安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>614号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------614号--2011.08.14------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「Q&A」「バターの緊急輸入」

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ブログ毎日?更新中

http://www.kenji.ne.jp/blog/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 前回紹介したヒスタミン食中毒事件について、笈川さんから続報
をいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 安心!?食べ物情報で、生活衛生豆知識での札幌市学校給食のヒ
スタミン食中毒に関してご紹介ありがとうございました。

 この食中毒で大きな疑問があるのですが、保健所、教育委員会の
調査報告書で書かれていないところがあります。

 その内容は、原材料(マグロ冷凍品)は前日午前10時半に納入、
15時に検収、冷凍庫保管となっています。

 冬ですが、納入後、どこに保管されていたかが不明なのです。こ
れが食中毒発生の大きな鍵ではないかと思うのですが。

 たとえば、休憩室に置かれていれば、解凍している可能性があり
ます。本来なら、納入時に検収、冷凍庫保管です。

 札幌市教育委員会の調査報告書(公表)の写しを添付いたします。
時間的経過は3ページです。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 資料では給食室の冷凍庫で保管となっていますが、確証がないと
いうことなのでしょう。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 マグロにヒスタミン生成菌を低濃度、高濃度添加し、温度を5℃、
10℃、25℃で0、3、6、24、48時間培養し、ヒスタミンを測
定した。

 5℃、10℃では、いずれの時間帯でもヒスタミンは生成されなか
った。

 25℃ではいずれの濃度でも6時間までヒスタミンは生成されなか
ったが、24時間後に300mg/100g以上のヒスタミンが生成された。

 また、ヒスタミン生成菌未添加では、25℃の場合においても、ヒ
スタミンは、生成されなかった。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 という報告が書かれていますので、やはり解凍して長時間経過し
たという疑いが強いです。報告書では午前8時から解凍をはじめた
となっていますが、これではヒスタミンが生成されることはないは
ずです。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@
kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.市販のおそばに、入っていた大根おろしの袋をおいておくと、
膨らんでパンパンになりました。これはなぜですか?

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A.食べ物が変化するときは、時間と温度によってその変化の度合
が変わっていきます。ご質問には時間も温度も書かれていませんの
で、ちょっと推測のしようがありません。

 一般的に言って、袋が膨れてくるというのは、内部の圧力が増加
してくるからです。一番多いのは、微生物の繁殖により、ガスが発
生している場合です。

 しかし、大根おろしが簡単に発酵するかはちょっと疑問がありま
すので、違う原因なのかもしれません。

 冷凍やそれに近い温度になったとき、内部で水が蒸発して、袋が
膨れることがあります。冷凍食品を下手に保管すると、膨れてくる
やつです。こういうことが起こったのかもしれませんね。

 実際に起こったことの原因を究明するというのは、案外難しいも
のです。そこに至る経過や、最終的な状態の確認などから入ってい
くわけですが、やはりその品物をよく観察するところから始めてみ
てください。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「バターの緊急輸入」
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 バターが緊急輸入されるというニュースがありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

バター:業務用を緊急輸入 原発事故で供給不足の恐れ

 農林水産省は5日、業務用冷凍バター2000トンを緊急輸入す
ると発表した。東日本大震災や福島第1原発事故などの影響で国産
バターが供給不足となる恐れがあるため。11年度は1万1700
トンを輸入する予定にしていたが、追加輸入によって十分な供給量
を確保し、価格高騰を防ぐ。

 緊急輸入は3年ぶり。今月中旬に入札を行い、11月までに引き
渡しを受ける。欧米やオーストラリア産が中心となる見通しだ。

 供給不足が懸念されているのは、震災による生産設備損壊や原発
事故後の出荷自粛などにより、3月から4月にかけて東北や関東を
中心に計約4万トンの原乳を廃棄処分した影響が大きい。昨年夏の
猛暑に続き、今年6月ごろも気温が高く、牛が弱って生乳生産量が
落ちたことも響いている。

 国内のバター消費量は業務用と家庭用を合わせて年約8万トン。
業務用バターは乳業メーカーや製菓会社が主な買い手で、クリスマ
スを迎える年末が最大の需要期となる。バター価格は昨夏以降上が
り気味で、震災後も上昇が続いていた。

http://mainichi.jp/select/wadai/news/20110806k0000m020050000c.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 農水省が「緊急輸入」すると発表しているのがポイントです。普
通は商社などが輸入するものなのですが、バターはどうも違うよう
です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 農林水産省は8日、業務用冷凍バターを緊急輸入する方針を決め、
業者向けの入札説明会を開いた。

 クリスマスなど年末の需要が増える時期にかけて供給量が不足す
る可能性があるため、2000トンを追加輸入する。バターの緊急
輸入は2008年以来、3年ぶり。

 福島第一原子力発電所事故の影響で、畜産農家は原乳4万トンを
廃棄処分にした。また、6月下旬の暑さで、牛が餌を食べなくなり、
原乳生産量が落ちている。

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/mnews/20110809-OYT8T00416.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ここで言う「業者」というのは、ユーザーである食品メーカーや
商社などでしょう。普通は輸入の当事者である彼らが、農水省に対
して「入札」するというのですから、当然農水省が輸入しているこ
とになります。

 つまり、バターは輸入自由化されていない、管理貿易されている
品目なのですね。

 以下はその説明です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 現在進行中のWTO農業交渉において一部の国が関税率の上限設定
を主張しているが、脱脂粉乳、バター(指定乳製品)の二次関税率
の水準が引き下げられると、国境措置を前提とした牛乳の需給調整
が困難になり、酪農経営に大きな影響を与えることになる。

 現在の二次関税率の水準は、04年度の輸入価格(CIF価格)で計
算すると、脱脂粉乳は159%、バターは394%に当たり、この関税率
では輸入価格(a+b)は国産品価格を大きく上回るため(第5表)、
関税割当枠外の輸入はほとんど行われていない。しかし、関税率が、
脱脂粉乳では85%、バターでは253%より低下すると、輸入価格が
国産品価格を下回るようになり、国産乳製品から輸入乳製品にシフ
トが起きて加工原料乳価格が下落するであろう。

 その場合、日本の酪農を維持するためには直接所得保障、不足払
いの導入等により財政的に支えるしかなくなるが、それができない
とすると国内の酪農業は大きく縮小するであろう。酪農は日本農業
の重要な柱であり、北海道や中山間地域の地域経済において非常に
重要な役割を果たしているため、WTO農業交渉において乳製品の上
限関税の設定を受け入れることはできず、指定乳製品の関税率を維
持することが必要である。

第5表 乳製品の輸入価格と国内価格(単位:円/kg)
            脱脂粉乳     バター
輸入価格 a      288      270
関税相当量b      457    1,065
    (21.3%+396円) (29.8%+985円)
計 (a+b)     745    1,335
関税率100%の場合  576      540
関税率200%の場合  864      810
国産品価格       533      952

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 関税率200%でも国産バターの方が高いというのはべらぼうで
すね。国産バターはキロあたり952円、輸入価格=国際価格の方
は270円、国産バターは国際価格の3倍以上するわけです。

 ただし、全部の輸入バターにこの関税率がかけられているわけで
はありません。本来の関税率は35%程度なのですが、この税率を
割り当てられる輸入数量に制限があるのですね。

 したがって、通常はこの制限された数量しか輸入されず、バター
の国産率は90%ほどあるのだそうです。

 3年前にもありましたが、今回も国産バターの生産量がすくなく
なったため、バター全体の供給量が需要をまかないきれなくなった
ため、緊急輸入しようというわけです。この分は安い関税率の枠を
拡大するのでしょう。

 そして、その輸入分を、業者からの入札によって売りさばくわけ
です。実際には農畜産業振興機構というところが実務を行っている
ようです。

 この落札価格は国際価格+正規の関税より、かなり高くなってい
ると思います。差額は当然農畜産業振興機構の利益となるのですが、
具体的な落札価格などは見つかりませんでした。ご存じの方はぜひ
教えてください。

 バター以外にも高い関税をかけられている品目はいろいろありま
す。以下はそのリストです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

表3. 日本の高輸入関税品目 (2008年)
品目分類             関税率  従価税換算値 (%)
こんにゃく芋         2,796円/kg      5,537
ペレット(米のもの)      375円/kg      1,210
繭(繰糸用)         2,523円/kg       942
えんどう(播種用以外のもの)  354円/kg       907
馬            3,400,000円/頭       856
そら豆(播種用以外のもの)   354円/kg       803
ひき割り穀物及び穀物のミール  375円/kg       720
(米のもの)
砕米              341円/kg       696
ホエイ(乳清)及び調製ホエイ  29.8% + 687円/kg   685
ロールにかけ又はフレーク状に  341円/kg       650
した穀物(米のもの)
食用のくず肉(豚のもの)    482円/kg       638
米もみ             341円/kg       624
バターミルクパウダー      29.8% + 1,023円/kg  611
その他の固形状の物品(ヨーグルト以外)
穀粉、ミール又はでん粉の    29.8% + 1,159円/kg  595
調製食料品
ミルク及びクリーム       21.3% + 1,199円/kg  570
(脂肪分6%以上)
ヨーグルト           29.8% + 915円/kg   563
(除くフローズンヨーグルト)
その他の加工穀物(米のもの)  341円/kg       559
茶又はマテをもととした調製品  29.8% + 1,159円/kg  552
(ミルク30%以上)
米粉              375円/kg       520
乾燥豆(他に分類されないもの  354円/kg       511
、播種用のものをのぞく)

http://www.econ.osaka-cu.ac.jp/~Kumakura/teaching/IE/IE_9.pdf
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 馬一頭で340万円というのが面白いですね。もちろん競争馬な
のでしょうが、一流の馬だと数億円することもあるので、ちょっと
中途半端な金額です。

 そういえば、関空の農産物輸出実績の中で馬があがっていました。
実際には一頭が輸出されただけなのですが、価格が数億円以上した
ため、統計上で結構な順位になっていました。

 さて、こういうやり方には当然批判があります。以下は個人のブ
ログですが、なかなか鋭い指摘です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

バターが不足している本当の理由

 バター不足が続いている。近所のスーパーマーケットの棚からバ
ターが姿を消して、そろそろ3カ月になる。

 しかし「チーズが不足している」という話は聞かない。世界的な
消費の高まり(主に中国)によって値段は上がっているものの、チー
ズは普通に買うことができる。同じ乳製品なのに、ちょっと不思議
な話だ。

 実は、不思議でもなんでもない。

 自由化品目であるチーズは、国外から大量に輸入されている。20
07年度は消費量279,189トンに対して、ナチュラルチーズの輸入量
211,405トン、プロセスチーズの輸入量8,440トン。ざっくり計算し
て消費量の80%が輸入品だ。

 一方バターの消費量は年間約90,000トン。しかし輸入量は2008年
度でわずか8,600トンと、消費量の10%にも満たない。

 では、なぜバターの輸入はこんなに少ないのだろうか?

 ひとことでいえば、国内のバター生産者が保護され、関税化品目
に指定されているからだ。

 バターの内外価格差は5倍以上に達し、自由に輸入されるように
なれば太刀打ちできない。だから輸入枠(税率35%)を超過したぶん
には税率29.8%+985円/Kgという、べらぼうな関税が加算されている。
輸入価格の4倍相当の税金を上乗せすることによって、内外価格差
を埋めているわけだ。

 これは一種の利権、「バター利権」といっていい。「バターの輸
入を自由化すると、生産者と独立行政法人農畜産業振興機構が得る
カネが無くなる」という、ただそれだけの理由で輸入制限され、品
不足になり、しかも高いのである。

 繰り返すが、バターが不足しているのは生産者保護のために輸入
を制限し、消費量の90%を国内に依存しているからだ。だからちょ
っとでも生乳が足りなくなると不足する。そして我々は、他に選択
の余地がないから、国際価格の5倍の値段で買わされる。

 不足して困っている人たちがたくさんいるのなら、チーズのよう
に自由化すればいい。ヨーロッパ産、アメリカ産、オーストラリア
産、ニュージーランド産。質と味と価格で、消費者が自由に選べば
いい。

 もちろん、国産バターがいいという人は国際価格の5倍を払って
買えばいい。

 それのどこが問題なのだろう? なぜ不足を我慢しながら、我々
消費者がバター生産者を保護してあげなければいけないのだろう?
チーズは自由化されたのにバターが保護されている理由は何だ?
バター生産者は何様のつもりか?

http://komazawa.blogzine.jp/diary/2008/07/post_5bb5.html

全国的に生乳が不足している。なぜか?

 生乳は昭和54年以降社団法人中央酪農会議が取り仕切って、計画
的に生産されている。

 まず全国での総生産量が決められ、これを元に各都道府県の生産
量が決められ、さらにこれを元に各酪農家の生産量が割り振られる。
酪農家は決められた量以上の生乳を出荷することはできない。

 この通達はとても厳しく、計画生産を守らなかった場合、つまり
超過したり未達だった場合はペナルティが課せられる。

 生乳の計画生産は、もともと酪農家同士の競合を避けて価格を統
制するために始められた一種の価格カルテルだ。生産量を調整し、
なおかつ政治的な圧力を掛けて輸入を禁じれば、日本国内における
生乳の価格は中央酪農会議の思うがまま。国際価格の何倍もの価格
で国民に売りつけることができる。

 なぜこれが独禁法に触れないのか不思議だが、そこはそれ、どこ
かで政治的な力が働いているのだろう。

 ひどい話だが、とにかく日本はこれまでずっとトキやイリオモテ
ヤマネコ並に酪農家を過剰に保護し、その要求を受け入れてきた。
ちっぽけな牧場や牛舎に大量の税金が投じられ、国民は高い乳製品
を買わされてきたわけだ。

 それでも、計画生産がうまくいっているうちは、少なくとも受給
の問題は生じない。

 ……が、旧ソ連や北朝鮮を見ればわかるように計画生産がうまく
いったためしなどないし、たいていは破綻する。そもそも数年先を
見越して乳牛の数を正確にコントロールすることなど、できるわけ
がない。

 そして中央酪農会議による計画生産も、北朝鮮の経済と同じよう
に破綻した。その結果、生乳が不足しているわけだ。

 こうした愚かな状況を招かないための手段は、ただひとつ。計画
生産など止めて各酪農家の判断に任せる、つまり市場経済に委ねる
ことだ。同時に、乳製品の輸入を自由化する。

 自由化した直後は多少の混乱もあるだろう。しかし、徐々に受給
と価格のバランスが取られて、最終的には適切なところで落ち着く。
乳製品も他の製品と同じようになる。

 過保護は歪みしか生まない。政治家と酪農家には、この当たり前
のことをそろそろ学んでほしい。保護された市場で、もう十分に甘
い汁を吸ったではないか。

 計画できないなら、最初からしないでもらいたいものだ。

http://komazawa.blogzine.jp/diary/2008/08/post_fbe2.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 今回も生産計画の破綻を原発事故のせいにしています。実際には
輸入制限があるから供給不足が起こるわけで、事故のせいにしてし
まうのはおかしいのです。

 戦前から、日本の官僚組織は計画経済が大好きで、共産主義と親
和性があると言われています。原発事故も含めて、その計画経済が
破綻しようとしているのだと思います。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 中国で、「現政権は8月中に総辞職する」というウワサを聞き込
んできましたが、どうも本当になりそうですね。このウワサはその
次ぎに、「次期政権になったら日本からの食品の輸入が再開する」
と続くのですが、これははたしてどうなることやら。

 我が家には息子の家の犬二匹がときどきやってきます。用がある
ときに預かる、犬の保育園なんですが、このところの暑さで我が家
では部屋に入れて、クーラーを效かせています。犬は暑さに弱いの
だなどと言っていますが、節電が叫ばれるご時世に罰当たりなこと
ではあります。

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