安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>6号


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--安心!?食べ物情報---Food-Review----------------------------
---------------------------------------6号---1999.12.19-----
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

    養鶏場の話(その2)
   【Q&A】塩のにがりについて
   【Q&A】玄米のフィチン酸について
   【食べ物情報】塩 その1

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 養鶏場の話(その2)

 全回は採卵鶏の養鶏場でしたが、今回は食鳥(ブロイラー)の話。

 ブロイラーというのは、あまり感じのよくない名前ですが、肉用
の鶏の意味だと思ってください。

 ブロイラーもケージに入れられた「籠の鳥」になっていると思っ
ている人もいますが、肉用の鶏はすべて「平飼い」です。ケージな
んかに入れていたら、とても採算がとれません。

 ヒナは産まれてすぐ、まだエサも食べないうちに養鶏場に入りま
す。鶏舎は出荷時までかわりませんので、ヒナには大きすぎます。
それで、一部に囲いをして、温まるための電球などをつけて、そこ
ではじめてのエサと水をとります。

 鶏は鳥類ですので、体温が40度くらいあります。親鳥に抱かれ
ていないヒナは、温度が下がればすぐに死んでしまいます。小さい
囲みに集めて、暖房して、しばらくは気をつかうようです。

 といっている間に、どんどん大きくなってきます。囲みをだんだ
ん大きくして、最終的には、鶏舎が鶏でいっぱいになります。この
間わずか50〜60日です。

 まだほんの子供ですが、成鳥と比べても、それほど違わない大き
さになります。ちょうど鶏舎いっぱいになって、身動きとれないと
ころを、集めてきて出荷されます。専用のコンテナに入れ、早朝に
処理場に入ります。

 (処理場の話は別の機会にします。)

 エサは産まれたてから、出荷直前まで、何段階かにわかれていま
す。採卵鶏と比べると、うんと高カロリーのものを与えますので、
健康とは言い難いのは確かです。

 最後の段階のエサのみ、「休薬飼料」といって、抗生物質などを
使わないエサになります。最近では、一切薬品を使わない飼育もで
きなことはないようです。(そういうコピーで売っているものもあ
ります。)

 エサはトウモロコシなどを中心に、配合されたものです。大きな
ところでは、自家配合もするようですが、あまり見たことはないで
す。何種類かの配合飼料と、水だけを与えますし、2ヶ月飼育して、
出荷してしまえば、1〜2週間鶏舎を開けますので、採卵鶏の飼育
よりは楽なような気がします。(飼っている人はどう考えているか
は知りませんが。)

 ブロイラーというのは、本来は肉用の品種の名前ですが、最近で
は「地鶏」とか称して、いろんな種類の鶏があって、各地方のブラ
ンドになっています。

 私の地元では、「紀州鶏」といって、シャモと普通の食用鶏との
雑種を飼育していました。シャモというのは、例の闘鶏用のもので、
雄は姿も美しく、とても闘争的な鶏です。親鶏はつがいで飼います
が、雄と雌の差が大きく、同じ品種とは思えない姿をしています。

 味はシャモに似て、とても美味しいのですが、雄は肉が硬く、雌
は体が小さい、という欠点もありました。

 他の地方でも、在来種の系統の「比内鶏」や有名な「名古屋コー
チン」をはじめ、いろんな種類を商品化しています。「阿波をどり」
なんていうのも、こういう地鶏のブランド名です。

 全体に、飼いかたは基本的に同じですが、飼育日数は100日前
後と長く飼うものが多いようです。その分、エサは低カロリーにな
り、健康的にもよくなるようです。

 値段が高いのさえ、がまんできれば、もちろんこういうものは美
味しくてお勧めできます。「ハーブ鶏」とかいっているのは、品種
や飼育日数は変わりませんが、エサを工夫して、美味しい肉を作ろ
うとしているものです。

 「杜仲茶」の葉をエサに混ぜたものを食べさせると、焼いたりし
たときに、出て来る脂肪が、確かに少ないような気がしました。
(「気がした」という程度で確かなことは覚えていません。申し訳
ない)

 国産のブロイラーは品質、価格の両方で、タイ産のものに押され
ています。タイ産は冷凍または加工品(串にさしたり・・)で入っ
てきますが、最近はそれに加えて、中国産のものが冷蔵のままで入
ってきて、ますます苦戦しているようです。

 その上、「環境問題」だとかいって、近所の住民からは眼の敵に
され、立つ瀬がない業者も多いようです。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q 塩のにがりについて
 にがりはタンパク質をかためる役目があると聞きます。
 最近自然志向で天然の塩を摂取し続けると内臓が硬くなり、腎臓
 もろ過機能がおちて、にがりの多い自然塩をとるのはよくないと
 の情報があります。
 菜食者は特に影響が大きい(ちなみに私はベジタリアンです)。
 
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A たんぱく質を固める作用があるから、にがりは豆腐の製造に使
われたりするのですが、生体内で同じことが起こるわけではありま
せん。骨がコーラに溶けるから、コーラを飲めば骨が溶けてしまう、
というのと同じ間違いだと思います。

 食塩は結果的に塩素とナトリウムを体内に供給しますが、にがり
にはマグネシウム、カルシウムなどの、その他のミネラルが含まれ
ています。でも、実は自然塩といっても、そんなに多量ににがりを
含んでいるわけではないのです。(「食べ物情報」のらんを参照し
てください。)

 自然塩といっても、主成分が塩化ナトリウムであることは変わり
ませんから、微量成分で健康に影響があるとは思えないです。逆に
自然塩だから健康に良い、というのも間違いです。

 どんな種類の塩にせよ、1日に食べる量はどれくらいでしょうか?
せいぜい10グラム程度。100グラムも食べれば大変です。しか
も大半は加工食品に含まれる塩分ですから、「自然塩」をとる量と
いうのはごく僅かです。そのうちのわずか数%の微量成分で、健康
被害が出るならば、猛毒に近いですね。

 また、それで健康に良いなら、薬品として売り出したいくらいで
す。

 内蔵が硬くなったり、腎臓の機能が落ちたり、というのも、根拠
が示されていない限り、眉唾ものです。その話にちゃんとしたデー
タはついていましたか?こういう話は主観的な思い込みと根拠のな
い連想で、いくらでもできてしまいます。

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Q 玄米などのフィチン酸やあく
 玄米は体にいいといいますが、これも長年とりつづけるとフィチ
ン酸やあくで健康を害す。

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A 私の敬愛する宮沢賢治はその有名な詩「雨ニモマケズ」の中で、

一日ニ玄米四合ト
味噌ト少シノ野菜ヲタベ

と書いています。賢治のことですから、栄養面でも、きちんと計算
ができていたと思います。

 でも、玄米四合というのはすごい量ですね。普通、まず食べられ
ないと思います。(白米でも四合食べるひとはあまりいないです。)

 フィチン酸は普通、糠になる層に含まれることが多いのだそうで
す。白米でも、全く含まないわけではありません。正確にいうと、
「フィチン態のリン」が蓄積される部分が胚乳の表面部分にあると
解説書に書いてありました。

 フィチン酸はカルシウムの消化吸収を妨げる、というので、嫌わ
れますが、別に毒というわけではないと思います。「あく」という
のは、意味がよくわかりません。

 ということで、ご心配には及ばないと思います。

 ところで、「玄米は体にいい」ということも、意味がよくわかり
ません。玄米は確かに白米よりも栄養素を多く含みますが、味の点
でも、消化吸収の面からも、問題の多い食べ物です。他に副食を確
保するのが難しかった時代はともかく、現代において、玄米食が積
極的な意味を持つとは思えません。

 賢治の例のように、玄米を勧める人はどうも「難行」としての玄
米食を評価していると思います。気持ちの問題として、玄米を食べ
ることが気持ち良い、というのなら、それで結構ですが、私などは
軟弱ですので、わざわざおいしくないものを食べる、ということは
理解できないです。

--〔食べ物情報〕--------------------------------------------
「塩」その1
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【塩の成分】

 塩の原料は普通、海水です。海水の成分は以下のようです。

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成分         濃度(%) g/100g固形物
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硫酸カルシウム    0.138 4.03
硫酸マグネシウム 0.210 6.12
臭化マグネシウム 0.008 0.22
塩化マグネシウム 0.328 9.59
塩化カリウム 0.072 2.11
塩化ナトリウム 2.669 77.93
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 食塩の塩化ナトリウム濃度は以下のとおりです。

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食卓塩   99以上
精製塩   99.5以上
家庭塩   95以上
並塩    95以上
原塩    95以上
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天塩    92
伯方の塩  95
シママース 92
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(「減塩調味の知識」太田静行著 幸書房刊より抜粋)

 上記の2つの表を比べると、いずれの塩も、海水中の塩分の分布
とは違い、塩化ナトリウム濃度が著しく高くなっていることがわか
ると思います。これは製塩の課程で、塩化ナトリウム以外の成分を
取り除いているからです。

 この塩化ナトリウム以外の成分を「にがり」といいますが、食塩
をつくるときに、自然と汁になって、出て来るので、分離自体は難
しくないそうです。

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【塩の作り方】

 塩の製造工程は、海水を濃縮する「採鹹(さいかん)」工程と、
食塩の結晶を作る「煎熬(せんごう)」工程にわかれます。

「採鹹(さいかん)」古くは「塩田」での作業でしたが、今では、
「イオン交換膜」を使用して、海水を濃縮します。ただ、最近では、
メキシコなどからの輸入の「天日塩」を原料にすることが多くなっ
ているようです。

「煎熬(せんごう)」基本的には釜で煮詰めます。前項の「鹹水」
や原塩を水で溶かしたものを、減圧釜で水分を蒸発させていきます。
「原塩」や「並塩」というのは、原塩をそのまま粉砕したものです。
また、「自然塩」と呼ばれるものは、原塩から精製する時に、「に
がり」成分を添加して仕上げます。

 添加する「にがり」は、精製塩をつくるときにとれたものを戻し
たり、輸入してきた天然にがりを使ったりするようです。

 普通に考えるのとは逆に、精製塩が「無添加」で、「自然塩」が
「ニガリ添加」の塩ということになります。

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【塩の色】

 塩(塩化ナトリウム)は無色透明の結晶です。たくさんあると、
白く見えます。

 砂糖で色がついているのは、砂糖が熱で変化した「カラメル」の
せいですが、塩で色がついているのは、添加したニガリに付随して
混入した、土や泥のようなものです。

 別に毒というわけではありませんが、なんとなく気持ちが悪いの
で、私は茶色い「自然塩」は買わないようにしています。

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【塩の味】

 塩味は塩化ナトリウムの独特の味です。ただ、塩化ナトリウムの
純度が高いと、味が単調になり、あまりおいしくないです。味の点
では、純度の低い「自然塩」が優れています。私は吸い物で塩の違
いがわかるほど、味に敏感ではないですが、そのまま舐めたり、漬
物をつくったりすると、やはり味が違う、と思います。

 少し高いとはいっても、どちらにせよ安いものですので、おいし
い「自然塩」をおすすめします。味には好みがありますので、おい
しいと思うものを選んでください。(茶色いものはおすすめしませ
ん。)

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【原塩】

 輸入の天日塩はメキシコ産ですが、詳しくは知りませんでした。
最近、カリフォルニア半島というか、太平洋側に、海水の塩分濃度
が高い海域があって、製塩が盛んだということを新聞で知りました。

 何でも、新しい製塩工場を作るのに、環境保護団体ともめている
らしいのです。

 せっかく開発した「イオン交換膜」方式ですが、コストの点で、
輸入の天日塩にたちうちできなくなっている、というのも皮肉なこ
とです。

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【並塩】

 農家の主婦が共同出資して、手作りで味噌を作っている人たちが
います。味噌の話はまた別にしますが、そこを訪問したときに、使
っている塩を見たら、「並塩」を使っていました。これは輸入の原
塩を粉砕しただけのものですが、塩化ナトリウムの純度としては、
ちょうど「自然塩」と同じくらいになります。

 もちろん、並塩は精製塩より安いのです。味噌作りにはちょうど
良い味なのと、安いので並塩を使っているのですが、「自然塩」取
扱業者だった私としては、何だか変な気分でした。

 自然塩というのは、この並塩と同じものを、いったん溶かせて、
不純物、ゴミなどを取り除き、再度精製するときに、離脱するニガ
リ成分を、あとから添加して補っています。

 丁寧なような、無駄なような・・・。

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【海水から作った塩】

 塩が専売をはずれてから、以前は禁止されていた、海水から直接
作った塩も市販されるようになっています。作りかたは違うのです
が、成分では他の自然塩と大差なく、「海水成分そのまま」ではな
いことは、上記の表から類推できます。(塩化ナトリウム78%で
は、塩と呼べないです。)

 私の父は70歳を超えていますが、釣が好きで、よく行っていま
す。それはいいのですが、近くに住んでいるため、たくさん釣れた
日は、私のところにもアジなどが回ってきます。

 釣っている場所が、和歌山港の岸壁ですので、私としてはあまり
うれしくないのです。

 同じように、日本近海の海水から作った塩というのは、私はパス
したいです。(まさかそんな汚い海の水は使っていないでしょうが)

--〔後記〕--------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」のリンクのページにもありますが、横浜国
立大学の中西準子先生のページは、いろいろと考えさせる話が多い
です。

 最近の「雑感」では、「健康カルト」と題して、次のような話を
書いています。

--〔↓引用はじめ↓〕----------------------------------------

ところが、リスク評価を仕事にしていると、健康にだけ異常な関心
があるという人に出会うことが多い。水の環境問題に関心がありま
すという人が訪ねて来る。水道水が如何におかしいかという話しか
しない。

どういう川を見たことがありますか?と聞いても、禄に知らない。
川の思い出を聞いても、何もない。彼の関心は環境問題ではない、
自分の安全である。もう少し聞くと、実は関心は安全問題でもない
ことが分かる。

必ず、こういう水を飲むと、体にいいそうですが、本当ですか?と
いう話になる。如何に若返るか、その水を使うと如何に野菜の発育
がいいかという話を聞いたのですが、本当ですか?ということにな
る。私は、そういうことに関心はないのです、と、答えることにし
ている。

--〔↑引用おわり↑〕----------------------------------------
 (無断で引用しました。中西先生、ごめんなさい。)

 これも世相ですか。

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--6号------------------ e-mail why@kenji.ne.jp -----------
--発行--渡辺--宏------- URL http://www.kenji.ne.jp/food/
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