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--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
--------------------------------------77号--2001.04.29------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「有機JAS法」「牛乳の賞味期限」「アルミニウム」「食中毒」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 前回の「無農薬」の話で、次のようなメールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 前回のメルマガで「無農薬」の表示はインチキという風にも読み
とれたので、少し違うのではないかと思いメールしました。新しい
JAS法では以下のように規定されています。

・減農薬は周囲の普通栽培と比較して農薬の使用回数が半分以下の
もの
・無農薬は農薬を使用していないもの、
・有機栽培は3年間以上無農薬・無化学肥料の田畑からとれたもの

 いずれも上記の栽培方法が認証機関により認証されたものにたい
して表示することができます。よって、「無農薬」や「減農薬」も
「有機」と同様にJASで規定されています。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 アレレ?と思って、農水省のページに行ってみると、次のような
ことが書いてありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 農林水産省では、「有機栽培」や「無農薬栽培」などと表示され
た農産物の表示の統一化を図るため、平成4年10月に「有機農産物
等に係る青果物等特別表示ガイドライン」を制定し、平成8年12月
に有機農産物とそれ以外の特別栽培農産物の区分を明確化するため、
「有機農産物及び特別栽培農産物に係わる表示ガイドライン」とし
て改正しました。

 その後、平成9年12月25日にこれまで対象から除いていた米・麦
を対象とするために再度改正し、米についても他の農産物と同様に
「有機栽培米」、「減農薬栽培米」などと表示できるようになりま
した。

 また、輸入品への適切な対応をするため、輸入品にあっては、表
示すべき事項に「輸入業者の氏名又は名称、住所及び連絡先」を追
加しました。

 ※平成12年1月20日に「有機農産物」及び「有機農産物加工
食品」は特定JAS規格が定められています。施行されますと有機
農産物のガイドラインはなくなります。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 やっぱり「ガイドラインはなくなります」が正しいんですね。

 私の読んだ記事では、「有機JASの認定はハードルが高く、商
品の確保が難しい。以前あったガイドラインもまだ有効なので、そ
ちらを使えば、「有機」の表示はできないが、「無農薬」の表示が
できるので、そういう商品を扱うという動きがある。」と、具体的
なスーパーの名をあげて書いてありました。

 それで私はこれは困ったことだ、と思い、前回のように書いたわ
けですが、これは完全な誤報だったようです。(毎日新聞のバカ!)

 早とちりで申し訳ありません。お詫びして訂正します。m(__)m

 でも、件の記事にはそのネタとして、取材先のスーバーでの話が
あったに違いありません。有機JASの抜け道を探す、という動き
はきっとあるのでしょうね。

 「有機JAS」のマークがついていないのに、「有機」や「無農
薬」を思わせるような表現を使ったものをみかけたら、注意してく
ださい。

 で、「有機JAS」のマークを私のサイトの表紙に掲載しておき
ますので、ご確認ください。
http://www.kenji.ne.jp/food/

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.牛乳の賞味期限について今調べています。家庭で、簡単に調べ
る事ができるのか、あったら教えて下さい。それに、保存方法など
も。牛乳に関する事でよい資料がありましたら宜しくお願いします。

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A.牛乳の賞味期限はだれが決めているかというと、牛乳メーカー
の人です。商品としてできあがった牛乳を、一定の条件で保管して、
どれくらいの期間、飲んで大丈夫な状態か、調べています。

 同じ日の牛乳をたくさん保存しておいて、毎日、少しずつ開封し
て、細菌検査をしていきます。それをグラフにして、何日目まで大
丈夫かを見るのです。

 普通のUHT(超高温殺菌)の牛乳で、製造日から7〜8日、低
温殺菌牛乳で、5日くらいが普通です。

 これは、10℃くらいで保存して、牛乳の中の細菌数が1ミリリ
ットルあたり5万個を超えない、ということを基準にしています。

 5万個、というのは、牛乳として売るとき、これ以上の細菌があ
ってはいけない、という基準です。実際には5万個を超えても、別
に腐っているわけではなく、普通に飲めてしまえます。腐っている、
とわかるのは、数億個、というような数になってからです。

 したがって、これくらいの細菌数を調べるには、細菌の培養検査
をしなければなりません。これは専門の設備と知識がいりますので、
家庭で調べるのは無理です。

 自分で飲んでもうだめかな、と感じるときには、もう随分と細菌
が増えています。ちょっとあぶないので、やめたほうがよいと思い
ます。

 保存方法は、できるだけ低い温度で保管する、ということです。
凍ってしまってはだめですが、凍らない範囲で、低いほど長持ちし
ます。

 5℃以下にしてやれば、賞味期限の倍ほどもつと思いますが、家
庭の冷蔵庫ではそんなに冷えないものです。

 これらはいずれも、開封前の話です。開封後は、賞味期限は適用
されません。開封後はその翌日くらいまでに飲んでしまうようにし
ましょう。

 メーカーは資料を持っています。また、生協などでも、詳しい資
料を持っているところが多いと思います。なかなかインターネット
で公開するところまではいっていませんので、身近なところで聞い
てみるのが良いと思います。

 牛乳については、以下のところに、いろいろな情報があります。
http://group.lin.go.jp/nopla/

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Q.アルミニウムは安全な容器なのでしょうか。

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A.アルミニウムの危険性、というのは、ステンレスの鍋(うんと
高価なやつ)を売っている人達が言っています。だから私はあまり
信用していません。

 アルツハイマーの症状がある人の脳を解剖すると、普通よりアル
ミニウムを多く含む、ということが見られるそうです。このことか
らの類推で、何らかのアルミニウム化合物がアルツハイマーの原因
物質ではないか、ということを言っているようです。

 この事実は、今のところ、アルツハイマーの原因なのか、結果な
のか、よくわかっていないと思います。原因である可能性もあるか
も知れませんが、今の時点でアルミニウムは危険だ、ということを
積極的に言うのは、商売がらみでしょうね。

 ステンレスに含まれるニッケルやクロムは安全なのか、などとい
うつっこみもありそうです。

 アルミニウムは地球上で最も多い金属です。どこにでも過剰にあ
るのに、あまり栄養的には役立たない、というイメージです。アル
ミニウムの食器が登場してから、まだあまり経っていませんが、そ
のことによって、健康被害が出た、という証拠はどこにもないと思
います。

 鍋では、ステンレスではなく、鉄製のものが、料理中に鉄が溶け
てくるため、栄養補給になる、という話があります。鉄分は不足し
がちなので、もろの金属イオンでも、利用するんですね。普通、金
属のイオンは、たとえ食物といっしょに体内に入っても、吸収する
のがホネなので、あまり利用されていないと思います。

 ということで、アルミニウムについては、安全という保証はどこ
にもありませんが、危険というはっきりとした証拠もない、といっ
たところです。

 なんだかはっきりしない話ですが、自然界のものの安全性、とい
うのは、まあこうしたものです。

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「食中毒」
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 いよいよ本格的な食中毒のシーズンです。

 今回は、「家庭で防げる食中毒」(篠田純男著 丸善)という本
から、食中毒についての情報を紹介します。

【食中毒の分類】

 食中毒といっても、いろいろなものがあります。分類すると、次
のようなものだそうです。

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微生物性食中毒
  細菌性食中毒
    毒素型(生体外毒素型) 黄色ブドウ球菌 ボツリヌス菌
    感染型
      感染侵入型  サルモネラ、腸管病原性大腸菌
      感染毒素型  腸炎ビブリオ、腸管毒素原性大腸菌
             腸管出血性大腸菌
  ウイルス性食中毒   小型球形ウイルス
化学性食中毒
自然毒食中毒
  植物毒  毒キノコなど
  動物毒  フグ、貝毒など
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 今回は細菌性のものを紹介します。上の分類のように、細菌が体
内に侵入するタイプのものと、細菌の作る毒素で食中毒がおこるも
のとがあります。

 それぞれの細菌の種類によって、対策が違いますので、個別にと
りあげてみます。

【黄色ブドウ球菌】

 昨年の雪印の事件ですっかり有名になりました。ケガをしたとき、
化膿することがありますが、その主役の細菌です。ふだんから人間
の皮膚に常にいる細菌です。

 キズなどがあると、そこで異常繁殖して、ウミをつくるわけです。
ケガをした手で食品を扱ったりするのは、危ないということになり
ます。おにぎりを手で握るとき、保健所なんかでは、ビニールの手
袋をするように奨めていますが、あれはこの対策だと思います。

 菌自体は熱に弱いのですが、一旦繁殖して、毒素ができてしまう
と、この毒素はたいへん安定なもので、その後、いつまでもなくな
らない、ということです。

 雪印事件では、北海道で脱脂粉乳を作るとき、温度管理が悪くて
この菌が繁殖し、毒素ができてしまった、ということです。その後、
脱脂粉乳に加工して、大阪に運ばれ、加工乳になって販売される、
という経路をたどって、ずいぶんと時間もかかり、うすまったり、
加熱されたりしたはずなのに、あれだけの食中毒をおこすのですか
ら、なかなか侮れません。

 すべての黄色ブドウ球菌が毒素をどんどん作る、というわけでは
ないそうです。対応策は、手をこまめに消毒する、できるだけ素手
で食品を扱わない、製造工程での温度管理、といったところでしょ
うか。

 雪印事件でもわかりましたが、食中毒の規模のわりには、死んだ
人が出たりしなかったのは、この毒素の毒性はあまり強くない、と
いうことによります。

【ボツリヌス菌】

 この菌の毒素は猛毒として知られています。毒の強さは青酸カリ
の1億倍、サリンの10万倍、ダイオキシンの1万倍ということで、
人の致死量は10ナノグラム(1億分の1グラム)ということにな
るそうです。

 もちろん、10ナノグラムを測って試してみたわけではありませ
んので、推測値ですが、それにしてもすごいものです。

 幸いにして、この毒素は熱に弱いので、普通に加熱すれば大丈夫
です。加熱せずにそのまま食べることが多いハム類が最も危険、と
いうことになりますが、日本ではハム類のボツリヌス中毒は起こっ
ていません。

 日本では主に魚介類での中毒がありますが、これは同じボツリヌ
ス菌でも、ヨーロッパでハムの食中毒の原因になっているものと、
種類が違うそうです。

 毒素は熱に弱い、と書きましたが、菌自体は芽胞という状態にな
って、温度が下がるまで耐えることができますので、熱にたいへん
強いのです。しかも嫌気性の菌で、酸素を必要としませんので、缶
詰やレトルト食品の中でも、繁殖する可能性があります。

 缶詰、レトルト食品の加熱は、この菌を殺菌することにターゲッ
トをあてています。しかし、芽胞が生き残る可能性はありますので、
いったん加熱した後、常温で保存し、しばらくしてから開封して、
ボツリヌス菌が繁殖していないかをチェックします。

 土の中にいる菌ですので、普通の家庭の環境では、あまり心配す
ることはないようです。ただし、蜂蜜の中には存在しているので、
赤ちゃんに蜂蜜を与えるのはやめてください。

 これはどういうことかというと、生きたボツリヌス菌を食べても、
通常の大人の体内では、繁殖できませんので、別に問題はないので
す。問題は食品の中で繁殖して、毒素ができた時です。

 ところが、1年未満の赤ちゃんの体内では、毒素を作るほどまで
繁殖する可能性があるのだそうです。赤ちゃんの突然死の原因に、
この乳児ボツリヌス菌中毒が結構含まれている、ということが考え
られています。

【サルモネラ】

 サルモネラは侵入型、ということになります。体内に侵入して、
内臓の中で繁殖する能力を持っていますので、ちょっと怖いことに
なります。

 脳の中で繁殖して、患者がとても苦しむ、などということは、想
像するだけで怖いですね。

 鶏などでは、体内に入っても、自分自身は別に以上がなく、普通
にしているのですが、菌を常に排出しつづける、というやっかいな
ことがおこります。

 こうして、卵の中身や殻の表面に、サルモネラがいる、というこ
とがおこります。

 サルモネラは普通に殺菌が可能ですので、しっかり加熱した食品
なら、問題はありません。サルモネラというと卵がよく問題になる
のは、肉と違って、卵は生、または生に近い状態で食べることが多
いからでもあります。

 生卵はもちろんのこと、半熟や柔らかく焼いたオムレツなどの調
理では、サルモネラが生き残る確率はかなりあります。同じ温度に
加熱しても、卵と一緒に加熱すると、卵のたんぱく質が保護する働
きをして、サルモネラはより多く生き残る、ということも言われて
います。

 最近、卵にも賞味期限がついていることが多くなりました。これ
は、その期限内であれば、たとえサルモネラに汚染されていたとし
ても、食中毒を起こすほどには増えていないだろう、という期限を
意味しています。

 賞味期限がついていない卵や、賞味期限を過ぎた卵は、絶対に生
では食べないようにしましょう。

 また、ほとんどどんな動物の体内にでもいる菌です。ペットから
感染する、などということもあるようです。しばらく前にスルメが
サルモネラに汚染されていた、という事件がありましたが、あれは
干している時に、海鳥の糞便に汚染されたのではないか、と疑われ
ている、ということです。

 ペットと遊んだ後に料理する、などというのは要注意ですね。

【腸炎ビブリオ】

 食中毒の原因として、たいへん多いので有名です。これは日本人
がよく刺身を食べるからで、仕出し弁当の刺身がよく原因になりま
す。

 この菌は塩分を好む菌で、海水の中にたくさんいます。海の魚に
は、常にこの菌が存在している、と考えることが必要です。

 刺身にしたときも、必ずこの菌は刺身についています。でも、そ
の数はあまり多くないので、新鮮なうちに食べれば、別に問題はあ
りません。(加熱して食べるときは全く問題なしです。)

 今、仕出し弁当の刺身は、必ず氷(または保冷剤)の上に載せて
あります。あれは温度を下げてこの菌の繁殖を遅らせる工夫です。
この工夫は結構効果があったようです。もし、こういうことをして
いない仕出し弁当があれば、今時、ちょっと問題です。

 同じ仕出し弁当でも、昼に食べたときはなんともなかったのに、
残ったものを夕方食べたら、食中毒になった、ということはよくあ
るそうです。こうなると仕出し屋さんの責任とは言えないと思いま
す。

 刺身を常温で半日もおけば、まずかなり高い確率でこの食中毒に
かかると思います。殺菌して食べるものではありませんので、「時
間」と「温度」で管理してください。

 毒性はそんなに強くないようです。腸炎ビブリオで死者が出た、
などというのはあまり聞きませんが、それでも全くないわけではな
いそうです。これから大変多くなる食中毒ですので、ご注意くださ
い。

 夏のはじめより、秋口の方が危険だそうです。それは、これから
だんだんと海水中で、この菌が増えてくるのですが、一番多くなる
のは、海水浴シーズンが終ってから、だからだそうです。

(以下、続きます)
--〔後記〕--------------------------------------------------

 またまたお詫びと訂正で、申し訳ありません。

 いよいよ連休に入りました。私は長い間、祝日に仕事が休みにな
らなかったので、連休といってもあまり関係なかったのです。

 今年はゆっくりできるかと思っていたら、4月中に仕上げねばな
らない仕事が追い込みで、休日出勤ばかりしています。5月になっ
たら、旅行に行くので、絶対休むぞ、と言っているのですが・・。

 本当に、食中毒がどっと増える時期です。集団食中毒は広く報道
されますが、家庭で起こった食中毒はニュースにもならず、統計に
も載ってきません。

 私も以前、「レバーの刺身」であたったことがあり、高熱が出た
のですが、医者に言わせると、症状からは食中毒なのか、ウイルス
や細菌による感染症なのか、判断できないし、治療法も同じような
ものだ、と言われました。

 そういえば、あれが原因だ、という証拠はないのですね。患者か
ら菌を分離したり、原因の食品を特定したり、という探偵のような
仕事をしている保健所関係の人のご苦労は大変なものだと思います。

 サルモネラ食中毒の追跡調査で、患者からの菌とある養鶏場で見
つかった菌とが、完全に一致し、患者がそこの卵を食べていたこと
まで判った、という例がありました。

 まことに見事な追跡研究です。規模の大きい食中毒事件なら、公
表するのでしょうが、このときは公表は見合わせた、という話です。
でも、その養鶏場の経営者は、責任を感じたのか、結局、廃業とい
うことになったそうです。

 事情はいろいろとあったのでしょうが、ちょっと考えさせられる
事件でした。(昔、専門誌で読んだ話です。)

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--77号--------------- e-mail why@kenji.ne.jp -------------
--発行--渡辺--宏------- URL http://www.kenji.ne.jp/food/
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