安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>641号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------641号--2012.02.19------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「放射線審議会の答申」

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ブログ毎日?更新中

http://www.kenji.ne.jp/blog/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 何か往復書簡のようですが、前々回の方からのメールです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 今週も、放射能の話が出ていたので、一言書かせて頂きました。

(1)山下俊一氏への私のイメージ

 心酔されている方には悪いのですが、私は彼の発言をYouTubeの
動画等で幾つか聞かせて頂いた結果、酷い人だと思いました。数カ
月前に見たので、うろ覚えですが、「福島原発から漏れた放射能は
安全だから避難する必要は無いと最初は言っておきながら、後にな
って、あれは安心させるためだ、被曝した子供たちが10年後に病
気になっても責任は取れない、被爆者の皆さんで疫学調査し研究し
てから分かることだ。」
といった内容だったと思います。
(参考)
http://kingo999.blog.fc2.com/blog-entry-301.html
山下俊一氏の動画集

(2)ある種のお病気では?

 私も、そう思います。昨年3月からテレビや新聞やインターネッ
トで震災や福島原発事故の報道を見過ぎたので過敏になっていると
自覚しています。

 最悪なのは、インターネットや週刊誌で見た、そんな馬鹿なこと
を、と思った最初はデマだと思っていた内容が、実は本当で、NHK
のニュースで聞いた政府の発表の方が嘘っぱちだった事です。

 お陰で、NHKのニュースが信じられなくなり、インターネットで
裏を取り海外のニュースまで確認してしまう有様です。

 厄介なことに、この病気は、10年後に、今回の放射能漏れの結
果、どの程度の被害があったか、白黒はっきりするまで続くのです
から本当に困ってしまいます。

(3)陰膳調査など。

 私の頭の中に居座ってしまった、ニュースを疑う心が無かったら
まるごと調査、とか、陰膳調査の結果を見て、安心出来たのですが、
ついつい疑ってしまい、同時に測定したカリウムが異様に多いとか
サンプル件数が異様に少なく、統計的には、安心できる数ではない
とか実は大量被曝の結果は黒く塗りつぶして、なかったことにして
いるのではとか勘ぐってしまい、安心できません。

(4)4月1日からの放射能基準。

 100ベクレル/kgになると聞いて、正直ほっとしました。で
も、詳しく調べてみると、乾物は放射能の含まれていない水で戻し
て元の自然の状態にして、100ベクレル/kgなので、切り干し
大根のように、10倍に膨らむものだと、今は500ベクレル/k
gなので、50ベクレル/kgで済むところなのにその2倍の10
0ベクレル/kgに緩くなる事が分かりました。

 カルシウムを取ろうと煮干を炒って食べたりすると、放射能汚
染たっぷり、という危険性があるようです。

 しかも経過処置があり、大豆では2012年12月31日まで暫
定基準値の500ベクレル/kgのままであり、12月31日に加
工された製品は、その賞味期限まで、暫定基準値のままで良いとい
う話なのでまだ数年はガードを下げられません。

 食品の新しい放射能基準値が100ベクレル/kgなのに、薪の
放射能基準値は40ベクレル/kgとか海水の放射能基準値は50
ベクレル/kgとか廃棄物のクリアランスレベルも100ベクレル
/kgだったりとか矛盾を感じる規格も、不安を増大させてくれま
す。

(5)今の食品の放射能汚染レベルは?

 陰膳調査では不思議に思えるほど少ない値しか出ていないのに、
農協などは500ベクレル/kgの暫定基準値でも厳しいと騒ぐの
が私の不安を掻き立てます。

 まるごと調査の結果が本当なら、500ベクレル/kgも汚染さ
れている食品は非常に少ない筈です。 なら、そういう農産物は国
もしくは東電が汚染されていない価格で買い取って廃棄物として処
理すれば良いと思います。

(以下略)

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 特に放射能が心配でたまらない人のお考えがよくわかる内容です
ね。その心配は理解できます。

 山下氏の言ったことについて、私が理解しているところでいうと、

「福島原発から漏れた放射能は安全だから避難する必要は無いと最
初は言っておきながら、後になって、あれは安心させるためだ、被
曝した子供たちが10年後に病気になっても責任は取れない、被爆
者の皆さんで疫学調査し研究してから分かることだ。」

というのは以下のようになります。

「避難区域に指定されたところ以外は、線量から見て避難するほう
がリスクは高い。」

「現地の人たちを安心させるために言った言葉に行き過ぎがあった
かもしれないので、責任は感じている。」

「線量などの情報からみて、健康被害が出るとは考えていないが、
これは一科学者が責任をとるとかいう話ではない。」

「健康被害が出る可能性はほとんどないが、住民の安心のためにも、
追跡調査が必要だ。方法はいろいろと工夫して、今後にも活かして
いけるようにしたい。」

 このあたりは受け取り方の問題ですし、山下氏自身が言っている
ように、いろいろと言葉足らずのところがあり、誤解もあったとは
思います。

 でも、必要なのは今後どうしていくのかを考えることですので、
個人的なことをあげつらうのはあまり意味がないと考えています。
私に言わせると誤解の部分が大きいですしね。

 検査基準については、いろいろと考えさせられるところがありま
す。検査というものについて、もう少し考えてみたいと思います。
というところで、下の欄に続きます。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@
kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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今回は休みます。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「放射線審議会の答申」
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 以前から言われていた「新基準」が、食品安全委員会→厚生労働
省→文部科学省→放射線審議会と送られて、最近その答申が出てい
ます。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

<放射性物質>食品の新基準値案、認める答申 異例の意見書

毎日新聞 2月16日(木)12時14分配信

 厚生労働省の諮問で食品中の放射性物質の新基準値案を審議して
いた文部科学省の「放射線審議会」(会長・丹羽太貫京都大名誉教
授)は16日、新基準値案を批判する異例の意見書をつけつつ、同
案を認める答申をした。意見書では、乳児用食品の1キロあたり5
0ベクレルを100ベクレルに緩めても健康は守られると記したも
のの、厳しい基準値を堅持する厚労省に歩み寄った。

 審議会は昨年12月27日から6回の審議を重ねた。毎回、大半
の委員から「国際機関は日本と同じ年間1ミリシーベルトを根拠に
しながら、一般食品のセシウムの基準値を1キロあたり1000ベ
クレルとしているのに、なぜ日本は100ベクレルなのか」「現行
の暫定規制値で国民の健康は十分に守られており、基準値の強化は
福島の復興の妨げになる恐れがある」「乳児用食品や牛乳に50ベ
クレルを設ける根拠はない」など、新基準値案を批判する意見が続
出した。

 しかし「厳しい新基準値でも農産物の流通が滞ることはない」と
の厚労省の意向は覆せず、「食品の放射性セシウムの濃度は十分に
低く、(新基準値が)放射線防護の効果を高める手段にはなりにく
い」との批判的な意見書を付けて結局は認めた。

 新基準値案は、一般食品100ベクレル▽乳児用食品50ベクレ
ル▽牛乳50ベクレル▽飲料水10ベクレル。4月から実施される。
【小島正美】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120216-00000043-mai-soci
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 その答申案がネット上で読むことができます。感心したのは、い
つもPDFファイルばかりの農水省や厚労省と違って、文科省は普
通のHTMLで、とても読みやすいです。

 以下はそのほぼ全文です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

1.防護の最適化及びステークホルダーの意見の考慮について

 最近の調査によると、食品中の放射性セシウムの濃度は十分低い
レベルにあり、放射性セシウムの摂取量から推定される線量は、放
射性カリウムから受ける自然放射線レベルと比べても十分に小さい
ものとなっている。このように食品に起因するリスクは既に1mSv/y
よりも十分小さくなっており、新たな規制値の設定が放射線防護の
効果を大きく高める手段になるとは考えにくい。

 このような状況で1mSv/yを管理目標とすることに異論はない。
食品の基準濃度については放射線防護の考え方からは安全側に立っ
た設定がなされているが、この点に関しては食品の基準濃度の導出
過程において、 実態に比して大きい汚染割合を仮定していること、
「一般食品」に関する検討に加えて「乳児用食品」及び「牛乳」に
対して配慮することにより子どもに対する特別な安全裕度を設定し
たことが指摘できる。

 放射線防護の考え方では、規制値は本来管理上の目標値としての
性格をもつものである。放射線防護の観点からは、当初は達成可能
な比較的高いレベルを参考レベル(目標値)とし、段階的にその数
値を下げていき、最終的に規制値として制定することが適切である。
一方で、今回諮問のあった食品規格基準は、食品の安全確保のため
に当初から規制値を基準値として設定したものとなっている。

 この食品規格基準は既に十分小さいリスクしかもたらさないもの
となっているため、規制値をわずかに上回った場合においても、そ
のリスクの上昇は僅かであることが認識されるべきであり、この認
識を踏まえたリスクコミュニケーションを適切に行うことが重要で
ある。

  また、諮問のあった食品基準は、放射線障害防止の基本方針に
照らせば、その目的を十分以上に達成できる低い数値が選定されて
いるが、事故の影響を受けた地域社会の適正な社会経済活動を維持
し復興するため、放射線審議会としては、今般の東日本大震災に伴
う原子力発電所事故により放出された放射性物質に対応するための
食品基準値の策定及び運用にあたって、ICRPの勧告注)を踏まえ、
ステークホルダー(様々な観点から関係を有する者)等の意見を最
大限に考慮すべきであると考える。

2.「乳児用食品」及び「牛乳」の基準値について

 「乳児用食品」及び「牛乳」の基準値について放射線審議会総会
第121回会合資料第121−2−2号「食品中の放射性物質に係る規格基
準の設定について」(平成23年12月22日 薬事・食品衛生審議会食
品衛生分科会放射性物質対策部会報告書 3.3 「一般食品」の基準
値の計算結果)で示されている計算結果では、「一般食品」に係る
限度値が最も小さくなるのは、13歳〜18歳(男)の120Bq/kgであ
り、この値を安全側に切り下げた100Bq/kgを「一般食品」の基準
値とすることが適当とされている。他方、1歳未満の限度値は460Bq
/kgであるとされている。これは、「一般食品」の基準値として100
Bq/kgが採用された場合には、1歳未満を含む子どもの各年齢区分・
各性別の年間被ばく線量が、飲料水に割り当てられた線量も加味し
て 1mSv/y以下に抑えることが、既に十分可能なものとなっている
ことを示唆するものである。

 これらの結果からすれば、「乳児用食品」及び「牛乳」に対して
50Bq/kgという特別の規格基準値を設けなくても、放射線防護の観
点においては子どもへの配慮は既に十分なされたものであると考え
られる。

 なお、一般的な食品中のカリウム40等の天然に存在する放射性物
質の量と同等程度の低放射能濃度を測定対象とすることに伴い、必
要な検査精度及び件数の確保が困難となることによって基準値を超
えた食品が市場に出回るといったことに繋がらないよう、適切な検
査体制を整備することが重要である。

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/housha/attach/1316573.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 議事録も公開されていて、上記の文章と関連する質疑が出ていま
す。面白いのでぜひ読んでいただきたいのですが、一部を引用しま
す。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

【丹羽会長】  前回の審議では、基準値を50Bq/kgにするのには
意味があるのかという質問をした。計算上は基準値を100Bq/kgと
しても、小児は守られるという結果を出し、占有率100%としても
やはり守られるという結果であった。その論理的な整合性について、
適切な回答が得られなかったと思う。

【森口(厚生労働省)】  御指摘のとおり、1mSv/年以下にする
のであれば、一般食品と同じ50%汚染の考え方で出した限度値が460
Bq/kgであり、100%汚染を考えたとしても230Bq/kgであれば1mSv
/年以下になると思う。

 まず一般食品の基準値を導出する手法として、全年齢層でみたと
きの100Bq/kgを決定した。小児、乳児も含めて守られているが、
食品安全委員会からの報告を踏まえて、無理なく下げられる基準値
を厚生労働省の審議会で決めていただいた。その際に、乳業界やベ
ビーフード等の業界団体に対して現状、測定の実態値等の状況を確
認し、50Bq/kgという基準値でも十分対応できることを確認してい
る。

【桝本委員】  基本的にリスクコミュニケーションが元々間違っ
た議論を進めた結果として、今回の下げるという議論になったもの
と理解している。

 牛乳に関しては、昨日の報道であったように検査体制ができてお
らず、今後検討を始めるという内容であった。報道によると、ほと
んどの都県で適切に測れていない。

 私の身近な者たちから聞くにしても、検査体制ができているのか、
国民に対してそのデータを示せるかといった懸念があり、国民の安
心してもらうことが先決ではないかという意見もあった。

【丹羽会長】  放射線審議会は放射線防護に係る技術的基準を審
議するものであるが、放射線防護という一番大事な基礎となる考え
方から言えば、お子さんを強いて分けなくてもいいのであれば分け
ない方がよい。家庭内で2つの食卓が並ぶという状況が出ている。
これはリスクコミュニケーションという面から見ても不備であり、
それで家庭内が大変煩雑になる、無用な心配をなさる、という意味
でも問題である。

 放射線防護の基礎となる考え方にもとるものであることは御認識
いただきたい。

【甲斐委員】  1mSv/年の議論について、厚生労働省の説明では
CODEXの1mSv/年に基づいたというものであった。そのCODEXの1mSv
/年は、国際的な介入免除レベルという形で、国際放射線防護委員
会(ICRP)が、大人から子どもまですべてを対象としたものとして
考えている。国際的にもそういう形で利用されており、1mSv/年は
あくまでも子どもも考慮に入れたものとして考えられている。

 法令上の、原子炉施設の運転といった計画のための基準値の1mSv
/年は御存知であると思うが、その数値は基本的には子どもも含め
た公衆を対象にしたものである。それをさらに踏み込んで、より厳
しいという判断も、日本政府としてはあり得るとは思うが、そこの
ところの理屈、論理を明確にしておかないと、従来の基準が子ども
に配慮されていないから、あえて配慮したのだといった誤解を与え
てしまう。そこは適切に説明していただきたい。

【森口(厚生労働省)】  その点については、リスクコミュニケ
ーションで十分説明していきたい。

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/housha/gijiroku/1316571.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 結構重要なことが語られています。

(1)年間1ミリシーベルト以下という目標値は、乳幼児も含んだ
すべての人が対象であって、この値で乳幼児も充分守られる。

(2)国民への印象操作として、乳幼児は厳しくするというポーズ
をとりたかったので、関係業界にはかったところ、通常の半分の規
制値でも対応できるということだったので、乳幼児は別枠として半
分の値にした。

(3)牛乳も同様である。

(4)新規制値になったとして、軽減される被曝量はごくわずかで、
ほとんど何も改善されるわけではない。

 というような感じで、何だか人を馬鹿にしているなあ、というの
が正直な感想です。

 最後に、「検査」ということについて考えてみます。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

新基準値移行で、検査の網の目をすり抜ける食品が増える?

 新基準値は、一般食品であれば100Bq/kg以下であること、さらに
牛乳や乳児用食品は50Bq/kg以下であることを要求される。厚労省
は、これまでの放射性セシウムスクリーニング法において、測定下
限値を「50Bq/kg以下であること」としてきた (厚労省・食品中の
放射性セシウムスクリーニング法の一部改正についてより) 。

 しかし、新基準値ではもっと低いレベルの含有を測定しなければ
ならない。そのため、厚労省が現在パブリックコメントを実施中の
食品中の放射性セシウムスクリーニング法の一部改正案においては、
測定下限値として「25 Bq/kg(基準値の1/4)以下であること」とし
ている。当然,牛乳と乳児用食品はこんなレベルの測定ではダメで、
さらに測定下限値を下げる必要がある。

 いずれにせよ、放射性カリウムなど、天然にある放射性物質の量
と同等程度の低い放射能濃度を、測定しなければならない。現在使
われている分析機器のうち、定量に使えないものが出てくるだろう。
また、測定時間を、現行の2倍、3倍と延ばすことになる。また、
低い数値であっても適切に測定し、必要な場合にはデータを補正で
きる人材が一層求められる。

 これは何を意味するのか? 放射線審議会では一部の委員から
「測定できるサンプル数が少なくなり、つまりは、高い数値の食品
を見逃す恐れが上がるのでは」という指摘が出た。検査数が減ると
は、網の目が粗くなる、ということ。すり抜ける食品が増えはしな
いか。

http://www.foocom.net/column/editor/5662/
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 FOOCOM.NETの松永さんの記事です。確かに、検査機器については
心配があるようです。

 今までの体制では足りずに、かなりの投資が必要になるでしょう。
これは農水省による、いつもの「焼け太り」のパターンです。

 どれくらいの費用かとういと、中西準子先生のところに、こんな
試算?がありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■いくらかかる?

 放射性セシウム1検体の試験費用は受託分析機関に依頼すれば1検
体18,000円、事前の調査や手間を加えると2万円。では、1袋のコメ
の値段は? 1袋30kgだが、大体買い取り価格が5500円くらい、ス
ーパーで買う価格が、魚沼コシヒカリとかでなければ1kg500円、こ
れを玄米に直すと1.1kg500円、つまり玄米1kgが450円。とりあえず、
1kg500円としよう。1袋15,000円。

■1袋の米についての基礎知識:

買い取り価格=5,500円、
販売価格=15,000円、
セシウム分析費用=20,000円。

 この数字をじっと見てください。全袋検査というのが如何に、愚
かな政策かということが分かると思います。福島産のお米30kg買っ
た人には20,000円差し上げます、ただし、セシウムの全袋分析はし
ていませんと言われたら、私はとびついて買ってしまうと思う。リ
スクが非常に小さいことが分かっているのに、20,000円いただける
のだから。

 福島県全体で35万トン、これすべてを全袋検査するなどという噂
もあるが、もし、そうならそのセシウム分析費用は?2,000億円。

■もう少し安くする方法もあると福島県は言っているようだ

 受託分析機関によっては、1検体10,000円のところもあるらしい。
そうなると、35万トンで1,000億円になる。

 しかし、分析機関に頼らない方法をとるらしいという記事がある。
産経news1月5日(14:29)によれば、JAや流通業者が高精度で迅速
に検査できる測定機器を導入する場合に全額補助する。県が導入を
想定している機器は、ベルトコンベヤーに検体を載せて次々と分析
できるタイプ。1台千数百万円の機器を県内に百数十台必要と見込
んでおり、20億円かかる見通しの財源には新たに設置予定の基金の
活用を検討する」とあった。

 確かに、Ge半導体検出器は1台1,300万円なので、20億円で162台
購入できる(知っているのかどうか知りませんが、本当はこの機器
をおく場所の工事もかなり時間とお金がかかるんですよ)。

 これを、24時間フル稼働して、1検体の測定時間をベルトコンベ
ヤー式なら3分くらいでいいとして、150日かかる(新米を食べるこ
とができる時期が冬になることもあるけど)。

 JAがこの機器を使う技術者、解析者などを1台当たり3人雇用する
として、その人件費が約60億円(時給3000円、稼働時間のみの支払
い)。80億円なので、1,000億円の10分の1。

http://homepage3.nifty.com/junko-nakanishi/zak576_580.html#zakkan577
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 この記事は福島産の米を「全袋検査」するということに関しての
ものですが、一般的に検査費用がどれくらいかかるのかもわかると
思います。

 BSE問題のときも、牛の「全頭検査」が無駄なことだという批
判をしてきました。しかし米の「全袋検査」と比べると、はるかに
マシなのです。

 というのは、牛は一頭ずつ生きていて、BSEは牛の病気ですか
ら、網羅的に調べるという意味での「全頭」は全くのナンセンスで
はないのです。

 しかし米はどうでしょうか?米の基本単位は一粒ずつです。牛と
同じ意味でやるのなら、一粒ずつ検査すべきなのでしょうか?

 もちろん、一粒ずつ検査するのは不可能ですし、もしやったら、
食べる米がなくなってしまいます。

 だからある程度の量をまとめて検査するのですが、そのとき、1
袋ごとにまとめる必然性はどこにあるか?ということが問題になり
ます。

 どうして地域単位ではいけないのでしょうか?農協単位で充分で
はないでしょうか?

 福島あたりだと、農協は大きな貯蔵サイロを持っているでしょう
から、そのサイロごとにサンプリングすれば充分だと私は考えます。

 食品を輸入するとき、輸入時の検査というのをやっています。か
つて中国から輸入したギョウザに高濃度の農薬が含まれていたのに
検査で見つけられなかったという事件がありました。

 しかし検査というものの性質からすると、あれは見つからなくて
当然です。通常農薬の検査は農場(または加工場)で使用した農薬
が残留していないかどうかを検査します。

 残留しているとすれば、広く同じような濃度で分布していると考
え、一部のサンプリング検査で見ています。あの事件のように、ご
く少量に高濃度を投入した場合、サンプリングで見つかるはずもあ
りませんでした。

 今回問題になっている放射性物質についてはどうでしょうか?そ
の特徴は以下のとおりです。

(1)放射性物質は一定の広がりを持って降下していて、ある程度
の範囲に分布している。

(2)田んぼのある土地や地形などによって、一部に検出濃度が高
くなる米がある可能性がある。

(3)しかし一度食べただけで被害が出るような高濃度になること
は考えられない。

(4)規制値は年間の被曝線量を基準に考えられている。

 要するに、検査では地域別のだいたいの傾向がわかればよいわけ
です。空間線量や土地の調査からして、必要ないところもあるでし
ょう。

 逆に、ある程度の汚染が確認できる地域は初めから出荷対象から
はずしてしまえます。(ほとんどないと思いますが)

 そして、環境の情報とサンプリングした検査値との関係を見てい
くことが、今後の対策を考えるためにも重要になります。

 健康被害はこういう総合的な対策で避けられるものであって、個
別の検査が健康被害を直接避けるためのものだというのは全くの誤
解なのです。

 これが最初のメールの方に言いたいところです。

 さて、まとめると以下のようになります。


■基準値を越えた米があっても、食べる回数は限られており、食べ
て被害が出ることはない。


■検査は被害を出さないためではなく、放射性物質の汚染状況を把
握するために行うもの。


■どの程度の率で基準値を越えているかを調べれば、年間の被曝量
がコントロールされている状態であるかどうかはわかる。最終的に
は年間被曝量がコントロールされていれば問題はない。


 ということで、私は新基準値には反対ではありませんが、検査は
あくまでスクリーニングとして、少数のサンプルで行うべきだと考
えています。

 これが農水省の「焼け太り」を許さない、唯一の方法です。

 だから、松永さんのように「検査の網の目をすり抜ける食品が増
える?」というような煽り方には反対です。そんなことを言ってい
ると、予算増(→増税)で対応します、とか言われそうです。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 昨年からアフラトキシンの検査基準が変わっています。基準値を
小さくして厳しくなったのですが、同時にサンプルの量を増やして
います。サンプルの量が多いと、たまたま基準値を越えることがな
くなり、より全体の濃度を代表できるようになるのだそうです。

 小さく分けて調べると、たまたま大きな数値になることがあるの
です。逆に合格したものでも、汚染された部分をわざわざ探し出し
て測れば、当然ですがびっくりするほど高濃度の結果が出ます。

 それを米の一袋でやろうとしているのですから、農民いじめだと
言われるわけです。

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