安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>644号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------644号--2012.03.04------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「震災一周年」
「食品に含まれるトランス脂肪酸の食品健康影響評価」

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ブログ毎日?更新中

http://www.kenji.ne.jp/blog/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 ちょうど震災から一年が経ちました。あの時はちょうど大阪のビ
ルの4階で商談していて、初めは歳のせいで目眩がするのかと思っ
た、ゆっくりとした揺れを感じました。

 建物がゆっくり揺れているのがわかったので、「遠くで巨大な地
震があったのだ」などと知ったかぶりをしていましたが、結局それ
が当たってしまいました。

 岩手県では昔の津波の被害の話をよく聞きました。重茂町では、
漁村が全部海岸の崖の上に移転した話も聞いていました。それで、
巨大地震が津波を伴うものであっても、昔ほどの被害は出ないだろ
うと言っていたのですが、過去のものを上回る巨大な津波で被害が
出たという、驚愕の結果となってしまいました。

 改めて、被害者の皆さんに哀悼の意を表したいと思います。

 さて、こんなニュースを見かけました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 「率直に言うと、がっかりしています」――。日本国籍を取得し
た日本文化研究者のドナルド・キーンさん(89)は、8日の記者
会見で「鬼怒」の雅号通り、震災後の日本の状況にあえて苦言を呈
した。

 「日本人は力を合わせて東北の人を助けると思っていました」。
会見で終始朗らかなキーンさんだったが、震災の話になると表情が
引き締まった。そして、「東京は(電気が)明るい。必要のない看
板がたくさんある。東京だけではない。忘れているんじゃないか。
まだやるべきことは、いっぱいあると思います」と語った。

 「わたしは今まで、ある意味、日本のお客さんだった」と振り返
ったキーンさんは、国籍取得を機に日本の現状に意見を言うことも
考えている。「もしいいことができるとすれば、私のためでなく、
日本人のためだと思います」と話した。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120309-OYT1T00135.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 キーン氏ががっかりしている理由はわかりますね。未だに被害者
の足をひっぱる言説が横行しているのは事実です。

 でも、こんな記事を見つけて少しほっとしました。ニュースにな
っている事実というより、記者の目が暖かくて、とてもよい記事だ
と感じます。近頃のマスコミには珍しいことです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

「食べて支援」は続いている?――被災地アンテナショップの今

nikkei TRENDYnet 3月9日(金)11時8分配信

 東日本大震災直後、被災地を支援するために、現地の特産品を購
入した人が多かった。各メディアも被災地のアンテナショップを取
り上げ、いずれの店舗もかつてないにぎわいをみせたものだった。

 震災から1年。前回、震災2週間後に取材した各アンテナショップ
(第1回、第2回)を再び訪れ、その後の様子と、今お薦めの名産品
について聞いた。

■石巻「希望の缶詰」が復活!――宮城ふるさとプラザ

 池袋の駅前繁華街の人気スポットでもある「宮城ふるさとプラザ」。
震災直後同様に、1年たった今でも大勢の客でにぎわっていた。

□宮城ふるさとプラザ

●住所/東京都豊島区東池袋1-2-2東池ビル1・2F
●電話/03-5956-3511
●営業時間/11:00〜20:00
●公式サイト/ http://cocomiyagi.jp/plaza/
●義援金は2月下旬までで約2600万円

 震災直後から7月は、前年の約2倍の売上を数えた盛況ぶり。当時
から海産物以外の加工品やお菓子、楽天イーグルスのグッズなど充
実した品揃えであったが、それがそのまま順調に回復したわけでは
ない。工場や倉庫が被災を免れたメーカーは、在庫の商品や材料で
いち早く操業を再開したものの、その在庫が尽きたときに、材料の
入手が困難になったり、また高騰するなど、なかなか震災以前と同
様の運営には至らなかった。

 しかし、現在ではそれも乗り越え、震災直後は入荷ゼロだった同
プラザの人気商品、笹蒲鉾が棚にぎっしり並んでいる光景はとても
感慨深いものがある。「震災以前は取り扱っていなかったメーカー
の笹蒲鉾も増えて、よりラインナップが充実しました」と語る宮城
県物産振興協会東京出張所長代理の上野剛氏が笑顔で手に取ったの
は鯨の缶詰だ。

■避難所の人々の胃袋を満たした「裸の缶詰」

 被害の大きかった石巻と気仙沼の商品は、まだ入荷していないも
のも多いが、この鯨の缶詰は、石巻の木の屋石巻水産のもの。

 津波により同社の工場は跡形もなく流されたが、瓦礫の下から大
量の缶詰が発見された。津波の影響で包装が剥がれた裸の状態の缶
詰だったが、まだ支援物資も充分に行き届かなかった震災直後の糧
として、避難所の多くの人々の胃袋を満たした。

 その後も同社の社員は缶詰を磨いて、千葉県、鳥取県などの道の
駅で裸の缶詰を「希望の缶詰」として販売した。その裸の缶詰が、
最近ようやく以前同様の包装された状態で店頭に並んだのだ。気仙
沼のフカヒレも仮工場などで稼働したメーカーの商品が徐々に並び
始めている。

 以前から産地直送の店頭販売が好評の同プラザだが、取材時は松
島で被災した料亭が、被災前の在庫素材を加工した魚のみりん漬な
どを販売していた。この業者もそうだったが、震災を機に改めて同
プラザに商品を卸すメーカーが増えている。

 同時に震災を機に宮城県の特産物のファンになった新規客も多い。
「お客様をはじめ、義援金を預けてくださった方、また『募金をさ
れた方に差し上げてください』と手作りの手芸品をお持ちくださっ
た方など、多くの方々の様々な応援に感謝しています」(上野氏)。

■周辺企業のイベントに積極出店――福島県八重洲観光交流館

 福島の特産品や陶磁器や漆器などの伝統工芸品のほか、福島県内
全市町の観光・交通情報を提供している八重洲の「福島県八重洲観
光交流館」。内陸部の商品は物流が回復した昨年の4月下旬にはほ
とんど店頭に並び、年が明けて次第に例年並に戻ってはきたものの、
4月から6月の売上は昨年の約2倍という活況を呈した。

□福島県八重洲観光交流館

●住所/東京都中央区八重洲2丁目6-21 三徳八重洲ビル 1F
●電話/03-3275-0855
●営業時間/10:00〜17:00無休
●公式サイト/ http://www.tif.ne.jp/jp/sp/yaesu/
●義援金は2月14日までで総額1681万3321円

 周辺に大手企業が多い八重洲にある同館の大きな特徴は、企業イ
ベントへの出展だ。「7月くらいまでは店頭での販売だけだったの
ですが、いろんな企業さんから支援の声がかかり、外部イベントの
要請が増えていったことはとてもありがたかったですね」と館長の
富田潤也氏は語る。

 復興イベントへなどへのブース出展から、企業の食堂内にコーナ
ーを設けて福島産の商品を販売するなど、その規模は様々だが、多
いときは毎週のように外販に赴いたという。

■被災者の手作りの定点観測ノートも閲覧できる

 情報入手もままならない震災直後から、福島から避難してきた人
や援助に向かった人の口コミなども盛り込んだ福島へのきめ細やか
な交通アクセス情報が掲示されていたのが印象的だった同館。

 現在では観光PRがメインになっているが、福島県の各地で開催さ
れる祭りやイベントの情報、さらに地元紙、「福島民報」と「福島
民友」が自由に読めるので、インターネットで情報を入手するのが
苦手なお年寄りになどに好評だ。さらに、被災した人が手作りした
定点観測ノートなども自由に読める。

 しかし、福島県は他県とは異なる原発という大きな問題が残って
いる。避難地域に指定されている相馬地区の相馬焼、浪江地区や葛
尾村の特産品である凍み餅や梅干しなどの入荷の目処が立たないの
はやはり寂しい。

 富田氏は「今後の課題は観光誘致。現在、旅行代理店が復興支援
として、お手頃なツアーを企画してくださっているので、我々も積
極的に福島県の良さをアピールしていきたいです」と意欲を語って
くれた。

■全壊した酒蔵の復帰第一号酒が登場!――いわて銀河プラザ

 震災直後のアンテナショップの取材では一番商品が充実している
ように見えた銀座の「いわて銀河プラザ」。それでも、当時は震災
以前の7割程度の品揃えだった。

 確かに本州で最大の面積を誇る岩手県は、被害の少なかった内陸
部のメーカーや沿岸部でも倉庫を内陸部に持っていたメーカーなど、
在庫が充実していたところも少なくなかった。とはいえ、物流の問
題に加え、パッケージやシールが手に入らないなど、完全な商品と
して出荷できないケースが多かったためだ。

□いわて銀河プラザ

●住所/東京都中央区銀座5-15-1 南海東京ビル1F
●電話/03-3524-8282
●営業時間/10:30〜18:00(毎月末日は17:00)無休
●公式サイト/ http://www.iwate-ginpla.net/
●義援金は2月17日までで総額2048万8367円

 現在では空きが目立った海産物や日本酒もほぼそろい、開店と同
時に賑わいを見せていた。こちらでも福島県同様、岩手県の物産を
積極的に購入しようと呼びかける周辺の企業が多かった。

 「企業開催のイベントだけでなく、周辺の企業の方が、お花見の
お酒を岩手県産のもので揃えようといった個人レベルでの応援も多
かったのがうれしかったです」と店長の樋下小夜子氏は語る。

■被災した同業のために「いったん免許を下ろした」

 震災直後は最新の被災地情報を随時提供し、避難所で生活する被
災者の名簿が閲覧できるコーナーも設けられていたが、昨年の8月
頃からはイベントのスペースとなって、物産展や写真展、観光PRな
ど、様々なイベントが開催されている。岩手県内の各市町村からの
申し込みも多く、イベント参加者に「がんばって!」と声をかける
人も見られた。

 沿岸部に日本酒の蔵元が多かったこともあり、空きスペースが目
立っていた日本酒コーナだったが、現在ではほぼ出そろい、棚には
ぎっしりと酒瓶が並んでいる。

 なかでも人気は酔仙酒造の生原酒「雪っこ」だ。同社は震災で被
災し建物が全壊し、従業員7人が犠牲になったたため、当初は復旧
の目処が立っていなかった。しかし岩手県一関市千厩にある酒蔵、
岩手銘醸の醸造施設を借り、昨年9月から酒造りを再開。とはいえ、
同じ場所で酒造免許が重複することは許されないため、岩手銘醸は
いったん免許を下ろすといった温かい手を差し伸べた。

 そういった背景も知っているファンも多く、復帰第一号品となる
「雪っこ」は大人気。1人5個までの限定販売だ。

 以前から根強いファンを持つ「三陸海宝漬」も復活。現在、人気
ナンバーワンの売上を誇る。また、食品以外でも南部鉄器が外国人
客を中心に人気が上昇し、新たなファンを獲得している。

◆ ◆ ◆

 いずれのショップも震災直後から初秋にかけての盛況は落ち着い
たが、震災前よりも確実に客足は増えている。それは震災をきっか
けにアンテナショップを訪れて、その商品を気に入り、リピーター
となった新規客が多いからである。

 被災した街の商品だからではなく、「美味しい商品だから」とい
う理由で購入する。決して「順調な復興」をうたえる現状ではない
が、こうしたことの積み重ねが、被災地が本当に立ち直る日へとつ
ながっていくのだろう。

(文・写真/永浜敬子)

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 長い記事ですが敬意を表して全文引用しました。

 最後は海外からの見解です。いつもの畝山さんのサイトから。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■Nature今週号は日本の特集:表紙は陸前高田の松

●三重災害の教訓

Lessons of a triple disaster
Nature Vol. 483 pp123 (08 March 2012)

 15000人以上が死亡または行方不明になり数千平方キロメートル
が放射能汚染された事故について過ちを見つけるのは簡単だ。しか
しもし科学者や技術者や救急隊員などがいなければもっとたくさん
の人が死んでいたかもしれない。何が間違っていて何が正しかった
のかを学ぶべきである。

●日本の核危機:福島の恐怖の遺産

Japan's nuclear crisis: Fukushima's legacy of fear

 日本の事故は10万人以上を避難させた。多くは今や安全に帰宅で
きる。しかし政府への不信が亡命を長引かせている。

 ドイツの放射線防護局の物理学者Wolfgang Weissによれば、速や
かな避難と注意深いスクリーニングにより福島の市民は危害を免れ
たことは既に明らかである。彼の同僚の解析から、一般の人々に危
険な量の放射線を浴びた人はいないことが示唆されている。

 しかし政府への不信が大きく、政府は信頼を取り戻すために非現
実的な除染目標を掲げた。しかし政府による野心的な除染目標は避
難している人達に不必要な恐怖を与えることで有害である。さらに
低い基準値は福島の経済にダメージを与える。

 厳しい基準値を設定するより人々との対話して彼らに決めさせる
ことが必要。

http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20120308#p13
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 この見解は明確ですね。時の政府が最悪であったのは運の悪いこ
とでした。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@
kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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(今回は休みます)

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「食品に含まれるトランス脂肪酸の食品健康影響評価」
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 トランス脂肪酸について、食品安全委員会の評価がまとまったよ
うです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 とりすぎると心筋梗塞などのリスクを高めるとされる「トランス
脂肪酸」について、食品安全委員会は、安全性を検討した結果、
「通常の食生活では健康への影響は小さい」とする見解をまとめま
した。

 「トランス脂肪酸」は、マーガリンや洋菓子で使うショートニン
グという油に比較的多い脂肪分で、WHO=世界保健機関は、とり
すぎると動脈硬化や心筋梗塞のリスクを高めるとして摂取量を食事
でとるエネルギーの1%未満に抑えるべきだとしています。

 食品安全委員会は、日本人の食生活を基にトランス脂肪酸の安全
性を2年近くにわたって検討し、8日、見解をまとめました。

 この中で、摂取カロリーに占めるトランス脂肪酸の割合は日本人
の平均で0.31%にとどまり、洋菓子や油分の多い食品を頻繁に
食べる人を除くと、高い人でも0.61%から1%だったとして
「通常の食生活では健康への影響は小さい」と結論づけています。

 ただ、10代後半の女性や20代の男女では、ほかの年代より高
くなる傾向があったということで、「油分が多い食事に偏っている
人は注意が必要だ」としています。

 また、一部のマーガリンにはトランス脂肪酸の割合が10%を超
えるものがあったとして、食品メーカーに改善を求めています。

 トランス脂肪酸を巡っては、去年、消費者庁がほかの栄養成分と
並べて表示するよう求める指針をまとめています。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120308/k10013585221000.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 元の情報は以下のページにあります。

食品に含まれるトランス脂肪酸の食品健康影響評価の状況について
http://www.fsc.go.jp/sonota/trans_fat/trans_fat.html

 ところが内容はすべてPDFファイルの上、コピーできないセキ
ュリティがかかっているか、文書を画像でとりこんだものかで、全
く使えない情報です。

 しばらく前に文科省のサイトで、すべてHTMLで情報化されて
いて感激しましたが、他の役所はみんなこんなものです。

 悔しいのでいろいろ探してみたら、ようやく以下のところで、セ
キュリティのかかっていないPDFファイルを見つけました。

会議資料詳細 第422回 食品安全委員会
http://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20120308sfc

 ここの「資料4:新開発食品に係る食品健康影響評価に関する審
議結果について<食品に含まれるトランス脂肪酸> [PDF:1,334KB] 」
というのが、今回の評価書そのものです。

 日本人のトランス脂肪酸摂取については、以下のように書かれて
います。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

1.食品中の含有量

 平成18年度食品安全委員会調査において測定された食品中のトラ
ンス脂肪酸含有量と、平成22年度食品安全委員会調査において新た
に実態調査したデータとを比較することにより、その経時変化を推
定した。

 この結果、同一銘柄の製品において、一般用マーガリンのトラン
ス脂肪酸含有量の平均値は 5.28g/100gから3.13g/100gへ約41%減少
し、ファットスプレッドの平均値は2.48g/100gから2.01g/100gへ約
19%減少した。 業務用マーガリン及びショートニングの平均値は1/
10以下に減少しており、ほとんどの試料で約1g/100gであった。し
かし、トランス脂肪酸含有量の低減されていない銘柄や含有量の高
い銘柄も存在した。

 また、参考値として飽和脂肪酸含有量を算出したところ、業務用
マーガリンの平均値において、29.9g/100gから40.9g/100gへ約1.4
倍増加し、業務用ショートニングの平均値は23.9g/100gから45.4g/
100gへ約1.9倍増加していた。

2.摂取量の推定

 平成18年度食品安全委員会調査のトランス脂肪酸含有量を用いて
日本人のトランス脂肪酸の摂取量を推定した結果、全員を対象とし
た解析において、全食品からのトランス脂肪酸摂取量の平均値及び
中央値は0.666g/日(エネルギー比 0.31%)、0.544g/日(エネル
ギー比 0.27%)であった。

 また、平成22年度に新たに測定した一般用マーガリン及びファッ
トスプレッドのトランス脂肪酸含有量を用いた解析の結果において
も、全食品からのトランス脂肪酸摂取量の平均値は0.636g/日(エ
ネルギー比0.30%)であった。

 男女とも年齢が低いほど摂取量平均値及び中央値が高い傾向が認
められた。硬化油と食用植物油由来のトランス脂肪酸摂取量に限定
すると、年齢階級による違いは少なくなるが、食用植物油由来のト
ランス脂肪酸摂取量は、15〜19歳及び20〜29歳の二つの年齢階級で、
男女ともに最も多くなっていた。

 また、平成18年度食品安全委員会調査のトランス脂肪酸含有量を
用いて推定した摂取量の1〜29歳の男性及び1〜59歳の女性の99パー
センタイル値並びに1〜6歳の男性の95パーセンタイル値がエネルギ
ー比1%を超えているが、硬化油及び食用植物油由来のトランス脂肪
酸に限定すると、エネルギー比1%は超えなかった。

 一方、飽和脂肪酸摂取量については、女性の 20〜39 歳の中央値
が「日本人の食事摂取基準(2010 年版)」での目標量の上限(18
歳以上でエネルギー比7%)を上回っていた。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 いくつかのことが書かれていますが、以下のようなことです。

(1)この数年で、加工油脂中のトランス脂肪酸含有量は下がって
いる。

(2)以前の(含有量の高い)数値で計算しても、トランス脂肪酸
はエネルギー比で0.3%程度で、WHOのいう1%未満を大きく
下回っている。

(3)低年齢層で少し摂取量が高くなるが、これは乳製品に含まれ
るトランス脂肪酸が原因で、加工油脂由来のものは同程度である。

(4)加工油脂中のトランス脂肪酸が減った変わりに、飽和脂肪酸
量は増えている。

 全体として、トランス脂肪酸はそれほど大きいリスク要因ではな
い、というのが結論です。

 最後の、飽和脂肪酸が増えている、というのが、リストのトレー
ドオフ、あちらたてればこちらがたたず、というやつです。

 マーガリンなどでトランス脂肪酸が減ったのは、原料を不飽和脂
肪酸を多く含む油脂から、飽和脂肪酸を多く含む、常温で固体の油
脂(パーム油)に変更したからです。

 その結果、トランス脂肪酸が減ったプラスと、飽和脂肪酸が増え
たマイナスで、総合的には微妙、というところでしょう。

 いずれにしても一般の人には大したリスクではありませんし、一
部のハイリスクな人は個別の病気とみるべきで、公衆衛生の対象と
は言えないと思います。

 ところで、トランス脂肪酸の安全性評価は食品安全委員会がやっ
ていても、表示問題は消費者庁の管轄で、ややこしいことになって
います。

 以下は昨年2月に公表されている、「トランス脂肪酸の情報開示
に関する指針について」

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 近年、科学的知見の充実により、トランス脂肪酸の摂取や飽和脂
肪酸及びコレステロールの過剰摂取と心疾患のリスクとの関連がよ
り明らかにされてきており、北・南米やアジア等における諸外国に
おいても、栄養成分表示の一環としてトランス脂肪酸の含有量の表
示の義務化が進んできているところである。

 世界保健機関(WHO)は、2003年、1日当たりのトランス脂肪酸
の平均摂取量は最大でも総エネルギー摂取量の1%未満とするよう勧
告を行った。その後、最新の知見を基にした2008年のWHOの報告書に
おいて、1%未満というレベルの見直しを課題として指摘していると
ころである。こうした状況下、日本人1日当たりのトランス脂肪酸
の平均摂取量は、総エネルギー摂取量の0.6%程度となっているが、
我が国における最近の研究では、若年層や女性などに、摂取量が1
%を超える集団があるとの報告もある。

(略)

 しかしながら、健康増進法に基づき表示の基準が定められている
飽和脂肪酸やコレステロールと異なり、トランス脂肪酸については、
表示する際のルールが存在しないことから、食品事業者が積極的な
情報開示に踏み切れなかったり、今後、情報開示が進んだ際に混乱
が生じ得る状況となっている。

 以上のことから、消費者庁では、別紙のとおり、トランス脂肪酸
に関して食品事業者が情報開示を行う際のルールとなる指針を定め、
食品事業者に対し、トランス脂肪酸を含む脂質に関する情報を自主
的に開示する取組を進めるよう要請することとした。

 食品事業者においては、トランス脂肪酸を含む栄養成分の表示が、
消費者の食生活の改善に重要な役割を有することを認識しつつ、販
売に供する食品の容器包装、ホームページ、新聞広告等により情報
開示が行われることを期待する。

http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin505.pdf
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「摂取量が1%を超える集団」は今回の食品安全委員会の評価で
は否定されています。

 栄養成分表示に「飽和脂肪酸、コレステロール、トランス脂肪酸」
を追加する、というのが最終的な方針になりそうで、これはアメリ
カで現にやっているのと同じです。

 それで悪くはないのですが、日本では健康上のリスクにはならな
い、という食品安全委員会の評価との整合性はどうなるのでしょう
かね。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 3月3日に、サーバーを移転しました。ほぼ問題ないと思います
が、何か不具合があれば教えてください。今度はWindowsサーバー
なので、ヒマがあればASP.NETでプログラムを書いても面白いかな、
と思います。でも当分ヒマにはなりそうもないです。

 土曜日の夜は淡路島の温泉に入っている予定です。老母から圧力
がかかり、温泉に連れて行くことになりました。そこで1日前に配
信をしています。

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