メニューに
カロリーと塩分を表示していました。だいたい一食で5gくらいは含
んでいるようです。多いものは10gくらいあるので、一日では簡単
に10gは超えてしまいそうです。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

------------------------------------------------------------

今回は休みます。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「水素水ふたたび」
------------------------------------------------------------

 巷で話題の「水素水」について、国立健康・栄養研究所がこんな
発表をしています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■「有効性に信頼できる十分なデータが見当たらない」 国立健康
・栄養研究所が見解

 国立健康・栄養研究所が、サイト内の「健康食品」の素材情報デ
ータベースに「水素水」を新たに付け加え、人への有効性について
「信頼できるデータがない」と記述していることが分かった。同研
究所は、栄養と健康についての調査研究を行う国立研究開発法人。
水素水をめぐっては、5月に産経ニュースが記事を配信するなど各
メディアで水素水が「効くのか、効かないのか」の論争が繰り広げ
られている。

 これまで水素水には決まった定義がなかったが、データベースで
は水素水を「水素分子(水素ガス)の濃度を高めた水」と定義。水
素水の調整法として、

(1)加圧下で水素ガスを水に充填

(2)水の化学反応で水素分子を発生

(3)電気分解で陰極側に発生した水素分子が豊富な水

を利用−の3つを挙げた。このうち(3)の電気分解によって調整
された水について、「還元水素水、アルカリイオン水、電解水素水
などと呼称されることがある」と指摘している。

 産経ニュースの記事は、健康ブームで話題の水素水には(3)の
方法で作られているものが多いとし、「以前は『アルカリイオン水』
と呼ばれることが多かったが、今は『水素水』といわれている」こ
とを報じたものだ。水素水にはまた、活性水素水や電解還元水と呼
ばれるものがあることも指摘した。

 この産経ニュースの記事に対して、日本医科大学の太田成男教授
から「水素水と活性水素水(電解還元水)は、全く別物であるにも
かかわらず、混同している」とする反論文が寄せられていた。

 また、健康食品として市販される水素水にがん予防やダイエット
効果などを期待する人もいるが、データベースの総合評価では、
「ヒトに対する有効性については信頼できる十分なデータが見当た
らない」とし、現時点での有効性を否定した。

 さらに、「水素分子(水素ガス)は腸内細菌によって体内でも産
生されており、その産生量は食物繊維などの摂取によって高まると
の報告もある」などの記述もある。

http://www.sankei.com/life/news/160617/lif1606170022-n1.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 これはその発表を伝える産経新聞の記事なんですが、ここで言及
されている過去の記事は以下のようなものです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■美容、ダイエットと何かと話題の「水素水」 実はかつてブーム
を巻き起こした「あの水」と同じだった

 ここ数年、スーパーなどでも見かけることが増えた「水素水」。
中には普通のミネラルウオーターの3倍以上の値段で売られている
ものもある。医薬品ではないので効果・効能の表示はできないが、
何らかの健康効果を期待して購入する人が多いようだ。実は「水素
水」は、かつて別の名前で売られていた。なぜ今、水素が注目され
ているのだろうか。(平沢裕子)

 現在の水素ブームは、平成19年に日本医科大の太田成男教授
(細胞生物学)の研究チームが「水素ガスが有害な活性酸素を効率
よく除去する」とする論文を「ネイチャー・メディシン」(電子版)
に発表したことがきっかけとされる。

 活性酸素は、細胞や遺伝子を傷付け、がんや多くの生活習慣病を
引き起こす元凶とされるだけに、ラットでの研究とはいえ、水素ガ
スの効能に注目が集まった。この論文の発表が報じられて以降、水
素ガスを発生させて水素水を作る機器や水素を含むサプリメント、
化粧品など水素をうたった商品が次々と登場した。

 このうち、最もよく見かける水素水は、水素ガスが溶け込んだ水
のこと。ネット通販やコンビニなどで水素水を販売する飲料メーカ
ーは「水素は健康で話題の素材。今のところ効果は分からないが、
人への研究がいろいろ進んでおり、素材としての価値が高い」と説
明、売り上げも好調という。

 水素水は医薬品ではないので、商品の宣伝として健康や美容への
効果をうたうことはできない。だが、ネット上には「がんが好転し
た」「ダイエットにいい」「うがいをすると口臭予防になる」など、
一般論として水素水にさまざまな美容・健康効果があることをうた
ったサイトが多数存在する。

 こうした中、明治大情報コミュニケーション学部の石川幹人教授
は、水素水(活性水素水、電解還元水)に一般に言われるような美
容や健康への効果があるかを評定。「疑似科学である」と結論付け、
運営するサイト「疑似科学とされるものの科学性評定サイト」に1
月、公表した。疑似科学は「ニセ科学」とも呼ばれ、科学的表現で
科学を装っているが、とても科学とは呼べないものを指す。

 『なぜ疑似科学が社会を動かすのか』(PHP新書)の著書もあ
る石川教授は、「今話題の水素水の多くは、電解還元水のことで、
かつてアルカリイオン水と呼ばれたもの」と指摘。水素水の評定を
したことについて、「キャッチーな『水素』という言葉をつけるこ
とで、売り上げを回復しようという意図が見えたから」と説明する。

 アルカリイオン水は、アルカリ性の電解水のこと。一般的な水は、
水素と酸素からできており、それを電気分解すると、酸素を多く含
んだ水「電解酸性水」は陽極側に、水素を多く含んだ水「電解水素
水」は陰極側に生成される。この陰極側に生成された電解水素水は、
以前は「アルカリイオン水」と呼ばれることが多かったが、今は
「水素水」といわれているわけだ。

 つまり、中身は変わらないのに、一時期を経て、同じ「水」が名
前を変えて売られ、あたかも新しい「水」として注目されているの
が実情だ。

 アルカリイオン水は、「体内を弱アルカリ性に変え、消化不良や
慢性下痢、アトピー性皮膚炎に効果がある」などとされ、健康ブー
ムに乗って、平成4年ごろから生成器が、15年ごろからボトル詰
めの水が、それぞれ急激に売り上げを伸ばし、一時は数百億円の市
場規模となった。今でもアルカリイオン水の生成器は市販されてい
るが、水素水の勢いに押され気味だ。

http://www.sankei.com/premium/news/160514/prm1605140024-n1.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 この記事に対して、水素による治療を研究している日本医科大の
太田成男教授が反論記事を同紙上で発表しています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■「『水素水』はかつてブームを巻き起こした『あの水』と同じだ
った」…産経ニュース記事に日本医科大の太田成男教授が反論

 産経ニュースに掲載した「美容、ダイエットと何かと話題の『水
素水』 実はかつてブームを巻き起こした『あの水』と同じだった」
という記事に関し、日本医科大の太田成男教授が反論文を寄せた。
詳細は以下の通り。

×   ×   ×

■正しい水素医学と水素産業の理解のために

 あの産經新聞の記事には、明らかな誤認がある!

 日本分子状水素医学生物学会理事長 太田成男(日本医科大学大
学院細胞生物学分野 教授)

 5月14日にYahooニュースに産經新聞の記事が掲載された。
タイトルは、「話題の『水素水』 かつてブームを巻き起こした
「あの水」と同じだった…」。私の名前も引き合いにだされており、
あまりに誤認に基づく記事であり、看過できないと思ったので、産
經新聞と連絡をとった。すると、「反論記事を書いてほしい。その
まま掲載する」との返事をいただいた。そこで、下記のような寄稿
をさせていただくことにした。

1. 何が問題なのか?

 最初にこの記事の問題点を整理して列挙する。

(a)水素水と活性水素水(電解還元水)は、全く別物であるにも
かかわらず、混同している。しかも、正統的な科学をニセ科学と誤
認している。

(b)根拠に基づかない水素水に対するコメントを掲載している。

(c)マスメディアとして、してはならない十把一絡げの論理展開
をしている。

2. 水素水と活性水素は別物

 まず、水素水と活性水素を混同して、水素水をニセ科学としてい
る誤認がある。明治大学情報コミュニケーション学部の石川教授の
サイトを引き合いに出して、「水素水(活性水素水、電解還元水)
に一般に言われるような美容や健康への効果があるかを評定。『疑
似科学である』と結論付け、運営するサイト「疑似科学とされるも
のの科学性評定サイト」に1月、公表した。疑似科学は「ニセ科学」
とも呼ばれ、科学的表現で科学を装っているが、とても科学とは呼
べないものを指す。」としている。

 しかし、石川教授のサイトでは、活性水素水(電解還元水)のみ
を対象としており、水素水を一切対象にしていない。さらに、質問
コーナーでは下記のように活性水素水と水素水が別物である事を明
記している。

>>「話題の「水素水」 かつてブームを巻き起こした「あの水」
と同じだった…」という記事に対しては、「水素水」および「活性
水素水」については情報が混同しあっており、不明瞭な部分が多々
あります。ただ、現在は「水素水」と「活性水素水」は”別物”と
考えるのが妥当かと……。」「『水素水』と『活性水素水』は全く
別物ですね。評定内で混同させるような記述はなかったと思います
が、「明確に」ということをもう少し強調する必要があるかもしれ
ません。」<<

 つまり、産経新聞の記事では、水素水(活性水素水、電解還元水)
と書かれており、水素水と活性水素水が同一であると記載されてい
るが、ひきあいにだされた石川教授のサイトでは、活性水素水と水
素水は別物であると明記している。産經新聞の記事では別物にもか
かわらず同一物と誤認しており、これが混乱を導き、誤報となった
原因である。

 しかし、産經新聞の記者だけでなく、国民生活センターのプレス
リリースでも、活性水素と分子状水素の混同と誤認があるので、こ
の記事を書いた記者だけを責めるだけでは、問題の解決にならない。
これから、活性水素と分子状水素は別物であることを、もっと啓発
していく必要がありそうだ。

 活性水素は原子状水素(H)で、水素水は分子状水素(H2)が
溶けた水である。HとH2は、同じHでも全くの別物である。この
点は、後に解説する。

http://www.sankei.com/life/news/160524/lif1605240013-n1.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 太田教授が言っていることは事実としては間違っていないと思い
ます。しかし、「水素水」の問題はそこが要点ではないだろう、と
いうツッコミが唐木先生から入っています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■日本医科大の太田成男教授の主張には明らかな誤認がある 公益
財団法人食の安全・安心財団理事長・唐木英明(東大名誉教授)

 産経ニュースが『健康神話を検証する・美容、ダイエットと何か
と話題の「水素水」実はかつてブームを巻き起こした「あの水」と
同じだった…』という記事を掲載し、健康食品として販売されてい
る水素水をニセ科学と批判した。人気の水素水商品に警鐘を鳴らす
記事であり、私はその内容に賛同し、コメントも寄せた。

 ところが、水素水の研究者である太田成男氏が「水素水は正当な
科学」と主張し、「あの産經新聞の記事には、明らかな誤認がある!」
と批判する意見を掲載した。しかし、この太田氏の批判は筋違いで
ある。それは「水素水は科学か、ニセ科学か」という問いは成り立
たず、「使い方でどちらにもなる」という国の規制をご存じないか
らである。

 最初に、水素水による治療研究については、まだ研究途上ではあ
るが、いくつかの病気の治療に有効である可能性が認められている。
消化管内の水素水から水素がどのように血中に入り、標的細胞に達
するのか、水素の作用は活性酸素消去と関係があるのかなど明らか
にすべき課題は多いが、研究自体はまじめな科学であり、私自身、
水素水による治療研究をニセ科学と考えたことはない。

 他方、産経ニュースが取り上げたのは、「健康食品としての水素
水」である。健康食品を使うのは病人ではなく健康な成人であり、
その目的は病気の治療ではなく、健康の維持・増進である。だから、
健康食品の機能を表示するためには「健康な成人での臨床試験」が
必要である。間違ってはいけないのは、病人を使った治療の研究を
健康食品の健康維持機能の根拠にすることが認められていない点で
ある。もし科学的根拠が得られれば、その製品は特定保健用食品
(トクホ)あるいは機能性表示食品として、その健康維持機能を合
法的に表示することができる。これが国による「食薬区分」の規制
である。

 それでは、水素水が健康食品としての効能を示すことを示した
「健康な成人での臨床試験」はあるのだろうか? 現在のところ、
予備的な研究はあるものの、健康食品としての効能を示すような確
実な研究結果はない。だから、トクホあるいは機能性表示食品とし
ての水素水は存在しない。科学的根拠なしに効能があるような宣伝
を行えばこれは明らかなニセ科学であるだけでなく、処罰の対象に
なる。これが水素水ビジネスの実態であることを伝えたのが、産経
ニュースである。

http://www.sankei.com/life/news/160531/lif1605310016-n1.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 問題は水素水の種類や効用の話ではなく、健康食品として売られ
ている「水素水」の有効性だろう、ということです。

 この問題に対して、毎日新聞の小島記者が、こんな記事を発表し
ています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

<記者の目>「水素水」論争に向けて=小島正美(生活報道部)

■「エセ科学」とは言えない

 水素水の健康に対する効果をめぐり、議論が活発になっている。
賛否両論の中には「エセ科学」「ただの水」から、何にでも効くか
のような宣伝まであるが、現在のところ、健康な人が飲んだ場合の
データはほとんどなく、一方で患者を対象とした水素の摂取による
臨床研究は着実に進んでいる。病気の治療に役立つ可能性をつぶさ
ないためにも、水素水に関する科学的で冷静な議論に期待したい。

■臨床研究が進展、治療効果に望み

 私も当初は水素水に疑念を抱いたが、臨床研究報告がいくつかあ
るのを知り、昨年12月から取材を始めた。従来の「何とか水」と
は異なることに気づき、「くらしナビ ライフスタイル」面に「水
素で治療 効果いかに」(4月9日)を書いた。

 そのころからメディアが水素水ブームを取り上げるようになった。
否定的な評価が目立つが、一つの混乱がある。市販の水素水と臨床
研究で使用する水素水は基本的に同じものだが、健康な人が水素水
を飲む話と、水素水を使って水素が病気に及ぼす効果を科学的に研
究する話をごちゃ混ぜに議論していることだ。

 培養細胞の実験などで、水素の分子が有害な活性酸素を抑えるこ
とが大澤郁朗・東京都健康長寿医療センター研究所研究副部長(分
子老化学)らの研究で分かり、2007年に米医学誌「ネイチャー
・メディスン」に発表された。以後、水素の医学的作用を確かめる
数多くの試験が始まった。

 07年論文の筆頭執筆者となった大澤さんは「科学者は疑うのが
商売だ。少量の水素が生物の体内に入っても、効果はないことを証
明するために実験を始めた」という。ところが、水素の吸入、経口、
点眼などによる動物実験で、脳梗塞(こうそく)やパーキンソン病、
緑内障などの症状を改善させる効果があるのを知り、「水素が病気
の治療に役立つと確信するようになった」と研究の経過を語る。

 現在、効果が研究されているのは分子状の水素であり、400本
を超す論文がある。うち約20本はリウマチなど患者を対象にした
臨床試験だ。ただし、医薬品の臨床試験のように、被験者に内容を
知らせず、水素水と偽の水素水を飲ませて効果を比べる信頼性の高
い無作為比較試験を行ったものは約10本と少なく、試験での症例
数も少ない。

 現状では、水素を含む水や水素点眼剤などが薬として承認される
段階ではないが、脳梗塞の回復時など救命救急分野で水素ガスの吸
入が薬に近い成績を上げており、慶応大学病院の研究者は薬の承認
を目指している。

■健康な人の予防、ビジネスと区別

 問題は、水素水を飲むことによる効果の証拠がまだ十分にそろっ
ていない段階で、水素水ビジネスが盛んになってきたことだ。市販
の水素水は今のところ、一定の科学的な証拠を基に何らかの健康効
果を表示できる「機能性表示食品」や「特定保健用食品」(トクホ)
にはなっていない。まして、がんや認知症などに効果があるかのご
とき宣伝は明らかに行き過ぎだ。また、水素は時間がたてば自然と
抜けてしまい、水の中に残っている量は減少する。

 エセ科学問題に詳しい天羽(あもう)優子・山形大学准教授(化
学物理)は「水素が臨床研究で一定の効果を上げていることは否定
しない。しかし、健康な人が市販されている水素水を飲んだからと
いって、臨床試験で示された病気(脳梗塞など)の予防になるかと
言えば、予防のデータはない」と、臨床研究と水素水ビジネスを分
けて考える必要があると強調する。

 水素に過剰な期待が寄せられる背景には「水素が活性酸素を抑え
る」という言い方にもあるような気がする。水素の作用メカニズム
の解明を目指す大野欽司・名古屋大学大学院教授(神経遺伝情報学)
の研究で、水素の作用の本質は活性酸素の抑制ではなく、水素がヒ
トの細胞内の分子に作用し、遺伝子の働きを調節することも分かっ
ている。

 水素は活性酸素を抑えるから健康に良いという単純な話ではない
のだ。

 現状では、臨床研究に着目すれば「効果がある」とも言えるし、
市販の水素水が機能性表示食品にさえなっていない点に着目すれば
「効果がない」とも言える。水素水のどの側面を見るかでどちらも
成り立つ。

 私が期待するのは、患者を対象とする臨床研究の進展であり、健
康な人を対象とする水素水ビジネスの繁盛ではない。偏った見方が
強くなって、臨床研究が滞るのはよくない。消費者は水素水ビジネ
スの宣伝文句に踊らされることなく、どういう研究が進んでいるか
を自分で調べて冷静に判断することも必要だと思う。

http://mainichi.jp/articles/20160623/org/00m/040/008000c
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「疑似科学批判」の立場の人の中には、「『エセ科学』とは言え
ない」という見出しに反応して、毎日新聞はインチキ商法を擁護し
ていると誤解した人も多かったようです。

 新聞記事でも、記事を書く人と見出しをつける人は違います。こ
の見出しは確かに誤解されるものでした。

 ただし、記事の内容そのものは以前私が書いたものとほぼ同じで
す。

 水素水の研究そのものは真面目なもので、今後に期待したいが、
現在売られている「水素水」はそれとは関係のない、イメージだけ
の商品だということです。「機能性表示」にチャレンジするものが
一つもない、ということがそれを裏付けています。

 蛇足ですが、「水素水」は健康食品としては効能はありませんが、
安全性は十分にあると思います。同じ騙されるなら、それほど高価
でない「水素水」にしておくのが吉ということです。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 このところ、結構真面目に減塩しています。

(1)食卓で醤油、ソース、マヨネーズ、ドレッシングの類は使わ
ない。

(2)味噌汁・スープの類は飲まない。

 というくらいですが、ある程度の減塩にはなっていると思います。
何も付けない生野菜を食べていると、イモムシの気分も味わえます。

 いしいひさいちのマンガで、「木の葉定食」のおかずが本当の木
の葉で、バイトくんが「オレたちはカミキリムシか!」というのが
ありましたが、まああんなものです。

------------------------------------------------------------
-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/
-868号----------------- e-mail why@kenji.ne.jp -------------
--発行--渡辺--宏------- URL http://food.kenji.ne.jp/
------------------------------------------------------------
「宮沢賢治の童話と詩 森羅情報サービス」
http://why.kenji.ne.jp/
------------------------------------------------------------
 購読者数3790名です。ご購読ありがとうございます。
------------------------------------------------------------
私あてのメールのあて先は、
why@kenji.ne.jp
私のホームページ(「[\]安心!?食べ物情報」)は
http://food.kenji.ne.jp/ です。
バックナンバーもすべて、このページで読めます。
【まぐまぐ】
このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を
利用して発行しています。( http://www.mag2.com/ )
マガジンIDは21668です。
このメールマガジンの登録や解除は
http://food.kenji.ne.jp/food2.html へ。
-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/