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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------815号--2015.06.21------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「ニュースから」「トランス脂肪酸」

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---〔話題〕-------------------------------------------------

 まず、異物混入でこんなニュースがありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

ニチレイ「肉シューマイ」にガの幼虫?回収せず

 冷凍食品大手の「ニチレイフーズ」(東京都中央区)が3月に製
造し、大阪市内のスーパーで5月に販売された冷凍食品「肉シュー
マイ」1袋に、ガの幼虫とみられる虫が混入していたことが分かっ
た。

 千葉県船橋市の工場で製造する過程で混入したとみられる。同社
は18日、同市と都内の保健所に報告した。「これ以外に混入は確
認されておらず、被害が広がるリスクも低い」として、商品の回収
はしない方針。

 同社などによると、スーパーで商品を購入した大阪市の女性が自
宅で解凍して食べようとした際、長さ1・8センチの虫が入ってい
るのを見つけ、同社に連絡した。同社は女性に謝罪した。

 同社は、シューマイの包装過程で、プラスチック製トレーを収め
ていた段ボール箱に虫が付いていて、トレーにシューマイを載せた
際に混入したとみている。工場内で他に虫は見つかっていないとい
う。同社広報担当者は「検品体制を強化するなどして、再発防止に
努めたい」としている。

http://www.yomiuri.co.jp/national/20150618-OYT1T50040.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 回収しないとはっきり言っているのが注目です。製造工程に問題
があったのなら回収すべきですが、偶発性が高く、他の商品に波及
する可能性が低い場合は回収しないのが正しい判断です。

 次はいよいよ発売されていくらしい「機能性表示食品」で、こん
な記事を見つけました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

注目度が高い「機能性表示食品」

■ファンケル「えんきん」

・届出商品の中で初めて「複数成分」で受理
・パッケージに製品性が一目でわかるユニークな「イラスト」を配

・パッケージに「臨床試験済」と記載

■キューピー「ヒアロモイスチャー240」

・トクホに先駆けて「肌の保湿」で受理
・機能性根拠に関しては一部のネットメディアが疑問点を指摘
・機能性評価のSRが「我田引水的」と消費者団体が指摘

■キューサイ「ひざサポートコラーゲン」

・難しいとされる「間接」関連で唯一の受理
・論文を掲載した学術誌が「査読なし」と消費者団体が指摘
・論文の筆頭筆者が編集委員を務める「グルコサミン研究」に論文
を掲載、利益相反の問題がある」と消費者団体が指摘

■リコム「蹴脂粒」

・作用メカニズムが医薬品に近いことから食品安全委員会が同様の
成分を含むトクホ申請商品の「安全性を評価できない」と報告
・販売予定の9月までに安全性問題に決着がつくか気になる
・かつて公取委を相手に審判請求を起こした企業でもあるが、今回
も問題が浮上してしまった

■八幡物産「めばえ」

・ルテイン単独のシステマティックレビューで「目の健康」に訴求
・中堅通販では初めての受理
・受理された機能性表示が南海で、消費者に伝わるか気になる

http://www.tsuhanshinbun.com/archive/2015/06/post-2200.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 このラインアップに「キユーピー」が入っているのが残念です。
そんなことをしなくても、十分儲かっている会社でしょうに。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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今回は休みます。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「トランス脂肪酸」
------------------------------------------------------------

 ちょっと話題になっているニュースです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

トランス脂肪酸、18年に全廃 米当局「安全でない」

 米食品医薬品局(FDA)は16日、食用油などに含まれ、肥満
や心臓病との関連が指摘されるトランス脂肪酸を、2018年6月
までに食品添加物から全廃すると発表した。

 FDAは13年に廃止方針を示して科学的妥当性を検討してきた
が、最終的に食品に使う上で「安全とは認められない」と結論づけ
た。

 食品業界は3年間で代わりの添加物を使うなどの対応が求められ
る。FDAは「心臓病を減らし、年間数千件の命に関わるような心
臓発作を防ぐことができる」とみている。

 トランス脂肪酸は、摂取すると動脈硬化などを引き起こすリスク
が増すとの研究結果が多く示されている。

http://www.47news.jp/CN/201506/CN2015061701000780.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「トランス脂肪酸」「食品添加物」「全廃」とつながっています
が、全く意味がわかりません。日本ではトランス脂肪酸と食品添加
物は何の関係もありませんから。

 調べてみるとこんな記事もありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

米、トランス脂肪酸の食品添加禁止 18年6月から

 米食品医薬品局(FDA)は16日、一部の菓子類やマーガリンな
どに含まれ心臓疾患のリスクを高めるとされる「トランス脂肪酸」
の原因となる油の使用を禁じると発表した。「食用として一般的に
安全とは認められない」と判断した。3年間の猶予期間を経て、20
18年6月以降は食品への添加を原則認めない。

 FDAは06年に食品への含有量表示を義務づけ、13年にトランス
脂肪酸の使用を段階的に禁止する方針を表明した。03年から12年の
間にトランス脂肪酸の消費量は78%減ったが、今回の決定で「冠動
脈疾患を減らし、致命的な心臓病を年数千件減らせる」としている。

 トランス脂肪酸は液体の植物油などを固める加工過程などで生成
される。一部のマーガリンやパン、ケーキ、クッキー、ドーナツな
どの洋菓子や揚げ物に含まれることがある。トランス脂肪酸を摂り
過ぎると、血液中の悪玉コレステロールが増え、心臓病のリスクを
高めるとの研究結果がある。

 世界保健機関(WHO)はトランス脂肪酸の摂取を総エネルギー
摂取量の1%未満に抑えるよう目標値を設定した。日本では食品安
全委員会が12年の評価書で、日本人の大多数はWHOの目標を下回
っているとして「通常の食生活では健康への影響は小さい」と結論
づけたため、米国のような規制はされていない。

 食品・飲食業界はトランス脂肪酸からの切り替えを急ぐ。FDA
は移行コストを最大140億ドル(約1兆7千億円)と推定している。
一方、切り替え先の飽和脂肪酸についても摂り過ぎの危険が指摘さ
れており「栄養バランスのよい食事を心がけることが必要」(食品
安全委)とされる。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ17HQH_X10C15A6000000/
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 これは日経新聞の記事ですが、やはり訳がわかりません。もっと
探してみると、以下の記事を見つけました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

トランス脂肪酸の食品添加、3年以内に全廃 アメリカ当局「安全
でない」

 マーガリンなどの加工油脂に含まれ、取りすぎると心臓病などの
リスクを高めるとされる「トランス脂肪酸」について、アメリカ食
品医薬品局(FDA)は6月16日、食品への添加を3年以内に全廃する
と発表した。FDAは2013年に規制案を示して科学的妥当性を調べて
きたが、食品への使用に関し「一般的に安全とは認められない」と
結論付けた。

 発表によると、トランス脂肪酸の直接の発生源となる、植物油を
常温で固まるよう処理した「部分水素添加油(PHO)」の使用が禁
止される。FDAのオストロフ局長代行は「今回の措置により、毎年
数千件の命に関わるような心臓発作を防ぐことができる」と説明し
た。

 コトバンクなどによると、トランス脂肪酸は、食品に含まれる油
成分の一種。菓子などに使われるショートニングやマーガリンをつ
くるときに、植物油に水素を加えて固形化する過程などで生成され
る。悪玉コレステロールを増加させるため、とりすぎると狭心症や
心筋梗塞などの冠動脈性心疾患(CHD)のリスクを高めるとの研究機
関などの報告がある。

 アメリカでは2006年から食品ラベルにトランス脂肪酸の量の表示
が義務付けられたことをきっかけに、摂取量が大幅に減少。FDAの
推計では、2003〜12年にかけて摂取量は約78%減少した。しかし、
冷凍ピザや電子レンジで調理するポップコーンなどの加工食品には
まだ多く使われている。

 一方、日本では、平均摂取量が世界保健機関(WHO)の基準値よ
りも少ないことから、通常の食生活を送っていれば健康への影響は
小さいとされ、食品に含まれる量の表示の義務はない。

 日本の農林水産省は、サイトに「トランス脂肪酸含有量の多い傾
向にある食品」を公表している。

http://www.huffingtonpost.jp/2015/06/16/trans-fat-cracked-down_n_7599622.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 見出しが「トランス脂肪酸の食品添加」となっていて、同じよう
なものですが、本文では「部分水素添加油(PHO)」の使用が禁止
される。」となっていて、やっとニュースの意味がわかりました。

 最後に、以下の時事通信の記事が一番まともですね。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

トランス脂肪を全面排除へ、2018年までに 米FDA

 米食品医薬品局(FDA)は16日、人工トランス脂肪として知
られる半硬化油について、安全に食べることのできるものではなく、
今後3年以内に食料供給から排除する方針を示した

 FDAは、マーガリンやケーキなどのフロスティング、クッキー、
クラッカー、冷凍ピザなどに含まれていることが多い半硬化油につ
いて、人間の食物に用いるための「一般に安全と認められる食品」
ではないと述べ、2013年に同局が提案した半硬化油の禁止措置に最
終的な決定を下した。

 スティーブン・オストロフFDA長官代理は「FDAの措置は、
同局が米国人全ての心臓の健康を第一に考えていることを浮き彫り
にしている」と語り、また「この措置で、冠状動脈性心臓病が減少
し、年間数千件に上る致死性の心臓発作を防止することが期待され
る」と続けた。

 半硬化油について非営利団体の米医学研究所は、食用の安全濃度
は存在しないと断定。一般的にも、健康上の利点があるとは考えら
れていない。

 2006年以降、米国の各食品メーカーはトランス脂肪含有量の
情報を缶詰や加工食品のラベルに表示するよう法律で義務付けられ
ている。

 現状では、トランス脂肪含有量が1食当たり0.5グラム未満の
場合は、食品のラベルに表示する含有量を0グラムとすることが認
められている。しかしFDAの当局者によると、現在この規定を変
更するための別個の取り組みが進行中だとされ、3年後には、規制
当局から特定の免除を受けた場合を除き、すべての食品に半硬化油
を用いることは許されなくなるという。

 ラベル表示の取り決めと食品業界が製品の多くを見直した結果、
すでに過去10年間でトランス脂肪の消費量は約78%減少してい
るとされる。しかし、FDAは16日、「トランス脂肪の摂取量は
著しく減少しているが、現在の摂取量においても、いまだ公衆衛生
上の懸念となっている」と指摘した。

 FDAは「半硬化油を含まない製品に改良するか、半硬化油の特
定使用の許可を得るために同局に請願する」ために食品メーカーに
与えられた期間は3年と述べ、2018年6月までに「FDAの承
認を得た場合を除き、人間の食品にはいかなる半硬化油も添加でき
なくなる」と説明した。

 消費者団体は、半硬化油が悪玉コレステロールを増加させる一方、
善玉コレステロールを減少させ、健康に悪影響を与えていることか
ら、FDAの決定を称賛している。

http://www.jiji.com/jc/a?g=afp_all&k=20150617032866a
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 今回、FDAがやったのは、水素添加油を「一般に安全であると
認められる(GRAS)」分類からはずすということです。

 GRASはアメリカでは食品添加物の下位分類になるので、上記
記事もそのあたりから説明がややこしくなっているようです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 一方、米国の食品添加物のルールも複雑です。米国における「Fo
od Additives(食品添加物)」は、米国食品医薬品化粧品法(The
Federal Food, Drug, and Cosmetic Act)によって定義づけられ、
安全性と有効性についてFDA(米国食品医薬品局)が認可したもの
が使用できることになっています。日本の指定添加物制度に似てい
るようですが、着色料を除くなど、食品添加物の範囲は異なります。

(略)

 米国ではこれに加えて、「GRAS物質(一般に安全と認められる物
質:Generally Recognized As Safe)」というカテゴリーが設定さ
れています。長年の食経験があったり、安全性データなどから科学
的評価が行われたりする場合に、食品や食品添加物として使用が認
めようというものです。1958年以降、FDAがGRASリストとして公表
してきた「申請GRAS物質」の数は約380品目となっています(CFR・
title21のpart182)。ここでは、日本では食品添加物には入らない
塩、コショウといった調味料、香辛料から、ソルビン酸のような保
存料まで、幅広く収載されています。

http://www.foocom.net/column/cons_load/9033/
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 塩が入っているということで、アメリカでのGRASの位置付け
がわかると思います。

 GRASからはずされたことで、水素添加油(硬化油)は食品の
原料としては使えなくなるということなのでしょう。

 そこで、こんなことが起こります。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

パーム油、需要増の見方 油脂加工など食用油市場

 油脂の加工や調理に使う食用油市場で、パーム油の需要が増える
との見方が広がっている。米食品医薬品局(FDA)による「トラ
ンス脂肪酸」の規制で、大豆などを原料にした一部製法の油脂が原
則禁止されるため。パーム油の国際価格を下支えしそうだ。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDJ18H1W_Y5A610C1QM8000/
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 水素添加によって、不飽和脂肪酸を減らし、融点を高くするのが
水素添加油(硬化油)を作る目的です。

 水素添加油が規制されると、代わりに元々融点の高い油脂を使う
ことになります。

 通常、植物性油脂は常温で液体(融点が低い)ですが、パーム油
は固体(融点が高い)です。これを使用すれば、水素添加の必要が
なく、半固体の油脂(マーガリンなど)ができるというわけです。

 パーム油が固体なのは、飽和脂肪酸が多いからです。したがって
この措置は、トランス脂肪酸を避けるために飽和脂肪酸を多くとる
ことになるので、日本のようにトランス脂肪酸の摂取量の少ない国
ではあまり意味がないと考えられています。

 脂肪酸の融点については、以下の説明がわかりやすいです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■不飽和脂肪酸の融点が飽和脂肪酸の融点より低いのはなぜですか。

 飽和脂肪酸(たとえば、ステアリン酸C17H35COOHなど)はC-C-C
-C-C-・・・・COOH と直鎖状でC原子18個の直鎖は、ジグザグジ
グザグを繰り返しまっすぐになっています。したがって、まっすぐ
な棒状の構造なので、たくさんの分子が集まると、鉛筆を束ねた構
造になります。したがって、ぎゅぎゅう詰めになるので、分子が動
きにくくなり固体となります。液体にするには熱を加え加えなけれ
ばなりません。したがって、融点が高くなります。

 不飽和脂肪酸(たとえば、オレイン酸C17H33COOH)は、C-C-C-
C-C-・・-C=C-・・COOH の直鎖状ですがちょうど真ん中の炭素
原子が二重結合しているため、ジグザグのまっすぐな構造が崩れ、
くの字型に曲がった構造になります。したがって、分子構造が曲が
っているため、分子をたくさん集め、鉛筆を束ねるようにしようと
しても、曲がりがじゃまをしてしまうため、隙間だらけの構造にな
ります。したがって、隙間だらけなので、分子は簡単に動き回るこ
とができるます。分子が動き回る=すなわち液体になります。

 この脂肪酸からなる油脂にもこの理屈は成り立ちます。植物油や
魚油は液体ですが、オレイン酸やリノール酸などの不飽和脂肪酸が
多いからです。ラードなどの油脂は固体ですが、ステアリン酸やパ
ルミチン酸などの飽和脂肪酸が多いからです。

 リノール酸は二重結合が二つ含まれ、折れ曲がりが2カ所ありま
す。リノレン酸は三つで三カ所でおれまがっています。高度不飽和
脂肪酸と呼ばれる、EPAは5つで5カ所、DHAは6つで6カ所で折れ曲
がっています。

 満員電車(箱)の中で、みんな(脂肪酸分子)がまっすぐ気をつ
けして立ち、ぎゅうぎゅう詰めになっていたら、電車が揺れても人
(分子)は動けません。動けないか=形が変わらない=固体 です。
ところが、みんなが一人一人腕を伸ばして新聞を読んでいたら(曲
がっていたら)、ちょっとの揺れでもみんなが動いてしまいます。
動く=形が変わる=液体 というわけです。

 不飽和脂肪酸が体によいのは、この曲がった脂肪酸が細胞膜に取
り込まれると、細胞膜が活発に動ける(流動性が活発)ので、細胞
内外で、酸素や栄養や老廃物などの遣り取りが活発にできるからで
す。

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1470177739
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 直線状なのか、折れ曲がっているのかが大きな違いというわけで
す。

 トランス脂肪酸の概要については、以下の説明をご覧ください。
脂肪酸の分子模式も表示されていて、わかりやすいです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■「飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸」

 脂肪酸部分は、炭素と隣り合う炭素がひとつの結合の手で結びつ
いた「飽和結合」と、炭素同士がふたつの結合の手で結びついた
「不飽和結合(二重結合)」のものがあります。炭素鎖がすべて飽
和結合で構成されているものを「飽和脂肪酸」といい、ひとつ以上
の不飽和結合が存在する脂肪酸を「不飽和脂肪酸」といいます。

 炭素数が18でひとつの不飽和結合が9位にシス型配置する場合に
は、その構造は、C18:1(9-cis)と表します。飽和脂肪酸としては、

カプリン酸C10:0、
ラウリン酸C12:0、
ミリスチン酸C14:0、
パルミチン酸C16:0、
ステアリン酸C18:0

などがあります。不飽和脂肪酸としては、

オレイン酸C18:1(9-cis)、
リノール酸C18:2(9,12-cis)、
リノレン酸C18:3(9,12,15-cis)、
エイコサペンタエン酸(EPA) C20:5(5,8,11,14,17-cis)、
ドコサヘキサエン酸(DHA) C22:6(4,7,10,13,16,19-cis)

などが知られています。

■「不飽和結合の配向:シスとトランス」

 脂肪酸の不飽和結合(二重結合)を構成する炭素に結合する水素
の向きは、不飽和結合のまわりで、2種類考えられます。炭素同士
の不飽和結合の同じ側にふたつの水素があるものが、シス(こちら
側の、という意味)型の不飽和結合です。一方、不飽和結合に対し
て、ふたつの水素が反対側にあるものをトランス(向こう側の、と
いう意味)型と言います。不飽和結合は、強く結びついているため、
シス型とトランス型との入れ替わりは容易に生じません。また、ト
ランス型は、シス型より構造的に安定です。

■「食品に含まれるトランス脂肪酸」

 ヒトを含めた大部分の生物(一部例外については、後述)に含ま
れている不飽和脂肪酸は、ほとんどシス型です。これは、多くの生
物が、特異的にシス型の不飽和脂肪酸をつくり出す酵素を持ってい
るからです。このため動植物由来の食品に含まれる不飽和脂肪酸の
多くは、シス型をしています。 食品に含まれるトランス脂肪酸は、
主として以下の食材に由来します。

 食品に含まれるトランス脂肪酸は、主として以下の食材に由来し
ます。

1) 硬化油
2) 肉類や乳製品
3) 精製油

 1999年の報告では計算上、日本人のトランス脂肪酸摂取は、約60
%を硬化油から、約25%を肉類、乳製品から、約15%を精製油から
摂取していると述べています。一方、1999年の米国の報告では、米
国人は、トランス脂肪酸の75-80%を硬化油から、残り20-25%を肉類、
乳製品から摂取していた、とあります。食品からのトランス脂肪酸
摂取の割合は、各国の食事情、調査年代によって、多少変化します。
食品には、素材や製造方法に依存して、様々な構造のトランス脂肪
酸が含まれています。

■「硬化油とは」

 現在、世界各国で実施されている食用油脂の改質、加工技術のひ
とつに「水素添加による硬化油の製造」法が挙げられます。油脂の
水素添加というのは、油脂を構成する脂肪酸の不飽和結合部分に水
素を付加させることをいいます。その結果、油脂の不飽和度が減少
し、融点の上昇、流動性の低下、可塑性の変化、固化などの油脂の
物性が変化します。このとき、副反応として、不飽和脂肪酸の二重
結合の位置が移動、共役化、シス-トランスの異性化が起こります。
この油脂の水素添加反応(hydrogenation)を硬化反応(hardening)
といい、水素添加された油脂を硬化油と呼ぶことがあります。部分
的に水素添加された液状油についても、硬化油と呼ばれます。

■「硬化油の製造」

 油脂の水素添加反応は、液状の油脂中にニッケルなどの金属触媒
を懸濁し、よく撹拌しながら、気体の水素ガスを接触させて、不飽
和結合に水素分子を付加させます。触媒に吸着、活性化された不飽
和結合が、水素原子と結合することなく、再び触媒表面から脱着す
る際に、不飽和結合の位置移動や共役化、シス−トランスの異性化
反応が進行します。油脂の水素添加反応において、水素分圧、反応
温度等の設定条件に依存して、油脂の水素添加反応と異性化反応の
割合が変化します。

■「硬化油製造の目的」

 硬化油を製造する目的は、使用目的に適合する物性を持つ食用油
脂を製造することです。例えば、油脂に水素添加反応を施すことに
より、魚油や綿実油のような液状油を材料にして、動物性油脂に近
い物性を持つ固形油をつくり出したり、酸化安定性の高い液状油を
創出したりすることができます。また、動物性油脂と比較すると、
硬化油はより安価です。食用に供する硬化油は、硬化の程度により
以下のような目的で製造されています。

1)高度硬化油:牛脂、綿実油などを極度に硬化し、フレーク状の
融点の高い製品をつくる。マーガリンやショートニングに少量添加
して可塑性を改良する。

2)中程度硬化油:大豆油、綿実油、ナタネ油、魚油を原料として
中程度に硬化する。マーガリンなどに配合し、口どけのよい、安定
性に富む製品をつくる。

3)軽度硬化油:植物油脂を軽度に硬化して、自動酸化や加熱によ
る劣化を受けにくい、酸化安定性の高い液状油をつくる。

■「肉類や乳製品のトランス脂肪酸」

 牛などの反芻動物の胃内に共生するバクテリアは、シス型の不飽
和脂肪酸をトランス型に変換する特殊な酵素を持っています。この
バクテリアが産生するトランス脂肪酸は主にバクセン酸C18:1(11-
trans)です。一方、硬化油等には、エライジン酸C18:1(9-trans)な
ど、多種類のトランス脂肪酸が含まれています。牛肉や乳製品には、
2-5%程度のトランス脂肪酸が含まれていますが、その大部分はバク
セン酸です。バクセン酸は、エライジン酸とは不飽和結合の位置が
異なる位置異性体です。

 摂取されたバクセン酸は、生体内にある酵素の働きで、共役不飽
和脂肪酸の一種に変換されることがわかっています。硬化油には、
バクセン酸以外のトランス脂肪酸が多く、硬化油に含まれるトラン
ス脂肪酸の大部分は、生体内でも共役不飽和脂肪酸に変換されませ
ん。このように乳製品に含まれるトランス脂肪酸の組成や生体内に
吸収されてからの動態が、硬化油のトランス脂肪酸とは異なること
から、乳製品に含まれるトランス脂肪酸が健康に与える影響も、硬
化油中のトランス脂肪酸とは異なると考えられています。

■「精製油に含まれるトランス脂肪酸」

 様々な植物油や動物油を原材料として食用油脂が製造されていま
す。植物や動物から抽出した粗油は、各種の精製工程をへて食用油
脂として利用できるようになります。油脂精製工程のひとつの脱臭
工程は、油脂に混在する遊離酸、色素、不けん化物、有臭成分、残
留農薬などを取り除く工程ですが、このときに、ごく微量のトラン
ス脂肪酸が生成します。

 食総研で十数種類の市販の植物性食用油脂を調べたところ、0.1-
1.2%のトランス脂肪酸が含まれていることがわかりました。

■「トランス脂肪酸の分析」

 トランス脂肪酸含有量については、アメリカ油化学会等が確立し
た各種の公定法に従って分析するのが一般的です。食品に含まれる
トランス脂肪酸の分析は、食品から脂質を抽出し、その構成脂肪酸
をメチルエステル化した後、ガスクロマトグラフィーで分析します。
しかしながら、多様なトランス脂肪酸を含む脂質の場合や、複雑な
脂肪酸の混合物からなる脂質の場合は、ガスクロマトグラフィーだ
けではトランス脂肪酸の測定が十分にできません。その場合、ガス
クロマトグラフィーで脂肪酸を分析する前に、硝酸銀含浸薄層クロ
マトグラフィーや硝酸銀含浸カートリッジカラム法で、予め脂肪酸
メチルエステルをある程度まで分離しておく必要があります。

http://www.naro.affrc.go.jp/org/nfri/yakudachi/transwg/kagaku.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 肉類に含まれるトランス脂肪酸と、硬化油のトランス脂肪酸では、
少し違いがあるようですね。硬化油の方がよりリスクが高いという
ことから、今回のFDAの決定になったようです。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 孫が早くも誕生から一カ月経ち、土曜日に「宮参り」をしてきま
した。先日の長男の結婚式はキリスト教式でしたので、生まれたと
きは神社、結婚式は教会、葬式は仏教でという、典型的日本人です。

 中国の方の仕事はいろいろと変動があり、今までとは違う関係に
なりそうです。そろそろ引退したいし、全く関係なくなるのも寂し
いし、といったところです。

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