安心!?食べ物情報>メールマガジンバックナンバー>577号


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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------577号--2010.11.28------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「いただいたメール」「Q&A」「ポジティブリスト制度」

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ブログ毎日?更新中

http://www.kenji.ne.jp/blog/
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---〔話題〕-------------------------------------------------

 先週の記事について、こんなメールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 こんにちは。今回のメルマガは笑ったり、怒ったりでした(笑)

 アルミとアルツハイマーの関係。

 私の友人にも鍋を全部ステンレスに買い換えた人がいますが、正
直内心では鼻で笑っておりました。というのも、日本人は調理形態
もあるのか、以前はアルミの鍋を多く使用していたと思うからです。

 私が子供の頃は鉄製のフライパンを除けば、アルミ鍋ばかりだっ
たような気もします。大体さらに前はアルミやアルミニウムの加工
品(?)アルマイトの弁当箱は非常にポピュラーだったはずですし。
以前のほうがアルツハイマーが多かったかというと、そういうこと
はないですよね。やっぱりねえ、と大笑いでした。

 ところがそのあとのこんにゃくゼリーのお話。この件に関しては
ほんとうにうんざりしています。かくいう私もこの食品のファンな
のですが・・・・(笑)

 企業が努力をして、かつ製品として欠陥がないのだったら、あと
の選択は個人の問題。これだけ言われ、なおかつ事故があったにも
かかわらず2歳以下の幼児にゼリーを与えた時点で親の責任を問う
てもいいと思います。自己責任ということを知らない人が多すぎで
す。

 日本は一体何をめざしているのでしょうか?訴訟大国アメリカ???
すみません、という言葉が近未来では使えなくなるかもしれません
ね。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 アルミの健康被害については、まだ議論のあるところですが、少
なくともアルツハイマーとの関連は完全に否定されています。

 鉛などでも同様の議論があるのですが、現在問題になっている健
康被害というのは、非常に微細なところが議論されているので、大
筋では大した問題ではないと考えています。

 さて、リコール情報にこんなものがありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

Vif 穂高「みそ、ジュース」(無許可で販売)

【該当商品】

・味噌 「母ちゃん味噌」
 ビニール袋入り1kg入りと500g入り
 プラスチック容器入り1kg入りと500g入り

・ジュース 「りんごジュース」 
 びん詰1リットル入り
 びん詰600ml入り

【理由】

無許可にて当該商品を製造販売

【対策】

回収

【連絡先】

企業組合Vif(ビフ)穂高 

http://recall-navi.com/modules/cclinks/index.php?CatID=1
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「無許可」って何よ?と思ってそのサイトにいくと、こんなこと
が書かれていました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 この度、安曇野市からの指定管理者として私ども組合が受託して
いる「Vif穂高」において、平成20年7月1日から平成22年10
月6日の間に製造し、当店で販売した下記の2製品は、製造許可更新
手続き未了のまま設備を使用したことが、当社の点検により発覚い
たしました。

http://www.vif-hotaka.jp/whatsnew/whatsnew.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 どうも製造許可の期限が切れていたようです。

 そういえば製造に許可がいるものといらないものがあったなと思
って調べてみました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

◆営業許可が必要な業種

 食品関係の営業を行う場合、次の営業については、食品衛生法に
基づく営業許可が必要です。

調理業

・飲食店営業・喫茶店営業

販売業

・乳類販売業・食肉販売業・魚介類販売業・氷雪販売業・魚介類せ
り売り営業

製造業

・菓子製造業・あん類製造業・アイスクリーム類製造業・乳製品製
造業・食肉製品製造業・魚肉ねり製品製造業・食品の冷凍又は冷蔵
業・清涼飲料水製造業・乳酸菌飲料製造業・氷雪製造業・食用油脂
製造業・マーガリン又はショートニング製造業・みそ製造業・醤油
製造業・ソース類製造業・酒類製造業・豆腐製造業・納豆製造業・
めん類製造業・そうざい製造業・かん詰又はびん詰食品製造業・添
加物製造業

処理業

・乳処理業・特別牛乳さく取処理業・集乳業・食肉処理業・食品の
放射線照射業

◆営業許可の要件

 営業許可を受けるには、健康福祉センターに営業許可申請をし、
営業施設が知事が定めた施設の基準に適合している場合に認められ
ます。

◆営業が許可される期間

 営業許可の許可年限は、施設の構造・設備の内12の項目につい
て、食品衛生上好ましい材質特性、構造特性を定め、適合数に応じ
て有効期間を決定します。(5年〜8年)

◆営業許可の継続

 営業許可の有効期限満了後も引き続き営業を継続する場合は、有
効期限満了前に継続の申請をします。

 継続申請を行わないと許可期限の満了後は無許可営業となり、新
規に営業許可を受けるまで営業は出来なくなります。

http://www.pref.chiba.lg.jp/hokenjo/katori/sienka/syokuhin/kyoka-sikenn.htm
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 この最後の項目に該当してしまったというわけです。他でもあり
そうな話のような気がしますね。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@
kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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今回は休みます。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「ポジティブリスト制度」
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 こんなメールをいただきました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 いつも大変興味深くメールマガジンを拝読しております。さて久
しぶりにご意見を頂きたくメールいたします。

 ポジティブリストの暫定基準というものが、いつの間にか、一律
基準という呼び名に変わって久しいですが、一律基準になる前にい
ったいどういう基準の見直しがあったのか?疑問に思っています。

 11月に入り、輸入通関にて、ベトナム産海老からのトリフルラ
リンという農薬成分の検出が相次ぎ、21日時点の厚生省のデータ
で、16件出ております。これは、現時点でのすべての食品違反の
19%に達し、今後、ベトナムからの海老取引に多大な影響を及ぼ
すものと考えております。

 これに先立ち、ベトナム養殖魚のバサという魚で、同じ農薬成分
が検出され、その影響で、日本のバサの市場がほぼ壊滅したと聞い
ております。「誰も日本に輸出したがらない。」「誰も日本に輸入
したがらない。」です。

 バサに関しては、魚の寄生虫を殺すための薬剤成分にトリフルラ
リンが含まれていると聞いておりますので海老に関しても、なんら
か養殖池の衛生環境維持に必要な薬剤に含まれているのではないか
と推測します。

 だとすれば、日本のポジティブリストの基準があまりにも低すぎ
るのではないでしょうか?

魚介類の基準が、0.001ppm (魚類・甲殻類・貝類すべて)
これに対して、            

玄米      0.050ppm  (魚介類の50倍)
キャベツ・トマト   0.100ppm (魚介類の100倍)
その他野菜    2.000ppm (魚介類の2000倍)
ミネラルヲーター  0.020ppm (魚介類の20倍)

となっています。

 これでは、魚介類の設定基準の根拠を疑わざるを得ません。「い
ちいち検証するのがめんどくさいから」一律基準!なのでしょうか。

 この基準では、養殖業者が薬剤の使用基準を守っていても、源水
からの汚染も否定できなくなってしまいます。いくら自主検査を行
っていても池内の個体差はあります。一体どこのにそこまで周囲と
隔離された土地があるのでしょうか。

 早急に農薬並みに基準を再設定する必要があると考えます。

 いくら検査設備の充実した工場でも、日本のポジティブリストに
リストアップされている農薬成分のすべてを、全LOT検査するこ
とはできません。

 この状況の中で、生産品目によっては、管理の行き届いた工場ほ
ど、日本に出荷したがらない。という今までは考えられない事態も
出始めています。日本市場は、もしなんらかの新たな汚染問題が起
これば、国内流通中の商品まで“自主”検査する。みつかれば勝手
に回収・廃棄・シップバックして莫大なクレームをする。しかも工
場名がWEBサイトに出て、他の有望なマーケットにも影響が出る。
リスクばかりでなんのメリットもない。という訳です。

 日本のバイヤーの「日本の基準さえ守ってくれれば。」という軽
い一言が、非常に大きなコストとリスクを孕む現状となっておりま
す。

 多分、今後、検査をクリアして輸入された海老商品についてはプ
レミアムが付いてくるのではないでしょうか。そのコストアップを
被るのは、最終的に消費者ですよね。

 近い将来、日本において食糧不足が起こるとは考えておりません
が、こんな“参入障壁”があるようでは、高級食材不足は間違いな
く起こると考えております。既に、水産物も他市場に買い負け始め
ています。

 日本の商社も、「産地から日本向け」ではなく「産地から第三国
へ」の出荷が増えてきていると聞きます。食材のジャパンパッシン
グですね。今の日本の市場では食べられるものは限られて来ざるを
得ないです。

 私自身、食品の流通に関わる人間として安全な商品の供給が存在
の大前提となりますが、正直、この事態は安全とは全く次元の違う
話ではないかと感じ始めております。

 渡辺先生は如何お考えでしょうか?

*不思議な話ですが、中国では、海産のワタリガニやハモでもトリ
フルラリンが検出されていますね。これは、港のタテ場の水が汚染
されていたのでしょうかね。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「ポジティブリスト制度」というのはその前の「ネガティブリス
ト制度」から変更されたものです。ネガティブリストだと、規制す
べき農薬名と基準値を決めるわけですが、基準値が決められていな
いものに対処できないという問題点がありました。

 ポジティブリストなら、基準値が決められていなければ即検出さ
れてはならないということになります。

 ところが、すべての食品にすべての農薬の基準値を作るのが大変
なので、「暫定基準」と「一律基準」が設けられました。

 「暫定基準」は今までの、政府が手続きを経て決定した基準値以
外のもので、外国や国際機関の定めた基準値を暫定的に日本でも採
用するというものです。

 「一律基準」というのは、暫定基準も決められない農薬と食品の
組み合わせに対して、一律に「0.01ppm」という値を決めた
ものです。

 これはポジティブリストが持っている、リストが膨大になりすぎ
て現実的な基準作りが難しいという、本質的な欠点に対処したもの
です。

 内容についていえば、「暫定基準」は決め方が暫定的なだけで、
通常の基準値としてしまったもかまわない性質のものです。困るの
はお役人の縄張りだけですので。

 「一律基準」の方はこれこそ暫定的なもので、問題が出てくれば
基準値を見直すべき性質のものです。

 ところが、日本のお役所仕事の常として、いったん作った基準値
は、事情の如何を問わずに硬直してしまいます。そこでご質問のよ
うなことが発生してくるというわけです。

 一律基準のままになっているものが、実際に検出されたなら、使
用実態に合わせて適切な基準値を設定すればよいだけです。それで
健康被害を防ぐのに、何も問題はありません。

 野菜で2ppmが問題ないなら、魚介類でも同程度は問題ないだ
ろうことは考えるまでもないですよね。

 こういうことが起こる原因は、一つは前述の硬直化ですが、もう
一つはリストの決め方が農薬行政側に偏っているということです。

 健康被害を防ぐのが目的なら、どんな食品に含まれていようが関
係なく、同じ基準がふさわしいのに、農薬行政的に見て、許可され
ている農薬とそれ以外の農薬に差をつけようとするからこういうこ
とになります。

 中にはこういう数字の操作をしないと、事実上禁止になってしま
う農薬も出てくるのでしょうが、私は数字の操作で作った複雑な表
より、シンプルに農薬ごとに基準値を決めてしまうやり方の方が優
れていると思います。

 さらに、何度も書きましたが、基準値を越えたからと言ってすぐ
に輸入禁止とか廃棄処分とかいうのも、間違っているのではないで
しょうか。

 さて、ポジティブリスト制度の基準値には例外が二つあります。
一つは「対象外物質」です。以下の物質は基準値なし、つまり無制
限に含まれていてよい物質です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

亜鉛
アザジラクチン
アスコルビン酸
アスタキサンチン
アスパラギン
β−アポ−8−カロチン酸エチルエステル
アラニン
アリシン
アルギニン
アンモニウム
硫黄
イノシトール
塩素
オレイン酸
カリウム
カルシウム
カルシフェロール
β−カロテン
クエン酸
グリシン
グルタミン
クロレラ抽出物
ケイ素
ケイソウ土
ケイ皮アルデヒド
コバラミン
コリン
シイタケ菌糸体抽出物
重曹
酒石酸
セリン
セレン
ソルビン酸
タウリン
チアミン
チロシン


トウガラシ色素
トコフェロール
ナイアシン
ニームオイル
乳酸
尿素
パラフィン
バリウム
バリン
パントテン酸
ビオチン
ヒスチジン
ヒドロキシプロピルデンプン
ピリドキシン
プロピレングリコール
マグネシウム
マシン油
マリーゴールド色素
ミネラルオイル
メチオニン
メナジオン
葉酸
ヨウ素
リボフラビン
レシチン
レチノール
ロイシン
ワックス

http://www.ffcr.or.jp/zaidan/FFCRHOME.nsf/pages/MRLs-Exclusion
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「マシン油」や「ワックス」が無制限に含まれていてよい、とい
うのも変な感じですね。

 これらは被害が出る量よりはるかに少ない量で、もう食べられま
せんから、別にわざわざ基準値を作る必要がないのでしょう。

 「ニームオイル」というのは、ニームという実からとった防虫剤
だそうですが、市販のニームオイルに農薬成分が含まれていたとい
うニュースがありました。この件については以下のサイトをごらん
ください。

「ニームオイル」問題に関する農水省の責任(2010年1月27日)
http://sites.google.com/site/naokimotoyama/old/20100127

 さて、もう一つの例外は「検出されてはならない」グループです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

2,4,5-T
アゾシクロチン及びシヘキサチン
アミトロール
カプタホール
カルバドックス
クマホス
クロラムフェニコール
クロルプロマジン
ジエチルスチルベストロール
ジメトリダゾール
ダミノジット
ニトロフラゾン
ニトロフラントイン
フラゾリドン
フラルタドン
プロファム
マラカイトグリーン
メトロニダゾール
ロニダゾール

http://www.ffcr.or.jp/zaidan/FFCRHOME.nsf/pages/MRLs-ND
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 上記のものは一切検出されてはいけないことになっています。こ
れは日本の法律に合致させるための処理なんだと思います。

 法律にはときどき、「〜を含まないこと」などという記述が出て
きます。昔はこれでよかったのですが、現在では検査技術が進んで
「不検出」という境界があいまいになってきています。

 ダイオキシンのときにやったように、「ppt」(ppmの百万
分の一=一兆分の一)のレベルまで調べると、たいていの物質が検
出されてしまいます。

 そこで実際には、適当な検出限界を作って、それ以下だと「不検
出」としてしまいます。そしてその検出限界が0.01ppmであ
ることが多くて、結果としては「検出されてはならない」グループ
も、「一律基準」と同じようなことになってしまいます。

 逆に言えば、「一律基準」というのは「検出されてはならない」
ということと同じ意味になっている…、というのがポジティブリス
ト制度の大きな矛盾点ですね。

 そこで私の意見は以下のようになります。

(1)ポジティブリストの基準値は農薬ごとに一つの値とする。

→何から摂取しても被害は同じでしょう?

(2)基準値の100倍程度を流通禁止の措置をとる値とする。

→実際に被害が想定される値の100分の1程度を基準値としてお
く。

(3)流通禁止に至らない基準値オーバーについては市場流通を認
めるが、生産者にはイエローカードを出して、原因追求と対策を義
務化する。

→イエローカード2枚でペナルティとか…。

 みなさんのご意見はいかがでしょうか。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 毎回何をとりあげるか悩むのですが、今回はいただいたメールに
便乗しました。どうもありがとうございます。

 このところ中国との通商に関係していますが、中国では何かとい
うと公的な証明書とか、許可とかがいることになっています。

 日本ではそういうものはないことが多いので、困ることがありま
す。日本では「製造許可」というのも一部のものだけで、食品とし
て何を作るかは原則自由なんですね。

 現在、いろいろと規制強化しようとしている人たちがいますが、
いろんな意味で中国化させたいのかな、などと感じています。

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