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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------635号--2012.01.08------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「ニュースから」「ワインと非加熱濃縮果汁」

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ブログ毎日?更新中

http://www.kenji.ne.jp/blog/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 前回の記事の続報です。「リボフラビン」と「キシラナーゼ」と
いう食品添加物で、前回と同じような「安全性審査」の問題が報告
されています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

食品衛生法に基づく安全性審査を経ていなかった遺伝子組換え微生
物を利用した添加物についての対応(第2報)

○ 今般、食品衛生法第11条第1項に基づく「組換えDNA技術応
用食品及び添加物の安全性審査の手続」(平成12年厚生省告示第23
3号)第3条に定める安全性審査を経ていなかった遺伝子組換え微
生物を利用した添加物「リボフラビン(ビタミンB2)」と「キシラ
ナーゼ」が確認されたことから、その対応についてお知らせします。

1 経緯

 上記告示に基づく厚生労働大臣の安全性審査を経ていない遺伝子
組換え微生物を利用した添加物の流通の判明及びその対応について
は、平成23年12月5日に公表を行ったところですが、当該事例を受
け、同様の事例の有無について検疫所及び自治体を通じた調査を行
っています。

 今般、BASFジャパン株式会社より、輸入したリボフラビン及びキ
シラナーゼ(※)が上記の安全性審査を経ていないこと、また、リ
ボフラビンに関しては医薬品原料として輸入したものの一部を添加
物に使用していたことの報告がありました。

 同社から得られた情報を分析したところ、リボフラビンに関して
は、我が国の薬事法に基づく登録がなされ、日本薬局方及び欧州薬
局方に基づき定められた成分規格に適合しており、個別の食品添加
物の成分規格を満たしています。また、すでに国外を含め広く使用
されている中で安全上問題となる情報は確認されていません。

 一方、キシラナーゼに関しては、製造に係る詳細な情報を開発企
業が保持しているため、現時点で食品安全委員会の評価に必要な資
料の入手が困難と考えられます。

※ リボフラビンとキシラナーゼについて

 リボフラビンは着色料や強化剤として使用され、清涼飲料水やた
れ等の着色及び食品の栄養強化剤として使用されている。輸入量は、
過去3年間(2009年〜2011年12月現在)で、医薬品原料として約82
トン(内約36トンを添加物として使用)。

 キシラナーゼは酵素として製パン改良剤に使用されている。輸入
量は、過去3年間(2009年〜2011年12月現在)で0.6トン。
2 現在の状況

1) リボフラビンの取扱い

 平成23年12月20日、BASFジャパン株式会社に対し、当該リボフラ
ビンの輸入、販売を取りやめるよう指示するとともに、食品安全委
員会の安全性評価に必要となる資料の提出を指示しました。

2) キシラナーゼの取扱い

 また、平成23年12月21日に報告された、キシラナーゼについても
輸入、販売を取りやめるよう指示するとともに、現時点で安全性に
関する情報が確認できないため、本日、同社を所管する自治体を通
じ、当該製品及び当該製品を用いた食品の回収を指示しました。

※ キシラナーゼの回収により、パンの流通に影響が生じる可能性
は少ないことを業者に確認している。 

3 今後の対応

 リボフラビンに関しては、食品安全委員会での食品健康影響評価
に必要な資料が整い次第、法令に基づき速やかに諮問を行うことと
しています。なお、安全性が確認されるまでの間、BASFジャパン株
式会社に対し輸入、販売を取りやめるよう指示しましたが、これら
の添加物を使用して製造された食品の輸入、販売の取りやめの取扱
いについては、改めて食品安全委員会の審議状況を踏まえて判断す
ることとしています。

4 再発防止策

 今回の事例は、医薬品原材料を食品添加物に使用した違反事例で
あり、今後、同様の事例が発生しないよう、改めて、業界団体を通
じて関係事業者に対して注意喚起を行います。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001yz82.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「キシラナーゼの回収により、パンの流通に影響が生じる可能性
は少ないことを業者に確認している。」というのは、形式上は回収
を指示していても、実際には回収される商品はいな=現在ではほと
んど使われていない、ということなのでしょう。

 それに介して影響の大きいリボフラビンについては、前回と同様
に、食品安全委員会の審議を待つということになっています。

 問題は食品安全委員会がこのところ訳のわからない決議をするこ
とが多いことで、変な方向に行かないか、ちょっと心配ですね。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@
kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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今回は休みます。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「ワインと非加熱濃縮果汁」
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 食品の原料として使われる果汁は、普通「濃縮果汁」です。今ま
では加熱濃縮が当たり前でしたが、「非加熱濃縮果汁」というもの
もあります。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

「非加熱濃縮製法」とは何ですか?

 トマト果汁に圧力をかけ、トマト果汁の水分だけを透過する「逆
浸透膜」を利用して、水分だけを取り除き濃縮するカゴメ独自の方
法です。

 濃縮する時に熱を加える必要がないため、トマトの風味や栄養、
鮮やかな色をほとんど損なわずに濃縮加工することができます。
(※殺菌のために加熱処理はしております。)

http://www.kagome.co.jp/customer/qa/category.html?id=22
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「逆浸透膜」は純粋な水を取り出す技術として知られていますが、
水を取り出した残りは、濃縮された状態になるということですね。

 この「非加熱濃縮果汁」をワインの原料として使う、という話が
あります。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

逆浸透膜式濃縮機の普及

 一部の白ワインに感じられた茹でた果実(ジャム)のような香り
は、砂糖添加から非加熱濃縮果汁添加へ移行する端境期に存在して
いた。1980年から加熱濃縮果汁添加への移行を済ませていた大半の
ドイツ・ワイン、リープフラウミルヒ(Liebfraumilch)のQ.B.A.
(Qualita"tswein Bestimmter Anbaugebiete)クラスやターフェル
ヴァイン(Tafelwein)クラスのワイン群の中にそれはあった。

 当然のことながら、逆浸透膜式濃縮機による非加熱濃縮果汁添加
への変更も、ドイツ・ワイン業界が先鞭をつけたと記憶している。

 しかし、この逆浸透膜式濃縮機の普及は、私に“新たな混乱”も
起こさせた。ドイツ・ワインの同じ蔵の同じ畑の同一品種同一収穫
年について、カビネット(kabinett)とQ.B.A.をブラインドで比較
テイスティングしてみても判別ができないのである。生産者を変え
て何度か試みたが、私のテイスティング能力では結果は同じであっ
た。むしろ、強いて上質と判断したものはQ.B.A.クラスの方である
ことが多かったと記憶している。

http://www.foodwatch.jp/column/middlrch/reefer0033_111208.php
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

補糖の有無の識別

 少し脱線してドイツ・ワインの話をしたい。ドイツのワインには
収穫後のブドウおよびその果汁に人為的加工を施してはならないと
いう規制をかけたクラスのワインが存在するのだ。少し前までは
「肩書き付き上質ワイン」(クワリテーツヴァイン・ミット・プレ
ディカート/Qualita"tswein mit Pra"dikat=QmP)、現在は単に
「肩書き付きワイン」(プレディカートヴァイン=Pradikatswein)
と規格区分されているワインがそれである。

 ECワイン法で地理的条件から最も多量の補糖を容認されている国
に、全く補糖を許さない規格のワインが存在し、かつ補糖の有無を
識別できる表示が義務付けられているのである。

 1970年代のドイツ・ワイン業界を生きた人間であれば、同一ワイ
ンのカビネットとQ.B.A.をテイスティングで識別する能力を身に付
けること、つまり砂糖で補糖したワインと補糖をしていないワイン
を識別することは、日々の基本であった。ところが、同時代をフラ
ンス・ワイン業界中心で生きた業界人の方々の間では、砂糖で補糖
したワインと補糖をしていないワインの判別など不可能とする主張
が多かったように記憶している。

 私の経験から言わせていただくと、ダメージであれ添加物であれ、
有るものと無いものについて、比較テイスティングで差異を感じ取
ることは容易である。反復テイスティングしていれば、未知のワイ
ンにそれが有るか無いかを判別できるようになる可能性は高くなる。

(略)

逆浸透膜式濃縮機のインパクトはほかにも

 逆浸透膜式濃縮機による非加熱濃縮果汁の添加は、ワイン業界に
とっては“諸刃の剣”、それどころか“開いてしまったパンドラの
箱”なのかもしれない。品質的に下位にあるはずのワインの品質が
圧倒的に向上し、安価で良質なワインが市場にあふれる時代が目前
に迫っていると思われるのだ。

 考えられる変化はほかにもある。従来は軽視されていたブドウ品
種の中から、逆浸透膜式非加熱濃縮を施すことにより高品質で個性
豊かなワインを生み出すブドウが再発見されるかもしれない。

 また2003年にフランスを襲った猛暑を契機に補酸(リンゴ酸添加)
が合法化されてしまったが、今後はこれ以外にも非加熱濃縮果汁の
部分成分添加が容認される時代が到来するかもしれない。

 さらには、本来は無色に近いであろう非加熱濃縮果汁も、果皮成
分の非加熱非醗酵抽出技術を併用すれば、赤い非加熱濃縮果汁もす
でに存在しているに違いない。過去に私はブドウ色素の売買を批判
したことがあるのだが、このアンダー・グラウンドの国際的組織も
最早崩壊しているのだろう。

http://www.foodwatch.jp/column/middlrch/reefer0034_111215.php
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 この記事は、「フードウォッチジャパン」の連載記事です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

再考・ワイン物流改善

 ワインのリーファー輸送を業界に提案した大久保順朗氏に、リー
ファー輸送が必要と考えるに至ったワイン物流の問題の本質を語っ
てもらい、今日なお多い改善すべき点を指摘してもらう。ワイン提
供者、ワイン愛好家の方々も必読の、知られざるワインの世界にご
期待いただきたい(毎週木曜連載)。

http://www.foodwatch.jp/serial/reefer.php
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 このサイトには他にもいろいろと面白い連載があります。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

土を知る、土を使う

 土に関する研究はさまざまで、わかっていないこともたくさんあ
ります。しかし、「これだけはわかっている」ということを押さえ
ることは重要です。より確実に生産性や品質を上げる情報だからで
す。怪しげな説や資材に踊らされることも防ぐことができるでしょ
う(毎週火曜連載)。

http://www.foodwatch.jp/serial/soil.php
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

北の空から見えるのは

 北海道には、北海道ならではの常識もあれば、北海道ならではの
非常識もある。空から見ればそれも歴然。大規模農家にしてパイロ
ットの宮井能雅氏ならではの視点をお届けします(不定期連載)。

http://www.foodwatch.jp/serial/birdseye.php
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 その道の専門家による、目からウロコの話が多いので、ぜひごら
んください。

 さて、ワインの話に戻りますと、ここで問題となっているのは基
本的に原料の糖度を上げる話です。

 穀物から作る酒は、原料中のデンプンをカビなどの酵素によって
分解して得られた糖をアルコール発酵させるので、高いアルコール
濃度を実現できます。

 果実から作る酒では、果実に含まれる糖をアルコール発酵させま
すが、果実の糖度はあまり高くないのです。果実酒といえばワイン
がほとんどなのは、ブドウが最も高い糖度を持つ果実だからでもあ
ります。

 そのブドウにしても、糖度20%を越えるものはほとんどないの
で、糖度の約半分になると言われているアルコール濃度が10%を
越える酒を作るのは難しいのです。

 そこで行われるのが「補糖」です。昔から、糖度の低いブドウが
多いドイツでは補糖されたワインが多く、フランスやイタリアでは
補糖はしていない、という思い込みがあったのですが、必ずしもそ
うではなかったという話も書いていました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 1970年発効のEC法では、1980年より濃縮果汁添加に完全移行を目
指すとされていた。しかし、1986年当時に補糖方法を砂糖添加から
濃縮果汁添加に移行していたのはドイツのワイン業界だけと言って
もよく、フランスやイタリアの大半のワイン生産者が砂糖添加から
濃縮果汁添加に移行したのは、非加熱の逆浸透膜式濃縮機が低価格
化し普及した後である。否、正確に言おう。1986年当時、私の舌に
はフランスやイタリアの当たり年以外の大半のワインには砂糖の味
が感じ取れることが多かったのである。

http://www.foodwatch.jp/column/middlrch/reefer0032_111201.php
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 果汁の糖度は濃縮すれば上げることができます。したがって、
「補糖」が「濃縮果汁」に変更されてきて、濃縮方法が非加熱にな
ると、自然のままで糖度の高い果汁から作ったワインと区別するこ
とが困難であるという指摘です。

 私たちとしては、こうした技術革新によって、「安くて美味しい」
ワインが大量生産されることは歓迎なのですが、これは伝統産業と
してのワイン醸造界にとっては大きな危機になります。

 日本人と違って、自分たちに都合のよいルールを考え出すのが得
意なフランス人たちが、どんなルールを作ってこの危機に対処する
のか、興味のあるところです。何しろ、「た2003年にフランスを襲
った猛暑を契機に補酸(リンゴ酸添加)が合法化されてしまった」
というようなことが日常的に行われているわけですので。

 連載記事中には、こんな記述もありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 反面、従来のような良質な自然果汁を得るための“畑での努力”
は報われない時代が到来する危険性が高まっていると言えよう。や
はり早急にECワイン法の中に、ドイツのプレディカートヴァインよ
りも厳格な「何も足さない! 何も引かない!」というワイン規格
を創出しなければならない時代が来るのだろう。

 そして、何も足しも引きもしないワインの品質的優位を容易に感
知できるシステムの構築が必要となるだろう。非加熱濃縮果汁添加
を禁止し、補糖容認規格のワインには加熱濃縮果汁添加あるいは異
糖添加のみを許可するようなしくみである。

http://www.foodwatch.jp/column/middlrch/reefer0035_111222.php
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 消費者の利益になる技術革新であっても、それにより失われるも
のは大きい、ということは理解できます。このあたりはなかなか難
しい話ですね。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 普段は一回の話題を、一つのサイトの記事でまかなうことはしな
いのですが、今回は非常に興味深いことがありましたので、連載記
事の単純な紹介になってしまいました。

 この連載の筆者は、「ワインのリーファー輸送」を提唱したこと
で知られているそうです。我が家にも某通販業者が輸入したワイン
が定期的に届くのですが、「冷蔵輸送」されたもので、案外安くて
美味しいワインです。いろんなところで目に見えない進歩はあると
いうことです。

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