安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>620号


-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/
--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------620号--2011.09.25------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「Q&A」「米の放射能検査」

-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/
------------------------------------------------------------
ブログ毎日?更新中

http://www.kenji.ne.jp/blog/
------------------------------------------------------------
---〔話題〕-------------------------------------------------

 こんなメールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

放射能汚染食品
http://onihutari.blog60.fc2.com/blog-entry-65.html

 私は、『正しく恐れる』べきだと思うので斜め読み程度ですが、
こんなHPは混乱を招きそうです。放射能はガンになるガンになると
騒ぎ立てても、添加物だらけのものや農薬浸けのものを常に食べて
いたら、なにが原因かもわからなくなりそうですね。

 渡辺さんが書いていらっしゃるように、「暴露量」によるわけで
すね。

 関西のいくつかの市でも、学校給食に牛肉廃止や、東日本の食品
を 使わない等を始めています。渡辺さんはどう思われますか?

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ご紹介のサイトに対する評価については、今週のQ&Aにも書き
ましたが、ヨタ話につきあう必要はないというところです。

 さて、誤解があるようですが「食品添加物や農薬」はガンとは関
係ありません。

 発ガン性に関連するデータが出てくると、即座に使用禁止なりっ
たりしますので、イメージが悪いところはありますが、それだけ高
い安全性を保証されているということです。

 現在許可されている食品添加物や農薬で、発ガン性を持つものは
一つもありません。これは許可の仕組みを考えればわかる、単純な
事実です。

 それに対して放射線による障害は冗談ではありません。一定以上
を浴びれば確実に死ぬわけですから、非常に怖いものです。

 ただし、すべての毒物がそうなのですが、たくさん浴びた時に危
険だからと言って、どんなに少量でも危険かというとそうではあり
ません。

 自然界には元々放射線が充満していますので、微量の放射線を恐
れる理由は全くありません。

 私たちの身の回りには様々な放射性物質が存在します。代表的な
ものはカリウム40というもので、私たちの身体にも含まれていま
す。私たちは全部で数千ベクレルという放射性物質を体内に持って
いて、放射線を体内から出しています。それで健康に何の問題もな
いのです。

 だから数ベクレル程度の放射線を恐れる必要は全くありません。

 先日、NHKで四国の某県が学校給食に東北地方のものを使わな
いと決めたというニュースをやっていました。ニュースというより、
関係者にインタビューしたりした本格的な報道でした。

 そのNHKが風評被害とか言うのですから、お笑いです。あれは
全くの風評被害製造報道でした。誰か止める人がいなかったのでし
ょうかね。

 私は前にも書きましたが、事故後の今こそ、被害地域の危険性が
ない食品は積極的に食べるべきだと考えています。

 数十万ベクレルも含んでいるようなものまで食べろとは言いませ
んが、千とか二千とかの値なら、食べても何も問題はないはずです。

 もちろん、長期的には逓減していくような努力は必要です。しか
し長期的な話と現在の話をごっちゃにしてはいけないのです。現在
はある程度我慢するべき局面です。

 ただし、被害地域では長期的にガンの「発見率」は増えるでしょ
うね。これは放射能のためにガンになる、というのではなく、今ま
で検査を受けなかった人まで検査を受けるようになるためです。

 だから、「ガンになった人」は増えると思います。しかし「ガン
で死ぬ人」は他の地域と変わらない…というのが私の予想です。

 これは実は「ガンと健診」の問題です。検査でガンを「発見」さ
れて、本来必要のない治療を受けて、精神的もに肉体的にも苦しい
思いをするのは御免蒙りたいというのが私の考えなのですが、やや
こしくなるので、ここではこれ以上書きません。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@
kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

------------------------------------------------------------

Q.イソプロピルメチルフェノールの危険性を調べているのですが、
あるところでは環境に優しく人体にも優しいと書かれていますが、
ほかのところでは危険性が大で皮膚を腐食させるなどと書いていま
した。どちらを信用すればいいのか迷っています。

------------------------------------------------------------

A.イソプロピルメチルフェノールで検索すると、たくさんのサイ
トが出てきます。この中から判断をするわけですが、この程度のも
ので迷ってしまうようでは、判断力に問題ありです。

 端的に言って、「皮膚を腐食させる」などはトンデモ情報です。
実際に使われている実態から考えれば、そういうことが起こってい
るはずがないことくらいわかりそうなものです。もし、わずかでも
被害が発生していれば大ニュースですよ。

 このあたりは「茶のしずく」事件でよくわかったと思います。あ
んなわかりにくそうな因果関係でも、きちんと究明されたのは大し
たものだと改めて思います。

 さて、ネット上には情報があふれていますが、個々の情報にはそ
れぞれの価値があります。価値の高い情報もあれば、マイナスの評
価をしなければならない情報もあります。それを見分けるのは私た
ち自身でしかあり得ません。

 そのためには、情報の価値は以下のような点で計るべきと思いま
す。

(1)説明が具体的で納得できるものなのか。抽象的な観念や同義
反復的な説明を行っていないかをチェックしてください。

(2)ネット上で同一の表現がたくさんある場合、必ずネタ元があ
ります。こういう情報は金儲けの手段として流布していることがほ
とんどですので、要注意です。

(3)そのサイトはどんなところか?

・企業のサイトでは情報提供を主な目的としているのか、金儲けを
目的としているのかを見分けてください。商品を販売するためのサ
イトは商品を売るために都合のよいことを書いているので、割り引
いて考える必要があります。もしかしたら詐欺師が書いているのも
もしれません。

・個人のサイトでは、その人の主張が全体的に同意できるかどうか
も大切なことです。一つだけではわからなくても、他の記事も合せ
て読むとある程度見えてくるものです。ある種のイデオロギーでは、
大衆に不安を持たせることが重要ですので、必要以上に不安を煽る
ことがあります。

・公的な機関のものはある程度信用してよいですが、Wikipediaな
どは必ずしも信用できる情報ばかりとは限りません。「知恵袋」的
なところも玉石混淆です。

・便所の落書きサイトでも、重要な情報を拾うことができますが、
こちらはさらに平均レベルが下がりますので、熟練が必要でしょう
ね。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「米の放射能検査」
------------------------------------------------------------

 原発事故に関連して、今年収穫される米について、検査が実施さ
れています。まとまった報道がほとんどないので探してみましたら、
以下のようなサイトが見つかりました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 米(野菜類)の放射能検査データは1214件あります。このうち暫定
規制値を超えた放射性物質が検出されたものは0件です。

 検査された産地は福島県(479),宮城県(346),千葉県(223),岩手県
(89),埼玉県(35),兵庫県(22),山梨県(13),秋田県(4),東京都(2),広
島県(1)です。

http://yasaikensa.cloudapp.net/product.aspx?product=%E7%B1%B3&category=%E9%87%8E%E8%8F%9C%E9%A1%9E
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 このまとめの下に、個別の検査結果が一覧表になっています。ざ
っは見ますと、福島県以外ではほぼ検出限界以下で、福島県でとき
どき10ベクレル/kgほどが検出されています。

 この状況だと、今年の米については問題はない、という結論にな
るわけですが、なかなかそういうニュースにはならず、以下のよう
なニュースが流れています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 福島県は23日、同県二本松市で実施した収穫前の一般米の予備
調査で、暫定基準値ちょうどの1キログラム当たり500ベクレル
の放射性セシウムを検出したと発表した。

 予備調査であり、暫定基準値を超えていないため出荷自粛の対象
とはならないが、県は二本松市を今後実施する本調査では重点調査
区域に指定、調査地点を大幅に増やし監視を強化する。

 500ベクレルが検出されたのは、二本松市の旧小浜町で採取し
た一般米の玄米。本調査で500ベクレルを超えた場合は旧市町村
ごとに出荷が制限される。

http://sankei.jp.msn.com/region/news/110923/fks11092322100007-n1.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 収穫前に行うのが「予備調査」で、収穫後に「本調査」なのだそ
うです。どうしてこういうことになっているのかよくわかりません
が、予備調査で高い数値が出たときには収穫作業をしないつもりだ
ったのでしょうか?そうでなければ、2段階での調査が必要とは思
えないところです。

 さて、これは「犬が人を噛んでもニュースにならないが、人が犬
を噛めばニュースになる」類で、マスコミが一般的な状況より個別
の事象の方が好きであるための偏った報道です。

 一般的に言って、安全性の問題で言えば、何の問題もないレベル
です。しかし、一般市民の不安を解消するのも、なかなか難しいと
ころです。

 何しろ検査をしてもマスコミが不検出を報道しない態度をとり続
けていますので、安全面で問題ないということを理解してもらうの
は難しいように思います。

 実際はそうはならずに、まず問題ないじゃないか、という感想を
国民が広く持ってくれることを願っています。

 さて、米に移行する放射性物質について、面白い記事を見つけま
したので紹介します。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 まず、農水省のHP(4/8)を読み直してみます。

『1.使用データの選択

 独立行政法人農業環境技術研究所が、1959年から2001年まで、全
国17ヶ所の水田の土壌及び収穫された米の放射性セシウムを分析し
た結果(計564データポイント)を用いた。

2.データの解析

(1) 土壌の種類によって放射性セシウムの米への移行に差がない
ことを確認

(2) 玄米を日常的に摂食する者のことを考え、玄米中の放射性セ
シウムを土壌中のものと比較。各データポイントにおける玄米中及
び土壌中の放射性セシウム量の比(移行係数)を算出。

(3) 算出した移行係数の分布をモデル化

(4) 消費者に安全な米を供給する観点から、同モデルを用いて、
水田の土壌から玄米への放射性セシウムの移行の指標案を決定

(5) 指標案について、外部の専門家の意見を聴取

独立行政法人放射線医学総合研究所特別上席研究員 内田滋夫氏
学習院大学理学部化学科教授 村松康行氏
財団法人環境科学技術研究所 環境動態研究部長 久松俊一氏
独立行政法人農業環境技術研究所 理事長宮下清貴氏(他2名)
(6) (5)に示した外部の専門家が指標案に同意』

 1.のデータは、個別のデータは公開されていませんが、各年の
平均値は公開されて、グラフに書けるようになっています。完全に
フォローすることは無理ですが、大体の数値は追えるはずですので、
確認してみたいと思います。というのも、「7/3 土壌中の放射能
はどれだけ植物に移行するのか?」で文献を読んだ際にもコメの移
行係数は出てきていますが、もっと低い数値で、0.1という高い数
値は見たことがなかったからです。

 次に、2.のデータの解析で、重要な点が二つあります。

・土壌の種類による移行係数の差がないというのは大事な情報です。
もし差があると、土地によって土壌の種類を考えないといけないの
で、非常に複雑になってしまうのです。

・移行係数は、土壌中の放射性セシウムと玄米中の放射性セシウム
を比較したものであるということ。多くの人が食べるのは白米です
が、玄米>白米なのです。通常、白米は玄米の数値の1/2〜1/10です。

 そこで、先ほどのデータベースから年ごとの土壌のセシウムのデ
ータと、玄米のセシウムのデータから移行係数を算出してプロット
してみました。下のグラフで、左側はmBq/kgの単位であることと対
数表示であることに注意してください。移行係数だけは右側の目盛
りです。なお、データは全国平均のものを使用しています。見にく
くなるので標準偏差は出していません。

(グラフのURL)
http://blog-imgs-46-origin.fc2.com/t/s/u/tsukuba2011/20110718211554740.jpg

 土壌中の放射性セシウムは、地上核実験が盛んに行われていた19
60年代が最高で42Bq/kg、それ以後徐々に低下して2000年頃で10Bq/
kg程度です。一方で、玄米の放射性セシウムは、1963年に最高で11
Bq/kgですが、その後は急速に低下し、1980年代には0.1Bq/kg以下、
そして2000年には0.04Bq/kgにまで低下しています。

 その結果、移行係数は1960年代前半は0.1〜0.2でしたが、その後
は急速に低下し、1980年代以降は0.01を切っています。農水省はこ
の元になる個々のデータから計算して、モデルを作ったということ
なのですが、0.1に設定した根拠はよくわかりません。地上核実験
の多かった時代に合わせたのでしょうか?このあたりの詳細もぜひ
示して欲しいです。安全策をとって高めに設定しておくということ
は悪いことではないので、もしそうならばそういうコメントをつけ
ていただければいいと思います。単に「モデルを用いて」では不透
明でわかりません。そのモデルも公開するべきです。

 とにかくこのグラフからわかることは、

・3.11の前は、土壌の放射性セシウムは10Bq/kg程度であったこと
(それくらいはあっても当然なこと)。

(おまけとして、2009年の各都道府県の土壌のデータも示します。)

・地上核実験が完全に廃止されて以降は、玄米への移行係数は0.01
程度であること。

です。

(略)

 今年は玄麦48検体の放射性セシウムのデータは平均で33Bq/kg、
半分の25サンプルが20-60Bq/kgの範囲に入っています(計算に使っ
た数値は「前編」で示しました)。60Bq/kg以下のサンプルは43検
体で約90%です。今後は降下物がほとんどないと仮定すれば、今
年の玄米の放射性セシウムは、平均で33×0.1=3.3Bq/kgとなり、
90%以上のサンプルが6Bq/kgとなります。Cs-134+Cs-137で6Bq/
kgは、検出できるかどうかギリギリの数値です。

 従って今年のコメでは玄米の放射性セシウムのデータはほとんど
が不検出になるであろうというのが私の推論です。

 移行係数としては予想は出すのはふさわしくないのですが、敢え
て出すとすれば、玄麦で0.062、玄米でその1/10として0.0062、白
米でその1/3として0.002でしょうか。これならば過去の文献ともそ
れほど変わりません。日本土壌肥料学会でも、「土から白米への移
行係数は0.00021〜0.012と報告されています」と言っていますので
特に問題ない値だと思います。

http://tsukuba2011.blog60.fc2.com/blog-entry-300.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 結構重要なことが語られています。まず、土壌と米に含まれる放
射性物質の比率(移行係数)は一定ではない、という事実です。

 米が放射性物質を吸収する能力に変化があったのではありません。
米が含む放射性物質は土壌からではなく、大気中または降下物質か
ら来ているということです。

 核実験が行われていた時代は、土壌の放射性物質も多かったです
が、大気中から直接取り込む量が多く、移行係数も0.1程度でし
た。しかし核実験がなくなってからは、直接取り込む量が減ってし
まい、0.01以下くらいまで下がっています。

 本当の土壌からの移行係数は、この低い値になるはずというのが
結論です。

 それから、予想されている放射性物質の量として、「検出できる
かどうかギリギリの数値です。」と書かれています。

 先にあげた検査結果が、まさにそれを示しています。つまり、検
出されたかどうかだけに注目してはダメだということです。

 検出された数値が検出限界ギリギリである以上、「不検出」の中
には検出限界に少し足りないというものも多く含まれているはずで
す。正確に言えば、全く放射性物質を含まない米はあり得ません。

 そして今年の原発事故に関連してそうなったというより、過去の
核実験の影響で、一貫してそうであったというのが正しい理解です。

 私たちはそうした米をずっと食べてきたのです。

 上の記事の中に示されているグラフでは、1970年代でも米の平均
値は現在の暫定基準値を越えています。1950年代、60年代にはそれ
よりもずっと高かったのです。(最高で10000ベクレル/kgに達し
ていることが読み取れます。)

 マスコミはこの事実こそ、報道すべきです。

 そして過去に私たちが放射性物質に汚染された米を食べ続けて、
被害を被っていたのか、それともそれは別に健康被害をもたらさな
かったのかを国民が判断すべきところです。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 木曜日に大連から帰って来ました。台風で飛行機が飛ばないこと
を心配していましたが、ちょうど1日ずれたので、よい天気になっ
ていました。あちらはもうすっかり秋で、日によっては寒いくらい
でした。

 帰って来たばかりですが、今度の週末は妻と旅行です。あちらで
もネットにはつなげるのですが、念のため出発前に配信しておくつ
もりです。いつもは日曜日の朝になってから考えたりしていますの
で、今からネタを探しておかねば…。

------------------------------------------------------------
-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/
-620号----------------- e-mail why@kenji.ne.jp -------------
--発行--渡辺--宏------- URL http://food.kenji.ne.jp/
------------------------------------------------------------
「宮沢賢治の童話と詩 森羅情報サービス」
http://why.kenji.ne.jp/
------------------------------------------------------------
 購読者数3995名です。ご購読ありがとうございます。
------------------------------------------------------------
私あてのメールのあて先は、
why@kenji.ne.jp
私のホームページ(「[\]安心!?食べ物情報」)は
http://food.kenji.ne.jp/ です。
バックナンバーもすべて、このページで読めます。
【まぐまぐ】
このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を
利用して発行しています。( http://www.mag2.com/ )
マガジンIDは21668です。
このメールマガジンの登録や解除は
http://food.kenji.ne.jp/food2.html へ。
-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/