安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>8号


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--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
---------------------------------------8号---1999.12.29-----
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

   お正月の話題
   前回の訂正
   「サラダ油」その1

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 もうすぐお正月、テレビでおせち料理のCMを見ていたら、「保
存料、合成着色料、漂白剤は使用しません。」とテロップで書いて
ありました。

 ところが、画面に大写しになった「カズノコ」がばっちり漂白さ
れたものだったので、笑ってしまいました。

 カズノコはニシンの卵ですが、日本ではニシンはほとんどとれな
くなってしまったので、カナダ・アラスカ産のものが輸入されてき
ます。

 ノルウェーなどでもニシンはとれるのですが、大西洋ものは品質
が落ちるらしく、味付けカズノコなどの加工用になっています。

 漂白は現地でされることが多いのですが、国内に入ってからも、
また漂白することもあるそうです。最近は無漂白のものも手に入り
やすくなってきています。

 無漂白のものは、色が違うので、すぐにわかりますが、実際に使
ってみると、「虫」が多いのです。寄生虫なのですが、なぜ普通は
目に付かないのに、無漂白のものにはたくさんいるのか、不思議に
思っていました。

 なんと、漂白すると、この「虫」も漂白されて、見えなくなるの
だそうです。カズノコは「飽和食塩水漬け」ですので、この寄生虫
はとっくに死んでいます。ご心配なく。

 お正月用では、「栗きんとん」に使う「栗甘露煮」ですが、これ
も普通は漂白されています。そこで無漂白の栗甘露煮をつくろうと、
いろいろ探したのですが、栗の漂白は最初にムキ栗にするときにさ
れてしまうので、完全無漂白のものは手に入らなかった、というこ
とがありました。(ほとんどは韓国などからの輸入品です。)

 こういうものも、調べてはじめてわかるので、国内の瓶詰め業者
などに聞くと、簡単に「無漂白ですよ。」などと答えてくれます。
これは別にウソを云っているのではなくて、単に知らないだけなの
です。

 さらに末端のおせち料理を作る現場では、材料の由来など、知ら
なくてあたりまえ、とも云えます。

 まあ、無漂白だったらどうなんだ、といわれると、答えにくいわ
けで、「商品の差別化」というのは、こんなことにこだわることで
もあります。

 カズノコは無漂白のものの方が美味しい、と私は思っているので
すが、これは単に特別に手配した特注品であるからかも知れません。

 おせちには紅白のかまぼこもよく使いますが、この「紅」の色も
たいへんでした。

 普通は赤色106号くらいを使うのですが、天然系の色素、とい
うことで、いろいろ試してみました。

 色が薄くなりますが、「紅麹色素」というのが、上品で私は好き
でした。「コチニール」というのは少し色がくどいのですが、使い
やすいらしく、これを使ったこともあります。

 コチニールというのは、サボテンにつく虫からとる色素です。日
本人はどうも虫がきらいらしく、虫からとった、というだけでいや
がる人がありました。

 テレビの番組で、外国で虫料理を出された芸能人が騒いでいたり
しますが、それと同根の偏見だと思うのですが、どうでしょうか。

 いずれにしても、合成色素を使わない紅白かまぼこは、あまり商
品としては成功ではないようです。かまぼこは色をつけなくてもよ
さそうなものですが、「ナルト」になると白一色のナルトなどとい
うものは成立しませんので、なかなか苦しかったです。

 色素で最後まで困ったのが、「練りわさび」です。つい最近まで、
青と黄色の合成色素で、あの緑色を出していたのですが、近年、ク
チナシ色素などを使って、何とか天然色素で製品化できるようにな
ったようです。

 わさびは「本わさび」だけを使って、おろしたあと、冷凍してお
けば、色・味ともにかなりのものが出来るのですが、そこまでやる
と生のわさびを買ってきて、その都度すりおろした方がましかもし
れません。(いずれにせよ、かなり高価なものです。)

 普通の「練りわさび」はわさび大根を使っています。「本わさび
使用」と表示しているものでも、本わさび100%のものはないと
思ってください。

 それでは、よいお正月をお過ごしください。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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 以下のようなメールをいただきました。

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 ppmは1リットルの水に1ミリグラムですね。ですから、それ以
下についても1つづつずれます。なお、pptの下はppqです。

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 間違ってました。ごめんなさい。前回の文を以下のように訂正し
ます。

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 1グラムの水に、1マイクログラムの物質が溶けているとき、
「濃度1ppm」といいます。同様に、1ppb、1ppt、1ppqはそれぞれナ
ノグラム(10億分の1グラム)、ピコグラム(1兆分の1グラム)、
フェムトグラム(1000兆分の1グラム)に相当します。

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 1リットルの水は1キログラムでした。 ppmは「百万分の一」で
すから、1リットルの水の百万分の一はご指摘のように1ミリグラ
ムになります。

 ところで、最近、「○○ピコグラムを検出した」などという記事
をみかけますが、素人考えで、そのような微量をどうして量まで測
るのか、不思議です。

 おそらく、事前に濃縮しておくのではないか、と想像しているの
ですが、ご存知の方がいらっしゃいましたら、教えてください。

 しばらく前に環境庁が全国の検査機関に、あらかじめ一定の量の
ダイオキシンを入れた資料を配布して、検査依頼した結果の記事が
ありました。

 たしか、何箇所かは発表できない=デタラメな数値だったとか、
合格した検査結果でも、機関によって何倍かのバラツキがあったと
思います。

 なんだか、数字不信になりそうな話ですが、このへんも専門家か
らはどうおお考えなのでしょうか?

 今回は私からの「Q」ということで、よろしくお願いします。

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「サラダ油」その1
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 昔は「サラダ油」と「てんぷら油」が並んで売っていましたが、
いつの間にか、サラダ油ばかりになってしまいました。

 サラダ油は冷たくしても濁らないのが特徴で、不純物の少ない、
透明な食用油です。

 精製の方法は、「湯洗い」「活性白土」「活性炭」「蒸気」など
を使って、それぞれの不純物を取り除きます。油をお湯で洗う、と
いうのはちょっと変な気がしますが、水と油は混じりませんから、
油に湯を入れて撹拌すると、水溶性の成分はお湯の中に溶けていき
ます。それをタンクにためて、油は上から、水は下から抜くわけで
す。

 「白土」というのは、本当に土です。白土や活性炭を投入すると、
着色成分などが吸着されて、沈殿していきます。臭いの成分は揮発
性ですので、蒸気を吹き込んで飛ばします。

 油の原料には「大豆」「ナタネ」をはじめ、「ヒマワリ」「サフ
ラワー」「コーン」「米」など、さまざまです。

 油脂を搾るのには、大きくわけて、「圧搾」「抽出」の2つの方
法があります。ゴマのように油脂含量の多いものは「圧搾」で、大
豆のように油脂含量の少ないものは「抽出」で搾ります。ナタネは
最初圧搾して、次に抽出する、という2段階になることが多いよう
です。

 いずれの場合も、原料は生のままでなく、加熱や圧へんなどの前
処理をしてから、搾油工程に入ります。ごま油の独特の香味は、こ
の加熱による熱変性で生まれます。(加熱を弱くした、白いごま油
もあって、高級てんぷら用に使います。これはおいしいです。)

 私の見た工場では、圧搾機は「ネジ」のような構造になっていて、
そのネジが回転して、原料が搾られていました。

 抽出というのは、油(脂肪)をよく溶かす有機溶剤に原料を入れ
て加熱して、油が溶けて出るようにします。溶剤にはふつう、「ノ
ルマルヘキサン」というものを使います。

 ヘキサンというのは、ヘキサ(=6)個の炭素からできたパラフ
ィンの一種で、パラフィンとしては炭素数が少なく、沸点が低いの
で、抽出したあと、加熱して蒸発させることで、油と分離します。

 ノルマルというのは、炭素が枝分かれせず、直線状に並んだ分子
になっているという意味です。

 指につけてみると、すぐに蒸発してしまい、指が白くなったよう
な気がします。皮脂を溶かしてしまうからだ、と工場の人が言って
いましたが、直接触ると、刺激が強くて、あまり良くない感じです。

 抽出法は効率が良く、大豆油等の場合は必須の方法なのですが、
油脂の品質は圧搾によって得られたものより、どうしても落ちるよ
うです。資源の問題からいうと、あえて効率の悪い方法をとるのは
気がひけるのですが、圧搾法の油はおすすめできると思います。

 油の味や品質は原料によって違います。私はコーン胚芽や米胚芽
からとった、穀物系の油が好きです。値段をいわなければ、前述の
「太白ごま油」が最高です。ドレッシングにすると、とてもおいし
いです。(高価です!)

 最近はやりの「オリーブ油」は調味料に限りなく近くなりますの
で、あえて不純物の多い、「エキストラバージン」を選びたいです。
(これも高いですが)最も上等のものは、ほとんど加熱せずに搾り、
独特の風味を楽しめるものです。ただし、一般のサラダ油のかわり
にはなりませんので、ご注意ください。

 不純物の問題を除けば、油脂の性質の差は、構成する脂肪酸の種
類によります。「油脂」(「脂肪」「中性脂肪」「トリグリセリド」
といっても、みんな同じものです。)は3価のアルコール(アルコ
ール基=OHを3個持っている)であるグリセリンに、脂肪酸が3
つくっついたものです。

 脂肪酸というのは、カルボン酸ともいって、炭素が鎖状につなが
ったパラフィンに、カルボキシル基=COOHがついた「有機酸」
です。炭素の数(普通偶数です)と途中の二重結合の位置と数によ
って、さまざまな種類にわかれます。

 脂肪酸の話はまたの機会に書きます。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 12月22日に私の父が「動脈瘤破裂」で急死しましたため、し
ばらくバタバタしていました。

 前回は通夜の最中に発信したため、書きかけのものをエイッと送
ったのですが、やっぱり間違いがありました。(^^;)

 間違いを指摘してくださった、たてきさん、ありがとうございま
す。実はこのメールマガジンはほぼすべてを「記憶モード」で書い
ています。間違いも多いと思いますが、そこは読者の指摘を待つ、
ということで、よろしくお願いします。

 話が化学方面になると、ちょっと怪しくなります。高校時代は化
学は得意だったのですが、それ以後、別に勉強したわけではないの
で、専門的な知識はないのです。

 仕事で食品の仕入をすることになったとき、ずいぶんあわてまし
た。何しろ文学部卒なので、全然知識がなかったのです。

 市内に短大の家政学部があって、書店にその教科書のコーナーが
あったので、そのコーナーの本を読むことから、勉強を始めました。

 中でも、「調理化学辞典」にはお世話になりました。

 その後、いろんな生産現場を見て、いろいろ教えていただきまし
たが、私の知識は基本的にはこんなところですので、そのつもりで
読んでくださいね。

 間違いの指摘、鋭い突っ込み、お待ちしています。

 1999年の配信はこれで最後です。みなさん、よいお年をお迎
えください。

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--発行--渡辺--宏------- URL http://www.kenji.ne.jp/food/
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