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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------797号--2015.02.15------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「ニュースから」「食糧自給率」

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---〔話題〕-------------------------------------------------

 食中毒に関連して、ちょっと気になる話があります。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 近年、生鮮マグロを食べた人が、食後短時間で下痢や嘔吐など食
中毒症状を発症する事例が全国的に広がっている。その原因として
疑われているのが、粘液胞子虫(クドア属)である。粘液胞子虫と
は寄生虫であるが、顕微鏡でなければ見えない大きさで、肉眼では
発見できない。

 このクドアによる食中毒は、2011年6月に厚生労働省によって新
型食中毒として扱われることになった。その第一号が、養殖ヒラメ
のクドア汚染による食中毒であった。これにより、食中毒統計で養
殖ヒラメのクドア食中毒実態が明らかになった。同統計によると、
11年6月から12月までの6カ月間に、クドア食中毒患者は19都道府県
で492人も出たことが判明し、クドアによる食中毒が全国的に広が
っていることが明らかになった。

 そして今、生鮮マグロによる食中毒の原因物質として、このクド
アが疑われている。東京都健康安全研究センターが11年4月から13
年2月の間、マグロ類のクドア寄生実態調査を行った。都内の市場
およびスーパーマーケットに流通していたマグロ類を購入して調べ
たものであるが、その結果は驚くべきものであった。日本産メジマ
グロの67%、日本産クロマグロの10%がクドアに汚染されていたと
いうものである。特に日本産メジマグロの汚染率は極めて高く、3
検体のうち2検体が汚染されているというものであった。他方、ミ
ナミマグロ、キハダマグロ、メバチマグロなどからはクドアは検出
されなかった。

●メジマグロによるクドア食中毒の実態

 メジマグロの産地別検出状況を見ると、日本海側が74%、太平洋
側が48%で日本海側のほうが検出率が高かった。そして東京都の調
査では、11年から12年に発生したマグロ食中毒事案の7事例すべて
がメジマグロによる食中毒で、そのすべてからクドアが検出されて
いた。

http://biz-journal.jp/2015/02/post_8909.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 以下は国立感染症研究所のサイトの記事ですが、確かにマグロか
らクドアは検出されるようです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 ヒラメやマグロなどの生鮮魚介類の生食後、短時間で下痢や嘔吐
の症状を呈する原因不明の食中毒が首都圏をはじめ全国的に発生し、
2009年7月以降、厚生労働省は自治体へ事例の報告を求め、その原
因究明を行ってきた。その結果、これら食中毒の推定原因食品であ
るヒラメからクドア属の粘液胞子虫Kudoa septempunctataが高率に
検出されること、培養細胞やマウスを用いた毒性試験により、K.
septempunctata が下痢を引き起こす原因となりうることが示され、
下痢症への関与が強く示唆された。しかしながら、ヒラメ以外の推
定原因食品として報告されているマグロ、タイ、カンパチなどにつ
いては、いまだその病因物質の特徴や検出状況が明らかにされてい
ない。本稿では、2011年6月の厚生労働省による通知「生食用生鮮
食品による病因物質不明有症事例への対応について」以降、都内で
発生した食中毒疑い事例のうち、生鮮魚介類の生食後、短時間で下
痢や嘔吐を伴う事例に関連した魚からのクドア属粘液胞子虫(クド
ア)の検出状況について示す。

 食中毒疑い事例で東京都健康安全研究センターにおいて検査を実
施したのは、ヒラメが7検体、マグロが6検体、タイが3検体、カ
ツオが1検体の計17検体(17事例)であった。ヒラメ7検体に関し
ては、残品が3検体、同一品(検食)が1検体、参考品が3検体で、
K. septempunctataが検出された検体は、残品と同一品がそれぞれ
2検体および1検体であったのに対し、参考品から検出された事例
はなかった。また、ヒラメ1g当たりのK. septempunctata18SrDNAの
コピー数は、いずれも108以上であった。

 マグロは6検体(6事例)すべて残品で、種不明のマグロ1検体、
メジマグロ4検体、メバチマグロ1検体であった。検査の結果、メ
バチマグロを除き、5検体からクドア属粘液胞子虫が検出された。
マグロ1g当たりのクドア18S rDNAのコピー数は、ヒラメの事例と同
様に108以上であった。このクドア属の粘液胞子虫は、胞子形は尖
った星型の形状に6つの極嚢を有した形態のKudoa neothunni と形
態的に類似しているが、ジェリーミートの原因となるK. neothunni
と異なり、検体のマグロはすべてジェリーミートなどの外観的な異
常は認められなかった。このメジマグロ由来のクドア属粘液胞子虫
(以下、Kudoa sp. PBT)の18S rDNAの塩基配列はすべて同一で、
GenBankに登録されている既知のクドア18S rDNAの塩基配列に基づ
いた系統樹解析の結果では、Kudoa grammatorcyni とKudoa
scomberomori に近縁であった。また、これまでの調査からKudoa
sp. PBTが検出されるマグロは、日本近海産のクロマグロまたはそ
の若魚であるメジマグロに限られていることから、事例8の種不明
のマグロは、それらのどちらかであると考えている。

http://www.nih.go.jp/niid/ja/iasr-sp/2119-related-articles/related-articles-388/2245-dj3885.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 マグロの刺身も危険だ!ということなのでしょうね。

 次は「異物混入」ではないのに、「異物混入」のふりをしたとい
う話です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 業務用アイスクリームなどの食品輸入販売会社「アンジュ・ド・
バージュ」(大阪市福島区)が販売した「まるごと苺アイス」から
昨年12月、カビが検出されていたことがわかった。同社は販売先
に対し、カビの検出を明かさずに異物混入を理由に回収。「販売先
に心配をかけたくなかった」と釈明している。

 商品は中国製で昨年8月に約50万個を仕入れ、全国の飲食店な
ど約800店に約38万個を販売。11月に兵庫県の飲食店に指摘
され発覚した。回収できたのは約7万個だった。カビは毒性を持つ
疑いがあるが死滅していると鑑定され、健康被害の可能性は低いと
考えたという。

 同社では昨年9月にも別の商品からカビを検出したが、回収理由
を伏せていた。健康被害の報告はないという。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150213-00000598-san-soci
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 他の記事では「砂が入っていた」とか言っていたらしいです。こ
れは業務用ですが、同様に中国で作られたアイスが、国内で包装さ
れて国産のようにして売られることが多いのです。

 中国産を排斥するような考えはありませんが、このような不透明
なやり方はよくないと思っています。

 最後はちょっと深刻なトラブルです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

日ハム「中華名菜」加熱不足で3万パック超回収へ

 大阪に本社を置く日本ハムが「加熱不足で、賞味期限まで品質を
保てない」として、総菜3万3000パックの自主回収を始めました。

 日本ハムが自主回収しているのは、パック入りの「中華名菜」シ
リーズ「八宝菜」と「白菜クリーム煮」の2種類のうち、茨城県の
工場で製造した賞味期限が今年3月19日から22日の商品約3万3000パ
ックです。商品の殺菌をする機械に不具合があり、加熱が不足した
ため、賞味期限まで商品の品質を保てないと説明しています。日本
ハムは対象商品の返送を受け付け、代金相当のプリペイドカードで
対応する方針で、「管理体制をより一層、強化し、再発防止に努め
る」としています。

http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20150208-00000006-ann-soci
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「異物混入」のように面白おかしくとりあげられるネタではあり
ませんが、加工食品で加熱不足というのは致命的なトラブルです。

 「異物混入」と「加熱不足」のどちらが重大な問題か、マスコミ
諸氏にはわからないのだろうな、と思います。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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今回は休みます。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「食糧自給率」
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 久しぶりに「食糧自給率」ネタで、こんなニュースがありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

食料自給率目標を引き下げ 農水省「基本計画」の骨子案

 農林水産省は13日、農政の中長期的な指針となる「食料・農業
・農村基本計画」の骨子案をまとめた。カロリーベースで50%を
目指す現在の食料自給率目標を実現可能性を考慮した設定に見直す
ほか、新たに国内の食料の潜在生産能力の指標として「食料自給力」
を提示する方針。3月中に数値目標などの詳細を詰め基本計画をま
とめる。政府は新たな指標を基に、食糧安全保障の確立に向けた施
策を講じたい考えだ。

 2010年に策定された前基本計画の食料自給率目標については
「総合食料自給率は約40%で推移しており、目標から乖離」して
いると判断。新たな自給率目標は、食品ロスなど食料消費に関する
課題と、農地集約など農業生産に関する課題を考慮し、「各課題が
解決された場合に実現可能な生産水準」を設定するとしており、現
状の目標から引き下げられることになりそうだ。

 現在は自給率を上げるために、農業保護を目的としたさまざまな
補助金が投じられている。だが、今回の見直しでは補助金に頼った
農政から脱却し、「農協改革と合わせて農家自身が競争力を強化す
ることで達成する目標」(農水省幹部)とする。

 また、食料自給力は、輸入が途絶えるなどした時に、国内でどれ
だけ食料を自給できるかを示す「潜在生産能力」と定義。国内農地
などを最大限活用することを前提に、生命と健康を維持するための
供給可能熱量を試算して数値化する。食料自給力を国民に示すこと
で「食糧安全保障の議論を深化させる」(同)ことも狙っている。

 基本計画は10年程度を対象とし、約5年ごとに見直すことが法
律で決まっている。

http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150213-00000006-biz_fsi-nb
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「食糧自給率」については、農水省のサイトにこんな説明があり
ます。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■総合食料自給率

 食料全体における自給率を示す指標として、供給熱量(カロリー)
ベース、生産額ベースの2とおりの方法で算出。畜産物については、
国産であっても輸入した飼料を使って生産された分は、国産には算
入していない。

■カロリーベース総合食料自給率

「日本食品標準成分表2010」に基づき、重量を供給熱量に換算した
うえで、各品目を足し上げて算出。これは、1人・1日当たり国産供
給熱量を1人・1日当たり供給熱量で除したものに相当。

(例)カロリーベース総合食料自給率(平成25年度)=1人1日当た
り国産供給熱量(939kcal)/1人1日当たり供給熱量(2,424kcal)
=39%

■生産額ベース総合食料自給率

「農業物価統計」の農家庭先価格等に基づき、重量を金額に換算し
たうえで、各品目を足し上げて算出。これは、食料の国内生産額を
食料の国内消費仕向額で除したものに相当。

(例)生産額ベース総合食料自給率(平成25年度)=食料の国内生
産額(9.9兆円)/食料の国内消費仕向額(15.1兆円)=65%

http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/011.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 このうち、「カロリーベース」についてはこんな説明を以前にも
引用したことがあります。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 まず、日本の食料自給率は決して低くない。農水省は「40%」と
いう自給率を取り上げて、先進国の中で最低水準だと喧伝している。
だが、これはカロリーベースの数字であって、生産高ベースで見れ
ば66%と他の国に見劣りしない。

 浅川氏によれば、実は40%というカロリーベースの数字自体も、
できるだけ低く見せようとする農水省によって操作されたものだと
いう。そもそもカロリーベースという指標を国策に使っているのは
世界で日本だけらしい。

 浅川氏は同様に、世界的な食糧危機は現実的にはやって来ないこ
と、日本の農業は世界有数の高い実力を持ち、食料の増産に成功し
ていることなども論じており、こちらも説得力に満ちている。なに
しろ日本の農業生産額は約8兆円で、世界5位。日本はれっきとした
農業大国なのだ。

 それにしても農水省は罪深い組織である。農水省が国民を欺いて
きた理由を一言で言うと、組織と役人の自己保身のため、というこ
とになる。「窮乏する農家、飢える国民」のイメージを演出し続け
ることで、省や天下り先の利益を確保し、農水省予算の維持、拡大
を図っているのだ。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/4098
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 悪名高い「カロリーベース」の目標値を下げようということなの
ですが、果たして今度は何を目論んでいるのでしょうか。

 日本の農業生産額と農業従事者について、こんな記事がありまし
た。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

【9%→1.4%】

 これは、1960年から2012年にかけてのGDPに占める、農林水産業
のGDP構成比です。50年かけて、9.0%→1.4%と減ってきているじ
ゃないか!

「農業が衰退してるってことかーー!」と思う人もいるかと思いま
す。ちょっと、他の国と比べてみましょう。

 アメリカ、ドイツ、イギリス、フランス、日本の5ヶ国の中で、
日本の農業GDP比は第何位でしょうか。なんと、第2位です。

 1位は、1.8%でフランス!国土面積は日本の約1.5倍、農用地面積
は国土の半分を占め、EU農用地面積全体の16%を占めるEU最大のフ
ランスでも、1.8%です。

※3位 アメリカ1.1% 4位ドイツ0.9% 5位0.8%

 あれ?なんか、1.4%って、すごい低そうなのに、他の国と比べて
も高いくらいですね。どういうことなのでしょう。

 農家戸数も就業人口も減少していますが…..?

【29%→6%】

 これは、1960年から2010年にかけての総世帯数に占める農家戸数
の割合です。

 戦後、総世帯数の約1/3あった、農家の数が、ここ50年で、1/16
の割合になっています。

 立て続けに、この数字はなんでしょうか。

【30%→2.4%】

 こちらは、1960年から2012年にかけての総就業人口に占める農業
就業人口の割合です。50年で、約3分の1から、40分の1近くになっ
ています。

 では、この農業就業人口の割合も、先程の国と比較してみましょ
う。

 アメリカ、ドイツ、イギリス、フランス、日本の5ヶ国の中で、
日本の農業人口比は第何位でしょうか。なんと、第1位です。
(フランス2.2%、アメリカ1.8%、ドイツ1,7%、イギリス1.5%)

http://blog.yao800.co.jp/archives/334
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 農水省が避けている話題ですが、外国と比較してみると面白いで
すね。

 農業生産額が意外と高いのは日本農業も頑張っているということ
でよいでしょうが、農業従事者が多いのは日本農業の後進性を物語
っています。

 農水省のデータでは、農家数などはこんな感じです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

総農家   253万戸
販売農家 141万戸
自給的農家 90万戸

農業就業人口 227万人
うち女性 114万人
うち65歳以上 64%
平均年齢 66.2歳

経営体当たり総所得 476万円
うち農業所得 135万円

http://www.maff.go.jp/j/tokei/sihyo/
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 所得を見ると農業が産業としては成立していない様子がうかがえ
ます。

 新しいデータではこんな数字がありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

    農業林業 非農林業
2014年   209   6,142(万人)

http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/zuhyou/05404.xls
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 計算してみると農林業の従事者は全体の3.4%程度です。これが先
進国なみに2%以下にならないと産業として成立しないだろうとい
うことです。

 一般に、農業人口の比率が低いほど、その国の食糧生産は安定し
ます。日本でも順調に農業人口が減っていた時代に、意識して減ら
さない政策がとられたことが今に影響しているのだと思います。

 以下は川島博之氏の『「作りすぎ」が日本の農業をダメにする』
(日本経済新聞出版社)の書評です。(少し前のものです。)

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 このように、経済発展で食肉への需要が大幅に増えたとしても、
牛肉の増産のために飼料の奪い合いが起こったりはしない。食肉需
要による食糧危機説は、ステーキこそが最高の料理だという欧米人
の偏見から生まれたの妄想なのだ。

 世界じゅうで、食料は余っている。そしてこれが、先進国を中心
に深刻な農業問題を引き起こした。

 これもいわれてみれば当たり前なのだが、農産物が稀少で価格も
高ければ、農業が経済的に成立しないという意味での「農業問題」
は起こらない。農業問題というのは、穀類などの供給が過剰になり、
売り先がなくなって価格が低下し、農家の収入が下がって生活が成
り立たなくなることをいうからだ。

 それに対して食糧問題とは、食料の需要に対して供給が過少にな
り、必要なひとが食料を手に入れられなくなることをいう。供給過
剰(需要過少)による農業問題と、供給過少(需要過剰)による食
糧問題は経済学的には正反対で、両者を同一のものとして語ったり、
同時に解決することは原理的にできない。

 それにもかかわらず日本国内の農業問題についての議論は、いま
だに終戦直後の食料不足を前提としており、食料の過剰(作りすぎ)
という現実を無視しているため、まったく意味のないものになって
いる。

 「日本の食料自給率はカロリーベースで40%しかない」といわれ
るが、カロリーベースの自給率を問題にしている国は世界じゅうで
日本しかない。豚肉や鶏肉は国内で生産されているが、穀物飼料は
輸入しているのだから「自給」とはいえない。このように考えると、
農水省の推計でも、日本の食料自給率はどう頑張っても50〜60%程
度にしかならない。農水省の目標は食料自給率50%だが、40%なら
不安で50%だと安心だという根拠などどこにもない。

 さらにいえば、日本の食料自給率を引き下げたのはコメに対する
長年の過剰な優遇策だ。自民党政権が農村票を確保するためにコメ
の価格を吊り上げたため、農家は小麦など他の穀類をつくらなくな
った。そのため穀物飼料を輸入するほかなくなり、それが食料自給
率を引き下げるから、いまでは農家に補助金(すなわち税金)を渡
して小麦などの生産を奨励している。しかしこんなことではアメリ
カの大規模農業に対抗できるわけもなく、いたずらに税金をムダに
しているだけだ。

 「食料自給率」というのは、過去の農業政策の失敗を糊塗し、個
別所得補償制度など票目当ての農家への優遇策を正当化するための、
政府や官僚による都合のいいレトリック(ウソ)なのだ。

 川島氏によれば、日本の農業の最大の問題は農業人口が“多すぎ
る”ことだ。

 アメリカでは農家1戸あたりの農地は10.8ヘクタールで、1人当た
りの穀物生産量は78.1トン、ヨーロッパの農業大国であるフランス
では、1戸あたりの農地は7.1ヘクタールで、1人当たりの穀物生産
量は52.8トンだ(フランスでは、アメリカの7〜8割の規模で農業生
産が行なわれている)。それに対して日本では、1戸あたりの農地
は0.7ヘクタールで、1人当たりの穀物生産量は4.0トンと、アメリ
カやフランスの10〜20分の1だ。これほど規模が違っては、「競争」
など成立するはずがない。

 日本の農業の問題は「担い手不足」ではなく、担い手が“多すぎ
る”ことだ。農業の競争力をグローバルスタンダードに引き上げる
ためには、農家の戸数を少なくとも現在の10分の1程度まで減らさ
なければならない。そうなれば、地方にはほとんどひとはいなくな
るだろう。農業の再生と、地方の再生は両立しないのだ。

 農業問題の根本は、農業と製造業の生産性に大きな差があること
にある。農産物の需要は、原理的に、人口増と同じ程度にしか増え
ない。ひとはゆたかになれば高級な食材を買い求めるようになるだ
ろうが、米や肉を3倍も4倍も食べるようになるわけではない。

 それに対して製造業の生産性は、技術革新や規模の拡大によって
大きく上昇した。こうして農村から都市へと人口が流出するが、そ
れでも農地の拡大は進まず農村はどんどん貧しくなっていく。都市
と農村の格差の拡大は、日本だけでなく、中国や東南アジアなど世
界のどこでも見られる現象だ。

 こうした“不都合な事実”を前提として、川島氏は日本の農業の
将来について、いくつかの提言をしている。

 ひとつは、「食糧危機」や「食料自給率」などという荒唐無稽な
つくり話で政策を論ずることをやめること。食料はあり余っており、
いつまで経っても食糧危機はやって来ず、食料自給率は無意味だ。

 ふたつめは、日本の農業に競争力があるとしたら、規模の経済が
必要なコメづくりではなく、広い土地を必要としない畜産や野菜栽
培だということ。オランダの食料自給率はわずか18%だが、トマト
やチーズをEU諸国に輸出して大きな利益を上げている。日本の農業
も、アメリカの大規模農業に対抗するのではなく、オランダのよう
なニッチ戦略に特化すれば、中国やアジア諸国への輸出を大きく伸
ばせるだろう。そのためには、TPPにも早期に参加しなければなら
ない。

 三つめは、コメを自由化したとしても「競争力」が生まれたりは
しないということ。新世界(北米やオセアニア)の大規模農業はあ
まりにも強力で、平地が少なく農地の権利関係が複雑な日本ではは
じめから相手にならない(競争上の優位性がないのだから競争して
も仕方がない)。

http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20121114-00010000-atachiba-nb&p=2
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「農業の再生と、地方の再生は両立しない」ミもフタもありませ
んが、これが事実なんですね。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 中国ではバレンタインデーは「情人節」と言います。恋人の日と
いうような意味なんですが、日本とは違ってプレゼントは男から女
に送るのが普通です。

 日本の女の子は優しいので、「義理チョコ」などが存在します。
そういえば先日、「一目で義理とわかるチョコ」という広告があり
ました。誤解されるといけませんからね。

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