安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>783号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------783号--2014.11.09------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「アクリルアミド」

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ブログ毎日?更新中

http://why0531.sblo.jp/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 まず、こんなメールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 あるコーヒーのCMで、国内工場だから安全ということばを聞きま
したが、(宣伝文句ということをさっ引いても)そう言い切ってい
いのでしょうか?

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 昔は大手メーカーの広告にはそれなりの品位があったと思います
が、最近は健康食品に進出するところも多く、怪しげな宣伝文句が
増えています。

 「モンドセレクション」なんかがその最たるものですが、「国産
信仰」もその仲間入りということなのでしょう。

 もちろん、このウラには一部のプライベートブランドが外国製の
ものを出してきているということがあるのでしょう。

 もっと品位を!大手メーカーで高給を取っている人にはそれなり
の品位が求められると思います。

 次は農薬業界の事情で、結構大変なことになっているという話で
す。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

ARfdについて

>私事では長男の結婚、次男の家庭で第二子誕生予定とめでたいこ
とが続いています。

 おめでとうございます!

 さて標記の件、農薬業界でも台風19号並みの荒れかたです。

 その第一号として、アセフェート剤(オルトラン剤・ジェイエー
スなども含む)については、登録変更前ですが、登録変更後の使用
基準を農家に周知徹底するようにと農薬メーカーより、流通段階に
話がおりています。

 というのも従前の使用基準で使用した農産物が、改正後の残留基
準値を超えてしまい食品衛生法に違反する心配があるとのことです。

 オルトラン剤のメーカーであるアリスタライフサイエンスからの
文書は
http://www.agrofrontier.com/news/pdf/ortran_kouriten1409.pdf

 いままで特に安全性で現実的に問題が起きているわけではないの
で、順次、徹底する方向で良いのではないのと私なんか思いました
が、「安全に関する事項なので、そういう訳にいかないという判断
を行政はしている。」とのことでした。

 今後は、有機リン剤・カーバメート剤などで、いくつかの剤が該
当する見込みとのことですが、今時点では、他剤についてはメーカ
ーは、行政の基準も確定していないということで、情報開示してく
れていません。

 なんやねんという農薬流通業者としての気持ちです。

 農家のブログには、こんな記述も・・・
http://ameblo.jp/ozouni7144/entry-11932048471.html

 ちなみに各県の植物防疫担当官への農水省からの説明は、9月上
旬に行われているとのことです。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 欧米の動向にうっかり乗っかるとひどい目に遭うのは何度も経験
済みだと思うのですが、またまたやってしまったというところです。

 紹介されているメーカーからの文書には、こう書いています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 本年 7 月 1 日付でオルトラン水和剤及びオルトラン粒剤につい
て作物名の削除 を含む登録縮小の変更登録の申請をしました。

 登録時期は未定ですが、変更登録の申請内容に基づいた使用が必
要になります。つきましては、下記の通りご対応くださいますよう、
ご協力お願い申し上げます。

1.対象農薬

オルトラン水和剤
(種類名:アセフェート水和剤、登録番号 第 19992 号)
オルトラン粒剤
(種類名:アセフェート粒剤、 登録番号 第 19993 号)

2.変更登録申請内容: 別紙の通り。

3.依頼内容

(1)作物名が削除される作物での使用が想定される場合、出荷の
自粛をお願いいたします。

表 オルトラン剤 農薬登録申請内容(登録削除作物名部分を抜粋)

オルトラン水和剤 かんきつ/トマト/ミニトマト/ブロッコリー
/なす/かぶ/はつかだいこん

オルトラン粒剤 ミニトマト/はつかだいこん

4.変更理由

 今般、農薬の登録に当たり、急性暴露評価が新たに実施されるこ
ととなり、順次評価が行われます。具体的には、定められた使用方
法を守って使用した場合に、想定される最大量が当該作物に残留し
たと仮定し、且つその作物を例え通常よりはるかに多くの量を短時
間(1日)に摂取した場合でも、急性参照用量(ARfD*参照)を超
えないことの確認が行われます。

 オルトラン剤につきましても、設定が想定されるARfDを基に検討
した結果、複数の適用作物で想定ARfDを超過することが予想され、
超過しない使用方法へ変更する必要があると判断しました。

*急性参照用量(ARfD)とは:ヒトが24時間またはそれより短時間
の経口摂取により健康に悪影響を示さないと推定される一日当たり
の摂取量。

http://www.agrofrontier.com/news/pdf/ortran_kouriten1409.pdf
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 農家のブログのコメント欄に以下のような記述があり、笑ってし
まいました。

「ARfD、アルフレッド君wですね。」

 次は以前に紹介した「アトピー性皮膚炎から食物アレルギー」に
ついて、研究グループからのプレスリリースです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 国立成育医療研究センターの斎藤博久副研究所所長・大矢幸弘生
体防御系内科部アレルギー科医長のグループは、アレルギー疾患の
発症予防に関わる仕組みの解明を目指した臨床研究を実施しました。

本プレスリリースのポイント

○成育出生コホート研究におけるランダム化臨床研究介入試験で、
新生児期からの保湿剤塗布によりアトピー性皮膚炎の発症リスクが
3割以上低下することが分かりました。そして、アトピー性皮膚炎
発症が卵アレルギーの発症と関連することも確認されました。

○この度の臨床研究の結果、乳児期のアトピー性皮膚炎は、食物ア
レルギーなどのアレルギー疾患の発症誘因となることが示唆されま
した。

○今後、アトピー性皮膚炎の発症率をさらに減少させ、食物アレル
ギーの発症予防を実現することを目的として、国立成育医療研究セ
ンターではさらなる臨床研究を実施することとしました。

背景

 医療行為の有効性に関する高いレベルの根拠(エビデンス)を示
すためにはランダム化臨床試験(RCT)が最も適切な方法です。RCTで
は、あらかじめ仮説などを公的機関のウェブサイトに登録して公開
する必要があります。後でいろいろな項目を解析して有効性を示し
た結果だけを発表するという行為を防ぐためです。今までアレルギ
ー疾患の発症予防については、妊婦のアレルゲン食物制限など様々
な試みが行われていましたが、ほとんど失敗していました。

 今回、私たちは乳児期からの保湿剤の使用がアトピー性皮膚炎の
発症を予防できるかもしれないという仮説をRCT の手法を用いて証
明しました。アレルギー疾患の発症予防の試みとしても世界初であ
り、10月 1日発刊の米国アレルギー臨床免疫学会雑誌に掲載される
ことになりました。

研究手法と成果

 国立成育医療研究センターで実施中の成育出生コホート研究およ
びその他の最近の研究成果より、乳児期にアトピー性皮膚炎を発症
した子どもは食物アレルギーなどの他のアレルギー疾患を発症する
リスクが非常に高いことが示唆されていました。

 今回、成育出生コホート研究におけるランダム化臨床研究介入試
験で、新生児期からの保湿剤塗布によりアトピー性皮膚炎の発症リ
スクが3割以上低下することが分かりました。そして、アトピー性
皮膚炎発症が卵アレルギーの発症と関連することも突きとめました。

 微量の血液でアレルギー反応をおこす IgE抗体を測定する新規方
法をもちいることにより、アトピー性皮膚炎あるいは湿疹を発症し
た乳児では卵白に対する IgE抗体が非常に高い値(オッズ比4倍以
上)を示すことを確認しました。

今後の展望・コメント

 最近になってアトピー性皮膚炎の皮膚では免疫細胞が表皮を貫い
て突起を伸ばしていることが分かりました。今回の検討において保
湿剤は皮膚乾燥を防ぎアトピー性皮膚炎の発症を防ぐことが示され
ましたが、一度アトピー性皮膚炎になると保湿剤を塗るだけではIg
E抗体の産生を防ぐことはできませんでした。

 これまでの成果を総合すると、アトピー性皮膚炎から他のアレル
ギー疾患の発症を防ぐためには、保湿剤だけでは不十分で、皮膚炎
症を抑え免疫細胞の突起を引っ込めさせる必要があると想定されま
す。

 このことにより、将来の日本国民のアレルギー疾患発症率を大幅
に減少させることができると期待されます。

http://www.ncchd.go.jp/center/information/topic/images/topic141001-1.pdf
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 全く新しい見解ですが、有望そうですね。この間に出た情報で、
食物アレルギーを防ぐには

(1)いろんな食物をなるべく早く食べさせる。

(2)食物アレルギーは食物が皮膚と接触することが原因となるの
で、皮膚の衛生と保護が重要。

 これで正解なのかどうかはわかりませんが、注目していきたいで
す。

 最後は「食品安全情報blog」から。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■甲状腺がんの流行?

 歴史的には疫学は感染症の流行を同定しコントロールするための
ものだった。NEJMに私と同僚が発表したばかりの研究では疫学者の
もう一つの重要な仕事に焦点を当てている:医療の流行を同定しコ
ントロールすることである。

 韓国では過去20年に甲状腺がんの発生率が15倍になった。このよ
うな早さでがんの発生率が増加した地域は他にはない。我々は病気
が増えたらその生物学的原因−新しい感染源や環境暴露など−を探
すようにと教えられてきた。しかし韓国で見られたのは診断の流行
だった。

 1999年に政府はがんやその他の病気を減らすために全国スクリー
ニング計画を始めた。その計画に甲状腺がんスクリーニングは入っ
ていなかったが、それは簡単で首の超音波検査だけで済む。病院や
多くの医院には超音波検査装置があったため、政府の計画への安価
なオプションとして甲状腺スクリーニングが行われた。売るのは簡
単で、政府や医療業界、ニュースメディアそしてがん「サバイバー」
ががんの早期発見を褒め称えた。

 その結果意図せず早期発見の大きな有害影響を明るみに出した。
かつて希ながんだった甲状腺がんは今は韓国で最も多いがんになっ
た。

 この新しい甲状腺がんはどこから来たのだろうか?それらはずっ
とそこにあった。1947年という早い時期から病理学者は滅多に死因
にはならないものの甲状腺がんが剖検で良く見つかることを認識し
ていた。その後の研究では成人の1/3以上が甲状腺がんをもってい
ることを示してきた。これらのがんはほとんどが小さな「甲状腺乳
頭がん」でその多くはその人が生きている間は明らかにはならない。

 超音波スクリーニングを受けなければ。実際韓国で新たにわかっ
た甲状腺がんのほぼ全てが甲状腺乳頭がんである。どうしてこれが
真の病気の流行ではないとわかる?韓国で甲状腺がんで死亡するヒ
トは変わっていないからである。もしスクリーニングで命が救われ
たなら死亡率が減るだろう、あるいは流行が拡大するに連れて死亡
率がゆっくり上がっていくだろう、しかし完璧にフラットなままで
ある。

 診断の流行は誰の健康にとっても良いことではない。リソースが
無駄に使われ人々は必要もなく恐怖におびえる。しかしより大きな
問題は治療の流行である。

 甲状腺がんと診断されたヒトの多くが甲状腺を除去している。甲
状腺は重要な臓器で代謝を調節するホルモンを作っている。甲状腺
がないと患者は生涯にわたって補充療法を受ける必要がある。医師
がその人に適した量をみつけるにはしばらくかかり、その間患者は
甲状腺ホルモンの過剰または過小で苦しむ。また頻度は少ないが手
術による合併症もある。韓国と米国では約10%の患者がカルシウム
代謝に問題を生じ約2%が声帯の麻痺を経験する。そしてあらゆる手
術同様、肺血栓や心臓発作、脳卒中という命に関わる影響はおこり
いうる。甲状腺手術1000回当たり約2人が死亡する。希ではあるが
確実におこる。

 韓国でおこったことがここでもおこるか?確実に。一致協力した
スクリーニングの薦めは行われていないが米国でも甲状腺がんの発
生率は1975年以降3倍になった。この傾向を逆転させるためには積
極的に早期甲状腺がん検診をやめるよう薦めなければならない。

 早期発見が素晴らしいことだという思いこみは非常に根深く魅力
的なので多くのヒトが検査は良いことしかないと考えている。しか
しそれは事実ではない。韓国での経験はがんの早期発見の負の側面
を明らかにしている:過剰診断と過剰治療である。この問題は甲状
腺がんと前立腺がんで最も大きい。しかし肺がん、乳がん、皮膚が
ん、腎臓がんでも存在する。そしてスクリーニングには不安が伴う
−それは健康に良くはない。

 もちろんスクリーニングが意味のある場合もある。特にハイリス
クの人たちには−つまり家族歴で複数の人ががんで死亡している人
たち。平均的リスクで長生きすることが予想される人は将来利益が
ある可能性があり、不必要な治療による有害影響の可能性を喜んで
受け容れる人たちにとってもスクリーニングは意味があるかもしれ
ない。

 しかし早期発見に興味のある人はどれだけ早ければいいのかにつ
いても考えた方が良い。もちろん大きな塊になってから見つけるよ
り乳腺の小さなしこりでがんが診断できた方がよい。しかしそれを
顕微鏡で見つけるところまで拡大するのは過剰だろう。韓国でみつ
かった甲状腺がんの多くは1センチより小さい。もしもっと早期の
ものを探したらもっとたくさん見つかるだろう。そしてどこかで見
つからないまま放置していた方がよいほど見つけすぎる。つまり医
師に早期がんを一生懸命探さないで欲しいということがあなたの関
心になる。

 ここに疫学が参加する。あまりにも多くの疫学者が感染症コント
ロールではなく環境暴露による小さな健康影響、あるいはさらに悪
いことに小さな遺伝的変異の不確実な影響を見つけようとしている。
彼らはもっと重要なヒト健康リスクを監視すべきだろう、つまり医
療の流行を、である。

(長いけど重要なので。福島の子どもの甲状腺がんスクリーニング
の対照に他の地域の子どもを大量スクリーニングしろと言っている
人たちがいるので。福島のスクリーニングですら害の方が大きいだ
ろうに。)

http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20141107#p13
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 この件は韓国社会の自制力のなさを現していると思いますが、冒
頭のコマーシャルの件なんかを見ていると日本でも同様の心配はあ
るのかな、という感じですね。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.加工所にジャムの加工をお願いしました。キャップの色をシル
バーで注文したのに、在庫がなかったという理由で金のキャップに
なってしまいました。シルバーになおしてほしいと言いましたが、
品質が落ちるとの理由で断られました。パンフレットや店頭にもシ
ルバーで置いてあるので困っています。これは、加工所の責任で作
り直すべきではないのでしょうか? また、品質が落ちるとはどの
ような状態になるのでしょうか?

------------------------------------------------------------

A.私は専門家ではありませんし、これだけの情報では何とも答え
られません。

 ジャムのキャップにはいろんな種類があるようです。以下のとこ
ろで聞いてみてはいかがでしょうか。

ツイストキャップのタイプの違いと選び方
http://www.chuku.jp/page/12

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「アクリルアミド」
------------------------------------------------------------

 しばらく前からもやもやしている「アクリルアミド」について、
こんな記事がありました。中西準子先生のところで紹介されていた
ものです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■揚げると生じるアクリルアミド

 ジャガイモは味を良くするために油と塩を加えて調理されること
が多く、肥満や生活習慣病など深刻な健康問題の原因となるほか、
高温で加熱することで大量のアクリルアミドを生成することが分か
っています。アクリルアミドは国際がん研究機関によって、「人に
対しおそらく発がん性がある」物質(2A)に分類されています。20
02年にスウェーデン政府が、炭水化物を多く含むイモなどを焼くま
たは揚げることによりアクリルアミドが生成されると発表したのを
皮切りに、世界各国で研究が進みました。今回の論文はその様々な
成果を総括したものです。

 中でも重要な知見は、生成の詳しい仕組みです。ジャガイモは、
アミノ酸の一種であるアスパラギンと、ブドウ糖や果糖などの還元
糖を含みます。それぞれを加熱しても問題は起きませんが、ジャガ
イモの中で一緒に高温(120℃以上)で長時間加熱されることで両
者が「メイラード反応」と呼ばれる化学反応を起こし、アクリルア
ミドを生じます。メイラード反応が起きるのは、揚げる、焼く、炙
るといった加熱方法で、その結果、独特の良い香りと味が生まれま
す。美味しいフライドポテトやポテトチップスは世界中に普及して
きましたが、それと引き換えに世界中の人がアクリルアミドにさら
されることとなったのです。

■冷蔵庫を避け、蒸す、煮る、茹でる

 加熱調理で生じるアクリルアミドを減らすポイントは、2つあり
ます。論文では、ジャガイモの貯蔵・保管方法について言及してい
ます。ジャガイモを低温で保管すると、でんぷんが還元糖に変化し
ます。上述のとおり還元糖を高温で加熱することでアクリルアミド
が生成されますので、常温に置いておいたジャガイモより低温で貯
蔵したもののほうが、アクリルアミドが多く生成されることになり
ます。どんな調理法を選ぶにしても、冷蔵庫など8℃以下でのジャ
ガイモの貯蔵・保管は避けましょう。

 もう一つは、蒸す、煮る、茹でる、といった調理法を選ぶことで
す。厚労省や農水省も、これらの調理法ならアクリルアミドは生じ
ないか、含まれても極微量とサイト上で明言していますし、問題と
なる加熱方法としては、焼く、揚げる、煎る、焙る、炒める、など
を挙げています。100℃を沸点とする水を介した調理であれば、メ
イラード反応の条件である120℃以上の長時間加熱が避けられるの
です。

 となると気になるのは外食や加工食品です。論文によれば、ジャ
ガイモは、北米や他の先進国ではほとんどがフライドポテトやポテ
トチップスなど、付け合わせやスナックとして消費されています。
実際、カナダでは、体内に取り込まれるアクリルアミドの70%近く
がフライドポテトとポテトチップス由来と見積もる報告もあります。
原料となるジャガイモの貯蔵方法が問題になりますが、日本の場合、
農林水産省が食品関連事業者向けに「食品中のアクリルアミドを低
減するための指針」をまとめ、2013年11月に公表しています。ただ
し推奨レベルであって拘束力はありませんし、当然ながら輸入加工
食品にまでは及びようがありません。

 ジャガイモに含まれる還元糖とアスパラギンを完全に除去するこ
とは、研究者らが調べた限りでは実現可能性は低いと考えられてい
ます。どちらの成分も植物の成長と成熟に不可欠なためです。ただ
最近、アスパラギナーゼという天然の酵素で処理することにより、
アスパラギンを効果的に減らせるようになりました。食品にアスパ
ラギナーゼを使用することは、国際連合食糧農業機関(FAO)/世界保
健機関(WHO)合同食品添加物専門家会議(JECFA)の支援を受けて、米
国やオーストラリア、ニュージーランド、デンマークで承認されて
います。今後、この技術の発展が期待されます。

■カロリーと栄養に富む世界第4の主食

(略)

■よく知りよく摂ろう

 というわけで、もうお分かりですね。冒頭で挙げたジャガイモ料
理だったら、肉じゃが、マッシュポテト、じゃがバターと皮付きこ
ふきいもがお薦めです。特に皮付きのこふきいもは、食物繊維もた
っぷりです。一方で、フライドポテトやポテトチップスは控えめに
するべきと考えられます。ジャガイモを扱う食品業界は、風味や色、
サクサク感といった仕上がりの品質を維持しながらアクリルアミド
含有量を減らすことを、大きな課題としています。そこをクリアす
る加工技術が待たれます。

 実のところ、高温加熱によりアクリルアミドを生じるのは、ジャ
ガイモだけではありません。厚労省と農水省によれば、穀類を原材
料とする焼き菓子や、製造工程に焙煎を含むコーヒー(特にインス
タント)やほうじ茶、麦茶などの飲料にも含まれることが分かって
います。自宅調理の場合も、野菜の素揚げや炒めもの、手作りの焼
き菓子、トーストしたパンなど、条件さえ揃ってしまえばアクリル
アミドは生じます。

 日本人が長らく口にしてきた身近な食べ物や料理にも含まれるな
らば、神経質になりすぎることはない、という見方もあります。が、
アクリルアミドがどんなもので、どんなふうに生じ、何に多く含ま
れているのか、知らなければ避けることもできません。ジャガイモ
にはもともと素晴らしい栄養素が豊富に含まれているのですから、
その恵みを上手にいただくことができるような、舌にも体にも美味
しい食べ方をしたいですね。

http://robust-health.jp/article/cat29/mohnishi/000515.php
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ここで紹介されている「食品中のアクリルアミドを低減するため
の指針」は以下のようなものです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

食品中のアクリルアミドを低減するための指針 第1版
2013 年 11 月

 人間は、食品に好ましい味、香り、色、食感を加えるとともに、
栄養素の消化吸収を良くするために、加熱による加工・調理を行っ
てきた。加熱は、食品の保存性や安全性を高めるためにも重要であ
る。しかし、近年の研究結果から、食品の加工中や調理中の加熱が
原因となって、意図していなかった化学物質が生成し、食品に含ま
れることが分かってきた。アクリルアミド(acrylamide)は、それ
らの化学物質の一つで、その主な生成要因は、食品に含まれるアミ
ノ酸の一種である遊離アスパラギン(以下単に「アスパラギン」と
いう。)と還元糖(ぶどう糖や果糖など)の化学反応であることが
明らかとなった。

 食品に含まれるアクリルアミドが明らかに原因であると特定され
た健康被害はこれまで報告されていない。しかし、国際的なリスク
評価機関は、食品を通じて長期間にわたってアクリルアミドを取り
続けることによって健康への悪影響が生じる懸念があると結論し、
食品のアクリルアミド濃度を低くするための適切な努力を継続すべ
きであると勧告した。このことは、アクリルアミドによる消費者の
健康被害の発生を未然に防ぐには、食品のアクリルアミド濃度をで
きるだけ低くし、食品由来の摂取量(以下「暴露量」という。)を
減らすことが重要であることを示している。

http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/acryl_amide/a_gl/pdf/131127_acrylamide_full.pdf
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 また、中西準子先生のところでは以下のリスク評価書が紹介され
ています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

化学物質の初期リスク評価書 Ver. 1.0 No.35

アクリルアミド Acrylamide

化学物質排出把握管理促進法政令号番号:1-2
CAS 登録番号:79-06-1

2007 年 8 月

独立行政法人 製品評価技術基盤機構
財団法人 化学物質評価研究機構
委託元 独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構

 成人の体重を平均 50 kg と仮定して、体重 1kg あたりの摂取量
を求めると次のようになる。

吸入摂取量:
0.10 (μg/人/日) / 50 (kg/人)=0.0020 (μg/kg/日)
経口摂取量:
(0.020+141) (μg/人/日) / 50 (kg/人)=2.8 (μg/kg/日)
合計摂取量:
0.0020 (μg/kg/日)+2.8 (μg/kg/日)=2.8 (μg/kg/日)

■生殖・発生毒性

 以上、生殖・発生毒性試験結果から得られるアクリルアミドの
NOAELは、ラットを用いた 2世代試験の2mg/kg/日である。

■遺伝毒性

 以上、アクリルアミドは、in vitroの試験系ではネズミチフス菌
を用いた復帰突然変異試験で陰性であったが、染色体異常、遺伝子
突然変異試験、姉妹染色分体交換など多くの試験において、若干例
を除き陽性を示した。また、in vivoの試験系では、ラットの優性
致死試験、マウスの骨髄細胞や生殖細胞を用いる染色体異常試験及
び小核試験など多くの試験で陽性あるいは弱陽性を示した。従って、
アクリルアミドは遺伝毒性を有すると判断する。

■発がん性

 以上、ヒトに対する暴露と発がん関連性を示唆する報告はなされ
ていないが、変異遺伝毒性試験では、ほ乳動物あるいはその培養細
胞を用いるほとんどの試験系で陽性を示し、ラットの発がん性試験
では、種々の腫瘍の発生頻度の増加が認められ、またマウスの皮膚
二段階発がんモデル系でもイニシエーション作用を有することが示
されていることから、ヒトに対して発がん性を示す可能性が高い。

http://www.safe.nite.go.jp/japan/sougou/data/pdf/risk/pdf_hyoukasyo/002riskdoc.pdf
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 遺伝毒性、発がん性ともに「あり」とされています。中西準子先
生は「遺伝毒性」について、こう注記されています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 ここで、遺伝毒性があると結論されている。遺伝毒性ありとは、
DNAに直接働きかけて変異をもたらすと言う意味であって、別に、
これにより次世代の子供に何か影響があるという意味ではない。
「遺伝毒性あり」という用語が、非常に誤解を招きやすい。

http://homepage3.nifty.com/junko-nakanishi/zak686_690.html#zakkan689
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「遺伝毒性」ではなくて、「遺伝子損傷性」くらいにするべきと
いうことですね。

 厚労省のサイトには「加工食品中アクリルアミドに関するQ&A」
というのがあり、主な食品のアクリルアミド含有量が示されていま
す。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

表:食品中のアクリルアミド含有量(要約)

食品群
食品   アクリルアミド濃度(μg/kg)
         最小値 最大値

■じゃがいも加工品

ポテトチップス  117  3770
フライドポテト  59   5200
ポテトフリッター 42   2779
じゃがいも(生) 10未満 50未満

■穀類加工品

コーンスナック  120  220
ケーキ・パイ類  18   3324
パン類      20未満 130
トースト     10未満 1430
朝食用シリアル  11   1057
クリスプブレッド 30未満 2838
糖尿病患者用ケーキ・ビスケット類
         20   3044
ポップコーン   57   300
ごま菓子     55   160

■米、麺類

インスタント麺  3   581
チャーハン    3未満 67
インスタント麺のスープ
         3未満 152
米菓       17  500

■果物、野菜類

缶瓶詰め黒オリーブ123  1925
プルーンジュース 53   267
揚げた野菜    34   34

■ナッツ類

ナッツ(ピーナッツバターを含む)
         28   339
■揚げ物

衣をつけて揚げた魚介類 2未満  39
衣をつけて揚げた畜肉、鶏肉 10未満  64
素揚げの畜肉、家禽肉、魚肉 5未満  52

■ココア製品

チョコレート製品   2未満  826
ココアパウダー    10未満  909

■飲料

コーヒー豆(焙煎)  45  975
代用コーヒー     116  5399
インスタントコーヒー 195  4948
ほうじ茶、ウーロン茶 9未満 567
煎り大麦(麦茶用)  140  578
ビール(Beer)     6未満 30未満

■乳幼児用食品

乳幼児用ビスケット・ラスク 20未満  910
缶瓶詰めベビーフード    10未満  121

http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/acryl_amide/a_syosai/about/syokuhin.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 大きな数字もありますが、単位は「マイクログラム/キログラム」
です。これらの食品を実際にどれくらい食べていて、アクリルアミ
ドをどれくらい摂取しているかというと、以下のようなところです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

○ヒトのアクリルアミドの摂取量

 平均的な摂取量は、体重1kgあたり一日1μgであり、高摂取群
では、体重1kgあたり一日4μgと推定される。

http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/acryl_amide/a_syosai/about/syokuhin.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「高摂取群」で2mg/kg/日(NOAEL)の0.2%ですから、毒性として
は問題にならないと思います。問題になるのは発がん性の方ですが、
影響なしとはできないものの、とりあえず緊急に対策が必要なほど
ではなく、低減策がとれればそれに越したことはない、という程度
だと思います。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 そろそろ大人と同じものを食べだした孫が気まぐれな食べ方をす
る子で、一時フライドポテトに凝っていました。最近は急に食べな
くなり、今は「昆布(佃煮)」と「アサリ」に凝っています。喜ん
で食べてくれるとばあばがすぐに出してしまうのです。褒められた
ことではありませんが、一時のことなので、気にしないようにして
います。

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