安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>759号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------759号--2014.05.25------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「ニュースから」「牛肉とホルモン剤」

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ブログ毎日?更新中

http://why0531.sblo.jp/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 まず、こんなニュースから紹介します。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 去年の夏の猛暑などで牛乳の生産が減少し、バターの在庫が減っ
ていることから、農林水産省は、これまでで最大規模となる700
0トンのバターの追加輸入を決めました。

 農林水産省によりますと、去年の猛暑の影響などで国内の牛乳の
生産量が減ったため乳製品の在庫が減っているということです。

 このうちバターの在庫量は、ことし3月末で1万7000トン余
りと、去年の同じ時期より6000トン余り減っています。

 このため農林水産省は、秋から需要が増えるバターが安定して供
給されるよう、国際的な取り決めに基づく輸入量を超えてことし1
1月末までに7000トンのバターを追加輸入することを決めまし
た。

 バターの追加輸入は2年ぶりで、今の制度が導入された平成7年
度以降、最大の規模だということです。

 農林水産省は「バターなどを生産するための牛乳の価格は上昇傾
向なので追加の輸入に踏み切った。今後も需要と価格の動向を注視
したい」と話しています。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140521/k10014619481000.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 バターは牛乳の生産量との関係で、ときどき品不足になりますが、
相変わらず「国家貿易」をやっていて、需要に迷惑をかけています。

 今年は早い目に量も多めに決断したというところです。

 次は消費税増税後の価格動向について。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■食品・日用品の8割で価格上昇 増税後、税抜きでも
2014/5/22 2:00

 スーパーの店頭で食品や日用品の価格が上昇している。日本経済
新聞社が主要80品目の税抜き価格を調べたところ、8割にあたる63
品目で3月より4月の平均価格が高くなっていた。消費増税後は消
費者の購買意欲が冷え込み、小売店の値下げ競争が過熱するとの見
方があったが、「想定より反動減が小さかった」(大手スーパー)
ため各社は特売を抑制。メーカーの値上げも徐々に浸透しているよ
うだ。

http://www.nikkei.com/article/DGXNZO71583720S4A520C1TI0000/?dg=1
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 8%という計算しにくい率になったこともあり、何だか価格にリ
セット感があるのですよね。よい方向に動いていくことを期待して
います。

 最後はイギリスの話ですが、「ハラール」に関連した話です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 英国のピザ・エクスプレスというチェーンレストランが、ハラー
ルと呼ばれるイスラム教の流儀で処理した鶏肉を使用していたこと
がわかり、大きな物議を醸している。

 このハラール肉というのは、イスラム教で厳格に定められた屠畜、
解体などの方法で処理された肉のことであり、最近ではスーパーな
どでもふつうに販売されているが、ピザ・エクスプレスはメニュー
にハラール・チキンを使用していることを明記していないため、イ
スラム教徒以外の人々も知らずにそれを食べていたことが判明して
スキャンダルになったのだ。

 ピザ・エクスプレスの客が何も知らずにハラール・チキンを食べ
ていたというのは、つまりこういうことである。彼らが食べていた
チキンは喉を斬られて血抜きされた鶏のものであったということ。
そしてその鶏には殺された時にイスラム教の祈祷が捧げられていた
ということ。

 これが英国民の間でヒステリックなまでのリアクションを生み出
しており、何が大騒ぎの原因かというと、それは3つに分類できる。

 まず1つ目は宗教的な理由。これはまあ理解できる。イスラム教
以外の一神教の宗教の信者が、他の宗教の教義に従って処理された
ものを口に入れることは気が引けるということはあるだろう。が、
感触として、こういう理由で本気で怒っている信仰深い英国人は今
どきまずいない。

 そして、2つ目。大きくクローズアップされているのが、動物愛
護の見地からの非難である。つまり、ふつうに殺されている鶏より
も、ハラール処理で殺されている鶏のほうが、残酷な方法で殺され
ているというのである。しかし、ガーディアン紙によれば、ハラー
ル・チキンとふつうのチキンの屠畜法にはほとんど差はないのだと
いう。というのも、イスラムの教えでは鶏は生きた状態で喉を切断
されなければならないので「野蛮」と言われるが、英国ではハラー
ル肉になる家畜の88%が殺される前に麻痺状態にされているという。

 一方、一般的なチキンの方は、鶏を逆さに吊り下げてベルトコン
ベアで順番に電気ショックを与え、気絶させてから首を斬るか、ま
たは巨大なガス室で殺しているという。そうなってくると、一般的
な屠畜法の方が「優しい殺し方」とは言えない。

 動物を愛する人々にとっては「殺される時に意識があったかどう
か」が重要ポイントになるだろうが、その点を消費者にきちんと知
らせろというのであれば、レストランのメニューや食肉店に「こち
らの肉になった動物は無意識のうちに殺されました」というレーベ
リングが必要なのであって、ハラール肉を表示しろという問題とは
また別物になってくる。

 そして3つ目。これが一番根深い。それは宗教や動物愛護とは何
ら関係のない国民的パニックである。つまり、「知らないうちにム
スリムがこんなところにまで・・・」という心情的な怖れである。
右傾化が著しい英国にはいくつかの極右政党が存在するが、その一
つである英国国民党は、ハラールは「石打ちや首斬りを行う恐ろし
い野蛮な文化の慣習」であり、「我々の伝統や慣習を蝕む」と表現
している。

 ムスリムは現在英国の全人口の5%弱であり、英国で消費されてい
る食肉の12%から15%がハラール肉だという。が、これがバーミンガ
ムのようなムスリム人口の高い地域に行けば男児につけられる最も
ポピュラーな名前のリストに「ムハマド」が入っているし、同地域
では2050年までにはムスリム人口が英国人の数を抜くと言われてい
る。徐々に国内で拡大して行くムスリムの存在感が「国を乗っ取ら
れるかも」という不安に繋がっているのは間違いない。

 イスラモフォビア。という言葉もある通り、ムスリムに対する嫌
悪感を持つ英国人は少なくない。ガーディアン紙は、「ムスリム」
が「生活保護受給者」と同じように英国人の最も醜いヘイト感情の
対象になっているのではないかと指摘する。

http://bylines.news.yahoo.co.jp/bradymikako/20140523-00035595/
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 実はかなり深刻な話なんだと思います。ナイジェリアの女子生徒
誘拐拉致事件などを聞くと、「イスラモフォビア」も理解できなく
ないですし。

 それに比べると、こんなことを言っている日本は平和なものです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

ハラルフードについて(北海道大学生協)

 ハラルフードとは、イスラムの教えに則った食品のことを指し、
その規則はイスラム教の聖典であるコーランに基づいています。ム
スリムは適切な方法で畜殺されていない家畜や、豚肉およびそれに
由来する食品を食べることを禁じられています。イスラム教徒の学
生数はますます増加しており、それゆえ生協のカフェテリアは、イ
スラム教徒のために、イスラムの教えに基づいて調理された健康的
でおいしい食事を提供することを目指しています。北大のカフェテ
リアの中には、イスラム教徒の学生のためにバラエティ豊かなおい
しい食事やサラダを提供しているところもあります。

 生協のカフェテリアが提供する食事はおいしく、イスラム教徒は
肉やサラダなども含めて、さまざまなメニューから選ぶことができ
ます。生協のカフェテリアのおかげで、イスラム教徒の学生は、自
炊で貴重な研究時間を無駄にすることなく、カフェテリアでハラル
を守った高品質かつ安価な料理を食べることができます。

http://www.univcoop.or.jp/activity/foreign/vol06.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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今回は休みます。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「牛肉とホルモン剤」
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 こんなメールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 私の住んでいるところでは今日発売のアエラにこんな記事があり
ました。

http://dot.asahi.com/aera/2014051900020.html

 このテーマのホルモン剤肉は渡辺さんも過去において取り上げら
れていますが、実際のところどうなんでしょう?その後渡辺さんの
考えも変わりましたか?

 私は知識不足で検証できないのですが、読んでて毎度おなじみの
「農水省、農協の御用学者」のSさんが出てきて「またいつもの輸
入農産物危険キャンペーン」かと思ってしまったのは私の偏見でし
ょうか?

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ご紹介の記事はこんな内容です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 輸入食肉の安全性に、疑問を投げかける医師がいる。

「米国やオーストラリアの肉牛には、日本で無認可のホルモン剤が
投与されています。発がん性との関係が疑われています」

 北海道大学附属病院などで長くがん診療に当たってきた、公益財
団法人北海道対がん協会細胞診センター所長の藤田博正医師らは、
2007〜12年、半田康医師とともに、食肉中のホルモンに関する研究
を行った。09年に日本癌治療学会で「牛肉中のエストロゲン濃度と
ホルモン依存性癌発生増加の関連」を発表。その中で、半田医師は、
市販されている米国産牛と和牛のエストロゲン濃度を測定して、比
較した。

 牛肉は15カ所のスーパーやデパートで、同一の個体にならないよ
う時期をずらして複数購入して検体とした。調べた数は、和牛も米
国産牛も、脂身が各40検体、赤身が各30検体。エストロゲン(エス
トラジオール)濃度の平均値は、米国産牛肉は和牛と比べ、脂身で
140倍、赤身部分で600倍だった。

「米国産牛肉中のエストロゲン濃度は和牛よりはるかに高く、肥育
時に成長促進剤として使用されたホルモン剤の残留があると考えら
れました」(半田医師)

 藤田医師は、日本の「ホルモン依存性がん」の突出した増加を指
摘する。ホルモン依存性がんとは、乳がんや子宮体がん、大腸がん、
前立腺がんなどだ。日本とは異なり、肥育中にホルモン剤を投与さ
れた食肉の輸入を禁止しているEUでは、意外な変化があった。

「WHOのデータによると、1989年の輸入禁止後、EU諸国の乳がん死
亡率が大きく下がりました」

 乳がんの死亡率は、89〜06年に、アイスランドで44.5%、イング
ランドとウェールズで34.9%、ルクセンブルクで34.1%減少した。

「一時はマンモグラフィーによる予防検診の成果とも言われました
が、検診や医療制度は国によって10年ほどの開きがあります。この
ため、マンモグラフィーの普及を主な要因とは考えづらいとの考察
が、(医学専門誌の)ブリティッシュメディカルジャーナルに発表
されています。この死亡率の低下が、食肉の輸入禁止措置と無関係
とは、考えられない」(藤田医師)

 発がんの原因の特定は難しいと認めつつも、藤田医師、半田医師
の見解は、

「食肉中に残留しているエストロゲンの摂取と発がん性には何らか
の関連がある」

http://dot.asahi.com/aera/2014051900020.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 乳がんの死亡率で探すと、データはすぐに見つかりました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

乳がん 死亡者数の推移と国際比較
http://rou5.biz/CausesOfDeath/breast_cancer.html

■乳がん 標準化死亡率の推移と国際比較

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ここに日本と欧米諸国の乳がん死亡率のグラフがあります。一目
瞭然ですが、特徴は以下のとおりです。

(1)イギリスが特に高かった時期もありますが、全体に1990
年頃をピークにして、それ以降は減少傾向にある。

(2)日本だけは桁違いに死亡率が低かったが、徐々に上昇してき
て、欧米諸国に近づいている。

 はっきりしているのはこれくらいで、私には乳がんの治療方法が
進歩したことと、「グローバル化」によって同程度に収束している
ように見えます。

 ところで、「牛肉のホルモン」との関係では、はっきりと「ダウ
ト」です。

 何しろ、このグラフの中に肝心の「United States」があり、ヨ
ーロッパ諸国と同じく、大きく乳がんの死亡率を下げているのです。

 これは「牛肉のホルモン」と「乳がんの死亡率」に関係があると
いう説の、最も有力な反証です。

 これだけで藤田医師が単なる嘘つきであるのは明白です。

 とこんな話をしていたら、追加の疑問が出てきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 ところでもう一つ質問ですが、このホルモン剤とやらをどうして
日本では使用禁止なのでしょうか?

 何かの利権がらみですか、かつて「消費者団体」らが反対運動を
した?

 これでは「危険だから国内で禁止なのにアメリカの圧力で輸入は
許可」という反米家、外国農産物排除主義者の「論理」が一般に受
け入れられると思います。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 使用禁止というより、許可(登録?)されていないということで
しょう。

 この手の「許可」は申請を受け付けてから始まりますので、

安全でない→許可されない

は成立しても、

許可されない→安全でない

は成立しません。使う需要がなければ申請されないからです。

 ホルモン剤についての日本での具体的な扱いについて、食品安全
委員会から資料が出ています。長文ですが紹介しておきます。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

1 ホルモン剤とは

 ホルモンは本来生体内物質であり、特定の生理作用を有していま
す。畜産領域では、その生理作用を利用して繁殖のための発情周期
の同調、病気(例えば繁殖障害)の治療などを目的として使用されて
いますが、特定のホルモンが有するたん白質同化促進や成長促進作
用を利用して、牛の肥育の際の成長促進を目的として使用されるも
のもあります。

 後者の「肥育ホルモン剤」(「成長促進剤」とも呼ばれます。)
は、これを使用することにより肉用牛の肥育速度や飼料効率を改善
する経済効果があると考えられており、米国、カナダ、オーストラ
リア、ニュージーランド等、主要な牛肉輸出国で広く利用されてい
ます。

 肥育ホルモン剤には、ヒトや動物の体内に自然に存在するホルモ
ンを製剤とした天然型と、化学的に合成される合成型があります。

 現在、牛に使用されていることが世界的に知られている天然型の
ホルモン剤としては、17β−エストラジオール(estradiol 17β)、
プロゲステロン(progesterone)、テストステロン(testosterone)
があり、合成型のホルモン剤としては、酢酸トレンボロン(trenbolone
acetate)、酢酸メレンゲステロール(melengestrol acetate)、
ゼラノール(zeranol)があります。

2 国際機関及び我が国でのリスク評価等

 動物用医薬品等の残留の安全性を科学的に審議する国際機関であ
る FAO/WHO 合同食品添加物専門家会議(JECFA)において、天然型
の 17β−エストラジオール、プロゲステロン、テストステロン、
合成型のゼラノール、酢酸メレンゲステロール、酢酸トレンボロン
については、一生涯にわたって摂取し続けても健康への悪影響がな
いと推定される一日当たりの摂取量である一日摂取許容量(ADI)
が設定されています。

 また、食品の国際規格を設定する FAO/WHO 合同食品規格委員会
(CODEX)において、天然型のホルモン剤については肥育ホルモン
剤として適正に使用される場合の残留は、ヒトの健康に対して危害
となる可能性はないとして、残留基準値そのものが必要ないとされ
ています。

 一方、合成型のホルモン剤については、ゼラノール、酢酸トレン
ボロンの残留基準値が設定されています。また、酢酸メレンゲステ
ロールの残留基準値案が提案され審議されており、総会で規格案が
検討され CODEX 規格として採択される Step 8 の一つ手前の Step
7の段階にあります。

 我が国においても、天然型については残留基準値は設定されてい
ませんが、合成型のゼラノール、酢酸トレンボロンについては厚生
労働省の薬事食品衛生審議会で 1996年(平成8年)にADI 及び残留
基準値が設定されています。酢酸メレンゲステロールについては、
食品衛生法第11条第3項に基づく農薬等のポジティブリスト制度
において、制度導入時に新たに残留基準値が設定されており、今後、
ADI設定等について評価、検討がなされる予定となっています。

2 国際機関及び我が国でのリスク評価等

 動物用医薬品等の残留の安全性を科学的に審議する国際機関であ
るFAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)において、天然型の
17β−エストラジオール、プロゲステロン、テストステロン、合成
型のゼラノール、酢酸メレンゲステロール、酢酸トレンボロンにつ
いては、一生涯にわたって摂取し続けても健康への悪影響がないと
推定される一日当たりの摂取量である一日摂取許容量(ADI)が設
定されています。

 また、食品の国際規格を設定するFAO/WHO合同食品規格委員会(C
ODEX)において、天然型のホルモン剤については肥育ホルモン剤と
して適正に使用される場合の残留は、ヒトの健康に対して危害とな
る可能性はないとして、残留基準値そのものが必要ないとされてい
ます。

 一方、合成型のホルモン剤については、ゼラノール、酢酸トレン
ボロンの残留基準値が設定されています。また、酢酸メレンゲステ
ロールの残留基準値案が提案され審議されており、総会で規格案が
検討されCODEX規格として採択されるStep8の一つ手前のStep7の段
階にあります。

 我が国においても、天然型については残留基準値は設定されてい
ませんが、合成型のゼラノール、酢酸トレンボロンについては厚生
労働省の薬事食品衛生審議会で1996年(平成8年)にADI及び残留基
準値が設定されています。酢酸メレンゲステロールについては、食
品衛生法第11条第3項に基づく農薬等のポジティブリスト制度に
おいて、制度導入時に新たに残留基準値が設定されており、今後、
ADI設定等について評価、検討がなされる予定となっています。

3 諸外国及び我が国における状況等

(1)諸外国等の状況

1.米国、カナダ、オーストラリアの状況

米国、カナダ、オーストラリアでは成長促進、繁殖治療目的のいず
れについても一定の処方に基づく天然型及び合成型のホルモン剤の
使用が認められています。このようなホルモン剤の使用に伴う畜産
物の安全性を確保するため、合成型のホルモン剤については残留基
準値が設定されているものがあり、また、天然型ホルモン剤につい
ては天然に存在する量から一定量の増加の範囲内となるよう使用基
準(適正使用規範)が設けられています。

2.欧州の状況

 1988年、欧州共同体(EC)は、成長促進を目的としてホルモン作
用を有する物質を牛に使用することをEC指令により禁止し、併せて、
1989年、これらを使用した牛肉及び牛肉製品の輸入も禁止しました。

 この措置は、米国及びカナダとの間で長期間にわたる貿易紛争と
なっています。その過程で、欧州連合(EU)の獣医公衆衛生に関す
る科学委員会(SCVPH)は1999年、2000年及び2002年にリスク評価
を実施し、2003年、EUはホルモン物質の使用及び輸入禁止に関する
指令を改正し、17β−エストラジオールを永続的に使用禁止とし、
その他のホルモン物質について、さらなる科学的情報が提供される
まで暫定的に使用禁止としています。

3.米国、カナダと欧州の肥育ホルモン剤を巡る紛争

 1989年のECによる肥育ホルモン剤を使用した牛肉等の輸入禁止を
受けて、米国、カナダは、この輸入禁止はEC産牛肉の保護にあたる
として関税と貿易に関する一般協定(GATT)に提訴し、ECからの輸入
品に対し報復措置を発動しました。その後、世界貿易機関(WTO)の
パネル及び上級委員会においてEC敗訴の結論となり、1998年、WTO
の紛争解決機関はECに対して、輸入禁止措置を正当化し得るリスク
評価を実施するか、輸入禁止措置を解除するかのいずれか履行する
よう勧告しました。

 ECはこの勧告を期限までに履行することができず、1999年、WTO
の紛争解決機関は米国、カナダによる対抗措置を認めました。2004
年、EUはリスク評価を実施し、関連のEU指令の改正を行い、WTOの
勧告を履行したと報告し、対抗措置の解除を求めました。しかし、
米国、カナダは、改正された EU指令は、科学的なものではなく、
WTOの勧告を満たしたものではないとし、対抗措置を継続すること
としたため、逆にEUは、米国、カナダの対抗措置をWTOに提訴しま
した。2005年、EUの要請によりパネルが設置され、現在も議論は継
続されています。

(2)我が国の状況

1.肥育ホルモン剤の承認及び使用について

 我が国においては、1960年代から去勢牛の肥育促進等を効能・効
果とする天然型のホルモン剤が動物用医薬品として承認され使用さ
れていましたが、1998年には製造・輸入が中止され、1999年には動
物用医薬品業者が自主的に承認の取り下げを行っています。

 現在、我が国で承認されているホルモン剤は、家畜の繁殖障害の
治療や、人工授精時期の調節などの目的に使用されるもののみで、
注射剤等として投与されています。

2. 輸入される食肉について

 厚生労働省は、食品衛生法に基づき、毎年、輸入食品監視指導計
画を策定し、食肉等の輸入時に検疫所において合成型ホルモン剤な
どの残留物質のモニタリング検査を実施し、検査結果を公表してい
ます。

 違反が認められた場合には、食品衛生法により輸入、販売等が停
止されるとともに、輸出国政府等に対して違反原因の究明及びその
結果に基づく再発防止対策の確立を要請しています。なお、これま
でのモニタリング検査において、輸入牛肉に我が国の残留基準値を
超える合成型ホルモン剤が検出されたことはありません。

http://www.fsc.go.jp/sonota/factsheet-cowhormone.pdf
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 この文書からわかることは以下のとおりです。

(1)日本ではホルモン剤の使用実績はほとんどない。

(2)天然型ホルモン剤については使用国では使用基準が定められ
ているが、CODEXでは残留基準値設定の必要はないとされている。

(3)合成型ホルモン剤では残留基準値がCODEX検討されている。日
本でもポジティブリスト制度において基準値がある。

(4)前項の基準値を越えた合成型ホルモン剤が検出されたことは
ない。

(5)アメリカとEUの貿易戦争のネタとしてホルモン剤がとりあ
げられたが、ずっとEUが不利な状況が続いている。


 こう読んでくると「藤田医師」の嘘つきぶりはなかなかすごいで
すね。

 さて、牛肉のホルモン剤について、最後にこんな文章を紹介して
おきます。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■アメリカの肉牛生産者協会の人達とひとときの情報交換。やっぱ
り黒毛和牛のA5なんて、アメリカ人は好きじゃないのであった!
「WAGYUを輸出してガンガン売る」ことができる国は限られている
よ。そしてわかった牛肉大国アメリカの実情。

 ということで本日は、全米の肉牛肥育生産者協会(→かってに訳
したので正式な日本側名称はわかりませんが、、、)のCEOと会食
をしながらの情報交換。向こうでは、アイゼンハワー基金とかいう
のがあって、有望な研究テーマであれば好きな国に6週間滞在して、
コーディネーターをつけて研究に廻ることができる費用を助成する
制度があるのだそうだ。そんで今回、そのポリーさんというCEOが
その基金で日本にやってきた。

(略)

 実はこちらからも色んな質問を用意していったんだけれども、と
ても興味深い話を聴くことができた。まず彼女らは、肉牛業界にい
るからかもしれないけれども、A4以上のサシの入った肉に対して露
骨にいやそうに顔をしかめる。このミーティングの前に百貨店やス
ーパーを廻ったそうだが、A5クラスの肉が並んだショーケースを嫌
そうに見ていたそうである(笑)

「不自然だ」

ということらしい。いろんなメディアで「日本の黒毛和牛は海外で
もてはやされている、NYなどでも」というようなことを謳われてい
るので、本当にそうなのかと思ってしまうが、聴いてみると通常の
アメリカ人にとってFat(脂肪)がはいりすぎた黒毛和牛の肉は気
持ち悪い!となるので、マーケットとしてはありえないという話だ
った。

(略)

 ちなみにこちらの質問は4つ用意していったのだけど、ひとつは
成長ホルモン剤のこと。アメリカの肉牛には、成長ホルモン剤を餌
に混ぜて食べさせる。それによって、日本では黒毛和牛の去勢で25
ヶ月齢程度まで育てるが、アメリカでは20ヶ月程度で出荷できるよ
うになる。そのホルモン剤があまりよろしくないんじゃないか?と
いう指摘がもちろんあって、むこうのアッパークラスはホルモン剤
フリーのオーガニックビーフなどを買っているという話もある。

 で、質問事項の紙(日本語で書いて通訳の先生に渡した)をみて、
そのホルモン剤の名前を書いたところをちらっと見ただけでポリー
さんは笑いだし、「ああ、もう質問の内容わかったわ」と。

「ほとんどの肉牛がホルモン剤投与されています。ただわかって欲
しいのは、肉質を安定的にはやく育てるためにやっているだけで、
それ以外の変な要素はありません」

 という返事。いやでもまあ、その早く育てるためってのが問題だ
と思うんだけどね。まあ、そういう肉がUSビーフなので、日本の消
費者にはあまり受け入れられないんじゃないかなぁ、という気もす
る。

http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/archives/2013/04/a5wagyu.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 なかなかお互いの国の事情は伝わらないものだな、という印象を
持ちます。

 アメリカがやりすぎということも言えるのですが、それをネタに
禁輸に持ち込んだEUのやり方の方が汚いです。

 その尻馬に乗る日本の嘘つき氏には、何故かマスコミや出版業界
の応援があります。

 このあたりの話が先日の「美味しんぼ」騒動と関連してくるので
すが、あまり書きたくない話題です。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 ステロイド剤治療中なので、感染症に対する抵抗力が下がってい
ると言われています。先日、少し咳が出ていたので、妻が孫くると
きのためにと買ってあった「空気清浄機」をベッドのある部屋に持
ち込みました。こういうものはあまり信用していなかったのですが、
なかなかすごい効果で、数日で咳もとまり、何だか元気になってき
ました。

 何事も試してみないとダメですね。

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