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--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
--------------------------------------75号--2001.04.15------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「大腸菌O−157」「Q&A」「桃」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 そろそろ食中毒のシーズンです。今年はまた、大腸菌O−157
の食中毒事件が起こっています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 千葉県北西部を中心に病原性大腸菌O−157の感染者が大量発
生し、同県は2日、スーパ「ヨエクマート青葉台店」(同県柏市)で
加工販売された肉製品「牛タタキスライス(生食用)」から患者と同
じ遺伝子の菌を検出したと発表した。この製品が感染源と見られる。

 千葉県では牛タタキスライスが原因と見られるO−157の患者
が2日までに41人見つかった。2〜59歳の男女で下痢などの症状
を訴えて13人が入院中。うち3人の症状が重い。埼玉県では感染者
5人から検出された菌の遺伝子の型が千葉県の感染者の菌の型と一
致した。
                   朝日新聞 4/3(火)
http://www.e-hiroba.com/ より
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ハム工場で作った牛タタキスライスですが、ハム類とは加工度が
違うので、衛生管理はなかなか難しかったようです。

 ハム類などの畜肉加工品では、製造の最後の段階で、加熱工程が
あります。このとき、温度と時間を管理するのですが、最終的には
製品内部の品温が問題になります。

 私の知っている無添加ハムの工場では、加熱終了時に、針のよう
な温度計をハムに差し込んで、内部の温度が殺菌温度に達している
かどうかを検査していました。

 このため、ハム類から大腸菌が検出されることはまずないのです。
ところが、生肉の場合、こうした殺菌ができませんので、どうして
も衛生管理のレベルは低くなります。

 タタキ加工というのは、肉のブロックの表面をあぶって、それか
らスライスするわけです。肉のブロックの内部は無菌状態と考えら
れますので、表面をあぶることで、殺菌して、生で食べられる状態
にします。

 ところが、スライスしたとたん、今まで無菌だった肉の内部も、
菌に汚染されることになります。この後は冷蔵状態で、低温管理だ
けがたよりですが、低温で菌の繁殖を抑えても、O−157のよう
に、少ない菌数で発症する菌に汚染された場合、意味はありません。

 原料はアメリカ産の牛肉だったそうです。輸入肉が汚染されてい
た可能性もありますが、従業員からも菌が分離されているそうです
ので、二次汚染の可能性もあると思います。

 牛肉のタタキというのは、牛ブロック肉を買ってきて、自分で火
にかけて作るのが安全です。ブロック肉は比較的安いですし、保存
性もスライスに比べるとずいぶん良いのです。

 肉類はブロック内部はほぼ無菌、表面にはたくさんの菌がいるの
が普通です。そういうことから、ミンチ肉は内部まで菌が入り込ん
でいる可能性が高いので、要注意です。O−157の食中毒で、ハ
ンバーグ類が原因になることが多いのは、そういう理由によると思
います。

 ミンチ肉の加熱不足は非常に危険です。ご注意ください。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.ハワイで出会った日系人の方から質問されたのですが、彼女た
ちが小さい頃、お葬式があると精進料理が出て、その中に”くろめ”
(漢字が私には分かりません。)の煮た物があったそうです。
 その”くろめ”は、ひじきと同じようなものだった。と言ってい
ましたが、皆は、”ひじき”と呼ばず、”くろめ”と呼んでいたそ
うです。もともとは、広島出身だそうです。また、山口出身の友達
に聞いてみたら、やっぱり”くろめ”の事を知っていて、彼女いわ
く、2つは似ているけれども”大きさ”が違うので、同じ海草の違
う場所では??...と、いうことでした。
 私は、東京出身ですが、”くろめ”事体を知りません。どんなも
のなのか、どうか教えてください。

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A.「くろめ」というのは、私も初耳です。「あらめ」という海藻
があるのですが、どうもそれのような気がします。

 あらめは、ひじきよりやや太い、真っ黒な色をした海藻です。ひ
じきとほぼ同じところでとれます。というより、同じところでとっ
て、まずあらめを鍋で煮ます。そうすると、煮汁が真っ黒になりま
すので、その煮汁でこんどはひじきを煮るのです。

 つまり、ひじきといえば、黒い色をしていますが、あれはひじき
の色ではなく、あらめの色をつけているんですね。

 味はひじきの方が美味しいので、あらめはひじきより安く売られ
ています。真っ黒なので、「くろめ」という呼び方はなんだかぴっ
たりだと思います。

 東京でも、「あらめ」といえば手に入ると思いますので、確かめ
てみてください。私の推測ですので、当たっているかどうかは、わ
かりません。

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Q.(家庭で作った堆肥を農家で使ってほしいという申し出に対し
て)「私は農家とも相談したうえ、断固それは断ってきました。何
よりも、安全性を保証できないからです。(有効性も)」(前回の
メールマガジンの記事より)

 有効性については、塩分など、いろいろ問題あると思っています。
さて、安全性ですが、具体的にどのようなリスク(感染症など?)
があるのかご紹介いただけると嬉しいです。

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A.あくまで私の個人的な意見なので、参考程度に聞いてください。
やっぱり、感染症、毒物の循環だと思います。

 寄生虫が人糞肥料によって蔓延していたのは、そんなに古いこと
ではありません。リサイクルにはこのような危険がつきまとうもの
です。

 土壌で病原菌が生き延びることはまずないと思いますが、最近話
題の狂牛病の病原体などは、土壌に排出されてからも、非常に長期
に存在しているようです。

 今では、エサからの感染は止まっていると思いますが、牧場の土
壌が汚染されているところでは、こうした水平感染が実際に起こっ
ているという話もあります。

 こういうことは他にも可能性のあることですので、食べ物の生産
に関しては、リサイクルというのはあまり良いことではないと考え
ています。

 やっぱり、俗に「どんなものが入っているかも知れない」という
感覚でものを言っているのかもしれませんが、エネルギー的にも、
堆肥を運ぶということはあまり得策とは思えないのです。

 専門家のかたに言うのもなんですが、リサイクルというのは、

(1)安全性の確保

(2)トータルでの投入エネルギーがはっきりと少なくなること

の2点を無視してはいけないものだと思います。

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Q.炭酸カルシウムとか、リン酸塩とかが即席麺の調味料に入って
いるのが、どうもよくわからないのですが、これらはなんなのでし
ょう?できればとらないほうがいいんですよね?

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A.炭酸カルシウムというのは、要するに石灰です。貝殻とか、卵
殻とかの主成分でもあります。

 食品添加物としての用途は「強化剤」「製造用剤」です。カルシ
ウム強化のために入れているのではないでしょうから、「製造用剤」
でしょうね。調味料がサラサラの状態でいるために、必要なのでは
ないかと思います。

 リン酸塩にはいろんなものがあります。コーラなどの酸味はリン
酸塩が主役です。

 調味料に使っているのでしたら、たぶん酸味料でしょう。ラーメ
ンのスープというのは、結構酸味もあります。

 どちらも、毒性としては別に問題はないです。リンについては、
カルシウムとの対比で、取り過ぎは良くない、とされていますが、
調味料に含まれるくらいの量では、別に影響はないと思います。

 問題はインスタントラーメン自体の栄養評価でしょうね。何とな
く、「食品添加物のかたまり」のように思われているインスタント
ラーメンですが、私はそれよりも、栄養的に問題のある食品だと思
っています。

 いろんなものをバランスよく食べるのが、良いと思うのです。と
ころが、インスタントラーメンは、麺とスープだけ、というシンプ
ルさなのに、それだけ食べても結構食べられる、ということが問題
です。今時、白い御飯だけをかき込む人はいないと思いますが、イ
ンスタントラーメンでは、そういうことが実際におこってしまいま
す。

 インスタントラーメン業界に言わせれば、それはインスタントラ
ーメン自身のせいではなく、そういう食べ方をする人の責任だとい
うことになるのでしょうが、それだけ食べても美味しいと感じる人
も多いですよね。(特に子供は好きです)

 ということで、ご質問の炭酸カルシウム、リン酸塩については、
別に心配ありませんが、いずれにせよ、食べ過ぎというか、食生活
の偏りにはご用心、と私は思います。

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「桃」
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 先週、桃の花見をしてきました。私の住んでいるあたりは、海の
近くの山ではみかんが多く、だんだんと川筋を上っていくと、柿に
かわっていきます。

 その間の、川沿いの低地で、桃の栽培もさかんです。紀ノ川の氾
濫原だったあたりは、とくに名産地になっています。

 その桃畑の中に、親戚の家があるのです。それで今日は桃の話を。

 桃は開花から収穫までの期間の短い果物です。私の近所では、だ
いたい4月初めに花が咲きます。収穫は6月末から8月初めにかけ
てですから、3〜4ヵ月であんなに大きな実になるわけです。

 桃の木は桜などと近い種類ですので、結構大きくなると思うので
すが、栽培されている木は、高さを抑えて、横に枝をはるように育
てています。老木になると、枝に支えをしている木がほとんどです。

 これは作業のためもあります。桃の世話としては、「剪定」「摘
蕾」「摘花」「受粉」「摘果」「袋かけ」などがあり、肥料や農薬
以外にも、たいへん手がかかるようです。

 花見に行くと、畑で花を摘んでいる光景を見かけます。ちょっと
もったいないですが、受粉する前に花を減らしておく必要があるの
です。

 桃は受粉が難しいそうで、農家では、筆でいちいち受粉させてい
ました。畑には受粉用に、品種の違う木を植えてあります。また、
蜜蜂なんかも利用されているようですが、やっぱり人手でやること
が多いのです。

 実がなってくると、受粉の状態がわかります。だいたい、1枝に
1個の実をならせますので、一番良い状態のものを残して、あとは
摘んでしまいます。そして、袋をかけるのです。

 袋は外見を良くするためでもありますが、鳥や虫の害を防ぐため
でもあります。産直をしていたとき、袋かけをやめようという話を
しましたが、かける労力と、防げる被害をはかると、どちらともい
えず、結局結論は出なかったと思います。

 何しろ美味しそうな果物ですので、ヒヨドリなどの鳥やコガネム
シなんかの虫がよく来て、食べてしまいます。特に鳥は農薬も効か
ないので、なかなかの大敵です。

 そこで一番高価な桃を産する畑では、収穫前になると、畑全体を
ネットで被っているところがあります。手間や費用は大変でしょう
が、それに見合う収穫があるということなのでしょう。

 6月には早生の収穫がはじまります。早生は量も少ないし、まだ
あまり甘くないので、市場での評価はイマイチでした。それから、
中生、晩生とだんだんと品種が変っていきます。

 収穫された桃は函に入れられ、農協、または共同選果場へ集めら
れます。農協は扱い量は多いのですが、ブランド物は共同選果場の
ほうです。「○○の桃」という名前が市場に通っているところでは、
かなりの高級品を出荷していきます。

 傷みやすい果物ですので、選果も大変な作業です。農家の女性が
当番で作業に出ることが多いようです。農家では女性の方がよく働
く、という印象はいつもありました。

 痛みを防ぐために、最近は包装資材も良くなっています。ダンボ
ールの函に、トレーを敷くのですが、そのトレーも、桃のサイズに
合わせて、入る個数の違うものがたくさんあります。そこに桃を載
せて、発泡ウレタンの緩衝材で保護します。1個ずつに網のような
キャップを付ける場合もあります。

 また、桃は樹上で熟したものを収穫しますので、貯蔵しておくと
いうことはありません。収穫、選果、箱詰め、発送まで、1日でこ
なしてしまうのが基本ですので、この時期の農家は大変な忙しさに
なります。

 晩生の桃が一番高価なものですが、全部を晩生にできないのには、
こういう事情もあるようです。

 産直では、価格と時期(夏休みになってしまう)の関係で、早生
を扱っていましたが、味にバラツキがある、という欠点がありまし
た。外観だけでは糖度までわからない、ということなのですが、最
近では、赤外線で糖度を測る機械も実用化されているそうです。

 桃はそれほど糖度が高い果物ではないのですが、酸味はあまりな
いので、割と甘く感じます。それで糖度が低いと、ほとんど味がし
ない、という感じになるのです。

 農薬はできるだけ減らしてもらいましたが、無農薬というわけに
はいかなかったです。あのころは「無農薬」というのが目標でした
が、今から考えると、使用する農薬の種類と量を限定する、「有機」
栽培を目指すのだった、と思います。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 食中毒については、以下のサイトをごらんください。
http://www1.odn.ne.jp/~cak40870/

 特に、食中毒予防のポイントという記事がありますので、ぜひ参
考にしてください。

 久し振りに桃畑にいって、昔を思い出しました。最初の年は、毎
朝畑に行って、収穫したばかりの桃をトラックに積んで走ったもの
です。保存できるものではないので、さばくのに苦労したのも、今
となっては思い出です。

 農作物の産直をして、最大の問題はこの「余る」ということです。
そんなに大きくない畑でも、収穫時には集中的に出荷されるので、
なかなか消費が追いつかない、ということがあります。

 反対に、「足らない」ということも当然あります。「産直」をし
ているはずの団体が、足らない野菜を近在の農家から買い集めてい
る、などという笑えない風景もよく見たものです。

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--発行--渡辺--宏------- URL http://www.kenji.ne.jp/food/
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