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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------778号--2014.10.05------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「ニュースから」「化学調味料」

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ブログ毎日?更新中

http://why0531.sblo.jp/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 まず「食物アレルギー」について、ちょっと驚く話です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 赤ちゃんのアトピー性皮膚炎が、食物アレルギーを引き起こして
いる可能性があると、国立成育医療研究センターの研究チームが1
日、発表した。肌を保湿するとアトピーの発症を3割減らせること
も判明。大矢幸弘アレルギー科医長は「保湿でアトピーを抑えるこ
とで、食物アレルギーを防げる可能性がある」と述べた。

 米医学誌に論文が掲載された。

 チームによると、アトピー患者は皮膚の保護機能が低下するとと
もに、炎症が起きて、アレルギー物質を体内に取り込みやすい状態
になっている。皮膚に食物が付くと、免疫細胞が食物中のアレルギ
ー物質を取り込み、異物と認識するために、食物アレルギーにつな
がると考えられるという。 

 チームは2013年11月までの3年間、家族がアトピーを発症したこ
とがあり、アトピーになりやすいと考えられる赤ちゃん118人を対
象に研究。半数は生後毎日、全身に保湿剤を塗ってもらい、残り半
数は乾燥した部分にワセリンを塗ってもらうだけにした。

 7カ月半後、保湿した子でアトピーを発症したのは19人。保湿し
なかった子の28人に比べ、32%少なかった。アトピーになった子は
ならなかった子に比べ、卵白のアレルギーを起こす抗体を持つ割合
が2.9倍に達していた。

 健康な状態で食事をした場合は、体が異物でないと認識し、食物
アレルギーにならない仕組みがあるという。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141001-00000133-jij-sctch
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 アトピー性皮膚炎の食物アレルギーは関連があると理解されてい
ることが多いですが、ほとんどの場合、食物アレルギーがアトピー
性皮膚炎の原因だという認識だと思います。

 それが逆転して、アトピー性皮膚炎が食物アレルギーを引き起こ
すという驚くべき見解が出てきたわけです。

 しばらく前から紹介している、アレルギーを発生しやすい食品は
早いうちから食べさせた方がよいということも、この記事の中では
「健康な状態で食事をした場合は、体が異物でないと認識し、食物
アレルギーにならない仕組みがあるという。」と肯定的に解釈でき
る書き方をしています。

 この見解だと、とにかく保湿剤などを使ってアトピー性皮膚炎の
症状改善に全力をあげることが食物アレルギーを防ぐ最善の方法と
いうことになります。

 まだ断言はできませんが、こういうのが新しい常識になる日が来
るのかもしれません。

 次は読んでいて腹立たしいニュースです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 相次ぐ食品加工現場での労災事故を受け、政府が昨年10月に食
品加工用機械に関する規定を追加した改正労働安全衛生規則を施行
してから1年がたった。だが、現場では安全性の高い機械の購入を
コスト増からためらうケースも目立ち、労働環境の改善に必ずしも
つながっていない。

 改正規則では、ミキサーやスライサーの刃の部分に覆いを取り付
けることや、食品の原材料の出し入れの際には運転を停止すること
を義務づけた。違反した場合の罰則規定も設けた。

 食品加工の機械や部品を手がけるメーカーも規則に準じた製品を
開発している。

 ただ、実際に食品加工の現場がどう変わったのかを知るために、
レストランの厨房に機械を納めているというメーカーの1社に先日
取材を申し込んだが、断られてしまった。

 「安全性を追求した分、機械の価格は高くなる。性能の良さを訴
えても、『値段が高いメーカー』とみなされて、資金力の乏しい顧
客はほかに流れてしまう」ということらしい。

 このメーカーによると、もともと食品加工用機械は精密機械に比
べて単価が安く、現場では高価な機械を仕入れる意識が乏しい。加
えて最近の飲食業界は人手不足に悩み、人件費は高騰しつつある。
安全性が高いことは理解できても高価な機械の購入に踏み切れない
経営者は多いようで、安全とコスト削減の両立はまだまだ難しいよ
うだ。

 厚労省の統計によると、食品加工機械の労災事故(4日以上の休
業が必要なケース)は、毎年2千件前後も起きている。食品加工用
の機械は工場だけでなく、デパートなどでも使われる。必ずしも専
門的な知識が必要ではない分、対策も現場任せになりがちだ。

 厚労省は指導の内容や件数については公表していないが、積極的
に開示することも、食品加工現場で安全意識を高める上では有効か
もしれない。(織田淳嗣)

http://www.sankei.com/west/news/141001/wst1410010115-n1.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 このレポートがどの程度現実を反映しているのかはわかりません
が、読んでいて「日本の食品産業は最低だな」と思わせられる記事
です。

 パートの安い給料が利益の元だったり、従業員の安全確保への努
力を怠ったりしているようでは、企業が存在する意味がありません。

 みんなデフレが悪いんだ、という声が聞こえてきそうですが、安
い価格だけが売り物の商品しか作れないのなら、その企業は即刻退
場すべし、と私は思います。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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今回は休みます。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「化学調味料」
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 何かと目の敵にされる「化学調味料」について、ちょっと面白い
記事を見つけました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

若者の料理がマズいのは化学調味料を使わないから
「素材の味にこだわる」が悪影響

■自分の料理がまずいと嘆く若者たち

 「うちの料理教室に通ってくる若い人が、自分の料理がマズイと
なげくんですが、そりゃ当然ですよ。だって化学調味料を使ってな
いんですから」と、こともなげに言うのは、都内で料理教室の女性
講師。

 生徒たちの悩みを聞くと「料理がうすらマズイ」「味の輪郭がぼ
やけてる」「味が決まらない」といったものが多いという。そこで
この先生が「そういう時はね…化学調味料をちょこっと入れるのよ」
と言うと、生徒たちはみんな顔をしかめるという。

■みんなが『美味しんぼ』化している?

 たしかに漫画『美味しんぼ』の海原雄山や山岡ではないが、我々
としても化学調味料と聞くと、ちょっと後ろめたいものに感じてし
まう。またラーメン屋などで料理を作っているのを見ていて、店員
が大量の“白い粉”を投入すると、味もイマイチに感じることはあ
る。

■外食が美味いのは化学調味料使ってるから

 「だけど、実際外食すればほとんどの店は化学調味料と濃い味付
けで、店としての美味しさを出していますよね。それに中食、コン
ビニやスーパーの惣菜だって、それに近いものは使っているんです
から、その味に慣れてしまえば、ふつうに作った食事はうすらマズ
く感じますよ(笑)」(前出・講師)

 そうなのだ、外食や中食、他にも冷凍食品、レトルト食品などに
は、うま味調味料(最近は化学調味料とは言わずに、こう言う)がほ
とんど入っている。内容にアミノ酸などと書いてあるのがそうだ。
だから味はパキッとして美味い。

■マズけりゃ入れろ、美味けりゃ入れるな

 さきの講師は、化学調味料の肯定派でも否定派でもないといい、
基本的には「上手に使えばいい」というスタンス。この料理教室の
生徒に話を聞いてみると

「でも素材の味を引き出せとか、料理の本には書いてあるじゃない
ですか。だから化学調味料と聞くと『えー』って思いますよね。で
も家に帰って母に、先生にそんなこと言われたと言ったら『私もむ
っちゃ使ってる』と返された」(23歳 OL)

 そうなのだ、昔の人(といったら失礼だが)たちは、漬物に化学調
味料をぶっかけたりすることに躊躇はなく、それが独自のハッキリ
した味の輪郭をだしていた。だから、料理の初心者が「下手に素材
の味とか言ってもまずくなるだけ。そうやって上達していくんです
けどね(笑)。味が決まらなきゃちょっと入れて、美味しく仕上がっ
てればいれなきゃいい」(講師)とのこと。

 とはいえ、逆に言えば素材の味とやらは実際わからなくなってい
るわけで、なんとも言えない気持ちになる話だ。

http://mogumogunews.com/2014/09/topic_8301/
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「下手に素材の味とか言ってもまずくなるだけ。」というのは全
くそのとおりですね。

 加工食品がキライ、という主婦の多くが、自分が作るのより美味
しいのがけしからん、何か仕掛けがあるはずだ、という感情を持っ
ています。

 それに対して、プロが作る味が素人のあなたよりうまいのは当然
でしょう?とか言って怒らせたりしたものです。

 プロは使える材料はみんな使い、試食を繰り返して、美味しい味
を追求します。社内での厳しい審査に合格したものだけが発売され
るのですから、市販加工食品が主婦の作るものより美味しいのは当
たり前なのです。

 そしてプロが使う材料には、当然「化学調味料」は入っています。

 そこで出てくる次の一手が、「化学調味料は使っていません」と
いう「優良表示」です。ひどいものではこの表示自体がウソの場合
もありますが、とりあえず本当だとして、「化学調味料は使ってい
ません」というのはどういう作り方をしているのでしょうか。

 正解は2種類あります。

 一つ目は化学調味料が発明される前に行われていた方法で、昆布
などの風味原料や醤油などの伝統的調味料のみを使って作ります。

 とても良さそうですが、コストがかかる、味が安定しない、美味
しく作るのが難しいと欠点も多く、よほどの名人が作り、すぐに食
べる場合以外では難しいと思います。

 どんなに尤もらしく表示されていても、工場で大量生産されてい
るものはこういうものではないと考えてください。

 二つ目は「化学調味料」の発明以降の、より進歩した調味料を使
うやり方です。「昆布エキス」「酵母エキス」などの食品添加物で
はない調味料を使うのですね。中身には大量の化学調味料と同様の
物質が入っているという仕掛けです。

 ほとんどの「化学調味料は使っていません」食品はこちらの方で
す。それで別に悪いことはないのですが、あまり感心しない差別化
の手法であると考えています。

 家庭での調理に関連しては、以下の意見をごらんください。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 化学調味料は正しく使わないと……

 塩や砂糖の感覚で使ってしまうとまずいことこの上ありません。
塩や砂糖だって使いすぎはまずいのと同じでして、化学調味料だけ
を敵視するのはよくありません。(2歳のお子様でしたらそもそも
が薄味にしなければなりませんね)

 昆布だしのうまみ成分や鰹だしのうまみ成分を化学調味料として
います。で、少量で十分味がしますから、もうほんの一振りも要ら
ない程度です。

 生椎茸にほんの少しの味の素(ひとつまみ未満)をかけて焼いてみ
ましょう。きりっと引き締まる味になるはずです。

 「化学調味料」という名前に異常反応する「化学調味料アレルギ
ー」には困ったもので、自称健康食品を売らんがためのネガティブ
キャンペーンが多く、事実よりもウソがまかりとおっています。

 化学調味料そのものがだめだとおっしゃるなら、昆布だしや鰹だ
しも使うべきではありません。主成分は同じです。

 ただし、カツオや昆布から手間を掛けてだしを取れば、化学調味
料と同じ成分だけでなく雑多な成分も出すことができ、そのぶんだ
け深みが増すことにはなります。

 でも「化学調味料」を使わなかったことと同じではありません。

http://oshiete.goo.ne.jp/qa/6464657.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 成分的に言うと、化学調味料も風味原料由来の成分も同じことだ、
と指摘されています。科学方面で仕事をしている人には当たり前の
ことですが、家庭で料理している感覚とはギャップがあるのかもし
れません。このあたりが「化学調味料アレルギー」の発生源でもあ
るのは前述のとおりです。

 「化学調味料は使っていません」表示は、「化学調味料アレルギ
ー」への対応なんですね。これをうまく差別化に利用しています。

 家庭でも「化学調味料アレルギー」のために化学調味料を使用で
きない人が多い、というのが今回冒頭の記事の主題でした。

 しばらく前に某テレビタレントがテレビで簡単な料理を紹介する
際によく使用していたのが「昆布茶」でした。昆布茶は昆布の粉末
を使っているため、大量のグルタミン酸ソーダを含みます。要する
に化学調味料として使っているのですが、「味の素」というと格好
がよくないが、「昆布茶」というと上品に聞こえる?というわけで
す。

 でも、昆布茶には塩分、ヨウ素の過剰摂取という問題があるので、
あまりお勧めできる方法ではありません。

 我が家でも、化学調味料そのものは台所に置いていません。上記
記事にもあるように、ごく少量使うのは難しいためです。その代わ
り、いくつかの化学調味料を使っている複合調味料を置いていて、
適宜使っています。複合調味料の使用量はわずかですし、そこに含
まれる化学調味料の割合もわずかです。これだと使いすぎて味をま
ずくする心配はありません。

 お勧めの複合調味料は「塩コショー」です。塩そのものを使うよ
り確実に塩分を減らせますし、微量の化学調味料を含むため、少量
で味が決まります。その他にも使い勝手がよくて味の決まる複合調
味料はいくつもあります。

 昆布や鰹節などの風味原料とうまく組み合わせれば、簡単で美味
しい料理ができるというわけです。

 化学調味料=グルタミン酸ソーダそのものについては、古典的な
有名サイト「有機化学美術館」の以下の記載を紹介しておきます。
(もう15年も前の記事です。)

 ここには分子模型の図もありますが、あまりに簡単な分子なので
驚きます。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

喪われた化合物の名誉のために(2)〜調味料〜

 99年夏、「買ってはいけない」という本がベストセラーになり、
賛否両論含めた様々な論議を巻き起こしました。筆者の感想をはっ
きりいえば、もちろんなるほどと思える項目もあるのだけれど、そ
の他であまりに頭の痛い記述が多すぎ、とうてい信用するに値しな
いというのが正直なところです。それでもこの本の影響力は絶大で、
ちょっとインターネットを検索しただけで「買ってはいけない」の
引用と思える記述に山ほど出くわしました。言いたいことは山ほど
ありますが、とりあえず今回は化学調味料を取り上げてみましょう。
実はこの調味料は、筆者の商売敵でもある会社の製品なので、あま
り弁護してやる筋合いではないのですが(笑)、一化学者として思
うところを書いてみます。

 「味の素」の主成分(97.5%)はグルタミン酸ナトリウムという
化合物です。「買ってはいけない」ではこの化合物が脳細胞を破壊
するとか、急性神経毒性を持つとか実に恐ろしげなことが書かれて
います。その根拠となる実験は「生後10〜12日めのマウスに体重1
kgあたり0.5gを経口投与するとその52%に、1gを投与すると100%
に神経細胞の損傷や破壊が起こった」というものですが、これは人
間でいえば数十gの味の素の濃厚水溶液を、直接チューブで赤ん坊
の胃に流し込んだ状態です。それだけ一気に摂取すればどんなもの
でも何らかの障害を引き起こすのが当然です(このデータさえ現在
では否定する論文が多いとのことです)。普通に調味料として使っ
ている分には何の問題も考えられません。

 以前も触れた通り、グルタミン酸はタンパク質を構成する20種の
アミノ酸のひとつです。人体の主要部分は全てタンパク質といって
差し支えありませんので、グルタミン酸なしで生命はありえません。
またグルタミン酸は単独でも肉・魚・野菜などあらゆる食品に含ま
れており、グルタミン酸を全く含まない食事を採ることはほぼ不可
能。もちろんそんな食事を続けていれば、数日で体はガタガタとい
うことになるでしょう(なおグルタミン酸はナトリウム塩にしない
とそのうまみを感じません)。

 結局「味の素」は食品に広く含まれるうまみ成分を取り出したも
の、というのに過ぎません。「買ってはいけない」の他の項目には
「L-グルタミン酸ナトリウムは、もともと食品に含まれる成分でそ
の安全性は高い」となっており、一体どちらが本当なのかと言いた
くなります。まして「環境ホルモン作用の疑いがある」などとは、
単なる根拠のない言いがかりとしかいいようがありません。「味の
素の使い過ぎが日本人の味覚をダメにしている」という指摘もあり
ますが、これはまた別の議論ですのでここでは取り上げません。

 また味の素は石油から合成されていることを匂わす記述もありま
す。まあ筆者にはA社の社内事情は知るすべもありませんが、化学
合成ではどう考えてもコスト的に引き合いません。CMでやっている
通り、サトウキビから醗酵法で作る方がはるかに安上がりと思われ
ます(もちろんどうやって作ろうとできたものは同じ化合物ですか
ら、本来このことは問題にはならないのですが、気分的によくない
のは事実です)。

 こうした、当然記載されるべき情報をわざと隠し、危険そうに見
えるデータだけを恣意的に寄せ集めて科学的に見せかけるやり方は
断じて許しがたいものです。おそらくこんな騒ぎになるとは思わず、
よく調べもせずに気楽に書き倒したのでしょうが、ずいぶんと無責
任な商売もあったものだと思わざるを得ません。

http://www.org-chem.org/yuuki/chomiryo/chomiryo.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 最後は冒頭記事の関連記事で、興味のない人には申し訳ないです
が、マンガ方面の話題です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

人気グルメ漫画で「化学調味料の魔術師」が「素材の魔術師」に完
勝 その時、料理漫画史40年がゆらいだ!


 「日本の食物はほとんどが化学調味料まみれですよ。日本人は化
学調味料中毒になっていて、舌がしびれるくらいに入っているとか
えって喜んだりするんだから、情けない限りです」(『美味しんぼ』
第38集 ラーメン戦争編より)

 料理・グルメ漫画のなかで「悪」としてつねに語られてきたのが
化学調味料、通称“化調”だ。

 たとえば漫画の『美味しんぼ』(1983年より連載 原作・雁屋哲、
画・花咲アキラ)はアンチ化調の急先鋒で、先のようなセリフがあ
るし、『包丁人味平』(1973年〜77年 原作・牛次郎、画・ビッグ
錠)のラーメン編でも、化調を使った店が勝負に負けている。

 その功罪はさておき、それら金字塔作品による影響か、化調がネ
ガティブにしか捉えてこられなかったことは確か。化学調味料と切
っても切り離せないラーメン漫画などでもそうだった(漫画『ラー
メン発見伝』、後作『ラーメン才遊記』ではちゃんと化調について
議論されている)。

 しかし、グルメ漫画のなかでも名作と言われる『ミスター味っ子』
の続編、『ミスター味っ子2』では、化学調味料が活躍するという
とんでもないシーンが登場し、グルメ漫画界を震撼させた。

 それは同作品3巻の第30話「中江VS.新味皇」。主人公・ミスター
味っ子こと味吉陽一に、少年料理人としては唯一勝っている“素材
の魔術師”と呼ばれるキャラクター中江兵太が、新味皇・葛葉保名
に敗れるという。中江は素材の持味を活かした料理が得意なのだが、
新味皇は、化学調味料とコンビニの豆腐などで勝ってしまうのだ!

 この時の、新味皇の言葉が凄い。

 「旨味調味料は科学的に合成された分雑味が少ない、用量さえ間
違えなければ素人が本物の食材を使うより安心なのさ おっと…勘
違いするなよ 僕が本物の素材を使えばこの何倍もの旨い料理が作
れるんだ これは遊びさ 君程度のやつが相手だったら科学調味料
で十分だよこれが味皇GPの三回連続優勝者? ”素材の魔術師”が
聞いてあきれるね」と言い放ったのだ。

 新味皇は遊びとはいえ“化学調味料の魔術師”であったのだ。実
際には、他人が食べたいものがわかるというのが、真の能力だった
ので、化調使いすらもひとつの技術にすぎない。

 この化調で相手を破るという展開自体、グルメ漫画で悪とされて
いる化学調味料のポジションを表したものである。

 最後の戦いでは化調も真の能力も封印するという展開なのだが、
もしも化調を使っていたら勝っていた可能性も。昏迷していた旧・
味皇が「これは」と目を開いた可能性もあったのでは?

 『ミスター味っ子』という偉大な作品が化学調味料を俎上に載せ
たのは興味深いが、その後化学調味料を相対的に取り上げている作
品もないのが残念。ぜひとも『トリコ』あたりで、究極の化学調味
料を出してもらいたいもの!

http://mogumogunews.com/2014/09/topic_8313/
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「包丁人味平」とは懐かしいですね。あまり上品ではありません
が、少年マンガの歴史に残る名作です。料理マンガの原点であり、
未だに最高峰でもあります。「ミスター味っ子」あたりはその遥か
な後裔ですが、こういう話題が出てくるのは面白いです。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 宮沢賢治の詩の一節に、こんなのがあります。「北上川が一ぺん
汎濫しますると/百万疋の鼠が死ぬのでございますが/その鼠らが
みんなやっぱりわたくしみたいな云ひ方を/生きているうちは毎日
いたして居りまするのでございます 」そして私たち一人一人が、
「百万疋の鼠」の一匹なんだと、災害のニュースを聞くたびに思い
ます。

 今年、昔からつきあいのある「だし」屋の主人が亡くなりました。
毎日鰹節を手で削っていたのですが、その粉を吸い込むのが身体に
は良くなかったと聞いています。エキス類や化学調味料も、使おう
と思えば使える人でしたが結局一切使わず、個人的なこだわりを貫
いていました。私もその方向に引っ張った一人なので、内心忸怩た
るものがあります。合掌。

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