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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------663号--2012.07.22------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「ニュースから」「Q&A」「食品表示」

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ブログ毎日?更新中

http://www.kenji.ne.jp/blog/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 めずらしい食中毒のニュースがありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 米子保健所は17日、境港市内の親子がエゾボラモドキ(赤バイ
貝)を食べ、食中毒を起こしたと発表した。もらった貝を16日夜
に食べ、40代の母親と10代の息子がめまいや手足のしびれなど
を訴えていたが、現在は回復しているという。調理の際に、毒が含
まれる唾液腺を切り取らなかったことが原因。親子は、毒があるこ
とを知らなかったという。県内では、6〜8月は禁漁期間にあたり、
現在は市場に出回ってはいないという。

http://mainichi.jp/area/tottori/news/20120719ddlk31040442000c.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「赤バイ貝」に毒があるというのは知りませんでした。以下のよ
うな説明があります。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 エゾボラモドキ(蝦夷法螺擬)は、赤バイ貝という流通名で知ら
れる吸膣目エゾバイ科エゾボラ属の巻貝です。 貝殻は薄赤茶色で
表面に突起はありません。

 唾液腺にテトラミン毒があるので取り除いて食べないとめまいや
嘔吐、脱力感などの食中毒を起こします。

 調理前に適切に除去すれば食用となります。テトラミン毒は加熱
しても効果はありません。

http://www.kagiken.co.jp/new/kojimachi/shell-ezoboramodoki_large.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 それから、昨年までは謎の食中毒とされていたヒラメの食中毒も
発生しています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 山形県は18日、新庄市の飲食店で食事した5人が下痢や嘔吐お
うとなどの症状を訴え、同店で提供された韓国産養殖ヒラメの刺し
身から寄生虫「クドア・セプテンプンクタータ(クドア)」が検出
されたと発表した。

 県はクドアを原因とする食中毒と断定。ヒラメの廃棄で、食中毒
の拡大や再発を防止できることから、営業停止処分は行わなかった。
クドアによる食中毒は県内で初めて。

 県食品安全衛生課によると、5人は14日昼に同店でヒラメの刺
し身を食べ、約4時間後に症状が出た。4人が医療機関を受診し、
うち1人が入院したものの、18日現在、全員が快方に向かってい
るという。

 厚生労働省によると、クドアは養殖ヒラメに寄生することが確認
されており、昨年6月、食中毒の原因物質に加えられていた。

(2012年7月19日14時21分 読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120719-OYT1T00603.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 韓国産ヒラメについては、少し因縁があります。以下は昨年10月
4日のニュースです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 韓国農林水産検疫検査本部は4日、日本政府が韓国産ヒラメに実
施してきた精密検査を、9月22日から全面的に免除したと明かした。
複数の韓国メディアが報じた。

 韓国で採れたヒラメは日本に輸出される際、精密検査が行われて
いたが、通関に時間がかかり検査待機費用が発生していた。パク・
ヨンホ本部長は、輸出業界の負担が大きいことから日本政府と話し
合いを続け、検査緩和措置の合意に至ったと説明した。

 検疫検査本部側は、今回の検査免除で日本にヒラメを輸出する時
にかかっていた年間49万7000ドル(約3800万円)の通関遅延料を、
削減できるとみている。また価格競争の高まりにより、日本国内で
韓国産ヒラメの消費が増え、輸出量が拡大するのではないかと期待
感を示した。

http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=1004&f=national_1004_128.shtml
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 どういう経緯で検査が不要になったのかはわかりませんが、前に
紹介した貝の汚染の話とともに、気になるところではあります。

 最後に、前に紹介した「トクホ」の話で、こんな記事がありまし
た。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

花王が販売中止したエコナ油再起狙うも、効能認められず

 「エコナをいつか復活させたい」

 今年4月、花王の尾崎元規会長は、自身の社長退任に当たり、悔
しさをにじませながら語った。そうした思いとは裏腹に、再発売に
は黄信号がともっていることが週刊ダイヤモンドの調べでわかった。

 食用油のエコナは、発がん可能性成分が多く含まれていることで
2009年に販売を中止した。発がん性については食品安全委員会で審
査を継続中だ。同社は、「発がん性の懸念はない」としており、公
的に安全性が確認された上で再発売するもくろみだった。

 風向きが変わったのは昨年11月のこと。花王は欧州食品安全機関
(EFSA)に対して、エコナの主要成分であるジアシルグリセロール(D
AG)油を摂取することで体重が減少するという健康機能表示を行い
たいと申請した。日本での再発売に向けて、まずは海外で機能の高
さについてお墨付きをもらおうという狙いだ。ところがEFSAは、体
重減少の効果は認められないという結論を出したのだ。花王は「栄
養学的に見て、十分に体重減少との関係が証明されている」と強弁
するが、後の祭りだ。効能なしの烙印を押されてしまった。

 エコナは、かつて日本では特定保健用食品(トクホ)として認めら
れ、体に脂肪がつきにくい効果の表示を認められていた。一方、EF
SAが認めなかったのは、審査基準が厳しいからだ。食品でありなが
ら、「医薬品並みの厳格な審査」(業界関係者)といわれる。

 ただしEFSAが特別に厳しいわけではない。食品による健康機能表
示は、世界的に厳格化されている。日本のトクホもエコナ問題で信
頼性が揺らぎ、誇大広告が蔓延していることから、審査や運用の厳
格化を検討している。

 エコナはピーク時には数百億円の売上高を誇った製品だけに、
「虎の子」として環境を整えてから、再発売するもくろみだった。
だが自らの失策で再発売は遠のいてしまった。

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120711-00021327-diamond-bus_all
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 信頼性がゆらいでいるのは「エコナ」だけではなくて、「トクホ」
全体が怪しいということなんですが…。

 トクホの許可基準が緩すぎて、ヨーロッパでは相手にされない程
度の根拠で認めているというのがバレてしまった、というのが事の
真相です。

 エコナ騒動のときは花王に同情しましたが、やはりトクホ商法そ
のものに無理がある、というのが私の意見です。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@
kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.牛のたたきをお客様に提供するときでもユッケ同様に扱わなけ
ればならないのでしょうか?

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A.普通「牛肉のたたき」というと、牛肉のかたまりの表面をあぶ
って、火が通った状態にして、中身は生のままのものですよね。食
中毒に関連する微生物は牛肉の表面にいると考えられますので、と
りあえず問題はないと思います。現に、今でも普通に売られている
のではないでしょうか。

 ユッケの場合も、ミンチにする前に牛肉のたたきのような加工を
して、表面を殺菌してから使うことを求められています。

 ユッケは「生肉を」「ミンチにして」食べるという、とても筋の
悪い食べ物です。誰が考えたのかは知りませんが、一般的に言って
食べるべきものではありません。

 所定の加工をすればよいことになっていますが、実際に完全に汚
染を取り除くのは難しく、調理中に汚染することもあり得ますので、
ユッケはどんな場合も食べない方がよいと考えています。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「食品表示」
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 以前から食品表示についての検討会が開かれていて、FOOCOM.NET
では定期的に報告が出ていました。

 20日の会議の報告が早速ニュースになっています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

食品表示 分かりやすく 3法律の規定 一元化

 食品の安全性や品質に関する表示制度の見直しを考える消費者庁
の有識者検討会が二十日、東京都内で開かれ、消費者により分かり
やすく改善するため、三つの法律で別々に規定している表示基準を
新たな法律に一元化し、新制度をつくることでほぼ合意した。

 現在、食品の包装に記載される表示は日本農林規格(JAS)法、
食品衛生法、健康増進法の三法に基づく情報が混在し、内容も多す
ぎて分かりにくいといった指摘がある。新制度では消費者に重要な
情報を厳選して表示を簡素化し、高齢者でも見やすいよう文字を大
きくする。

 また健康への関心の高まりを受け、これまで任意だった栄養成分
の表示を、原則全ての加工食品に義務付ける。

 消費者庁は、近く検討会がまとめる報告書を受け、新法案を来年
一月の通常国会に提出する方針。具体的な表示内容などの詳細は、
法案づくりと並行して検討を続ける。栄養成分の表示義務化は事業
者に準備期間が必要なため、新たな法律の施行後五年以内になる見
通し。

 現行の基準は、(1)商品を選ぶ際に参考となる原産地などはJ
AS法(2)添加物名など安全に関する情報は食品衛生法(3)脂
質や糖分などの栄養成分は健康増進法−でそれぞれ規定。用語が統
一されていない一方で、賞味期限や保存方法は複数の法律で表示を
義務付けるなど複雑だった。

 消費者庁は今後、表示義務の対象となる情報を再検討し、優先順
位の低い情報は包装ではなく容器の内側など別の方法で提供するこ
とも考える。

 表示義務対象外の外食店舗の料理やスーパーの総菜などについて
は「命に関わるアレルギー表示は必要」「義務化は難しい」との両
論がある。今後、検討会とは別の場で事業者の自主的な取り組みを
促す方法などを議論する。

 加工食品の原料原産地の表示義務も対象を拡大するかどうかを検
討する。

 表示の簡素化をめぐっては消費者団体から「コスト削減を目指す
事業者寄りの考え方で、消費者の視点が欠けている」との批判も出
ている。

 食品表示 生鮮食品や加工食品、飲料の包装容器などに記載・表
示される賞味期限や原材料名、原産地、保存方法、含まれる添加物
やアレルギー物質などに関する情報。消費者が商品を比較し、購入
する際の参考となる。食品衛生法や日本農林規格(JAS)法、健
康増進法がそれぞれ表示基準を規定しており、表示を偽るなどした
場合の罰則もある。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012072102000251.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「新制度をつくる」ことは合意したものの、検討課題もまだ残っ
ているようです。

 この記事から論点を整理すると、以下のようなところです。

(1)法律の一本化

(2)表示の方法

(3)栄養表示の義務化

(4)原料原産地の表示

(5)加工食品以外の表示

 (1)、(2)については特に問題ないと思います。

(3)栄養表示の義務化

 これは諸外国では既に実行されていることですし、日本でも大手
メーカーは既に対応済みです。

 栄養表示はいらない、という議論にはなりそうもないので、全面
的に義務化する必要があるのか?ということが問題になります。

 このとき、問題になるのが二つの面で、一つは商品のサイズの問
題で、要するに印刷する面積が足りないときはどうするのか?とい
うことです。

 普通に考えて、そういう小さな商品は栄養的に言ってもほとんど
無視できるので、一定のサイズ以下は免除ということ以外は考えに
くいです。

 もう一つは零細業者まで含めて義務化するのか?という問題です。

 栄養表示については、表示する値を決めるときに二つの方法があ
ります。一つは実際に商品そのものを分析する方法です。もう一つ
は原料の栄養成分表から得た値で計算するものです。

 分析した値の方が確かそうですが、実際は自然の材料の栄養分に
は常に変動があり、正確な栄養成分を求めるのは難しいのです。し
たがって、分析値の方が信頼性が足りないと思います。

 栄養成分表を使えば、だいたいのところはつかめますので、いろ
んな原料を使う加工食品では、この方法で充分です。そして今は原
料の名前と配合比を入力すると、栄養成分を表示してくれるソフト
が実用化されています。

 だいたい、給食や食堂で栄養成分を表示しているところは、そう
いうソフトを使っているはずです。

 そんなソフトを使えない零細業者でも、どうせ商品数は大したこ
とはありませんから、保健所かどこかで使えるようにすれば充分で
しょう。

 ということで、栄養成分表示については私は義務化もよいのでは
ないかと考えています。

(4)原料原産地の表示

 これは加工食品についてはかなり無理筋です。原料原産地を特定
できる商品なら、それをアピールしたいから自発的に表示するでし
ょうし、大抵の食品加工の現場では、特定すること自体が無理とい
うことがあります。

 商品を開発するとき、何か特定の原料を使って、それを売り物に
したいということがあります。主原料に某地産のこういうものを使
う、と企画段階で出すわけです。

 こういうものなら、別に指示されなくても、表示しないはずがあ
りません。

 特にそういう企画ではない場合、原料の取得先は状況によって変
わってきます。

 メーカーが意識的にコントロールできる場合もありますが、中に
はメーカーの力が及ばないところで変わることもあります。

 つまり、原料原産地表示を一般化するのは不可能としかいいよう
がないのです。

 その上、この件のタチが悪いのは、裏に「国産信仰」が隠されて
いることです。このことについて、以下のような報告があります。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 表示が進むことで国産原料を選ぶことは良いことであるという意
見も出た。

http://www.foocom.net/secretariat/foodlabeling/7195/
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 また、こんなことも書かれています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 原材料が国産かどうかを表示する考え方は、外国産原料を差別す
るという点でWTOでは認められていないとの指摘もあった。

http://www.foocom.net/secretariat/foodlabeling/7195/
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------
 
 要するに「国産原料」を使うことを勧めたいという意向があるわ
けです。

 表示をどのようにするか?という検討にこんな考えを持ち込むの
はよくありません。行政のさじ加減で産業をコントロールしようと
する、独裁国家のやり方ですね。

 ということで、「原料原産地表示」はナンセンスの一言です。

(5)加工食品以外の表示

 これは結構悩ましいです。レストランなどでの栄養成分表示は悪
いことではありませんが、必要があるかと言うと、そうでもありま
せん。

 現在でもやっているところはありますが、あくまでレストラン側
の自主的な表示で充分です。

 栄養成分表示を売り物にする店があってもよいし、そういう客層
ではない店に表示を強制しても、誰も見ないだけです。

 問題なのは、スーパーの店頭などで、量り売りの体裁で売ってい
る商品があります。キムチや漬け物などが多いのですが、惣菜なん
かもあります。

 包装された加工食品には表示が義務づけられていますが、ああい
うのは全くの野放しなんですね。

 これは食品安全のかなり大きな穴であると思います。売り場に表
示をさせるとともに、売ったときにラベルを発行させて、そのラベ
ルに一般の包装された商品と同等の表示をさせるべきです。

 私はああいう量り売りの商品は絶対買わないようにしています。
あんな表示もないものを平気で買える人の気がしれません。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 私には二人の息子があります。上の方はソフトウェア開発をして
いて、しばらく前に栄養成分を計算するソフトを作っていました。
病院の給食などで使われているものだと言っていました。

 下の方は獣医で、現在は犬や猫の保健担当です。同じ職場に「食
監」もあり、しばらくはそれもやっていました。先日聞いた話です
が、その「食監」のメンバーが今とても忙しいのだそうです。

 例の「駆け込み需要」の関係で、食中毒が多発しているらしいで
す。食中毒はなかなかニュースになりにくいのですが、実態はかな
り深刻なようです。駆け込み需要を煽ったマスコミ諸氏には猛省を
うながしたいところです。

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