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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------624号--2011.10.23------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「Q&A」「IAEAの勧告」

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ブログ毎日?更新中

http://www.kenji.ne.jp/blog/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 こんなメールをぽただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 いつも拝読しております。

 今回のリステリア騒動を受け、調べたところ添付の食品安全委員
会でのリスク評価資料がヒットしました。

 この資料4ページ目に、厚生科学研究班長らによる調査報告が興
味深いものでしたので情報としてお知らせです。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 このメールに、出所は不明なのですが、PDFでプレゼンテーシ
ョン用のファイルが添付されていました。

 その4ページ目は以下のような内容です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 我が国では行政的に本菌が原因として報告された食中毒例はあり
ませんが、厚生科学研究班長・五十君博士らの調査(概要は以下の
とおり)では、各地でリステリア症患者の発生(食品との因果関係
は不明)が確認されています。

■欧米に比べ、日本でのリステリア症は少ないのではないかといわ
れていましたが、重度のリステリア症の発生が年間平均83例と推
定されており、やや少ないものの欧米とほぼ同様に発生しています。

■欧米に比べ、日本の食品はリステリア汚染が少ないのではないか
といわれていましたが、我が国の食品の汚染実態を確認したところ、
欧米とほぼ同様の状況です。

■これらの事実から、わが国で今後食品を介したリステリア症が発
生する可能性は否定できません。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 最後の5ページ目には、以下のように書かれています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

リステリア食中毒のまとめ

<特徴>

 家畜、野生動物、魚類、河川、下水、飼料など自然界に広く分布。
4℃以下の低温でも増殖可能。65℃、数分の加熱で死滅。ナチュラ
ルチーズ、食肉加工品、野菜サラダなどを汚染。

<症状>

 潜伏期間は24時間から数週間と幅が広い。倦怠感、発熱を伴うイ
ンフルエンザ様症状。妊婦、乳幼児、高齢者などは感染しやすい。
重症化すると髄膜炎や敗血症となる。

<過去の原因食品>

 未殺菌乳、ナチュラルチーズ、野菜、食肉加工品など。

<対策>

 生肉、未殺菌乳を原料とするナチュラルチーズなどをできるだけ
避け、冷蔵庫を過信しない。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ナチュラルチーズが目を引きます。日本で比較的問題にならない
のは、ナチュラルチーズをあまり食べないからかな、などと思いま
した。

 また、生肉は病原性大腸菌だけでなく、リステリアでも要注意と
いうことで、やはり食べない方がよいと言えます。

 どうもありがとうございました。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@
kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.ある学者がテレビでうかっと食品の放射能汚染のことを話して
袋叩きにあったことは、まだ記憶に新しいですが、食品の放射能汚
染はどこまで真剣に考え、どこから無視していいのでしょうか?
またそもそも、全く放射能汚染されていない食品(というのはあり
ますまいが)は絶対安全と言い切っていいのでしょうか?

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A.福島の原発事故は広い範囲に被害を出し、未だに完全に終息し
ていない深刻なものでした。

 しかし、一般人の被曝ということに限定して考えれば、直接の健
康被害は全くなかったと言えると思います。間接的な被害、例えば
避難生活による体調の不良などはたくさんありますので、健康被害
がなかったとは言いにくいのですが、被曝による直接的なものはな
かったというのが事実です。

 食品については、外部からの被曝よりも体内に入ってからの被曝、
いわゆる内部被曝の方が影響が大きいとされていますが、今のとこ
ろ健康に影響があるようなレベルではありません。

 例えば、NHKの報道では、以下のような話がありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 今回、NHKが行った調査は、全国7家族(福島2家族を含む)
の1日分の食事をミキサーにかけた7日分、合計49サンプルの放
射性セシウムを測定するもの。サンプルは9月中旬に集められ、測
定は首都大学東京の福士政広教授が、ゲルマニウム半導体検出器を
用いて高い精度で行っている。

 その結果、放射性セシウムが検出されたのは5サンプルで、7家
族中5家族のそれぞれ1日分だけが検出された。検出されたのは、
北海道、福島須賀川、東京江戸川と目黒、大阪で、数値は全て10Bq
/kg以下。福島郡山と広島では検出されなかった。

http://www.foocom.net/secretariat/media/5084/
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 キログラムあたり10ベクレル以下なら、通常の検査では検出限
界以下となるレベルです。

 問題となるのは検出限界(20〜30ベクレル/キログラムくら
いのことが多い)より2桁ほど上の数値になったときでしょうから、
上記の検査はサンプル数は多くないものの、福島県を含めた全国的
に、現在食べているものがどの程度の放射性物質を含んでいるかの
指標になると思います。結論は問題なしの一言です。

 また、ときどき基準値以上の放射線量になって、出荷停止になる
食品(きのこなど)が報道されていますが、それをそのまま食事に
使ったりしても、結果はほとんど変わりません。

 私たちは一種類の食品だけで暮らしているわけではないので、一
部の食品の値が高くても、全体はほとんど影響を受けないのです。

 現在はマスコミの注目が集まっているので、何だか大変なことの
ように意識されがちですが、そのうち他の事件が起これば、簡単に
忘れられてしまうだろう…というのが私の予想です。

 そういう風潮とは関係なく、実態の把握や放射線量の低減に努力
されている人々には経緯を表しておきますが、その努力の結果とし
て、私たちの安全性はかなりのレベルで守られていると言ってよい
現状です。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「IAEAの勧告」
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 原発事故への対策について、国際原子力機関(IAEA)から勧
告が出ています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

IAEA報告書、現実的な除染計画を政府に要請

 国際原子力機関(IAEA)は14日に公表した報告書で、東京電
力福島第1原子力発電所周辺地域の放射能汚染への対処について一
段と焦点を絞った現実的な政策を取るよう日本政府に要請した。

 12人のメンバーからなるIAEA除染専門家チームが作成した
同報告書では、「被曝量の削減にそれほど効果的でない可能性のあ
る過度に保守的な方法を避けることが勧められる」と言及した。同
チームは政府ならびに地方自治体が行っている様々な除染プロジェ
クトをここ9日間にわたって視察した。

 環境省は先月、年間の被曝量が5ミリシーベルト以上の地域を除
染する場合には、2400平方キロメートル超の面積の土地が除染され
る必要があるとの試算結果を示した。政府試算によると、その費用
は1兆円を超える見通し。また、対象地域の大半は人口の少ない森
林地帯だ。

 環境省は年間の被曝量をさらに1ミリシーベルトまで引き下げる
という圧力にさらされている。そうなれば、政府の資金援助が必要
な除染作業の量がさらに増大することになる。

 しかし、今回のIAEAの報告書では、放射性廃棄物の処理場が
不足しているために、「有効な除染活動が過度に制限され、損なわ
れることになり、国民の健康と安全が危険にさらされることになり
かねない」と指摘した。IAEAの専門家チームは日本政府に対し、
一段と現実的な目標を設定するとともに、土を全部除去するという
よりも表面の土を地下に埋めるなど、実施が比較的容易な除染方法
を採用するよう提案した。

 IAEA除染専門家チームのホアン・カルロス・レンティッホ団
長は記者会見で、「森林など一部地域で(除染の)プロセスを調節
する余地があることが分かった」と述べた。

 レンティッホ団長は、「慎重になり過ぎることを避けるという観
点から戦略を最適に調節することが非常に重要だ。利益と負担のバ
ランスを図ることが重要だ」と語った。

 同団長はさらに、金銭的コストだけを考慮するのではなく、かか
る時間や発生する廃棄物、作業員の被曝についても検討する必要が
あると強調した。

 同報告書はまた、課題が膨大なにあることを考慮し、地方自治体
や地域社会の一段の協力を呼びかけた。

 IAEAの視察は、3月の福島第1原発事故の発生以来、今回が
2回目となる。

 日本の食品輸出が引き続き、海外で安全性のイメージにかかわる
深刻な問題から打撃を受けるなか、除染作業は急務だ。中国を訪問
中の枝野経産相は14日、中国に対し日本の魚介類や農産物の輸入が
事実上停止している状態の改善を要請した。日本にとって主要市場
の1つである中国向けのこうした品目の8月の輸出は、前年同月比
で30%超減少した。

http://jp.wsj.com/Japan/node_324914
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

東日本大震災:福島第1原発事故 政府の除染作業方針「慎重すぎ
る」−−IAEA報告

 東京電力福島第1原発事故を受け来日している国際原子力機関
(IAEA)の除染専門家チームが14日、細野豪志環境・原発事
故担当相に視察結果の概要報告書を手渡した。日本政府の除染作業
方針を高く評価する一方で「慎重になりすぎており、経済的、時間
的、作業する人の被ばく線量などとのバランスを考えるべきだ」と
助言している。

 チームは7日に来日し、福島県内の視察や関係省庁と意見交換を
した。その結果を踏まえてまとめた概要報告書には12点のアドバ
イスを盛り込んだ。

 アドバイスでは、

▽被ばく線量の低減に効果的でない過剰な対応は回避する

▽特別な被ばくを起こさないものは「放射性廃棄物」と分類せず、
現実的な区分を再考する

▽事故による被ばく量が比較的低い地域の除染は大量の残余物質を
不必要に発生させるため、最適な活動に集中する

−−べきだなどとしている。また、計画的避難区域に表示がなく、
立ち入りが自由であることを問題視、対応を求めた。

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20111015ddm008040051000c.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 このニュースは一応報道されたのですが、政府がこの勧告を無視
しそうだということは追求されていません。

 IAEAは「無駄な『除染』作業はするな」と言っているのです
が、相変わらず1ミリシーベルトがどうのという話ばかりです。

 無駄な「除染」をやめろ、と言っている理由はいくつかあります。

(1)費用が膨大であり、ほとんどの場所で実質的に得られる効果
がない。

(2)震災からの復興、原発事故の対応について、バランスのとれ
た対応をすべきである。

 緊急に除染が必要な場所のみに絞って、機動的に対応するのはよ
いのですが、広範な場所すべてに(費用も考えず)やっていこうと
いうのは責任ある立場の人の考えることではありません。

 IAEAも日本政府のあまりの無能さにあきれての報告だと思い
ますが、児童会レベルと言われている現政権の方々には当然意味が
理解できないようです。 

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 小宮山洋子厚生労働相は21日の閣議後会見で、食品中の放射性
物質の暫定規制値見直しに関し、「今よりさらに食品の安全性を確
保する必要があると考えており、厳しくなると思う」との見通しを
示した。

 原発事故直後に設定された現在の暫定規制値は、放射性セシウム
の被ばく上限を年間5ミリシーベルトとした上で、日本人の平均摂
取量などを参考に、五つの食品群に1ミリシーベルトずつ振り分け、
放射能の強さを表す単位のベクレルで算定されている。小宮山氏は
「緊急時のものなので、現在の状況を踏まえた新たな規制値を設定
する」と説明。国際放射線防護委員会(ICRP)は、平常時の一
般人の被ばく限度を年間1ミリシーベルトとしている。

 厚労省から放射性物質のリスク評価を依頼されている内閣府の食
品安全委員会は近く、同省に評価結果を答申。これを受け、厚労省
は今月31日に審議会を開き、年内にも新たな規制値案をまとめる。

 主な論点は(1)セシウムの上限5ミリシーベルトが妥当か(2)
「野菜類」「飲料水」など食品分類の見直しの必要性(3)乳幼児
用基準の新設−−で、文部科学省の放射線審議会にも諮問したうえ
で、正式な規制値を設定する。【佐々木洋】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111021-00000105-mai-soci
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 食品安全委員会も専門外の放射線については苦労していて、正し
い判断ができていないのが現状です。

 しかしそれでも、食品規制の内容を考えるのは食品安全委員会で
あって、厚生労働省の大臣ではありません。

 「平常時」の基準を根拠にしたいらしいですが、「平常時」には
こんな規制値は必要ありませんので、一体何を考えているのでしょ
うか。

 今が平常時なのか、事故後の処理段階にあるのか、それもわかっ
ていない「大臣」というのは情けないですが、別にこの人だけの問
題ではなく、他もみな似たようなものです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 細野豪志原発相兼環境相は2日、福島県庁で佐藤雄平知事と会い、
放射性物質の除染について、年間の追加被曝(ひばく)線量が1ミ
リ以上5ミリシーベルト未満の地域にも国が財政支援を行う方針を
伝えた。同線量の地域を巡っては、環境省の担当者らが先月28日、
現地説明会で支援の対象外と説明。福島県側が反発していた。

 細野氏は佐藤知事との会談で「除染は国の責任だ。我々の目標は
1ミリ以下にすること。対象は1ミリから5ミリの地域も当然含ま
れる。市町村で提案いただければ国が責任を持って財政的措置、技
術的課題に取り組むと約束する」と明言した。

 野田政権は当初、国の責任で実施する除染は、年間追加被曝線量
が5ミリシーベルト以上の地域で行う方針を示していた。この対象
地域はすべて福島県内で、県面積の13%に当たる約1778平方
キロ。1ミリシーベルト以上の地域とすれば、対象は福島県外も含
む広い範囲に及ぶと見られる。

http://www.asahi.com/national/update/1002/TKY201110020226.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 これがIAEAに「馬鹿なことはやめろ」と言われた直接の原因
なのですが、どうにも困ったものです。

 具体的な計画を作る努力をせずに、総論のみを語っていい子にな
るというのが典型的なパターンです。

 そして費用の点は「何とかなるだろう」で、結局財務省に怒られ
て増税路線まっしぐら…。と先々まで読めてしまいます。

 「除染」ということについても、必要なのは現状の把握、具体的
な方針、そして費用と効果のバランスです。被災地の復興に、何が
有効なのかを考えなければなりません。

 さて、最初に紹介した記事から、最後の方をもう一度引用します。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 中国を訪問中の枝野経産相は14日、中国に対し日本の魚介類や農
産物の輸入が事実上停止している状態の改善を要請した。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ほとんど報道されていませんが、中国への日本産食品の輸出は、
事故以来ほとんど全面的に止まっています。

 公式には被災地の10都県の産品を輸入禁止と発表されています
が、実際にはそれ以外の地域も含めた日本産食品が全部輸出できな
くなっています。

 中国では国内法によって、食品の輸入には「衛生証明書」が必要
なのですが、これを発行する公的な機関が日本にはないのです。こ
のためもあって、交渉では衛生証明書の書式問題が解決せず、輸入
再開が実現できずにいます。

 例外として水産品などはすでにされていますが、水産物に関して
は以前から衛生証明書を発行する機関があるため、その証明書が有
効になっています。

 要は書式の問題であり、それほど難しい交渉ではありません。し
かし日本政府に全く当事者能力がないため、その交渉自体が持てな
い状況が続いています。

 今回も大臣が「要請した」とありますが、具体的な提案や交渉日
程などの話は出てきません。

 来週からまた中国に行くのですが、この件が解決してもらわない
と、私の仕事が始まりません。8月には「管さんが辞めれば解決す
る」という話があって、それを期待していました。

 ところが新政権になってからも、一切仕事をしている形跡がない
のです。少しは仕事をしろよ…。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 前回紹介した世田谷のラジウムの件について、政府、東電の陰謀
説なるものがネット上にはあるらしいです。これもやはり一種の病
気で、それで自分が偉くなったような気がするのでしょうが、もち
ろん単なる錯覚です。

 ツイッターやらSNSなどが「バカ発見器」と言われているそう
ですが、私はどちらかというと「バカ製造器」の方がふさわしいの
ではないかと思っています。ということで、私はああいうのはやら
ないことにしています。

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