安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>627号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------627号--2011.11.13------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「Q&A」「放射能談義」

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ブログ毎日?更新中

http://www.kenji.ne.jp/blog/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

こんなメールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 いつもメールを拝見し、勉強させていただいております。

 別添のファイルを送付いたします。参考としてください。

 食べ物情報に掲載してほしいわけでは、ありません。ただ、参考
になればと思い送付しました。

 個人的には、勝手なことばかり書いているなぁ〜と、思いました。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ファイルを添付してくれていたのですが、以下のところにあるも
のです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

生食用食肉に係る規格基準の一部改正並びに
運用方法についてのお願い

1.食肉業界の意見を聞く機会をつくること。
2.生肉の食文化を消すことになります。
3.解りやすい、誰でも実行可能な基準に変えること

http://ajmic.or.jp/kumiai/pdf/2011/20111002-2.pdf
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 というような内容です。やはり「食文化」というところがポイン
トになります。生肉を食べる食文化など、日本にはなかったのでは
ないでしょうか。

 生の魚を食べるというのも、それほど広くあった食文化ではなく、
以前は食中毒が多発していました。それは何とか克服してきました
ので、現在ではさほど問題なく食べられるようになっています。

 しかし、生肉については、克服できない問題が発生しており、と
ても維持できないというのが食品安全委員会の判断です。

 これについて、面白いコメントがありました。いつもお世話にな
っている、畝山さんの記事です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

[FDA]食品照射:あなたが知る必要のあること

 食品照射(食品にイオン化放射線を当てること)は微生物や昆虫
を削減または排除することで食品の安全性を向上させ日持ちを良く
する技術である。ミルクの殺菌や野菜や果物の缶詰同様、照射は食
品を消費者にとってより安全なものにすることができる。

 FDAは食品の照射に用いられる放射線源の規制を担当している。
FDAは食品の照射が安全であることとを確認した後にのみ食品へ使
用する放射線源を認可する。

■何故食品を照射するのか?

□照射は多くの目的で行われる。

・食中毒を予防する
・保存
・昆虫の管理
・発芽や熟成を遅らせる
・殺菌

□照射に関する神話の嘘を暴く:照射により食品が放射活性になっ
たり、栄養成分が破壊されたり、味やテクスチャーや見た目が著し
く損なわれたりすることはない。実際には照射による変化はごく僅
かなので食品が照射されているかどうか見分けるのは難しい。

■食品はどのように照射されるのか?

□食品に使用が認められている放射線源は3種類ある

・ガンマ線:コバルト60やセシウム137
・X線
・電子線(電子ビーム)

□知っていましたか?:NASAの宇宙飛行士は宇宙飛行中に食中毒に
なるのを避けるため放射線で滅菌された肉を食べている。

■照射食品は食べても安全か?

□FDAは30年以上照射食品の安全性を評価してきて、このプロセス
は安全だと分かっている。WHOやCDC、USDAも照射食品の安全性を認
めている。

■照射が認められている食品はどのようなものか?

□FDAは以下のような各種食品の照射を認可している。

・牛肉や豚肉
・家禽
・軟体魚介類(牡蠣やアサリやホタテなど)
・殻つき卵
・生鮮野菜果物
・レタスやホウレンソウ
・スパイスや香辛料
・種やスプラウト

■私の食品が照射されたかどうかはどうやってわかる?

 FDAは照射食品には国際的照射マークをつけることを要求してい
る。Raduraマークと「照射済み」などの表示を見ればいい。野菜や
果物などは個別表示の他にコンテナに表示されていることもある。
複数成分からなる食品中の個別成分(例えばスパイス)には表示を
要求していない。

 照射は適切な食品の取り扱いの代わりになるものではないことを
忘れないことが重要である。

(どうしてもユッケや生牡蠣を安全に食べたかったら照射すればい
いのに)

http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20111108#p5
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 最後のカッコの中が畝山さんのつぶやきなんですが、ニヤリとす
るところです。「生肉食」を正当化するには、本当にこれしかない
のでしょうね。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@
kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.今回もお答えいただきましてありがとうございました。市販肉
の病原性大腸菌汚染率というデータが感染症学会のものであってそ
れをみると市販枝肉はあまり菌自体はいないようにも書かれていま
した。

 そこで質問なのですが 焼き肉屋で 生肉をつかんだ箸でたべて
はいけないとかそれが原因でO157になったとかありましたよね。生
肉をつかむ→その器具でひっくりかえす その器具でさらにもりつ
けたらとした初めに器具についた菌は どうなっていますか?

 肉自体はひっくり返す時に菌がついた器具でひっくりかえしたと
しても焼いているので大丈夫として 器具はそんなに加熱されてな
いから菌はついたまま、その器具でもりつけることは いくら食べ
るとき違うはしでたべても 盛り付けた時点でもう菌が肉について
る気がします。

 家庭でも 生肉をつかんだ箸でいためて そのはしでもりつけた
ら肉は焼けていても 箸は大丈夫なのかなあと。。。

 間接的 と 二次感染 の違いがわかりません。。。肉からほか
の食品を菌で汚染することは どこまでをいうのでしょうか?

 まな板に付いた菌から さらにほかの食品をそのまな板で切るこ
とで菌が移るのは二次感染ですよね?

 では 焼くのに使った器具で盛り付けるのは二次感染ですか?初
めに生肉をとる器具 ひっくり返す器具 とりわけるはし 食べる
はしここまでわけてやるべきでしょうか?

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A.二次感染というのは、一度食中毒が起こり、その患者から菌が
さらに他の人に移っていくというイメージではないかと思います。

 食中毒菌が元々あった食物から、他の食物に移って、その結果食
中毒になるというのはよくありますが、それは感染経路の問題であ
って、二次感染というのとは違います。

 さて、生肉をさわった器具で食べるのはよくない、というのはそ
のとおりです。生肉をつかんだ箸でサラダをとるというのはよくあ
りません。

 生肉をつかんだ箸で、他の肉を取って焼く、というのは問題あり
ません。

 要は加熱の前と後で使い分けるということです。

 家庭でもまな板や包丁に気をつけるべきですが、「加熱する前の
肉や魚を切った後に、同じ道具で生で食べるものを切らない」とい
うことです。

 生で食べるものというと、普通野菜ですが、魚も刺身で食べると
きはそうですね。

 焼肉の場合で言うと、鉄板や網が加熱の現場です。そこに肉を乗
せるときと、焼いた肉をとりあげるときとで、違う道具を使うとい
うことで充分と思います。

 それから、病原性大腸菌のような重大な食中毒菌は、検査しても
めったに見つかることはありません。生肉についているのはごく稀
なことです。だからこそ、食中毒事件は運悪く起こるとも言えます。
そして、それが運が悪かったと思う人は何度も被害を受ける、とい
う仕組みです。

 「当店の肉は食中毒菌検査で合格しています」などというところ
は間違いなく危ないです。検査で食中毒をなくせるなら、苦労はあ
りません。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「放射能談義」
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 前回の記事に関連して、放射能の話題です。こんなメールをいた
だきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 いつも興味深く拝見しています。横浜の給食で放射性セシウムが
検出され暫定基準値内にも関わらず使用をとりやめた。と発表があ
りました。

http://yokohama-konan.info/wp-content/uploads/2011/10/phpqYzld8.pdf

 心配していましたが基準値以下でもダメっていうの判断をみたの
は初めてです。自分は横浜の教育委員会は過剰反応を示していると
感じています。だったら数値がいくつなら大丈夫なの?って聞いて
みたいところです。この動きって正常と思いますか?

 もう一つお聞きしたい事、天然カリウムに一定の比率(0.0117%)
で含まれているカリウム40の件、通常の食品にカリウムは普通に含
まれていてその0.0117%がカリウム40であるって、本当ですか?

 もちろん人間の体の構成成分にもカリウムはある訳ですから内部
被爆を常時、微量受けている事になるのでしょうか。セシウム137
の10〜100ベクレルとかの数字を公表、一喜一憂するのはリスクコ
ミュニケーション的に問題なのではないでしょうか?

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 基準値以下でもダメなら、基準値の意味がないですね。やはり日
本人的な「ケガレ」として捉えられているということだと思います。

 アフラトキシンのようにタテマエとしては基準値を設けず、「検
出しないこと」にしておいて、検査方法の方で一定の値以下は「検
出せず」にしてしまう、という方法があります。

 この方法で行けば、基準値以下は「検出せず」になる機器で検査
すればよいのですが、残念ながらこのごろの検査機器は性能がよい
のです。その上、正確に核種まで判定しながら測るのは素人には無
理ですので、余計に話がややこしくなります。

 カリウムの話は本当です。人体が自然に持っている放射能につい
ては、以下のとおりなのだそうです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

表3 人体中の放射性核種(体重60kgの日本人の場合)

カリウム40       4000ベクレル
炭素14         2500ベクレル
ルビジウム87       500ベクレル
鉛210・ポロニウム210  20ベクレル

http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/09/09010107/03.gif
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 だいたい7000ベクレルくらいで、この数値はほぼ一定になっ
ているようです。したがって、カリウムを多く含む食品を食べたか
らといって、体内の放射線量が増えるわけではありません。逆に、
減らすことも不可能です。

 自然放射線で年間1〜3ミリシーベルトを被曝している、という
ときは当然、この内部被曝分も入っています。

 次は私の意見がちょっと過激なのでは?というメールです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 いつも楽しみに見せてもらっています。

 放射能の話で、ちょっと過激な数値が出ていたので、反対意見を
書かせてもらいました。

(1)健康被害のみを言うのなら、年間100ミリシーベルトを許
容値 としても問題ないはずです。

 いくら何でも、年間100ミリシーベルトは危険だと思います。
10年で1シーベルト、80年で8シーベルトの被曝ですよ!

 被曝の被害に控えめなICRPでも1シーベルトの被曝で5%がガン
で死ぬとされています。

 年間100ミリシーベルトなら、年間0.5%の人が癌で死ぬこ
とになります。

 これは10万人当たり500人に相当します。これは日本のガン
による死亡率を超えています。

 それに、普通のガンなら、70歳以降ですが、放射能被曝の癌だ
と放射能に敏感な、若い人がガンで死ぬのです。

 今の日本では若い人がガンで死ぬ確率は非常に低いので、とても
目立つ筈です。
 
 2009年のがんの死亡率(粗死亡率)は男性性336.4、女性213.6
(人口10万人あたり)。
http://ganjoho.jp/public/statistics/pub/statistics01.html#prg3_1

 あと、52歳の老人なら大丈夫な量の放射能でも、子供には危険
という話もありますから、母親が給食を気にするのは当然だと思い
ます。

(2)ICRP

 ICRPの数値は、昔は随分と緩かったようですが、数年毎に審査さ
れて徐々に厳しくなってきているようです。

 ICRPの数値の根拠として、広島・長崎の原爆被害者のデータを使
っているそうですが、こちらも、長期的な影響が出てきているよう
です。

 アメリカが広島・長崎の原爆被害者を実験材料として調べた調査
を日本の放射能影響研究所が引き続き調査し続けています。

 最初は、放射能の影響など無い、という結論を出して被爆者の救
済を阻む資料になっていたようですが、最近では放射能の影響が明
らかになりつつあるそうです。

 第13報 固形がんおよびがん以外の疾患による死亡率1950
ー1997年を見ると、固形がんの過剰リスクは 0-150mSv の線量
範囲においても、線量に関して線形であるようだ、と書かれてしま
した。30歳で1シーベルト被曝した人の場合、固形がんの過剰リ
スクは0.47だそうです。

 つまり、ガンで死ぬ確率が1.47倍になるということです。

http://www.rerf.or.jp/library/scidata/lssrepor/rr24-02.htm

 オンラインで資料請求したら、水色の表紙の着いた報告書を無償
で送ってくれました。是非、入手してお読みください!(専門的過
ぎて、オンラインの辞書が無いと読めないのが欠点です。)

(3)内部被曝

 500ベクレル/kgの食材を1回だけ食べるのであれば、さほ
ど気にする必要はないと思いますが、給食や社員食堂で、食べて応
援、のように、毎日食べると、結構な量になります。 500ベク
レルの根拠は、毎日食べ続けると1年で5ミリシーベルトの被曝に
相当すると、文部科学省が言っています。

 しかも、これは大人向けの数値なので、子供には数倍影響が大き
くなります。

 まあ、東京なら、関西からも食料が入ってくるので、薄まるでし
ょうが...

 神戸に住んでいる私は高みの見物、と言いたいところですが、ち
ょっと北には15基の原子炉があり(福井県というか若狭湾という
か)今も古い1970年代の美浜原発などが稼働中なので、地震が
来たら、琵琶湖が汚染されてしまう、関西は壊滅するのではないか
ととても心配しています。

 明日は我が身なので、目が離せません!では、今後とも宜しくお
願いいたします。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「被曝の被害に控えめなICRP」と言われていますが、ICRPは放射
線の被害については、過大な見積りをしていると公言している組織
です。

 ICRPより「厳しい」被害を見積もっているところは信頼性が欠け
ます。真実はICRPの見積りより、かなり緩いところにあるというの
が私の理解です。

 以下のページにそれを示した図があります。
http://www.yasuienv.net/QAEnergy.htm

 通常時は厳しすぎる値である、ICRPの勧告値を使って管理するが、
事故発生時の管理にはこの値は使えないし、使うべきではない、と
ICRPがはっきりと言っています。

 それから、「若い人がガンで死ぬ」というのも少し違います。放
射線被曝とガンの関係は、ガンで死ぬ率が増えるかどうかを言いま
す。若いときに被曝したからといって、若いうちにガンになると言
っているわけではありません。

 大量に被曝したときに死ぬのはガンとは全く関係のない理由です。
少量の際は何も症状が現れない=無害のように見えますが、生涯で
ガンになる率が上がるかもしれない、というのが議論の内容です。


 「80年で8シーベルトの被曝」は簡単な算数ですので、承知の
上で書いています。8シーベルトを一時に浴びれば確実に死にます
が、80年にわたって分散した場合は違います。

 また、年間100ミリシーベルトを許容値にする、と言っても、
100年間その数値のまま、とは言っていません。当然、事故収束
に従って、徐々に許容値は下がっていき、通常時の1ミリシーベル
トに復帰するわけです。

 したがって、80年たっても、累計で1シーベルトにもならない、
という計算も成り立ちます。

 もっと過激な意見もあります。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 アゴラで何度も書いていることだが、現在の日本の放射線の被曝
限度には科学的根拠がなく、これにもとづいて除染を行なうと莫大
な社会的浪費が生じる。先ごろ来日したオックスフォード大学のア
リソン名誉教授は、これに強く警鐘を鳴らし、月100ミリシーベル
トに緩和することを提唱している。これは年1200ミリシーベルト、
現在の基準の1000倍以上である。

(略)

 広島と長崎の被爆者4万人についての近藤宗平氏などの調査でも、
100ミリシーベルト以下の被曝による発癌率の増加はみられない。
チェルノブイリについても、アリソン氏はこう指摘する:

 チェルノブイリ原発事故では、最も高い線量の6000ミリシーベル
ト以上では21人中20人が死亡している。ただし、その下の4000ミリ
〜6000ミリシーベルトでは、21人中7人が死亡、さらにその下の
2000ミリ〜4000ミリシーベルトでは55人中1人が死亡、そして最も
低い2000ミリシーベルト以下では140人全員が生き残っている。

 議論の余地があるのは、微量の放射線を長期にわたって浴びる場
合だ。これについては年100ミリシーベルト以下でも発癌率が高ま
ると主張する論文もあるが、その影響はあるとしても受動喫煙より
小さい。これが現在の医学界の「国際的コンセンサス」である。そ
れが法律と違う場合には、変えるべきなのは法律であって科学では
ない。

 したがって1〜5ミリシーベルトの除染によって健康被害が減るこ
とはありえない。少しでも疑いがあれば安全側に立って基準を変え
ないというのは行政の立場としてはわかるが、機会費用を考えると、
意味のない除染に数兆円もかけるより、同じコストを被災地の復旧
にかけるほうがはるかに効率的だ。過剰な安全基準によって利益を
得るのは、武田氏や自称ジャーナリストのように放射能デマを売り
歩く人々だけである。

http://agora-web.jp/archives/1394307.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 月100ミリシーベルトとは実に過激ですが、宇宙ステーション
に滞在すると1日に1ミリシーベルト被曝するそうです。それでも
何事も起こっていないそうですので、案外真実の危険ラインはもっ
と上なのかもしれません。

 でも、さすがにそこまで緩める必要はなくて、年間20ミリシー
ベルトを越えそうなところから順に対策を講じていき、5ミリシー
ベルト以下のところは何もしない、というようなあたりが現実的な
対応と思います。ここに書いた数値は例としてのもので、別に根拠
はありません。要するに現実的な費用と時間で対策可能なところか
ら手をつければよいということです。

 もう一つ、メールをいただいています。こちらはLNT仮説を批
判するものです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 LNT仮説についてですが、こんなものが、いつまでも「のさばっ
ている」状況を、苦々しく思うのです。

 僕は田舎でほそぼそと歯科医院を開業しています。21年くらい前
に大学で「歯科放射線学」の講義を受けました。

 放射線防護については、確率的影響、確定的影響、そして、「直
線しきい値なしモデル」も教わった記憶があります。

 当時、講義を受けていて、「おかしな話だなぁ。」とは思ってい
たのですけど、そのまま放置してきました。学内の試験、歯科医師
国家試験も、LNT仮説を、仮説ではなく「真実である」という前提
で出題されていましたし、「しきい値が存在する」という考え方で
は正答とされませんでした。

 これは今でも変わらないと思われます。「LNT仮説は、しょせん
仮説なので、仮説として正しく扱うようになった」「実態とそぐわ
ない仮説ですから誤りだと思われます、と教えるようになった」と
いう話は、残念ながら聞いたことがありません。

 おそらく、医師国家試験も、おなじような出題基準・方針でしょ
う。

 また、よほど放射線学に興味のある学生でなければ、「教わった
LNT仮説は、本当にただしいのだろうか? 」というテーマで、自
分で調べたりはしないでしょう。

 だいたい、放射線学は、普通の学生からは、「試験や、国試のと
きだけ必要最小限を勉強する」ような扱いのはずですから、教科書
に書いてあること以上の内容を自主的に勉強する学生は、あまりい
ないと思います。

 そして、放射線学、放射線医療などを専門とされる先生以外は、
たいていがその知識のまま医師・歯科医師になりますので、われわ
れも、情けないことに、ほとんどが「この間違った仮説しか身に付
けずに、社会に出てしまっている」はずです。(なかには、ご専門
でも、、、??? という先生もおられますが。)

 「無視していい低線量でも大騒ぎしている」いまの日本ですが、
諸悪の根源のひとつがLNT仮説だと思います。怖がる必要のないも
のまで怖れたりナーバスになったり、放置して構わないものにまで
除染!除染!の大合唱です。

 もちろん、LNT仮説の問題点を指摘なさっておられる立派な先生
方もいらっしゃいますが、いまのおかしな状況は、LNT仮説を野放
しにしてきた末端のわれわれ医師・歯科医師、ひとりひとりにも、
責任の一端があると思います。

 僕は、同業者やお医者さんの加入している放射線関係の学会や、
元締めである日本歯科医学会、日本医学会、また日本歯科医師会、
日本医師会などが、LNT仮説のすみやかな放棄に向けて強く動かな
いことを日々疑問に思いますし、大変残念に思います。

 最近も、上部から署名活動を求められているのですが、(たとえ
ば、「受診時定額負担制度」導入反対の署名集め、とか。)「もっ
と大事なこと」が目の前にあるのではないかと思います。でも、こ
んなことを言うと、絶対怒られてしまいます・・・。

 バッシングにも負けずに正しいことを広めるのが学術団体の存在
意義だと思うんですが。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 LNT仮説については、こんな解説がありました。根拠となって
いる実験はずいぶん古いものですが、現実にあるのですね。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

「直線仮説」、DNA修復機能のないハエを用いた実験から誕生

 この説のもとになっているのが、1927年のH.J.Mullerの雄のショ
ウジョウバエにX線を照射し、突然変異リスクを調べた実験である。
ショウジョウバエにさまざまなレベルの放射線を照射したところ、
レベルに比例して2代目、3代目に奇形や障害が現れたという。しか
し、この実験で用いたショウジョウバエの精子細胞は特殊なDNA修
復機能のない細胞であった。

 また、1930年に、C.P.Oliverもショウジョウバエの雄の精子を用
いた実験を行っているが、この実験でも、精子のほとんどが成熟精
子でDNA修復機能のない特殊な細胞を使っている。もともとDNA修復
機能のない細胞である。安全な線量域など存在しないという結論に
当然至る。

 ちなみに、2006年に、電力中央研究所で01iverの実験の追試をし
ているが、DNA修復機能のある細胞を用いたところ、実質的なしき
い値が存在することが確認されている。ともあれ、H.J.Muller は、
「放射線は微量でも毒であり、有害性は直線的な比例関係にある」
とする「直線仮説」を提唱し、1946年に、他の遺伝子学上の業績と
併せノーベル生理学・医学賞を受賞する。

 1946年というと、広島・長崎の原爆投下の翌年である。その後、
世界的な反原発運動の流れの中で、「直線仮説」が支持され、1959
年には、ICRPに正式に採択される。以来、50年間、「直線仮説」が
放射線防護の国際的な安全基準値策定の根拠となる。

http://health-station.com/new151.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 修復機能が働かない環境では、放射線による被害は放射線量のみ
に比例する、というのは間違いないようです。

 昔は遺伝により子孫にまで被害が広がっていくという考えがあっ
て、線量は低いものの被曝者が多いレントゲン検査が、国民全体に
とっては危険である、などという意見もありました。

 私もそういう話をネタに胸部健診などは避けてきましたが、別に
信じていたわけではなく、単に健診を受けるのがイヤだったのです。

 もちろん、この説は完全に否定されています。しかし、このごろ
は影響が子孫に伝わるという説を、復活させようとを目論んでいる
人もいるようです。

 そういうデマを広げないためにも、微量放射線被曝による被害を
ガンだけに限定している、LNT仮説は通常の場合には有効だと私
は思っています。

 しかし真実の被害がでる値とは違いますので、緊急時は思い切っ
てゆるめてもよく、肝心なのは被害地域の限定と生活の復旧だと思
うのです。実害の出そうにない値に一喜一憂しても仕方ないだろう
ということでもあります。

 微量放射線の被害を騒ぎ立てる人たちは、いったい何をしたいの
だろう?と不思議に思う今日このごろです。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 今回はたくさんのメールをいただきました。ありがとうございま
す。おかげで少し長くなりましたがご了承ください。

 15日には久しぶりに人前で話します。今回はメーカーなどの経
営者が相手ということで、節度を持った宣伝活動を…などという話
をしようと考えています。

 翌16日からまた中国ですが、今回は上海、青島、大連と回る予
定になっています。土曜日には大連に着いているので、次回は大連
から配信します。

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