安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>853号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------853号--2016.03.13------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「ニュースから」「食物アレルギーの話」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 まずは「景品表示法違反(優良誤認)」という事件です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■ほとんどが中国やインド産なのに国産茶葉思わせる包装 熊本の
会社に再発防止命令

 消費者庁は10日、茶葉の大半は外国産なのに国産と思わせるパ
ッケージにしたのは、景品表示法違反(優良誤認)に当たるとして、
熊本県大津町の茶製造販売「村田園」に再発防止を求める措置命令
を出した。

 調査した公正取引委員会九州事務所によると、対象商品は「大阿
蘇万能茶」など4銘柄。トウキビや大麦を中心に16〜20種類の
茶葉や穀物を混ぜた「混合茶」で、国産は3種類の一部だけでほと
んどが中国やインドといった外国産だった。

 しかし、同社は平成21年ごろから茶葉の包装に「阿蘇の大地の
恵み」と記載、日本の山里を思わせるようなイラストを入れていた。

 村田園によると、4銘柄で年間10億円程度を売り上げていた。
担当者は「販売先や消費者から聞かれたら外国産と答えており、国
産を装ったということはない。法に疎かった面もあり、5月ごろま
でに包装を変えたい」としている。

http://www.sankei.com/affairs/news/160310/afr1603100046-n1.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 これはちょっと微妙な話で、明白な虚偽表示というわけではなく
て、メーカー側にウソをついているという意識はなかったのでしょ
う。

 でも、全体の雰囲気が誤認を招いてしまうだろう、という指摘で
す。こういう事例は探せば他にもあるような気がします。

 次も微妙な「違法」広告の話です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■サン・クロレラ販売巡る差止訴訟  チラシの違法性、判断せず

 サン・クロレラ販売を巡る広告の差止請求訴訟が新たな局面を迎
えている。2月、広告の差し止めを認めた一審判決から一転、大阪
高裁が原告である京都消費者契約ネットワーク(KCCN)の訴え
を退けたためだ。判決では、一部で"バイブルチラシ"とも揶揄され
る広告手法の違法性の判断も避け、その違法性は宙に浮いた状態に
なっている。一方、今回の判決で国が認定した適格消費者団体にの
み与えられた「差止請求権」は窮地に陥っている。その"限界"が露
呈したためだ。

□「商品広告」認定で波紋広がる 

 サン・クロレラ販売を巡る訴訟が注目されていたのは、理由があ
る。一審判決が、従来の「商品広告」の定義を覆すものであったた
めだ。

 広告の定義は薬機法(旧薬事法)に示されている。「顧客を誘引
する意図がある」「特定の商品名の表示がある」「一般人が認知で
きる」の3要件を満たすものだ。

 一方、サン・クロレラ販売が日本クロレラ療法研究会(研究会)
を通じて行っていたとKCCNが指摘するチラシには、「商品名」
の記載がない。このため薬機法や景品表示法の規制を免れてきた。
過去には警察当局の追及すら逃れている。

 だが、一審の京都地裁は、チラシを「商品広告」と認めた。理由
は、サン・クロレラ販売と研究会が実態として"一体"であると見た
ため。「『商品名』の記載がなくても消費者が広告で行われた不当
な説明に誘導され、商品購入に至る場合、景表法の規制対象としな
ければ規制目的を達成できない」(判決文)というのがその理由だ。
その上で、広告の内容が景表法上の「優良誤認」にあたるとも判断
した。

 この判断は、サン・クロレラ販売のチラシだけでなく、多くの企
業が行う広告手法に影響をもたらす。同社ほどでないにしろ、似た
ようなスキームの広告はさまざまな企業で行われていたためだ。

□「差し止めるべきチラシがない」 

 一方、大阪高裁ではサン・クロレラ販売と研究会の一体性、つま
り"広告を配ったのは誰か"という判断を避けた。同社がすでに研究
会チラシの展開を止め、差し止めの対象となった研究会チラシを
「今後も配らない」と明言したためだ。加えてこれを理由にKCC
Nの請求を退けている。「差し止めを行う対象となるべきチラシ自
体がない」ためだ。

 争点のチラシ自体がないため、当然、景表法上の違法性も判断さ
れていない。ちなみに2014年6月時点の状態であれば「サン・
クロレラ販売が配布主体にあたる」との判断は下している。

 判決に、サン・クロレラ販売は「判決を評価している。もともと
研究会と販売者が未分離の部分はあった。今は明確に分離した」
(代理人弁護士)とコメント。KCCNは「違法性を認めているわ
けではなく、いつまたやるとも限らない」と問題視。3月2日、最
高裁に上告している。

□「広告変更」で逃げ切りか

 判決では、今回のようなケースが「商品広告」にあたるかの判断
が避けられ、グレーな状態に据え置かれたままになった。一方で、
このことから新たな問題を浮上している。「差止請求権」の限界だ。

 一審判決では、健食素材であるクロレラについて「免疫力を整え
る」「高血圧・動脈硬化予防」など5表現、同ウコギについて「抗
アレルギー」など5表現の差し止めを認めた。だが、訴訟で争われ
るのは、あくまでこれまで配っていたチラシ。その広告自体、差止
請求を受けた事業者側が「(チラシ等の)広告を行うのを止めた」
と宣言すれば、差止判決を回避できるという問題だ。「内容を変え
れば同種の広告を行い続けることが可能になり、堂々巡りになる」
(KCCN)とみる。差止判決が出た場合、その効果は一定範囲の
類似広告に及ぶものの、繰り返えされればその都度、差止請求に必
要な訴訟費用が重くのしかかってくることになる。適格団体の例で
はないが、実際、「差し止め」の対象がないことによる請求棄却を
行う判例が増えてもいる。

判決にこだわり最高裁へ上告

 KCCNは今後、「同種の広告が再配布されるおそれ」があるこ
とを理由に差止判決を求めていく。

 高裁判決に先立つ昨年8月、KCCNでは、和解案を提示。理由
は、「和解であれば類似広告の展開など、抜け道となる広告手法を
とれないようにすることができる」ためだった。一方、サン・クロ
レラ販売が和解に応じなかったことをもって「同種の広告を改めて
行うおそれがある」と、差止判決の必要性を訴えていく。過去の判
例には、違反行為を現段階で行っていないものの、「行うおそれが
ある」ことを理由に差止判決を下した例もあるという。

http://www.tsuhanshinbun.com/archive/2016/03/post-2448.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 法律の扱い方も、こんな話を聞くと難しいものだな、と思います。

 次はもう「出なくて当たり前」になってしまった食品の放射性セ
シウム検査結果の報告です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■食事のセシウム不検出 家庭調査で2年連続、コープふくしま

 コープふくしまは8日、昨年7月〜今年2月に実施した、家庭で
食事を1人分多く作って放射性物質を検査する「陰膳(かげぜん)」
調査の結果を発表、放射性セシウムが検出限界値(1キロ当たり1
ベクレル)を超える世帯はなかった。全世帯が検出限界値未満だっ
たのは2年連続。コープふくしまは「生産者の努力や検査体制の充
実などが結果につながっている」としている。

 子育て世帯を中心に、全県から100世帯を選んで調べた。ほぼ
全ての世帯で、自家栽培や購入した県産食材を利用していたという。

 各世帯の2日分、朝昼夕の実際の食事を均一に混ぜたものを測定
した。原発事故に関係なく食品中に含まれる放射性カリウムは1キ
ロ当たり16〜60ベクレルで、2011(平成23)年度から実
施しているこれまでの調査と同程度の数値だった。

 これまでの調査では、11年度は100世帯中10世帯、12、
13年度は200世帯中それぞれ9世帯、6世帯で検出限界値を超
え、最大1キロ当たり11.7ベクレルを検出したが、食品の基準
値(同100ベクレル)は大幅に下回っている。

http://www.minyu-net.com/news/news/FM20160309-056197.php
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 これ以上、検査を続ける理由はないですね。

 最後はこのところずっと下げ続けている食物価格の話です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■輸入小麦、7.1%値下げ 4月から農水省

 農林水産省は9日、国が輸入して製粉会社に売り渡す小麦の価格
を4月から平均7.1%引き下げると発表した。値下げは2015年10月
(マイナス5.7%)から2期連続。オーストラリアなどの世界的な
豊作に加え、原油価格下落で輸送費も下がったためだ。

 値下げ後の平均価格は1トンあたり5万2610円となる。農水省は
食パン1斤(400グラム)あたり0.9円の値下げ要因になると見てお
り、「影響は限定的」と説明している。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS09H2H_Z00C16A3EE8000/
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 小麦の価格というのは100グラムで50円くらいなんですね。
だから小麦粉になってもあんなに安いんだ…。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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今回は休みます。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「食物アレルギーの話」
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 非常にわかりにくいですが、乳児の食物アレルギーに、「早期の
離乳食」が効果がありそうだ、という研究結果がありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■乳児に3ヶ月からアレルギーをおこす食品を与えることがアレル
ギーを予防するかもしれない

 乳児に3ヶ月からアレルギーをおこす食品を導入することが、推
奨量を摂取した場合、アレルギー予防に役立つかもしれないことを
発見したFSAが行った大規模の新しい研究がNEJMに発表された。

 この研究は母乳を与えられていてアレルギーをおこす食品を3ヶ
月から与えた乳児と、6ヶ月まで母乳のみで6ヶ月以降に食品を与
えた乳児とを比べた。

 全体として早期にアレルギーをおこす食品を与えられた群の方が
食物アレルギーが少なかったが統計学的有意差はなかった。全ての
食品の早期導入は簡単ではなかったが安全であった。アレルギーを
おこす食品を推奨された量摂取できた乳児では全ての食物アレルギ
ーは2/3減った。

http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20160307#p8
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 この記事は「食品安全情報blog」に載っていたのですが、以下に
続報もあります。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■乳児の食物アレルギー予防−早期摂取か忌避か?

 何十年にもわたって、我々は食物アレルギーの増加を食い止める
ために保護者に子ども達をアレルギー源となる食品に晒さないよう
に薦めてきた。早期暴露が感作につながるという考えに基づいて。

 1年前にピーナッツアレルギーの発症リスクの高い乳児にピーナ
ッツを早期に与えることが劇的にリスクを下げるというLearning
Early about Peanut Allergy (LEAP)試験の結果がこの考えを改め
させ、10の国及び国際医学会がハイリスク乳児の一次予防のための
ピーナッツ導入についてのコンセンサス声明を発表した。

 LEAP試験のアプローチは一般の子どもにも、他のアレルゲンにも
有効だろうか?PerkinらがEnquiring about Tolerance (EAT)試験
でこの疑問に答えようとした。1300人以上の乳児を無作為に母乳の
みと6つのアレルゲンの早期導入群にわりつけた。

 早期導入群は週にピーナッツバター丸いティースプーン3杯、小
さな卵1個、牛乳で作ったヨーグルト2つ(40-60g)、ゴマペースト
ティースプーン3杯、白身魚25g、小麦ベースのシリアルビスケット
2枚を与えるよう指導された。一次アウトカムは参加者の6つの食品
のどれかへの食物アレルギーの割合で、早期導入群は5.6%、標準群
は7.1%で統計学的有意差はなかった。

 この研究デザインは参加者の負担が大きいことに研究者は気がつ
いていて、早期導入群でプロトコールに従うことができたのはたっ
た42.8%だった。しかしプロトコールに従った場合では早期導入群
の一次アウトカムは標準群(7.3%)より有意に低かった(2.4%)。

 但しこの違いは親が乳児にある食品を与えた時に嫌がったために
与えなくなった結果である可能性もあるため解釈には注意が必要で
ある。

 この研究では早期導入は安全であることを示したものの順守率が
低いことは現実にはさらに大変である可能性を示唆する。順守率が
最も高かったのは乳製品で卵は難しかった。この差は3-4ヶ月の乳
児の口の運動能力に関係する可能性がある。

 これらの食品を与えるのが安全なら、必要な最小量はどのくらい
だろうか?どういう方法が最も効果的だろうか?簡単なやりかたは?
このような問題に答える必要があるだろう。

■早期のピーナッツ摂取とピーナッツアレルギーを調べた二つの研
究への専門家の反応

□Imperial College Londonアレルギーと臨床免疫学名誉教授
Barry Kay教授

 2007年に発表された保健省の「生まれてから5才まで」ではピー
ナッツやピーナッツ製品は「アトピーやアレルギーの家族歴のある
赤ちゃんには3才になるまで与えるべきではない」と薦めていた。
この助言にも関わらず、アナフィラキシーによる死亡を含むピーナ
ッツアレルギーは増加し続けた。

 2015年に発表されたLEAP試験の最初の結果で、Lack教授らは全く
逆のことを発見した、つまりハイリスク乳児への管理下での最初の
11ヶ月以内のピーナッツの早期導入は、食物アレルギーから守るこ
とと関連があった。

 このチームは現在この影響力の大きい仕事のフォローアップを行
っていて、5年の治療のあと、1年ピーナッツ投与を中止しても耐性
が維持されていることを示した。

 一緒に発表された研究では、彼らは母乳を与えられている乳児の
アレルギーをおこす食品を早期に導入することも食物アレルギーの
頻度の少なさに関連することを示した。

 この論文では実験計画に従った人たちと従わなかった人たちの間
に統計学的有意差がある(計画に従った人たちの食物アレルギーの
頻度が少ない)がグループ全体では有意差はない(つまり計画に従
わなかった人たちも含めた治療群)。

 これらは10年以上に渡り従事してきた研究者チームの画期的研究
である。この結果はリスクの高い乳児のアレルゲンとなる食品への
トレランスメカニズムについて完全に新しい視点を提供し、厳密な
実験に基づいた予防のための助言を提供する。

 これらは食物アレルギーの分野でこれまで発表された最も重大な
研究に入り、英国の臨床研究の創意と献身の証明である。

 注意が必要なことがある−これらの研究は訓練されたアレルギー
専門医が管理下で行ったものである。一般に新しい助言をするには
まだ確認すべきことがある。例えば耐性を誘導するにはどのくらい
の量の食品が必要なのか、耐性誘導に遅すぎる年齢はいつなのか?
また両親が与えやすい食品の作り方を巡る問題もある。だからまだ
自宅ではやってみないように。

□Michael Walker Consulting 社の政府の化学者のコンサルタント
レフェリー分析家Michael Walker

 本日NEJMに発表されたLEAP-Onと EAT研究は我々の食物アレルギ
ー予防についての知識をさらに加える重要なものである。どちらも
素晴らしいチームにより高い水準で行われた。特に参加率と順守率
は素晴らしい。

 LEAP-On研究はピーナッツアレルギーになるリスクが高い乳児で
行われた。定義は皮膚プリック検査で卵アレルギーがあること及び
/または重症のアトピー性皮膚炎があること。2015年の先のLEAP研
究ではこのようなハイリスクの乳児は、11か月齢以前からピーナッ
ツを頻繁に食べると5才の時のピーナッツアレルギーから保護され
るという、直感とはやや違う結果を発見した。

 LEAP-Onではこの早期ピーナッツ導入による保護作用が、12ヶ月
間ピーナッツを食べなくても継続していることを発見した。

 一方EATでは一般人の母乳を与えられている乳児に6つのアレルギ
ー食品を導入した。ピーナッツと調理した卵で期待できる知見があ
り、早期導入では一般的に食物アレルギーが少なかった。保護者は
この研究の結果を自分で再現しようとしてはならず、一般的ガイド
ラインに従うべきである。つまり母親には母乳を与えるよう薦め、
離乳は適切な時期に多様な食品を与えるという常識的な態度である。
ハイリスク乳児の保護者は医師に相談すべきである。

http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20160307#p8
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 しばらく前から、早期に与えた方がよい、という報告が散発的に
ありました。いよいよこの流れは主流になっていくようです。

 以下は日本のお医者さんのサイトでの、この件の解説です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■食物アレルギーの仕組み

 食物アレルギーって気になりますよね.

 最近,子どもが食物アレルギーを起こす仕組みがかなり分かって
きました.仕組みを知れば,予防できるかもしれません.ここでは,
小さい頃の食物アレルギーを例に出して,解説してみます.

 アレルギーはもともと,体の中に不要な異物を入れないような仕
組みです.とくに必要のないものが,何度も繰り返し体の中にまで
入ってくると,その物質に対してアレルギーを持つようになるので
す.

(略)

 例えば,卵や小麦も人体にとってはもともとは異物です.ですが,
普通の人にとって,卵や小麦はとっても大切な栄養分になります.
美味しいですよね.わたしも卵料理大好きです.

 だけど,一部の子どもさんでは,卵や小麦を食べるとじんましん
が出たり,ひどい場合にはアナフィラキシーという強い症状が出る
ことがあります.なぜでしょうか?

 昔から,小さい頃に湿疹が強い場合,食物アレルギーを起こしや
すいということが経験的に分かっていました.また,実は,わたし
も最近,多くの小児科の先生と共同で調査を行い,小さい頃に乳児
湿疹がある赤ちゃんは将来のアレルギーや気管支喘息を起こしやす
いということがはっきり分かりました.

 良く勘違いされていますが,乳児湿疹そのものは,アレルギーで
起こるものではありません.湿疹は皮膚の下の炎症です.生まれつ
き皮膚が弱い子どもでは,さまざまな刺激が皮膚の下にまで伝わり
やすいので乳児湿疹を作るのです.

 ということは,乳児湿疹がひどいお子さんほど,生まれつき皮膚
が弱いという性質を持っているわけです.

 上で示した,繰り返し異物が体内に入るとアレルギー抗体が産生
される!という原則を思い出してください.

 例えば,卵はどこの家庭でも食べますね.卵料理をすると,たく
さんの卵が飛び散っています.実際,家のほこりを調べると,たく
さんの食物の破片が見つかります.これは分子レベルの話ですので,
目には見えません.

 また,お母さん,お父さんもお料理の後で手を洗ってから子ども
を触りますか?よほど汚いものならともかく,食事の後で手を洗う
必要なんて感じないですよね.そのまま触っちゃうという人がほと
んどでしょう.

 卵の分子はある程度の大きさがあります.皮膚が丈夫だと,皮膚
と皮膚の間の隙間が小さいので卵分子が中に入ってくることはあり
ません.

 だけど,皮膚が健康でない子(乳児湿疹のある子)だとどうなる
のか?皮膚と皮膚の隙間は大きいでしょう.

 ですので,卵の分子が皮膚と皮膚の隙間をぬって入ってきてしま
うのですね.

 しかも,乳児湿疹があると,皮膚の下には炎症性の細胞が集まっ
ています.その中にはリンパ球もいるので,何度も何度も卵の分子
が触れることになります.

 結果として,リンパ球がアレルギーリンパ球に変化し,卵をブロ
ックするためのIgE抗体を作るようになります.

 IgE抗体がたくさん作られるようになると,リンパ球から放出さ
れて,血液の中に入ります.

(略)

 以上のようなメカニズムが理解できたでしょうか?

 次にそういったアレルギーを防ぐ方法を考えてみましょう.

 ひとつは,赤ちゃんの肌からさまざまな異物を入れないようにす
る,ということです.

 スキンケアが大切ということですね.

 ただ,スキンケアというと,何度も石鹸で洗って,肌から雑菌を
除くということと勘違いしている人もいます.実は,肌の上の雑菌
の種類が多いほどアレルギーが抑えられるということが分かってい
ます.せっせと石鹸で洗うのは,アトピーを作ってるようなもので
す.

 そうじゃなく,皮膚を強く保つことが必要です.ひとつは皮膚を
保湿することです.皮膚は乾燥すると弱くなり,隙間が多くなるか
らです.

 当院では,プロペト等のワセリンを塗布することをお勧めしてい
ます.ワセリンを皮膚の上に塗ることで,皮膚の上に油の膜がはり
ます.異物が入ってきにくくなると同時に,保湿作用もあるので,
一石二鳥です.ただし,1回の塗布で効果は数時間ですので,1日
に何度か塗らないといけません.

 もうひとつ重要なことは,皮膚の下のリンパ球の働きを抑えてお
くことです.これにはステロイド軟膏が有用です.ステロイドは怖
いというイメージがあるかもしれませんが,適切に塗っていただけ
れば,副作用の心配はまずありません.塗る目的は皮膚を美しくす
ることではなく,TARC値を下げて,アレルギー体質を作ってしまう
ことを防ぐためです.

 最後に,もっとも大切なことを書いておきます.

 食べ物は皮膚から体内に入ってくると異物です.それに対しては
アレルギー抗体を作ります.

 だけど,普通の人は意識しないで食べますよね.なぜでしょう?

 人の体の中で,もっとも活発に抗体を作っているのは,腸管です.

 腸の中には無数のリンパ球がいて,体を守るための抗体を常に作
っています.

 この抗体はIgG抗体といいます.ばい菌やウイルスに対する抗体
もIgG抗体です.

 たとえば,卵のIgE抗体を多少持っていても,十分なIgG抗体があ
れば,IgE抗体は働きません.通常,体内ではIIgE抗体よりIgG抗体
の方がずっと多く産生されるので,食べさせることができれば,食
物アレルギーは治ります.

 ほとんどの人が卵アレルギーではないのは,小さい頃から自然に
食べていたからなのですね.卵に対するIgG抗体をたくさん持って
いるのが普通です.

 近年,大規模な疫学調査で,卵を食べさせるのが遅れれば遅れる
ほど,卵アレルギーが多くなるということがはっきりしています.
生後6か月までに卵を食べた子と,1歳まで食べさせなかった子ど
もでは,将来のアレルギーにはっきり差が出てきます.

 赤ちゃんは小さいほど腸管の免疫細胞が活発に働きます.その間
に食べさせていないと,うまく正常抗体が誘導できないからです.
遅くとも2歳頃までに食べさせないと,アレルギーが治らない可能
性が高くなってしまいます.

 最近は食物アレルギーの子どもさんが激増しています.これは,
小さい頃にアレルギーを怖がって食べさせない親御さんが増えたこ
とが原因です.

 また,10数年前からアレルギー検査が普及してきたので,患者さ
んも希望されます.赤ちゃんはもともと肌が弱いですから,血液検
査を行えば少量のアレルギー抗体が検出されることが多々あります.
結果,“危ないから”ということで除去されてしまうわけです.実
際には,ほとんどのお子さんは安全に卵を食べることができ,その
結果食物アレルギーは治ってしまうのですが..

 リスクを怖がるあまり,余計な病気を作ってしまっていたのです
ね.

 当院では,できるだけ食物アレルギーを起こさないように,少量
の卵負荷をお勧めしています.多少の発疹が出ても,続けていくこ
とで正常免疫を誘導し,将来のアレルギーを防ぐためです.

http://www009.upp.so-net.ne.jp/tatsuo/eczema2.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「食物アレルギーは皮膚から」というのはちょっと驚きです。し
かも普通の家の中には、原因となる食品自身の粒子がふんだんに飛
散しているとなると、驚く人は多いのではないでしょうか?

 また、「食物アレルギー」→「アトピー性皮膚炎」ではなくて、
「皮膚の状態悪化」→「食物アレルギー」という順序だというので
す。

 まさにコペルニクス的転回ですが、なるほど!と私は思いました。

 以下もほぼ同様の内容ですが、これは書物からの引用で書いてい
るようです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 離乳食を始めるときに「食物アレルギー」が気になるママは多い
ことと思います。そんな不安がある中で「離乳食開始時期は遅くし
たほうが、アレルギー予防になる」というウワサがよく語られます
が、それは全くのまちがいです!

■「卵を食べると食物アレルギーになる」はカン違い

 赤ちゃんが初めて食べた物で「じんま疹が出た!」というとき、
お母さんはその瞬間に「食物アレルギーになった」と思ってしまい
ますね。でも、それは違うんです。そもそも、「食物アレルギーに
なる」とはどういうことか、ここで整理して考えてみましょう。

 ウイルスや細菌などの異物が入ってきたときに、私たちの体では
「抗体」がつくられ、これらの外敵をやっつけようとする「免疫」
という仕組みが働きます。ところが、この免疫の仕組みが、食べ物
や花粉など、私たちの体に害を与えない物質に対しても「有害だか
らやっつけろ!」と過剰に反応し、攻撃してしまうことがあります。
これが「アレルギー」です。

■卵のアレルゲンは家中にあります

 アレルギーの原因となる物質を「アレルゲン」といいます。食べ
物以外にも、花粉、ダニ、ハウスダストなど、身のまわりには多く
のアレルゲンがありますね。中でも、卵、牛乳、小麦などの食べ物
のたんぱく質がアレルゲンとなる場合を、「食物アレルギー」とい
います。

 実は、食べ物のアレルゲンは、空気中にもあるんですよ。ふつう
に卵料理を食べている家庭なら、食卓まわりのホコリを検知キット
で計測すれば、高濃度の卵アレルゲンが出てきます。アレルゲンは
口、鼻、目、皮膚などから体に入ってきて、これをやっつけようと
する「IgE抗体」がつくられます。そして初めて卵を食べたとき、
IgE抗体にアレルゲンが結合すると、アレルギー症状が引き起こ
されます。つまり、抗体ができてしまうことが先にあって、食べた
ら症状が出た、ということなのです。

http://mama.shufunotomo.co.jp/shiritai/?p=30836
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 このネタ元の書籍は以下のような本です。

■『食物アレルギーをこわがらない! はじめての離乳食』

監修/伊藤浩明(あいち小児保健医療センター 副センター長)
   上田玲子(帝京科学大学 こども学部教授)
発売日:2015/12/2
定価:本体1,200円+税

 この本、googleで電子書籍化されていて、全体を読むことができ
ます。

https://goo.gl/TGmNxH

 今回引用したような話は冒頭に簡単に出てくるだけで、あとは離
乳食の作り方なんかの実用的な記事の方が多く、子育て中の人には
役に立つと思います。

 「離乳食は早めに、何でも食べさせること」などということが常
識になる日は近いようです。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 3月から、私の携帯を楽天モバイルに換えました。2年前にドコ
モに換えるとき、端末無料、2年間2980円/月という契約でした。
2年経過して月額料金が上るので換えたのですが、通信量制限が今
までの1GB/月が3GB/月になって、料金も1600円/月になりました。

 ドコモの端末で他のキャリアに換えると、「テザリング」ができ
なくなるという現象があるのですが、「裏技」を見つけてクリアで
きました。(興味ある方はおといあわせを)先日買った3万円のモ
バイルノートと組み合わせると、結構快適です。

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