安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>769号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------769号--2014.08.03------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「ニュースから」「未殺菌レトルト食品」

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ブログ毎日?更新中

http://why0531.sblo.jp/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 前回から話題になっている中国食品工場の映像について、こんな
意見が出ています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 さて、OSI資本である上海福喜食品ですが、問題になっているテ
レビ番組の映像は、以上の前提から見ると、ちょっと受け容れがた
いものです。「受け容れがたい」というのは「許せない」という意
味ではなく、「業として常日頃行われていることとは考えにくい映
像だ」ということです。

http://www.foodwatch.jp/strategy/tabledesk/50103
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 詳しくは記事を読んでいただくとして、私も概ね同感です。あり
得ない映像なのでインパクトがあったわけですが、日常的に行われ
ていたことかどうかはわかりません。

 とにかく、落ち着いて考えてみることも必要だと思いました。

 以下は短いニュースがいくつもあるので、列挙していきます。ま
ず、韓国で鳥インフルエンザも発生したというニュースです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 韓国の農林畜産食品省は28日、同国南東部、慶尚北道高霊の養
豚場で飼育されている豚が、感染力が強いウイルス性の家畜の病気、
口蹄疫に感染していることを確認したと明らかにした。

 韓国では約80キロ離れた慶尚北道義城郡でも養豚場で口蹄疫が
発生しており、感染が拡大した。

 さらに同省は同日、南西部、全羅南道咸平の飼育場で飼育されて
いたアヒルが高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N8型)に
感染していることを確認した。

 鳥インフルエンザの被害は主に冬に発生してきたが、韓国では初
めて7月に感染被害が出た。この飼育場では今年3月にも同型ウイ
ルスの被害が出ている。

 韓国では2010年11月から11年4月にかけ、口蹄疫感染が
拡大し約348万頭の豚や牛の殺処分に追い込まれた。

 その後、口蹄疫ワクチンの家畜への接種を義務付けたが、守らな
い飼育場があったという。

http://sankei.jp.msn.com/world/news/140728/kor14072818210008-n1.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 韓国は相変わらずですね。

 次は「ウォーターサーバー」の危険性について。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 家や会社での利用者が増えているウオーターサーバー(給水器)
の宅配水。麻布大学の古畑勝則教授(微生物学)が調べたところ、
使用中に細菌が増殖し水道水の基準を満たさないものが数多くある
とわかった。体に影響のあるレベルではないが、「安全性確保のた
め、衛生管理の対策が必要だ」と話している。

 宅配水とは、業者がサーバーを利用者に貸し出し、定期的に容器
入り飲料水を宅配するもの。原料は地下水や濾過(ろか)した水道
水など。一般家庭では、家族の人数にもよるが10〜12リットル
程度の容器1本を10日前後で消費するという。

 昨年度、家庭や事務所などで使用中のサーバーの水140検体を
調べた。その結果、全体の3割にあたる42検体が、水道水の水質
基準における一般細菌の基準値(1ミリリットルあたり細菌の集落
数が100以下)を上回った。

http://www.asahi.com/articles/ASG7Z6DBFG7ZULZU00L.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 溜め置きの水が安全ではないのは自明です。殺菌装置でもつけて
あるのかと思っていましたが、そうでもないようですね。水道水を
そのまま飲んだ方がはるかに安全です。

 2003年に初めて中国に行ったとき、どこの事務所や工場に行って
も、ウォーターサーバーが置いてあるのに驚きました。当時は日本
ではほとんど普及しておらず、私は上海で初めて見たのです。

 このごろはテレビのCMでも見るようになりましたが、安全を考
えると、導入は見送った方が賢そうですね。

 山の方に行くと、○○の名水というのがあり、その水を汲んでき
てコーヒーやお茶に使うという人がいます。あれも馬鹿げた行為で
す。水は必ず「腐り」ますから、塩素も入っていない水を溜めてお
いてはいけません。

 次は「食中毒」ではなく、「一酸化炭素中毒」を店でおこしてし
まったニュースです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 31日夕、能登町越坂(おっさか)のホテルのときんぷら内の
「炉ばた焼もちのき亭」で児童ら32人が一酸化炭素(CO)中毒
の疑いで搬送され、従業員5人と児童4人が入院した事故で、施設
を運営する石川県県民ふれあい公社は1日、事故当時、店内の換気
扇9カ所全てが止まっていたことを明らかにした。県警捜査1課と
珠洲署の捜査員16人が同日午前から、店内で実況見分を再開し、
業務上過失傷害の疑いを視野に、事故当時の状況を調べている。

 同公社の北村修理事長(57)が取材に対し、従業員の話として、
店内の換気扇が回っていなかったと述べた。従業員によると、普段
は換気扇を回していたという。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140801-00155911-hokkoku-l17
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 馬鹿げたミスですが、管理手法に不備があったことは確実です。

 最後は「シシャモ」に異物混入という事例ですが、こちらは事故
ではなく事件、つまり故意の犯行のようです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 山口県の輸入業者がベトナムから輸入した冷凍シシャモに、殺鼠
剤や汚物とみられる異物が混入していた問題で、ベトナムの製造会
社で現地従業員が意図的に混入した疑いがあり、輸入業者が商品を
ベトナムの捜査当局に提出していたことが業者への取材で分かった。
流通先は10都府県とみられ、業者が自主回収した。

 輸入業者は長門市の伊村産業で、商品名は「子持ちからふとしし
ゃも」。製造元はベトナムの「RICH BEAUTY FOOD」
社だった。伊村産業によると、回収対象は5月29日と6月6日に
輸入した約2000ケース分。念のため5月1日から7月15日に
かけて出荷した商品を自主回収した。店舗にあった商品は、23日
までにすべて回収した。流通先は東京、大阪、兵庫、山口、福岡な
どだった。

 冷凍シシャモはビニール袋に入れられたうえで段ボール箱に詰め
られていた。今月15日に京都府のスーパーで担当者が箱を開けた
際、ベトナム語の表記とネズミの絵が描かれた袋があり、殺鼠剤と
見られる黄色の粉がシシャモに振りかけられていた。愛媛県のスー
パーからも同日、「人の大便と見られる汚物が袋の上に載っていた」
と連絡があった。この2箱は、ベトナムの捜査当局からの要請で、
19日に社員がベトナムへ運び、提出したという。

 伊村産業の社長は「製造工場から混入のあった商品の製造は5月
15日ごろと聞いた。RICH社は台湾資本で、現地では当時、反
中デモがひどかった」と話した。RICH社は国際的な衛生管理基
準「HACCP(ハサップ)」の認証を取得しているという。

http://mainichi.jp/select/news/20140724k0000e040237000c.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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今回は休みます。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「未殺菌レトルト食品」
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 ちょっとびっくりするような「自主回収」のニュースがありまし
た。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 食品大手のニチレイフーズは27日、京王電鉄グループのレスト
ラン京王(東京都府中市)向けに製造したレトルトカレー「新宿カ
レー ビーフ」の一部で加圧加熱殺菌処理が行われていないものが
見つかったため、自主回収すると発表した。対象は賞味期限が20
16年3月25日の商品で7508個。食中毒を起こす可能性もあ
り、食べないよう呼び掛けている。

 回収対象の商品は、レストラン京王が運営するカレーショップ
「C&C」の東京都内19店舗に加え、千里阪急(大阪府豊中市)
や宝塚阪急(兵庫県宝塚市)などで販売。また、インターネット通
販などで贈答用として売られていた。

 ニチレイフーズによると、山形工場(山形県天童市)で包装機を
調整している際、殺菌前の商品が誤って混入したとみられる。22
日にC&C新宿本店で袋が膨らんでいる商品11個が見つかり、問
題が発覚した。(2014/07/27-16:20)

http://www.jiji.com/jc/zc?k=201407/2014072700103
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 以下はメーカーのサイトからの情報です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■レトルトカレー「新宿カレー ビーフ」の回収について

 このたび、弊社が株式会社レストラン京王専用商品として製造し
ておりますレトルトカレー「新宿カレー ビーフ」の一部商品に、
加圧加熱殺菌処理がされていないものがあることが判明しましたの
で、下記の通り回収させていただきます。

 お手元に当該商品がございましたら、お召し上がりになりません
ようお願い申し上げます。ご心配、ご迷惑をおかけし、誠に申し訳
ございません。

■記

1. 回収対象製品

 レストラン京王専用商品「新宿カレー ビーフ」(200g)賞味期
限2016年3月25日(ニチレイフーズ山形工場製)

2. 経緯

 7月22日(火)カレーショップC&C新宿本店店長が、袋が膨張
している商品11袋を発見し、レストラン京王本部に連絡。7月24日
(木)レストラン京王本部からニチレイフーズに連絡。7月25日
(金)ニチレイフーズが該当商品を回収。内容を確認したところ、
レトルトパウチ袋の外観や袋内面のカレー色素沈着状況から、これ
らの現品は加圧加熱殺菌処理がされていない事が判明いたしました。

3. 本件の原因

 当該商品は、包装工程で自動小箱包装機にて箱詰め包装されます。
この小箱包装機が不調であったことから、工場作業員が加圧加熱殺
菌前の商品を用いて調整したところ、調整に用いた加圧加熱殺菌前
の商品が誤って混入したものと思われます。

4. 対策

 加圧加熱殺菌前の製品の混入を発生させないため、小箱包装機等
の調整には必ずダミー商品を用いることとします。

 また、今回発生した事象を全従業員に周知し、再発防止に向けた
教育を徹底いたします。

5. 健康への影響

 加圧加熱殺菌処理を経由していない商品については、健康を害す
る可能性が考えられます。

 なお、現時点でお客様からの健康被害のお申し出はありません。

6.当該商品に関するお問い合わせ

【お客様のお問い合わせ先】

株式会社ニチレイフーズお客様相談センター
〒104-8402 東京都中央区築地6-19-20
フリーダイヤル0120-12-4099(対応時間:9時〜18時)

【送付先】
株式会社レストラン京王

〒183-0055 東京都府中市府中町2-1-14 京王府中2丁目ビル5階
株式会社レストラン京王 総務担当宛

※ご住所・ご氏名・ご連絡先を明記のうえ、宅配便(着払い)にて
お送りください。レストラン京王より代替商品と交換させていただ
きます。

7.本件に関するお問い合わせ先

株式会社ニチレイ広報部 03-3248-2235

http://www.nichirei.co.jp/news/pdf/140727.pdf
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 以下は製造元のニチレイフーズ山形工場のサイトから。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

山形工場(山形県)

■幅広い常温食品アイテムをねっづぐ(熱く一生懸命に)ご提供。

 風光明媚な蔵王朝日連峰に囲まれた村山盆地のほぼ中心部に位置
し、主に常温流通の調理済み加工食品(レトルトパウチ・缶詰)を
生産しております。長年に亘って培われたノウハウによって業務用
カレーはトップシェアを誇り、中華スープやソース類、さらにカロ
リーコントロールされた調理惣菜などの商品を、万全の品質管理体
制の下で提供し続けております。

 2014年からは冷凍食品製造ラインも加わり、ますます幅広いライ
ンアップと高度な調理技術で、お客様にご満足いただけるものづく
りを進めて参ります。


■主な製造製品

ふかひれスープ

サンラータン

(業務用)レストランユースビーフカレー

■工場概要
住所 〒994-0042 山形県天童市北目3-3-35
電話番号 023-653-3341

■山形工場のこだわり

 山形工場はニチレイフーズ唯一常温食品の生産工場です。

 スパイスコーディネーターを育成し、ユーザー様の要望に応えら
れる商品開発並びに生産を実現しております。少量で手作り感ある
高級品からお手ごろ価格商品まで対照的なアイテムを生産するライ
ンを兼ね備えております。

 丁寧に大切に、東北魂でねっづぐ(熱く一生懸命に)商品を作っ
ております。

http://www.nichireifoods.co.jp/enjoy/factory/detail_02.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 巷では中国食品工場の「映像」が人気をさらっていますが、事件
としてはこちらの方がはるかに重大、悪質です。この事件に焦点を
あてて報道しない日本のマスコミの馬鹿さにはあきれます。

 レトルト食品は殺菌が命です。殺菌していないレトルト食品とい
うものはあり得ません。ちゃんとした工場なら、未殺菌のもの、つ
まり半製品の段階のものが、出荷工程のある場所に存在しては絶対
にいけません。工場の配置や人、物の動きはそれを基準に設計され
ているはずです。

 それなのに、「小箱包装機が不調であったことから、工場作業員
が加圧加熱殺菌前の商品を用いて調整した」というのですから、わ
ざわざ半製品を運んで行ったのでしょう。

 おそらく、調合工程の場所から、レトルト釜の前を通って動かし
たのでしょうが、そんなことができる工場なら、何でもありです。
食品工場としては最低と言わざるを得ません。

 ニチレイフーズ山形工場は工場閉鎖に相当する、致命的なミスを
犯したと思います。結果として出荷された商品は、品質が劣る程度
ではなく、致命的な事故を引き起こす可能性があります。これは食
品工場としては犯罪行為です。

 とにかく、「未殺菌レトルト食品」が市場に出た、というのは食
品産業にとっては最大の事件です。単なる自主回収で済む問題では
ないと考えます。

 以下はおまけとして、「レトルト食品」についての解説です。ま
ず、レトルト食品の製造ガイドラインです。

 ニチレイフーズ山形工場はこのガイドライン違反ですので、中国
だったら責任者が身柄拘束されているはずです。日本ではお咎めな
しなのでしょうか。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

容器包装詰加圧加熱殺菌食品

1.容器包装詰加圧加熱殺菌食品(食品(清涼飲料水、食肉製品、
鯨肉製品及び魚肉ねり製品を除く。)を気密性のある容器包装に入
れ、密封した後、加圧加熱殺菌したものをいう。以下同じ。)の成
分規格

 容器包装詰加圧加熱殺菌食品は、当該容器包装詰加圧加熱殺菌食
品中で発育し得る微生物が陰性でなければならない。この場合の微
生物の試験法は、次のとおりとする。

(1)恒温試験

 検体を容器包装のまま採取し、35.0°(上下1.0°の余裕を認め
る。)で14日間保持する。この間において容器包装の膨張の有無又
は内容物の漏えいの有無を観察する。この場合容器包装の膨張の有
無は約20°に冷却して観察するものとし、容器包装の膨張又は漏え
いを認めたものは、当該容器包装詰加圧加熱殺菌食品中で発育し得
る微生物が陽性であるとみなす。

 恒温試験で陰性の結果を得た検体については、細菌試験を行う。

(2)細菌試験

(略)

2 容器包装詰加圧加熱殺菌食品の製造基準

(1)製造に使用する野菜等の原料は、鮮度その他の品質が良好な
ものでなければならない。

(2)製造に使用する野菜等の原料は、必要に応じ十分に洗浄した
ものでなければならない。

(3)製造に当たっては、保存料又は殺菌料として用いられる化学
的合成品たる添加物(次亜塩素酸ナトリウムを除く。)を使用して
はならない。

(4)缶詰食品又は瓶詰食品以外の容器包装詰加圧加熱殺菌食品の
容器包装の封かんは、熱溶融又は巻締めにより行わなければならな
い。

(5)製造の際に行う加圧加熱殺菌は、自記温度計を付けた殺菌器
で行い、自記温度計によるその記録は3年間保存しなければならな
い。

(6)製造の際に行う加圧加熱殺菌は、次の二つの条件に適合する
ように加圧加熱殺菌の方法を定め、その定めた方法により行わなけ
ればならない。

1.原材料等に由来して当該食品中に存在し、かつ、発育し得る微生
物を死滅させるのに十分な効力を有する方法であること。

2.そのpHが4.6を超え、かつ、水分活性が 0.94を超える容器包装詰
加圧加熱殺菌食品にあっては、中心部の温度を 120°で4分間加熱
する方法又はこれと同等以上の効力を有する方法であること。

(7)加圧加熱殺菌後の冷却に水を用いるときは、飲用適の流水で
行うか、又は遊離残留塩素を 1.0ppm 以上含む水で絶えず換水をし
ながら行わなければならない。

(8) 製造に使用する器具は、十分に洗浄したうえ殺菌したもので
なければならない。

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/06/dl/s0626-8h.pdf
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「細菌試験」の内容は省略しています。ここで指定された方法で
試験を行い、微生物が検出されてはならない、というのが趣旨です。

 一般にレトルト食品はこの「恒温試験」「細菌試験」をクリアし
た後に販売されます。今日作って明日出荷とはいかない性質のもの
なのです。

 残念ながら抜き取り検査なので、ニチレイフーズ山形工場ではこ
れにひっかかりませんでした。通常は同時に製造されたものから抜
き取りますので、殺菌温度や時間の異常なら、抜き取り検査で見つ
けることができるはずです。

 以下はレトルト殺菌についての一般的な解説です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■レトルト(加圧加熱)殺菌とは

 一般に、食品の表面や内部には必ずカビ、酵母、細菌などの微生
物が付着あるいは混入し、水分が多い場合には腐敗変敗を引き起こ
す。このために食品の保存方法として乾燥、塩蔵、低温貯蔵などが
昔から行われてきたが、フイルム包装による微生物完全遮断が容易
になって、包装後の加熱殺菌も有効な保存方法として広く利用され
ている。

 加熱殺菌には加熱空気による乾熱殺菌と、蒸気や熱水による湿熱
殺菌があり、後者の方が殺菌効果が大きく、乾熱160℃、30分
間と湿熱100℃、30分間とはほぼ同等の殺菌効果があるといわ
れる。サウナでは90℃でもやけどをしないが、熱水では短時間で
も大やけどすることからも熱効率の違いがわかる。

 この微生物を湿熱で殺菌する最も簡単な方法がボイル殺菌(湯殺
菌)である。包装後、湯のなかに入れて殺菌する方法である。簡単
な場合は、かごに入れ、一定温度の熱水槽の中に浸漬し、一定時間
後に取り出すバッチ式、大量に殺菌する場合には、熱水槽の中をト
ンネル式に通して殺菌する連続式がある。

 包装容器内に空気が残存していると、熱伝導が悪く、浮き上がっ
て殺菌効率が低下するので脱気包装あるいは真空包装される。一般
的な殺菌条件は、熱の影響を受けやすい漬物などは60〜70℃で
10〜30分、ハム・ソーセージなどは表面殺菌のために90℃付
近で約3分、板コンニャクは80〜90℃で30分、ちくわ・かま
ぼこ、大量の液体と共に包装される山菜水煮などは90〜100℃
で30〜60分となっている。

 しかし、加熱時間が長いと食品の熱劣化を引き起こすし、細菌に
は100℃でも死なない耐熱菌がおり、このような常圧の条件では
完全殺菌は不可能である。そこで必要に応じて100℃を越える加
圧加熱殺菌が行われている。

 湯煎を利用した場合、水の沸騰温度(100℃)以上には加熱で
きないが、蒸気や加圧熱水を利用すると100度を超えて加熱する
ことができる。これがレトルト殺菌である。

 100℃を越える温度で加熱した場合、冷却時に袋内圧が高くな
って破袋するので、加熱時以上に加圧し、圧力調整しながら冷却す
る必要がある。温度、時間、圧力を精密に調整できる装置が必要で、
ボイル殺菌装置とは比較にならないくらいイニシャルコストは高い。
また、充填シール機、高温に耐えるレトルト用袋、変敗に関係する
細菌データ、内容成分の熱劣化データなど多くの準備がそろって初
めて製品化できる。

 レトルト(Retort)とは、もともと蒸留釜という化学用語である
が、現在一般には加圧下で100℃を越えて湿熱殺菌することを意
味する。レトルト殺菌に使用される袋をレトルトパウチ、殺菌され
た食品をレトルト食品(Retortable Pouched Foods)と呼んでいる。

 缶詰の殺菌方法としては古くから利用されていたが、袋による本
格的な商業利用は1968年のボンカレーが第1号である。殺菌温
度は120℃、30〜60分が最も一般的で、105〜115℃の
セミレトルト、130℃以上のハイレトルト(HTST)なども行
われている。

 微生物の殺菌では温度を上げると殺菌時間は飛躍的に短くなる。
例えば芽胞菌を死滅させるのに100℃で400分かかるのに対し、
120℃では4分でよく、内容物の熱による劣化もはるかに少なく
なる。さらに、レトルト殺菌した商品は商業的な無菌状態にできる
ので、常温流通が可能となる。

■レトルト装置

 装置は、バッチ式と連続式に大別でき、バッチ式が多い。バッチ
式も加熱媒体の種類により、加熱蒸気を利用する蒸気式と、加圧過
熱水を利用する熱水式がある。現在の主流は熱水式である。

 包装品がレトルト釜の中で固定されている静置式と、時間短縮と
熱ムラを少なくするために回転させる回転式など、生産性や内容品
に応じた各種のタイプがある。

 熱水シャワー(スプレー)式も普及しはじめ、含気の状態でもレ
トルト殺菌できるのが特徴で、形状保護のため真空包装できない食
品でも処理が可能である。最近ではパウチや容器等多品種に対応で
きるように、熱水式+シャワー式等の兼用タイプも増えつつある。

■レトルト食品の種類と殺菌条件

 熱に弱い食品、つまり、変色する、異臭を発生する、熱分解する、
組織が変化するなど高温加熱により本来の食味が変化する食品はレ
トルトに適さないが、基本的に加熱調理できるものはレトルト処理
も可能である。ただ、原材料および調味料の選択、調理方法の工夫
は必要になることが多い。また、酸性食品、水分活性の低い食品、
アルコール飲料など、レトルト殺菌までしなくともホット充填、ボ
イル殺菌などレトルト以外の方法で十分な食品もある。

 食中毒菌で、大腸菌O-157は75℃、1分間の加熱で死滅し、多
くの病原菌、食中毒菌も耐熱性は低い。しかし、ボツリヌス菌は耐
熱性があり、いったん食中毒になると致死率が高く、治療も困難で
あることから、ボツリヌス菌による中毒を防止することが基本的に
必要となる。このボツリヌス菌は120℃、4分間で死滅すること
がわかっており、一般的なレトルト食品では中心温度120℃、4
分の加熱(F値※=4.0)が最低条件になっている。実際には、
この殺菌条件でも完全に死滅しない菌も数多くあり、商業的無菌状
態にしようとする場合は、安全度をみてF値5〜10で実施される
ことが多い。

■レトルト食品と関連法規

 厚生省告示第17号「容器包装詰加圧加熱殺菌食品」の規格基準で
はPHが5.5を越え、かつ水分活性が0.94を越えるものを加圧加熱殺
菌する場合、中心温度※120℃、4分間、または、これと同等以上
の効力を有する方法により殺菌しなければいけないことになってい
る。

 容器包装の規格では、厚生省告示20号で、

(1)定められた材質試験、溶出試験に適合していること、

(2)成分の油脂が酸化しやすいものについては遮光性があり、気
体透過性のないものであること、

(3)耐圧縮試験で水漏れがないこと、

(4)シール強度は2.3Kg/15mm巾以上であることなどが定められて
いる。

 なお、JAS規格では耐圧試験は50Kg/分、突刺強度は0.60Kg以
上であるこという強度規格もあり、また、レトルト食品の容器包装
は「機密性および遮光性を有するものに限る」と明記されているの
で、アルミ構成が基本となり、アルミ箔のない、半透明ないし透明
の容器や袋は、JASではレトルト食品の定義からは外れる。

※F値について

 レトルト殺菌の時F値という言葉がよく使用されるが、このF値
は一定温度で一定数の細菌を死滅させるのに要する加熱時間を意味
し、ボツリヌス菌は120℃、4分で死滅するのでF値は4となる。
従って、表1の場合、F値4と同等な殺菌条件とは、110℃では
36分必要で、130℃では30秒でよいことになる。

※中心温度について

 殺菌条件で、たとえば120℃、4分の場合、被殺菌物の中心部
分が、一定の温度(120℃)で一定時間(4分間)保持されると
いうことで、加熱開始から終了までの時間ではないことに注意が必
要である。

http://sanko-shoji.jp/PACK/retort.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

--〔後記〕--------------------------------------------------

 体調もずいぶん良くなったと思い、一泊の温泉バス旅行に参加し
たのですが、ずいぶん疲れて帰ってきました。一番ゆっくりした日
程のを選んだのですが、やはりまだ無理があったようです。まだま
だ中国へ行くどころではありません。

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