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--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
--------------------------------------83号--2001.06.10------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「鶏インフルエンザ」「アスパルテーム(Q&A)」「ホルモン剤
(Q&A)」「「ケチャップ」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 香港で鶏インフルエンザが流行しているということです。鶏の病
気なんですが、人間にも感染し、前回の流行時には死亡者を出して
いることから、大騒ぎになっているようです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

香港で鶏のインフルエンザウイルス感染が他の家きん類へも拡大、
好調な経済への波及が懸念されている。香港特別行政区政府は、こ
の週末だけで鶏、ガチョウなどの家きん類10万羽以上を処分した
ほか、今後2週間で家きん類約120万羽すべての処分を決めた。
7月半ばまでは香港のグルメ街から鳥料理が完全に消える。

http://www.mainichi.co.jp/news/selection/archive/200105/20/
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 中国内地からの輸入もストップしているのですが、ここにきて、
日本政府も中国産鶏肉の輸入を全面停止する、ということを発表し
ました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 鳥インフルエンザのうちトリインフルエンザウイルスの特定の血
清型(H5 又はH7 )によるものについては、高病原性であるこ
とから、家きんペストとして家畜伝染病予防法上法定伝染病に規定
されており、動物検疫により侵入防止に万全を期しているところで
あり、香港、マカオにおける発生に伴い直ちに家きん肉等の輸入停
止等の検疫措置を実施した。(略)

 今般、韓国当局が、中国からの家きん肉(家鴨肉)について検査
した結果、トリインフルエンザウイルス(血清型:H5N1)を分
離したため、中国産鶏肉と鴨肉等の輸入を全面禁止した旨の情報を
得た。(略)

 6月8日以降に中国から船積みされる中国産家きん肉等について
は、同国における清浄性を確認するまでの間、輸入を一時停止する
こととする。(略)

http://www.maff.go.jp/www/press/press.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 鶏インフルエンザですが、家鴨から発見されたという情報です。
鳥類全般に感染するようですね。人間にもうつるんですから、当然
といえば当然ですが。

 牛には狂牛病、豚には口蹄疫、鶏には鶏インフルエンザですか。
昨年からこちら、畜産業界は踏んだり蹴ったりですね。

 肉類の輸入では、牛はアメリカ・オーストラリア、豚は台湾、デ
ンマーク、鶏は中国、タイといったところが有名です。

 特に中国からの鶏肉は冷凍せずに、冷蔵肉として輸入されるため、
急激に輸入量を増やしています。品質的にも、国産の普通のブロイ
ラーより、良いものが入ってきますので、養鶏業界としては対応に
苦慮していると思います。

 各地で「地鶏」と呼ばれる特殊鶏肉を生産しているのは、その対
策として、付加価値をつけるために考えられたことです。これには
いろいろなものがありますが、有名どころは秋田の比内鶏、愛知の
名古屋コーチンなんかです。

 地鶏については、「特定JAS規格」というのが制定されていま
す。これは有機農産物などと同じように、国が基準を決め、民間の
認定機関が認定するもので、こんな基準なんだそうです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 地鶏肉の規格は、
 (1)生産方法についての基準
  (素びなの出生証明、飼育期間、飼育方式、飼育密度)
 (2)生産行程についての管理記録
 (3)地鶏の生産行程についての検査方法
 (4)表示についての基準
から構成されています。

 このうち、生産方法の基準については、次のとおりとなります。
 1.素びな 在来種由来の血液百分率が50%以上であること
 2.飼育期間 80日間以上
 3.飼育方式 28日齢から平飼いで飼育したもの
 4.飼育密度 28日齢から1u当たり10羽以下

 なお、規格の対象となる地鶏については「明治時代までに国内で
成立し又は導入され定着した鶏の品種」である在来種を父親又は母
親として使用することと定義しており、具体的に以下に例示する品
種を想定しています。
 (例)名古屋種、比内鶏、軍鶏、会津地鶏等

http://www.ofsi.or.jp/ofsi98/no30/jas.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「軍鶏(シャモ)」は闘鶏用の鶏です。「名古屋種」はいわゆる
コーチンで、鑑賞用の鶏として生き残っていたものです。いずれも、
肉用としては不利な条件を持っているのですが、味は良いものです。

 肉にするのには、雌の方が断然美味しいのです。大きな肉用の家
畜である牛の場合、雄牛は必ず去勢されています。鶏や豚では去勢
ということはしませんが、これは生殖年齢の達する前に食用にされ
るからです。

 ところが、闘鶏や鑑賞用というのは、要するに雄が重用される世
界なのです。このような鶏は全体に、雄はおおきくて立派だけれど、
雌は貧弱なものが多いのです。このことは肉用鶏としては、かなり
のハンディになります。

 80日齢以上、というのは、妥当な日齢で、だいたい雄鶏はこの
ころから出荷されていきます。雄を100日以上飼うと、まず食用
にはむきませんので、それまでに出荷してしまうことになります。
雌も120日ころになると卵を産み出しますので、100日前後で
出荷されていきます。

 飼育の期間が長い、ということは、設備・資金の回転が悪くなる
ということです。(エサ代は短期の飼育と比べて安いエサになりま
すので、比較的多くならないようです。)そのうえ、特に雌では、
身体が小さいので、とれる肉の量が少なく、キログラムあたりの生
産コストはたいへん高くなります。

 味は確かに良いので、すでに一定のファンがあり、そこそこの生
産量にはなっていますが、これが日本の鶏肉の主流になれるかどう
か、というと、疑問があります。

 かといって、通常のブロイラーでは、価格・品質共に輸入品に太
刀打ちできないのが現状です。今回の輸入禁止措置が、その辺にど
う影響するか、というのが気になるところです。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.食品添加物の食べ合わせで、「ダイエットコーラ(アスパルテ
ーム)とハンバーガー(炭水化物)を食べると精神障害になる」と
いう記事がありました。本当でしょうか?

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A.どうも悪質なデマが多くて困りますね。こういうのは、全部、
真っ赤な嘘だと思って、間違いないです。

 そもそも、「精神障害」というのは,どういうことでしょうか?
こういう、実態は不明だけれど、恐ろしげな言葉を使うのが、この
手の嘘を言う人の常套手段です。
(「環境ホルモンで子どもがキレる」などというのも、同類です。)

 ハンバーガーは、少し前は「ミミズが使われている」などと言っ
ていました。牛肉だったら良いのかと思っていたら、「牛肉はガン
になる」とか、「狂牛病になる」とか言ってきました。こんどは
「炭水化物」ですか・・。

 要するに、こういうことを言う人は、「私はコカコーラもマクド
ナルドも嫌いだ」ということを言いたいだけなのだと思います。そ
ういっても、誰も聞いてくれないので、こういう、人を驚かすよう
な言い方をするわけです。

 つきあうだけ時間の無駄ですので、無視されたほうが良いと、私
は思います。

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Q.ホルモン剤を使うと、どういう効果が出て、どういう害がある
のですか?
 あと、狂牛病についても教えてください。

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A.牛の成長ホルモンはアメリカでは、普通に使われているそうで
す。牛肉の生産コストは、飼育期間とその間に食べるエサ代が大き
な部分を占めていますが、成長ホルモンを与えることで、飼育期間
の短縮、飼料効率の向上がはかれる、ということのようです。

 害については、アメリカでは当然無害を主張しています。ホルモ
ン類は一般に生理活性があるわけですから、牛に使っているホルモ
ン剤を人間に投与したら、ちょっと問題があると思います。

 肉の中に残っているような量では、実際問題としては、ほとんど
影響がないでしょうから、あまり心配はありません。

 この問題は、「遺伝子組換え」と同じく、ヨーロッパとアメリカ
の農産物輸出競争の争いの道具に使われている、という面が強いと
思います。

 だから、あまり騒ぐこともないとは思いますが、こういうものを
どんどん使う、というやり方は、そろそろ反省して、もう少し目先
の利益を追わないやり方に変えていくべきだろう、と私は思います。

狂牛病については、以下のページをごらんください。
http://www.kenji.ne.jp/food/food18/food1810.html

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「ケチャップ」
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> 家庭科の先生に聞かれたのですが、教えて下さい。
> ケチャップはどこの国で出来たのですか。
> 語源はケチアップという塩漬け魚の汁だと聞きました。

というのと、

> ケチャップは、なぜケチャップというんでしょうか?

 というようなメールをいただきました。2つ同じ日だったので、
きっと家庭科の宿題か何かだったんでしょうね。

 私もよくわからなかったので、インターネットで検索してみまし
た。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 トマトや、マッシュルーム、クルミなどのつぶし汁に調味料を加
えたソースをケチャップといい、それぞれ原料の名を冠してトマト
・ケチャップ、マッシュルーム・ケチャップなどと呼んでいる。

 日本やアメリカではケチャップと言えばトマト・ケチャップが代
表的だが、イギリスではむしろマッシュルーム・ケチャップの方が
ポピュラーだ。語源は中国語のコエチァプ(茄汁または茄醤)から
と、マレー語のケチョップ(Kechop)からとの2説がある。

 日本では、蟹江一太郎(カゴメ株式会社の創立者)が、1903年
(明治36年)に試行錯誤の末、国産初のトマト・ピューレの製造に
成功し、これをふまえて、1907年(同40年)にトマト・ケチャップ
の試作品を作り出した。

http://www.matchbox.co.jp/zatu/zatu-ke.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------
--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 普通、調味料ソースと言えば野菜や穀物を中心にした物が多いで
すが、中には魚介類をベースにした《魚醤:ぎょしょう》と言われ
るものが多くあります。

 その中でマレーにある《ケチョプ:KECHOP》が、ケチャップの語
源とされています。

 それがヨーロッパに伝えられたのですが、最初は魚介類を中心に
果実・野菜・マッシュルームなどを塩で調理した調味料として改良
され、それをケチャップと呼んでいました。

 それが次第に野菜などが中心になり、18世紀ごろにはマッシュ
ルームが主役の調味料に変わっていきました。それが、現在のよう
なトマトベースの物に変わったのは、アメリカでの話です。

 最初、とある家庭の主婦がトマトでソースを作っていたのですが、
それがおいしいと言うことで『ハインツ』と言う会社が工業製品化
して、爆発的ヒットに至ったのです。

 そして「ケチャップ」と言えば「トマトケチャップ」と言う事に
なったのです。実際にはまだ、トマトを使わないケチャップも作ら
れています。

http://www13.big.or.jp/~msk/tisen/ke/0023.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------
--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 カゴメの創業者・蟹江一太郎氏は陸軍の経験があり、その時に世
話になった将校から「これからの時代は西洋野菜が流行ると思うか
ら栽培してみたらいいかもしれない」とアドバイスを貰い、当時は
まだ日本に普及していなかったトマトやレタスの栽培を始めたのが
きっかけとなっていると言います。

 しかし当時のトマトは今のようなマイルドな物ではなく、香りが
きつく、それまでの日本人の口には合わないものでした。そのため、
生で食べるのより加工したトマトケチャップやピューレなどとして
売るしかなかったのです。

http://www13.big.or.jp/~msk/tisen/ka/0058.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ケチャップ(ketchup)については、だいたい、こんなところです。

 トマトはアメリカ大陸原産の植物です。アメリカ大陸産といえば、
トウガラシ・トウモロコシ・トマトが3大産物です。これらの食品
が世界中の食卓からなくなったら、それこそ大変です。

 ということは、トマトを多量に使うイタリア料理なんかも、それ
ほど歴史をさかのぼらない、ということになります。何しろコロン
ブス以前にはなかったのですから。(トウガラシのない時代のイン
ドでは、どんなカレーを食べていたんだろう、とか李朝時代の朝鮮
では、どんなキムチを食べていたんだろう、とか、いろいろ不思議
に思います。)

 トマトの調味料といえば、やっぱりケチャップが王者です。トマ
トの赤い色はリコピンという色素で、カロチノイドという色素の仲
間です。

 カロチノイドといえば、カロチンがその代表です。カロチンはビ
タミンAの働きがあることで知られています。正確には、βカロチ
ンが体内でビタミンAに変わる、ということらしいですが、このカ
ロチンを含む緑黄色野菜を食べましょう、などということはよく聞
きますね。

 リコピンは残念ながら、ビタミンA活性はありません。でも、無
用の長物かというと、案外そうでもなく、いろいろな生理作用があ
る、有効な成分である、ということがわかってきたようです。

 それから、トマトには特有の味がありますが、あれの主成分はグ
ルタミン酸なんだそうです。トマトがいろんな料理の調味料として
使われるのは、実はこのグルタミン酸を利用しているんだ、という
ことです。味の素が身体に合わない人は、トマトジュースなんかも
避けた方が無難だと思います。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 本屋で立ち読みしていたら、朝日選書で神谷美恵子の「人間をみ
つめて」という本を見つけました。これはちょっととんでもない本
で、例のらい予防法を推進した立場から、ハンセン氏病患者の隔離
政策を美化したものです。

 光田健輔という人のことも賛美しています。彼こそこの事件では
A級戦犯というべき人です。(この功績で文化勲章をもらっていま
すが)

 私は朝日新聞を読んでいませんので、推測なんですが、まさか朝
日新聞社がらい予防法が正しかった、といっているわけではないと
思います。これでは東條英機を賛美した本を出しておきながら、太
平洋戦争は日本の侵略である、といっているようなものです。

 別にどちらの意見でもかまわないのですが、これはちょっとひど
いですね。そういえば、「知ってるつもり」というテレビ番組でも、
しばらく前に神谷美恵子という人をとりあげて、絶賛していました
が、関口宏さんはそんなことは覚えていないようです。

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--発行--渡辺--宏------- URL http://www.kenji.ne.jp/food/
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