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--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
--------------------------------------60号--2000.12.31------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

     「化学調味料」(いただいたメール)
     「海洋深層水」(Q&A)
     「狂牛病」(つづき)

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 「化学調味料」についての情報をいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 食品添加物としての調味料について少し調べましたのでお知らせ
します。

 食品添加物としての調味料は以下のグループがあります。

アミノ酸系   グルタミン酸ナトリウムなど
核酸系     イノシン酸ナトリウムなど
有機酸系    コハク酸ナトリウムなど
有機塩系    塩化カリウムなど

 食品添加物表示は4つのグループ名を表示します。例えば、グル
タミン酸ナトリウムを使用したときは、調味料(アミノ酸)と表示
します。複数のグループを使用したときは主体になった品目に「等」
をつけて表示します。

 多くの調味料はアミノ酸が主体になるので、表示は調味料(アミ
ノ酸等)となります。

 たんぱく加水分解物は「食品」扱いで、発酵調味料や昆布エキス
のように食品添加物ではありません。しかし、ご指摘のとおり、た
んぱく加水分解物で塩酸を使用するものは、塩素化合物の残留量の
コントロールが必要のようです。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ありがとうございました。私の言っている「たんぱく加水分解物」
は、添加物(調味料)として販売されているものの原料のことです。

 「たんぱく加水分解物」と言ってしまうと、ご指摘のとおり、原
料ということになってしまいますね。

 問題があるのは、「酵母エキス」などといって、塩酸を使ってい
ないはずのものにも、この有機塩素化合物が検出されることです。

 これはどうも、表示と実際との間に齟齬があるようなのです。い
ろいろと検査結果を見せてもらいましたが、この塩素の問題と、ア
ミノ酸組成がどう見てもグルタミン酸を別に添加しているとしか思
えない「天然」調味料があることがとても気になりました。

 「調味料」に頼らない、食品作りができれば良いのに、とそのと
きから思っています。これは不可能ではないのですが、生産と消費
の双方に結構問題があり、まだまだ現実のものにはなっていません。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.「海洋深層水」の成分というのはどんなものなのでしょうか?

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A.すみません。この質問はヤラセです。私が書きました。という
のは、「市民のための環境学ガイド」というページに、深層水の成
分が出ていたのです。以下に引用します。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

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表 深層水の栄養成分 1000mlあたり
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  エネルギー    0KCal
  たんぱく質    0g
  脂質       0g
  糖質       0g
  ナトリウム   218mg
  マグネシウム    24.5mg
  カルシウム    7.6mg
  カリウム     8.1mg

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海水の主成分濃度(塩分3.5%の海水として)
          g/kg  深層水の濃度を50倍
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塩素 (Cl-)     19.353g      
ナトリウム(Na+)   10.766g   10.90g
硫酸塩(So4 2-)    2.708g
マグネシウム(Mg 2+) 1.293g    1.225g
カルシウム(Ca 2+)   0.413g    0.380g
カリウム(K+)      0.403g    0.405g
炭酸塩(Co3 2-)    0.142g
臭素(Br-)       0.0672g

http://plaza13.mbn.or.jp/~yasui_it/DeepSeaWater.htm より
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 この数字が何を意味しているかというと、これはただの海の水を
薄めたものだ、ということです。

 海の水をそのまま飲めません(塩辛いです)ので、塩分を取り除
く必要があります。「逆浸透膜」という方法で海水から水分だけを
取り出す方法があり、すでに実用化されています。

 この方法ですと、実はほとんど純水に近い、蒸留水のような水が
出てきます。それでは「ミネラル豊富」というわけにはいきません
ので、おそらくこの処理された水と元の水を、50:1くらいの割
合で混ぜているのだと思います。上の数字はそのことを物語ってい
ます。

 塩素や硫酸塩については、知らぬふりを決め込んでいるようです。

 このサイトの主宰者、安井さんの結論は次のようなものです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

C先生:まあ、そんなもんだろうな。「海洋深層水」という科学的
迷信を新たに作り出そうとして努力中というところだろう。「海洋
深層水」も魚の養殖などの用途に限って使えば、それは科学的だと
いえる。やはり、それを使って市民へ直接売れる付加価値の高い商
品を作ろうということになると、どうしても迷信部分を作る人が現
れるということなのだろう。消費者の科学のレベルが低いことを見
抜いてわざわざやっているのか、それとも、販売する側のレベルが
低いのか。さて、どちらなのだろうか。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 私も全く同感です。

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--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「狂牛病」(つづき)
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 先日からの話のつづきです。インターネットで調べたら、どうも
私が思っていたのより、大騒ぎになっているようです。フランスに
続き、ドイツでも狂牛病(BSE)が発生し、大パニックが巻起こ
っているそうです。

 特にフランスでは、BSEであることが確認された牛肉が市場に
出回り、パニックになっています。どうも故意に病気の牛を屠殺し、
売ってしまったようで、犯人は逮捕されています。

 そこで少し情報をまとめてみました。

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http://square.umin.ac.jp/massie-tmd/bse.html#chrnlgy より
狂牛病に関する簡単な年表

200年ほど前:スクレイピーの発見

1920:クロイツフェルト・ヤコブ病の発見

1970年代後半:英国で牛の餌に羊の内臓,骨を使い始めた

1980年代はじめ: 海綿状脳症の原因がプリオンではないかと提唱
された

1986: BSEの初めての報告

1988.7 : 牛の内臓を牛の飼料にすることを禁止

1989.11: 特定の牛の内臓(SBOs)を人間の食物の材料に使うことを
禁止

1990:第一次BSEパニック.英国政府はBSEの人への感染の可能性を
真っ向から否定.

1994: BSEの発生数が月2000頭とピークになった.それ以後減少.

1996.3.20:英国政府がBSEが人間にうつる可能性をはじめて公式に
認めた.この時のnvCJDの患者数は10人

1997.9:nvCJDはBSEが人間に感染した結果であることがほぼ確定的
になった.

1998.9.nvCJDの患者数が27人となった.切除虫垂保存標本における
プリオンの検索が英国全土で始まる.(その後4000例調べても陽性
例はなかったと報告有り)

2000/10/26.BSEスキャンダルの最終報告書がまとまった.→解説

2000/11/3:vCJDによる死亡者数77人にのぼる.

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 ここでちょっとギョっとするのがBSEが原因で人間が発症する
ことが公式に確認されていることです。

 スクレイピーというのは以前からあった羊の病気です。脳が海綿
状になって死亡に至る病気で、一定の率で今でも出ている病気です。

 BSEは当初、このスクレイピーで死んだ羊の内臓などを牛の飼
料に混ぜたため、牛がこの病気に感染した、牛スクレイピーである、
というのがイギリス政府の見解で、飼料への羊の使用を禁止したこ
とで、BSEは収束に向かう、として、BSE対策を厳しくしなか
ったことが批判されています。

 当時のサッチャー政権が、業界の利益保護に走った、との見方も
あるようですが、その後、この時のイギリス政府の対応は全くの間
違いであった、ということが確認されています。こんな話は日本だ
けかと思っていましたが、そうでもないようです。

 また、イギリス政府はBSEが人間にうつることはない、牛肉は
安全である、と(根拠もなしに)断言していましたが、その後、上
の年表にあるように、実際に牛BSEから感染した「新型クロイツ
フェルト・ヤコブ病」が発生し、BSEが人間の健康にとっても、
脅威であることがわかっています。

 クロイツフェルト・ヤコブ病というのは、以前からある脳の病気
です。スクレイピーやBSEなどと同じ、「海綿状脳症」の一種で
す。原因は不明ですが、一部に家族性(遺伝?)のものがあること
が知られています。

 そのクロイツフェルト・ヤコブ病に新種が見つかり、これが今ま
でのものとは違い、BSEが直接、人間に感染したものであること
が立証された、ということです。

 今のところ、この病気には治療法はありません。感染を防ぐ方法
もありません。発症した場合、脳が徐々に海綿状になっていき、運
動能力はもちろんのこと、精神活動も次第に破壊され、完全に植物
状態になって死に至ります。

 アルツハイマーなどの痴呆症状と混同されることもありますが、
実態ははるかに恐ろしい、必ず死に至る病気です。普通、発症から
死亡まで、数ヶ月しかかかりません。新型のこの病気は、ヒトBS
Eと言った方が適切だと思います。

 潜伏期間がたいへん長い病気です。すでに感染している場合も、
発症するまで、感染自体を知ることはできません。十年〜数十年も
かかって発症していきますので、今後、かなり長期間にわたって、
イギリスではこの病気の患者が発生しつづけるはずです。総発生数
は1万人台にとどまるだろうと言われていますが、希望的観測に過
ぎないのかも知れません。また、フランスでもすでに患者が確認さ
れているそうです。

 BSEの病原体はプリオンというたんぱく質で、脳・神経細胞に
圧倒的に多いのですが、その他の内臓からも検出されます。また、
BSEにかかった牛の血液からも感染を起こしますので、結局、全
身が感染源になり得るのです。

 そこで今、ヨーロッパでは牛肉業界が壊滅的な被害を受けている、
というわけです。私たちの所にも危険が及んでいるのか、というこ
とで、下のリストをご覧ください。

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http://www.yakuji.co.jp/yakuji/yakujinippo/y200012150103.html
より

 ◆狂牛病が発生している国は次の通り。
 英国、スイス、フランス、アイルランド、オマーン、ポルトガル、
オランダ、ベルギー、ルクセンブルグ。

 ◆発生リスクの高い国は次の通り。
 アルバニア、オーストリア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブルガ
リア、クロアチア、チェコ、デンマーク、ユーゴスラビア、フィン
ランド、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、イタリア、マケドニア、
ノルウェー、ポーランド、ルーマニア、スロバキア、スペイン、ス
ウェーデン。

 ◆狂牛病感染リスクが高い部位は次の通り。
 脳、脊髄、眼、腸、扁桃、リンパ節、脾臓、松果体、硬膜、胎盤、
脳脊髄液、下垂体、胸腺または副腎。

  英国農漁業食糧省の2000年6月の報告書「A Progress Report on
Bovine Spongiform Encephalopathy in Great Britain」によれば、
2000年6月までの発生状況は以下のとおりです。
  英国での発生総数は176,954頭です。そのうち、1999年は2,274頭、
2000年は半年で613頭となっています。最大発生がみられた1992年の
36,682頭、1993年の34,370頭と比べると15分の1以下に減少してきて
います。
  ほかにまだ発生が続いている主な国の1999年の発生数は、ポルト
ガルの168頭、アイルランドの91頭,スイスの49頭,フランスの31頭
です。
  全世界でのこれまでの発生総数は181,375頭です。
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 このうち、ドイツは実際にBSE発生国になってしまいました。
おそらくヨーロッパ全域が危険地域ということになります。どうも
イギリスから輸出された牛、飼料が原因ではないか、と考えられて
いるようで、イギリスの評判は極めて悪いようです。

 私たちが食べる牛肉は主に、日本・アメリカ・オーストラリア産
です。今のところアジア・アメリカ・太平洋地域は危険地域には入
っていませんので、とりあえずは安心といえると思います。

 サッカーのトルシェ監督が「ソーセージを食べるな」と言ったと
か言わなかったとか。ソーセージは日本では人工ケーシングが普通
ですが、本来は動物の腸に挽き肉を詰めて作ります。文字通りの
「腸詰」です。一般に、「ウインナー」は羊の腸、「フランクフル
ト」は豚の腸、「ボロニア」は牛の腸で作ります。この順に太いソ
ーセージになります。フランス人が普通に食べるのはこの牛の腸を
使ったタイプなんだそうです。

 ヨーロッパ旅行へ行って、ソーセージを食べる、というのは極め
て危険です。私ははっきり言ってヨーロッパ旅行そのものが危険な
のではないか、と思っています。

 前回も書いたように、日本でもヨーロッパから飼料や薬品の原料
として牛由来の物質を輸入することが禁止されています。牛肉もヨ
ーロッパからは入ってきていません。でも、人の往来は常にあるの
ですし、加工食品はどんどん輸入されてきています。完全にBSE
を防衛するのはおそらく不可能でしょう。

 何故かあれほどセンセーション好きのマスコミがこの件に関して
は沈黙を守っています。私はこれが一番気持ち悪いです。

 こうなってくると、菜食主義に走りたくなります。実際、豚にも
狂牛病をうつすことは実験で成功しています。やがては全ての肉類
がこの病気のために食べられなくなり、人類はすべて菜食となり、
すべての動物は人間に食べられるという災厄から永遠に免れる、と
いうシナリオも棄てたものではないような気がしてきました。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 年末ぎりぎりの配信になりました。いよいよ21世紀ですね。私は
1951年生まれなので、2001年には50歳になります。子供のときにそ
んな計算をして、なんだか、21世紀にはもう自分は生きていないよ
うな気がしていました。

 10歳の子供にとって、50歳というのはそんな年齢だったのです。
いや、自分がなってみると、案外若いですけれど。

 狂牛病の話が続いています。今回の話題には、以下の本を参照し
ています。私のもう一つのメルマガ「宮沢賢治 Kenji Review」で
紹介していますので、ここに転載します。

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「狂牛病」リチャード・W・レーシー著 淵脇耕一訳 緑風出版

 イギリスで狂牛病で大騒ぎになったとき、政府のやり方を真っ向
から批判した本です。

 ちょっと古い(1994年)出版ですが、今読み返してみると、著者
の指摘がほぼ正しかったことがわかります。

 日本のこの手の本はデマゴギーとアジテーションに終始するのが
パターンですが、著者は本ものの科学者らしく、きわめて冷静で論
理的です。

お勧め度☆☆☆☆
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 現在、どうもマスコミにはこの件に関して、箝口令がしかれてい
るようですが、まもなく日本でも騒がれるようになるでしょう。

 ダイオキシンや環境ホルモンとはケタ違い、エイズ上陸以来の危
機ということになると思います。

 何だか暗い話になってしまいましたが、よいお年をお迎えくださ
い。

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--発行--渡辺--宏------- URL http://www.kenji.ne.jp/food/
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