安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>774号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------774号--2014.09.07------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「ニュースから」「Q&A」「生協の話」

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ブログ毎日?更新中

http://why0531.sblo.jp/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 「デング熱」のニュースが過熱しています。以下は先週、初期の
段階でのものです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 東京都と埼玉県の男女計3人がデング熱に国内感染した問題で、
都が設置した専門の相談電話に寄せられた都民などからの相談が、
100件以上に上ったことが29日、分かった。都は専用窓口によ
る相談電話を、当初予定していなかった30、31日の週末も受け
付けると発表した。

 都によると、寄せられた相談は「蚊に刺されたが大丈夫か」「体
調が悪い。蚊に刺されたこともある」といった健康不安を訴えるも
のや「隣りの家に蚊が多いので駆除してほしい」といった要請など。
都の担当者は「過度に心配する必要はないが、体調に不安がある人
は最寄りの医療機関にかかってほしい」と話している。

http://sankei.jp.msn.com/life/news/140829/bdy14082921240004-n1.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 その後、マスコミが大騒ぎしていますので、事態は更に悪くなっ
ていると思います。テレビで「行政の責任は?」などと発言してい
のも聞きましたが、病気の発生まで行政の責任ですか。

 そもそも「デング熱」はそれほど重大な病気でもないのに、騒ぎ
過ぎです。私の妻などは「エボラ出血熱」と混同していましたが、
マスコミ諸氏も区別がついていないようです。

 思い出すのは数年前に、「新型インフルエンザ」で空港などで大
騒ぎしたことです。インフルエンザを水際で防御しようというのは
「クレイジー」だと世界中から笑われていました。

 デング熱でも大がかりな防除体制をとっているようですが、対費
用効果などは考えていないようです。

 何もしないより、少しでも努力した方がよいと考えるのが行政の
人です。マスコミの煽りなどもあって大変でしょうが、何事もやり
過ぎても無駄な努力になるだけです。

 マスコミの脊椎反射的反応と、それに煽られる真面目すぎる行政
という構図は早く解消してほしいものです。以下の説明を読んで頭
を冷やしてください。

デング熱に関するQ&A
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/dengue_fever_qa.html

 次は少し前のニュースですが、中国でこんなことが起こっていま
す。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

中国で遺伝子組み換えのコメが流通・・「回収は困難」
2014/07/29 11:46:22  

 中国で、承認を受けていない遺伝子組み換え作物(GM作物)のコ
メが市場に流通し、問題化している。7月27日、中央電視台(CCTV)
の報道を人民網が伝えた。

 上海のある食品加工企業の総経理は「遺伝子組み換えが行われた
コメが湖南、湖北、安徽、福建の市場に出回っていて、回収は困難
な状況だ」と証言している。

 EUは昨年、中国から輸出されたコメから遺伝子組み換え成分が25
回検出されたと通報していた。EUは2012年から中国産コメの入境検
査を厳格化している。

 最近は中国国内でも、湖北省武漢市で行われた調査で5袋中3袋で
GM米成分が検出されるなど、たびたびメディアに取り上げられてい
る。中国政府は遺伝子組み換えコメの苗を承認しておらず、市場に
出回っている遺伝子組み換えコメはすべて違法に生産されたものだ。

http://jp.jnocnews.jp/news/show.aspx?id=54077
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 健康被害が起こる可能性はほとんどないと思いますが、何でもあ
りの中国らしい事件です。

 と思っていたら、台湾でもこんな事件がありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 廃油などから製造された、いわゆる「地溝油」を含む食用油が流
通していたことが4日、明るみに出たことを受け、江宜樺行政院長
(首相)は同日、公衆衛生などを主管する衛生福利部に徹底調査を
指示した。

 刑事警察局(刑事局)によると、高雄や屏東などに10カ所以上の
工場を持つ業者が、1年以上にわたって廃油などから製造した油を
食用油や飼料として販売していたという。

 食品薬物管理署は、食品会社の強冠がこの「地溝油」を購入し、
ラードと混ぜて食用油として販売・流通させていたと指摘。すでに
少なくとも782トンが取り引きされ、食品大手の味全、台湾糖業、
盛香珍食品など200社を超える企業が購入しているという。

 味全は昨年にも違法添加物を含む食用油を販売し、問題になって
いた。同社は既存の検査体制に加えて、1億台湾元(約3億5000万円)
を投じて新たな検査施設をつくり、安全性を確保するとしている。

 専門家は精製されていない廃油で作られた食品や、調理時に排出
される酸化物は健康を害する危険性があると指摘している。

 台湾では近年、食品の安全性をめぐる問題が相次いで発覚してお
り、政府の対応に注目が集まっている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140905-00000004-ftaiwan-cn
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 これでば台湾も中国と同じです。

 最後は前回の続きで、クロマグロ漁獲規制が合意したというニュ
ースです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 福岡市で開かれていた太平洋クロマグロの資源管理を話し合う国
際会議は、日本が提出していた幼魚の漁獲量を来年から50%削減
する規制案について、各国が正式に合意しました。

 「中西部太平洋まぐろ類委員会」の小委員会は最終日の4日、日
本や韓国、それにアメリカなどの参加国が、乱獲が指摘される太平
洋クロマグロの幼魚の漁獲制限を強化することで正式に合意しまし
た。

 具体的には、参加する9つの国と地域が、重さ30キロ未満の幼
魚の漁獲量を2002年から3年間の平均に対して来年から50%
削減するとしています。

 さらに、漁獲制限することで来年から10年間で、クロマグロの
成魚を今の倍近い4万トン余りまで増やすことを目指すとしていま
す。

 今回の会議では、資源の回復で高い目標を掲げるアメリカや、漁
獲制限で慎重な立場の韓国から異論も出ましたが、最終的には各国
が最大限の努力をすべきだという認識で一致ました。

 会議の議長を務めた農林水産省の宮原正典顧問は、「資源回復の
ためには50%の削減以外に道がないことが科学的に理解された。
今後、実施までの間に漁獲量をどう管理していくか詰めていく必要
がある」と話しました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140904/k10014345501000.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 規制の中身は前回も紹介したとおり、心許ないですが、とにかく
韓国も入った国際会議で合意したのは一歩前進ですね。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.ドライイーストは枯れ葉剤の副産物を使用している。と聞きま
した。もちろん、信じてはいませんが、どこをどう誤解するとこの
ような噂に繋がるのか知りたくて作る過程において疑われるような
事があるのかを知りたいのですが。

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A.ドライイーストと枯葉剤とは奇想天外ですね。どこでどう結び
ついたのか想像もできません。

 ドライイーストはご承知のとおり、主にパン用の酵母です。乾燥
させているので「ドライ」ですが、酵母そのものです。世の中には
「イースト」と「酵母」が別の物と思っていたり、「天然酵母」な
るものが別に存在していると思っている人もいますが、どうにも困
った誤解です。

 「天然酵母」といえば、昔は「ホシノ天然酵母」でしたが、今は
「白神こだま酵母」が流行のようです。いずれも元は「天然に存在
していた」ものですが、選抜と純粋培養を経て販売しているものな
ので、「天然」は不当表示です。

 「枯葉剤」(なぜか(枯れ葉剤」と書くことが多いです。)とい
う言葉はベトナム戦争時にアメリカ軍が使用した農薬を特に指す言
葉として定着しています。そういう意味では現在は枯葉剤は作って
いませんし、副産物もあるはずがない、というツッコミが入りそう
なところです。

 ある種の頭のネジがゆるんだ人の間では、今でも通用するマジッ
クワードになっているのでしょうね。

 ということで、私の見解としては「妄想として無視」以外には考
えられなかったです。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「生協の話」
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 こんなメールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 はじめまして。いつも興味深くメルマガを拝見させていただいて
おります。渡辺さんは以前生協にお勤めだったと読み、メールさせ
ていただきました。

 生協という組織について疑問に思っていることがあります。

 以前生活クラブ生協に加入した時に、活動をいうもののお手伝い
をしました。

 その際年配の組合員から、生協は非営利だから儲けが出なくても
良いと教えていただきました。(活動という考え方もよくわかりま
せんでしたが。)そういう考えなのに、なぜか組合員を増やさなけ
ればいけないと言われてチラシをまくように頼まれました。

 私は一般企業でしか働いたことがなく、ものすごく新鮮な考え方
だったのですが、例えば配送のトラックを買ったり、受注システム
を作るような資金はどこからでているのでしょうか?

 宅配や共済からでた収益をそのようなもの(経費として)に使い、
利益をトントンに調整しているのでしょうか?

 それとも、生活クラブは毎月千円の出資金の増資をしなくてはい
けなかったのですが、その出資金を預金しているのではなく、色々
なものに使っているのでしょうか?

 生活クラブでは美味しいと言われている豚肉も脂が多く、マグロ
の脂はトロと言われて高級品ですが、生活クラブの豚肉はトロを目
指しているのかと思ったくらいです。野菜もJA農協でした。

 生活クラブのものは安全、安心と言われて加入したのですが、本
当にそうなのか、よくわからなかったので、脱退してしまいました。

 生協は企業とは違い生協法というものがあるらしいので、一般企
業とは経営の仕方が違うのでしょうか?

ご教示いただけると嬉しいです。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 おっしゃるとおり、生協は「生協法」に基づく法人です。農協や
漁協のお仲間とも言えます。今は「NPO法人」というのもあるの
で、特に生協のための法律を作る必要はないのですが、歴史的な経
過でそうなっています。

 経済行為をする法人ですので、当然ながら、売上から利益を得て、
そこから費用を負担しています。このあたりは一般の会社と変わり
ません。

 一般の会社(株式会社)と違うのは、株式の代わりに「出資金」
を資本として設立されている仕組みです。株式会社は株主が所有し
ていると言えますが、生協は出資者=消費者として、消費者自身が
所有している会社ということです。

 消費者から集めた出資金を事業の元手とするのですが、集められ
る金額に限りがあり、資本力が弱いことが生協の弱点の一つとなり
ます。このため、出資金の積み立て制度などもありますが、これは
上記の目的からして妥当なものだと思います。

 生協の設立目的は、消費者自身が資本を出して、必要なもの、不
足しているもの、より良いものを自分たちの手で確保し、ひいては
消費者の生活を守ることです。

 歴史的には非常に意味がありましたし、現在でもその価値は認め
られるものと考えています。

 現在の生協一般の問題点は、流通業界の中での「差別化」に失敗
しているか、もしくは「差別化」を追求するあまりに、ウソの混じ
る手法をとってしまっていることです。

 商品自体の良さをアピールするのが一番なのですが、日本全体で
の品質向上の取り組みが進んだ結果、生協の商品と言ってもなかな
か無条件に他より良いというわけにはいかなくなっています。

 そこで、私が「マッチポンプ方式」と読んでいる、世の中のいろ
いろなものの悪口を言って点数を稼ぐやり方をとるところもあるわ
けです。

 この手法はかなり詐欺に近くなるので、私は批判的です。生活ク
ラブはその手の組織の代表的なところです。

 また、指導層に特定の政治的な主張をする人が多い組織もありま
すが、生協の運営に政治的な目標を持ち込むのは邪道だと思います。

 商品にもご不満があったようですので、脱退はやむを得ないとこ
ろかと思いますが、生協という組織自体は本来、自分たちの手で経
済的な活動を行えるというなかなか優れた考えに基づいていること
はご理解いただきたいと思います。

 チラシの配布や説明会、学習会など、私もこういう活動は楽しく
やりました。ウソを言わずに説明するのは極めて難しいのですけれ
どね。

 私が生協を離れてから、すでに10数年経過しているので、今更
発言する資格があるかどうかは疑わしいのですが、私が生協に対し
て持っている印象は以上のとおりです。

 公的な生協に関する情報としては、厚労省のサイトに以下のよう
な説明があります。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■消費生活協同組合(生協)とは

 消費生活協同組合(生協)とは、消費生活協同組合法(昭和23年
法律第200号)に基づいて設立された法人で、同じ地域(都道府県
内に限ります。)に住む方々、または同じ職場に勤務する方々が、
生活の安定と生活文化の向上を図るため、相互の助け合いにより自
発的に組織する非営利団体です。


■組合の原則

 消費生活協同組合は、消費生活協同組合法により、次のような原
則が定められています。

・一定の地域又は職域による人と人との結合(相互扶助組織)であ
ること

・組合員の生活の文化的経済的改善向上を図ることのみを目的とす
ること

・加入・脱退が自由であること

・組合員の議決権・選挙権が平等であること

・組合の行う事業は、組合員への最大の奉仕をすることを目的とし、
営利を目的として行ってはならないこと

・組合員以外の者は事業を利用できないこと

・特定の政党のために組合を利用してはならないこと


■組合の事業

 組合が行うことのできる事業は、次の通りです。

・生活に必要な物資の供給事業

・医療、食堂などの協同施設の利用事業

・火災、生命、交通災害などの事故に対し、共済金を給付する共済事業

・生活の改善と文化の向上を図る事業

・医療、福祉に関する事業

・組合事業に関する知識の向上を図る事業


■組合の現況

組合数 963組合
組合員数 6,680万人

※消費生活協同組合実態調査より

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikyou/
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 このうち、「特定の政党のために組合を利用してはならないこと」
はほぼ全面的に守られていないです。

 以下の見解は全面的には賛成できないものの、否定できない一面
があります。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 日本生協連合会は何も共産党系のコープ(生協)ばかりではなく、
革マル派のものもあるし(大学内)、一部保守系のものもある。

 しかし圧倒的に日本の生協は共産党を母体とする。

 なぜ共産党が生協を?と思われるかもしれませんが、実は戦前の
共産党徹底弾圧に起因します。

 古い言葉で言えば、「共産党細胞」はこっぱみじんに粉砕されて
しまった。

 戦後も長く共産党は弾圧され、また差別、偏見にさらされ続けま
したから、政治面でない「仮の姿」こそ必要でした。

 終戦後、共産党は暴力革命可能との錯覚に陥り、街頭武力行使の
愚策を行なってさらに戦前に輪をかけた弾圧を受けることになった。
これによって「生協運動」にますます拍車がかかった。

 戦前は特高警察などの容赦ない弾圧で生きる場を失った共産党は、
「セツルメント」などの「貧民救済事業」にその存在の場を求め、
これと同じ考えで「存続に使える」手段で「生協運動」があること
を学んだ。

 コープは「イギリスに発祥の国際生協運動」などと言うが、セツ
ルメントも元はケンブリッジやオックスフォードの学生の活動とし
て始まった、点は共通するが、・・・・

 日本の生協は共産党の世を忍ぶ仮の姿、がその発祥と言っていい。

http://s.webry.info/sp/madonna-elegance.at.webry.info/201209/article_9.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「生活クラブ」は毛色が変わっていて、以下のような感じですね。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 もともと、「生活クラブ生協」と呼ばれる生協運動の一流派が、
私たちの「代理人」をということで、地方議員を送り出すようにな
ったものが、ローカル政党に発展したものです。

 生協運動には、いくつかの潮流があるんですが、賀川豊彦などの
人道主義的な立場から出発したもの、共産党員が中心となったもの、
総評などの労働組合が中心となったもの、などがありますが、生活
クラブ生協は「生活者」をキーワードに、市民主義的な流れとされ
ます。

 運動創始の中心となったのは、旧社会党江田三郎派と共産党離党
組からなる「構造改革派」のようですが、新中間層の主婦たちが実
際の運動の担い手とされます。

 「新左翼」運動活動家の大学卒業後の受け皿になったと指摘され
ることもあるようです。生協運動を、こういう風に政治的色分けで
見るのは当事者の側からは違和感があるものなのですが、こういう
通俗的理解はわかりやすいといえばわかりやすいのです。

http://oshiete.goo.ne.jp/qa/1428822.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 以下は「生協論」についての論考です。こちらは「共産党」など
の俗っぽい話ではなく、社会的存在としての生協を論じています。

 長い文書の一部を引用します。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 大窪は、日本型生協の特徴を、1出資と利用の一致、2所有と経
営の融合、3世帯単位の加入、4多機能・包括的な組織、5女性・
主婦の組織、6末端基礎組織(班)を通じた出資・利用・運営の三
位一体の6点にまとめている(大窪,1994:61-67)。

 その中で、主婦により構成される班を中心とした予約共同購入は、
まさに日本型生協の「象徴」であった。

 しかし、班別予約共同購入は、優れたシステムであると同時に矛
盾を抱えたシステムでもあった。班別予約共同購入によって急速に
勢力を伸張した日本とは対照的に、ヨーロッパやアメリカの生協は、
巨大流通業との競合の中で困難な状況が続いていたため、班別予約
共同購入は国際的にも注目された。1992年に開かれたICA東京大会
において、日本型生協モデルの評価について議論が交わされた。

 そこでは、「ヨーロッパの生協活動が衰退するのに対して、日本
の生協が拡大を続けていることが、班を含めた組合員女性の活動に
よって支えられていると評価される一方、日本型生協がきわめて日
本的なひずみ―組合員女性の無償労働に支えられた共同購入、性別
役割分業の上にのって発展してきた」ことが指摘されるとともに
(末川,2001:12)、また、家庭が私的領域としてはっきり独立し
ている西欧諸国においては、班別予約共同購入の導入は不可能であ
ると評価された(大窪,1994:57)。

1980年代になると日本社会の現実も大きく変化した。特に、班別
予約共同購入の存立基盤であった専業主婦層の解体は、その決定的
な契機となった。

 班別予約共同購入の拡大は、一定程度のまとまった消費量がある
核家族の存在を前提としており、また、組合員労働も、比較的時間
を自由に融通できる専業主婦の存在なくしては考えることができな
いものであった。女性の晩婚化や女性の社会進出は、生協の拡大に
とってはマイナスに働いたのである。

(略)

■生協運動の「融解」?

 第一に、時代に適応しようとする生協の取り組みが、「生協らし
さ」の減少・喪失とつながっているという点である。生協の商品の
中には、いわゆるナショナルブランドも多数入り込んでいるし、生
協の強みであった配達をスーパーでも行う動きが広がっており、経
営的には大型スーパーとの差異化が困難を増していく状況にある。

 購買力の結集が「市場から粗悪品を排除する」という意味で運動
性を有しているという「建前」は依然として主張されるものの安全
・有機などの記号が商品価値を持った今日、単に上記のような主張
のみでは一般小売店との差異化が難しいという「本音」も有してお
り、そのあり方は難しい。

 いかにして「生協らしさ」「生協の強み」を発揮させていくのか
ということについて、実際に説得力のある議論はあまりみられない。
小売事業者として生存を図りつつ、いかにして独自性を打ち出して
いくのかということについて、より深い考察が望まれているように
思われる。

(略)

 第二に、性別役割分業と生協論とのかかわりである。どの論考に
おいても、班別予約共同購入の限界と個配事業の導入の肯定という
点は共通している。この背景には、女性をめぐる社会環境の変化
(特に女性の社会進出)を肯定的に捉えるという側面があると思わ
れる。

 しかしながらその一方で、依然として主婦・核家族を基盤とする
日本型生協システムという仕組みそのものに対する疑念は、ほとん
どの論考において表明されないという矛盾も生じている。事業統合
はおろか、個配というシステムにおいても、その前提に大きな変化
はない。

先の上野をはじめとするジェンダー論からの批判は、きわめて重
要かつ困難な論点を生協に突きつけている。

 主婦の組織という「顕教」と専従支配という「密教」の問題は以
前から指摘されてきたものだが、上野達は、男女の間に根強く横た
わる不平等に対して、生協はそれを克服するどころか、それを強化
したとさえ評価している。これは、組合員と専従との間の問題のみ
ならず、主婦を前提とした生協の組織形成そのものに対する批判で
もある。また、いわゆる「生協用語」は、男女差別の構造を維持・
強化するイデオロギー機能を果たすとされる。

(略)

第三に、生協の目指す路線が、その他の課題とのジレンマを引き
起こす点である。例えば、「安全安心」と「社会的弱者への対応」
とのジレンマなどがあげられる。「安全・安心」を追求すれば、商
品やサービスの価格も上昇する。そうした商品が増えていくことは、
社会的弱者を結果的に「排除」していくこととなる。

 事実、「安全・安心」などの側面を重視している「原理派」生協
組合員の多くは、国民の平均よりも高い階層であることが指摘され
ている。

 生協の原理の追求が、生協を「閉鎖性の強い」集団としてしまう
という、弱者の連帯からはじまった協同組合が弱者を排除するとい
う、深刻なパラドックスを生じさせるのである。

http://www.asa.hokkyodai.ac.jp/research/staff/kado/seikyouron.pdf
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 生活クラブ生協は「組合員の所得階層が高い」ことでも有名です。
確かな話ではありませんが、平均年収一千万円を超えると聞いたこ
とがあり、当の生活クラブ組合員も否定していませんでした。

 高級住宅街に住み、「私の町では下水道が完備している」と自慢
しておいて、「下水道もないこんな田舎では、石鹸を使ってもらわ
ないと困る」と岩手の漁村でのさる集会で発言したものですから、
私は怒りました。

 このとき以来、個人的に生活クラブは嫌いと公言しています。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 私が生協をやめたのは1998年ですから、もう16年経過しま
した。生協のことを書くのも久しぶりです。ご質問のメールに感謝
です。

 1970年代の終りから80年代初頭にかけて、生協の運営でいろいろ
苦労、失敗して、組合員理事の皆さんに助けられたもので、その後
20年近く滅私奉公していました。もうそろそろ解放されてもよいか
と当時考えたものです。

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