安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>652号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------652号--2012.05.06------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「電子線殺菌」

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ブログ毎日?更新中

http://www.kenji.ne.jp/blog/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 こんなメールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 先々週はメルマガ発行650号との事、おめでとうございます。ま
た毎週面白く有益な話題を提供していただき、一読者として感謝申
し上げます。

 ところで先日、自宅のポストに生協(さがみ生活クラブ生活協同
組合)からのチラシが投函されていました。その内容が余りにも酷
いので、一般に「生協」呼ばれる組織の中で、この様な組織がどれ
くらいの割合で存在するのだろうかと疑問に思いました。

 この様な酷い「生協」は、日本において主流なのでしょうか、或
いは日本の生協は大抵この様なものであり、「科学的事実を根拠に
考える」という消費者にとって最も重要な事を行う組織はごく一部
なのでしょうか。

【以下は自分の考えです】

 このチラシ(お手数ですが添付pdfをご覧ください)、以下の点
が問題だと考えます。

1)内部被曝が人体にほぼ間違いなく実害を及ぼさないと考えられ
るデータが明らかとなっている現在でも「内部被ばくを少しでも避
けるため」という言葉で不安を煽っている。

2)「内部被ばくを少しでも避けるために発酵食品を学びます」と、
「発酵食品(恐らく味噌に関する「デマ」でしょう)が内部被ばく
を避けるために有用であるかの様に思わせる文章を記している。

3)「食品添加物を考える」という「学習会」の説明の中で「最近
の子供が骨折しやすい理由が分かるかも」という文章で、「食品添
加物の摂取が子供の骨折と関連があるかの様に意識誘導している」

4)同じ文章の中で「年間7〜8kgの食品添加物を摂取している」と
記していて、その中の殆どは食品添加物として指定されているもの
の本来食品中に「自然の状態で含まれているもの」をカウントして
いる事を説明していない。

(この点は具体的な数字など失念しましたので、ご教示頂ければ幸
いです)

 今回チラシを投函した組織の本家である「生活クラブ」は、いま
だに「放射能汚染対策」「食品添加物対策」「環境ホルモン対策」
「残留農薬対策」「遺伝子組み換え対策」をすることで「安心・安
全な食品」が得られるかのような広告を行なっています。

 これは「不安商法により儲けを得る」という、非常にタチの悪い
商売を行なっていると私には思えます。
(参照; http://www.seikatsuclub.coop/welcome/

 以上、渡辺様の見解を頂ければと思い、メールを送らせていただ
きます。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 チラシのコピーを添付いただいたのですが、このメールを読めば
どういうことが書いてあるかはわかると思います。

 生活クラブは生協の中でもちょっと変わったところです。全部の
生協が生活クラブのようである、ということはないです。

 前にも書いたことがありますが、私の生活クラブに対する印象は、
「有閑夫人クラブ」です。とにかくお金持ちの奥様ばかりです。

 本当かどうかは知りませんが、平均年収が一千万円を超えると聞
いたことがあります。実際に全国的な集会に来ている奥様に関して
は、もっと上のように感じました。

 こういう商売が成り立つのは、ごく一部の階層の人(つまりお金
持ちだが特権階級というほどでもない層=高級官僚、高級サラリー
マン、医者、弁護士などの《奥様》)に対してだけで、一般庶民は
苦々しく思うだけです。

 『阪急電車』という映画を見ていたら、5000円のランチを食べに
行く奥様方に誘われて、庶民階級の主婦が困っているという場面が
ありました。庶民感情としてはまああんなところです。

 私も個人的にはよい感情を持っていませんが、目の敵にするほど
でもないか、とは思います。しかしその先には平気で人を傷つけ、
危機を煽る「ジャーナリスト」とか、本物の詐欺師が控えています
ので、こういう傾向全体に対しては批判していかねばならないとも
思い、そういう立場はいつも表明しているつもりです。

 「年間7〜8kgの食品添加物を摂取している」という件は以下の摂
取量調査の報告から見て、まあそんなものだと思います。

食品添加物一日摂取量総点検調査報告書
http://www.ffcr.or.jp/Zaidan/mhwinfo.nsf/0/ce7101d177b43f05492569df000ba6e6?OpenDocument

 この中に「最大推定摂取量(mg/日/人),不検出試料に検出限界
値または定量限界値を代入したときの値」というのがあるのですが、
ざっと見て、最も摂取量が多いのは「乳酸」だったりします。乳酸
だけで年間1kg近くになりそうです。

 いろんな「食品添加物」の摂取量を、その性質や由来に関わらず
足し算しただけのことで、意味がないのはおっしゃるとおりです。

 どうもありがとうございました。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@
kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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今回は休みます。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「電子線殺菌」
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 少し古いニュースですが、こんな記事がありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 北海道コカ・コーラボトリングは、総工費約42億円を投じて2011
年10月から進めていた札幌工場の新マルチPETラインの増設が完了
し、2012年3月16日に竣工する。炭酸や無糖茶、ミネラルウォータ
ーなどの280ml〜2LサイズのPETボトルに対応し、年間約800万C/Sの
製造能力を持つ。同ラインの最大の特徴は、これまでの薬剤殺菌に
代わり電子ビームの照射よる殺菌方法を採用した点である。

 過酢酸、過酸化水素水などの薬剤を使用した殺菌方法に比べて、
薬剤および洗浄水が不要となる。電子ビーム殺菌方式の導入は国内
で3ヵ所目だが、ミネラルウォーター以外の炭酸や無糖茶、スポー
ツ飲料などに適用するのは世界初となる。またボトル搬送にモノ
ブロック形式を採用している。

http://www.jpackworld.com/newsflash/2012/03/pet-29.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「電子ビーム殺菌」というのは聞き慣れないですが、既に実用化
されている技術なんだそうです。

 ガンマ線はは電磁波の一種ですが、電子線も「放射線」の仲間と
はいえ、こちらは電磁波ではありません。高エネルギーに加速され
た電子が飛んでくるのです。

 ガンマ線より透過力は劣りますが、その代わり表面での殺菌力は
強力で、短時間で処理できるのが特徴です。ガンマ線だと、透過し
すぎてそのまま通りすぎて行く方が多い…。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

<概要>

 放射線殺(滅)菌は、工業用加速器で発生させた加速電子線束
(以下「電子線」という)を照射し照射試料中の微生物を殺菌する
産業利用の一分野である。これには、低エネルギー電子線による表
面殺菌、中エネルギー電子線による粉状または粒状製品の殺菌、高
エネルギー電子線による梱包製品の殺菌がある。使用する電子線の
エネルギーは10MeV以下で、被照射物の放射化の心配がなく、主に
食品処理や医療用具の滅菌等にも利用できる。電子線は、ガンマ線
に比べ線量率が高いため、照射における必要殺菌線量が若干増加す
る傾向にあるが、製品成分の酸化劣化が低減でき、しかも大量処理
に適している。

<更新年月>
2003年12月   

<本文>

1.電子線殺菌の原理と特徴

 自然の放射線レベルに比べて、数億倍という強力な放射線を短時
間に照射された微生物は、細胞の増殖が著しく阻害され、線量がさ
らに増加すると殺滅に至る確率はますます高まる。放射線に対する
感受性は、微生物の種によって異なっているため、放射線照射処理
の殺滅効果は、バチルス・プミリスE601株のような指標菌のそれと
比較して評価する。電子線と電磁波(ガンマ線あるいはエックス線)
の照射を比べると明らかな相違がある。電子線は電磁波に比べて物
質中での単位深さあたりのエネルギー損失が大きく、比較的短時間
で、しかも高密度、高線量の照射が可能である。これにたいしてガ
ンマ線は透過性が優れているため、比較的大型で大量の被照射物の
処理に適している。

 放射線の照射によって細菌数を減ずるのが放射線殺菌であり、初
期に存在した細菌数を100万分の1以下に完全殺菌するのが放射線滅
菌である。放射線殺(滅)菌法は、処理後の残留毒性がないため、
従来法の欠点を克服できる。その対象は、たとえば、エチレンオキ
サイドのような化学薬品や熱処理(高圧蒸気による)では劣化の恐
れがある食品類の殺菌、あるいは医療用具の滅菌である。また、従
来は不可能であった包装・梱包下での殺(滅)菌も可能である。電
子線による放射線殺(滅)菌法は、ガンマ線によるそれと比べて、
作業効率の向上(被照射物によるが)、材料劣化の低減、装置設置
の容易さ、災害時の安全性の向上など多くの利点がある。

 電子線は、ガンマ線やX線と同じイオン化放射線に属している。
産業用に用いられる電子線のエネルギーは10MeV以下であり、この
エネルギーでは放射化の心配はない。電子線は、産業用に用いられ
るガンマ線(X線)に比べ、透過力が小さい。ことに、低エネルギ
ー電子線のエネルギーは1.0MeV以下のため透過力は数mm〜0.01cmに
すぎない。一方、1MeV〜10MeVの中・高エネルギー電子線は1〜20cm
の透過力があり、食品の殺菌、医療用具の滅菌、包装材の殺菌、飼
料の殺菌、下水汚泥の殺菌、水の殺菌に利用可能である。電子線照
射は、殺菌処理以外にも、輸入穀物や生鮮果実等の殺虫処理に使用
可能である。

2.電子線による殺菌効果

 電子線はガンマ線と比べ線量率が高いため、図1に示すようにガ
ンマ線に比べ殺菌線量は若干高くなる。図1に用いた微生物はアス
ペルギルス属のカビであり、食品の腐敗菌に属する。この菌に対す
る殺菌線量は、乾操下で照射した場合には約3kGy必要であるが、水
分がある状態では1.5〜2.0kGyである。

 電子線のエネルギーは、殺菌効果に影響せず、一例として示すバ
チルス・プミルス芽胞(胞子)では、図2の放射線照射効果に示す
ように0.5MeVでも3MeVでも同じ感受性を示す。また、製品内部(プ
ラスチック板)における殺菌効果は図3に示すように、吸収線量と
相関性があり、内部散乱により低エネルギーになった二次電子線の
影響は認められない。

 電子線の殺菌効果は、ガンマ線と同様に、フリーラジカルがDNA
鎖を損傷し、その細胞分裂能を阻害することによるものであり、基
本的には、紫外線殺菌の原理と同じである。しかし、紫外線は透過
力が極めて弱いため物質の表面しか殺菌できないのに対し、電子線
は、エネルギーの大きさを変えることにより、その透過力を選定す
ることができ、表層部の殺菌から梱包製品の殺菌まで、広範囲の応
用が可能である。電子線の場合、ガンマ線と比べ線量率が高いため、
必要殺菌線量が若干多くなる。その理由は、ガンマ線に比べ1千分
の1から1万分の1の短時間で一定線量の照射が終了するためであ
り、このため細胞外の酸素が十分に細胞内に拡散せず、過酸化ラジ
カルの生成量が少ないこととして説明できる。同様理由で、電子線
照射では、長時間の照射を必要とするガンマ線照射と比べ、成分の
酸化劣化が低減する傾向が認められる。

 ガンマ線照射や紫外線照射と比べた電子線照射の利点は、利用可
能なエネルギー範囲が大きく、かつ、エネルギー値を自由に選定で
きることと、透過性の優れたビームが得られることである。そのた
めに表層部の殺菌から梱包品の殺菌までという広い応用範囲に適用
できる。

3.電子線の殺菌への応用

 放射線殺菌が、加熟や薬剤処理など他の処理法より優れた点は、
その透過力が強く、品質劣化が少なく、しかも毒性物質の残留がな
いことにある。このような特長を生かした産業への応用方法として
次のようなものがある。

 エネルギーが1.0MeV以下の低エネルギー電子線は、製品表層部の
殺菌に適している。通常表面殺菌に使用する紫外線より透過力が適
度に優れているため、温州ミカン表皮のカビ(黴)の電子線照射殺
菌により、照射しない場合に比較して、貯蔵期間を2倍以上に延長
することが可能である。また、0.03〜0.1MeVの極低エネルギー電子
線は穀類表面の殺菌に適している。

 中エネルギー電子線は1〜5MeVであり、無包装の粒状または粉状、
層状製品の大量処理に適している。例えば、小麦粉の菌数低減を目
的とした殺菌処理(必要線量は1〜2kGy)、家畜飼料原料である魚
粉のサルモネラ菌殺菌(5kGy)、下水汚泥の殺菌(3〜5kGy)、下
水処理放流水の殺虫・殺菌(1kGy)も有望と考えられている。

 また、殺菌処理ではないが同様利用例として、輸入穀類の殺虫処
理がある。従来、殺虫処理法では臭化メチルを使用しているが、西
暦2005年には臭化メチルによる殺虫処理が先進国で全面的に使用禁
止されることになっており、その代替処理法として中エネルギー電
子線による穀類の殺虫処理が有望である(図4)。一方、米国では
熱帯果実のミバエ類の殺虫処理に放射線法が導入されつつあり、ハ
ワイでは5MeVの電子線をX線に変換して梱包状態の熱帯果実を殺虫
し、米国本土に出荷している。

 高エネルギーの電子線は5〜10MeVであり、冷凍食品の食中毒菌殺
菌(3〜5kGy)、生鮮肉の食中毒菌殺菌(1〜3kGy)、香辛料や生薬
の殺菌(5〜10kGy)、医療用具の滅菌(完全殺菌、25kGy)、包装
材の殺菌(15kGy)等の広範囲の応用が可能である。例えば香辛料
の場合、電子線による殺菌線量は図5に示すようにガンマ線に比
べ若干多くなる。香辛科の主要汚染菌は耐熱性の有芽胞細菌である
が5〜10kGyで殺菌でき、表1に示すように50kGy照射しても香り成
分である精油の組成は変化せず、また、酸化を防止する成分も変化
しない。米国では牛ひき肉中の病原大腸菌O-157やサルモネラを殺
菌処理する目的で電子線殺菌が大規模に実用化され、年間20万トン
以上照射されており、7000以上のスーパーマーケットで販売されて
いる。また、フランスや米国では鶏肉のサルモネラの殺菌処理が電
子線で実用化されている。わが国では医療用具の滅菌に高エネルギ
ー電子線が利用されており、数社で10MeVの加速器が稼働している。

http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=08-04-01-08
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 コカコーラの工場では、ペットボトルの殺菌に使われていました
が、生肉などにも使えるようですね。このごろ話題の「肉を生で安
全に食べる」ということが実現できそうですが、そういう動きはな
いものでしょうか。

 紫外線殺菌やガンマ線殺菌と原理的には同じということですが、
運用上には大きな違いがあります。

(1)放射性物質などの放射線源を使わない。

 ガンマ線殺菌ではコバルト60などの放射性同位元素を線源にし
ますが、これは扱いが難しいものです。普通の食品工場でガンマ線
殺菌装置を作るのは実質的に不可能ですが、電子線ならそれほど難
しくないのでしょう。電力は消費しますが、別に線源は必要ありま
せん。

(2)エネルギーにより、透過率が違う。

 紫外線殺菌と同じように、表面だけを殺菌することもできるし、
ある程度透過させて、包装した食品の中身を殺菌することもできる
ようです。

(3)処理時間が短い。

 紫外線やガンマ線などの電磁波と違い、電子線はエネルギーが大
きいので、処理時間が短くなるというのも利点のようです。

(4)分子構造に影響する。

 食品の場合はほとんど影響しないようですが、プラスチックなど
には影響することがあります。使い方は難しいでしょうが、この作
用を利用することもできるのでしょうね。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 電子線をプラスチックなどの高分子材料に照射すると、分子構造
の変化により、材料が改質され、強度が向上したり耐熱性が増した
りします。また、プラスチック、半導体、繊維等の材料改質分野で
利用されています。

http://www.kbeam.co.jp/faq/index.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ガンマ線だとこのようなことはほとんど起こらないと思います。
とはいえ、線源の扱いにくさはともかく、ガンマ線も電子線も殺菌
効果としては使える技術です。

 ところが、ガンマ線殺菌は規制されていて、外国で使用実績があ
り、被害も皆無であるのに、ガンマ線殺菌されていることがわかる
と輸入禁止になったりしています。

 一方、「電子線殺菌」は誰かが許可を出したのでしょうか?食品
衛生法で、使用基準などが決められているのでしょうか?安全であ
るという保証はあるのでしょうか?

 いま一つよくわからないのですが、既に容器とはいえ使っている
工場もあるわけです。

 なんだか倒錯しているなあ、というのが正直な感想です。

 似たような話は他にもあります。こんな例も考えてみてください。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

従来育種(伝統的育種)の絶対化(神格化)と遺伝子組換えとの奇
妙な逆転

 よく、遺伝子組換えではなにが起こるかわからないという議論を
よく耳にします。では、伝統的育種ではおこることが明確にできる
のかーこれはまったく転倒した議論です。また伝統的育種は絶対的
”善”なのでしょうか。歴史が古ければ常に正しいのでしょうか。
遺伝子組換えでは非現実的なことも含めて多くのことが詳しくわか
るので、議論していくうちに情報が乏しい従来育種のほうが安全だ
という倒錯が起こったものと考えられます(地雷のある道参照)。

 トウモロコシではタンパク質栄養を考えるとリシンという必須ア
ミノ酸のひとつの含量が少なく栄養的価値を落としています。そこ
で、いろんなトウモロコシの株をしらべてこのリシン含量の高いも
のを伝統的手法で選抜し育種し市場に出しました。ところが、10
年以上もたった現在でも”なぜリシン含量が高いのか”という極め
て重要な理由がわかっていませんしーこれは当研究室の研究テーマ
にもなっていますー問題にしなくてよいという理由もはっきりしま
せん。

 大豆において特定の貯蔵タンパク質の変異による抑圧によりメチ
オニンという必須アミノ酸の含量の高い育種が伝統的手法で行われ
ましたが、主要成分から予想されるような結果に必ずしもならない
ということがわかっていますーこれも当研究室での課題です。

 まして、その貯蔵タンパク質の変異がなぜ起こったかはまったく
究明されませんー従来育種においては遺伝子の欠失あるいは変異と
片付けられます。そして、それらの遺伝形質がなぜ生じたか、どこ
からきたのかなんて気にしません。

 しかしながら、遺伝子組換え食品の安全性の議論に参加し高い問
題認識をもつ皆さんは、このような原因不明で改質された従来育種
による製品をどう思われるでしょう。アレルギー性物質は、未知の
有毒物は、環境への影響は等々。。。安全性を明らかにしてほしい
と思いませんか。

 従来の育種とは、交配育種で有るかどうかが重要なのではありま
せん。この点も重要です。従来の育種は主に”形質”と”変異”と
いうきわめてブロードな、原因を特定しなくてもよい”視覚的な”
そして”あいまい”な物質的基礎をもたない概念と手法で行われま
す。

 しかも、必要な遺伝形質が天然に見つからないときは、放射線や
突然変異誘起薬剤などで処理して突然変異を誘導するのです。これ
らの方法はゲノム部分全体に影響を与えるのです。みなさんはそう
いうことをご存知でしょうか。 ”同質性”の判定にしても、予期
した性質以外の性質も変化していることも多いのです。一度、伝統
的育種による新品種の詳しい説明を見られてください。一方、遺伝
子組換えは、”遺伝子DNA”と”遺伝子産物とその機能”という明
確な物質的根拠と手法でのもとで行われ、しかも、導入遺伝子は極
めて限定的です。 

 従って、結果のみを問題にし未知の問題を含め何が起こっている
か必ずしもわからなくてもいいし複数の形質が変化してもいいのが
従来の育種の特徴であり、これに対照的に、結果にいたる過程が逐
一分子的に分析され明確にされるのが遺伝子組換え育種の特徴なの
です。

そこで次のようなたとえは如何でしょうか。

地雷の埋まっている道  

 まず皆さんは5感以外に地雷を検知する方法をもたず、また他に
適当な方法の知識やリーダーなどから以外の情報がないと仮定して
ください。 そこで、あるところに地雷が埋まっている道が一本あ
るとします。 

ケース1

 ある”専門家が調査し詳しい情報を出さずにとにかく”安全宣言”
し”安全”という標識を立てたとします。しかも、今まで安全な場
所に作られているので大丈夫とコメントしたとします。 

ケース2

 一方、別の専門家がこの道のどこに地雷が埋まっていて危険か、
どこをとおれば安全かを皆さんの知らない最新の方法で調べて表示
し、しかも”危険”という標識を立てたとします。さらに、調べた
技術の限りを尽くしてもひょっとすると見つからなかったものもあ
るかもしれないとコメントしたとします。 

 皆さんの反応は? 皆さんは”安全”という標識が立っている場
合を安全と思うでしょう。”危険がない”ということとその裏であ
る”安全である”というのは実は、本来完全には証明できない不可
知論なのです。これを従来育種と遺伝子組換え育種に当てはめてみ
てください。

まとめ:

 世論を聞いているとその多くはまるで伝統的育種を絶対的善とし
て神格化した上で、そこから人のなせる技として遺伝子組換え育種
を論じているようです。 しかしながら、どちらも人のなせる技で
あり、考えれば考えるほど従来育種にも遺伝子組換え育種と同等以
上の厳しい安全審査が必要になってくると結論せざるおえないので
す。

http://web-mcb.agr.ehime-u.ac.jp/gmo/rec_arg4.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 要はイメージの問題であり、議論した方が負けなんだ…。という
例は世の中に多いと思います。

 このサイト、さんざん皮肉が書いてあって、すべての食品の安全
審査を要求しよう、などと言っています。もちろん遺伝子組み換え
反対派に対する皮肉ですが、今の政府なら真に受けかねないなあ、
と思ったりします。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 しばらく前から高血圧の薬を飲んでいるのですが、このところ血
圧が不安定で、調子がよくありません。原因は中国への食品輸出が
大変ということで、グチの一つも出てくるところです。

 ということで、この連休は家でおとなしくしていました。連休明
けは8〜10日と上海に行ってきます。向こうで倒れたりしないよ
うに、気をつけなければ…。

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