安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>81号


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--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
--------------------------------------81号--2001.05.27------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「らい予防法」「サイリウム(Q&A)」「タバコ」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 このメールマガジンの趣旨からははずれるのですが、今話題の、
「ハンセン氏病」の歴史について、詳しく掲載しているホームペー
ジから、少しだけ引用します。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

1872年
ロシア皇太子の来日前日、浮浪者300人を本郷加賀邸空長屋に収
容し、東京養育院の起源となる。

1873年
ノールウェイのハンセン、らい菌を発見。

1897年
ベルリンで第一回国際らい会議開催。わが国から土肥慶三、北里柴
三郎の2名が出席。
らい患者に関する一斉調査。北海道を除き2万3660人(人口1
万に、5.5人)。
徴兵検査の際発見されるらい患者数(「壮丁らい」といわれた)は
この年620人を数えた。

1899年
東京養育院内にらい患者のための回春病室を開設。院長渋沢栄一、
主任光田健輔。

1907年
らい予防法案、政府案として上程可決。法律第十一号として公布。

1909年
らい予防法の施行に当たり、全国を五区域に分けた連合府県立病院
療養所がそれぞれ設立される。

1915年
全生病院で全国に先駆け、断種を前提に結婚を認める。

1930年
全国で最初の国立らい療養所、長島愛生園開園。園長光田健輔。

1931年
「国立癩療養所患者懲戒検束規定」認可公布。
財団法人癩予防協会設立。会長、渋沢栄一。

http://www.eat-p.com/kusatsu/onsentiryou/hansen/hansen1.htm
より
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 詳しくは上記のホームページでごらんください。

 ハンセン氏病というのは、昔でいう「癩病」です。この病気は、
身体の変形を伴いますが、すぐに致命的であることはないので、昔
から患者は差別の対象になっていました。光明皇后の伝説にも出て
きますね。

 パキスタンで今でもハンセン氏病治療をおこなっている日本人医
師の話ですと、この病気では、末梢神経がやられるため、患部の感
覚がなくなり、傷ついても気付かないので、二次的な障害も多いの
だ、ということです。

 長く遺伝病だと疑われてきましたが、感染力が極めて弱く、赤ち
ゃんの時に患者と長期間接触するような環境で発病することが多い
ので、そう思われてきたようです。「断種」ということがされてき
たのは、そういう背景と、「優性」思想とがあります。

 ヨーロッパでも、精神障害者に対する「断種」は最近まで、ごく
当然のことと考えられてきました。ハンセン氏病に関しては、病原
菌が発見され、治療法も確立したので、とっくにそういう対象では
なくなっていましたが、医学の情報が極端に不足する日本では、長
く放置されていた、というわけです。

 らい予防法が間違った法律であるのは、1950年代から、国際的に
指摘されていた、ということです。今となれば、明白な憲法違反、
人権蹂躙なのですが、法律制定当時は誰もそう考えていなかったん
ですね。これは時代背景が変わった、ということだと思います。

 らい予防法を提唱し、推進した人物(上の年表の光田健輔という
人)は文化勲章までもらっているそうです。たぶん、自分のしてい
ることはハンセン氏病患者の救済である、と最後まで信じていたと
思います。ところが、患者の側から見れば、強制収容、人権無視の
行為に他ならなかったのです。

 今回の熊本地裁の判決と、国の控訴せずという判断について、国
民の反応はおおむね好意的ですが、掲示板などで、少し気になった
表現がありました。

 「らいは安全な病気だから・・」「らいが治療できるようになっ
てからも・・」というような表現がときどき、出てくるのです。

 それでは、その病気が伝染性の高い、危険なものであったとき、
患者を強制的に隔離することは正しいのでしょうか?この辺になる
と、とても国民的に理解ができているとは思えません。

 二つの要素があります。強力な伝染病などの被害をくいとめるに
は、個人の自由より、公共の福祉を優先させる必要がある、という
ことと、個人の自由な行動はいかなる場合でも優先させねばならな
い、ということです。

 私はこの二つの要素は、両立可能だと思っています。そのために
は、

(1)危険な伝染病をくいとめるために、どうしても必要な隔離で
あることが誰の目にも明らかであること。

(2)隔離される患者に対して、十分な説明がなされており、異議
申し立ての機会が与えられていること。

(3)隔離に対する十分な(経済的)補償がされていること。

 というようなことが成立した場合、隔離そのものをしてはいけな
い、とは思いません。ただ、「らい予防法」の場合は、全部失格で
すね。

 でも、前記のような意見の場合、(1)の要素が成立すれば、即
隔離を認めてしまうと思います。これは危険です。ナチスの収容所
でも、当時のドイツ人には、隔離の必要性は極めて明らかだったの
ですから。

 一般市民の感情に、こういう人は特別で、何となく怖い、という
気持ちがあるのは今でも事実だと思います。「何となく怖い」とい
う感情こそが怖いのですが・・。

 そしてこの「何となく怖い」という感情が、食べ物の安全に関す
るウソやデマの温床になっているのです。(と話を強引にこちらに
もってきました。)

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.市販のキムチに「サイリウム入り 食物繊維」とあり 漬け込
み原材料の中に増粘多糖類(サイリウムシード)と表示されていま
したが サイリウムは何から作られた、あるいは抽出されたものな
のでしょうか。

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A.サイリウムというのは私は初耳ですね。それで、調べて見まし
たら、以下のようなものだそうです。

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サイリウムシードガム
【和名】 サイリウムシードガム(ブロンドサイリウムの種皮から得
られた、多糖類を主成分とするものをいう。)
【英名】 Psyllium seed gum
【和名別名】 サイリウムハスク
【和名簡略名・類別名】 サイリウム
【許可状況】 日本での使用が許可されており、使用に制限がない
【主な用途】 増粘安定剤
【基原・本質・製法】オオバコ科ブロンドサイリウムの種子の外皮
を、粉砕して得られたもの又はこれを温時〜熱時水で抽出して得ら
れたものである。主成分は多糖類である。
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ということで、増粘多糖類の一種のようですね。まあ、ほとんどの
増粘多糖類は食物繊維でもありますので、積極的に宣伝するのも手
なのでしょう。

こういうことを調べるのは、「食品添加物を調べてみよう」
http://fcg.japan-site.com/additive/index.html
などに行くと、簡単にできますので、行ってみてください。

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「タバコ」
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 私が目の敵にしているタバコについての話です。

 タバコはアメリカ大陸原産のナス科の植物です。コロンブスがア
メリカ大陸に到着したころには既にタバコは栽培されていて、喫煙
の習慣も広くあったということです。

 16世紀に入ると、ヨーロッパでタバコの栽培がはじまり、まも
なく日本にも入ってくるようになりました。タバコを吸う習慣は、
あっという間に地球を一周してしまったようです。

 タバコには、喫煙するタバコとして、「葉巻きタバコ」「紙巻き
タバコ」「パイプ(又は刻み)タバコ」があり、喫煙しないもので
は、「嗅ぎタバコ」「噛みタバコ」があります。いずれも、同じタ
バコの葉から作られています。

 現在、栽培されているタバコは、ニコチア・タバスカと、ニコチ
ア・ルスチカですが、圧倒的にニコチアが多く、普通、タバコの葉
というと、この品種のものを指しています。

 日本では、日本たばこ(旧専売公社)が農家と契約栽培という形
で栽培させています。例によって、国際価格との比較では、栽培の
継続はなかなか難しいものがあるようですが、一定の「タバコ農家」
というものが存在しているわけです。

 タバコの栽培というと、いつもこの話を思い出します。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 みんなは学校の済むのが待ち遠しかったのでした。五時間目が終
ると、一郎と嘉助が佐太郎と耕助と悦治と又三郎と六人で学校から
上流の方へ登って行きました。少し行くと一けんの藁やねの家があ
って、その前に小さなたばこ畑がありました。たばこの木はもう下
の方の葉をつんであるので、その青い茎が林のようにきれいになら
んでいかにも面白そうでした。

 すると又三郎はいきなり、

「何だい、此の葉は。」と云いながら葉を一枚むしって一郎に見せ
ました。すると一郎はびっくりして、

「わあ、又三郎、たばごの葉とるづど専売局にうんと叱られるぞ。
わあ、又三郎何してとった。」と少し顔いろを悪くして云いました。
みんなも口々に云いました。

「わあい。専売局でぁ、この葉一枚ずつ数えで帖面さつけでるだ。
おら知らなぃぞ。」

「おらも知らなぃぞ。」

「おらも知らなぃぞ。」みんな口をそろえてはやしました。

 すると三郎は顔をまっ赤にして、しばらくそれを振り廻わして何
か云おうと考えていましたが、

「おら知らないでとったんだい。」と怒ったように云いました。

 みんなは怖そうに、誰か見ていないかというように向うの家を見
ました。たばこばたけからもうもうとあがる湯気の向うで、その家
はしいんとして誰も居たようではありませんでした。

(宮沢賢治童話館「風の又三郎」より)
http://why.kenji.ne.jp/
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 本当に専売局では、葉の1枚ずつを数えているんだ、と私は子ど
もの頃は信じていました。実際、収穫は、下の葉から順に、枯れる
直前に、一枚ずつするそうです。また、本当に葉を1枚1枚、丁寧
にたばねて出荷する、といいますから、この話はまんざら嘘、とい
うわけでもないようです。

 タバコの葉は茶の葉と同じく、収穫してそのままでは価値がない
ので、農家で乾燥処理をしなければなりません。

 その乾燥の方法と品種によって、いろいろな葉の個性があり、通
常はいろんな葉をブレンドする、という方法をとります。

 乾燥の方法や、タバコの品種によって、味は非常にバラエティが
あり、これらを組み合わせて様々な銘柄のタバコを製造している、
ということです。

 タバコの歴史としては、タバコの味そのものをいかした、古典的
なタイプから、香料などを使った、軽いアメリカンタイプが主流に
なってきています。日本でも、ピースからハイライト、セブンスタ
ー、マイルドセブン・・とだんだんと軽いものが主役になってきて
います。(今は何が売れているのでしょうか。)

 紙巻きタバコの製造では、タバコ以外に、香料をたくさん使用し
ているようです。砂糖やグリセリンなんかも添加物として使用され
ています。(タバコの添加物を心配しても仕方ないですが)

 世界中でタバコが問題となり、既にアメリカなどでは公共の施設
だけではなく、レストランなどでも禁煙のところがほとんどだとい
うことです。イタリア在住の方からいただいたメールでは、空港、
郵便局、病院などでは完全に禁煙だそうです。

 タバコのどこが有害なのだ、という意見もあります。タバコの主
成分のニコチンは確かに有毒な物質ですが、通常の喫煙で吸う量で
は、別に健康被害はないじゃないか、というのです。

 タバコと発ガンの関係も、もう一つはっきりしません。タバコが
確かにガンの原因になる、という実験結果はほとんどないのだそう
です。

 ただ、疫学調査という面から見ますと、タバコははっきりと害が
あるようです。以前、送電線の近くの子どもの白血病の発生率が高
い、という疫学調査があり、電磁波有害説の根拠になりましたが、
その件に関しては、いろいろと反対の結果もあるようですし、いず
れにせよそれほど高い相関関係があるというわけではありません。
それと比べると、格段にタバコの影響ははっきりしています。

 要するに、因果関係は未知の部分が多いけれども、タバコは確実
に吸っている人の寿命を短縮すると考えて間違いない、ということ
です。

 しかも、吸っていない人にも影響が出ます。ご存じの副流煙とい
うやつです。タバコを吸わない人への影響では、女性の方が男性よ
り、かなり危険が高いのだそうです。

 これは生理的なものではなく、タバコを吸わない男性はタバコを
吸わない人と同居する率が高いのに、タバコを吸わない女性は、タ
バコを吸う人と同居する率が高い、ということに原因があります。

 女性の喫煙率は特に日本で上がってきていますが、元が低かった
せいで、やっぱりこういうふうに女性の方が不利益を被ることにな
るようです。

 タバコの害についての私見は、

(1)タバコは嗜好品であり、毒性についての理解を前提に、タバ
コを吸う、吸わないの選択は個人の自由である。

(2)タバコの毒性については、疫学調査の結果からみると,寿命
を短縮する効果があることは明らかである、つまり人体には有害で
ある。

(3)タバコは吸う人自身だけでなく、廻りの人にも健康被害をも
たらす。この限りにおいて、(1)での自由は成り立たない。

 ということです。タバコで命を縮めるのは、当人の勝手ですから、
勝手に吸えば良いのですが、人前でのタバコはぜひやめてもらいた
いものです。

 そこで、私の願望としては、公共の場、またレストランなどでは、
全面禁煙にする、ということをぜひ実現してほしいと思います。

 どうすれば実現するか?というと、難しいですね。アメリカなん
かではほとんどそうなっているのは、どうやって実現したのでしょ
うかね。

 ある市役所で、喫煙席にタバコの煙を吸い込む装置を設置してい
ましたが、ずいぶん高価そうな機会でした。あんなに気をつかわな
くても、公共の場でタバコなんか吸うな!といえば良さそうなもの
なおに・・。

 喫煙者パワー、未だ健在である、というところですので、私とし
ては、できるだけタバコの悪口を言っておこう、と思っています。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 偉そうなことを言っていますが、かく言う私も、若い頃はタバコ
を吸っていました。それもいきがってショートピースなどという、
強いやつを吸っていました。缶入りになっているのが格好良かった
んですね。

 若気の至り、とはいえ、馬鹿だったと思い、反省しています。

 標語「今日も元気だ。タバコ買うまい」(「タバコがうまい」の
パロディです。昔、専売公社の看板の「゛(濁点)」をペンキで消
したやつがいた、という古いネタです。)

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--発行--渡辺--宏------- URL http://www.kenji.ne.jp/food/
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