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--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
--------------------------------------78号--2001.05.06------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「有機JAS法」(しつこく)「食中毒」(つづき)

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 こんなメールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 有機JASの話ですが、やはり渡辺さんが正しいと思うのですが。

 第三者認証制度があるのは「有機」だけで、無農薬や減農薬はあ
りません。だから、無農薬や減農薬は自分がそうしていると言えば
それだけで「無農薬」「減農薬」の表示ができます。JASマーク
とは関係ないですが。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 またまたこんなことを言われて、動揺しています。改めて有機J
AS法のQ&Aを見てみると、こう書いてあります。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

(問152)「有機農産物及び特別栽培農産物に係る表示ガイドラ
イン」の扱いはどのようになりますか。

(答)有機農産物の表示については、平成13年4月1日からJA
S法による表示規制が開始されることから「有機農産物及び特別栽
培農産物に係る表示ガイドライン」のうち有機、農産物に係る部分
については、平成13年4月1日付けで削除する予定であり、その
他の特別栽培農産物については、そのまま存続することとなります。

http://www.kenji.ne.jp/food/food18/food1811.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 農水省のサイトからダウンロードして私のサイトに無断掲載して
いる情報なんですが、何しろ長大な文書なので、私自身、ちゃんと
読んでいませんでした。

 「その他の特別栽培農産物」に「無農薬」や「減農薬」が含まれ
るのだと思われます。やっぱり、有機JAS法とは無関係に、「無
農薬」という表示はできるようですね。

 ということで、前回の訂正はやっぱり間違いだったようです。毎
日新聞さん、ごめんなさい。

 一方ではコーデックスに準拠した有機JAS法による「有機農産
物」一方ではほぼ勝手に自称できる「無農薬」がどちらも使えるな
んて、これはやっぱりあんまりな制度です。

 有機JASマークのついていない、「無農薬」関連の表示は、実
際に無農薬で栽培していても、それを証明する手段がないのです。
逆に云うと、実は無農薬でなくても、勝手に自称してもウソである
とばれないわけです。信用しない方がよいでしょうね。

 私は20年以上前から、産直の無農薬野菜に取り組んだ経験があ
りますが、「証明」ということでは、外国の「有機」認証制度がや
っぱり優れている、と思っていました。零細農家ばかりの日本では、
なかなか実現は難しいのですが、日本だけがきちんとした認証制度
を持っていないというわけにはいかないと思います。

 「認証」ということは日本人にはあまり馴染みがないのですが、
ISO9000(品質管理規格)や14000(環境管理規格)の
シリーズで取り入れられた、比較的新しい方法です。

 このやり方の特徴は、民間の認証機関による認証と、自己管理原
則です。認証の申請者は、認証に必要な書類を自分で作成し、認証
機関は公開された方法によって、その書類と現場を審査し、合格し
たものに認証を与えます。

 認証に疑問があれば、用意した認証の根拠となる資料を公開する
ことで疑問に答えます。このやり方は、日本人に馴染みの「お上」
が登場しない、という画期的なものです。役人が取り締まる方が信
用できる、というのが伝統的な日本人の考え方ですが、「手ごころ」
を加える余地のあるのが致命的な部分です。

 文書だらけになる、という欠点があります。また、農家の負担が
大きすぎる、ということも指摘されています。でも、はっきり言っ
て、その負担がいやなら、「有機」なんかに手を出すべきではない
のです。

 「うちではあまり農薬は使っていないんだ・・」などということ
を言ってくる農家のおじさんはたくさんいましたが、もうそんな時
代ではないんだと思います。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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 今回はQ&Aではないのですが、この欄でいただいたメールを紹
介します。

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Q. 食中毒の話、興味深く読ませていただきました。

 台所を預かる身としても、これからしばらく、気の抜けない季節
です。

 素人考えになりますが、私の食中毒対策は簡単なものです。加熱
すべきものは、しっかり加熱する。冷たい方が美味しいモノは、冷
たいうちに食べてしまう。変だなと思ったら、口をつけない。すぐ
に吐き出す。それだけでも、かなりの確率で食中毒は防げるものだ
と思います。あとは、買い物してから寄り道せずに帰宅することく
らいしかとりたてて浮かんで来ません。

 確かに、まな板や調理器具の衛生管理も大切なのでしょうけどサ
ッと作って、ガバッと食べてしまうのが1番。増殖さえ防げれば、
たいていカラダが勝つと思うからです。だから、もっとも大切なの
は、ちょっとやそっとの細菌に負けないくらい日ごろから体力を養
っておくことではないでしょうか。胃切除とか、年齢とかの事情の
ある人と、まだまだ体力のある人では対処法も全く違ったものにな
るはずなのに誰でも一律に神経症にさせるような官製食中毒キャン
ペーンにいささか、うんざりしています。

 目をつり上げて、消費期限だけを根拠に処分される食べ物に同情
したいくらいです。私のような考え方は、楽観的に過ぎるのでしょ
うか?

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A.私も個人的には、あまり気にしない方なので、結構いいかげん
にやっています。家庭で、普通の食生活を送っているかぎり、そん
なに心配することはないです。

 ということで、ご意見については私も同感です。以下はその言い
訳。

 「安心!?食べ物情報」は食べ物の安全性に関するメールマガジン
ですので、安全性ということになると、やはり食中毒の話はついて
まわります。

 よく、食品添加物の害を気にする人がいますが、食中毒の危険は
それとは比較にならないほど、大きいことを理解している人は少な
いのです。

 生活の安全レベルが非常に高くなってきている現在、やはり食中
毒に関しても、以前よりは注意が必要になってきていると思います。

 たいていの食中毒は、お腹が痛くなる、下痢をする、という程度
で、ほっておいても直ります。昔は誰も気にしなかったのです。

 昨年の雪印の事件でも、ほとんどの患者はその程度だったのに、
あの大騒ぎでした。

 これは世間が騒ぎすぎ、という意見もありますが、私は社会が安
全ということに対して要求するレベルが高くなったのだ、と思いま
す。

 そんな中、衛生管理を担当する人たちは、なかなか大変なようで
す。次のところで、その苦労話なんかがありましたので、ご紹介し
ます。
http://www.h3.dion.ne.jp/~ogawa/kakure_001.htm

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「食中毒」(つづき)
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【大腸菌】

 今年も大腸菌O−157の食中毒事件がおこっています。こんど
は「牛タタキ」が原因だったと、はっきりとわかっているようです。

 大腸菌は名前の通り、私たちの体内に普通にいる細菌です。腸の
中にいる細菌には、他にビヒィズス菌、乳酸菌、ウェルシュ菌など、
いろいろとあります。

 健康にとって、この腸内の細菌がどのように繁殖しているかは結
構重大なことです。でも、通常はこれらの細菌には病原性はなく、
中毒の原因になることもありません。ところが、大腸菌の中には、
病原性大腸菌と呼ばれるものがあり、食中毒の原因になるのは、こ
のタイプのものです。

 大腸菌を分類するときに、表面の抗原をで分類するのだそうです。
これは人間でいうと血液型のようなものなのでしょう。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 「大腸菌」自体は、私たちのおなかの中などにごく普通に存在す
る菌ですが、その種類は何百種もあります。その菌を分類するとき
の基準として、「O抗原」と「H抗原」があり、これらの抗原の違い
を番号で表しています。

【O抗原】 菌の表面の糖脂質の化学構造の違いにより、発見順に番
号で区別する。

【H抗原】 菌の表面に存在するべんもうの種類を番号で区別する。

「大腸菌O157」は、大腸菌のうちO抗原が157番目でH抗原が7の場合、
「大腸菌O157:H7」と表現されます。

http://www.iph.pref.hokkaido.jp/Kenko-Hiroba/O157/O157.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 大腸菌O−157:H7というのが正式らしいですね。この菌は
極めて悪質で、赤痢菌に匹敵する病原性があることは、数年前の大
規模食中毒事件でよくわかりました。

 O−157の産出する毒素が中毒の原因なのですが、これが赤痢
菌の毒素と同じものだ、ということです。とすれば、患者にとって
は、原因の菌の種類は違いますが、赤痢にかかったと同じことにな
ります。

 よく考えると、赤痢やコレラなどのように口から食べ物を通して
感染する伝染病と、食中毒とは、実は同じような現象だということ
に気づきます。

 その中で、生命に危険が及ぶような重篤なものを伝染病とし、そ
れ以外のものを食中毒としてきたのですが、その境界はじつにあい
まいになっています。

 赤痢やコレラがいつのまにかかつての伝染病としての猛威をふる
わなくなり、安全パイと思われていた大腸菌に、同じような毒素を
もつものが現れてきた、まさにボーダーレスです。

 毒素が全く同じなので、赤痢菌の毒素を作る遺伝子が、大腸菌に
移ったのではないか、という想像もあるようです。

 遺伝子が移動する、というのは何だか想像しにくいのですが、実
は細菌の世界では、よくあることのようです。

 大腸菌は動物の腸内に普通にいる菌ですので、動物の排泄物が汚
染のもとになります。また、肉を解体するときに、その動物の体内
にあった排泄物由来の大腸菌が、肉の表面につくことは、どうして
も避けられないようです。

 したがって、生の肉類は一般的に危険、ということになります。
そこで牛肉のサシミではなく、タタキとして、表面を加熱する、と
いうことになります。

 今回の「牛タタキ」の食中毒は、不完全な加熱の後、スライスし
てから包装していたようです。

 魚ではカツオのタタキが有名ですが、あれは普通、冷凍のまま火
であぶって、すぐにまた冷凍して流通しています。

 牛肉を炙ってからスライスし、冷凍せずに一般に流通させていた
とすれば、ずいぶんと非常識な話ですが、実態はどうだったのでし
ょうか。
 
 肉類は火を通して食べる、というのが大切ですね。

 O−157はいったん感染したら、大変危険なものです。伝染病
と考え、すぐに病院に行く必要があります。治療法もなかなか大変
なようですので、どんな病院に行くかも、頭を悩ませるところです。

 ボツリヌス菌は、やられたら病院に行く間もなく、死んでしまう
そうなので、それよりはマシ、ということでしょうか。現在のとこ
ろ、心配しなければならない最強の食中毒菌である、というのはや
っぱりそうだと思います。

【セレウス菌】

 土壌中に普通にいる菌です。腐敗菌としても、通常に繁殖してき
ますので、要するに腐敗しかけの食べ物を食べたときに、食中毒の
症状が出る、というとき、この菌が主役だったりするわけです。

 嘔吐型と下痢型があり、嘔吐型は黄色ブドウ球菌に、下痢型はウ
ェルシュ菌に似ている、と「MOTTO!食品衛生」のページにありまし
た。

【ウェルシュ菌】

 ガス壊疽菌という恐ろしげな別名があります。ウェルシュ菌自体
は腸内に普通にいる菌なのですが、これが繁殖した食品を食べると
食中毒の原因になります。

 何より、高温に耐えるので、加熱調理した料理(シチューなど)
を放置しておくと、この菌が繁殖してしまうことになります。

 じっくり煮込んだ料理にも、このような危険があるというわけで
す。

 食中毒がおこると、患者の数が多い、というのも特徴です。これ
は大量に煮込んだカレーなどが原因になまことが多いせいで、別名
給食病と呼ばれるように、給食で多く発生しています。

 下痢が特徴ですが、それほど重い症状にはならないようです。

【リステリア菌】

 最近、アメリカ産のソーセージがリステリアに汚染されている、
というニュースがあり、回収などの騒ぎになっています。

 この菌もどこにでもいる菌なのですが、低温に強い、という特徴
があります。また塩分にも強いそうで、ハム類やチーズ類でよく問
題になります。

 あまり食中毒らしくない症状で、神経系がやられることが多いと
いうことです。また、敗血症を引き起こしたりしますので、重大な
症状になったりすることもあるそうです。同じように食べても、無
症状の人がいたりしますので、なかなか食中毒とはわからない、と
いうことです。

 これは買ってきたハムやチーズが汚染されていた場合、ちょっと
うつ手がない、という感じです。普通の人はなんともない、という
ことが多いので、気にしないのが一番、という気もします。

【カンビロバクター】

 この菌も発生数の多い食中毒です。動物の体内に普通にいますの
で、生肉を食べるとやられることが多いようです。

 欧米では、生牛乳を飲んで、この菌に感染する、ということがよ
くあるそうです。日本で売られている牛乳は必ず殺菌されています
ので安心ですが、牧場などで生の牛乳を勧められても、飲まない方
が安全です。

 牧場のおじさんが、うちは清潔な牧場だから大丈夫、などと言っ
ても、信用してはいけません。清潔かどうか、ということが判断の
材料になるわけではありません。

 症状は風邪と間違われるようなものです。(私がかかったのも、
そんな感じでした。)どちらかといえば、ありふれた食中毒という
ことになりますが、油断大敵、と言っておきましょう。

【小型球形ウイルス】

 近年、ウイルスの食中毒も知られるようになってきました。ウイ
ルスですから、食品の中で繁殖して増えるわけではありません。

 ウイルスというのは、遺伝子だけを持っているので、自分では増
殖できないのです。必ず、生きた細胞に入り込んで、その細胞の力
を借りる必要があります。食品のいわば生物の死骸ですので、そこ
でウイルスが増えることはできないのです。

 ウイルスですので、冬に集中的に発生します。中でも、酢カキが
一番の原因食です。酢の殺菌力なんかはウイルスには無効です。

 何しろ増殖しないのですから、いくら衛生管理を徹底しても、生
カキにこのウイルスが存在していたら、どうしようもありません。

 人以外には感染しないようですので、人の排泄物が貝に入って、
感染の原因になるのでしょう。生産された海域の問題、ということ
になりますが、「生食用」という表示ができる、きれいな海で生産
されたものでも、発病することがあるということですので、生食用
といっても、カキを生で食べること自体、やめた方が良いと思いま
す。

 「カキはあたることがある」と昔から言われていましたが、その
正体がようやくわかったきた、というところですね。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 食中毒の本からひろった企画なんですが、肝心のネタ本を図書館
に返してしまいました。そこで今回は、インターネットからの情報
で書いてみました。間違いなどがありましたら、ご指摘お願いしま
す。

 私のサイトのリンクのページに、「蛭子ミコト」というページを
追加しました。
http://homepage2.nifty.com/e-bi/

 食品添加物についての情報がたくさんあります。書いているのは
私と違って、専門家のようですので、ぜひご覧ください。

 そこからリンクをたどって、いくつか紹介してみます。

http://www.h3.dion.ne.jp/~ogawa/kakure_001.htm
「食監の隠れ里」保健所の食品衛生監視員のページです。現場での
ご苦労が忍ばれる内容です。

http://idsc.nih.go.jp/index-j.html
国立感染症研究所 感染症情報センターのページ。専門的すぎて、
歯が立たないところがありますが、情報の宝庫です。

http://www.ne.jp/asahi/aluminium/mania/index.htm
「アルミマニア」アルミニウムについての話題のページ。「アルツ
ハイマーフォーラム」というところに、アルミとアルツハイマーと
の関連についてのインターネット上の情報を集めているところがあ
ります。おもわず笑ってしまうほど、面白いです。

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--78号--------------- e-mail why@kenji.ne.jp -------------
--発行--渡辺--宏------- URL http://www.kenji.ne.jp/food/
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