安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>852号


-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/
--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------852号--2016.03.06------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「ニュースから」「事故の原因と責任」

-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/
--〔話題〕--------------------------------------------------

 まずはこんなニュースから、「機能性表示」食品ではなく、「ト
クホ」での違反です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■ライオンのトクホで誇大広告 消費者庁、健康増進法違反で初勧


 消費者庁は1日、ライオンが販売する特定保健用食品(トクホ)
の飲料を飲むだけで薬に頼らずに血圧が下がるような誇大な広告を
したのは健康増進法(誇大表示禁止)違反だとして、再発防止など
の措置を勧告した。同庁によると、トクホの広告をめぐる勧告や、
健康増進法の誇大表示禁止の規定に基づく勧告はいずれも初めて。

 誇大な広告があったとされた商品は「トマト酢生活トマト酢飲料」。
ライオンは平成27年9月〜11月、飲むだけで薬剤による治療に
頼らずに高血圧を改善する効果があるような内容の新聞広告をした。
同庁は消費者に誤解を与える誇大表示に当たると判断した。トクホ
は、健康維持や増進の効能表示が国に認められた食品。事業者が申
請し、効能の科学的根拠や安全性を内閣府消費者委員会などが審査
し、消費者庁が許可している。

http://www.sankei.com/affairs/news/160301/afr1603010030-n1.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 薬事法ではなく、健康増進法での勧告というのは珍しいですね。

 健康増進法には「誇大表示の禁止」という条項があるので、たぶ
んされに準拠しています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

(誇大表示の禁止)
第三十二条の二 何人も、食品として販売に供する物に関して広告
その他の表示をするときは、健康の保持増進の効果その他内閣府令
で定める事項(次条第三項において「健康保持増進効果等」という。)
について、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認さ
せるような表示をしてはならない。

2 内閣総理大臣は、前項の内閣府令を制定し、又は改廃しようと
するときは、あらかじめ、厚生労働大臣に協議しなければならない。

(勧告等)
第三十二条の三 内閣総理大臣は、前条第一項の規定に違反して表
示をした者がある場合において、国民の健康の保持増進及び国民に
対する正確な情報の伝達に重大な影響を与えるおそれがあると認め
るときは、その者に対し、当該表示に関し必要な措置をとるべき旨
の勧告をすることができる。

2 内閣総理大臣は、前項に規定する勧告を受けた者が、正当な理
由がなくてその勧告に係る措置をとらなかったときは、その者に対
し、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。

第三十六条の二 第三十二条の三第二項の規定に基づく命令に違反
した者は、六月以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

http://www.ron.gr.jp/law/law/kenko_zo.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 勧告に従わないときは命令を出すことができ、それでも従わなけ
れば「六月以下の懲役又は百万円以下の罰金」です。

 健康増進法には「受動喫煙の防止」という条項もありますが、残
念ながらこちは罰則規定なしです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

第二節 受動喫煙の防止

第二十五条 学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、
百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他の多数の者が利用する
施設を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫煙(室
内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされる
ことをいう。)を防止するために必要な措置を講ずるように努めな
ければならない。

http://www.ron.gr.jp/law/law/kenko_zo.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 次は「サバ缶にサンマ」というニュースです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■サバ缶にサンマ混ぜ輸出 信田缶詰「大変申し訳ない」

 サバ缶にサンマを混ぜて輸出すること、300万個。不正を続けて
いたのは、「サバカレー」で有名な老舗だった。

 カレーにサバという異色のコラボ。ごろりとしたサバは、カレー
に入れられても存在感抜群。ユニークなアイデアで、大ヒット商品
となった「サバカレー」。

 そのサバカレーで知られる、千葉・銚子市の水産加工会社「信田
(しだ)缶詰」が、2014年に製造し輸出した、サバの油漬け缶詰、通
称「サバ缶」の中に、サンマを混ぜて輸出していた。

 信田缶詰の馬場康正取締役総務部長は「大変申し訳なかった。多
大なるご迷惑をおかけして、申し訳ございません」と謝罪した。

 問題のサバ缶は、「MADKHANAH(マドカナー)」というブランドで、
イエメンなど、主に中東に向けて輸出。

 さらに、中身の半分以上がサンマであるにもかかわらず、原料に
「サンマ」と表示せず出荷していた。

 馬場取締役総務部長は「健康被害は、全く聞いておりません。そ
もそもサンマです。健康被害はないですが、表示が違いますので、
それはあってはならない」と話した。

 サンマが混ぜられたサバ缶は輸出用のみで、国内には流通してい
ないということだが、そもそも、外国の人は、缶詰のサバとサンマ
の違いがわかるものなのか。

(略)

 いったい、なぜ偽装が行われたのか。卸売価格を見てみると、1
kgあたり、サバは73円で、サンマが67円。

 しかし、漁獲量によっては、サンマの方が高くなることもあり、
一概に価格だけが偽装の理由ではないようだった。

 馬場取締役総務部長は「『やめた方がいいんじゃないか』という
話があった。注文はいただいていたが、原料が足りなかった。とり
あえず、注文に間に合わせるために使ってしまった」と話した。

 信田缶詰は、前年の2013年にも、サンマを混入させたことを認め
ていて、再発防止に努めるとしている。

http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20160303-00000886-fnn-bus_all
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 漁獲量の問題もあるのでしょうが、あまりに適当すぎる感じです。

 最後は「ボトルウォーター」の原料は話です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■コストコのボトルウオーター、原材料表示に「米国の水道水」

 アメリカ発祥の会員制量販店「コストコホールセール」で販売さ
れているボトルウオーターの原材料が「水道水」だった、として話
題を呼んでいる。

 このボトルウオーターは40本1000円未満という価格の安さで人気
を集めており、それゆえ「文句言いたくない」と納得する向きもあ
る。ただ、ほとんどは「衝撃を隠せない」「全然気付かんかった」
と驚きの声を上げている。

■500mlボトル40本で1000円未満

 「水道水」は、コストコのPB(プライベートブランド)として知
られる「KIRKLAND(カークランド)」から発売されている。正式な
商品名は「purified water(ピュリファイドウオーター)」で、
500ミリリットル入り。最も多く含まれる「原材料」の表示に「水
(水道水)」とあり、産地はアメリカとある。さらに表示を見ると、
これに塩化カルシウムと炭酸水素ナトリウム(重曹)を加え、ミネ
ラル分を調整している。

 硬度は1リットル当たり18ミリグラム。「EVIAN(エビアン)」や
「CRYSTAL GEYSER(クリスタルガイザー)」といった輸入飲料水は
もちろん「サントリー天然水 南アルプス」や「いろはす」など国
産の有名ミネラルウオーターよりも低い。カルシウムやマグネシウ
ムの濃度が低く、クセのない水と言えるだろう。

 そして、何よりも際立つのは価格の安さだ。コストコの店舗にあ
る自販機では1本30円で販売されているが、40本入りのパッケージ
だと1000円未満で購入できるようだ。一般的に1本100円前後で販売
される国産のミネラルウオーターと比べれば、その差は歴然だ。や
はり価格の安さは魅力的なのか、日本でも愛飲者は多いといわれる。

 日本では、各自治体の水道局がPR活動の一環でボトル詰めの水道
水を発売する例が多い。東京都の「東京水」や札幌市の「さっぽろ
の水」、神奈川県座間市の「ざまみず」、大阪市の「ええやん」な
どすでに数十種類が生まれている。しかし、「東京水」の価格も一
般のミネラルウオーター並みで、小売りチェーンの店頭にほとんど
並ばないため、一般家庭に普及しているとは言い難い。

 ピュリファイドウオーターはどのような水で、なぜ「水道水」と
して販売されているのか。日本ミネラルウォーター協会の担当者は
J-CASTニュースの取材に対し、「ピュリファイドウオーターはアメ
リカの飲料水に付けられるカテゴリ名の1つです。基本的に井戸水
であろうが、水道水であろうが、何を原水としても構いません。ろ
過してミネラル分を取った水であれば、そう名乗れます。製造コス
トが低いので、非常に安く手に入ります。味の面では『ごくごく普
通の水』と言えるでしょう」と話す。

 さらに、ピュリファイドウオーターから水に対する日本人とアメ
リカ人の嗜好性の違いも読み取れるらしい。

 「アメリカでは、後から成分を添加した飲料水に価値を見出す傾
向があります。その理由は分かりかねますが、コストコの商品が2
種類の添加物でミネラル分を補っているのもその表れと言えます。
一方、日本とヨーロッパの市場に流通する水のほとんどはナチュラ
ルミネラルウオーターですね。より加工されていない、天然のもの
を好む傾向があるからだと思います」

 日本のスーパーに水道水が並ばないのは、日本人が「安さ」より
「自然さ」を水に求めているから、というわけだ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160229-00000002-jct-soci&p=2
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 下手な「天然水」より「水道水」の方が安全だというのは常識と
して抑えておきたいものです。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

------------------------------------------------------------

今回は休みます。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「事故の原因と責任」
------------------------------------------------------------

 先日、「焼肉酒家えびすの集団食中毒事件」で経営者が不起訴に
なりそうだというニュースがありましたが、それに関連して、こん
なニュースがありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■えびす遺族、起訴を求める署名を提出

 5年前に起きた焼肉酒家えびすの集団食中毒事件で遺族が富山地
方検察庁を訪れ、先月、書類送検された運営会社の元社長ら2人の
起訴を求める署名を提出しました。

 2011年に起きた焼肉酒家えびすのユッケ集団食中毒事件で富山県
警などの合同捜査本部は先月15日、当時えびすを経営していた会社
の元社長と、当時、肉を卸していた会社の元取締役の捜査結果の書
類を富山地方検察庁に送りました。

 しかし、具体的な過失は特定されておらず、検察が不起訴とする
可能性が大きくなっています。

 これに対し遺族は2日、2人の起訴を求めるおよそ7000人分の署名
を富山地検に提出しました。

 家族の絆・久保秀智代表「なんで起訴にならないんだという意見
ばかりだった」「亡くなった息子の同級生で高校3年生になった子
たちも、学校をあげて一生懸命署名活動をしてくれた」「経営者、
運営管理者としての責任をとってほしいという思いしかない」

http://www.knb.ne.jp/news/detail/?sid=10461
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 気持ちはわかりますし、民事訴訟で賠償金をとるのは当然です。
でも刑事罰を求めるのは何か違うような気がします。

 日本人は処罰感情が強くて、死刑廃止が一向に進まないのもその
せいなんですが、事件や事故があったとき、処罰に走るのはとても
よくないクセです。

 検察審査会は一般人で構成されますが、このところよく暴走して
います。この件もこういう流れにならなければよいが…というのが
私の感想です。こういう流れとは、以下のような話です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■東電元会長ら強制起訴 有罪率25%、立証へ「壁」 制度見直
しの声も

 東京電力福島第1原発事故をめぐり、勝俣恒久元会長(75)ら
旧経営陣3人が29日、業務上過失致死傷罪で強制起訴された。今
後、刑事責任の有無が審理されるが、法律の専門家である検察官が
2度不起訴にしているだけに有罪立証への壁は高い。識者からは強
制起訴制度そのものの見直しを求める声も出ている。

 検察官は有罪の確信がある場合にのみ起訴するのが通例で、有罪
率は限りなく百パーセントに近い。これに対し、一般国民からなる
検察審査会が「民意」を反映して強制起訴した過去8件のうち、有
罪となったのは2件。検審は「少しでも有罪の可能性があれば起訴
して裁判で判断されるべきだ」と考える傾向があるとされ、有罪率
は25%にとどまる。

 平成21年5月に創設された強制起訴の制度設計に携わった元東
京地検特捜部検事の高井康行弁護士は「今回の検審の起訴議決は、
感情に流されたものだったのではないか」と疑問を呈する。

 また、犯罪成立を認める証拠が足りない「嫌疑不十分」で不起訴
になった事件について、「強制起訴の対象から外すよう制度を見直
すことが必要」と指摘する。事案が軽微だったり、示談の有無など
の事情を考慮し、検察官の裁量で起訴を見送った起訴猶予のケース
のみ対象にすべきだとの考えだ。

 未曽有の原発事故は1000年に1度とされる天災によって引き
起こされた。検察は刑法の予見可能性を問うのは難しいと判断した
だけに、高井弁護士は「全証拠に目を通したわけではない検審の審
査員が予見可能性があったと認めるのは無理がある。証拠を見ない
で証拠があると判断するのはおかしい」との見解を示す。

 重大事故などの過失事件では公開の法廷で当事者が事故の真相を
語るべきだとの声もあるが、「事故の真相を知るために起訴すると
いう考え方は刑事裁判のあり方からかけ離れている」と強調する。

 現状の制度では無罪になった際の責任の所在もはっきりしておら
ず、「強制起訴の判断が正しかったのか、被告人の被害回復をどう
するのか検証する仕組みも必要だ」と話した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160301-00000065-san-soci
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「嫌疑不十分での不起訴」と「起訴猶予」は違うという指摘は重
要です。「猶予」は判断の部分ですので、一般人の審査は有効です
が、「嫌疑不十分」は事実の部分なので、専門家にまかすべき、と
いうことです。

 嫌疑不十分または明らかに無実であるのに、責任者の社会的地位
などを勘案して処罰に走るのは間違っています。

 そのうえ、「業務上過失致死傷罪」での起訴というのには驚きま
した。原発事故で直接の死者は出ていないのに、どうしたことかと
思います。

 どうも避難行為による死者があったということらしいですが、あ
まりにも無理筋というものです。

 JR西日本の事故での「強制起訴」でも似たようなことがありま
した。これは高裁でも無罪が出ていますが、上告までしています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■指定弁護士が最高裁に上告 判例違反を指摘…「強制起訴制度の
意義全うできない」

 乗客106人が死亡した兵庫県尼崎市のJR福知山線脱線事故で、
業務上過失致死傷罪で強制起訴されたJR西日本の井手正敬(まさ
たか)元会長(80)ら歴代3社長を1審に続き無罪とした3月2
7日の大阪高裁判決を不服として、検察官役の指定弁護士は6日、
最高裁に上告した。

 3人は井手氏のほか南谷(なんや)昌二郎元会長(73)と垣内
剛元社長(70)。

 指定弁護士は上告後、神戸市内で記者会見し、「3社長には具体
的な予見可能性がない」とした高裁判決について、「法規制や鉄道
他社の安全対策のみを根拠に判断している」として判例違反がある
と指摘した。

 また、「検察審査会の議決を経て強制起訴に至った。大規模鉄道
事業者の社長として、どの程度予測すべきか最高裁判断を得ないと、
強制起訴制度の意義を全うできない」とした。

http://www.sankei.com/west/news/150406/wst1504060056-n1.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 この事故では多数の死者が出ているので、「業務上過失致死傷罪」
はまだわかります。

 会社の責任者にこの事故の責任を負わすのは無理筋なんですが、
事故の重大性から処罰感情に走ってしまいました。

 無実に決まっている人に、長期間の刑事被告人としての立場を味
あわせ、社会的にリンチを行うことが許されてよいものでしょうか。

 検察審査会に限らず、検察自身もときどきこのようなことをやり
ます。「薬害エイズ事件」のときがそうです。

 あの事件でも「業務上過失致死傷罪」で起訴されたのですが、死
んだのは被告の安部医師が診察もしていない患者でした。その上、
「過失」の罪であるのに、薬品メーカーとの癒着による故意だった
という論理矛盾のひどい訴訟でした。

 この裁判は無罪判決の後、控訴され、被告の死亡で打ち切りにな
りましたが、裁判自体がリンチのようなもので、マスコミも大いに
加担しました。

 ここで言いたいのは、こういう強すぎる処罰感情が、原因の糺明
と事故防止を阻害している、ということです。

 こんな話題を見てください。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■「正直な告白が事故を防ぐ」産業技術総合研究所中田亨氏の資料
がとてつもなく重要で「その通り!」と叫ぶ方多数

・解決よりも個人責任追及を重んじる日本ではなかなか難しいだろ
うな。なにかあるとすぐ「Why?Why?」だもの。責めて解決すると思
ってるのか。

・「ミスの報告」を叱責すると、無くなるのは「ミス」ではなく
「ミスの報告」なんですよね……。

http://togetter.com/li/926812
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 事故を防ぐためには当事者の責任を問うことは必要ないという意
見です。ここで紹介されているのは「ヒューマンエラー理論と対策」
という発表のスライドです。

 かなりのページ数のものですが、一部だけ紹介します。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

ヒューマンエラー理論と対策

産業技術総合 究 産業技術総合研究所
中田 亨
------------------------------------------------------------
安全工学周辺の考え方の変化
------------------------------------------------------------
従来            最近
------------------------------------------------------------
ミス、エラー、誤差     不確かさ

事故は努力で回避できる   事故はいつか必ず起こる

「安全」          防護 (protection)

度数率(事故件数)重視   強度率(死者数)重視

無事故           事業継続

間違えない個人       負けない組織(Resilience)

指導、通達、教育      コミュニケーション

自力対策。自己検証     第三者認証

事業部署の安全努力     内部統制

既知の危険源への対策    未知の危険源 安全立証

新技術は良い技術      予防原則(未知=危険→規制)

刑事裁判、過失罪      裁判外、処罰は無効、分析と予防

ユーザは犠牲者。保護    主体的ユーザ、知る権利

http://www015.upp.so-net.ne.jp/notgeld/humanerror.pdf
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 この表で「従来」の部分が今回批判している考え方です。右の欄
のように変わっていかねばならない、という意見ですが、私は全く
正しいと思います。

 福島原発事故の一番の教訓はこの従来の考え方が破綻したという
ことです。それなのにその間違った考え方をさらに徹底させようと
しているのが、「強制起訴」を支持している人たちです。

 このスライドの結論部分には、こんなことを書いています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------
------------------------------------------------------------
■正直な告白が事故を防ぐ
------------------------------------------------------------
□レンチ1本を紛失した空母の整備員

1.上官に報告
2.艦長まで報告が上がる
3.訓練停止。全力で捜索。全機を陸上基地へ帰還。
4.告白した整備士は表彰。

------------------------------------------------------------
□メガネを忘れた新幹線運転手

1.運転途中で気付く。裸眼でも一応見えた。
2.運行指令に報告
3.列車停止。対向列車で交代乗員を送り込む

------------------------------------------------------------
□自分のミスを即時に言ってもらえる組織は強い

恥ではない。表彰してもいい。

http://www015.upp.so-net.ne.jp/notgeld/humanerror.pdf
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ここで指摘されているのは「処罰」は「原因解明と事故防止」を
阻害するということです。

 それなのに「正義」を振り回す組織や個人が、責任者を吊るし上
げることに狂奔するのが日本人の悪いクセです。

 こういう関係は至る所にあり、迷走を続ける「原子力規制委員会」
についても、こういう指摘があります。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■日本とアメリカの原子力規制委員会の違い

 日本の原子力規制委員会(NRA)は、アメリカの原子力規制委員会
(NRC)と同じ名前を使っています。残念ながら、その中身は大きく
違います。

 NRCは、原子力安全に影響するリスクを正面からとらえて、リス
クを物差しとして発電所の安全を確保するために、事業者の活動を
絶え間なく監査しています。職員は専門職で、原子力専門家として
集中的かつ継続的な教育を進めることで世界トップクラスの人材を
養成しています。

 委員も総合的な立場から、意思決定を行い、その意思決定には責
任を負います。NRCの考え方を示す2つのキーワードがあります。

□「我々は事業者を信頼する、しかし監査する」

□「何がリスク上重要か?」

 一方の、日本の原子力規制委員会は、目の前に見えるリスクにこ
だわり、とにかく厳しければ良いという規制にこだわっています。
職員は役人で、中には原子力の専門家もいますが、各自の専門の蛸
壺(たこつぼ)に籠り、俯瞰的な視野でリスクを見る事ができる人
材は非常に少ないようです。

 4月に東京で行われた国際会議で、委員の一人は、活断層リスク
に対する質問に対して専門外であることを強調し、まともに答えま
せんでした。NRCでは考えられない事です。規制庁だけではなく規
制委員会まで信用を落としました。

 原子力安全は、発電所の総合的リスクを低減することによっての
み達成されます。しかし、現場や関係者との議論を避け、小さなリ
スクにこだわり、結果的に発電所の総合的リスクを増大させている
のではないかと危惧します。

http://agora-web.jp/archives/1531446.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 先日もまた活断層がどうとかいうニュースがありましたが、規制
委員会には活断層を判断できる専門家がいないのですね。その理由
は驚くべきことに、専門家はみな原発建設に協力したことがあると
いってパージされ、素人や門外漢のみでやっているからだとか。

 結果、議論にすらならないのです。そのあたりの話は以下をごら
んください。

■原発再稼働と“活断層” 〜原子力規制委員会の“有識者”たち
は本当に「有識」なのか?
http://gendai.ismedia.jp/articles/premium01/43555

 みんな真面目な顔をして、何をやっているのだ、と思います。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 私は宮沢賢治学会に出入りしていますが、宮沢賢治という人が地
質学を学んだ人だったという関係で、この学会には地質学者もいま
す。今回の最後の話はここで聞き及んだ業界内部では周知の事実で
す。

 『安部英医師「薬害エイズ」事件の真実』という本をやっと読み
ました。以下のところに批評が載っていますので、ぜひごらんくだ
さい。


『安部英医師「薬害エイズ」事件の真実』3
2011年10月25日 | 厳罰化
http://blog.goo.ne.jp/a1214/e/018e64f7c10b7e0375063b2dd141b374

------------------------------------------------------------
-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/
-852号----------------- e-mail why@kenji.ne.jp -------------
--発行--渡辺--宏------- URL http://food.kenji.ne.jp/
------------------------------------------------------------
「宮沢賢治の童話と詩 森羅情報サービス」
http://why.kenji.ne.jp/
------------------------------------------------------------
 購読者数3790名です。ご購読ありがとうございます。
------------------------------------------------------------
私あてのメールのあて先は、
why@kenji.ne.jp
私のホームページ(「[\]安心!?食べ物情報」)は
http://food.kenji.ne.jp/ です。
バックナンバーもすべて、このページで読めます。
【まぐまぐ】
このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を
利用して発行しています。( http://www.mag2.com/ )
マガジンIDは21668です。
このメールマガジンの登録や解除は
http://food.kenji.ne.jp/food2.html へ。
-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/