安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>581号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------581号--2010.12.26------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「Q&A」「十大ニュース」

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ブログ毎日?更新中

http://www.kenji.ne.jp/blog/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 「TPP」について、こんなメールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 毎週拝見しております。

 TPPの事が話題になっていますね。ただTPPで関係するのは農作物
や食品だけではないのです。

 マスコミでは物の輸出入だけ取り上げられていて、サービスや人
の移動についてはあまり取り上げられずにTPPという言葉だけが記
事になっているような気がするもので、お節介とは知りつつもメー
ルを送らせていただきました。

●FTAとは?

 自由貿易協定(Free Trade Agreement)の略です。

 簡単に言えば、2国間以上で商品などの輸出入にかかわる関税や
規制を取り除くための国際協定です。話し合いによって、「米だけ
は対象外にしてください」というようにすべてが対象となるわけで
はありません。

●EPAとは?

 経済連携協定(Economic Partnership Agreement)の略です。

 上記の自由貿易協定(FTA)を柱として、物品に関わる通商上の
障壁だけでなく、サービス・投資・電子商取引等のさまざまな経済
領域での連携強化・協力の促進等を計ろうというものです。

 これについてもFTA同様にお互いの話し合いにより、特定の分野
を対象外にすることは可能です。

●TPPとは?

 環太平洋戦略的経済連携協定(Trans-Pacific Partnership)の
略で、2006年5月にシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーラ
ンドの4カ国が互いに足りない部分を経済連携により補おうという
考えのもとで発足しました。

 2010年10月現在、マレーシア、ベトナム、オーストラリア、ペル
―、米国の9か国が参加表明をしています。

 具体的な内容は関税の撤廃だけでなく、郵政、金融、保険、医療
薬、公共事業の入札、人の移動等あらゆる分野での完全なる自由競
争を行おうというものです。

 品目による限定は、行わないというのがTPPの本旨です。


 それと中国もいいかもしれませんが台湾もいいですよ。ぜひ台湾
でも渡辺様の中国語を試してみてくださいませ。

 台湾で政権が変わってからFTAの議論がさんざんされていたので、
今回日本で盛んに取り上げられているTPPが気になります。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 参加国を見ると、日本が参加した時点で実質的に日本とアメリカ
の2国間協定と変わらないですね。オーストラリアがやや経済規模
が大きいですが、その他は比較にならないほど小さな生産力と購買
力しか持っていません。

 そして日本とシンガポール以外は農産物を輸出している国ですの
で、結論もほぼ予想できます。はっきり言って日本にメリットがあ
るとは思えないです。

 台湾は一度しか行ったことがないのですが、よいところです。ま
た行きたいですね。

 次は新聞記事に対する抗議活動を紹介していただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 2010年9月29日付け読売新聞朝刊に「コンビニ弁当チルドも登場」
との見出しで、次のような記述のある記事が掲載されました。

 FSINでは、この記事の科学的根拠や読売新聞の考え方を問うとと
もに、記事に間違いがあるならば訂正を要望する質問状を読売新聞
編集局長宛に提出しています。

「添加物減で健康志向」
「食品添加物は最大で半分以上減らせるといい、エコで健康志向の
弁当と言えそうだ。」

https://sites.google.com/site/fsinetwork/katudou/yomiuri_bento
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 これの読売新聞からの回答が傑作です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

2010年11月29日
食品安全情報ネットワーク(FSIN)御中

読売新聞東京本社
編集委員 重田 育哉

 10月8日付けでいただきました「9月29日朝刊『コンビニ弁当チル
ドも登場』への公開質問状」について、回答いたします。

 記事は、コンビニエンスストアで「健康志向の消費者に訴求した
い弁当」として販売されるようになった「チルド弁当」の人気が高
まっているという社会現象について報じたものであり、添加物の増
減と人体への影響の科学的関係を論じたものではありません。

 その他のご質問・ご意見に対しては、回答の必要はないと考えま
す。これをもって最終回答とさせていただきます。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 本物のバカなのか、それともバカのふりをして開き直っているの
か?いつも感じる疑問ですね。

 最後に、前回のQ&Aで「潰瘍性大腸炎」という言葉が出てきま
したが、深く考えずに回答してしまいました。潰瘍性大腸炎という
のはこんな病気だそうです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に潰瘍やびらん(ただれ)ができる
病気です。潰瘍性大腸炎は、厚生省から特定疾患(難病)に指定さ
れている病気で、治りにくいうえ、いったんよくなっても、再発し
やすいという特徴があります。発病後は、10年、20年、30年と長い
期間にわたって、再発を繰り返すことがあります。
 
 潰瘍性大腸炎の原因として、これまでは細菌やウイルスの感染、
ある種の酵素の不足、牛乳などのアレルギー、心理的な原因、体質
などが考えられてきました。しかし、最近では、免疫異常が関係し
ていることがわかってきました。

http://www.geocities.co.jp/HeartLand/2989/uc1.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 これを「食品添加物のせい」と言っているのはかなり犯罪的な行
為です。この病気で苦しんでいる人のことなど考えていないことは
明白です。 

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@
kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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Q.今回はてんさい糖につきご教示頂きたくお願い致します。黒砂
糖については白砂糖に比べ成分面ではどちらもそれほどの違いはな
い、ということは分かりました。

 でもてんさい糖は砂糖大根が原料であるため性質が違うという内
容を下記のホームページで知りました。
http://homepage2.nifty.com/chienoseikatu/n3.htm

 私は(1)血糖値の上下が緩慢、(2)体を温める、(3)オリ
ゴ糖が多く含まれる という点に魅力を感じ、白砂糖はほとんど使
わずてんさい糖を使用しています。

 実際のところどうなのでしょうか。

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A.甜菜から作った砂糖とサトウキビから作った砂糖に本質的な違
いはありません。ほぼ純粋な砂糖である「グラニュー糖」にまでな
ってしまえば、原料による差はないのです。

 欧米では通常のグラニュー糖も甜菜から作ることが多く、補助金
つきで安く作れる甜菜糖が増えて、熱帯で作られるサトウキビ農場
が大打撃を受けた事件がありました。

 植民地支配の中から、サトウキビプランテーションを作り、植民
地が独立すると今度はそのプランテーションを経済的に追い詰める
という、二重に犯罪的なことをしたわけです。

 以上は砂糖一般についての話なのですが、日本では少し事情が違
います。

 日本では「甜菜糖」というと、普通の砂糖(分蜜糖)ではなくて、
精製度の低い「含蜜糖」をイメージします。しかし、甜菜から普通
の砂糖が作れないわけではなく、わざと含蜜糖として作っているの
です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 てん菜事業本部は、中斜里・清水の2つの製糖工場と、女満別種
子工場を有し、北海道の基幹作物である“てん菜”の種子生産から
砂糖の製造・販売まで一貫した製糖事業を通じて、生産者の経営安
定と地域農業発展に努めています。また、食に対する「安心や安全」
のニーズが高まる中、消費者の信頼を失うことのないよう、製品品
質向上に加えISO9001認証を取得するなど、顧客満足の視点に立っ
た事業運営に努めています。

 中斜里製糖工場は、世界自然遺産に登録された道東知床の、観光
拠点として知られる斜里町の中斜里地区に位置し、斜網地区(斜里
・網走地区)のてん菜を原料に昭和33年より操業を行っています。

 清水製糖工場は、てん菜の主産地でもある十勝平野に位置し、十
勝地区のてん菜を原料に昭和37年より操業を行っております。清水
製糖工場では、世界で唯一のてん菜含蜜糖“てんさい糖”をはじめ、
他品目の上質なビートシュガーを製造しています。

http://www.hokuren.or.jp/guide/s_tensai.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 上記はホクレンの記事です。ここにはいわゆる「てんさい糖」と
共に、甜菜から作ったグラニュー糖なども掲載されています。

 つまり、「てんさい糖」は「甜菜から作った砂糖(ビートシュガ
ー)」の、特殊な一商品なのです。何しろ「世界で唯一」ですから、
非常に特殊な商品であると理解できます。

 この戦略は結構ヒットして、ご質問のような誤解を受けながら、
商品としては成功しています。昨年は不作だったため、品切れを起
したりしていましたが、それも人気ゆえのことでしょう。

 ということで、ご質問は「甜菜糖」一般ではなく、この「てんさ
い糖」に関してと解釈しておきます。ご質問の中での「てんさい糖」
の利点について、私は以下のように考えます。

(1)血糖値の上下が緩慢、

 これは根拠がありません。何から作ろうと砂糖の働きは同じです。

(2)体を温める、

 これも根拠がない、と言いたいところですが、それ以前に体を温
めるとか冷やすとかいうことが馬鹿げた迷信です。

(3)オリゴ糖が多く含まれる

 これは「含蜜糖」ですので当っていると言えます。しかし不純物
に着目して有り難がるというのはあまり感心しないので、特に勧め
るようなことではないと思います。

 「てんさい糖」は商品としては成功していますし、悪いものでは
ないと思いますが、どうも根本的に誤解されているというのが私の
意見です。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「十大ニュース」
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 こんなメールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 現在食に関するプロ向けの情報サイトFood Watch Japanを 1月12
日より本格稼働させるべく準備を進めております。
http://www.foodwatch.jp/

 今のところいくつかの原稿を試験的に公開しながらサイトの調整
を行っております。

 この中で、12月31日に「2010年食の10大ニュース」という記事を
公開しようと考えております。

 そこで渡辺様にお願いなのですが、渡辺様が考える「2010年食の
10大ニュース」をセレクトし、お送りいただけませんでしょうか。
お送りいただけましたら、この記事の中でご紹介させていただきた
く存じます。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 そういえばこういうのはやったことがないですね。せっかくなの
でここで考えてみます。メールマガジンで取り上げたことを中心に、
ピックアップしてみました。

(1)こんにゃくゼリーに対するリスク評価

 1月に食品安全委員会がリスク評価を出しています。玉虫色とい
うか、はっきりしない評価だったのですが、消費者庁はこれが気に
入らなかったらしく、12月に至ってこんなことを言い出していま
す。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 ミニカップ入りこんにゃくゼリーなどの食品による窒息事故対策
を検討している消費者庁は22日、事故発生リスクを下げるため、
ゼリーの大きさを直径1センチ以内にするなど安全性の目安となる
指標を公表した。現在流通している商品の大きさや硬さはほとんど
指標に適合しておらず、同庁は事業者に自主的な改善を求める。

 消費者庁は7月、「従来と同様な警告表示や注意喚起にとどまら
ず、形状や硬さなどの改善が望ましい」として、9月から医師や研
究者らによる研究会を設置。人体模型を使った実験などで改善に向
けた指標作りを進めていた。

 研究会の報告書では、大きさ直径1センチ以上の商品は、窒息の
恐れが高まると指摘。弾力性を弱めたりかみちぎりやすくしたり、
そのまま一口ではのみ込めないように大きくするなどの対応を求め
ている。

(略)

 また、福嶋浩彦長官は「マンナンライフ社を含め、ほとんどの商
品は指標に適合しておらず、改善を働きかけたい」と話した。研究
会座長の向殿政男明治大教授は「今後、指標に合わない商品で事故
が起きれば、企業は相当糾弾されることになる」と語った。
【山田泰蔵】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101222-00000030-mai-soci
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 いつもの山田泰藏氏の記事です。他社の記事だとこんなコメント
もついています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 食品の形状や弾力性を規制する法律はない。こんにゃくゼリーの
規制をめぐっては意見が分かれており、指標を法律で定めることや
販売禁止などの措置は難航が予想される。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101222-00000011-jij-soci
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 消費者庁が食品安全委員会を無視してどうするのか?とあきれる
話ではあります。

(2)「ゼロ」ブーム

 デフレが背景にあるのでしょうが、今年になって食品メーカーの
行儀の悪さが目立っています。「糖質ゼロ」「カロリーゼロ」など、
差別化のためなら何でもする、というのがブームになりました。

(3)ホメオパシー批判

 本家?のイギリスでホメオパシーを完全に否定する声明が発表さ
れ、話題になりました。日本では馬鹿な大臣が研究するとか言って
いますが、医学関係者の間では真剣に有害な代替医療を追放しよう
とする動きが出てきています。

(4)トランス脂肪酸の表示問題

 消費者庁がトランス脂肪酸の表示を義務化しようと動いています。
そもそも栄養表示が義務化されていないのに、トランス脂肪酸だけ
を表示してどうするのかと思いますが、「表示に向けて検討する」
とか言っています。

(5)口蹄疫問題

 これは社会的にも大問題になりました。10年前は水際立った防疫
が話題になりましたが、今回は大苦戦しました。トップに無能な人
がいるとどうしようもないという印象を持ったものです。

 現在、韓国では大流行しています。日本にも再び脅威が増大して
います。いつまでも根絶できない隣国にも困ったものです。

(6)低温被害

 今年の春は非常に気温が低く、各地で低温被害が発生しました。
また夏は猛暑になって、今度は高温被害が出たりして、稲の作柄は
悪かったようです。合わせて一つの項目にしておきます。

(7)食用塩の表示に関する公正競争規約

 食塩の表示が大幅に変わりました。今までいろんな問題のあった
業界が率先して公正な表示に踏み切ったということで、歴史的な快
挙と思います。怪しげな宣伝を繰り返しているビール、飲料業界は
塩業界の爪のアカでも…。

(8)米トレーサビリティ法

 また一つお馬鹿な法律ができています。輸入米を主に使っている
味噌・米菓業界では、米の原産表示をどうするか、大問題になって
います。

 米菓業界は大手が新潟県に集中しているのですが、新潟県で製造
しているのだから原料も新潟の米だと誤解している人も多いのだと
か。国もお得意様の首を締めるような法律を作って、いったいどう
するつもりなのでしょうか。

(9)アメリカでサルモネラ問題

 アメリカの話ですが、大規模な卵のリコールなどが発生していま
す。卵に限らず、野菜などでも食中毒が発生しています。

 それに比べて日本の卵はサルモネラ問題をほぼ完全に克服したよ
うです。養鶏業界の努力の結果です。大いに誉めてあげたいですね。

 また、これに関連して、「鶏卵の表示に関する公正競争規約」も
できています。猛暑の影響や鳥インフルエンザ問題など、問題山積
ではありますが、また一つ進歩したというところでしょうか。

(10)中西準子先生が文化功労者に

 リスクマネージメントということが本格的に問われる時代にやっ
となってきたのだと思います。

 先生は来年3月で産総研を退任されるそうで、来年2月25日に
記念の講演会があります。私も講演を聞きに行く予定です。

 以上です。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 前回、登田美桜さんのコラムを紹介したら、ご本人から直々にメ
ールをいただきました。ありがとうございました。

 今年もこれで最終です。一年間ご愛読ありがとうございました。
来年もよろしくお願いします。

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--発行--渡辺--宏------- URL http://food.kenji.ne.jp/
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