安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>626号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------626号--2011.11.06------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「Q&A」「食品安全委員会」

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ブログ毎日?更新中

http://www.kenji.ne.jp/blog/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 前回の記事について、こんなメールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 いつも情報ありがとうございます。

 今回の病原性大腸菌の話、私も放射能やBSEよりも怖い問題、す
ぐそこにある危険として考えています。感染源が不明というのは、
牛肉だけではなく他からの感染の可能性があるということでしょう
か?

 私は病原性大腸菌やサルモネラなど、生命の危険をはらんだ菌に
恐怖しておりますので、感染源が不明というのは怖いです。子供が
犠牲になることが耐えられない。。。。

 そもそも、牛の解体時にどれほどの菌が枝肉に付着してしまうの
か、販売されている肉にはそれほど病原性大腸菌はいないのか。。。。
もっと牛の検査を徹底してほしいです。

 食中毒予防として対策していても、もとの肉に菌がたくさんいる
なら今の予防策だけでは足りないのではないかと思います。

 幼稚園から菌だなんて 怖すぎて。。。

 腸内フローラを考えて、もし感染しても発症しても重症化しない
ように日ごろから酪酸菌や乳酸菌、納豆菌を摂取し、体内からの予
防もしてはいますが、細菌学や免疫学の先生は これらには意味が
あるとしていますが、医者はこんなことしても意味はないというよ
うなことを言います。

 確かに人体で実験したわけではないので確実とは言い切れないか
もしれませんが、わらをもすがるというか、何か親としてできるこ
とをと思い、ヤクルトなども飲んでます。

 過剰な衛生対策は逆効果だといわれますが、過剰な対策をしない
ことのメリットと過剰対策した後のデメリットを考えると、安全性
や自己防御という点では、私は後者を選んでしまいます。。。。

 感染経路や感染源が不明というのも、私はもしかしたら私が日々
恐れている菌の三次、四次汚染からなのでは、菌が食品以外にも繁
殖してしまっているのではと考えてまた例の消毒をしてしまう有様
です。

 はやく この病原性大腸菌の問題が 生命をおびやかすほどでは
ないというものになってほしいです。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「感染源」については、Q&Aに別掲しています。

 「過剰な衛生対策は逆効果」という話について、おっしゃるよう
な判断は間違ってはいないのですが、少し補足しておきます。

 「何かを得た場合、必ず何かを失っている。」これは一般的な原
則です。この交換の結果がよくなるように努力していくことが、生
活していくことですので、確かに得たものと失ったものとの比較は
対等ではありません。対等なら何もしない方がよいですからね。

 しかしこのことを忘れてしまうと、何かの対策を立てるとき、過
剰な反応をしてしまい、全体としては却って不利益を招くというこ
とはよく起こります。

 国家的なレベルでは、牛の「全頭検査」がそうです。このメリッ
トとデメリットを比べると、メリットはほとんどないのに対して、
デメリットは過大なお金と人を投入することで、本来そのお金や人
が実現できるはずの利益が失われていることです。

 家庭でも同様で、健康で文化的な生活を送るという目的が達成で
きなくなるような過剰な衛生対策は有害です。

 福島原発事故では、放射線による健康被害はありませんが、事故
による心的ストレスはかなりのものになっていると思います。心配
すること自体がデメリットなんだと理解してください。

 生活の手段という面では細心の注意を払うのが正しいのです。し
かし生活の目的は楽しく暮らすということです。楽しく暮らせない
のなら、どこかが間違っています。

 私たちの生活から、目に見える直接的な脅威がなくなってしまい、
みんな「見えない敵」に脅えているようなのが現代の状況です。こ
の「見えない敵」が人によって違うのですが、それが放射能だった
り、電磁波だったり、BSEだったり、食中毒だったりするわけで
す。

 食中毒を心配するのはその中では最も実際的で、用心することで
得られる効果がありますので、私はそのことを強調してきました。

 しかしこれも「見えない敵」には違いないので、用心するのは良
いのですが、心配しすぎるのは良くない、と申し上げているわけで
す。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@
kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.今回の病原性大腸菌の話、私も放射能やBSEよりも怖い問題、す
ぐそこにある危険として考えています。感染源が不明というのは、
牛肉だけではなく他からの感染の可能性があるということでしょう
か?

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A.食中毒事件が発生したときは当然発生原因を調べます。複数の
患者が出たときは共通して食べたものを探します。また、サンプル
が残っていれば、そこから患者と共通の菌が出てこないかを探しま
す。当然、従業員が保菌していないかも調べます。

 これらを調べた結果、特定の原因食が判明しなかったときは「感
染源は不明」となります。

 ただし、このことと一般的にどこから菌が来たのかわからない、
というときとでは、少しニュアンスが違うと思います。病原性大腸
菌は牛が保菌していますので、牛肉由来であることはまず間違いあ
りません。

 大腸菌は腸内細菌ですので、長時間外界で生存していないとされ
ていました。しかし今年のヨーロッパの大規模食中毒事件では、も
やしのようなものに付着して、長時間生存していることがわかって
きています。

 そういう意味では必ずしも牛が直接原因ではないのかもしれませ
んが、一次的な原因はやはり牛だと思います。また、住居などの通
常の環境で大腸菌が長時間生存したりはしませんので、肉などを直
接さわる場所(台所)以外を警戒する必要はないと思います。(食
中毒が発生した後は別問題です。)

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「食品安全委員会」
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 食品安全委員会について、こんな記事がありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

食品安全委:生涯被ばく「100ミリシーベルトで影響」

 放射性物質の食品健康影響を評価していた内閣府の食品安全委員
会は27日、健康に影響を及ぼす被ばく線量について、食品からの
被ばくで「生涯累積でおおよそ100ミリシーベルト以上」とする
評価書をまとめ、小宮山洋子厚生労働相に答申した。当初は「10
0ミリシーベルト」を外部、内部被ばくの合計線量としていたが、
「説明不足だった」と食品摂取による内部被ばくに限定した。厚労
省は答申を受け、現行の暫定規制値の見直しに入り、規制値を引き
下げて厳しくする見通し。

 食品安全委は4月以降、広島や長崎の被爆者のがん発生率データ
など約3000の文献を検討。7月に「生涯100ミリシーベルト」
の評価案を公表し、広く意見を求めた。3089通の意見が寄せら
れ、「規制値が厳しくなるので良い」「厳しすぎて農産物の生産に
影響が出る」など賛否が分かれたが、「修正を必要とする意見は確
認できなかった」とした。

 外部被ばくを考慮しないことについて、会見した小泉直子委員長
は「著しく外部被ばくが増大しないことを前提にした」としながら
も、「外部被ばくが非常に高いケースには適用できない。外部被ば
くは、しかるべき機関が策を講ずる問題だ」とした。100ミリシ
ーベルト未満の健康影響については「言及することは困難」とした。

 また小児に関して、甲状腺がんなどのデータから「感受性が成人
より高い可能性がある」とし、配慮が必要であるとの考えを示した。

 「生涯100ミリシーベルト」は一生を80年として単純計算す
ると年1.25ミリシーベルトとなり、現行の暫定規制値の根拠で
ある被ばく限度(放射性セシウムで年5ミリシーベルト)を大幅に
下回る。すでに小宮山厚労相は21日、新たな規制値は「厳しくな
ると思う」との見通しを示している。【小島正美】

http://mainichi.jp/select/science/news/20111028k0000m040073000c.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 食品安全委員会が出した見解では、「外部と内部の被曝を区別し
ない」としていましたが、これでは食品に対しての見解ではないだ
ろう、と批判されていました。

 それを「内部被曝=食品のみ」と改めたわけですが、このあたり
の不透明さは以下の記事で批判されています。

食品安全委員会の新見解か、つじつま合わせか
http://www.foocom.net/special/5113/

 とはいえ、食品安全委員会が外部被曝=食品以外について言及し
ても仕方ないので、この変更は理解できます。

 ただし、生涯100ミリシーベルトという値については、ちょっ
とどうかしています。過去のデータは原爆の事後調査などを元に、
「短期間に100ミリシーベルト未満」で健康に対する影響が確認
できない、と言っていたはずです。

 数値として100ミリシーベルトを採用するのはよいのですが、
それを「生涯」まで引き延ばす根拠は全くありません。

 健康被害のみを言うのなら、年間100ミリシーベルトを許容値
としても問題ないはずです。ただ、それでは余りに大きすぎて、規
制の意味がほとんどなくなってしまうのですが、何とかデータにあ
る数値と、規制したいという欲望のつりあいをとったのが「生涯で
100ミリシーベルト」という変な許容値なのだと思います。

 この間の動きから、食品安全委員会が「リスク評価」というもの
を理解していないのは明らかです。規制値を諮問されたから適当に
ひねり出した…というのでは情けないですね。

 とはいえ、世の中ではどうしても心配したい人も多くて、東京で
はこんな騒ぎが日常的になっているようです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

東日本大震災:給食の安全性/上 自治体に広がる食材検査
 ◇首都圏の親、心配強く「規制値以下でもなるべく低く」

 放射性物質による食材の汚染で、学校給食の安全性を心配する声
が上がっている。首都圏と福島県内の事情を探った。

 9月30日の東京都小平市議会最終日。市内の保護者でつくる
「小平市の子どもを放射能から守る会」が提出していた請願が、全
会一致で採択された。市立小・中学校や保育園の給食食材を調達す
る際は

▽内部被ばくの低減に努める

▽コメは特に慎重に選択する

▽使用頻度が高く、都道府県による放射能検査回数の少ない食材を
選び、独自検査を行う

−−ことを求めたものだ。

 代表の本橋美幸さんは「暫定規制値以下でも、数値の低いものを
使う方向に進んでほしい」と訴える。

 保護者たちはもともと、個別に各学校や市に問い合わせをしてい
たが「食材は安全です」という回答ばかり。ツイッターを介して情
報交換する中で集まり、市と話し合うようになった。食材の産地公
開を求めると、市は小学校ごとに使用する食材を調べ2学期前に公
表した。

 メンバーの女性(33)は厚生労働省が公表する都道府県の検査
結果を確認しながら、心配な食材は代替品を長女に持たせていた。
産地が公表されて安心感が得られ、最近は回数が減った。「自分が
神経質なのかと思っていたが、同じ気持ちを抱えている人とつなが
りを持てて心強い」と話す。

 小平市は給食食材の独自検査については慎重姿勢だったが、請願
を受け「実施する方向で検討する」(学務課)という。

 国の方針では、食品に含まれる放射性物質が暫定規制値以下なら
ば問題ない、という考え方だ。しかし規制値が1キロあたり500
ベクレルの野菜で仮に450ベクレルが検出されれば、「使ってほ
しくない」と考える保護者は少なくない。

    ◇  ◇

 産地を公開し独自検査を行う自治体は増えている。東京都世田谷
区は6月、小中学校と保育園で出す牛乳について、外部機関に検査
を依頼し、結果を公表した。いずれも放射性ヨウ素やセシウムは不
検出。不検出とはゼロとは限らず、測定できる最小値(検出限界値
=セシウムは2〜2・9ベクレル)未満ということだ。区学校健康
推進課は「出荷前の原乳は検査されているが、製品を調べてほしい
という要望が強かった」と説明する。2学期からは、当日納品され
た給食の食材と産地を校内に掲示している。

 横浜市は6月から毎日、小学校の給食で翌日使う野菜を一つ選ん
で検査してきた。しかし対象は全344校の一部にとどまるため、
保護者の不安は解消できなかった。10月から毎日1校を選び、1
食分の全食材を測定することに決めた。

 東京都立川市は8月末から原則週1回、関東以北が産地で、使用
頻度や量が多い食材を10品目選び検査。千葉県柏市は産地が変わ
るごとに肉や野菜などを抽出して調べている。東京都杉並区は約3
000万円で検査機器を購入予定だ。狛江市は、市立保育園で使う
食材で西日本産のものを多く取り入れるよう、納入業者に要望して
いるという。

    ◇  ◇

 保護者が特に不安を抱くのは毎日飲む牛乳だ。農水省によると、
東北や関東など17都県が全集乳所で原乳を検査。原則2週間に1
回だが宮城・福島・群馬・埼玉・千葉・神奈川・新潟は県の判断で
毎週行っている。

 ニーズに応じさらに検査を行う業者も現れている。地元や東京都
内の学校・保育園に牛乳を供給する群馬県太田市の東毛酪農業協同
組合は9月、放射性物質の自主検査の結果公表に踏み切った。「ス
ーパーでは牛乳を選べるが、給食は選択肢がない。結果を出すこと
が必要と判断した」。結果は不検出(セシウムの検出限界値5ベク
レル)だった。

 酪農家は乳牛の食べる牧草にも気を使う。東毛地区では1カ所の
牧草の放射性セシウムが暫定許容値(1キロあたり300ベクレル)
を上回った。5月末には数十ベクレルに低下したが、組合の方針で
輸入牧草の割合を増やし牛に与えている。大久保克美組合長は「経
営的に厳しいがやむを得ない」と話す。

 自主検査する別の乳業メーカーは、積極的に結果を公表していな
い。「自治体が調べているのにさらに検査することは、自治体を信
用していないと受け止められかねない」

 小平市の保護者は訴える。「自治体の検査は十分でない。何年も
食べ続けるのだから、市区町村や事業者は子どもの口に入る物をき
ちんと検査して数値を示してほしい。それが安心感を与え、風評被
害を防ぐことにもつながる」【下桐実雅子】

 ◇方法、影響…検査への考えさまざま

 文部科学省は給食の検査に関し、放射線量を測定する機器を購入
する都道府県向けに約1億円を第3次補正予算に盛り込む方針を決
めた。

 検査にもいろいろな見方がある。早野龍五・東京大大学院理学系
研究科教授(物理学)は、学校ごとに数人分の給食を丸ごとミキサ
ーにかける検査を文科省に提案している。高い数値の食材が出れば
対策をとり、内部被ばくの抑制につなげられる。「特に福島で優先
してやれば」と話す。

 消費者団体「食のコミュニケーション円卓会議」の市川まりこ代
表は「暫定規制値以下なら影響がないと政府がいう中、学校ごとの
数値を公表したら、国産の食材が拒否され混乱が生まれるのでは」
と心配する。

 「自然の被ばく量を知れば安心できる」と話すのは松本義久・東
京工業大原子炉工学研究所准教授。日本人は果物や野菜からカリウ
ム40などを通じて年約0・4ミリシーベルト被ばくしている。こ
れは1日100ベクレル相当の食品摂取にあたる。松本さんは「無
用な放射性物質を取らないのが一番よいが、セシウムが数ベクレル
出ても自然放射線より低い」と述べた。【小島正美】

http://mainichi.jp/life/food/archive/news/2011/10/20111006ddm013040011000c.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「スーパーでは牛乳を選べるが、給食は選択肢がない。」という
のは論理として間違っています。スーパーで放射性物質の含有量を
確認できるわけがありませんので、選択しようがどうか、同じこと
です。

 「給食では同じものを食べ続けることになるので」と考えなけれ
ばなりませんが、放射線量の場合、同じメーカーの牛乳であっても、
同じ数値になるとは限りません。だから給食だけを問題視するのは
どうかしています。

 給食が不安だとして、弁当を持たす親もいると聞きましたが、そ
の弁当の放射線量は測っているのでしょうかね。弁当の方が安全だ
と思う、その根拠というか気持ちを知りたいです。自分だけ特別な
ことをするのが好きなだけではないか?と思うからです。

 さて、最後の解説で「セシウムが数ベクレル出ても自然放射線よ
り低い」というのはあまり説得力がないと思います。「数ベクレル
のセシウムを含む食品をどれだけ食べても、健康被害はない」と言
い切るべきです。

 放射性セシウムの線量換算係数は経口で「0.000013mSv/Bq」だそ
うです。これに100を掛けると、100ベクレルの放射性セシウムを含
む食品を食べたときの被曝量がわかるわけですが、答えは0.0013mSv
です。もちろんこれは「内部被曝」の話で、食べたときから最終的
に排出されるまでの全期間での被曝を総合的に評価した値です。

 結構多いと思うかもしれませんが、100ベクレルというのは正確
には100ベクレル/キログラムですので、100ベクレルの放射性セシ
ウムを含む食品を1キログラム食べたときの数値です。一つの食材
を1キログラム食べることもありませんので、実際の被曝量はこの
10分の1から100分の1程度、つまりマイクロシーベルトのオ
ーダーには至りません。

 とりあえず100ミリシーベルトが危険ラインとするなら、その
10万分の1以下ということになります。10万分の1というのは
充分小さな値で、健康被害など出るわけがない思いますが、ここで
問題になるのが、例の「しきい値なし」モデルです。

 これはどんなに微量でも、影響はなくならない、という仮説です
が、ICRP(国際放射線防護委員会)がその仮説を採用している
ため、仮説というより実際の定義のように扱われています。

 これがあるため、専門家はなかなか「健康被害はない」とは言っ
てくれないのですが、そのICRPも、この仮説が正しいと言って
いるわけではないようです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 ICRPは、1965年勧告で次のように述べている。

 「われわれは、しきい値が存在しないという仮定、および、完全
に線形であるという仮定は正しくないかもしれないことを知ってい
るが、この仮定によって放射線のリスクを過小評価をすることにな
る恐れはないことで満足している」。

 すなわち、ICRPはLNT仮説が過大評価であることを認識し
ている。

http://www.yasuienv.net/ICRP-ECRR.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 しかし、その仮説に立っても、最終的に以下のような見解が出さ
れています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 1990年勧告では、「何年もの期間にわたり放射線を被曝した
場合、約500mSv以下の線量では、重篤な影響は起こりそうも
ない」。

 この記述の根拠と思われるのは、例えば、インド、ブラジル、中
国、イランなどの天然放射線が強い地域での疫学研究に基づいてい
るものと思われる。

 例えば、インドのケララ州では年間平均3.8mSv、イランの
ラムサールでは年間10.2mSv、中国の陽江では年間3.5m
Svの自然被曝がある。

 陽江の影響については、京都大学の菅原努教授の疫学研究があり、
総被曝線量が400mSvを超す82名については、発がんの相対
リスクが対照群の0.66と、相当に低いことを明らかにしている。

 このデータは、ICRPが採用しているLNT仮説とは全く合わ
ない。

 この理由であるが、やはり、DNAの塩基配列に損傷を受けても、
修復機能が働いているということを証明しているためであと考えら
れ、さらに、恐らく疫学調査によって、無料検診を受ける機会が多
いことも寿命をのばす方向に影響しているものと思われる。

 実際、放射線従事者の寿命は、その許容被曝線量が公衆の場合よ
りも高いにも関わらず長い。それは、年に複数回の健康診断を受け
ているためと思われる。

 しかしながら、、2007年勧告では、次のようになっている。
これは、広島・長崎のデータを再度解析することによって、125
mSvまでの被曝については、放射線被曝によって、臨床学的に意
味のある機能障害を示したとする論文が提出されたからである。

2007年勧告は、そのため次のようになった。

「吸収線量が約100mSvの線量域まででは、臨床的に意味のあ
る機能障害を示すとは判断されない」。

http://www.yasuienv.net/ICRP-ECRR.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 2007年の方では被曝の期間が言及されていませんが、199
0年の方で「何年もの期間にわたり」とされていますので、それを
踏襲したものと理解できます。

 この期間を「生涯」に延長したのが食品安全委員会の見解です。
結果として、規制値は10倍ほど厳しくなるわけですが、本当にこれ
でよいのか、改めて疑問に思います。

 ところで、放射線量を測っていたら、東京であちこちからラジウ
ムが発見されたりしています。原因は様々でしょうが、高い線量に
なってる地点があり、それで今まで何事も起こっていないのですか
ら、放射線が少しくらいあっても、大したことないじゃないか…、
私などはそう思うのですが、皆さんはいかがお感じでしょうか。

 最後に、畝山さんの出された本を紹介しておきます。「しきい値
なし」モデルについて、次のように書かれています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

『「安全な食べもの」ってなんだろう?
 放射線と食品のリスクを考える』

作者: 畝山智香子
出版社: 日本評論社
発売日: 2011/10/20

 先の本の中では発がん物質のリスク評価の方法として、いわゆる
線形閾値無し(LNT)モデルを使って何人ががんになるとか推定す
る方法については、敢えて(意図的に)取り上げませんでした。理
由はそれが不正確であることもあるのですが、なによりもリスクコ
ミュニケーションの妨げになるから、です。LNTは、いろいろな物
質について何人ががんになって死ぬ恐ろしいものだと恐怖を煽るの
にとても便利に使われてきました。どんなに微量であっても絶対に
ゼロにはならないので「○○は危険だ」という宣伝には都合がいい
のです。だから暴露マージン(MOE)を使うようになってきているの
ですが、残念ながら放射線分野についてはそういう考え方が採用さ
れていないようです。それで仕方なくその手の方法も紹介しました。

http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20111029#p1
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

--〔後記〕--------------------------------------------------

 中西準子先生が、北極のオゾンホールが拡大したという報道で怒
っておられます。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 オゾン層破壊を防ぐために、われわれは様々な対策を講じてきた。
オゾン層破壊物質と言われる物質を世界的に禁止してきた筈である。
一番典型的なものは、フロンの禁止である。もう、その対策は終わ
った頃になって、オゾン層の大規模な破壊が起きたとは何事だろう?

http://homepage3.nifty.com/junko-nakanishi/zak561_565.html#zakkan564
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 どうも原因は北極の「寒冷化」らしいのですが、それなら、フロ
ンの禁止などの措置の有効性が問われることになります。しかした
いていの「科学者」はそこを忘れたふりをしているようです。

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