安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>585号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------585号--2011.01.23------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「Q&A」「ドイツのダイオキシン騒動」

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ブログ毎日?更新中

http://www.kenji.ne.jp/blog/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 畝山さんの「食品安全情報blog」に、気になる記事がありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■[VLA]ボツリヌス症CommentsAdd Star

Botulism
http://www.defra.gov.uk/vla/science/sci_botulism.htm

ファクトシート
http://www.defra.gov.uk/vla/science/docs/sci_botulism.pdf

 英国では2003年以降ウシや羊のボツリヌス症事例が急増している。
これは土壌中に存在する細菌Clostridium botulinumが、腐った野
菜や動物の死体の中で増殖して産生する毒素が原因である。英国の
家畜ではほぼ全ての事例がブロイラーの鶏糞(特に屠体が含まれる
場合)と接触した場合で、鶏糞は通常農場に肥料として散布されて
いる。ボツリヌス症になった動物はほとんどの場合24-48時間で死
亡する。ヒトにもボツリヌス症はあるが、反芻動物でのボツリヌス
症は毒素のC及びD型によるものでこれらはヒトに影響しないためボ
ツリヌス症に罹った動物によるヒトへのリスクは極めて低いと考え
られる。

(罹患動物の写真いろいろ。有機農業の安全管理は難しいのにね)

 元資料の写真にあるような、鶏の姿がわかるような形で入ってい
る鶏糞肥料というものが日本で見られるのかどうかわからないので
すが、放置バッテリーによる鉛中毒事故の多さとか、イングリッシ
ュガーデンとは雑草伸び放題の裏山のことか?とか思われるような
事例とかを考えると日本とは違うかもしれません。

http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20110121#p3
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 またイギリスか!というところですが、「鶏の屠体が含まれる鶏
糞」というのは何だかよくわからないですね。

 とにかく、牛や羊がボツリヌス菌で死ぬということが多発してい
るようです。家畜の新しい病気はいつもイギリスで発生しています
ので、今後どうなるか、心配なところです。

 記事の中で「毒素の型」に触れていますが、以下のような毒素が
あるそうです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 ボツリヌス菌はグラム陽性の大桿菌で、芽胞を形成し、酸素があ
ると生育をまったくしない偏性嫌気性菌です。芽胞は土壌中、水中、
動物の腸管内など多くの環境中に存在します。ボツリヌス菌はボツ
リヌス毒素と呼ばれる神経毒素を産生し、これによって神経症状を
主症状とするボツリヌス症を起こします。毒素は単純タンパクで、
抗原性の違いによりA〜G型が存在し、菌の分類もこの毒素の型に準
じます。すなわち、A型毒素を産生する菌はA型ボツリヌス菌と呼び
ます。

 ヒトに対する中毒はA,B,E,F型毒素で起こっています。また、C,
D型毒素はニワトリ,野鳥などの鳥類や牛や野生動物の中毒に関与
しています。

http://micro.fhw.oka-pu.ac.jp/microbiology/anaerobe/botulism.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ヨーロッパのボツリヌス菌中毒はA型が多く、日本では海産物か
らE型の食中毒が起こっています。C、D型はヒトに食中毒を起こ
すタイプとは違うようですが、無害というわけでもないでしょうね。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@
kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.たくわん漬けを作ろうと、大根を干したのですが一週間ほどし
て、表面にピンク色で、粉状の、カビ?のようなモノが繁殖?して
いるのを発見しました。大なり小なり30本全ての大根に発生して
います。これって、もう、廃棄するしかないのでしょうか? 過去
三年間たくわん漬けを作ってきましたが、始めての経験です。

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A.大根の変色については、以下のような記事がありました。

大根の内部が変色している原因として、次のことが考えられます。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

青灰色(アザのような斑点)

冬場に低温(5℃前後)で流通している大根が、家庭で常温保存さ
れた場合(12〜20℃)

青色

大根の老化に伴う「青あざ病」と呼ばれる生理現象

ピンク色

品種の遺伝的な影響を受けて赤みがでる
*赤色の二十日大根(ラディッシュ)等を掛け合わせた品種の場合

薄青色(筋状)

大根の組織に含まれるアントシアン色素が発色した場合(品種特性)

http://bell.coop-kobe.net/qa/2008/05/_08_6.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 しかし、ご質問の場合、見た目にカビのようだということですの
で、たぶんこれは当てはまらないでしょうね。

 カビだとすると、落とせば食べられるという意見の人もいますが、
私はやはり食べない方がよいと思います。

 カビの生えたものは食べないという原則は守った方がよいと、改
めて申し上げます。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「ドイツのダイオキシン騒動」
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 ドイツでダイオキシンを含む飼料が出回り、大騒ぎになっている
そうです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

ドイツ:家畜飼料にダイオキシン 卵や豚肉、大量回収騒ぎ

 ドイツで、高濃度のダイオキシンが検出される家畜飼料が見つか
り、卵や豚肉などが大量に回収される騒ぎになっている。廃油など
を利用した合成脂質が飼料に混じっていた疑いがあり、販売先とな
った全国4700軒の農家が暫定的な生産中止に追い込まれた。

 問題となっているのは独北部の業者「ハーレス・ウント・イェン
チュ」が販売した家畜飼料で、最高で欧州連合(EU)の基準を7
8倍も上回るダイオキシンが検出された。同社は、バイオディーゼ
ル業者から取り寄せた合成脂質を混入した疑いで当局の捜査対象に
なっている。

 市場に出回った飼料は約15万トンに上り、4州の25業者を経
て、独北部を中心とする養鶏・養豚農家に販売された。

 独メディアは、昨年春以降に市販された卵、鶏肉、豚肉に基準を
超えるダイオキシンが含まれていたとも指摘。卵の出荷停止は、国
内にとどまらず英国やオランダ向け輸出にも及んでおり、大型小売
店では卵の売上高が半減したとの報道もある。

http://mainichi.jp/select/world/news/20110108k0000e030008000c.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ざっと読んで、「基準値の78倍」の卵や豚肉が出回ったのかと
思ったら、どうもそうではありません。飼料から基準値の78倍と
いう意味ですね。さすが毎日新聞の記事は怪しい書き方をするもの
です。(他のニュースも似たようなものですが)

 当然、卵や豚肉からはもっと少ない値になるのでしょう。

 と思っていたら、「食品安全情報blog」に詳細なデータが出てい
ました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 これまでの検査で見つかった最大汚染濃度は、卵で12 pg WHO-P
CDD/F- TEQ/g脂肪(EU最大許容量3.0 pg/g脂肪)、鶏肉(産卵鶏の肉)
で4.99 pg WHO-PCDD/F- TEQ/g脂肪(EU最大許容量2.0 pg/g脂肪)。

 豚肉については17検体中2検体でわずかに基準値超過(基準値が1
pg/g脂肪のところ1.07 pg/g脂肪と 1.51pg/g 脂肪)だった。

 汚染の可能性のある飼料が与えられたオランダの卵(加工されて
英国に輸出)の検査結果は0.23 pg/g脂肪でEU規制値以内だった。

 制限下にある農場の数は1月13日時点で408に減った。

 トリガーとなったのは飼料会社による自己検査でこのときの濃度
が1.56 ng/kg PCDD/F-WHO TEQ

 汚染源となった飼料用の脂肪(工業用脂肪汚染のある)では濃度
が高いときで150 ng/kg TE-WHO

http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20110114#p6
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 EUの規制値は不必要に厳しいことが知られています。したがっ
て基準値を少し越えた値である今回の事件では、被害が出る心配は
どうもなさそうです。

 それにしても、工業的に生産された脂肪酸を飼料に混ぜていると
いうのは驚きです。「バイオ燃料」などがもてはやされた影には、
こういう副産物の利用もあったというわけです。

 ドイツでは、自国のこうした状況を受け入れにくい人も多いと見
え、こんな記事も出ています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

ドイツのダイオキシン汚染卵は中国のせい?いわれなき報道に中国
系住民が怒り―中国紙

 2011年1月9日、家畜飼料にダイオキシンが混入していた問題で揺
れに揺れているドイツで、現地メディアが「その根源は中国」とす
るような専門家の談話を掲載し、中国系住民の間から怒りの声が挙
がっている。法制晩報の報道。

 ドイツ飼料原料販売企業ハーレス・ウント・イェンチュが販売し
た原料にダイオキシンが混入していたことから問題は広がった。少
なくとも2010年3月から 25社に、合計15万トンが流通したとされ、
このほどドイツ当局が問題企業の製品にサンプル検査を行ったとこ
ろ、10点中9点から高濃度のダイオキシンが検出され、中にはEU基
準の78倍もの含有量が確認されたものも。この原料から製造された
飼料を与えられた家畜から被害は広まり、汚染された鶏卵や豚肉が
大量回収される騒動へ発展した。ドイツ北西部ニーダーザクセン州
で鶏卵10万個が廃棄されたほか、全国では約4700カ所の農場が閉鎖
措置をとることになった。

 汚染製品は英国やオランダなどの国外にも流出。韓国とスロバキ
アは動物由来のドイツ製品を輸入停止に、英国とオランダでは詳細
を調査中、ロシアでは検疫強化と、その余波は世界へ拡大している。

 現在ドイツ当局が調査段階にある中、ドイツ商業経済紙ハンデル
スブラットは6日付で、専門家の見解として、その根源が中国にあ
ると示唆するような意味付けの報道を行った。問題の企業は廃油を
利用した合成脂質を生産に使用しており、それが中国やインドネシ
アから輸入されたものとしている。また、ある匿名の専門家の発言
として、問題企業の生産プロセスには高温加熱が含まれていないこ
とから、ダイオキシンはこの段階で発生したものではなく、原料そ
のものにすでに混入していたと指摘。つまり、中国やインドネシア
から仕入れた原料に問題があったという位置づけをしている。

 これに対し、中国系住民からは怒りの声が挙がっている。いわく、
ドイツで何か問題が起こるたびに中国人に罪を着せるとのこと。こ
れまでにも牛乳や暖房費が値上げした際、その遠因には中国の存在
があるとして問題になったことがあるという。(翻訳・編集/愛玉)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110110-00000019-rcdc-cn
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ヨーロッパ人が何かと中国人を差別的に扱っていることがよくわ
かります。事実関係は未確認ですが、これはやはり濡れ衣を着せら
れたというところでしょう。

 さて、日本ではどうしているかというと、厚生労働省医薬食品局
食品安全部というところから、以下のような発表が出ています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 昨年12月下旬、ドイツ ニーダーザクセン州の飼料会社が製造
した飼料からダイオキシンが検出された。汚染原因は、飼料用油脂
製造会社が2010年11月11日から12月16日の間に供給を受けた工業用
混合脂肪酸とされている。

 当該飼料用油脂製造会社が出荷した油脂を使用した飼料の給与が
疑われる鶏の卵の回収、豚及び鶏の殺処分等の措置が採られている。

 上記鶏卵がオランダに輸出され、加工食品に使用されており、当
該鶏卵加工品がオランダから英国へ輸出された。

 また、デンマークにおいて、ドイツより輸出された汚染飼料を給
餌された繁殖鶏が生産した鶏卵が食品製造原料用として使用されて
いた。ドイツにおいて汚染飼料を給餌された豚に由来する豚肉が、
ポーランド及びチェコに輸出されていた。

 なお、ドイツ政府及びオランダ政府の調査の結果、現在までに、
汚染食品の対日輸出は確認されていない。

http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/dioxin/dl/110119.pdf
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 事実関係を調べたが、該当する食品が日本に輸入されてきた形跡
はない、という報告です。

 オランダでドイツ産の汚染卵を使った食品が作られ、イギリスに
輸出されていますが、それも問題ないという結論が出ています。卵
で規制値を少し上回っていますので、それを使った食品の濃度は問
題ないレベルまで下がっているということです。

 結局、ドイツでは大騒ぎしているそうですが、安全面から考える
と、それほど大きな問題ではなかったようです。

 ただ、こうした問題が起こってしまう、ドイツの畜産をとりまく
環境はどうもよろしくありません。ドイツ人が衝撃を受けるのも無
理はないと思います。

 今までほとんど実害の出たことのないダイオキシンだったから、
この程度で済んでいますが、BSEのような事件がまた起こる可能
性は否定できないな、というのが今回の感想です。

 冒頭に紹介したボツリヌス症のようなこともあります。ヨーロッ
パの動向には(悪い意味で)注意が必要ですね。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 毎日寒いですね。大連から帰って来たときは大連よりは暖かいな
どと言っていましたが、慣れるとやはり寒いです。

 食品の方ではあまり大きなニュースもない状態が続いていて、ネ
タに困っているというのが正直なところです。結構なことではあり
ますが。

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