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--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
--------------------------------------73号--2001.04.01------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「有機JASマーク」「遺伝子組み換え原料の表示」(Q&A)
「たんぱく加水分解物」(Q&A)
「鶏肉」(つづき)

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 4月1日より、「有機JASマーク」制度がスタートします。今
までの「有機農産物」の表示基準を一歩すすめたもののようですが、
その内容について。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

平成13年4月1日以後に生産、製造又は加工される農産物又はこ
れを原材料とする加工食品については、有機JASマークが付され
ていない場合には、有機農産物又は有機農産物加工食品である旨の
表示若しくはこれと紛らわしい表示を付することはできなくなりま
す。以降に出荷又は販売されるものに有機表示を行う場合はこの規
制に対象になります。

 有機農産物又は有機農産物加工食品である旨の表示若しくはこれ
と紛らわしい表示が付してある輸入農産物又は輸入加工食品農産物
を原材料とするものについては平成13年4月1日以後、有機JA
Sマークが付されているものでなければ、輸入業者が販売し、販売
の委託をし、又は販売のために陳列することはできなくなります。

(農林水産省のホームページより)
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 今までの「有機農産物」基準は、言ってみれば努力目標のような
もので、ほとんど実態のないのもだったのですが、こんどの制度は
民間の認証機関による認証制度を取り入れた、本格的なものになり
ます。

 このような認証を行政が独占してきたのが、日本の特徴というか、
伝統だったのですが、ようやく国際的に見れば普通の、民間認証団
体が公認されたことになります。

 本当は民間の認証団体の活動が先にあり、その結果を国家が国際
的には保証する、というスタイルが普通なのですが、日本は後進国
なので、お上が法律でそのような基準を決める、というやり方にな
っています。これも仕方ないのかもしれません。

 「民間の認証機関」といっても、実は県などの地方団体がやって
いるところも多いようです。この辺、何でも取り込んで仕事を作っ
てしまう、役人のやり方だと、私は批判的に見ています。

 そもそも、「有機」認証を何のためにやるのか、というところが
問題なのです。

 「有機」認証は、農作物の販売手段です。他の農産物との間に、
差異を設定し、市場での取引を有利に行うための手段ですので、そ
のような営業活動に、行政が手を出す必要は全くないのです。

 行政が有機認証団体になることによって、次のような展開を私は
予想しています。

(1)行政は認証にかかる費用を低く設定するので、民間の認証団
体が順調に育たなくなる。

(2)有機認証をとるために、苦労した農家が、販売不振に陥り、
または一般農作物よりも付加価値をつけて売ることに失敗し、その
責任(ないしは補償)を行政に求める。

(3)結局、行政が補助金をつけて、有機農産物で儲けそこなった
農家に損失補てんをする。

 まあ、だいたいこんなところになるのではないか、と私は思って
います。制度ができたばかりで、こんなことを言うのもなんですが、
普通の農家はこんなことに手を出しても、まず良い目にあえないの
で、無視したほうがよい、と思います。(余計なお世話ですが)

 それでは、あるべきシナリオはどういうことか、というと、

(1)農家が自主的に団体を作って、販路を開拓する。販路として
は、「通販」「共同購入」「小売り業者との提携」などが考えられ
ます。

(2)その際の差別化政策として、そういう団体がさらに集まって、
有機認証団体を作り、その認証を宣伝の武器にする。

(3)行政はその認証団体の認証内容をチェックし、国際的にその
認証の有効性を保証する。

(4)生産者の販売努力によって、国内の農産物販売の中で、一定
のシェアを持つようになり、有機認証の費用はその利益から捻出で
きるようになる。

 こんなふうになれば良いと思うのです。とにかく、「有機」とい
うことを販売の手段と捉えることができるかどうか、というのがポ
イントだと思います。

 実際、そのような活動をしている団体も、あちこちにあるようで
すので、今後に期待したいと思います。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.この4月から遺伝子組み換え原料の表示が義務づけられました
ね。でも、ビール、醤油、油などは表示しなくてもいいそうですね。
 最終製品からの組み換え原料のDNAの検出が困難だし、だいた
い入っていたとしても分子レベルに分解されているから問題ない、
という理由からだそうですが(厚生省時代のホームページの記述に
よると)、この2つの理由は、正当なんでしょうか?よくわかりま
せん。
 2つめについて言えば、たしかに分子レベルに分解されていれば
かまわないと思いますが、原料を発酵させたぐらいで、分解される
ものなんでしょうか。ご意見をお聞かせください。

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A.今回の制度は、今までのように、製造者の善意による表示では
なく、検査して真偽をあきらかにできる、ということをポイントに
したようです。

 醸造して作る食品では、たんぱく質はアミノ酸・ポリペチプドに、
核酸(DNA)もイノシン酸なんかに分解されますので、確かに検
出は不可能と思います。

 油にはそもそもDNAは含まれませんので、これも同様です。

 遺伝子組み換えの結果、異常が発生するおそれがあるのはたんぱ
く質でしょうが、上記の食品にはたんぱく質はそのままの状態で含
まれているわけではないので、論理的にも整合性があると思います。

 今までのやり方だと、使っていればすべて表示、ということにな
ったと思いますが、今回はルールを厳しくすることで、逆に範囲外
を作る、ということになっています。

 範囲を限定することで、ルールを厳しく運用する、とも言い換え
られますが、これは有機農産物なんかにも共通する考え方で、欧米
風のものですね。

 有機農産物の欧米でのルールは、日本人の常識的な考え方と違っ
て、農薬の使用は禁止されていません。日本風のやり方は、すべて
禁止と言ってしまって、あとは運用のサジ加減(実態としては?)
ということになりがちなんですが、欧米のルールは、使用できる農
薬を限定し、それ以外の使用は厳しくチェックする、というやり方
になります。

 遺伝子組み換えの件では、珍しく欧米風の条件を出してきました
が、これはルールを厳しく運用するためではなく、範囲を狭くする
ために、無理やり考えたんだと、私はにらんでいます。

 範囲を狭く限定し、ルールの運用は今までの無限定なルールのと
きと同じく、行政のサジ加減、というやつを使って、ルーズにやる
に違いないです。

 私はこのような基準を作ること自体、必要があるのかどうか、疑
問に思っています。遺伝子組み換え作物が、結果として、健康被害
をもたらす可能性はありますが、それはすべての新品種でそういう
ことがおこる可能性と比べて、有意に高い、とは思えないからです。

 手段としての遺伝子組み換えは、在来の手法よりも過激な手段で
すので、作物の中身をより大きく変えてしまい、上記の危険の確率
は上がると思いますが、一方、安全性の審査は、遺伝子組み換え作
物ではかなりされています。

 一般の新品種は、品種の特性については研究しますが、安全性に
ついては、ほとんどノーチェックだと思いますので、遺伝子組み換
えの手法を使ったものと、使わない新品種とで、どちらが危険が大
きいかというと、あまり変わらない、要するにどちらも気にするほ
どのことはない、と思うのです。

 私は遺伝子組み換え作物の普及には反対しています。その普及を
阻止する手段として、このような表示義務が出てきたと思いますの
で、あえて反対する理由はないのですが、消費者の誤解(なんとな
くこわい)をあおるやり方は間違っている、と思います。

 業界の方では、「遺伝子組み換え作物不使用」という表示をして
みても、売れ行きが良くならなかった、ということで、この問題に
関しては、もうあまりやる気がなくなってきている、という感じで
す。

 あとは消費者の選択の問題なのですが、はたしてどうなるのでし
ょうか。

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Q.たんぱく加水分解物についてご質問いたします。

・塩素分解法と酵素分解法の2通りがあると思われますが、包装資
材の原材料一括表示に記載されている場合、区別されず、両方とも
たんぱく加水分解物と表示されているのでしょうか?

・動物性、植物性ともに両方の分解法で製品がそれぞれ市場に存在
しているのでしょうか?一般的な商品も紹介していただきたいです。

・塩素分解法には、DCP、MCPが副産物として生成されますが、
動物性、植物性に関わらず発生するのでしょうか?それらの副産物
は体に害を与えますが、酵素分解法は、そういった体に害を与える
物は発生しないのでしょうか?

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A.市販の調味料の分類としては、

(A)化学調味料
     (A-1)グルタミン酸ソーダ単体
     (A-2)イノシン酸、グアニル酸などを配合したもの
(B)たんばく加水分解物
     (B-1)塩酸使用のもの
     (B-2)酵素使用のもの
(C)各種エキス類
     (C-1)酵母エキス(ビール酵母など)
     (C-2)こんぶエキスなど
     (C-3)肉エキスなど
という感じです。

うま味はどれも、たんぱく質が分解してできる、アミノ酸類なので
すが、その方法が違うわけです。

 (A)では、醸造や加水分解でできた目的のアミノ酸類を、いっ
たん結晶させます。このため、「化学調味料」と呼ばれていますが、
(B)の塩酸分解物より、過激な方法ではありません。(C)も、
煮詰めたりすることで、結局はたんぱく質を分解しているのですが、
効率が劣ります。その分、高価ですが、原料の風味が残りますので、
結構使用していることが多いようです。

 調味料として販売されているものを見れば、だいたいどのような
製法か、わかるようですが、添加物として使用した食品の表示とし
ては、「調味料(アミノ酸等)」という表示が一番多いと思います。
どのようなものを使用しているのかは、わかりません。

 原材料というか、どのようなたんぱく質を分解したものか、とい
うことも、いろいろとあって、不明としかいいようがないです。

 畜肉・骨やゼラチン、魚肉、植物性のものでは、小麦グルテンや
大豆たんぱくとさまざまです。小麦グルテンはグルタミン酸の量が
飛び抜けて多いので、できた加水分解物にグルタミン酸が多く、味
が良い、などといっていました。

 DCP、MCPは塩素と有機物の反応で、不純物としてできてし
まうので、原料のたんぱく質が何であるかは関係ない、と思います。

 また、酵素分解物は酵素を使いますので、DCP、MCPはまっ
たくできないはずです。

 ところが、「酵素分解物」という表示のものからも、検出される
ことがあるようです。それどころか、上の分類で(C)にあたるは
ずのものからも出ることがあります。

 一般向けに販売されているのではなく、専門メーカーから、食品
メーカーへ、という閉鎖された流通をしているものなので、どうも
真相は闇の中、という感じです。

 安全性を言うなら、いっそ(A)の分類の、いわゆる化学調味料
が最も安全なのではないかと私は思っています。複雑なものほど、
何が入っているか、わかりません。

 ただ、DCP、MCPの害自体は、摂取量との関係もありますが、
それほど心配する必要はないと思います。

 よりよい商品、ということで、私たちは、「たんぱく質の塩酸分
解物」を使わない商品を目指していましたし、それはそれで正しい
方針と思っていますが、DCP、MCPを含む食品を食べたとき、
すぐに被害が出る、ということとは違います。

 もし、そうであれば、化学調味料を選択すべきですが、私はやっ
ぱり、化学調味料ではなく、もう少し複雑な成分のものを使用して
ほしいと思います。

 このような調味料を使用しないで製造するのが理想なのですが、
コスト、生産量などを考えると、なかなか難しいものがあります。
何らかの方法で、消費者がそのような商品を手に入れる努力をして
いくしかないでしょうね。

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「鶏肉」(つづき)
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 狂牛病騒ぎの余波で、鶏肉の国際価格が急騰しているそうです。

 ハンバーガーチェーンでも、牛肉一辺倒から、チキンを売り出す
試みをしているようです。何しろ、ヨーロッパでは、牛肉の消費量
が一気に25%も下がったそうですので。

 鶏肉の輸出国といえば、タイが有名です。タイ産の鶏肉は、もう
品薄状態になっている、ということです。ところが、ヨーロッパ諸
国が買うのは、「ムネ肉」ばかりなのです。

 日本では、鶏肉と言えばモモ肉です。ところが、欧米では、鶏肉
というと、ムネ肉のことで、モモ肉はほとんど食べないということ
です。

 鶏肉が、牛・豚肉の代用品、という捉えられかたをしていた、と
いうのは共通なのですが、貧しかった日本では、より牛・豚肉に似
た、モモ肉が喜ばれ、飽食の結果、鶏肉を食べるようになった、欧
米諸国では、牛・豚肉とは違う、健康イメージを持ったムネ肉を喜
ぶ、ということらしいです。

 鶏肉は大きくわけて、「モモ」「ムネ」「ササミ」という部位で
流通しています。また翼の部分は「手羽元」「手羽先」という名に
なります。「コニク」「セセリ」などと呼ばれる肉もありますが、
量的にはごく僅かです。

 モモ肉は脚に着いた筋肉、ムネ肉は「手羽」とも言われ、ハネに
ついた筋肉です。鶏は鳥ですが、飼育中に飛ぶことはありませんの
で、脚の筋肉と比べて、手羽肉は柔らかいものになります。

 ササミというのは、豚肉のヘレと同じように、一羽からあのササ
ミが2本しかとれません。これはムネ肉の内側に、あんな形でつい
ているのだそうです。

 ササミを刺身で食べる人がいます。わりと美味しいものなのです
が、サルモネラ汚染の問題があって、あまり鶏肉を生で食べるのは、
お勧めできないと思います。

 サルモネラと言えば、卵ばかりが注目されていますが、鶏肉の汚
染も結構深刻です。ただ、肉は卵と違って、食べる前によく加熱さ
れることが多いので、それほど問題にはなっていないのですが、や
はり注意が必要です。

 特にまな板、包丁などを通して、鶏肉のサルモネラが生野菜にう
つったときに、問題になります。鶏肉についていた菌は加熱によっ
て死んでも、生野菜について分はそのまま残ってしまうのです。

 まな板は別にするのがベストなんですが、肉を切るのを後にする
という工夫もあります。お湯で洗う、などというのも、絶対とは言
えませんが、ある程度有効なようです。

 最初に言いましたが、日本では、普通はモモ肉ばかりが売れます。
精肉をキロあたり千円で売りたい場合、平均すると、100グラム
あたり百円、ということになりますが、実際はモモ肉を150円、
ムネ肉を80円、という感じで、価格差をつけて売ることになりま
す。売れ行きによっては、もっと差をつけることも多いようです。

 肉の値段は実はこのようにして決まっています。全体の価格を平
均できれば、売る方は楽なのですが、売れる部位を高く、売れない
部位を安く、というのが基本になります。

 こんなことをしなくても、同じ値段で買ってくれると、売る側に
とっては一番都合が良いのです。そこで私たちのところでは、地鶏
肉は基本的に、1パックにモモ肉、ムネ肉それぞれ一枚ずつ入って
いる、というパックに入れていました。

 上記の価格差で、全部売れれば、キロあたり千円を越えてしまう
のですが、逆に売れ残りなどのリスクもあるため、こういう計算を
しなければならないのです。

 モモ・ムネパックで買えば、100グラム100円でかまわない、
ということになり、売る側も、買う側も得になるのです。

 1パックの中に、違う肉が入っていたら、料理はどうするんだ、
と気になると思いますが、案外簡単なものです。1パックから複数
の料理を作る場合は、むいていそうな方を使えば良いのですし、カ
ラアゲやシチューなんかに、全部使うときは,平気で両方混ぜて使
います。

 細かいことを言わなければ、これで何の問題もありません。特に
産直なんかに取り組むときには、こういうアバウトさは絶対に必要
です。自分の生活スタイルを変えずに、生産者の努力だけを求める
ことはできないのですから。

 ということで、産直の話はまた別の機会に書きます。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 中国からの輸入農産物に、緊急輸入制限措置をとる、という動き
があるようです。みなさんはいかがお考えですか。

 私はこのようなことには批判的です。国際的な競争に、政府が介
入して、良いことはありまないです。こういう保護によって生き残
ったからといって、私たちが願う日本農業の発展とは無関係なこと
だと思うのです。

 Q&Aでもありましたが、この4月1日から、いろいろと表示の
規制が変わります。その中に、「農産物の原産国表示」というのも
あります。

 水産加工品などでも、同様に原産国の表示をしなければならない
ことになっています。

 このような表示は、加工品の場合は、かなり守られると思います
が、生鮮品の場合は、かなり怪しいです。今のところ、完全に表示
している店はそんなにないので、4月から急に改善されるとも思え
ないです。

 この「原産国表示」も、どうも消費者保護のため、というより、
輸入食品に対する偏見をあおって、国産農産物の販売を有利にした
い、という下心があるようです。

 背後には政治的な配慮も当然あると思いますが、消費者団体がこ
のような政策に賛成しているようなのが、気になるところです。

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--発行--渡辺--宏------- URL http://www.kenji.ne.jp/food/
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