安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>703号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------703号--2013.04.028------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「ニュースから」「シガテラ中毒」

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ブログ毎日?更新中

http://www.kenji.ne.jp/blog/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 中西準子先生のサイトで、今話題の大気汚染物質の話が出ていま
した。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 4月1日の「雑感」で、私は、環境省の専門家会議が、PM2.5の濃
度が70μg/m3を超えた場合、戸外の活動を自粛すべしという勧告を
決めたことに対し、危惧を呈した。

 その後、戸外のPM2.5の濃度と、屋内のそれが大きくは変わらな
いという結果があるのを知って、この勧告は大丈夫なのかとますま
す不安になった。これらの調査結果を見るまでは、戸外は高く、室
内は低いと思っていた。

(略)

 微小粒子状物質ばくろ影響調査報告書(2007)の、表2.1-3には、
屋内と屋外の値を比較した結果がある。表のタイトルは「屋外濃度
に対する屋内濃度の濃度比と比のばらつき」というもので、PM2.5
の「屋内濃度÷屋外濃度」の比が計算されている。

(略)

 測定値毎に「屋内濃度÷屋外濃度」の比を計算し、その平均をと
ったのが、一番上。つぎは、比の値は一定の広がりがあるが、例え
ば、取手市の春季で言えば、測定結果のほぼ2/3は、0.58(0.98-
0.40)〜1.38(0.98+0.40)の間に納まることを示している。

 最後のは、まず、屋外濃度と屋内濃度の平均値をとって、その比
をとった結果である。この結果を見ると、その比は非常に1に近い、
つまり、屋外と屋内に差がない。

 井上研究員はこう説明している:「なぜなら、PM2.5は、PM10や
オゾンと異なり、室外から室内への浸透率が大きく、室内濃度は室
外濃度に比べてそれほど小さくならないだろうと考えられます」と。

http://homepage3.nifty.com/junko-nakanishi/zak636_640.html#zakkan636
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 この前の記事で、汚染がひどいときは屋内待機というのが正しい
のかどうか、疑問を出されていました。

 そのときの趣旨は、屋内待機にも運動不足というリスクがあるの
で、簡単に考えてはいけない、というものでしたが、さらに根本的
に、屋外と屋内で汚染が同程度である、という事実があるようなの
です。

 これでは屋内待機はデメリットしかないということになってしま
います。

 屋内にいても、空気は絶えず入れ代わっています。換気が十分で
なければ人間は生きていけませんから、当然の話です。

 他の汚染物質では、換気の際に汚染物質はそれほど屋内まで入っ
てこないとされていましたが、粒子が十分に小さいものでは、空気
と同様に出入りしてしまうのでしょう。

 そしてこれが「分煙」ではダメな理由にもなります。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 中国で発生した微小粒子状物質(PM2・5)が大陸から飛来す
る越境汚染への関心が高まっている。 ところが、身近なところに
濃度が極めて高い場所がある。喫煙可能な室内だ。 例えば、禁煙
していない居酒屋だと、北京市の最悪時の濃度と変わらない。専門
家は屋内の全面禁煙を訴えている。

 「PM2・5はたばこの煙も危険だ」。医師らでつくる日本禁煙
学会は2月、こんな見解を発表した。 直径が2・5マイクロ(マ
イクロは100万分の1)メートル以下の微粒子は化石燃料や草木
などが燃えたときに発生する。 たばこの煙もそのひとつで、フィ
ルターを介せずに周囲に広がる副流煙に多い。

 中国から飛来するPM2・5よりも「受動喫煙の影響の方が大き
い」と主張する。 様々な研究者が実際に測定したデータをまとめ
た学会の資料には、ショッキングな数字が並ぶ。

 自由に喫煙できる居酒屋のPM2・5の濃度は空気1立方メート
ルあたり568マイクログラム。中国政府が「最悪」と評したとき
の北京市の大気とほぼ同じ水準だ。

 禁煙席でも、喫煙席とガラスや壁で完全に仕切られていない場合
は同336マイクログラムに達した。 日本癌(がん)学会など1
8の学会でつくる禁煙推進学術ネットワークが2月下旬に公表した
調査も、同じような結果だった。

 福岡市にある喫煙可能な喫茶店では同300マイクログラムを超
えた。 禁煙学会理事長の作田学医師は「禁煙学会に所属する医師
たちは2006年ごろからたばこのPM2・5問題を訴えてきた」
と話す。

 「客なら滞在していても1〜2時間なので影響は少なくて済む」。
こう考える人もいるだろう。 しかし、様々な研究から、多くの専
門家が短時間でも悪影響はあると結論づけている。1日中いる従業
員の場合はなおさらだ。

 産業医科大学の大和浩教授は「屋外の汚染を怖がるのなら、喫煙
可能な喫茶店や飲食店を怖がってほしい」と話す。 完全分煙にす
るか、室内を全面禁煙にしないと、効果は薄い。

 国立がん研究センターの推定では、受動喫煙で死亡する人は年間
6800人に達する。 英国やイタリアなど受動喫煙防止法を導入
した国では、心筋梗塞などのリスクが減ったとの報告がある。越境
汚染だけでなく、身近にリスクが存在することも認識する必要があ
りそうだ。

http://news.guideme.jp/kiji/92ff917ce62ce13adca60817020ce469
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 私もこの冬大連で、これは人間が生きていける環境ではないな、
と感じたことがあります。

 しかしよく考えると、喫煙可能な居酒屋とか、新幹線の喫煙車両
とかはそれ以上の汚染レベルなんですよね。

 近い将来、居酒屋や新幹線で働いていた人が肺ガンになったら、
職場を訴えれば確実に勝訴できると思います。

 そういうリスクを避けるため、何よりも従業員の健康を守るため、
不特定多数の顧客が入る施設は全面的に禁煙するしかない、と思い
ます。

 大切な従業員が病気になっても平気、巨額の賠償金も気にしない
という経営者がいれば別ですが。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@
kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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今回は休みます。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「シガテラ中毒」
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 「食品安全情報ブログ」に、シガテラ食中毒の話題がいくつか掲
載されていました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 2010年8月から2011年7月の間にニューヨーク市のDOHMHは合計28
人の関係する、シガテラ魚中毒(CFP)の6件のアウトブレイクと1件
の単一症例報告を受け取った。CFPはシガトキシンを蓄積するある
種の大型の補食性熱帯珊瑚礁の魚を食べると発症する。

 関与する魚はGrouper(ハタ)とバラクーダ(カマス:ニモのお
母さんときょうだいを食べた魚)
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20130201#p6
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 ドイツで魚によるシガトキシン中毒の最初のアウトブレイクが確
認された。科学者は外来魚の消費量が世界中で増加しているため問
題は増加すると主張している。

http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20130419#p11
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 上の記事でも触れられていますが、FDAからシガテラ食中毒に
関するガイダンスが発表されています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 米国食品医薬品庁(FDA)は3月26日、珊瑚礁に生息する魚の一次
加工業者向けガイダンス案を発表した。概要は以下のとおり。

 FDAは本ガイダンス案を発表し、シガテラ魚中毒症のリスクを極
力抑えるため、ハタ(grouper)、カンパチ(amberjack)、フエダイ
(snapper)、ミノカサゴ(lionfish)、オオサワラ(king mackerel)、
カマス(barracuda)等の珊瑚礁に生息する魚を購入する一次魚加工
業者が対策を講じるよう提言する。

 本ガイダンス案は、魚類・水産物の危害管理ガイダンス(第4版)
に記載されているシガテラ魚中毒症に関する既成の勧告を補完する
もので、新たに2種のミノカサゴ(Pterois volitansとPterois miles)
をリスク魚に加えた。

 シガテラ魚中毒症は、有毒な海藻類や魚類を捕食している魚を摂
取したときに生じる。シガテラ毒は、珊瑚礁に生息する魚類の肉に
蓄積し、特に捕食魚で濃度が高い。

 海産物の一次加工業者は、シガテラ毒を蓄積していそうな魚の購
入を控えることで、中毒症のリスクを抑えることができる。漁師か
ら直接買付をしている業者には、買う前に漁獲場所を確かめ、シガ
テラ毒発生域に関する知見に照らして汚染魚を判定するよう提言さ
れている。

http://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu03790820105
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 以下はシガテラ食中毒に関するブログ記事です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■レストランメニューの無神経な魚種選択

 渋谷のある無国籍料理のカフェレストランで、シガテラ中毒
(ciguatera)が話題となるイシガキダイがメニューにあり、びっ
くりしました(2004年1月)。コストダウンのためか魚料理は2種類
のみで、もう一つはカワハギの代替品として回転寿司などに見られ
るウスバハギ(学名:Aluterus monoceros)でした。

 イシガキダイは10年くらい前まではお寿司屋さんなどでもよく見
られた魚ですが、最近はほとんどの料理屋では提供を中止していま
す。

 ことに千葉県の割烹がイシガキダイのPL法訴訟で敗訴し、1000万
円を超える賠償判決が出てからは、料飲店のメニューからは消えて
いました。

 PL法以前であっても、プロとしては、常に食材や食中毒の知識を
充分に持つことが要求されていましたが、PL法が施行されてからは、
食材の知識がこれまで以上に必要です。

 訴訟における司法判断は「料飲業者はそれなりの知識を持って、
安全な商品を提供する義務」があるというものでした。

■シガテラ中毒(ciguatera)とは

 シガテラ中毒(ciguatera)は、世界で最も多い魚の中毒といわ
れます。

 熱帯地方を中心に毎年数万人の中毒が発生、死亡例も珍しくあり
ません。

 サンゴ礁を棲家にするバラフエダイ、オニカマス、ドクウツボな
どがシガテラ中毒原因として多いようですが、イシガキダイ、はた
類、カワハギ類など広範囲な魚からの中毒例が報告されています。

 渦鞭毛藻が生息するところには、シガテラ中毒(ciguatera)の
可能性がある、と理解することが賢明です。

 温暖化と共に日本など温帯地方にも数多い事故があり、最近
(2003年)では千葉県の料理屋が、中毒した客より訴訟をおこされ、
1260万円の損害賠償を判決されました。

■シガテラ中毒(ciguatera)の症状

 シガトキシン(ciguatoxin:CTX)の中毒は下痢や嘔吐の消化器障
害、血圧降下などの循環器障害、知覚異常などの神経障害などが挙
げられます。

 特徴的な症状ではドライアイス・センセーションがあります。

 ドライアイス・センセーションとは、非常に冷たいモノ(氷・ド
ライアイスなど)に触れたときに感じるピリピリするような痛みの
感覚。

 回復が遅いのが特徴で症状が数ヶ月以上続きます。

■シガテラ中毒(ciguatera)をおこす魚種

 以前はイシガキダイ、ハタ類など特殊な品種の魚のみに保有され
ると考えられていましたが、餌により魚の体内に蓄積保有されると
いうことが判明してからは、シガテラ毒をもつ魚は、オニカマス
(英名:barracuda:本州の魚市場でも売られています)(学名:
Sphyraena barracuda)、バラフエダイ(英通称:Large red mumea.
Twinspot snapper)(学名:Lutjanus bohar) などのフエダイ類、
ベラ類、ドクウツボ(giant moray)(学名:Gymnothorax javanicus)
サメ類など多種にわたり蓄積保有されることが判明しています。

http://www.botanical.jp/lib_id1-070807064922.php
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 日本でもシガテラ食中毒は沖縄では多発しており、特に「ミーバ
イ」という魚で多いようです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 シガテラ中毒は本来無毒な食用魚が食性によって徐々に毒化し、
匂いも味も正常魚と変わらないので、最近のように世界各国からの
魚介類の輸入が増えると、日常生活で中毒が起こる危険性が考えら
れます。 我が国では沖縄での発生が最も多いと言われています。

 類似の毒素にシガテリン(ciguaterin)、スカリトキシン
(scaritoxin)、マイトトキシン(maititixin)が知られています。毒
を持っと伝えられる魚にはバラフエダイ、イッテンフエダイ、ドク
ウツボ、サザナミハギ、オニカマス、マダラハタ、ギンガメアジ、
ナンヨウブダイ、ヒラマサ、カンパチ、イシガキダイ等があります。
沖縄からの報告では、ハタ科のミーバイによる中毒が殆どだったよう
です。
http://www2.incl.ne.jp/~horikosi/No200.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ところが、先日、テレビでこのミーバイを釣って、そのまま食べ
るという実にワイルドな番組をやっていました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

★青空レストラン ♯195 @沖縄

 名人とともに追う本日の食材は「ミーバイ」

 ミーバイとは沖縄の方言でハタのことを言うんだそうです

 今回はその中でも特においしいとされるアカジンミーバイを狙い
ます!

http://www.ntv.co.jp/aozora/location/2013/03/post-150.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 下の調査でもわかるように、釣ったミーバイを食べるのは負ける
確率の極めて高い賭になります。

沖縄近海におけるシガテラ毒魚の毒性調査
http://www.eikanken-okinawa.jp/shokuG/sigatera/dokusei.htm

 何よりも、このテレビを見て、ミーバイを釣って食べた人に被害
が出たらどうするつもりなのでしょうか。

 ただし、沖縄の飲食店でミーバイを食べても、危険ではないよう
です。実はほとんどが養殖なのです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

1.稚魚の育成

 沖縄県栽培漁業センターで飼育しているミーバイから卵をとり、
ふ化した稚魚に餌を与えて大きくします。約2ヶ月かけて6cm程度の
大きさまで育てたあと、県内各地の生産者へ供給されます。

2.養殖

 稚魚は、陸上または海上の生け簀で、生産者による適正な管理の
もと、国産の配合飼料を使って、1.5〜2.0kg程度まで大切に育てら
れます。稚魚から出荷サイズに育つまで2年程かかりますが、美味
しいミーバイを育てるために頑張っています。

3.出荷

 生け簀から取り上げたその日のうちに、活魚または〆(しめ)た状
態で、鮮度を保ったまま出荷されます。

養殖所

 本島では与那城、糸満、羽地、浦添、宜野湾、離島では伊平屋、
伊江、渡嘉敷、座間味、八重山の各地で養殖されています。どの場
所も透明度が高く、恵まれた環境で沖縄ミーバイは育てられていま
す。

http://miibai-okinawa.net/
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 想像するに、あのテレビは実は「ヤラセ」で、実際に食べていた
のは養殖ものではないでしょうか。本当に釣ったものなら、ローラ
ちゃんにそんなものを食べさせるな!というところです。

 ところで、シガテラ食中毒の毒素であるシガトキシンはフグの毒
であるテトロドトキシンよりはるかに強い毒で、かなり複雑な構造
を持つ巨大分子です。

 そのシガトキシンを合成したというニュースが2001年にありまし
た。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 科学技術振興事業団(理事長 沖村憲樹)は、戦略的基礎研究推
進事業の研究テーマ「超天然物の反応制御と分子設計」(研究代表
者:平間正博 東北大学大学院理学研究科教授)で進めている研究
の一環として、サンゴ礁周辺の魚介類によって引き起こされる海産
物食中毒(シガテラ中毒)の原因毒シガトキシンを人工的に全合成
することに成功した。

 これにより、毒を含む魚の簡便な検出方法の開発や、中毒・メカ
ニズムの解明に向けた研究への貢献が期待される。この研究成果は、
東北大学大学院理学研究科の平間正博教授、大石徹講師(現、大阪
大学大学院理学研究科講師)、井上将行助手、大栗博毅助手、東北
大学大学院生命科学研究科の佐竹真幸助教授、東北大学大学院理学
研究科博士後期課程3年生の上原久俊氏、同2年生の丸山潤美氏に
よって得られたものであり、11月30日付の米国科学雑誌
「Science」で発表される。

 主に熱帯亜熱帯のサンゴ礁海域で起こるシガテラ中毒は、毎年2
万人を越える人達がかかる世界最大規模の海産物食中毒である。そ
の原因毒シガトキシンの毒性は、フグ毒(テトロドトキシン)より
百倍近くも強いが、一匹の魚に含まれる量が極微量なので中毒して
も死亡することは少ない。

 しかし、神経(ナトリウムチャネル)に作用するので、知覚・温
覚異常、目まい、倦怠感、掻痒、関節痛、下痢、嘔吐、腹痛、脈拍
・血圧低下、マヒ、昏睡などに苦しむことになる。しかも回復が遅
いのが特徴で症状が数ヶ月以上続く。

 シガテラ中毒は、フグ毒とは違って、本来無毒な沢山の種類の食
用魚が突然毒化して発生する。しかもシガトキシンを含む魚の味も
匂いも全く正常魚と変わらないので、今後益々魚介類の輸出入が盛
んになると、シガテラ中毒の温帯地域での発生が増加する危険が指
摘されている。

 しかし、魚から抽出できるシガトキシンの量が極微量なので、毒
を含む魚の簡便な検出法が開発されておらず、しかも神経薬理学上
の研究や、作用のしくみ等の研究も大変立ち遅れている。

 そこで、有機化学の総力を結集したシガトキシンの人工合成が世
界中で検討されて来た。しかし、シガトキシンは、環状エーテルが
13個(ABCDEFGHIJKLM 環)つながった3ナノメーターの長さの巨
大分子であり、それだけでも合成が難しい8,9員環を有し、57
個の炭素、16個の酸素原子、30個を越える不斉炭素を持ち、通
常の化合物に比べて大変複雑な構造を持っているため、合成は極め
て困難であった。

 今回、平間らは、左右2つのフラグメントを連結する際に、間に
新たに2個の環を作りながら連結する画期的な分子構築法を考案し
て、AB + E = ABCDE, (H)I + LM = (H)IJKLM, ABCDE + HIJKLM =
ABCDEFGHIJKLM の様にして、小さな単環または2環の簡単なフラグ
メントから13個の環構造を効率良く収束的に全合成することに世
界で最初に成功した。

 今回全合成されたのは、CTX3C と呼ばれる草食魚に多く含まれる
シガトキシンであるが、平間らの分子構築法は、少しづつ構造の異
なった仲間のシガトキシン類3種や様々な関連化合物の合成にも適
用できる。

 この研究は、現代有機合成化学の最も困難な課題に挑戦して解決
したランドマークであり、当該基礎研究分野の一層の発展を促すば
かりでなく、シガトキシンの人工供給が実現されると、今後自然生
態系を破壊することなく、以下のような科学他分野や社会への貢献
が期待される。

This page updated on November 30, 2001
http://www.jst.go.jp/pr/report/report193/
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 そんな猛毒を合成して何が楽しいのか?と思わないでもないです
が、やはり研究を進めるには対象物をよく知らないといけないです
からね。

 巨大分子の構造式が以下のサイトに出ています。

Ciguatoxin
http://www.chem.tsukuba.ac.jp/kigoshi/j/ciguatoxin_j.html

 巨大と言っても顕微鏡で見えるわけではありませんから、いった
いどうしてこんな構造を確認したのか、いつも不思議に思うところ
です。

 それはさておき、この件でわかる教訓は次のことです。

「サンゴのある海でとれた魚を食べるのは危険」

 やはり魚は北の冷たいけれど豊かな海で採れたものや、海流に乗
って動き回っているものがよいですね。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 土曜日の朝のテレビで、ニューカレドニアの景色が映っていまし
た。私が初めて海外に出たのが、17年ほど前に行ったニューカレ
ドニアでした。あの時は仕事だったので、今度は妻と観光旅行で行
きたいものです。当時のニューカレドニアは独立運動の余韻がまだ
あって、いずれは選挙で決着するということでした。それもいつの
間にかうやむやになり、今でもフランス領のままです。

 熱帯の海はとても美しいけれど、実は生物資源の量は少なくて、
寒い海よりも豊かではない…そんなことを教えてもらったのも思い
出です。見学したのはエビの養殖場でしたが、養殖の排水で周囲の
海も豊かになる試みをやっていました。その海で魚介類をとって暮
らしている人もいましたが、シガトキシンも少しは摂っていたので
はないかなどと思います。

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