安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>587号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------587号--2011.02.06------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「Q&A」「E型肝炎」

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ブログ毎日?更新中

http://www.kenji.ne.jp/blog/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 「トレハロース」のメーカーである、林原が倒産したというニュ
ースには驚きました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 (株)林原は、2月2日に東京地裁へ会社更生法の適用を申請した。

 当社は、1883年(明治16年)創業、1932年(昭和7年)7月に法人
改組した糖質原料メーカー。創業当初は水飴製造を主体としてきた
が、長年研究を進めてきた糖質原料製造の事業化が進んだことで、
同分野へ本格的に経営資源を集中し、研究開発型のバイオ関連企業
に成長してきた。天然由来の甘味料「トレハロース」や抗がん剤の
「インターフェロン」を量産し、バイオテクノロジー企業としての
認知度を高めた。特に、「トレハロース」は、食品、化粧品、医薬
品などの原料として用途が広がり、海外への展開も図るなど、順調
に業績を拡大してきた。この間、運輸・倉庫業、ホテル経営、飲食
業、印刷業など、事業の多角化を推進する一方で、美術館、自然科
学博物館の運営、恐竜の発掘調査などのメセナ活動も展開し、岡山
県を代表する企業に成長、2010年10月期は年売上高約281億1300万
円を計上していた。

 しかし、業績を拡大する一方で、研究開発への投資が先行してい
たほか、不動産投資などで年売上高を大きく上回る借入金が長年に
わたり経営を圧迫していた。このため、グループの再編を含めた合
理化に努めていたが思うように進まなかったため、金融機関に対し
金融支援を要請すべく、1月25日までに事業再生ADR(裁判外紛
争解決)手続きを申請していた。

 その後、経営責任をとる形で創業家一族の林原健社長および専務
が近いうちに退任する予定であることを明らかにしていた。一方で
過去の不正経理が報じられるなど2月2日開催の債権者会議の動向が
注目されていたが、今般、事業再生ADRを取下げ、会社更生法に
よる再建を目指すこととなった。

http://www.tdb.co.jp/tosan/syosai/3421.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 トレハロースは「甘味料」なんですね。でもちょっと違うように
思います。非常に有用な添加物で、現在多数の食品に使われていま
す。このトレハロースを独占的に製造・販売している会社が、どう
すれば倒産できるのか、全く不思議な話です。

 よほどひどい経営をしていたということなのでしょうが、この事
業は儲かることは間違いありませんので、大手食品企業の間で争奪
戦が始まっているのではないかと思います。

 トレハロースが入手できなくなれば困る企業が多いですので、や
はり一社独占というのは社会的にリスクが大きいですね。

 次は「生活衛生ホットインフォメーション」の笈川さんからいた
だいた情報なんですが、千葉県でA型肝炎による食中毒という珍し
い事件があったそうです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 千葉市は28日、A型肝炎による食中毒が発生したとして、若葉
区東寺山町のすし店「銚子丸東寺山店」を3日間の営業停止処分に
した。A型肝炎での食中毒は極めて珍しく、市内では少なくとも1
0年以上発生の記録がないという。

 市によると、昨年11月下旬〜12月中旬に食事した22〜61
歳の14人が、発熱や肝機能障害などの症状を訴えて入院。今月2
1〜27日に複数の医療機関から保健所にA型肝炎発生の報告があ
り、共通する食事歴から銚子丸東寺山店に起因する食中毒と断定し
た。A型肝炎は通常1〜2カ月で回復する。14人はいずれも回復
に向かっているという。

http://mainichi.jp/select/science/news/20110129k0000m040135000c.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 この場合は食材ではなく、従業員からの感染だったようです。問
題の店で食べてから時間がたっていますが、よくつきとめたものだ
と思います。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@
kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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今回は休みます。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「E型肝炎」
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 最初に「A型肝炎による食中毒」のニュースを書きましたが、も
う一つ「E型肝炎」というのも無視できなくなっています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 E型肝炎は、患者の便の中に出てきたE型肝炎ウイルスが、人の
口の中に入って主に感染します。飲み水が便によって汚染されてい
るような場合に集団感染が起こりやすいです。家族内などで、人と
人との接触による感染は起こることがありますが、少ないと考えら
れています。日本やアメリカ合衆国では、E型肝炎の患者の大部分
は、E型肝炎が多く発生している国へ旅行して帰国した者でした。
近年、日本やアメリカ合衆国では、海外への旅行歴がない者が、E
型肝炎の患者となる場合もあることが知られて来ましたが、その感
染経路はよくわかっていませんでした。

 E型肝炎が多く発生している国としては、アフガニスタン・バン
グラデッシュ・ミャンマー・中国・インド・インドネシア・カザフ
スタン・キルギスタン・マレーシア・モンゴル・ネパール・パキス
タン・タジキスタン・ツルクメニスタン・ウズベキスタンなどのア
ジアの国々、メキシコ、中東・アフリカの国々があります。

 人間以外でも、サル、ブタ、ネズミ、ニワトリがE型肝炎ウイル
スに感染することがあることが知られています。

 アメリカ合衆国では、健康な供血者の1-5%がE型肝炎ウイルス
に対する抗体を持っています。これらの人たちは知らないうちにE
型肝炎ウイルスに感染し肝炎らしい症状も出現せずに治ったものが
多いと考えられます。これらの人たちの感染経路はよくわかってい
ません。

 日本の感染症発生動向調査によれば、E型肝炎の患者発生数は、
2000年3人、2001年0人、2002年16人、2003年31人、2004年41人、
2005年43人、2006年71人、2007年56人となっています。内、国内感
染例については、2000年1人、2001年0人、2002年15人、 2003年22人、
2004年28人、2005年34人、2006年54人、2007年41人となっています。

 2002年以降、届出の増加が見られ、特に国内感染例の増加が目立
ちます。なお、E型肝炎の検査が医療機関ですぐ実施するような一
般的な検査ともいえないため、E型肝炎の患者に対してE型肝炎の
検査が行われないことによりE型肝炎の患者として把握されていな
い可能性もあります。

http://www.city.yokohama.jp/me/kenkou/eiken/idsc/disease/hev1.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 結構発生しています。E型肝炎は慢性にはならず、それほど重症
にもならないと書いているサイトもありますが、死亡者が出ている
という情報もあります。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 北海道北見市のとあるバイキング形式・焼肉店。今年8月「豚レ
バーなどの内臓肉」を食べた6人が"E型肝炎ウィルス"に集団感染。
このうち一人が『劇症肝炎』を発症、10月に死亡。

 この6人の内の1人が感染を知らないまま、献血。これを輸血さ
れた旭川の男性患者も『E型肝炎』に感染してしまった。

[感染原因は・・・]

1.豚レバーや豚ホルモンなどの内臓肉を良く加熱していなかった。
     (内臓系統は"生焼け"を好む人が多いようだ)

2.レバーを調理した手をなめたり、生レバーに触れた箸でそのま
  ま食事をした(衛生上の問題)。

3.「バイキング形式」だった
  (衛生上の問題や自分の好きな焼き具合を選べるなどの問題)。

4.「豚を生(あまり加熱しないで)で食べること」に対して、抵抗
  感が薄れて来ている。

5.過去10年間に『E型肝炎』に感染した北海道内19人のうち
  17人が"豚レバー"を食べていた。

 「これらの事実から"豚内臓生肉"の処理が問題なのだろうと考え
られる」

http://www.unlimit517.co.jp/ana27.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 豚肉以外にも、野生動物の肉でも危険はあるようです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 従来、国内でも国外でも、特定の食品の摂食とE型肝炎の発症と
の関係が直接的に確認された事例の報告はありませんでした。

 しかし、2003年4月に兵庫県で冷凍シカ肉を喫食した2家族7名
中4名が発症し、急性期の血清からHEV-IgM抗体及びHEV遺伝子が検
出され、冷凍シカ肉残品から検出されたHEVの遺伝子配列が患者か
ら検出されたHEV遺伝子のものとほぼ一致したことが報告され、こ
れが食品の摂食とE型肝炎の発症との直接的な関係が確認された世
界初の事例になりました。

 更には、2005年3月に福岡県で野生イノシシ肉を喫食した11名
中1名が発症し、イノシシ肉残品からHEVが検出され、患者血清か
ら検出されたHEVの遺伝子配列と一致した事例もあります。

http://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/08/h0819-2a.html#09
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 紹介したサイトは農水省の「食肉を介するE型肝炎ウイルス感染
事例について(E型肝炎Q&A)」というものです。ここの情報が
一番まとまっています。
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/08/h0819-2a.html

 結論としては、肉を生で食べるのは危険だということです。普通
生では食べないと思いますが、どこかで誘われても、絶対生で食べ
てはいけません。

 加熱すれば問題ないのですが、その加熱条件はこう書かれていま
す。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 豚レバーをはじめとする豚肉については、生で食べないようにし
ましょう。また、加熱調理の際には中心部まで火が通るよう十分に
加熱してください。

 豚レバーなどに万一ウイルスが残っていたとしても、十分に加熱
調理を行えばHEVは感染性を失うため、豚レバーなどの豚由来食品
を食べることによる感染の危険性はありません。

 ハム・ソーセージ等の加熱済み食品についても、HEVは、当該食
品の加工時に行われる63℃で30分間と同等以上の熱処理で感染性を
失うため、心配はありません。

http://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/08/h0819-2a.html#13
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「63℃で30分間」というのは牛乳などでもおなじみの、パスチャ
ライズというやつですね。ところが変な誤解をしている記事があり
ました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

国は「30分加熱を」 非現実的との声も

 現在、治療は、他の急性肝炎と同様、投薬などによる対症療法の
み。劇症肝炎に対しては、血漿(けっしょう)交換などによる治療
が必要となる。ワクチンは開発されていない。

 輸血感染による予防として、日赤が今年二月下旬、輸血用血液の
安全供給のために、道内で検査の機械化を試験的に導入。これまで
HEV検査はエイズウイルス(HIV)など三種類の遺伝子検査の
後にほぼ手作業で行われていたため、結果がわかるまでに三−五日
かかっていた。輸血用血小板は有効期間が七十二時間と短いため、
結果判明前に血液が使われることもあった。

 だが、新たなHEV検査は、HIV検査などとともに機械化によ
って実施し、採血の翌日には結果がわかるように改善されている。

 厚労省は、「食材を十分に加熱(六三度で三十分間)すれば防げ
る」という予防法を提示しているものの、この加熱法での調理は現
実的ではない。E型肝炎について研究している北見市の矢崎康幸医
師は、厚労省が示す加熱予防法に疑問を呈し、「E型肝炎は豚がウ
イルスに感染したふんを食べることで感染する。養豚場などの衛生
状況を良くすることが、ウイルスを断つ最善策ではないか」と話し
ている。

http://www5.hokkaido-np.co.jp/motto/20061111/
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 確かに30分は長いですが、温度を上げれば時間は短縮できると
いうことを知らなかったようです。

 わざわざ60度程度の低温に加熱するのは、あまり温度を上げた
くない事情があるからです。通常の調理では遠慮なく加熱して、水
を沸騰させますので、ごく短時間で問題ありません。

 しかし、こんな簡単なことを理解していない医者もいるのだと驚
きます。新聞記者が知らないのは…。このトンデモ記事が多いので
有名な北海道新聞ですしね。

 さて、E型肝炎に関しては、最も大きなリスクはやはり海外旅行
です。最初に紹介した記事に流行している国が出ていますが、そう
いうところでは食べ物に注意してください。

 生ものは食べないのは原則として、水にも注意が必要なようです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 HAV及びHEVの感染経路は経口感染であり、ウイルスに汚染された
食物、水の摂取により感染することが多いので、予防には手洗い、
飲食物の加熱が重要です。

 E型肝炎流行地域へ旅行する際は、清潔の保証がない飲料水(氷
入り清涼飲料を含む)、非加熱の貝類、自分自身で皮をむかない非
調理の果物・野菜をとらないように注意する必要があります。

 動物の内臓、特に豚レバーを食べる際には、中心部まで火が通る
よう十分に加熱することが重要です。食べる前の調理の段階でも、
皮膚の傷からウイルスが体内へ入ることのないよう注意してくださ
い。

http://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/08/h0819-2a.html#06
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「清潔の保証がない飲料水(氷入り清涼飲料を含む)」「自分自
身で皮をむかない非調理の果物」あたりは盲点になりそうです。

 最後に、E型肝炎の問題に関する研究者の報告を紹介しておきま
す。非常に興味深い読み物になっています。

http://www.jstage.jst.go.jp/article/jsv/54/2/243/_pdf/-char/ja/

--〔後記〕--------------------------------------------------

 E型肝炎流行国にやはり中国も入っていますね…。生ものは食べ
ないようにしています。水は一本1元のペットボトル入りを持ち歩
いているので、大丈夫だとはおもうのですが、少し心配になりまし
た。

 その中国は今は春節(旧正月)の休みです。今年は2月3日が旧
暦の1月1日でしたが、節分も同じ日でした。節分は立春の前日で
すので、もう「暦の上では春」ということになります。このところ
少し暖かくなってきたのもそのせいでしょうか。

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