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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------609号--2011.07.10------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「ニュースから」「Q&A」「生肉の衛生基準」

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ブログ毎日?更新中

http://www.kenji.ne.jp/blog/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 しばらく前に話題になっていた「TPP」の話があまり聞かれな
くなりました。6月に方針を決めるとか言っていましたが、予定ど
おりに物事を決めたことのない民主党政権ですので、当然のように
先送りになっています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

農業問題と震災が“言い訳”TPP先送り通商政策の迷走

 菅直人首相が「平成の開国」だと意気込んだ環太平洋経済連携協
定(TPP)への参加の可否決断が先送りされた。日本が大震災の
復旧・復興に忙殺される間も、世界各国の通商交渉は着々と進展し
ている。首相退陣、大連立がささやかれ、政局の不透明感が増すな
かで、日本の通商政策は大きな岐路を迎えている。

「菅首相退陣が濃厚で、9月の日米首脳会談に誰が出席するのかわ
からない。この会談で環太平洋経済連携協定(TPP)の参加表明
をするシナリオが狂った──」

 ある外務省幹部は、政治的空白の発生によって通商政策の軸足が
定まらないことを懸念する。

 だが、菅首相の下でも、政治的決断は遅れつつあった。当初、政
府は米国が主導するTPPへの参加の可否を6月末までに固める方
針だったが、5月17日、東日本大震災を踏まえ経済政策の優先順位
を見直す「政策推進指針」が閣議決定された。それには、農業者・
漁業者の心情、産業空洞化の懸念等に配慮し、「判断時期について
は総合的に検討する」と表現されるにとどまった。この時点で、結
論が先送りされたのだ。

http://diamond.jp/articles/-/12670
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 何も決めない、何もやらない…がポリシーの現政権ですので、当
然の成り行きですが、論議が深まらなかったのは問題だとしても、
TPP参加の雰囲気が壊れてしまったことはよかったのではないか
と思っています。

 私は自由貿易を支持する立場ですが、この「TPP」に参加する
ことにメリットがあるとは思えません。

 特に震災で莫大な被害を出した、東北の復興に関しては、TPP
に参加することは百害あって一利なしと言えます。以下のような意
見を私も支持しています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■東北の農業復興を最優先に

−−東日本大震災の発生で、東北の農業は壊滅的な打撃を受けた

 「東北で農業をしている人は、借金を抱えながら農地のがれき
を取り除き、津波による塩分を抜き、耕作し直すのに5〜10年
かかるかもしれない。TPP参加で(海外の安価な農産物が入っ
てきて)農業ができなくなるかもしれない不安があったら、誰が
農地を元に戻そうと考えるのか。本気で東北の農業を復興させる
のなら、TPPには参加しない方針を打ち出すべきだ。効率的な
農業モデルとして、被災地を実験場として利用するのは失礼な話
で論外だ」

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110617/fnc11061707430001-n3.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 震災からの復興に、余分な思惑を付け加えるのではなく、単純に
復旧作業として取り組む以外にはないと私も思っています。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@
kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.塩干商品など消費者が加熱して食べる商品の一般生菌数、大腸
菌群等の管理基準はどうなものでしょうか?教えて下さい。

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A.非加熱で食べる食品では菌数の基準がありますが、加熱用の食
品だと基準というのはありません。

 刺身用の冷凍魚介類だと1グラムあたり5万個以下である必要が
あります。逆に言うと、この数値だと生でも食べられる=菌数が充
分に少ないということです。

 加熱して食べる場合はこの2桁くらい上でも問題ないと思います
が、絶対値よりも通常の製造時よりも多い菌数になっていないかを
チェックするのが品質管理としては現実的と思います。

 それには、まず通常の製造時の菌数を知っておくことからはじめ、
自主基準が必要であれば、そこから決めていくことになります。

 また、大腸菌群は一旦加熱殺菌したものであれば、再汚染の指標
となるものです。生から干したものではなかなか陰性にならないと
思いますが、一度茹でてから干したものだと陰性であるべきです。

 このあたりも、商品の種類によって結構違うので、一概には言え
ないところです。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「生肉の衛生基準」
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 食中毒事件に関連して、しばらく混乱が続いていた、肉の生食用
基準ですが、ようやく新しい基準の案が出てきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

牛の生肉「表面加熱を」=罰則付き衛生基準案示す−生レバーは当
面禁止・厚労省

 焼き肉チェーン「焼肉酒家えびす」の集団食中毒事件を受け、罰
則付きの生肉の衛生基準について検討している厚生労働省は6日、
牛生肉の表面を加熱殺菌することなどを盛り込んだ基準案を薬事・
食品衛生審議会部会に示し、了承された。今後内閣府の食品安全委
員会と同審議会の議論を経て、10月にも食品衛生法に基づく衛生
基準を新設する。生レバーについては当面提供しないよう飲食店を
指導し、基準を設けるかの議論を年内に始める。

 基準が設けられれば、違反業者に肉の回収を命じたり、2年以下
の懲役または200万円以下の罰金を科したりすることができるよ
うになる。

 厚労省は牛の生肉に付着している可能性がある腸管出血性大腸菌
O(オー)111やO157などの大腸菌やサルモネラ菌を取り除
くために、肉を密閉容器に入れて湯に漬け、表面から1センチ以上
の深さを2分間以上60度で加熱し殺菌することが必要だとした。
また、同程度以上の効果がある別の加熱方法も認めるとした。

 加熱は食肉処理施設などでの加工段階で行い、飲食店には加熱済
みの肉を取り扱うよう求める。

 1998年に設けた現行ガイドラインでは、生肉の表面を削り取
る「トリミング」を求めているが、トリミングでは細菌の除去が不
十分だと判断した。(2011/07/06-13:55)

http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011070600353
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 もう一つ、朝日新聞の記事も紹介します。こちらの方がわかりや
すいかもしれません。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 厚生労働省の審議会は6日、生食用の牛肉を提供するには、肉の
表面から深さ1センチ以上の加熱を義務づける新基準案を大筋了承
した。削り取る部分が多くなるため、ユッケなど生肉を提供できる
飲食店は減り、価格も上昇する可能性がある。

 厚労省は今後、食品安全委員会に基準案の評価を依頼し、罰則付
きで10月の施行を目指す。

 新たな基準案では、生食用の原料となる肉は、解体した枝肉から
切り出したものと規定した。この結果、ほとんどの飲食店では生食
用に加工することはできなくなり、食肉処理業者から加工済みの肉
を購入することになる。

 殺菌では、肉の塊を真空パックなどで密封した後、熱湯につけて、
表面から1センチ以上の部分を60度の状態にしたまま2分以上加
熱することを義務づけた。測定器で深さ1センチの温度を測りなが
ら実施する。

 重さ約500グラムの肉を85度の湯につけた場合は約24分、
約250グラムならば約10分必要になる。加熱を終えたら、すぐ
に10度以下に冷却。加熱部分を削り取れば、生食用として提供す
ることができる。ただ、従来より生食部分は減るため、価格に影響
する可能性がある。

 保存する場合は4度以下、冷凍ならば零下15度以下とした。

 生食用の加工は、一定の技術や知識を持った人が行うようにする。

 1998年に設けた衛生基準では、細菌は表面に付着していると
考えられ、表面を削るトリミングをすれば生食用として提供できる
としていた。しかし、国立医薬品食品衛生研究所の実験で、牛肉は
熟成が進むと表面に付着した細菌が内部へ浸透することがわかった。
解体4日目で1センチも内部へ入り込むという。(沢伸也)

http://www.asahi.com/food/news/TKY201107060474.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 生食用の肉は枝肉から直接切り出す必要がある、と規定されるよ
うです。このことは飲食店でいくら「適正な処理」をしても、仕入
れた肉が「生食用」でなければ、生食には出せないということを意
味します。

 また、食肉処理場での処理で、表面の殺菌工程が求められるよう
です。この専用ラインを作って、「生食用」の肉を出荷する処理場
が出てくるかどうかはかなり疑問ではあります。

 もし、出てこなければ、新基準の導入と同時に、実質的には牛肉
の生食は禁止された状態になります。

 現在のところ厚労省は以下のようなことを言っています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

Q1(唐木会長)

 今回の問題を契機に、これまではと畜場で生食用として表示をし
ていないだけで、実は出荷されたものは全て生食用の肉だった、と
いうことがわかった。そういう理解でいいのか。

A(加地課長)

 その通り。平成10年(1998年)の衛生基準のガイドラインと同時に、
と畜場のガイドラインが出て、平成12年3月までの経過期間以降は、
全てのと畜場で、結さつや消毒などの条件を満たしておかなければ
ならなくなった。したがって平成12年4月1日以降は、生食用に加工
することもが可能となった。

 しかし、と畜場で生肉をきれいな状態で出したとしても、食肉処
理業者や中間段階で汚染される可能性があるし、O157は牛の腸にい
たということが知られていたわけで、川上の業者としてはわざわざ
生食用として表示をしてこなかった。責任を回避するということか
ら、あえて表示をしてこず、現在もそれが続いている。

http://www.foocom.net/secretariat/observer/4453/
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 現在流通している牛肉はすべて生食可能である、と言っているわ
けです。

 と殺場の改善について、努力してきたことは認めますが、その結
果として、すべての牛肉が生食可能であるというのはおかしいとい
うことは何度も書きました。

 私の意見は厚労省の課長さんとは衝突していたわけです。そこに
今度の新基準案が出たわけですが、新基準案では加地課長の見解を
完全に否定しています。

 安全を確保して牛肉を生で提供するためには、と殺場の改善だけ
では到底ダメなのです。

 今回の新基準案のポイントは二つあります。


(1)生食用牛肉は、枝肉から直接切り出すこととし、飲食店での
処理だけでの対応を否定したこと。


 普通、と殺場から枝肉の形で出荷された牛肉は、食肉処理場で解
体され、部分肉として流通します。

 昔ながらに、枝肉で流通することもまだあるのかもしれませんが、
枝肉での流通は衛生面で大きな問題があるので、包装された部分肉
で仕入れるのがよいのです。

 しかし、その部分肉が「生食用」として処理されていないなら、
最終段階でいくら「適切な処理」をしてもやはり安全を確保できる
とは思えません。

 また、「適正な処理」のための設備や技術を、飲食店それぞれに
求めるのはあまりに無理があります。

 したがって、それなりの設備と技術を持った食肉処理場で処理を
するしかありません。その「生食用牛肉」を仕入れてきて、飲食店
ではできるだけ手を加えずに出すということになります。


(2)食中毒菌は表面にだけついているとは限らないと認めたこと。


 これは新しい知見ですが、菌が内部まで侵入することが確認され
たようです。

 したがって、表面を取り除く「トリミング」処理だけでは食中毒
を防げないということになります。

 菌が内部まで侵入するということから、表面から1センチくらい
までは完全に加熱殺菌することが求められます。

 枝肉から切り出した部分肉を、適切に処理し、真空パック包装を
した後に加熱処理をする…ここまでが食肉処理場での作業です。

 この真空パック包装の肉を仕入れてきて、開封し、表面の加熱さ
れた部分を取り除く…ここは飲食店での作業になります。

 生食用の専用の調理器具は必要ですが、これだと開封した時点で
肉の表面にも食中毒菌はいませんので、普通に切り取り作業をする
ことができます。

 今までのように、表面に食中毒菌がついているかもしれない状態
では、表面を切り取っている作業で、まな板などに付着した菌によ
る再汚染が避けられないと指摘されていました。

 ということで、厚労省の加地課長の説は、今までの厚労省の取り
組みを説明したものとしては間違っていませんが、生食用牛肉の安
全性を確保するという意味からは完全に間違っていたことになりま
す。

 ことは重大ですので、一日も早く、前言を撤回していただく必要
がありますね。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 このところ体調最悪です。中国にいたとき、風邪をひいて、2週
間ほど長引いていました。このところ、ハードスケジュールだった
ことも響いていて、やはり年齢のせいか、無理がきかなくなってき
ました。

 そんなわけで、今回は短めです。身内に不幸があって、葬式のた
めに休んだりしていましたので、来週は復活といきたいものです。

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