安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>827号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------827号--2015.09.13------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「ニュースから」「RNA干渉」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 まずはこんなニュースから。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■スポーツクラブの打ち上げ 居酒屋で子供ら11人食中毒 大阪

 堺市は9日、同市中区深井清水町の居酒屋「シェフの隠れ家 あ
ぶり工房」で食事をした11人が腹痛や下痢などの症状を訴えたと
発表した。うち1人からカンピロバクターが検出されたことから食
中毒と断定し、同店に対し同日1日間の営業停止を命じた。重症者
はなく、全員快方に向かっているという。

 市によると、症状を訴えたのは8月30日に打ち上げで同店を利
用した同じスポーツクラブの小中学生と保護者計27人のうち11
人で、9月1日から腹痛などで医療機関を受診した。市は原因の食
材を特定していないが、カンピロバクターは鶏の消化管などに多く、
同店でも「あさびき」と称した鶏胸肉のタタキなどを提供していた。

http://www.sankei.com/west/news/150909/wst1509090084-n1.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 子供を居酒屋に連れて行く目的は、大人が酒を飲むためなんでし
ょうね。こういうニュースを聞くたびに、子供を酒のダシにするな
と思います。

 次はノロウィルスにも有効な殺菌スプレーという話題です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 健栄製薬は、9月11日より、全国の薬局やドラッグストアを中心
に、アルコール除菌スプレーの新商品「ノロパンチ」を新発する。

 秋から冬にかけて気温が低下し、空気が乾燥し始めるのに伴い、
ウイルスの活動が活発化し、感染性胃腸炎や食中毒の集団発生が増
加。例年、ウイルス性の食中毒は、11月頃から増えはじめ、12、1
月に発生件数のピークを迎える傾向がある。

 本商品は、クエン酸を配合することでpHを酸性にし、有効成分エ
タノールの効果を増強。今までアルコールが効きにくかったノンエ
ンベロープウイルス(ノロウイルスやロタウイルスなど)の除菌に
も効果を発揮する、新しいタイプのアルコール除菌スプレー。

http://www.work-master.net/201539711
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 この会社はアルコールをジェル状にした手洗い用品で有名なとこ
ろです。酸性にすることで、アルコールがウィルスにも有効になる
と書かれていますが、はたしてどの程度の効果があるのでしょうか。

 次はジャガイモの話題です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

病害虫に強いイモ開発 カルビーと北見農試
ポテトチップス原料に

 菓子製造販売大手のカルビー(東京)は来年度から、「ポテトチ
ップス」などの原材料として、道産ジャガイモの新品種「ぽろしり」
を順次採用する。ぽろしりは、ジャガイモの生育不良を引き起こす
病害虫のジャガイモシストセンチュウに強い抵抗性品種で、子会社
のカルビーポテト(帯広)が道立総合研究機構北見農試(北見農試)
と協力して開発した。

 カルビーはスナック菓子用に年間28万トンの国産ジャガイモを
扱い、そのうち道産が約7割。十勝やオホーツク管内など約550
0ヘクタールの畑で契約栽培し、食味や保存に優れた道産の「トヨ
シロ」「スノーデン」など約10種を採用しているが病害虫に弱い。
特にシストセンチュウはジャガイモの根に寄生して養分を吸い、根
や葉を枯らして収穫量を大幅に減らす。同社は、製品の円滑な生産
に影響するため対策を急いでいた。

 ぽろしりは、2003年から十勝管内で栽培研究が行われ、病害
虫に強い品種同士を人工交配。日高山脈の最高峰・幌尻岳にちなん
で名付けた。北見農試の検査でシストセンチュウのほか、斑点がで
きて外観が損なわれる「そうか病」への抵抗力を確認。生産性も高
く、今年2月には道優良品種に登録された。

http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/economy/economy/1-0177089.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 新品種は結構なのですが、以前カルビーは自分で契約農家に種芋
を配布して、問題になったことがあります。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■健全な種馬鈴しょの流通

 じゃがいも(馬鈴しょ)は、一般的には「種いも」と呼ばれる
「種馬鈴しょ」を植え付けし、栽培する作物です。

 これを種子繁殖ではなく、栄養繁殖といいます。

 種いもは、系統が正しく、ウィルス病や細菌病などの病気にかか
っていない、健全無病なものを利用し、生産を行っていくことが極
めて重要です。

 このため、農林水産省では、植物防疫法に基づいて種いもの検査
を行っており、北海道では、北海道種馬鈴しょ生産販売取締条例に
基づいて種いもの生産や流通の適正化に努めています。

http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ns/nsk/potato/taneimo.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 防疫をネタに、権益構造ができているわけです。今度はうまくや
るのでしょうが…。

 最後は小麦価格が下がるという話です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■輸入小麦価格 10月から5・7%引き下げ パンや麺類価格へ
の影響「極めて限定的」

 農林水産省は8日、10月期(10月〜来年3月)の輸入小麦の
政府売り渡し価格を、主要5銘柄の平均で4月期から5・7%引き
下げ、1トン当たり5万6640円にすると発表した。引き下げは
昨年10月期以来。米国や中国での豊作や世界全体の在庫量が高水
準で推移し、国際相場が下落したことなどが反映された。

 引き下げ幅は比較的小さいため、農水省はパンや麺類の製品価格
への影響を「極めて限定的」としている。主要5銘柄のうち、パン
や中華麺の原料となる3銘柄が8・0%値下げ、うどんや菓子用の
2銘柄が1・1%値下げとなった。

 日本は小麦の国内需要の約9割を輸入に頼っており、政府が一元
的に買い入れて製粉会社などに売り渡している。売り渡し価格は平
成19年度に年間固定制から相場連動制に移行し、毎年4月と10
月に改定している。

http://www.sankei.com/economy/news/150908/ecn1509080028-n1.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 今年になって、食糧価格は大幅な下落を続けています。食糧だけ
でなく、国際的に取引されている商品がほぼ全面安なのだそうです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■食料価格、14%下落で5年ぶり安値に 原油安と豊作で、
世銀調べ

 世界銀行は1日、世界全体の食料価格が昨年8月からことし5月
までに14%下落し、2010年6月以来約5年ぶりの安値になっ
たと発表した。原油安に伴って、農産物の生産コストや輸送費が下
がり、食料の供給量が増えたため。15年はコメや小麦など主要穀
物の豊作が見込まれることも価格低下につながった。

 世銀は食料価格の下落は貧困層に朗報だとして歓迎している。た
だ今後、ドル高や最近の原油価格の上昇、異常気象をもたらす「エ
ルニーニョ現象」の到来が食料価格を押し上げる可能性があると指
摘。「予想外に急変動する恐れも残っている」とみて、貧困国に価
格が急騰したときの備えを急ぐよう求めた。

 世銀によると、主な品目別の下落幅はコメが14%、小麦が18
%、トウモロコシが6%、砂糖が23%だった。一方、農産物の栽
培に必要な肥料の価格は10%下落。農業機械の運転や農産物の輸
送のコストを左右する原油価格は38%安くなった。

http://www.sankei.com/economy/news/150702/ecn1507020011-n1.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 生産者側はかなり困っていて、こんな騒ぎも起こっています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■価格下落でEUが酪農家の資金繰り支援へ

 ヨーロッパで農産物の価格が下落していることを受けて、EU=
ヨーロッパ連合は臨時の農相会議を開き、影響が深刻な酪農家を対
象におよそ660億円の一時金を支給して資金繰りを支えることを
決めました。

 ヨーロッパではウクライナ情勢の悪化以降、ロシアがEU産の農
産物の禁輸を続けていることや中国経済の減速を受けて、農産物の
輸出が減って供給が過剰になり価格が大幅に下落しています。なか
でも牛乳の価格は、EUが生産調整による価格維持制度を廃止した
ことが重なって、去年初めに比べて25%も値下がりし、多くの酪
農家が厳しい経営に陥っています。

 EUは7日、ベルギーのブリュッセルで臨時の農相会議を開き、
域内の酪農家を対象に合わせて5億ユーロ(日本円でおよそ660
億円)の一時金を支給することや、毎年農家に支払われる所得補償
を前倒しして受け取れるようにし、当面の資金繰りを支えることな
どを決めました。

 EU本部の前には警察の厳戒態勢の中、各地の酪農家らおよそ4
000人がトラクターなどに乗って集結し、支援を訴えるデモを行
い、アイルランドから来た農家の男性は「このままではやっていけ
ない。EUはわれわれを支援する責任がある」と話していました。

 農家からはEUの手厚い保護を求める声が根強い一方、EUとし
ては輸出などを通じた競争力の強化に転換を図りたい方針で、生産
者側との攻防は今後も続く見通しです。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150908/k10010220031000.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 酪農王国であるニュージーランドでもかなり深刻な事態になって
いるそうです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■生乳価格の暴落がニュージーランドの酪農家に大打撃を与える

 ニュージーランドといえば羊を思い浮かべる人が多いが、実は酪
農業も盛んで、乳製品は最も重要な輸出製品の一つである。実際、
ニュージーランドは世界最大の乳製品輸出国として知られており、
ニュージーランドの乳製品の輸出量 は世界全体の30%を占めてい
る。

 しかし、昨年は他国の生乳生産量がアップしたこと、さらに主な
輸出先であった中国の経済状況が思わしくないことも重なって、ニ
ュージーランドの乳製品の輸出量は激減。これを受けて、ニュージ
ーランドの乳製品メーカーは酪農家からの生乳買取価格を大幅に値
下げ、多くの酪農家が非常に厳しい状況に追い込まれている。

 現在、コスト削減の目的で多くの乳牛が精肉業者に売られている
ため、牛一頭当たりの価格も暴落。乳牛を担保に銀行から融資を受
けている酪農家の中には、廃業に追い込まれる農家もあるという。

http://カトリーヌ姫.com/blog/2337/
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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今回は休みます。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「RNA干渉」
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 相変わらずの話ですが、GM作物について、こんな記事がありま
した。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

「安全性が確実に保証されなければ、認めるべきではない」

「リスクより便益が大きければ、導入を進めるべきだ」

 この10年間、遺伝子組み換え(GM)作物をめぐる賛否は、この2
つの意見の間で揺れ動いてきた。そのなかで大豆をはじめとしたGM
作物の作付面積は、着実に拡大している。

世界の栽培面積と遺伝子組み換え作物の割合

 米国にある国際アグリバイオ事業団(ISAAA)によると、1996年
に170万ヘクタールだった世界のGM作物の作付面積は、2007年には1
億1430万ヘクタールと約70倍にも広がった。これは日本の総面積の
3倍、耕地面積の25倍にあたる。

 GM作物を栽培しているのは米国、アルゼンチン、ブラジル、カナ
ダ、インド、中国など23カ国。そのほとんどは穀物で、すでに大豆
は世界全体の約3分の2が、トウモロコシは約4分の1がGM化している。

 ただ、これまでに導入されたGM作物は、除草剤を浴びても枯れな
いか、特定の害虫への抵抗性を備えているか、この2つのタイプが
主流だった。ここ10年の急ピッチの普及は、農家にとって農薬散布
の手間やコストが削減されるという、経済的な理由からといえた。

 これからのGM作物には、社会的な役割への期待もかかる。たとえ
ば、飢餓対策。現在、世界で約9億人が飢餓に苦しんでいる。2050
年に世界人口が90億人を超えると穀物の需要は現在の1.5倍に増え
ると言われ、生産量がいまのままでは飢餓人口がさらに増える恐れ
がある。寒冷地や乾燥地でも栽培できるGM穀物ができれば、食糧増
産の一助になる。

 フィリピンにある国際イネ研究所(IRRI)では、GM稲「ゴールデ
ン・ライス」の試験栽培が続く。ビタミンAのもととなるベータカ
ロテンを含み、貧しい国の子供たちのビタミンA不足を解消するこ
とをねらう。2年続きの干ばつに見舞われたオーストラリアでは、
乾燥に強いGM小麦の開発を急ぐべきだとの声が強まっている。ほか
にも、薬用成分をもたせることで医療や健康管理に役立てたり、土
壌汚染を吸収する作物をつくったりするアイデアなどがある。

 穀物価格の高騰で、途上国の食糧危機が表面化した今年7月のサ
ミットでは特別声明にGM技術を含めた「バイオテクノロジーの促進」
が盛り込まれた。

http://globe.asahi.com/feature/081103/04_1.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 さて、これはGMというのだろうか?という新しい技術が登場し
そうだという記事を紹介します。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■Monsantoドリーム〜RNA干渉による害虫・雑草制御

 公衆の理解と消費者からのウケが依然はかばかしくない上に、GM
(遺伝子組換え)作物の開発と規制をクリヤーするための時間(平
均13年)やコスト(100万ドル以上)も、近年大きな障害になって
いる。

 そこで、これらの弱点を克服するために、開発者たちは様々な代
替もしくは補完技術を模索しており、ここに来てRNA干渉(RN
Ai:RNA interference)プロセスを利用した害虫・雑草制御が
米国では話題になり、GM大御所のMonsanto社も目の色を変えている
という。

<あまり話題にはならなかった地方紙の先行記事>

 先ず、25年間Monsanto社に勤務したJohn Killmerが率いるセント
ルイスの新興バイオ企業Apse社をフィーチャーした2015年4月10日
のSt. Louis Post-Dispatch紙に注目したい。

 同社は、RNAを直接植物体にスプレーすることにより、RNA
干渉プロセスを通じてその植物の特定のトレイト(特徴)を抑制す
るか、変える方法を開発している。

 「traits on demand」と名付けられたこの技術は、最初から種子
自体にトレイトが組み込まれたGMとは異なり、例えば干ばつが起き
たらその時点でRNAをスプレーするという必要に応じたアプリケ
ーションが可能となる。そして、GMとの決定的な違いは付与した変
更が子孫には一切遺伝しない。

 最初に実用化されると思われるのは畑でスプレーされたRNAが
浸透した作物を食した特定の害虫をノックアウトする制御方法だが、
開発段階でクリヤーすべき問題もある。それらは、費用対効果が高
い低コストのRNAの生産方法と、植物体の細胞内部へRNAを浸
透させるデリバリーメカニズムの開発だという。

http://www.foocom.net/column/gmo2/13141/
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 RNAをスプレーして、遺伝子の発現を制御するというのですが、
ちょっと聞くとそんなことが可能なのか?と思ってしまいます。

 でも実際に研究は進んでいるようです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

<論文紹介>RNA干渉により特定の害虫だけを殺す新型農薬に向
けて一歩/作物の葉に噴霧後乾燥によって安定、効果が長期間持続
することが確認される

 RNA干渉 (RNAi) は二本鎖RNA (dsRNA) が遺伝子の
発現を阻害する現象で、その発見はアンドリュー・ファイアーとク
レイグ・メローの二人に2006年ノーベル生理学・医学賞をもたらし
ました。RNA干渉を利用すると遺伝子の機能を人為的に制御でき
るため、遺伝子機能解析の重要なツールとなっています。

 このRNA干渉を農薬として害虫駆除に応用できないかという発
想は、以前からありました。通常の農薬は、標的とする害虫と同時
に無害・有益な昆虫まで殺してしまう難点があるのに対し、RNA
干渉は特定の塩基配列を含む遺伝子だけに作用するため、標的とす
る害虫以外に影響を与えない環境にやさしい農薬の実現が期待でき
ます。

 しかし二本鎖RNAを、通常の農薬のように作物にスプレーで噴
霧する形で利用するのは難しいと考えられていました。二本鎖RN
Aは自然環境中で不安定で、紫外線を含む太陽光照射によって短時
間で分解されてしまうため効果が持続しないからです。

 コーネル大学のJeffrey G. Scott教授らは、コロラドハムシを標
的にしてRNA農薬の実験を行い、有望な結果を得ました。同教授
らがまとめた論文はこのほどPest Management Science誌に発表さ
れ、多くのニュースサイトで取り上げられるなど話題を呼んでいま
す。

 コロラドハムシはジャガイモなどの作物の葉を食べる害虫で、北
米では年間1億ドル(約120億円)の損害をもたらしているといわれ
ます。同教授らは、生物の細胞機能に欠かせないアクチンタンパク
質を生産する遺伝子に注目し、その発現を妨げる二本鎖RNAの水
溶液を、濃度などの条件を変えてジャガイモの葉に噴霧しました。
その結果、1枚の葉につき5 μgの二本鎖RNAを噴霧することで十
分な効果があり、その葉を食べたコロラドハムシの幼虫の98%が7日
以内に死ぬことが分かりました。また、葉の表面に噴霧後いったん
乾燥すれば紫外線や水に対して安定化し、少なくとも28日間は効果
が持続することが確かめられました。

 しかし実用化に向けてはいくつか課題があり、まず現時点では製
造コストが非常に高いことが大きな障害になります。またアクチン
遺伝子は、異なる種の間で共通する部分が多く、例えばコロラドハ
ムシとイエバエとでは約80%が共通しているので、標的以外の昆虫
に影響を与えないためにはアクチン遺伝子以外のターゲットを探す
必要がありそうです。さらに、葉を食べず植物の汁を吸うような種
類の害虫には効果がないなど、固有の限界もあります。とはいえ、
今回の結果は環境にやさしい新型農薬の開発に向けての大きな一歩
として、今後の発展が待たれることは間違いありません。

http://www.wiley.co.jp/blog/pse/?p=33149
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ここでの研究は植物に対してではなく、害虫に効果があるという
もののようです。

 以下は「RNA干渉」一般についての解説です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■RNA干渉

 RNAといえば,セントラルドグマ(DNA→RNA→タンパク
質)という分子生物学の中心原理ともいえる概念の中で,DNAか
らタンパク質を合成するための遺伝情報の仲介役にすぎないと考え
られていた。

 また,DNAは二重らせんを作るが, RNAといえば1本鎖であ
るというのが10年程前までの常識であった。しかし,1998年に,R
NA干渉〔RNA interferenceの和訳でRNAi(アールエヌエー
アイ)と略される〕という現象が見いだされ,2本鎖のRNAが遺
伝子発現を制御していることがわかってきた。発見から8年しか経
っていないにもかかわらず,本年のノーベル医学生理学賞は「RN
A干渉−2本鎖RNAによる遺伝子の抑制」の業績により,A.フ
ァイアー博士とC.メロー博士に授与された。

 RNA干渉とは,2本鎖RNAが,いくつかのタンパク質と複合
体を作り,相同な塩基配列をもつメッセンジャーRNAと特異的に
対合し,切断することによって,遺伝子の発現を抑えてしまう現象
である。

 RNA干渉のマシナリーは,生体内のさまざまな局面で重要な役
割を担っている。ウイルス感染に対する防御機構や,ゲノム上を転
移する動く遺伝子を抑制し,ゲノムの安定性を保つことにも関わっ
ているようである。

 また,これまで見逃されてきた,マイクロRNAという短い2本
鎖RNAが生体内でも多数発現しており,多くの遺伝子の発現調節
をしていることも明らかになってきている。

 さらにRNA干渉は,遺伝子の機能を人為的に抑制することにも
応用できるので,遺伝子機能解析の汎用性の高いツールとしても注
目されている。

 ゲノムプロジェクトによってヒトをはじめとする多くの生物種の
全遺伝子配列が決定されたが,その情報を利用し,個々の遺伝子に
ユニークな塩基配列を選択することにより,遺伝子機能を網羅的に
解析することが可能になったといえる。すでに臨床的な治療へ応用
することも検討されている。

 理学系研究科においても,RNA干渉を利用した遺伝子機能の解
析は幅広く行われている。メカニズムの解析に関わる研究も生物化
学専攻(西郷研究室,程研究室)で行われており,哺乳類でのRN
A干渉は,配列によって効果が大きく異なることが示され,効率よ
くRNA干渉を引き起こすことが可能で,遺伝子特異的な配列を選
択する方法が確立されている。

http://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/story/newsletter/keywords/04/03.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

◆植物のRNA干渉(RNAサイレンシング)機構の研究

 1998年に2本鎖のRNAを細胞に導入することによって遺伝子の
発現を効率よく抑制する技術(RNA干渉、2006年にノーベル賞受
賞)が発見された。その後、次々とRNAが関与する生命現象が発
見されています。

 現在では、miRNAやsiRNAと呼ばれる20-25塩基程度の小分
子RNAが、ウイルスなどの寄生体に対する生体防御、遺伝子発現
調節を通した発生制御、DNAのメチル化を通したエピジェネティ
ックな遺伝子発現制御など、重要な生命現象に関与することが報告
されています。

 また、小分子RNA(RNA干渉)は、遺伝子発現制御技術や、
ガンやエイズなどのウイルス感染症などの病気の治療法として医療
への応用も期待されています。

◆細胞内での小分子RNAによる遺伝子発現制御機構の解析

 2本鎖RNAや小分子RNAによって、mRNAが切断されたり
DNAがメチル化されることによって遺伝子の発現が変化すること
が知られています。このようなDNAの塩基配列に変化がなくとも
遺伝子発現に変化が起きることをエピジェネティックな遺伝子発現
制御と呼びます。

 植物では、24塩基の小分子RNAによってDNAのメチル化が誘
導されることが知られていますが、その機構は不明な点が多く残さ
れています。本研究室では、シロイヌナズナのプロトプラスト(裸
の細胞)に直接2本鎖RNAを導入する実験系を用いて、2本鎖R
NAによってmRNAが分解される反応(RNA干渉)や、DNA
のメチル化が誘導される反応(RNA依存DNAメチル化)を解析
しています。

◆細胞の初期化(リプログラミグ)におけるRNA干渉の役割

 植物細胞は、分化全能性を有し、一度分化した細胞も、ストレス
(刺激)や植物ホルモンの処理によって容易に脱分化(初期化)し
たカルスと呼ばれる細胞塊となります(動物細胞ではES細胞やiPS
細胞のような状態)。カルスは、植物体へと再分化する能力(全能
性)を有しています。このような細胞の初期化におけるRNA干渉
機構(ダイサー)の役割を解析しています。また、生殖細胞形成に
おけるRNA干渉機構の役割についても研究を進めています。

www.tuat.ac.jp/~mcb/RNA intereference.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 よくわからないところも多い話ですが、DNAはそのままでも、
RNAによって発現が制御できるというのは本当のようです。

 私の息子は10年以上前の大学時代に、遺伝子組換えの実験を学
科でやらされていました。もちろん専攻というわけではなくて、み
んながやる基礎的な練習なのだそうです。

 未だに一部の団体が問題視する、遺伝子組換え技術ですが、研究
史から見ればかなり過去の技術になってきているようですね。

 今後、こうした新技術が出てきたとき、彼らはやはり新しいもの
には何でも反対していくのでしょうか?

 産業革命のとき、機械を壊す運動をした人と同じで、未来はそっ
ちの方角にはないと思います。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 関東の方では大雨で大変な被害が出ています。被害にあった方に
はお気の毒ですが、テレビでヘリによる救出活動などを見ていると、
国が豊かであるというのは、こういうことなのだ、と改めて思いま
した。

 ダムも堤防も、やっぱり必要だよな、と多くの人が思ったのでは
ないでしょうか。

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