安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>584号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------584号--2011.01.16------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「Q&A」「食品安全近代化法」

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ブログ毎日?更新中

http://www.kenji.ne.jp/blog/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 前々回の記事について、こんなメールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 毎号楽しみにしています。

 今回伺いたいのは

581号--2010.12.26
「てんさい糖」

(2)体を温める、これも根拠がないと言いたいところですが、
それ以前に体を温めるとか冷やすとかいうことが馬鹿げた迷信です。

 この一文です。迷信なのですか?これは「てんさい糖」だけです
か。食品によって、体を温める・冷やすということはないというこ
とでしょうか。体を温める・冷やす、それ自体が虚言なのですか?

 「冷え症」の人はもちろん、私もすごく関心をもっています。

 「体を冷やす・温める食品」でぐぐれば、たくさんヒットします。
ベッキーさんも、アイスクリームなど冷たいものは「口中で常温に
してから飲み込む」と言っていました。
(さすがにこれは3秒ルールの類かと思いましたが…)

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 体を「温める」「冷やす」と言うとき、文字通りの意味で言うこ
とはもちろんあります。熱いものを食べて汗をかくとか、アイスク
リームを食べすぎてお腹が冷えるとかいうのは、そういう場合です。

 これは実際にそうです。また唐辛子などの辛いものを食べて汗を
かくのも、体を温めていると言えると思います。これらはいずれも
物理的なことです。

 私が迷信だと言ったのは、これとは違って、食べ物を「温める」
「冷やす」で分類する考え方のことです。

 この考えの淵源は中国古代の陰陽思想にあります。陰陽は中国古
代哲学の中心的な考え方で、易などに代表される様々な思想のもと
になりました。

 私は古代思想としての陰陽が間違っているというつもりはなくて、
それを現代の食品にあてはめて疑わない人たちが迷信に陥っている
と言っています。

 ネットで検索すると、食べ物を分類した表がよく出てきます。し
かしそれは科学として、実験で確かめられたものではありません。

 要するにイメージの問題なのです。しかも古代陰陽思想を食べ物
の世界に引っぱりだした人が独断で(勝手に)言ったことが根拠に
なっているというものです。

 冷え性に、血行をよくするような食べ物を考えるのは迷信ではあ
りません。しかしこの食べ物は体を温めるから、と勧めるのは単な
る迷信です。

 この迷信については、ネット上でいくらでも出てきます。残念な
がらそれが迷信だと指摘しているところは少なくて、信じている人
がほとんどです。

 もう一つ問題なのが、現在政府が勧めている「食育」というもの
も、実はこの迷信と起源を同じくしていることです。

 現在、日本ではこのように「権力を持った人」「反動的思想の人」
「左翼的思想の人」がごちゃ混ぜになってこんな迷信を振り回して
いる、困った状況です。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@
kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.昼に、市販の生ラーメンやうどんなど麺類を食べることが多く、
一応、同じものは続かないようにしているのですが、1年トータル
すると、それぞれ一定の量を食べることになります。

 それで、生ラーメンのスープには、「動物油脂」を使っているも
のが少なくないのですが、「動物油脂」のBSE安全性について、
ご意見や有用な情報はございますか。

 小さい子どもにも食べさせていたので、ふと気づきちょっと心配
しています。

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A.今どきBSE安全性を気にする人もいるのだな、というのがご
質問への率直な感想です。

 以前は確かに心配されたこともありましたし、イギリスでは現実
に被害が出た大問題でした。

 しかし、現在の日本でBSEが安全を脅かす可能性はありません。
理由は以下のとおりです。

(1)BSEが発生していない。

 日本、オーストラリア、アメリカともに現在BSEが発生してい
る事実はありません。

(2)危険部位は流通していない。

 牛の脳や脊髄などは流通していません。したがって、危険部位を
食べることは不可能です。

(3)BSEの感染率は低い。

 イギリスでは百万頭以上の牛を、脳なども含めて食べたわけです
が、結局感染した人は200人に届きませんでした。2010年にも新
たに4人の感染が確認され、まだ完全になくなったわけではありま
せんが、今後終息していくことが予想されます。
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/document/vcjd_table.htm

 BSEには「種の壁」があって、簡単には人間に感染しません。
脳などの危険部位を食べなければ、たとえBSEに感染した牛の肉
を食べても、人間に感染する可能性はほとんどありません。


 これらの条件を合わせると、全く問題にならないほど低い危険性
しかありません。ということで、ご安心してくださって結構です。
念のため、日本獣医師学会が行った、「牛海綿状脳症公開講演会」
から、「BSEと食の安全性」という記事を紹介しておきます。
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsvs/05_byouki/bse/bse-ozawa.html

 ご質問の「動物油脂」ですが、脂っこさを出すのが目的でしょう
から、普通に考えて豚の脂肪でしょうね。牛の脂肪は高価ですし、
鶏の脂肪だと液体ですのであまり意味がありません。

 動物油脂を使わないラーメンのスープとなると、美味しくないで
しょうから、使っていて当たり前と思います。。

 豚だとするとそもそもBSEとは無関係です。たとえ牛の脂肪だ
としても、上記の理由(脂肪は危険部位ではありません。)により、
問題はありません。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「食品安全近代化法」
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 アメリカの話ですが、以前紹介した「食品安全近代化法」がよう
やく成立したようです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

米国において新たな食品安全法が成立

最終更新日:2011年1月6日

 オバマ大統領は1月4日、食品安全近代化法案に署名した。同法案
は、FDA(食品医薬品局)の主な食品安全業務を定めている「連邦
食品・医薬品・化粧品法」を約70年ぶりに大きく修正する内容とな
っている。

食品安全近代化法案は下院通過後16カ月をかけて上院を通過

 2009年1月のピーナッツ製品による食中毒の発生などに伴い、米
国内で食品安全の関心が急速に高まることになり、就任して間もな
いオバマ大統領が取り組むべき重要事項の一つとして食品安全改革
が挙げられていた。このような情勢下において、111回議会(会期
2009年、2010年)では食品安全強化に関する複数の法案が提出され
たが、その中で、下院においては、FDAの機能強化を主な内容とす
る「食品安全強化法案」を中心に議論が行われ、同法案が2009年7
月末に下院を通過するに至った。その後、上院においても、下院通
過法案の上院版とみなされる「食品安全近代化法案」が検討された
が、医療保険改革などほかに優先すべき法案があったことや、同法
案における小規模業者の取り扱いなどで議論が難航したため、上院
通過は下院通過から16カ月後となる2010年11月末となった。

 111回議会の会期中に法案を成立させたい民主党は、会期の残り
が少ない状況を踏まえて、上院通過法案を無修正で下院通過させる
予定であったが、下院発議の法案にしか認められない歳入増加に係
る条項が含まれていたため、急遽、下院発議の「リサイクルに関す
る消費者支援法」の中身を同法案に差し替え、「食品安全近代化法
案」として、上院、下院をそれぞれ12月19、21日に通過させ、12月
29日に大統領に送ることとなった。

食品安全近代化法はFDAの機能強化が主な内容、畜産物は対象外

 食品安全近代化法は、議会予算事務局の試算によれば5年間で14
億ドルの予算が必要とされている。また、FDAが所管する食品が対
象とされ、米国農務省(USDA)が所管する食肉、食肉加工品および
加工卵製品などは対象外となっている。

http://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_000289.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 以下はその内容です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

第1編(食品の安全に関する問題を防止するための能力の向上)

1.連邦食品医薬品法を改正し、保健社会福祉省(HHS。FDAを管轄
する。)長官による食品に関する記録の検査権限の付与など、食品
安全に関する同省の取組みを拡大すること。

2.本法による特定の要件から、消費者へ食品を直接販売する特定
の施設(例えば、道路脇の直売施設、ファーマーズマーケット、地
域に支えられる農業の取組み〔community supported agriculture〕)
を適用除外とすること。

3.食品を扱う施設を管理する所有者、運営者、又は代理人に対し、
これら施設において製造、加工、包装又は取扱いを行う食品に対し
て影響を与えうる危険を特定し、また、このような危険を著しく最
小化、あるいは防止するための予防的措置を実施することを要求す
ること。また、特定の施設に対して適用を除外する規定を設けるこ
と。

4.長官に対し、以下の事項を要求する。(1) 食品由来の汚染リス
クを減少させるための指針の作成、(2) 既知の安全性リスクに基づ
き、生鮮野菜・果物の安全な生産と収穫のための最小限の基準の設
定をすること。また、長官に対し、これらの基準に対する適用除外
や異なる取扱いを認める権限を与えること。

5.長官に対し、次の事項に関する登録料を定め、徴収することを
指示すること。(1) 食品施設の再検査、(2) 食品の義務的回収、(3)
自主的適格輸入業者プログラム、(4) 輸入業者の再検査

6.長官に対し、学校や初期幼児段階の教育プログラム向けの任意
の食品アレルギー・過敏症対処ガイドラインを定めることを指示す
ること。

第2編(食品の安全性に関する問題の認知・対処能力の向上)

1.長官に対し、以下の対応を要求すること。(1) 食品施設と輸入
食品について、既知の安全リスクに応じて検査するための人的・物
的資源を割当てること、(2) 米国内の食品、又は米国に輸入される
ための食品について、製品追跡(トレーサビリティー)システムを
構築すること。

2.疾病予防センターを通じて、長官に対し、食品由来の疾病に関
するデータの収集、分析、報告、有用性についての調査システムを
高度化させることを要求すること。

3.長官に食品の回収を命ずる権限を付与すること。

第3編(輸入食品の安全性の向上)

1.米国の輸入業者に対して、輸入食品が危険分析と製品安全性に
関する要件に従って製造されたものであり、かつ、混入されたり不
当表示されていないことを確認するため、リスクに応じた外国供給
業者の確認行為を実施することを要求すること。

2.長官に対し、任意に参加することに合意した米国の輸入業者向
けの食品の審査と輸入を迅速にするためのプログラムを創設するこ
とを求めること。

3.長官に対して、以下の権限を付与すること。(1) 輸入され、又
は輸入に供される食品が本法の要件に適合していることの証明を要
求すること、(2) 外国政府と、登録外国食品施設の検査を容易にす
るための協定や合意を結ぶこと。また、食品施設の所有者、運営者、
代理人又は外国政府により検査を行うための許可が拒否されたとき
において、食品の米国への輸入許可を拒否すること。

4.外国の施設が米国に食品を輸入するにあたって連邦食品医薬品
法の要件に合致していることを証明する第三者監査官や監査職員を
認証するための機関を承認する仕組みを創設すること。

第4編(雑則)

1.2011から2015年度における各機関の財政支出の権限を与えるこ
と。

2.食品の製造、加工、包装、輸送、卸売、受け取り、保管又は輸
入に関する組織の従業員が本法に関して公益通報した際の保護を定
めること。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 これはジェトロが訳したものですが、まだネット上では見つけら
れないようです。私はある人からPDFファイルでいただきました。

 アメリカという国は不思議なところで、相変わらず食中毒事件が
多発しています。自由の国アメリカでは、安全面での規制などもな
かなか政府の思うようにはいかないのです。今回ようやく他国なみ
の安全に関する法律ができたというところでしょう。

 アメリカの消費者団体もこの法律を歓迎しているということです
が、なぜかネット上での日本語の記事は批判一色になっています。

 元ネタはどうも「ナチュラル・ニュース・ネットワークの健康レ
ンジャー(監視員?)、マイク・アダムス氏」というところのよう
です。

 「生きた食品」「死んだ食品」などという言葉を使っていて、ど
うも「生乳」が販売を禁止されているのを怒っているようなところ
です。

 そういえば、昔、乳児壊血病というものがあった時代に、牛乳を
殺菌しているのが原因だという説が出て、生の牛乳を赤ちゃんに与
えた人があり、結果死んだ赤ちゃんが多数出たという事件がありま
した。

 「生乳」を「生きた食品」として推薦すれば、当然似たようなこ
とが起こります。「安全」を理由に禁止されて当然なのですが、そ
れが彼らには弾圧と受け取られるわけです。

 こういうトンデモさんを真に受ける日本人が多いのも、情けない
ものです。

 それはさておき、この法律では、輸入食品の安全についても、輸
出側に証明を求めるようです。

 中国にも「食品安全法」というのがあって、こちらは独裁国らし
く、食品について何もかも政府が規制しようという意欲満々の内容
になっています。そしてこちらにも、食品の輸入時には「衛生証明
書」を提出させることになっています。

 日本から食品を外国に輸出しようとしたとき、証明書を発行する
機関や根拠となる法律がない、ということが問題になります。

 これは同時に、現在の日本の法律では「食品の安全」を管理しき
れていないことを意味しています。

 よく食品衛生法違反がニュースになっていますが、消費者からの
通報または関係者からの告発がなければ、摘発されずに終わったも
のがほとんどです。

 日本は比較してみれば均質性が高く、安全面でも特に問題となる
ようなことはありませんので、国内限定で考えれば、これでよいの
です。しかし、国外に出ようとすれば、現状では通用しないという
ことになります。

 このあたりの話を、先日記者の人としていましたら、10日発売の
「日経ビジネス」という雑誌に記事が載ったそうです。

 「食品輸出の期待と現実」という題の短い記事ですが、その中に
私の名前も出てきます。

 コピーをいただいて読んでみましたが、私のコメントのあたりは
どうも微妙ですね。

 特に最後のところで、「日本の食品への高い評価は、イメージに
すぎない」と語ったことになっています。確かにこのメールマガジ
ンでもよく似たようなことを言っているのですが、まとめ方が微妙
です。

 「高い評価はただのイメージにすぎない。自国の経済が発展して
くれば、日本の食品も実は大したことがない、ということになるか
もしれない。」

 これが記事による私の発言です。私としてはこうまとめたかった
です。

 「日本の食品に対しての高い評価は日本人の努力の結果であるが、
イメージが一人歩きしている面があることは否定できない。衛生面
では遅れた部分が温存されている現状を改善していかないと、やが
てその評価がくつがえる可能性を考えないといけない。」

 ポイントは、「遅れた部分」をどう改善していくかです。アメリ
カの法律も、やはりアメリカの遅れた部分を強制力を持って改善し
ていこうとするのが目的と思います。

 中国の法律は、現状無視の理想論という形で、現状と法律の大き
な距離はお役人の裁量にまかされるという、中国のいつものやり方
になっています。でも、その方向での努力はちゃんとやっています。

 しかし日本にはその理想論すらありません。証明書を求められて
も対応できないばかりではなく、国内食品産業の改善を進めていく
方向性もありません。

 何もなくてよいのか?日本版の「食品安全法」が必要ではないか?
というのが私の意見です。

 もちろん、法律ではなく改善も証明書も解決できればそれでよい
のですが。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 土曜日から日曜日にかけて、大雪だとか。皆様のところはいかが
でしょうか。和歌山でも雪の予想ですので、今日は一日外出せずに
家でいることにします。

 金曜日に大連から帰って来ました。あちらはマイナス10度にな
ったりしますが、雪は全くありませんでした。いずこも早く暖かく
なってほしいものです。

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--発行--渡辺--宏------- URL http://food.kenji.ne.jp/
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