安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>65号


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--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
--------------------------------------65号--2001.02.03------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

     「狂牛病」
     「カラギーナン」(Q&A)
     「海苔」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 今回もいただいたメールをご紹介します。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 ちょっと時間が経ってしまいましたが、先日某週刊誌を立ち読み
しまして、その内容からです。食べ物情報からは少し外れるのです
けども。

 整形美容や健康食品などで使われる、コラーゲン、プラセンタエ
キスは牛由来のものが多く、それが輸入されている場合、狂牛病の
プリオンで汚染されている可能性が...

 現在多くのメーカーでは牛由来の成分から、豚などの成分に変換
しつつある。

というような内容だったと思います。書き方は週刊誌ですからもっ
と刺激的でした。

 個人的にですけど、わたしはよくお酒を飲むものですから、二日
酔い防止のため,L-システィン製剤をよく飲んでいます.以前はハ
イチオールCを飲んでいました。これは医薬品扱いです。

 しかし現在それよりも安く、しかもビタミンCの配合量が多い製
品を使っています。これは健康食品扱いです。

 でその中にプラセンタエキスが入っていました。L-システィン製
剤はしみやそばかすなどにも使うので、美容目的で入っているので
しょう。

 今手元にあるものは,牛由来と書いていますが、結局気にはする
が、そのまま使っています。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 知らなかったんですが、化粧品なんかにも、牛の内蔵などを原料
にした物質がたくさん使われているようですね。化粧品業界などで
は、対策に追われている、という話です。

 日本でも牛はたくさん飼われているのですが、こうした牛由来の
物質はほとんど輸入品のようです。これは日本では、肉以外の部分
を有効に利用するシステムが発達していないためと思います。

 そんなに大量にいるものでもありませんので、やはり歴史も古く、
肉食文化の発達した欧米で作られるものがほとんどになるというわ
けです。

 化粧品ですので、直接食べるものではありません。したがって、
狂牛病が直接感染する心配はないと思うのですが、どうもそうも言
っていられない事態のようです。

 狂牛病について、おさらいしておきます。

(1)いつ発生したか

 1980年代に、イギリスで発見されました。それまでは羊などで類
似の病気はありましたが、牛にはなかったと考えられています。

(2)発病の原因は何か

 羊の同様の病気(スクレイビー)が羊の内臓などを牛の餌とした
ために、牛にうつったのだと思われていましたが、確かではありま
せん。最近では、牛に独自に発生した、という説もあるようです。

(3)発病のメカニズムは

 多くの哺乳類に共通してある、プリオンと呼ばれるたんぱく質の
変異体が病原になるとされています。当初、このプリオンが宿主の
体内で増殖するのではないかと思われていましたが、どうもそうで
はなく、変異体のプリオンと接触することで、もともとあった正常
なプリオンが変異体に変わり、機能を失うということが連鎖的に起
こっていく、ということらしいです。

 このプリオンは変異体の方が非常に安定なもので、調理などの通
常の方法では、病原性はなくならないのです。母から子への垂直感
染や、牧場の環境を通しての水平感染も実際に起こっています。

(4)流行している地域は

 イギリスを筆頭に、今ではヨーロッパ全域が汚染されていると考
えて間違いありません。アジア、アフリカ、オセアニア、アメリカ
といったそれ以外の地域にはまだ広がっていないということですが、
油断はできない状況です。

 ヨーロッパからの牛関連食品の輸入禁止措置がとられています。
ゼラチンやエキスなど、かなり加工度の高いものでも、感染の心配
は完全にはなくならないようです。

(5)人間に似たような病気はあったか

 クロイツェル・ヤコブ病(CSJ)という病気が、同じような脳
が海綿状になる病気として知られています。原因不明ですが、一部
のものは遺伝的要素があると言われています。

 それから、ニューギニアでクールー病という、同じような病気が
かつてあったということです。これは食人の習慣との関連が疑われ
ていて、その習慣が途絶えた後、今では姿を消したと考えられてい
ます。

 これらはいずれも、脳が海綿状になり、精神活動がまず破壊され
ていきます。ほとんど人間としての感情や思考がなくなった後、身
体を維持する機能も失われて、すみやかに死に至る病気です。治療
法はありません。

(6)狂牛病は人間にうつるのか

 上記のCSJの新型がイギリスで見つかり、既に死者がでていま
す。今までのものとはタイプが違い、これは狂牛病が人間に発病し
たものであることはまず間違いないとされています。

 従って、狂牛病は人間にうつります。また、すでに発病している
人がいる、ということは潜伏期間は短くて10年ほどで、最長どれく
らいかはわかりませんが、平均はそれより長いものと思われ、これ
から発病してくる人は多いでしょう。

 なお、この新型は若い人に多く発見されています。若い人は特に
要注意なのかもしれません。

(7)予防方法は

 まだよくわかりません。牛肉を食べなければ大丈夫なのかどうか
も、私には何ともいえません。牛の内臓、特に脳とか、脊髄とかは
どうも食べてはいけないようです。焼き肉によく使われる内臓肉は
どうなんだ?と思いますが、普通の肉に比べて、特に危険というわ
けではないものが多いようです。(詳しくはよくわかりません。)

 プリオンは神経組織に多いので、筋肉組織である食肉は大丈夫だ
とイギリス政府がいったとき、神経がきていない筋肉がどうして働
くことができるのだ、と批判されていました。そういえば、身体の
中で神経組織が届いていないところというのはないのですね。

 血液でもうつります。狂牛病の牛の血を豚に輸血して、発病させ
ることに成功したという話もあります。イギリスに滞在したことの
ある人は献血をできないそうです。また、豚にうつることも立証さ
れたわけですので、いつ、豚にも発病するかわからない、というこ
ともあります。

 鶏は哺乳類でないので、いちばん汚染からは遠いだろうと言われ
ています。

 牧草を介して牛の間で伝染しているということがあるようです。
野菜なども必ずしも安全とは言えないです。

 とにかく、積極的な予防策はありませんし、日本で住んでいて、
今すぐ感染する心配はほとんどないと思います。ニュースには注意
しつつ、普通に暮らしていく、という感じですか。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.カラギナンは発がん性があると聞いたことがありますが、本当
ですか?摂取していても大丈夫なのでしょうか?

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A.この話は以前、ずいぶん調べたんですが、はっきりしませんで
した。わかった事実としては、

(1)増粘多糖類の中で、カラギナンだけが潰瘍を発生させたとい
うデータがあるらしい。(ガンではありません。)

(2)発ガン性は確認されていない。

 この二つはたぶん間違いないと思います。WHOなどの基準でも、
問題のない添加物に区分されています。

 カラギナンというのは増粘多糖類に分類されています。この他に
キサンタンガムとか、グアーガムとか、アルギン酸などがあります。
いずれも海藻などから抽出される、食物繊維の仲間です。

 食品添加物を調べてみよう
http://fcg.japan-site.com/additive/index.html
というサイトから引用します。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

和名
カラギナン
(イバラノリ、キリンサイ、ギンナンソウ、スギノリ又はツノマタ
の全藻から得られた、ι―カラギナン、κ―カラギナン及びλ―カ
ラギナンを主成分とするものをいう。)

英名
 Carrageenan

和名別名
 カラギーナン、カラゲナン、カラゲーナン、カラゲニン

許可状況
 日本での使用が許可されており、使用に制限がない

使用基準
-

主な用途
 増粘安定剤

基原・本質・製法
 イバラノリ、キリンサイ、ギンナンソウ、スギノリ又はツノマ夕
の全藻から得られた、ι−力ラギナン、κ−カラギナン及びλ−力
ラギナンを主成分とするものである。

EU統一番号
 E407

JECFA安全基準
 リストA1:安全性の評価が行われ、一日摂取許容量が定められて
いるものまたは一日摂取許容量を定める必要がないと考えられてい
るもの

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 使用に制限がない、というのは規制の必要がなく、通常の食品と
同等の安全性がある、という意味です。

 もちろん、通常の食品と同等ということは、完全に安全である、
という意味ではありません。

 通常の食品は別に安全性を保証されているわけではないからです。

 ただ、いくらなんでも、発ガン性がある食品がこんな扱いになる
わけはありません。

 それで、「カラギナンに発ガン性」ということがどこに書いてあ
るかを調べると、渡辺雄二という人の本に書いてあるのです。
(「買ってはいけない」の著者の一人です。)

 たくさん本を書いている人ですが、あっちこっちに同じような話
が書いてあって、しかも、かつての「こういう説もある」が、最近
では、「周知の事実である」というように変わってきています。

 図書館を隅々まで探したのですが、これ以外では見つかりません
でしたので、私は渡辺雄二さんが流しているデマだと思っています。

 ということで、この説に関しては、無視してかまわない、という
のが私の意見です。

 最近読んだ本に、すこしカラギナンについて書いていましたので、
引用します。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

命名とその由来

 アイルランド南海岸のカラギーン地方ではトチャカというツノマ
タ属紅藻が生育している。1800年代中期、アイルランドで大飢饉が
起こった。このとき、カラギーン地方の人々はトチャカを料理して
飢えを凌いだ。これが今日でも「聖なるパトリックスープ」として
知られる海藻料理として残っている。このような史実から、トチャ
カのことを「カラギーン」と呼ぶようになり、それからとれる粘質
物を「カラギーニン」と呼んだ。その後、この物質が多糖であるこ
とがわかり、現在では国際糖質命名規則に従い「カラゲナン(カラ
ギーナン)」と呼ばれている。

酵素活性化・阻害因子

 カラゲナン、とくに部分加水分解物はペプシンに対して阻害効果
を示すことから、胃や十二指腸潰瘍の治療薬としての期待が寄せら
れたこともあるが、逆にウサギ、マウス、ラット、モルモットでは
カラゲナンを与えると腸に潰瘍が生じたとの報告もあるので、投与
する量と期間で作用が異なるものと考えられる。

(「海藻の科学」朝倉書店 より)
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「海藻」
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【海苔】

 海苔というのは、実はアサクサノリだけではなく、他の種類の海
苔もあって、いろいろと作られているそうです。もちろんほとんど
が養殖海苔です。

 一般に、海藻類は、養殖であれ、天然ものであれ、収穫後、浜で
一次加工されるのが普通です。これは海からあげたままの状態で保
存することは不可能なためです。最低でも、乾燥させなければ、す
ぐに腐ってしまいます。

 海苔はコンブやワカメと違って、小さな海藻ですので、ご存じの
ように、アミの上に乗せて乾燥させ、板状にします。これを束ねて
浜のセリに出すのです。

 セリには全国から、海苔の業者が集まってきます。テレビで宣伝
しているような大手のメーカーから、個人でやっている仲買人まで、
いろんな人が来て、それぞれに品定めをしながら買いつけていきま
す。

 値段の決め手になるのは、乾燥の具合、キズ、色、ツヤなんかだ
そうで、黒くてツヤの良い、パリッとした海苔が高級なんだそうで
す。

 昔、仲買で全国の浜を廻っている人から、見分け方を教えてもら
ったことがありますが、素人にはとても歯が立たなかったです。

 見た目ばかり言っているようですが、食べてみても、そんなのが
美味しいし、栄養的にもいいということです。海苔は量としてはそ
んなに食べるものではありませんが、重量あたりの栄養は極めて優
秀で、たんぱく質、ビタミン、ミネラルなどを豊富に含んでいるも
のです。

 浜での干し海苔は普通、業者の段階でもう一段の加熱処理をして、
焼き海苔として出荷されていきます。この段階で、もう一つ美味し
くなるようです。また、調味液に漬けてから乾燥した、味付海苔も
相変わらず人気があります。

 この味付海苔を化学調味料ぬきで作ってもらっていましたが、他
の食品と比べて、別に問題のないものができたと思います。海苔の
味が勝っていること、調味液自身が醤油などを使った、うま味の強
いものであること、がきいているようです。

 私の住んでいる和歌山でも、和歌浦湾では、干潟を利用して、海
苔の養殖をしていました。海苔は浅い海で、ときどき海水の上に出
てしまうような環境で養殖します。また、水もお世辞にもきれいと
は言い難い、栄養に富んだところが良いようです。

 最近有明海で問題になっているのは、海苔の色が茶色くなって、
高級品がとれなくなっている、ということです。これは海水の富栄
養化が進んで、プランクトンが増え過ぎ、逆に海苔が栄養不足を起
こしたのではないかと思います。例の干拓工事の影響もあるのでし
ょうか。 

 「のり佃煮」になる海苔は、板海苔になる海苔とは違う種類のも
のです。今人気の「四万十川の川のり」などというのもありますし、
安いものはアオサなどで作ったりします。お好み焼きなどにふりか
ける粉末ののりも、同じような原料です。

 他の海藻について、次回に続きます。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 今、有明海で海苔の不作が問題になっています。例の諫早湾の干
拓工事との関連を言われていますが、本当のところはどうなのでし
ょうか。

 私は諫早湾干拓事業などというのは、役所が自分たちの仕事をつ
くるために、馬鹿なことをやっている、と思って、批判的に見てい
ました。今からでも、干拓工事は中止すべきだと思っています。

 ただ、こういうものが目の前にあると、すぐにこれが原因だ、と
短絡してしまいがちですが、安易な決めつけは本当の原因を見落と
す心配があります。冷静な原因の追求をお願いしたいです。

 私の住んでいる和歌山でも、梅の不作が近所にある火力発電所の
せいである、という議論がさかんです。先日の調査では因果関係は
否定されているのですが、梅農家の側は納得していないようです。

 難しい問題なので、私は判断できかねるのですが、調査が始まる
前から、また調査の結果が出てからも、発電所が原因に決まってい
る、という姿勢には違和感があります。冷静に原因を追求して、対
策を考えた方が得策だと思うのです。

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--発行--渡辺--宏------- URL http://www.kenji.ne.jp/food/
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