安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>662号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------662号--2012.07.15------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「ラクトパミン」

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ブログ毎日?更新中

http://www.kenji.ne.jp/blog/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 こんなメールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 わたしはYahoo! 知恵袋に入り浸っておりますが、その中で気に
なる質問がありました。

 福島原電事故のつながりで日本近海の魚が5年間食べられないと
いうのです。これは本当でしょうか? 敦賀原電事故のときにも放
射能漏れがありましたが、魚云々は言われていなかったように思い
ます。

 ちなみに福島県沿岸の魚を試験的に採ったところ、放射性物質は
不検知だったそうですが。この投稿者はそのことを知らなかったの
でしょうか?

 なんだか、山本夏彦さんのエッセイを思い出します。

 あれは危険、これも危険と気に病みすぎで心因性の病気になるく
らいなら、なんでも食べたほうがいいと思いますがね。

 話がそれました。よろしくお願いします。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 魚に関する最新の情報は以下のようなものです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 福島県相馬市の相馬双葉漁業協同組合は22日、東京電力福島第
1原発事故以降自粛していたタコなど3魚介類の販売目的の漁を再
開した。県漁業協同組合連合会が18日に県内漁協の組合長会を開
き、安全が確認されたとして再開を認めていた。再開するのはミズ
ダコ、ヤナギダコ、シライトマキバイ(ツブ貝)で、いずれもモニ
タリング検査で長期間放射性物質が検出されていない。県内漁協は
いずれも事故以降出漁を自粛しており、福島県沖の漁再開は1年3
カ月ぶり。

(略)

 厚労省によると、昨年4月以降、福島県沖でモニタリング検査を
行った魚介類は計165魚種。厚労省は「今回出荷停止の指示がな
かった魚介類の出荷は問題ない」としているが、福島県は今年1月
以降、基準値は下回るものの同50ベクレルを超えた11魚種およ
び、検査件数が10件を下回る魚種については、十分な検査を行い
安全性が確認されるまで出荷を見合わせる。

http://sankei.jp.msn.com/life/news/120622/trd12062219020023-n1.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 福島県でも既に漁業が再開される状況になってきています。外国
の反応は以下のようなところです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 訪日中のマリア・ダマナキ欧州委員(漁業・海洋担当)は11日、
東京電力福島第1原発事故を受けて実施している日本からの魚介類
の輸入規制について、今秋にも一部緩和する意向を示した。都内で
行われた郡司彰農相との会談で明らかにした。

 会談でダマナキ委員は日本と欧州連合(EU)の両方のデータを
基に、放射性物質による汚染の危険性がほぼゼロまで下がったと指
摘し、「(EU当局に)放射能汚染のモニタリング制度の見直しを
指示する」と述べた。

 EUは現在、日本産食品を輸入した国でサンプル調査する規制を
実施。福島県など被災地を中心とした東日本の12都県からの輸入
品は日本政府の発行した放射性物質の検査証明書を要求するなどし
ている。

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/120711/biz12071113460010-n1.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 EUも「危険性がほぼゼロ」と認識しています。これに対して、
日本の規制が思わぬところで被害を出しています。

 「輸入時における輸入食品違反事例」
http://www.mhlw.go.jp/topics/yunyu/ihan/

 を見ると、7月にこんな事例がありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

ブルーベリージャム(BLUEBERRY JAM)
フランス(ブルーベリーの原産国:ポーランド)
放射性物質(セシウム) 150Bq/kg 検出

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 今年の3月以前の輸入食品に対する規制値は370Bq/kgでしたので、
今までは問題なく輸入できていたものです。日本の新基準のとばっ
ちりで輸入できなくなったのですが、関係者には気の毒な話ですね。

 さて、現在出荷規制されている魚種を含めて、既に一度や二度食
べて「危険」と考えられる魚は日本近海にはありません。

 ある人がネット上で、論争相手に対して「2000ベクレルの牛
肉を送りつけてやる!」と言ったら、相手側から「ぜひ食べたいの
で送ってください。待っています。」と言われた…という話があり
ます。
http://blogs.bizmakoto.jp/kaimai_mizuhiro/entry/5012.html

 この話の真贋はわかりませんが、ここで語られている「2000
ベクレル(/キログラムでしょう)程度なら、危険でも何でもない
というのは本当のことです。

 「日本近海の魚が5年間食べられない」というのは事実とは無関
係の「願望」ですね。こういう不幸な事態を願望するというのは、
いったいどういう考え方なのか理解に苦しむところです。

 危険なのはこっちの方で、とうとう犠牲者が出てしまいました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

禁止前にレバ刺し食べ?O157感染の男性死亡

 千葉県は13日、腸管出血性大腸菌O157に感染した同県市川
市の70代の男性が、多臓器不全で死亡したと発表した。感染経路
は不明だが、6月末に飲食店で、7月から提供が禁止された生の牛
レバー(レバ刺し)を食べており、関係を調べている。県によると、
男性は6月29日、妻と親類の男性と3人で県内の飲食店を訪れ、
レバ刺しを食べた。妻らは食べておらず、発症していないという。
男性は5日、腹痛や下痢の症状を訴えて市川市の医療機関を受診。
症状が悪化したため10日、浦安市の病院に搬送された。男性には、
脳梗塞や糖尿病などの持病があったという。

http://www.sponichi.co.jp/society/news/2012/07/14/kiji/K20120714003674820.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 このニュースからは生レバーが原因と確定したわけではなさそう
ですが、限りなくクロに近いというところでしょう。

 いい歳をして、持病もあるのに、バカなことをしたものです。

 「生レバー禁止」を批判し、禁止前の駆け込み需要を煽っていた
マスコミ諸氏には責任を明らかにしていただきたいものです。

 最後に、前回の記事の「食品照射の味」について、こんな報道が
ありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

「色、においの差なし」! 牛の生レバー、消費者グループが放射
線照射テスト

 実験に使ったのは、通信販売で取り寄せた北海道産の冷凍牛生レ
バー5人前(1人前80〜110グラム)。日本原子力研究開発機
構(JAEA)高崎量子応用研究所のコバルト60線源を用いて、

▽基準(N)=冷凍状態で非照射

▽A=冷凍状態でコバルト60線源1・5キログレイ照射

▽B=同3キログレイ

▽C=解凍して非照射

▽D=同1・5キログレイ照射

 の5サンプルで、色とにおいを比較した。1・5キログレイと3
キログレイは、生のひき肉を使った実験でO(オー)157の殺菌
効果が確認された線量。

 比較検討したのは、円卓会議会員と外部参加者の17人。その結
果、色については、冷凍状態で照射したものを「少し色が濃い」と
表現した人もいたが、全体としては「非照射と同じ」が大半だった。
においは照射と非照射で差はなかった。

http://www.sankeibiz.jp/econome/news/120712/ecc1207121057001-n2.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 前回の論文では「メガグレイ」の照射でしたが、このテストは
「キログレイ」です。実際にはこんな線量でよいのですね。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@
kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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今回は休みます。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「ラクトパミン」
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 少し古いニュースですが、今年の3月にこんな報道がありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

★吉野家、米牛肉問題で牛丼の販売停止[食品]

 台湾吉野家は8日、牛肉の調達で十分な量を確保するのが困難だ
として、牛丼など牛肉を使ったメニューの販売を停止した。飼料添
加物ラクトパミンを含んだ米国産牛肉への不信感が高まったことを
受けた措置。米国産牛肉の輸入解禁問題を受け、供給量不足を理由
に関連商品の販売を全面的に停止したのは同社が初めて。

 台湾吉野家がNNAに対して明らかにしたところによると、同社
が使用する牛肉は全て米国産。条件付き輸入解禁で不信感が高まる
中、今月5日から輸入業者に対して検査を実施、安全で十分な量の
牛肉を仕入れることは難しいと判断した。豪州やニュージーランド
産への切り替えも検討したが、すでに仕入れが困難な状況となって
いる。

 これを受け、域内54店舗で牛肉を使った全てのメニューの販売を
8日午後から停止することを決めた。販売再開のめどはたっていな
い。今後は、豚肉や鶏肉、野菜などを使ったメニューを強化する方
針。新たな商品の開発も進めている。

 政府がラクトパミン入り牛肉の輸入を条件付きで解禁する方針を
固め、米国産牛肉の安全性への不安が高まってからは客足が2割ほ
ど減っている。実際の損失額の見通しについては「試算中」(管理
部門幹部)としている。

http://vipper4news.doorblog.jp/archives/4074358.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 このころ、台湾では結構騒ぎになっていたようです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

ラクトパミン入り米産牛肉輸入解禁、台北で反対デモ
2012/03/08 18:27:37

 行政院が5日夜、条件付でラクトパミン(肉の赤身を増やすため
の飼料添加物)を使用した米国産牛肉の輸入を解禁する方針を明ら
かにしたことを受け、中華民国養豚協会が8日、台北市内で大規模
の反対デモを行った。

 政府は、明確な規定のないラクトパミン残留量について一定の基
準を設け輸入に踏み切る構えで、現在のところ牛肉のみを対象とす
る方針だが、養豚業者の間には、一度基準を設定すればラクトパミ
ン使用の豚肉輸入が開放されるのも時間の問題との懸念が出ている。

 このため、政府の解禁方針に反対する台湾各地の養豚関係者8000
人以上(主催者発表)がきょう午前11過ぎ、台北市内の立法院(国
会)に集結し、「解禁反対」、「国民の健康を守ろう」、「陳冲行
政院長、退陣しろ」などと訴えた。デモ参加者のほか、一部の立法
委員(国会議員)や、複数の民間団体による「反米牛連盟」も姿を
現し、声援を送った。

 デモ隊は午後には立法院から南に約1.5キロ離れた農業委員会に
到着しスローガンを連呼、警察との間で小競り合いも起こったが、
デモは無事に終了した。

 政府は5日、輸入解禁の政策方針として「安全許容量のみ」、
「牛肉のみ」、「標示の義務化」、「内臓は排除」の4原則を確認
した。豚肉および、ラクトパミンを除く肉の赤身を増やすための
化学物質は対象外とされている。

http://japan.cna.com.tw/Detail.aspx?Type=Classify&NewsID=201203080015
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 台湾政府の動きはこんなものでした。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

衛生署:ラクトパミンの許容基準値「10ppb」未満
2012/03/07 18:46:33

 行政院が5日夜、条件付で「ラクトパミン」(肉の赤身を増やす
ための飼料添加物)」入り米国産牛肉の輸入を解禁すると発表した
のを受け、行政院衛生署は6日、3カ月以内にも同添加物の残留基準
値を設定し、その上限は2007年に予告した「10ppb」より厳しくな
るとの見方を示した。

 衛生署は2007年に練った草案の中で牛の筋肉に含むラクトパミン
の残留量について10ppb(10億分の1)とする許容基準を設けていた。
しかし、これは1993〜1996年の国民の栄養調査に基づき算出した値
で資料が古すぎるほか、国民の牛肉の摂取量も当時より増えている
という背景がある。

 これらを踏まえて衛生署は、2003〜2006年までの栄養調査をもと
に、異なる性別・年齢層・心臓病患者の牛肉摂取量などを算出後、
肉類のラクトパミン残留基準値を設定する方針。

 日本、韓国、カナダ、マレーシア、FAO(食糧農業機関)/WHO
(世界保健機関)合同食品添加物専門家会議では、牛の筋肉のラク
トパミン残留基準値を10ppbに定めている。

 政府の輸入解禁方針に対し、消費者団体などは強く反発、各種抗
議活動を計画しているほか、ラクトパミンの使用禁止を法制化すべ
きだと訴えている。

http://japan.cna.com.tw/Detail.aspx?Type=Classify&NewsID=201203070010
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 アメリカでは普通に使用されているが、他国では承認されない、
という物質は他にもいろいろありますね。

 どれも理由は純粋に科学的な問題ではなくて、政治的経済的なも
のです。

 以下はラクトパミン推進派の文書ですが、解説が詳しいので紹介
します。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

1)塩酸ラクトパミンとは

 豚の仕上げ期に3-4週間(5-10ppm)飼料に添加する動物薬で、飼料
の中の栄養成分を有効に利用し、生産性を改善させる。世界の主要
な養豚生産国では豚の飼料節減を可能にする畜産資材として高く評
価されている。1頭あたり、飼料12Kg節約、窒素排泄20%減少、糞
量12Kg減少することができる。

2)塩酸ラクトパミンの安全性

 日本では当初、厚生労働省が食品衛生委員会に諮問し残留安全性
評価を行ったが、米国FDAの残留基準は妥当であると結論してい
る。その後、食品安全委員会―厚生労働省が再度科学的評価を行い、
残留基準値を設定しているが、これはCODEXで検討された残留基準
値とも一致している。一方、CODEXでの審議は上部委員会であるCAC
において、中国より反対意見があり最終決定は来年まで持ち越され
ている。

 ヒトがラクトパミンを使用して育てた豚の肉を食べて何らかの異
常を起こすには、一日に豚の肝臓を14Kg、豚肉であれば100Kg以上
食べる必要がある。今回、中国等で問題になっているクレンブテロ
ール(中毒事故が起きたことがあり、化学構造がラクトパミンと似
ている)は通常の豚肉摂取量で中毒が起こる。

3)経緯

 1999年 米国で承認された後、メキシコ、オーストラリア、カナ
ダなどEUと中国を除く主要養豚国で承認されて広く利用されており、
日本国内でも利用したいと考えて2006年から、国内で効果試験、残
留性試験を実施、2008年1月に農林水産省に資料が提出された。

 2008年6月、ヨーロッパや中国等で事故を起こしたクレンブテロ
ールと類似するとの理由で、塩酸ラクトパミンを使った豚肉の輸入
を阻止しようとする動きがあり、農林水産省の審議がストップした
ままである。

 2008年8月、農林水産省と協議した結果、以下の点が指摘された。

■新しい物質には消費者が抵抗感を持つのが普通なので、まず関係
者の理解を進める。

■日本の豚肉の差別化の方向の中で飼料添加物のニーズは低いので
はないか。

■政治的に不安定な時期でもあり、輸入豚肉にまで問題が波及する
ことも懸念される。

 2008年10月、養豚生産者、獣医師、流通、学識経験者等を集めラ
クトパミン研究会を立ち上げ、客観的に日本での必要性について検
討した。

4)懸念が起こった背景

EU、中国、台湾では使用が禁止されている。

■EUでは

 1980年代後半〜1990年代初頭、喘息の薬だったクレンブテロール
を違法に豚の餌に混ぜて使ったことで食中毒が発生した。同様の違
反が繰り返され、クレンブテロールの属するβ作動性物質はすべて
包括禁止となっている。

■中国では

 2002年、β作動性物質、性ホルモン等について、家畜の生産資材
としての製造・販売・不法使用が禁止された。2007年のメラミン事
件により中国製品が米国からボイコットされたことに対応し、塩酸
ラクトパミンが使われている米国産豚肉の輸入を大幅に制限した。
しかし、中国では現在でもクレンブテロールやラクトパミンのコピ
ー商品が違法に作られ、広範に使われている。

■台湾では

 2007年、塩酸ラクトパミンの残留基準値設定の動きがあったが、
選挙に絡んで反対運動が起こり作業は中断しており、米国などの豚
肉は輸入禁止となっている。

5)クレンブテロールと塩酸ラクトパミン

 両者の構造は類似し、ともにβ作動物質である。しかし、塩酸ラ
クトパミンは動物での残留性が低く、ヒトや動物に対する作用の仕
方や活性の強さが大きく異なる。

6)まとめ

ラクトパミン研究会の見解

■ラクトパミンの利用は生産者が決めるべきで、使ってみたい養豚
業者もいる。

■海外で利用され、日本にも残留基準があることを市民に知らせる
べきである。

■世界的に食糧の生産性改善が必要になっている。

■審議に科学的な評価以外の要素が入っているのは問題あり。

日本イーライリリー社からの意見

■日本の考え方をひとつにまとめてほしい(国内品と輸入品の考え
方に格差がある)。

■国際競争力を保ち、安全を守りながら生産性を改善するには、ラ
クトパミンは必要である。

■動物薬や飼料添加物の審議は政治と分離し、科学的な基準で行っ
てほしい。

質疑応答 

質問1:審議ストップに対して農林水産省はどう説明しているのか。

→ 日本の養豚生産者のコンセンサスがないので、審議ができない。
日本の生産者の半分以上から使いたいという要望がないので、不要
であるというのが農水の見解。

→ ある議員が生産者グループにこの薬の危険性と不使用を働きか
けたので、団体のトップはそういったものであれば現状では日本の
養豚には不要と回答した。

質問2:塩酸ラクトパミンを使うとどのくらい生産改善するのか。 

→ 日本で一年間に生産される豚は1600万頭で、体重の約3倍
の餌を食べる。塩酸ラクトパミンを使うと、同じ頭数、同じ餌の量
で豚肉を多く生産できる。

質問3:この薬はホルモンなのか。肉に影響はないのか。

→ 体内で作用するがホルモンではない。アドレナリンと同じ種類
の物質である。ホルモンはそれを使うとフィードバック(脳から投
与したときにホルモン分泌を抑える働き)があるが、塩酸ラクトパ
ミンにはフィードバックは起さない。一方、ラクトパミンを使い続
けると、感度が鈍くなる(脱感作が起こる)。

質問4:筋肉増強剤のようなイメージだが、ドーピングのような良
くない作用が豚に生じないのか。

→ 日本では5ppmが使用の限界で、この量では赤身肉は増えない。
諸外国ではこれより多い10ppmも認められているが,この場合赤身肉
の増加が起こってくる。

 反対に実験動物(ラット、マウス)で長く使った場合、スリムにな
って寿命が延びるという結果であった。

http://www.life-bio.or.jp/topics/topics382.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 特にEU、中国、台湾の動きについて書かれていますが、なかな
か興味深いですね。

 中国では「痩肉精」という名で知られ、大きな問題になっていま
す。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 中国ニュースに詳しい方ならば、「痩肉精」という単語を聞いた
ことがあるかもしれない。豚に投与することで赤身肉の割合を増や
すことができる薬品で、養豚業者にとっては売り上げをアップさせ
る魔法の薬。しかしその副作用から食中毒事件が多発し、中国では
厳しく取り締まられている。

 中国では放射能パニック並に「痩肉精」パニックが広がっている
が、興味深いのはこのラクトパミン、EUと中国、台湾では使用禁止
とされているものの、米国では認可されている薬品。日本でも残留
基準値が設けられており、絶対的に使用が禁止された薬品ではない。

 塩酸クレンブテロールと比べ、体外への排出が早く健康被害の恐
れが少ないのがポイント。中国メディアの報道では「最悪死にいた
る可能性も」「300人の食中毒事件」などと煽っているものが多い
が、現状、ラクトパミンが原因で発生した食中毒事件は確認されて
いないようだ。現在の騒ぎっぷりは過剰なようにも思えるが、被害
の記憶があるだけにいたしかたないところだろうか。

http://kinbricksnow.com/archives/51692342.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 同じ飼料添加物でも、アメリカで使われているとそれほど危険と
いう感じではなく、中国での話だと恐ろしそうに伝わるものです。

 中国でも被害が出ていたクレンブテロールからラクトバミンへと
変わってきているようです。こちらを使えば被害が防げるのなら、
アメリカに習ってラクトバミンを認可して、正しい使用方法を普及
させればよさそうなものです。しかし残念ながら中国でそれがうま
く行くとは思えません。

 国民の遵法精神に問題があるため、認可ではなく禁止を選ばざる
を得ないというのが中国政府の考えなのだと思います。

 さて、上の記事にも出ていましたが、日本では残留基準値が決め
られています。まず一日摂取許容量(ADI)を決めています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

【食品健康影響評価について】

 以上より、塩酸ラクトパミンの食品健康影響評価については、
ADI として次の値を採用することが適当と考えられる。

塩酸ラクトパミン 0.001 mg/kg体重/日

http://www.fsc.go.jp/hyouka/hy/hy-ractopamine-hyouka.pdf
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 詳細な報告書ですが、これを読む限り、特に警戒が必要な物質と
いうわけではなさそうです。したがって、問題はこういうものを使
うこと自体をどう考えるかということになると思います。

 ここから残留基準値を決めますが、結論は以下のようになります。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

農薬等の基準値

品目名:ラクトパミン
英 名:RACTOPAMINE

食品名   基準値(ppm)
牛の筋肉  0.01
豚の筋肉  0.01
牛の脂肪  0.01
豚の脂肪  0.01
牛の肝臓  0.04
豚の肝臓  0.04
牛の腎臓  0.09
豚の腎臓  0.09
牛の食用部分0.04
豚の食用部分0.04

http://m5.ws001.squarestart.ne.jp/zaidan/agrdtl.php?a_inq=78300
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 この基準値をクリアしていれば、問題ないわけです。輸入肉には
この基準値が適用されますが、国産肉は使用実績がないことになっ
ています。

 この国内での使用についての論議はストップしたままです。業界
としてもあえて使用したいという要望はないということですが、実
際に末端の畜産業者すべてがそう考えているかは別問題です。

 中国では大量に出回っているという話もありますので、こっそり
使っていたのがバレて騒ぎになる…などということがなければよい
のですが。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 記事が多くて長くなってしまいました。ご了承をお願いします。

 あちこちで大雨が降っているようです。皆様のところはいかがで
したでしょうか。それにしてもこのところ災害続きです。公共事業
反対…などと言っていないでまじめに防災工事に取り組むべき時期
だと思います。「コンクリートから人へ」は間違ったスローガンで
あったと言えます。「カネより人の命」と言っていた人にも、人命
を守るためにカネを使うという発想が必要と言いたいですね。

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