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--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
--------------------------------------71号--2001.03.18------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「前回の訂正」「食鳥検査制度」
「パスタ」(Q&A)
「小麦」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 前回の後記で、間違いがあるかもしれない、などと書いたら、さ
っそく間違いの指摘をうけてしまいました。ご指摘ありがとうござ
います。

 2通、メールをいただきましたので、到着順に紹介します。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

「煮干しの脂肪分の酸化を抑えるためにBHTを用いていたが、最
近では過酸化水素を用いている」とのことについてです。

BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)というものは、脂質酸化の
連鎖反応を停止する作用がある、酸化防止剤として機能する物質で
す。しかし過酸化水素は脂肪に酸素を与え、酸化を促す物質である
ため、酸化防止剤として機能するとは思えないのです。

過酸化水素は、うどんなどのに用いられることはあるようで、この
ときには製品に残留していてはいけないとされています。このとき
に期待されている機能は、殺菌あるいは漂白であると思います。
(オキシドールの成分が、過酸化水素ですから。)

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

# 以前は酸化防止剤としてBHTという物質が使われていました。
#最近ではほとんど過酸化水素を使用するようになっています。

過酸化水素は酸化防止剤ではなく、漂白目的で使用されています。
過酸化水素だとむしろ(当然)酸化を促進します。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 書いているときから、怪しいとは思っていたのです。上記の意見
のとおり、おわびして訂正させていただきます。

 このメールマガジンは基本的につっこみOKですので、これから
もよろしくお願いします。

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 前回ちょっと書いた、「食鳥検査制度」の話です。

 鶏は比較的小さい生き物ですので、昔はわりと生きたまま流通し
ていたものです。

 私の子どものころ、近所に鶏肉屋(かしわ屋と言っていました)
あって、そこに同じ歳の子がいたので、よく遊びにいったものです。

 裏庭で遊んでいると、大きな籠があって、その中に、鶏がいるん
です。ときどき、おじさんがその中から、鶏を取り出して、店に持
っていくのですが、あれは売れるにしたがって、店で鶏をさばいて
いたのですね。

 そういう伝統もあって、牛や豚肉の処理場では、枝肉を解体する
だけですが、鶏肉の処理場では、そこに生きた鶏が持ち込まれてき
ていました。

 食肉用の鶏というのは、普通、鶏舎に平飼いされています。ひな
のときは、1羽ずつだと体温が維持できないので、小さく囲って、
温かくするのですが、どんどん大きくなり、出荷直前には、広い鶏
舎にいっぱいになります。

 出荷の朝、そんな鶏たちを籠に入れ、処理場に連れて行くのです。

 食鶏検査制度とは、その持ち込まれた鶏を、1羽ずつ、獣医師が
検査する、という制度です。

 鶏は上からぶら下がっているラインに、はじめは脚を、後には頸
の方から、つり下げられた状態で、流れていきます。そのラインの
最初の方で、獣医師が検査をする場所を設け、1羽ずつチェックし
て、合格したものだけを通すようになっています。

 この制度が始まったとき、コストの関係から、ある程度の規模で
ないと、この制度に適合しない、ということで、多くの処理場が統
合されています。だいたい、県ごとに1〜2ヶ所というところが多
いようです。

 うんと小さい処理場は、この制度の適応外ということになります。
そういう処理場はあちこちに残っていますが、安全面からいうと、
やっぱりこの制度に適応したところの方が、優れていると思います。

 また、解体の方法も、昔は鶏の外側から、皮、肉の順にとって、
内臓を最後に残すやり方が多かったのですが、この制度の実施以降、
大部分の処理場では、最初に内臓を取り除く方式になっています。

 これも、衛生面で意味のあることなのです。ただ、いわゆる地鶏
とかいって販売している、品種の変わった鶏では、鶏のサイズがま
ちまちになったりしがちです。内臓を取り除くのは、機械でします
ので、こういった鶏を機械に通すのは、なかなか大変だということ
でした。

 私が取引していた処理場では、この制度適応時に、工場を改装し、
またこの制度を適応しない、処理場を持っている他業者と合併して、
そちらの工場を製品のパック用にして、鶏の処理をと体以前と以後
で別工場でするようにしました。

 ちょっと距離があったので、時間的には苦しかったのですが、早
朝出荷→と体→解体パック詰め→午後に製品出荷→翌日配達という
スケジュールで、フレッシュ鶏肉の配達をしていました。

 ただ、鮮度の問題からいうと、もう少し時間をかけて冷却した肉
の方が、かえって良い、という問題もあり、懸案事項となっていま
した。時間的に早いということと、鮮度が良いということとは、必
ずしもイコールではない、ということを、そのとき初めて知ったよ
うに思います。

 いろいろと細かい問題はあるのでしょうが、とにかく、この食鶏
検査制度ができて、日本もようやく、国際的なレベルに制度の上で
は追いついたということになります。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.パスタに限らず、食品の放射能汚染は10年で解消するようなも
のではありません。ヨウ素剤を飲んで一時しのぎをしたあとも、何
万年といった半減期を持つ放射性物質の影響を受けなければならな
いのです。国の機関で放射線検知器の貸し出しも行われているよう
ですが、食品ひとつひとつに測定結果を表示して販売されるべきで
しょう。国内でももちろん放射能汚染食品は発生しうるでしょう。
ワタシは、国内産小麦100パーセントのものしか、スパゲティは
摂取したくありません。

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A.こういうことに関しては、個人的な選択の範囲ですので、ヨー
ロッパ産のパスタはイヤだ、というのは、それで結構だと思います。

 いくつか誤解があるようですので、少しコメントします。

 まず、国産パスタの原料である、輸入デュラム小麦ですが、これ
は主にカナダからの輸入品です。例のチェルノブイリ事件での汚染
でいえば、カナダと日本とは同じようなものですので、放射能汚染
の問題で、カナダ産の小麦をいやがる理由はないと思います。

 放射能の問題ですが、いろいろとある放射性物質の中で、ヨウ素
が特に問題となったのは、放射性ヨウ素の半減期が短く、またヨウ
素が体内(特に甲状腺)に蓄積される性質があるからです。

 放射性ヨウ素の半減期は確か8年くらいだったと思います。半減
期というのは、文字通りその期間で半分の原子が核分裂を起こし、
残りは半分になる期間、ということです。8年で半分ですと、16
年で1/4、24年で1/8、32年で1/16というように減っ
ていきます。

 放射性物質には、半減期が非常に長いものがあります。こういう
ものは、放射性物質としては安定な原子で、半減期が10万年もあ
るようなものは、人が接触するような短い時間では、ほとんど放射
能がない、ということでもあります。

 半減期は、放射性物質の壊れやすさの指標です。半減期の期間が
たてば、半分くらいの確率で、この原子は壊れているだろう、とい
うことです。放射性物質が放射能を持つ、というのは、この原子が
壊れる(核分裂する)ときに、同時に放射線を出すからなのです。

 逆にいうと、原子が壊れない(核分裂しない)かぎり、その原子
は放射線を出しません。同じ数の原子があっても、元素の種類によ
り、壊れやすいもの(半減期が短い)ものほど、放射能が強い、と
いうことになります。

 半減期が長いと、放射能として強いように思うのは、全くの誤解
です。人間の健康にとって問題なのは、半減期の短い、すぐに核分
裂を起こす物質なのです。

 ヨウ素は半減期から言って、ヨーロッパの広い範囲で、まだ無視
できる程に減っているわけではないと思います。このことで、ヨー
ロッパ産の食品を危険視するのは、ちょっと心配性ですが、根拠と
してはあると思います。

 以上を総合して、私はカナダ産のデュラム小麦で作ったパスタを
避ける理由はない、と思っています。国産小麦で作ったパスタを、
美味しいと思えるのであれば、それはそれで結構なことでしょう。

 ヨーロッパ産のデュラム小麦は日本には入っていませんので、ヨ
ーロッパで製造されたパスタについてですが、微妙な問題がありま
す。私はあえて、安全であるとは言えない、と言っておきます。
(現実には、無視できるほどのリスクなのでしょうが。)

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「小麦」
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 前回のQ&Aでも書いた小麦ですが、サイトの「小麦」のページ
がまだアップできていませんでした。そこで、今回は小麦の話です。

 まず、統計です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------
http://www.kanbou.maff.go.jp/www/chousa/kansoku/00kansoku/grain/wheat/wheat.htm

〈小 麦〉
 11年産の作付面積は、北海道では、緊急生産調整推進対策での取
組の増加から2.2%増の9万4,700haとなったほか、都府県でも、本
対策での取組の増加や前年産が作柄不良であった二条大麦、六条大
麦からの転換等に加えて、九州において播種期の天候不順により作
付けが減少した前年産に比べて播種作業が順調に行われたことから、
6.6%増の7万4,100haとなり、全国では4.1%増の16万8,800haとな
った。

 作付品種の動向については、ほぼ全量が北海道で栽培されている
ホクシンの作付増加が著しく、11年産については14.9%の増加とな
り、北海道におけるシェアは11.7ポイント上昇し80.8%となった。
また、中国、四国及び九州で栽培比率の高いチクゴイズミは14.4%
の増加となった。一方、8年産まで作付面積第1位であったチホク
コムギは年々減少しており、11年産は47.9%減と大幅に減少した。

 作柄は、都府県では一部の地域を除いておおむね天候に恵まれ生
育は順調であったものの、主産地の北海道では融雪期の遅れによる
雪腐病の発生や、出穂期以降の高温・少雨による登熟不良から、作
況指数92の「不良」となった。収穫量は、作付面積の増加から2.4%
増の58万3,100トンとなった。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 11年というのは、平成11年ですから、1999年の情報です。作付け、
終了ともに少し増えている、ということです。輸入小麦は、グラフ
しか載っていないのですが、飼料用を除くと、500万t弱、総計では
600万tくらいというところです。国産は全体の約1割程度の生産量
があることになります。

 案外たくさんあるのだな、という感想を持ちました。上記の記事
でホクシンというのは、新しく開発された品種で、チホク小麦の後
継となっています。

 有名なチホクですが、今年くらいには、ほぼ完全に滅びているの
でしょうね。

 国産小麦でパン用の小麦としては、ハルユタカというのが有名で
す。この品種は「春播き」小麦で、冬を越さないのが特徴です。こ
のためもあってか、収量は少なく、作柄も不安定で、作付け面積は
だんだんと減ってきています。

 共同購入組織や生協などで、「国産小麦」パンというのは、ほと
んどこのハルユタカを使用したものでした。しかし、近年では、供
給量が充分でないので、ブレンドものに移行しているところがほと
んどと思います。

 後継品種としては「はるひので」というのが開発されていますが、
一般の国産小麦で、パンを作ることは、個人で趣味で作る場合はと
もかく、商業的には、ほぼ不可能です。

 ブレンドもの、というのは、ハルユタカを使用したりしなかった
りしますが、要するに任意の国産小麦をブレンドして、そこにグル
テンを添加したものです。

 このグルテンは、輸入品もあって、そちらの方が品質は良いので
すが、国産のハルユタカのグルテンも手配可能です。

 ハルユタカがないのに、ハルユタカのグルテンはある、というの
は、変な感じですが、ハルユタカは「クズ」が多く、こういう原料
にまわされる率が高いのだそうです。こういうところも、農家にハ
ルユタカが嫌われる一因だと思います。

 グルテンというのは「小麦たんぱく質」です。パンのでき具合は、
小麦粉に含まれるグルテンの量と質に依存します。

 国産小麦はこのグルテンの量も少ないのですが、質にも弱点があ
って、パン生地を練ったときの、粘りが弱く、なかなかきれいに膨
らまないのが欠点となっています。

 国産小麦でも、グルテンを添加してやると、まずまず良いパンが
できます。インターネットで、「ハルユタカ」で検索すると、通販
のサイトがありましたが、そこの写真では、袋に「ハルユタカ(ブ
レンド)」と書いてありました。ハルユタカ以外の小麦(国産)を
混ぜ、そのままではパンになりませんので、グルテンを添加してい
るものだと思います。

 皆さんが「国産小麦使用」というパンを買った場合、ほとんどは
こうしたグルテン添加のものになっているはずです。私は、国産小
麦でパンを作る、というときに、こうしたグルテン添加のものを使
用するのは、やむを得ないことと思います。そこまでして、こだわ
る必要もないような気がしますが。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

  価 格

 11年産の国内産の政府買入価格(銘柄区分U・1等)は、小麦、
大麦が0.73%、裸麦が0.72%引下げられ、小麦は60kg当たり8,893円、
大麦は50kg当たり6,384円、裸麦は60kg当たり9,197円とされた。政
府売渡価格(銘柄区分U・1等、税込み)は、12年2月1日から改
定され、それぞれ5.0%の引下げとなり、小麦は60kg当たり2,308円、
大麦は50kg当たり1,680円、裸麦は60kg当たり2,205円とされた。
 
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 これが問題の逆ざやの実態です。小麦の買い取り価格から売り渡
し価格を引くと、 6,585円/60kgになります。これに生産量をかけ
ると、 63,995,225,000・・約640億円です。これには管理費や金利
などは入っていませんので、小麦で出している政府の赤字は、軽く
一千億円を越えています。

 国の赤字も「兆」の単位でないと、なんだかたいしたことがない
ような気もしますが、いかがでしょうか。

 完全自由化されても、国産小麦が生き残るためには、この一千億
円を消費者が負担しなければなりません。一億二千万人で割れば、
年間千円以下の金額です。

 しかし、農産物の国際価格というのは、本当に安いですね。私た
ちの豊かな食生活は、そのおかげで成り立っているのですが、もう
少し何とかならないものかと思います。

 日本お得意の工業製品も、よく考えるとメチャ安い代物です。も
うずいぶん昔の話になりますが、「ステーキ1枚より電卓1個の方
が安い、不思議な国」と紹介されていました。

 で、自由化ということは、この安いものどおしが、国境を越えて
世界中を動いていく、ということでもあります。

 私は「食糧安保論」などというのは、馬鹿げた妄想だと思ってい
ますが、(平和時には不必要、戦争時には不可能だからです。)こ
ういう新しい国際環境の中で、日本で農業が生き残る、ということ
については、非常に難しい問題があると思います。

 もちろん、何とか生き残ってほしい、と思うのですが、ことは一
つの産業の盛衰の問題です。私のような部外者にできることはあま
りないと思いますので、よけいに悩ましい問題です。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 チェルノブィリの原発事故のころは、生協の仕入れ担当をしてい
ましたので、かの渦中の大騒ぎは身近に経験しました。あれからず
いぶんとたちましたが、未だに放射能汚染を言う人もいるのですね。

 あの事件のとき、印象に残っているのはどうしても乾物だと、水
分が少ないので、放射能(単位重さあたりの放射性物質の含量)が
多めに表示される、ということです。

 香辛料などはほんの僅かにしか使いませんし、お茶はそのまま食
べるものではありません。また、パスタも乾燥麺ですから、食べる
ときには水分を吸収した後の重量になります。

 要するに、食べるときには問題にならない量であっても、検査の
結果としては、高い数字になるのです。どうして、その食品の状態
に関わらず、一律の基準がいるのか、私には理解できませんでした。

 あの時、一番うまく立ち回ったのが、東京に中心のある、さる生
協グループ(生活クラブ)です。産直の無農薬茶(三重県産)から、
放射能が検出されたとして、大量に破棄し、それを宣伝に使ったの
です。

 私は今でも、これは許せない暴挙だったと思います。前述のよう
に、乾燥されたお茶の葉から、高い数値が出るのは当然のことです
し、その茶を飲んで、別に被害が出るわけでもありません。

 百歩譲って、危険な水準にあったとしても、無農薬で栽培された
農家の労苦に報いるためには、私たちはあえてその茶を飲むべきだ
と思います。実際、私たちの生協では、同じお茶を扱っていました
が、そう説明して、扱いを継続しました。

 そして一〇年ほどたって、こんどは久米宏さんの番組で、お茶が
こんどはダイオキシンで取り上げられたのですが、歴史は繰り返す、
というわけです。(これはこれで、別種の悪質な事件です。)

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--71号--------------- e-mail why@kenji.ne.jp -------------
--発行--渡辺--宏------- URL http://www.kenji.ne.jp/food/
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