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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------716号--2013.07.28------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「ニュースから」「米とヒ素」

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ブログ毎日?更新中

http://www.kenji.ne.jp/blog/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 山形県では大雨のせいで断水するという、信じられない事態にな
っています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 県内で記録的な大雨が降ってから25日で1週間がたったが、天
童や寒河江、村山、上山の4市では、計1万9100世帯が断水す
る状態となった(午後3時現在)。一部で供給は再開されているが、
全面復旧の見通しはたっていない。天童市では透析患者を山形市に
受け入れてもらうなど、市民生活や医療現場に影響が広がっている。

(略)

 断水が広がったのは、6市6町に給水している西川浄水場の水源
である寒河江川の水が、記録的な豪雨で濁ったままで浄化する能力
が追いつかないためだ。供給能力は徐々に上がり、この日は約72
%まで回復した。阿部吉幸所長は「沈殿の時間が追いつかない。こ
んなことは初めてだ。徐々に供給能力が上がっているが全面復旧の
目途はたたない」と話している。厚生労働省は同日、職員を同浄水
場に派遣した。

http://sankei.jp.msn.com/region/news/130726/ymg13072602180000-n1.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 原水の濁りがひどくて、濁った水しか出ないため、供給を止めて
いるようです。背景には、この地域の水のきれいさがあります。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 山形県内では、断続的に降る大雨の影響で浄水場の水が濁り、一
部の自治体で1週間近く断水が続いていることから、厚生労働省は、
25日に山形県に職員を派遣し、原因の調査に乗り出すことにして
います。

 山形県内では先週18日以降、断続的に降る大雨の影響で、西川
町にある浄水場の水に基準を大きく上回る濁りが出ていて、24日
夜の時点で4万世帯近くで断水が続いています。

 一部の地区では1週間近く水が使えない状態になっていて、事態
を重く見た厚生労働省は、水道課の技官や国の研究機関の専門家、
合わせて3人を浄水場に派遣することを決めました。

 山形県によりますと、この浄水場は、水源の寒河江川の水が比較
的きれいだったため、水の濁りを示す「濁度(だくど)」という数
値で、最大で「100」の濁り水を処理できるよう設計されていま
した。

 しかし、先週からの大雨で寒河江川の上流で土砂災害が相次ぎ濁
りが強まり、先週18日には濁度が「3000」と上限の30倍に
達し、再び大雨になった3日前の22日にも濁度が上限の10倍を
超え、濁った水を処理できなくなったということです。

 技官らは、水の濁り具合を確認したうえで、浄水場の職員から断
水が長期化した経緯などを聞き、設備や対応に問題がないか調べる
ことにしています。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130725/k10013274981000.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 きれいな水がある地域なので、浄水場の能力は低くてかまわない
という事情ですね。充分以上の能力を持たせても、無駄だと批判さ
れるご時世ですので、なかなか難しいところです。

 でも、断水になるより濁った水でも出る方がよいに決まっていま
す。住民の了解の元に、濁った水でも供給できるようにする方法は
ないものかと思います。

 インドの給食事件はやはり故意の毒物投入だったようで、逮捕者
が出ています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 インド東部ビハール州の公立小学校で給食を食べた児童23人が
死亡した事件をめぐり、現地警察当局は24日、同校のミーナ・デ
ビ校長を殺人などの疑いで逮捕した。デビ容疑者は事件後に行方が
分からなくなっていたが、地元裁判所に出頭する途中、拘束された
という。

 現地メディアの報道によると、給食のカレーは校内で調理され、
調理用油に高濃度の殺虫剤が混入していた。ロイター通信などによ
ると、食材はデビ容疑者の夫が経営する店から調達していたという。
調理師は調理用油がいつもと違うことを指摘したが、校長が使うよ
う指示したとしている。動機などは不明。

 インドの学校給食の無料配給プログラムは貧困対策として始まり、
約1億2千万人が利用。事件後、ほかの学校でも給食を食べた子ど
もが病気になるなどした例が報告され、安全性が疑問視されている。
事件を受け、インドでは学校給食の安全性などを求める抗議デモが
起きた。

http://www.asahi.com/international/update/0725/TKY201307250363.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 この記事の様子では、政治的な背景というより、金儲けとズサン
な管理による被害という印象ですが、はたしてどうなのでしょうか。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@
kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.パウチの事でお聞きしたいのですが…パウチにはアルミ箔を積
層加工したフィルムで出来ていると聞いていますが…安全なんでし
ょうか…。

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A.まず、アルミニウムは別段毒というわけではありません。地球
上では非常に大量にある金属なのですが、鉄などと違って必須とい
うわけではないので、あまり好んで摂取する必要はないという程度
のものです。

 土の中には大量のアルミニウムが存在しますので、野菜などには
普通に含まれています。摂取基準はあった方がよいだろうというこ
とで設定されたのですが、その際、薬品や食品添加物由来で摂取す
ることを(たぶん)忘れていたため、実際には基準をオーバーして
しまうことがあると言われて、問題になりました。

 しかし、その程度の摂取量で、何か害があるというわけではあり
ません。一番大量に摂取するのは医薬品(胃薬など)ですが、もち
ろんアルミニウムを含む医薬品を摂取しても何も問題はありません。

 逆に言うと、アルミニウム化合物を医薬品として使っても問題な
い程度には安全だということです。

 その上で、ご質問の件ですが、レトルトパウチは実は缶詰と同じ
殺菌をされていて、常温で保存可能な食品包装です。プラスチック
だけでは缶詰と同等の保存性を実現できないので、何層にも重ねら
れたプラスチック層の中に、アルミ箔の層を入れています。これで
空気を遮断するわけです。

 一番内側の食品に接する面はポリエチレンなどのプラスチックで
すので、アルミニウムが食品中に溶けてくることはありません。

 なお、見た目はほとんど同じですが、常温保存できないタイプの
包装済食品もあります。どこにも「レトルト殺菌」とか「常温保存」
とか書いていないものは保存性があまりありませんので、注意して
ください。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「米とヒ素」
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 「米とヒ素」の関連で、こんな記事がありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

【7月24日 AFP】高濃度のヒ素で汚染されたコメは、がんのリスク
を高める遺伝子損傷と関連性があるという研究論文が22日、英科学
誌ネイチャー系オンライン科学誌「サイエンティフィック・リポー
ツ」に発表された。

 飲料水に含まれる自然由来のヒ素による健康被害は以前から知ら
れており、特に数千万人の人々が1970年代に掘られた井戸に依存し
ているバングラデシュでは、長い間問題になっている。科学者らは、
汚染された地下水で栽培されたコメに関しても懸念を抱いてきたが、
リスクの証拠が発見されたのは今回が初めてだ。

 英マンチェスター大学とインド・コルカタにあるインド化学生物
学研究所の研究チームは、インド・西ベンガル州の村民417人の協
力を得て調査を実施した。

 研究チームは村民に各自の生活スタイルに関する詳細な情報と1
日に食べるコメの量を報告させ、尿と調理済みのコメのサンプルを
提出させた。村民は、3つの異なる地域から参加したが、食生活と
社会・経済的地位は同等だった。また、飲料水によるヒ素汚染の程
度は低かった。

 研究チームは、尿のサンプルから尿路内壁の細胞を抽出して分析
し、「小核(しょうかく)」と呼ばれる遺伝的特徴の有無を調べた。
小核は、細胞が複製される際に、遺伝情報が正しく複製されなかっ
た場合に残されるDNAの小さなかけらだ。

 細胞で遺伝情報が正しく複製されない頻度が高いほど、それらが
がん化するリスクが高くなることが、これまでの研究で明らかにな
っている。そのため、小核の増加は、がん化リスクの指標になる。

 調査の結果、コメに含まれるヒ素の濃度が高いほど、小核の出現
頻度が高くなることが明らかになった。この傾向は、男性と女性、
喫煙者と非喫煙者の両方に共通して見られた。村民らは、平均して
1日に約500グラムのコメを食べていた。1キログラム当たり200マイ
クログラム以上のヒ素を含む調理済みコメを食べている場合に、小
核の出現頻度が高くなる傾向が見られ始めた。

 村民の健康問題の監視は、今回の論文の範囲に含まれていない。
だが今回の結果は、高濃度のヒ素が含まれる水域で栽培されたコメ
を毎日大量に消費している人々にとっての警鐘になるだろうと論文
は述べている。世界では、数億人の規模になるかもしれないと論文
は指摘する。

 論文によると、中国、バングラデシュ、日本、パキスタン、欧州、
米国などで栽培されるコメには、1キロ当たり200マイクログラム以
上のヒ素を含むコメが有意な割合で含まれることがわかったという。
「今回の研究によって、人間の健康への脅威に関する重大な懸念が
提起された」と論文は警告している。

http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2957674/11077523
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 私は論文の内容について評価できる立場ではありませんが、一読
した印象ではかなり怪しいですね。

 イギリス人は今でもインドを植民地扱いしているのか、という点
も気になりました。

 「米とヒ素」では昨年の話になりますが、こんな記事もありまし
た。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 FSAは本日2つの研究の結果を発表した:米飲料中のヒ素濃度と、
米のヒ素濃度を削減するための調理方法についてである。米飲料調
査の結果、FSAは、幼児や小さい子どもはライスミルクとして知ら
れる米飲料を、牛乳や母乳や乳児用ミルクの代用品として飲むべき
ではないと助言する。

 米飲料調査は、昨年この種の飲料のヒ素濃度を調査した研究結果
が発表されて懸念があるとされたために行われた。本日発表された
調査では60検体の米飲料を対象とし、その全てから低濃度のヒ素が
検出された。

 総ヒ素濃度は0.010-0.034mg/kgで、有害性の高い無機ヒ素濃度は
0.005-0.020 mg/kgであった。米飲料検体中の無機ヒ素の割合は48-
63%だった。 いずれの結果も原稿の法的基準値を超えていない。

 二つ目の研究では、米のヒ素濃度に与える調理法の影響を調べた。
この研究の結果、FSAは異なる調理法による総ヒ素摂取量への影響
は最小限であったため、 米の調理法の変更は薦めない。

■FSAの助言

 予防的措置として、1-4.5才の年齢の幼児や小さい子どもは、牛
乳や母乳や乳児用ミルクの代用品として米飲料を飲むべきではない。
それはそうすると比較的大量に飲むことになるので、より大きな子
どもや成人よりヒ素の体重あたりの摂取量が多くなるからである。
そのような代用によりできるだけ少なく維持すべきである無機ヒ素
の摂取量が増える。1日に半パイント又は280 mLの米飲料を飲むと、
毎日の無機ヒ素摂取量が2倍になる。

 米飲料を飲んでいる子どもたちに直ちにリスクがあることはなく、
長期の有害影響もないであろうが、さらなるヒ素暴露を減らすため
に保護者はこれらの飲料を幼児や小さい子どもに与えるのを止める
べきである。

 もし子どもに牛乳アレルギーがあるのなら、専門家に適切な代用
品についての助言を求めることを強く薦める。

 その他の人々は米飲料からの無機ヒ素摂取量が体重あたりで比較
的少ないので食生活を変更する必要はない。

 1才以下の子どもは母乳又は乳児用ミルクを飲むべきである。12
ヶ月になるまでは牛乳もその他の代用品も適切ではない。

http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20090522/p7
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 米の飲料というのがよくわからないのですが、アメリカではそう
いうものがあって、オーガニックなどという表示で売られているら
しいです。例の「グルテンフリー」の関係かもしれません。

 下の記事では、「玄米シロップ」と言っていて、甘味料のような
感じです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■米はなぜ砒素で汚染されやすい

2012年02月23日

 アメリカでは米製品の中でも特に有機栽培の玄米シロップが、健
康食品などの甘味料としてかなり広く使われており、粉ミルクにも
添加されていることがあるそうです。ちなみに、日本では「ミルク
を粉末状にしたもの」というイメージで粉ミルクと称しますが、ア
メリカでは「調整されたミルク」という意味でformulated milkあ
るいは略してformulaと呼ばれているらしいです。薬局でアメリカ
人にいきなり"Where's baby formula?"とか聞かれても何のことか
わからなかっただろうな。勉強不足でした。

 さて、その健康食品が米由来の砒素を含んでおり、玄米シロップ
を甘味料に使っているシリアルバーには、そうでないシリアルバー
の数倍の砒素が残留していると報告されています。砒素は土壌に広
く薄く分布しているので、あらゆる食品に砒素が残留する可能性は
あり、その数倍を摂取したからと言って、すぐに健康被害が出るよ
うなものではないのですが、わざわざ「健康のために」玄米入りの
健康食品を食べてきた人には衝撃的でしょうね。

 ダートマス大学では一般の人向けの資料を用意しており、体内に
入った砒素は排出されやすいため、飲み水のように継続して摂取し
ない限り問題は出にくく、既に該当の食品を摂取していない場合は
検査の必要もないが、今でも該当の食品を摂取している場合、とり
あえず玄米シロップの入った食品から他のものに替えるように、と
説明しています。

 なぜ米だけが他の穀物より砒素を溜め込みやすいのでしょう?

 イネ科の植物やシダ類は、細胞形態を保持するためにシリコンの
化合物であるケイ酸塩を貯留する性質があり、これと化学的性質が
似通った砒素化合物が吸収されやすいそうです。カルシウムと性質
の似たカドミウムが人体に取り込まれやすく、イタイイタイ病を発
症するのと同じ理屈です。同じく基幹作物である小麦だってイネ科
なんだけどな、という疑問が生じますが、それはまだこれからの研
究課題でしょう。

 小麦と違って米は水田という特殊な栽培方式を取りますし、コム
ギより温度、湿度が高い地域で栽培されるため、過去には亜ヒ酸な
どの砒素系農薬が使用されたこともあり、小麦よりも砒素を吸収し
やすい状況にあるとは思われます。

 今のところ、アメリカ人よりも米の摂取量がはるかに多い日本で、
米由来の砒素によると見られる癌が多くなったというデータはない
のですが、このような極微量の残留分析は質量分析計などの進歩に
より可能になった発展途上の分野であり、多くの国民が関心を持つ
食品安全性を扱うものですから、研究の速やかな進展が望まれます。
今回はRichadDawkins.netとSpeakeasy Scienceの紹介を兼ねて記事
を引用させてもらいました。

http://blog.goo.ne.jp/enagoya/e/84ffaa4737ee2c269edd0febf09b03b7
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 また、日本でも最近、こんな研究結果が発表されています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■食品中のヒ素摂取で肺がんリスク上昇

2013/7/5 11:30

 国立がん研究センターなどは5日、食品からのヒ素の摂取量が多
いと、肺がんの発症リスクが高まる傾向があるとの調査結果をまと
めた。他のがんでは関連はみられなかった。

 ヒ素はひじきなどの海藻や魚介類、コメなどに比較的多く含まれ、
日本人の1日の平均摂取量は欧米の約2倍とされる。同センターの
沢田典絵・予防研究グループ室長は「ヒ素を含む食品には栄養価の
高いものも多い。摂取制限などを検討するにはさらに研究が必要だ」
と話している。

 調査は岩手、長野、沖縄など1府8県の45〜74歳の男女約9万人
を約11年間追跡した。食事内容のアンケートをもとに、75品目から
摂取しているヒ素量を計算。この間にがんを発症した約7000人との
関連を調べた。

 ヒ素の中で健康への影響が大きい無機ヒ素の1日摂取量が約102
マイクロ(マイクロは100万分の1)グラムと最も多いグループは、
最小(同約36マイクログラム)のグループより、肺がんの発症リス
クが男性で28%、女性で37%上がっていた。摂取量が増えるとリス
クも高まった。

 喫煙者に限ると、最多グループの男性は肺がんリスクが38%高ま
り統計学的な差が出た。ヒ素の解毒にかかわる物質が喫煙の影響で
働きにくくなっている可能性がある。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG05012_V00C13A7CR0000/
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ヒ素は発ガン性あり、ということになっているので、こんな記事
を見るとすぐに納得してしまいますが、念のために元の発表を見て
みると、こんな感じです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■ヒ素摂取は喫煙男性の肺がんのリスクをあげる

 男性42029人、女性48349人、合計90378人が本研究の対象になり、
約11年の追跡期間中に、男性4323人、女性2679人、合計7002人が何
らかのがんに罹患しました。がんのリスクは高齢など他の要因によ
っても高くなることがわかっていますので、あらかじめこれらの影
響を除いて検討しました。

 その結果、総ヒ素摂取量と全がんリスクとの関連は見られません
でした。各部位別がんリスクについても調べたところ、男性の肺が
んでリスクの上昇がみられましたが、統計学的有意な関連ではなく、
女性では関連がみられませんでした。同様に、無機ヒ素摂取量と全
がんリスクとの関連はみられませんでしたが、男性の肺がんで量反
応関係がある正の関連が認められました。女性では肺がんで統計学
的有意ではない肺がんリスクの上昇がみられました。

 ヒ素の肺がんへの影響が喫煙者でより顕著であることが報告され
ていることから、肺がんと総ヒ素・無機ヒ素摂取量について喫煙状
況別に解析を行いました。その結果、男性では喫煙者で総ヒ素・無
機ヒ素ともに肺がんリスクの上昇、非喫煙者では肺がんリスクの低
下がみられ、喫煙状況により異なる関連が認められました。女性で
は非喫煙者で無機ヒ素摂取量と肺がんに正の関連がみられました。

http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3302.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 グラフを見ると、喫煙者ではヒ素の摂取量が多い人では肺ガンリ
スクが上がっています。ところが非喫煙者では逆に下がっているの
です。これは単なる偶然であると解釈する以外にないと思います。

 さらに実験の手法を見ていくと…。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■ヒ素摂取量の計算

 今回の研究では、アンケート調査の138食品項目とこれまでに出
版されたヒ素平均値が記載されている報告書および論文に共通の項
目である75食品(12食品群)を、ヒ素含有食品として選定しました。
ヒ素摂取量は、75食品に含まれるそれぞれのヒ素量に、アンケート
から計算された各食品の摂取量をかけて推計し、その順位により4
群に等分して、最も摂取量の少ないグループを基準として、グルー
プ間でがんのリスクを比較しました。

 無機ヒ素摂取量は、算出されたヒ素摂取量に、食品安全委員会の
報告で用いられている無機ヒ素の割合をかけて算出しました。無機
ヒ素の割合は、米類86%、ひじき73%、ひじき以外の海藻類10%、魚
介類5%、それ以外の食品群の無機ヒ素割合は不明のため、報告と同
様の方法を用い、100%無機ヒ素であると仮定して算出しました。

 アンケートから算出された摂取量と、参加者の一部で一定期間に
実際に食べた食品をすべて記録する方法で調べた食事記録から算出
された摂取量の相関(妥当性)は、総ヒ素、無機ヒ素の順に、男性
で0.30、0.33、女性で0.15、0.19でした。この種の研究としては、
男性では推定摂取量の順位によるグループ分けが妥当とみなせます
が、女性では低い値でした。

■ヒ素摂取計算に用いられた食品

 米類(ごはん、あわ・ひえ・麦など混ぜたごはん、せんべい)、
小麦類(パン、沖縄そば、うどん、らーめん、ビスケット、ケーキ)、
大豆類(豆腐、ゆし豆腐、高野豆腐、油揚げ、納豆、みそ、豆乳)、
いも類(じゃがいも、さつまいも、さといも)、きのこを含む野菜
類(大根、大根の漬物、にんじん、キャベツ、ブロッコリ、白菜、
レタス、ほうれん草、たまねぎ、きゅうり、きゅうりの漬物、なす
の漬物、トマト、トマトジュース、ピーマン、しいたけ、春菊、か
ぼちゃ、シメジやえのき)、果物類(いちご、りんご、みかん、か
き、キウイ、メロン、バナナ、なし、ぶどう、パイナップル、りん
ごジュース、みかんジュース)、魚介類(かつお、まぐろ、たい、
さば、さんま、いか、えび、かに、ツナ缶、ちくわ、かまぼこ、ひ
らめ、さば)、海藻類(わかめやこんぶ、のり)、ひじき(ひじき)、
肉類(鶏肉、豚肉、牛肉、鶏レバー、豚レバー)、卵類(たまご)、
乳製品(牛乳、チーズ、バター)

■ヒ素摂取量について

 今回の研究で推計された総ヒ素の平均摂取量は170μg/日でした。
この値は、先行研究で報告されている、摂取した食事のそれぞれに
含まれているヒ素を測定して求められた(陰膳法)日本人の総ヒ素
平均摂取量の178μg/日とほぼ同じであり、今回の推計がほぼ正確
であったことが推測されます。しかし、アンケートにより推計され
た摂取量の値は、順位づけをすることには適していますが、実際の
摂取量を正確には反映していない可能性もあります。

 今回計算された総ヒ素摂取量の寄与食品は、大きい順から、魚介
類32%、ひじき28%、海藻類20%、米類16%、野菜類1%で、それ以外は
1%以下でした。

 無機ヒ素摂取量の寄与食品は、大きい順から、ひじき50%、米類
35%、海藻類5%、魚介類4%、野菜類3%、果物類2%でした。無機ヒ素
摂取量の寄与割合が大きかったひじき摂取量と肺がんとの関連につ
いても解析しましたが、喫煙男性で肺がんとやや正の関連はみられ
ましたが、統計学的に有意ではありませんでした。

http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3302.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 この手法では、実際の摂取量と計算された摂取量に相関性がない
ということです。まるでダメだと思うのですが、いかがでしょうか。

 最後に、米のヒ素含有量を実際に測った報告です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

日本における米の無機ヒ素含有量と発がんリスクの推定
HS-08213 小林 真弓

 本研究で収集した米では、すべての検体で As(V)は検出下限
(0.012 μg/g)以下であり、As(III)は検出できた。

 よって As(III)濃度を iAs として以下の評価を行った。30検
体の平均 iAs 含有量は 0.0570±0.0183μg/g であった。

 濃度のばらつきは小さく、既往文献値 0.0841〜0.200μg/gと比
較すると若干低い濃度であった。洗米による iAs 濃度の減少率
(26%)と、国民栄養調査(2010)をもとに推定した、米からの一
日 iAs 曝露量は 5.85μg/日となった。

 バイオアクセスビリティ(72%)を考慮した「めし」による iAs
曝露量は 4.22μg/日であり、日本人の一日当たりの食事によるiAs
曝露量 27.1μg/日のうち、一日 iAs 曝露量の約16%が米食による
曝露であると推定された。

 米のみからの iAs曝露による発がんリスクは、皮膚がん1.5×10-4、
肝がん 1.9×10 -5、肺がん 1.4×10 -4 と推定され、許容リスク
(10 -5)を超過すると考えられた。

[結論]

 日本における米の平均的 iAs 濃度は 0.0570μg/g であり、日本
人の米食による一日 iAs 曝露量およびその生涯発がんリスクは許
容リスクを超過すると推定された。米は日本人の伝統的主食である
ことを考慮しながら、今後 iAs 曝露量を低減する方策を考える必
要がある。

http://www.envhlth.k.u-tokyo.ac.jp/pdf/2011/kobayashi.pdf
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 平均で57ppbのヒ素を含んでいて、暴露量は許容リスクを超える
と計算されています。

 米はカドミウムとともに、ヒ素でもリスク要因を持っていると考
えた方がよさそうです。でも、実際の調査結果からすると、検出で
きるような被害は起こっていないと考えられます。

 今後の調査を待つ、というところで、今までどおり食べていて問
題ないのだろうというのが私の感想です。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 今年の初めから、90歳を越えた義母の容体が悪化していました
が、8月から転院することになりました。落ち着けば病室を出て、
介護施設に入る予定です。その他にもいろいろあって、妻はちょっ
とお疲れです。

 4日の日曜日には中学校の同窓会の相談をする会合があります。
今年で卒業してから46年です。一学年15学級あって、800人
近いマンモス校でしたが、はたしてどれだけ集まれるのでしょうか。

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